JP4590857B2 - 生体物質情報に係わる可視化方法、可視化装置、並びに情報記憶媒体 - Google Patents

生体物質情報に係わる可視化方法、可視化装置、並びに情報記憶媒体 Download PDF

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Description

本発明は、生体物質情報の可視化技術に関する。より詳しくは、コンピュータシステムを用いて、生体物質に関する情報を、所定のルールに基づいてコンピュータ表示画面上に自動的に表示することにより、生体物質間の相互作用関係を理解し易くするための技術に関する。
ヒト・ゲノムの解読の事実上の完了が宣言され、ポスト・シークエンス(ポスト・ゲノム)時代を迎えた現在においては、遺伝子機能の解析が急務とされている。
この遺伝子機能解析は、例えば、ノックアウト(遺伝子破壊)、またその逆を行って、その結果生じる細胞の変化である「表現型」の解析に基づいて、遺伝子機能の予測が行われている。また、転写や翻訳の段階での制御機構の解析や機能未知の遺伝子の翻訳後産物であるタンパク質の立体構造解析からタンパク質の分子機能、即ち遺伝子の機能を予測することが行われ、さらには、遺伝子の翻訳後産物であるタンパク質間の相互作用解析を行うことによって、機能未知のタンパク質と機能既知であるタンパク質とが、どのような相互作用をしているかを知ることで、遺伝子機能情報を得ることが行われている。
また、特定の細胞・組織・器官の中で産生されるすべてのタンパク質(プロテオーム)は、細胞内において、他のタンパク質や他の生体物質と機能的に関連して存在し、生物の受精から、発生、成熟、死に至るまで変動し、その生理状態や環境要因等によって、時間的あるいは空間的にも多様な動態を示す。いわゆるプロテオーム(proteome)研究の目標は、生命活動のそれぞれの局面におけるゲノムの活動状況を、タンパク質の動態変化として理解することと考えられている。
さらに、個別のタンパク質の生産を指令する特定のmRNA群の様々な段階での発現状況を解析するトランスクリプトーム研究も進んでおり、その解析結果から、遺伝子の発現調節などに関する情報が得られると期待されている。
しかし、上掲したような遺伝子機能解析、プロテオーム研究、トランスクリプトーム研究等からの研究成果として得られてくるようになった生体物質関連情報の多くは、生体物質の機能、物質間の制御機構(例えば、抑制、阻害、活性、促進、分解、輸送、局在決定、構造変化など)、時間的変化、量的変化、相互作用の強さなどの多種多様な情報を含んでおり、しかも、これらの情報は、特定の一代謝段階(例えば、タンパク質レベル、遺伝子レベルなど)から得られるものにすぎない。
したがって、これらの多様な情報を、必要に応じて的確に関連付けし、タンパク質の分子機能、生体物質の一連の相互作用機序、代謝システム等を総合的に、かつ動的に把握したり、予測したりするのが困難である。
ここで、特許文献1には、データベースにある論文から遺伝子やタンパク質や低分子等のサブスタンス名とそれらの間の二項関係を自動的に効率よく抽出し、抽出した二項関係をユーザーに分かりやすい形で可視化して表示する方法が開示されている。
特開2003−186894号公報。
本発明は、生体物質に関する情報を所定のルールに基づいてコンピュータ表示画面上に自動的に表示することによって、生体物質の相互作用機序や代謝システムを理解し易くすることを技術的課題とし、この課題を解決することを主目的とする。
本発明では、第一に、コンピュータシステムを用いて、生体物質に関する情報を、コンピュータ表示画面上に自動的に表示し、前記情報を可視化する方法を提供する。具体的には、前記コンピュータシステムを構成する記憶手段に予め記憶された生体物質毎の「分類情報」に基づいて、同一分類に属する生体物質及び該生体物質間の相互作用関係を前記コンピュータ表示画面上の同一のレイヤーに表示する生体物質情報の可視化方法を提供する。
第二に、コンピュータシステムを用いて、生体物質に関する情報をコンピュータ表示画面上に自動的に表示し、前記情報を可視化する装置であって、前記コンピュータシステムを構成する記憶手段に予め記憶された生体物質毎の分類情報に基づいて、同一分類に属する生体物質及び該生体物質間の相互作用関係を前記コンピュータ表示画面上の同一のレイヤーに表示する手段を備える生体物質情報の可視化装置を提供する。
