JP2021012502A - 探索システム及び探索方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】物性の関係性に基づいて生成されたグラフの経路探索を利用する探索システムにおいて、2つの物性パラメータの関係性に対応する経路上のみではなく周辺のノードから、ユーザーに有益な物性パラメータを探索目標に応じて抽出する。【解決手段】探索システムは、物性関係性グラフを対象とする経路探索を行うグラフ探索部と探索制御部と探索結果合成部とを備える。探索制御部は、入力される原因側及び結果側物性パラメータと探索目標とに基づいて、原因側から結果側のノードに至る経路を探索する探索制御命令と、探索目標に基づく探索を行う探索制御命令とを含む複数の探索制御命令を作成する。グラフ探索部は、作成された複数の探索制御命令に応じて物性関係性グラフを探索し、指定される探索条件に合致する経路または部分グラフを複数の探索結果として出力する。探索結果合成部は、上記複数の探索結果を探索目標に応じて合成して出力する。【選択図】図12

Description

本発明は、データベースを使った探索システム及び探索方法に関し、特に物性パラメータ間の関係性を表すグラフ探索を使った物性探索に好適に利用できるものである。
材料研究における予測や設計の目標は、目的の特性を持つ材料を特定することである。このために旧来から多用されてきた手法は、条件−特性チャートから目的の特性を持つ材料の特定を目指す手法である。これは複数の条件のうち特定の1つの条件のみを変化させたときの特性の変化を観測してチャートを作成し、そのチャートを補間または外挿することによって、目的の特性を持つ条件を求め、それに合致する材料を特定する方法である。ここでいう「チャート」とは、折れ線グラフ等を表す「グラフ」と同義であるが、後述する、ノードとエッジから成る「グラフ」と区別する目的で別の語を用いる。
このとき、複数の条件のうち特定の1つの条件のみを変化させたときの他の特性の変化は、自ら実験を行って入手することが多い。多数の文献を調査しても上記特定の条件以外の条件がすべて同じであるデータを大量に入手することは困難だからである。
特許文献1には、所望の特性を有する新規材料の構成物質情報を、客観的に探索することが可能な探索システムが開示されている。
同文献に開示される探索システムは、複数(多数)の物質についてそれぞれ複数の物性パラメータ情報を有するデータベースを備える。このとき、データベースには、物質によっては実データが与えられていない物性パラメータがあってもよい。検索対象の物性パラメータを1つの軸とし、他の物性パラメータの一部をその他の軸として、2次元または3次元以上の空間を作成して、上記データベース内の各物質をマッピングする。このとき、実データのない物性パラメータについては、多変量解析、所定の論理式に基づく計算、または、第1原理計算などを使って予測した仮想データによって補う。実データと仮想データをマッピングして得られた探索マップにおいて、予め規定したルールに基づいて、所望の特性を有する物質を特定するとされる。
特許文献2には、複数の物性パラメータの任意の組合せのうち、既に知られている関係性に基づいて、有意な関係性を有する、物性パラメータの未知の組合せを探索することができる、探索システム及び探索方法が開示されている。この探索システムは、データベースとグラフ生成部とグラフ探索部とを備え、以下のように構成される。データベースは、互いに関係性を有する物性パラメータの複数の対を記憶し、グラフ生成部は、データベースに記憶された複数の物性パラメータをノードとし、関係性を有すると記憶された物性パラメータ対に対応するノード間をエッジとする、グラフを生成する。グラフ探索部は、与えられる探索条件に基づいて、グラフ生成部から生成されたグラフに対する経路探索を行い、探索結果を出力する。
特許文献3には、上記特許文献2と同様の、複数の物性パラメータの任意の組合せのうち有意な関係性を有する未知の物性パラメータの組合せの探索において、物性パラメータ間の関係性について種々の重み付けを行い、これを対応するエッジの属性として与えることによって、グラフの経路探索における優先順位付けを可能とすることにより、優先度を考慮した探索を行うことができる探索システム及び探索方法が開示されている。複数の物性パラメータの関係性は、特許文献2と同様に、複数の物性パラメータをノードとし、関係性を有する物性パラメータ対に対応するノード間をエッジとするグラフにおいて、物性情報やその関係性についての付随的な情報を、ノード及び/またはエッジにその属性として付与する。その属性を用いて、探索の結果抽出される経路の優先度を求め、優先度の高い順に結果を出力する。