なお、本発明において「コンピュータシステム」とは、情報記憶部(記憶手段)、メインプログラム格納部、入力制御部、出力制御部、演算部、表示部などを少なくとも備えるコンピュータシステムを広く意味し、「コンピュータ表示画面」とは、CRT(ブラウン管)やLCD(液晶ディスプレイ)等のコンピュータディスプレイ画面を広く意味し、「レイヤー」とは、コンピュータグラフィックス技術において、言わば透明シート状の個々の描画層を意味する。
ここで、前記「分類情報」には、例えば、少なくとも前記生体物質の「分子種分類情報」及び「細胞内局在分類情報」が含まれているものとする。さらに、前記の「分子種分類情報」には、例えば、「遺伝子」と「タンパク質」のいずれかに分類される属性情報が少なくとも含まれるものとする。また、前記した「細胞内局在分類情報」には、例えば、核、細胞質、細胞膜、細胞内小器官のいずれかに分類される属性情報が少なくとも含まれるものとする。
これらの情報に基づいて、対象の生体物質は、「遺伝子」と「タンパク質」とに分類されて、別々のレイヤーに自動的に振り分けて表示されることになり、さらに、対象の生体物質は、その細胞内局在箇所に応じて、別々のレイヤーに自動的に分類されて表示されるようになるので、当該生体物質の分子種や機能を識別する上での混乱や錯綜を解消することができる。
また、本発明では、同一のレイヤー内に表示された生体物質間の相互作用の関係、あるいは異なるレイヤーに表示された生体物質間の相互作用関係を、所定方式に基づいて、活性化、抑制、自己抑制のいずれかに分類して可視化するように工夫する。
なお、前記の「所定方式」とは、「活性化」(正の制御)、「抑制」(負の制御)、「自己抑制」(例えば、タンパク質が自らをコードする遺伝子の転写、翻訳を抑制すること。)を、視覚的に容易に判別できるように、技術的にルール化された、コンピュータ画面上に描画される記述方式を意味する。
これらの工夫により、生体物質間の相互作用関係、あるいは分子機能を、視覚的に、短時間のうちに理解することができるようになる。例えば、遺伝子の翻訳後産物であるタンパク質の分子機能を通じて当該遺伝子の機能が発揮されることは周知であるが、タンパク質の分子機能(例えば、どのようなタンパク質と相互作用するか)を理解するときの助力となる本発明は、遺伝子の機能の理解と解析に役立てることができる。
次に、本発明では、第三に、コンピュータシステムを用いて、生体物質の「発現量」に関する情報をコンピュータ表示画面上に自動的に表示し、前記情報を可視化する方法を提供する。
具体的には、前記コンピュータシステムを構成する記憶手段に予め記憶された生体物質群の中から所望の生体物質を選択し、この選択された生体物質の発現量を直径に相関させて、円又は円柱を、見やすい表示形態でコンピュータ画面に描画するとともに、この発現量を示す前記円を所定時刻間隔で時系列に並べて、コンピュータ画面に表示する生体物質情報の可視化方法を提供する。
前記コンピュータシステムを構成する記憶部に予め記憶された前記生体物質毎の分類情報に基づいて、同一分類に属する生体物質を、前記コンピュータ表示画面上の同一のレイヤーに表示するようにする。
そして、選択した生体物質に関する入力初期情報に基づいて、該生体物質の発現量の時系列変化を自動的にシミュレーションして、前記コンピュータ表示画面上に自動的に表示するようにする。
本発明に係る可視化方法は、遺伝子の機能、即ち、どのようなタンパク質を「いつ」、「どこで」、「どれくらい」(発現量)作るかを指示する機能の理解と解析の大きな助力となる。
本発明では、第四に、以上の構成である本発明に係る生体物質情報の可視化方法を、コンピュータで実行可能なコンピュータプログラムが格納された情報記憶媒体を提供する。
「情報記憶媒体」とは、必要なデータやプログラムが電気的、磁気的に保管される媒体や記憶装置を意味する。例えば、ハードディスク、フロッピー(登録商標)ディスクなどの磁気ディスク、データカートリッジなどの磁気テープ、MO(Magnet Optical)などの光磁気ディスク、CD−ROM、DVD(Degital Versatile Disc)、MD(Mini Disc)等の光ディスク、カード型記憶媒体、メモリスティック、フラッシュメモリ、ハードウエアに設置される記憶装置、サーバ上の記録装置等を広く含む。
なお、この情報記憶媒体に格納されているコンピュータプログラムやデータ等の情報の利用形態は、当該ソフトウエアをインストールしたパーソナルコンピュータでの利用形態、サーバ及びインターネット等の情報通信手段を介したコンピュータ端末での利用形態などを少なくとも含む。
本発明は、多種多様な生体物質に関する情報を、視覚的に理解し易いように技術的に工夫された所定のルールに従って、コンピュータ表示画面上に自動的に表示するように工夫しているので、生体物質間の相互作用機序や代謝システムの理解、予測、解析等の大きな助力となる。
以下、本発明を実施するための好適な形態について、添付図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明で好適に用いられる「データベース情報テーブル」の一例を示す図、図2は、本発明で用いるコンピュータシステム上に存在する記憶手段の一例の構成を示すブロック図、図3は、本発明に係わる可視化方法をネットワークシステムにより実施する場合の概念図、図4から図15は、本発明に係る生体物質情報の可視化方法の好適な実施形態をコンピュータ画面の描画例に基づいて説明する図である。
本発明で好適に用いられる「データベース情報テーブル」は、生体分子の属性情報である「分子情報」、「発現情報」、生体分子間の「関係性を示すデータ」、発現場所情報、発現系情報(ある遺伝子発現状況での表現形)などに関するデータを保有している(図1参照)。
より具体的には、「分子情報」は、DNA、RNA、Protein(タンパク質)から構成される属性情報、あるいはこれらの属性情報に加え、ホルモン、その他の生体物質(例えば、脂質、糖など)などの属性情報からなる。「発現情報」は、時刻/タイミングに依存する発現量情報、時刻/タイミングに依存しない発現量情報に分類され、それぞれ定性的発現データ、定量的発現データを保有する。
「関係性を示すデータ」は、生体物質間の相互作用関係を示すためのデータであって、「関係あり」と「関係なし」に大別され、「関係あり」の場合は、相互作用はあるが「機能未定」、「促進」、「抑制」、「自己抑制」に分類される。
「発現場所情報」は、臓器別データ(例えば、脳、抹消臓器)、細胞内局在データ(例えば、核、細胞質、細胞膜、細胞内小器官など)を保有する。
「表現系情報」は、行動変化、体温リズム変化、睡眠覚醒リズム変化、その他などに係わるデータ情報を保有する。
図2は、本発明で用いるコンピュータシステム上に存在する記憶手段又は記憶装置の一例の構成を示すブロック図を示している。この記憶手段1は、CPU(Central Processing Unit)などから構成された制御手段101を保有し、各データ情報の処理を制御し、実行する。
また、前記記憶手段101は、入力制御手段102と出力制御手段103とを備える。入力制御手段102を介して入ってきた入力情報は、制御手段101を介して、所定の情報ファイル104へ格納され、情報ファイル104(104a〜104f)に格納された各情報は、制御手段101、出力制御手段103を介して出力される。
情報ファイル104は、前記制御手段101で検索などに用いられるメインプログラムが格納されたファイル104aに加え、上記データベース情報テーブルに対応する、分子情報ファイル104b、発現情報ファイル104c、関係性ファイル104d、発現場所情報ファイル104e、表現系情報ファイル104fから構成されている。
図3は、本発明に係わる可視化方法をネットワークシステム(相互情報交換システム)で実施する場合の概念図であり、サーバ2は、上記構成の記憶手段を備え、入出力制御手段102、103及び経路制御装置(入出力インターフェース)3などを介してインターネットに接続され、さらには、該インターネットに接続するユーザー(企業や研究者など)のコンピュータ端末T〜Tに接続し、情報の入出力作業やコンピュータ画面表示作業が可能となっている。
図4は、本発明に係わるコンピュータ表示画面の一例を示す図である。
この図4では、Z軸方向に時間軸がとらえており、同一時刻(t=−1、0、1、2、3)に起きる反応と該反応に係わるタンパク質(図1において、四角囲い数字やアルファベットで示されている。)間の相互作用関係を、各時刻に対応する各レイヤーに表示し、かつこれら五つのレイヤーを同一画面に同時に描画している様子が示されている。なお、図1中の時刻t=1では、DNA損傷シグナル(例えば、紫外線)が入ったことを示している。
この図4に示されたような描画手段を採用すれば、生体物質の相互作用関係を、動的に把握することができるので、大変便利である。