特開2007−18444号公報 国際公開WO2017/221444 国際公開WO2018/159237
特許文献1、2及び3について本発明者が検討した結果、以下のような新たな課題があることがわかった。
特許文献1に記載される技術では、仮想データを予測するために、複数の物性パラメータ相互の関係性を利用するが、その関係性は既に知られている関係性に限られることとなる。
これに対し本願の発明者は、多数の技術分野を横断的に見た場合には、物性パラメータの数が非常に多くなるため、関係性の有無に依らない任意の組合せの中から、未知の、しかし有意な関係性を抽出することが可能であることを見出し、その解決方法として特許文献2及び3に記載される探索システムを提案した。
特許文献2及び3に示される探索システム及び探索方法によれば、相互に関係性の低い分野を含むあらゆる分野を横断的に探索することができ、もって有意な関係性を有する物性パラメータの未知の組合せを抽出することができる。抽出結果は、関係性を有する原因側物性パラメータと結果側物性パラメータの組み合わせによる種々の形態で出力され得る。例えば、原因側物性パラメータから結果側物性パラメータに至る複数の経路、原因側物性パラメータから所定の範囲内にある結果側物性パラメータの集合、逆に、結果側物性パラメータに至る所定の範囲内にある原因側物性パラメータの集合などである。探索を行うユーザーは、例えば目的の特性を持つ材料の特定を目指すときには、原因側物性パラメータから結果側物性パラメータに至る経路上にあるすべての物性パラメータが、所定の仕様を満足するような物質・材料の特定を目指すこととなる。
本発明者は、このときの探索結果は、ユーザーが持つ知識や経験と必ずしも完全に一致するとは限らず、またユーザーが望まない経路を含んでいる可能性があることに気付いた。ユーザーが持つ知識や経験と一致しないケースには、ユーザーが知らない因果関係の経路が抽出されることによって、ユーザーに気付きを促すメリットがある場合がある。
本発明者は、これとは逆に、ユーザーが経験上関係性を有するものと考えていた経路が、実際には探索結果に含まれない場合があり得ることに気付いた。当該ユーザーの実験系では物性Aを変化させた結果として物性Bの変化が観測されていた場合に、その実験系に特有の環境において物性Aとともに変化する物性Cが実際は物性Bの変化に寄与する原因側物性パラメータであるような場合である。このときの物性Cに対応するノードは、グラフの経路探索の結果である物性Aから物性Bに至る経路には含まれていない可能性があるが、探索結果に含まれない物性Cの存在をユーザーに提示して気付きの機会を与えることができれば、探索システムの利便性が大きく向上する。
本発明者はまた、グラフの経路探索の結果である経路にトレードオフの関係にある物性の関係性が含まれ、目標とする物質・材料の特定を妨げる場合があることに気付いた。ここでトレードオフとは、一つの物質パラメータを目標仕様に近づける方向に変化させると、他の物質パラメータが目標仕様から離れる方向に変化することを指す。トレードオフによって、複数の物性パラメータのすべてがそれぞれの目標仕様を同時に満足することができず、設計の目標が達成できない状況に陥る場合がある。このような場合に、トレードオフを回避する方法を提示することができれば、探索システムの利便性が大きく向上する。なお、多くの場合においてトレードオフは、原因側と結果側の区別をすることなく等価に発生する。即ち、2つの物性パラメータそれぞれの目標仕様を、両方同時に満足することができないことを指して、トレードオフの関係と呼ぶ。このような場合であっても、トレードオフという現象の発生メカニズムを、原因側と結果側2つの物性パラメータに着目して説明することによって、トレードオフを回避する方法にアプローチするのが良案であると考えらえる。3つ以上の物性パラメータにトレードオフがある場合、また2つの物性パラメータ間で双方向に因果関係がある場合であっても、上に定義した関係にブレークダウンすることができるからである。
本発明の目的は、物性の関係性に基づいて生成されたグラフの経路探索を利用する探索システムにおいて、2つの物性パラメータの関係性に対応する経路には含まれるノードに限らず周辺のノードに対応する物性パラメータのうち、ユーザーの探索目標に照らして有益な物性パラメータの提示を可能とすることである。
このような課題を解決するための手段を以下に説明するが、その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面から明らかになるであろう。
本発明の一実施の形態によれば、下記の通りである。
すなわち、複数の物性パラメータにそれぞれ対応する複数のノードと、互いに関係性を有する複数の物性パラメータ対に対応する複数のノード対をそれぞれ接続する複数のエッジとによって構成される、物性関係性グラフを対象とする経路探索を行うグラフ探索部と探索制御部と探索結果合成部とを備える探索システムであって、以下のように構成される。
探索制御部は、入力される原因側及び結果側物性パラメータと探索目標とに基づいて、グラフ探索部に対して、入力された原因側物性パラメータに対応する第1ノードから結果側物性パラメータに対応する第2ノードに至る経路を探索して第1探索結果を出力させる第1探索制御命令と、入力された探索目標に基づく探索を行って第2探索結果を出力させる第2探索制御命令とを含む複数の探索制御命令をグラフ探索部に供給する。
グラフ探索部は、供給された探索制御命令に応じて、物性関係性グラフを探索して、探索制御命令によって指定される探索条件に合致する経路または部分グラフを上記第1、第2探索結果を含む複数の探索結果として出力する。
探索結果合成部は、入力された探索目標に基づいて上記複数の探索結果を合成して出力する。
なお本明細書において、物性関係性グラフは、特に断らない限り、無向グラフであっても有向グラフであってもよい。有向グラフの場合は、原因側物性パラメータに対応するノードから結果側物性パラメータに対応するノードに向かう方向性を有するエッジは、原因側物性パラメータの変化に応じて結果側物性パラメータが変化するが、結果側物性パラメータが変化してしても原因側物性パラメータに影響を与えないような関係性に対応する。また、物性関係性グラフを構成するエッジは長さの属性を持っていてもよい。すべてのエッジに長さ1の属性を与えてもよいし、物性対の関係性の強さに応じた長さを与えてもよい。経路探索では、一方のノードから他方のノードに至る経路のすべてを出力するように構成してもよいし、経路上のエッジの長さを合計したノード間の距離の範囲を限定して出力するように構成してもよい。
本発明の前記一実施の形態によって得られる効果を簡単に説明すれば下記のとおりである。
すなわち、物性の関係性に基づいて生成されたグラフの経路探索を利用する探索システムにおいて、2つの物性パラメータの関係性に対応する経路に含まれるノードに限らず周辺のノードに対応する物性パラメータのうち、ユーザーにとって有益な物性パラメータを探索目標に応じて抽出して提示することが可能となる。
図1は、実施形態1に係る探索システムの構成例を示すブロック図である。 図2は、物性関係性グラフを例示する模式図である。 図3は、図2に示した物性関係性グラフを探索した結果を例示する説明図である。 図4は、実際の物性関係性グラフを探索した結果を例示する説明図である。 図5は、物性関係性グラフが有向グラフである場合の、隠れた共通因子の抽出を目標とした探索(経路探索段階)を例示する説明図である。 図6は、物性関係性グラフが有向グラフである場合の、隠れた共通因子の抽出を目標とした探索(結果合成段階)を例示する説明図である。 図7は、物性関係性グラフが無向グラフである場合の、隠れた共通因子の抽出を目標とした探索を例示する説明図である。 図8は、2つの物性パラメータについて規定された仕様を同時に満たすことを探索目標とした例を示す説明図である。 図9は、3つの物性パラメータについて規定された仕様を同時に満たすことを探索目標とした例を示す説明図である。 図10は、本発明の探索システムが実装されるハードウェアシステムの一例を示すブロック図である。 図11は、実施形態2の探索システムの構成例を示すブロック図である。 図12は、本発明の探索方法を説明するフローチャートである。
1.実施の形態の概要
先ず、本願において開示される代表的な実施の形態について概要を説明する。代表的な実施の形態についての概要説明で括弧を付して参照する図面中の参照符号はそれが付された構成要素の概念に含まれるものを例示するに過ぎない。
〔1〕<原因側から結果側に至る経路に含まれない物性パラメータの抽出>
本願において開示される代表的な実施の形態は、物性関係性グラフ(3)を対象とする経路探索を行うグラフ探索部(4)を備える探索システム(10)であって、以下のように構成される(図1)。