ここで、各レイヤーを図1のように同一画面に同時に描画するのではなく、例えば、図5から図9に示すように、必要に応じて、フラッシュバック的に時間差をおいて表示できるようにしてもよい。
なお、図5は、時刻t=-1に対応するレイヤー、図6は、時刻t=0に対応するレイヤー、図7は、時刻t=1に対応するレイヤー、図8は、時刻t=2に対応するレイヤー、図9は、時刻t=3に対応するレイヤーを、それぞれが示されたコンピュータ画面例で示している。
次に、図10は、生体物質間の相互作用関係を示す記述方式の好適な実施形態を示す図である。
本発明では、対象となる遺伝子やタンパク質等の生体物質の数が増えてくると、相互作用関係も複雑になり、錯綜してしまうという事実を踏まえて、生体物質間の相互作用関係を示す記述方式を、簡潔にルール化することによって、前記錯綜を防止できるように工夫している。
例えば、ある遺伝子やタンパク質が、他の遺伝子やタンパク質を、直接的に又は間接的に活性化させる機能がある場合では、作用する側の遺伝子やタンパク質の右方向にから導出し、ターゲットとなる遺伝子やタンパク質の左方向から入る「矢印線X」で示す。
一方、ある遺伝子やタンパク質が、他の遺伝子やタンパク質を抑制する機能がある場合は、作用する側の遺伝子やタンパク質の下側から導出して、ターゲット側の遺伝子やタンパク質の上方向から入ってくる「逆T字線Y」で示すようにする。
図10に示す例では、タンパク質Pがタンパク質Pを活性化している(矢印X参照)。タンパク質Pは遺伝子Gを活性化している(矢印X参照)。タンパク質Pは遺伝子Gを抑制している(逆T字線Y参照)。
このように、活性化と抑制に分類することにより、相互作用関係を簡潔に、わかり易く示す。なお、タンパク質Pが遺伝子Gの転写翻訳産物である場合は、この図10中の逆T字線Yは、「自己抑制」を表していることになる。
次に、図11は、時計遺伝子の制御関係を例にとって、前記した記述方式に従って実際に作成された、本発明に係わるコンピュータ表示画面の実施例を示す図である。
この図11では、「タンパク質」と「遺伝子」の二つの属性に分類分けされる内容の「分類情報」に基づいて、生体物質をタンパク質用レイヤー(符号Lpで示す)と遺伝子用レイヤー(符号Lgで示す)に振り分けて表示しているとともに、これら二つのレイヤーLp,Lgを同一画面に、同時に、描画している。
この図11に示された表示画面例でのタンパク質用レイヤーLpには、タンパク質間の相互作用関係が上記した記述方式に基づいて示されているとともに、タンパク質用レイヤーLpと遺伝子用レイヤーLgとの間では、遺伝子とタンパク質の転写翻訳関係やタンパク質と遺伝子との間での相互作用関係(制御関係)が、上記記述方式に従って示されている。
この図11の表示内容を具体的に説明すると、まず、タンパク質Cryは遺伝子cryの転写翻訳産物であり、タンパク質Per2は遺伝子per2の転写翻訳産物である。
タンパク質Cryはその対応する遺伝子cryを自己抑制するとともに、遺伝子per2を抑制している。タンパク質Per2は、その対応する遺伝子per2を自己抑制している。
タンパク質Clockは、遺伝子decと遺伝子rev−erbaを活性化している。遺伝子decの転写翻訳産物であるタンパク質Decは、タンパク質Clockを抑制している。
遺伝子rev−erbaの転写翻訳産物であるタンパク質Rev−ervaは、遺伝子bmallを抑制しており、タンパク質Bmallの発現が抑制されている。
タンパク質Bmallは、遺伝子cryを活性化して、タンパク質Cryの発現を促進し、同タンパク質Bmallは、遺伝子per2を活性化して、タンパク質Per2の発現を促進している。
次に、図12は、コンピュータシステムを用いて、生体物質の「発現量」に係わる情報をコンピュータ表示画面上に自動的に表示することによって、前記情報をコンピュータ画面に可視化する方法を実施した場合のコンピュータ画面の一表示例を示している。
なお、発現量は、実際の定量データを用いてもよく、数段階にランク分けして、このランクデータを用いてもよい。
コンピュータシステムを構成する記憶部に記憶されている所望の生体物質(ここでは、タンパク質PER)に対応するコンピュータ表示画面上の選択用表示ボタンをクリック等して、所望の当該生体物質を選択する。
選択作業が完了すると、選択されたタンパク質PERの発現量と直径が相関する円が自動的にコンピュータ画面に描画されるとともに、この円を所定時刻間隔で時系列に並べて自動的に表示することによって、発現量の時間的変化を視覚的に表現する。
同時に、タンパク質に分類される生体物質と遺伝子に分類される生体物質は、別々のレイヤー中に表示されるようにしておき、タンパク質用レイヤーLpと遺伝子用レイヤーLgを、所定間隔をおいて上下に重なる態様で、コンピュータ画面に同時に表示することによって(図12参照)、遺伝子とその転写翻訳産物であるタンパク質の発現の関係を視覚的に把握できるようにする。
なお、図12では、Bmal遺伝子とその転写翻訳産物であるタンパク質BMAL、並びにPer遺伝子とその転写翻訳産物であるタンパク質PERが並列的に表示されたコンピュータ画面の表示例が示されている。
遺伝子やタンパク質の発現誘導に影響を与える紫外線等の光刺激などを想定し、所定時刻における遺伝子又はタンパク質の発現量又は発現レベルを人為的に操作することにより、発現の時間的変化をシュミュレーションすることができる。
例えば、図13に示すコンピュータ画面の表示例のように、時刻8:00におけるPer遺伝子とBmal遺伝子の発現の程度を示す初期情報を入力すると、以後はそれに準じた発現の時間的変化をシュミュレーションする。即ち、光刺激(図13の白ヌキ矢印参照)によるPer遺伝子発現誘導が遺伝子やタンパク質の発現量を変化させ、体内リズムがシフトすることがシュミュレーションされる。
タンパク質の合成は、遺伝子の発現とその進行によって起こるので、遺伝子の発現とタンパク質の発現には、時間的な位相差が生まれることも容易に把握できる。図12や図13で示された表示画面の例によれば、遺伝子の発現から時間差をおいてタンパク質が発現する様子が視覚的に容易に理解できる。
なお、本発明では、コンピュータを操作することによって、図14や図15に示すコンピュータ画面の表示例のように、遺伝子と当該遺伝子の転写翻訳産物であるタンパク質をセットで、折れ線グラフ化できるようにしてもよい。縦軸は発現レベル(5段階)、横軸は時間を示している。
図14は、Per遺伝子とPERタンパク質のセットの折れ線グラフ、図15は、BMAL遺伝子とBmal遺伝子のセットの折れ線グラフをそれぞれ示している。
この図14や図15を観察すればわかるように、遺伝子の発現とタンパク質の発現には、時間的な位相差が生まれることも容易に把握できる。
本発明は、遺伝子機能解析、プロテオーム研究、トランスクリプトーム研究等からの研究成果として得られる生体物質関連情報に含まれる、生体物質の機能、物質間の制御機構、時間的変化、量的変化、相互作用の強さなどの多種多様な情報を必要に応じて的確に関連付けし、タンパク質の分子機能、生体物質の一連の相互作用機序、代謝システム等を総合的に、かつ動的に把握したり、予測したりする場合に利用できる。
本発明で好適に用いられる「データベース情報テーブル」の一例を示す図である。 本発明で用いるコンピュータシステム上に存在する記憶手段の一例の構成を示すブロック図である。 本発明に係わる可視化方法をネットワークシステムにより実施する場合の概念図である。 本発明に係わるコンピュータ表示画面の一例を示す図である。 時刻t=-1に対応するレイヤーが表示されたコンピュータ表示画面の一例を示す図である。 時刻t=0に対応するレイヤーが表示されたコンピュータ表示画面の一例を示す図である。 時刻t=1に対応するレイヤーが表示されたコンピュータ表示画面の一例を示す図である。 時刻t=2に対応するレイヤーが表示されたコンピュータ表示画面の一例を示す図である。 時刻t=3に対応するレイヤーが表示されたコンピュータ表示画面の一例を示す図である。 生体物質間の相互作用関係を示す記述方式の好適な実施形態を示す図である。 所定の記述方式に従って実際に作成された、本発明に係わるコンピュータ表示画面の実施例を示す図である。 コンピュータシステムを用いて、生体物質の「発現量」に係わる情報をコンピュータ表示画面上に自動的に表示することによって、前記情報をコンピュータ表示画面に可視化する方法を実施した場合のコンピュータ画面の一表示例を示す図である。 時刻8:00におけるPer遺伝子とBmal遺伝子の発現の程度を示す初期情報の入力に基づいて、発現の時間的変化のシュミュレーションを示す図である。 Per遺伝子とPERタンパク質のセットの折れ線グラフを示す図である。 BMAL遺伝子とBmal遺伝子のセットの折れ線グラフをそれぞれ示す図である。
符号の説明
Lp タンパク質用レイヤー(図11〜13)
Lg 遺伝子用レイヤー(図11〜13)
X 活性化を意味する矢印(図10)
Y 抑制又は自己抑制を意味する逆T字線(図10)

Claims (8)

  1. 少なくとも、制御手段、記憶手段、及び出力制御手段から構成されるコンピュータシステムを用いて、生体物質に関する情報をコンピュータ表示画面上に自動的に表示し、前記情報を可視化する方法であって、
    前記記憶手段には、コンピュータプログラムが格納され、前記コンピュータプログラムが、分類ステップと、表示ステップとを含む生体物質情報の可視化を実行させることを特徴とし、
    前記分類ステップは、前記制御手段が、ユーザーが入力した入力情報を、前記記憶手段に予め記憶された生体物質毎の分子種分類情報若しくは細胞内局在情報に基づいて振り分け、同一分類に属する生体物質を同一のレイヤーに分類すると共に、前記入力情報を、前記記憶手段に予め記憶された生体物質間の相互作用関係を示すデータに基づいて「関係あり」と「関係なし」に分類し、「関係あり」に分類された場合は、更に活性化、抑制、自己抑制のいずれかに分類し、
    前記表示ステップは、前記出力制御手段が、同一のレイヤーに分類された生体物質及び該生体物質間の相互作用関係を前記コンピュータ表示画面上の同一のレイヤー内に表示し、異なるレイヤーの生体物質間の相互作用の関係を、前記コンピュータ表示画面上の異なるレイヤー間に、活性化、抑制、自己抑制のいずれかに分類して表示することを特徴とする生体物質情報の可視化方法。
  2. 前記分子種分類情報は、遺伝子とタンパク質のいずれかに分類される情報であることを特徴とする請求項1に記載の生体物質情報の可視化方法。
  3. 前記細胞内局在分類情報は、核、細胞質、細胞膜、細胞内小器官のいずれかに分類される情報であることを特徴とする請求項1に記載の生体物質情報の可視化方法。
  4. 同一のレイヤー内に表示された生体物質間の相互作用の関係を、所定方式に基づいて、活性化、抑制、自己抑制のいずれかに分類して可視化することを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の生体物質情報の可視化方法。
  5. 前記生体物質に関する情報が生体物質の発現量に関する情報であり、
    前記記憶手段に予め記憶された生体物質群の中から所望の生体物質を選択し、選択された生体物質の発現量を直径に相関させて円又は円柱を描画するとともに、この円又は円柱を所定時刻間隔で時系列に並べて自動的に表示することを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の生体物質情報の可視化方法。
  6. 選択した生体物質に関する入力初期情報に基づいて、該生体物質の発現量の時系列変化を自動的にシミュレーションし、前記コンピュータ表示画面上に自動的に表示することを特徴とする請求項5記載の生体物質情報の可視化方法。
  7. 請求項1からのいずれか1項に記載の生体物質情報の可視化方法を、コンピュータで実行可能な前記コンピュータプログラムが格納されたことを特徴とする情報記録媒体。
  8. 生体物質に関する情報をコンピュータ表示画面上に自動的に表示し、前記情報を可視化する装置であって、
    記憶手段と、
    ユーザーが入力した入力情報を、前記記憶手段に予め記憶された生体物質毎の分子種分類情報若しくは細胞内局在情報に基づいて振り分け、同一分類に属する生体物質を同一のレイヤーに分類すると共に、前記入力情報を、前記記憶手段に予め記憶された生体物質間の相互作用関係を示すデータに基づいて「関係あり」と「関係なし」に分類し、「関係あり」に分類された場合は、更に活性化、抑制、自己抑制のいずれかに分類する分類ステップを行う制御手段と、
    同一のレイヤーに分類された生体物質及び該生体物質間の相互作用関係を前記コンピュータ表示画面上の同一のレイヤー内に表示し、異なるレイヤーに分類された生体物質間の相互作用関係を前記コンピュータ表示画面上の異なるレイヤー間に、活性化、抑制、自己抑制のいずれかに分類して表示する表示ステップを行う出力制御手段と、
    を備え
    前記記憶手段には、前記分類ステップと、前記表示ステップとを含む生体物質情報の可視化を実行させるコンピュータプログラムが格納された生体情報の可視化装置。
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