前記物性関係性グラフは、複数の物性パラメータにそれぞれ対応する複数のノードと、互いに関係性を有する複数の物性パラメータ対に対応する一対のノード間をそれぞれ接続するエッジとによって構成され、前記グラフ探索部は、供給された探索制御命令に応じて、前記物性関係性グラフを探索して、前記探索制御命令によって指定される探索条件に合致する経路または部分グラフを探索結果として出力することができる。
前記探索システムは、探索制御部(6)と探索結果合成部(7)とをさらに備える。前記探索制御部は、入力される原因側及び結果側物性パラメータと探索目標とに基づいて、前記グラフ探索部に対して、前記原因側物性パラメータに対応するノードから前記結果側物性パラメータに対応するノードに至る経路を探索させる探索制御命令と、前記探索目標に基づく探索を実行させる探索制御命令とを前記グラフ探索部に供給し、前記探索結果合成部は、前記探索目標に基づいて前記2つの探索制御命令の結果を合成して出力する。
これにより、物性の関係性に基づいて生成されたグラフの経路探索を利用する探索システムにおいて、2つの物性パラメータの関係性に対応する経路に含まれるノードに限らず周辺のノードを含め、対応する物性パラメータのうち、ユーザーにとって有益な物性パラメータを探索目標に応じて提示することが可能となる。
なお後段との整合のため、入力された原因側物性パラメータに対応するノードを第1ノード、入力された結果側物性パラメータに対応するノードを第2ノード、第1ノードから第2ノードに至る経路を探索させる命令を第1探索制御命令、その結果を第1探索結果、探索目標に基づく探索を実行させる命令を第2探索制御命令、その結果を第2探索結果と呼ぶこととする。
〔2〕<トレードオフの回避>
〔1〕項の探索システム(10)において、前記第2探索制御命令は、前記グラフ探索部で実行されることにより、前記第2ノードに到達する所定の範囲内のノードを抽出し、抽出されたノードよりなる部分グラフを前記第2探索結果(22)として前記グラフ探索部から出力させ、前記探索結果合成部は、前記第1及び第2探索結果(21,22)を合成して、前記部分グラフに含まれ前記第1探索結果に含まれないノードに対応する物性パラメータを出力する(図2〜4)。
これにより、原因側物性パラメータと結果側物性パラメータとの間にトレードオフがあるときに、そのトレードオフを回避できる制御に寄与する物性パラメータの候補をユーザーに示すことができる。抽出された物性パラメータによれば、原因側物性パラメータを変化させることなく、結果側物性パラメータを制御することができる可能性があるからである。ここで所定の範囲とは、例えば一定の経路長によって規定される範囲を意味し、経路長はその経路を構成するエッジの長さの合計である。エッジの長さは、上述したようにすべてのエッジに長さ1を与えてもよいし、対応する関係性に基づいた数値を与えてもよい。このことは、特に断らない限り、本明細書全体を通じて同旨である。
〔3〕<隠れた共通因子の抽出>
〔1〕項の探索システム(10)において、前記物性関係性グラフは、原因側物性パラメータに対応するノードから結果側物性パラメータに対応するノードへの方向性を持った有向グラフであり、前記探索制御部は、前記探索目標に基づく探索を行って第3探索結果を出力させる第3探索制御命令を前記グラフ探索部にさらに供給する。
前記第2探索制御命令は、前記グラフ探索部で実行されることにより、前記第1ノードに到達する第1の範囲内の始点側のノードを抽出し、抽出されたノードよりなる第1部分グラフ(32)を前記第2探索結果として前記グラフ探索部から出力させる。前記第3探索制御命令は、前記グラフ探索部で実行されることにより、前記第2ノードに到達する第2の範囲内の始点側のノードを抽出し、抽出されたノードよりなる第2部分グラフ(33)を前記第3探索結果として前記グラフ探索部から出力させる(図5,6)。ここで前記第1の範囲と第2の範囲は、それぞれが例えば構成するエッジ数で表される経路長であり、同じ値でも異なる値でもよい。
前記探索結果合成部は、前記第1、第2及び第3探索結果(31,32,33)を合成して、前記第1及び第2部分グラフに共通に含まれ、前記第1探索結果に含まれないノードに対応する物性パラメータを出力する。なお、引用する〔1〕項でいうところの「第1探索結果」は、図5,6では符号31で示される。
これにより、ユーザーが入力した原因側物性パラメータと結果側物性パラメータとの間の関係性を説明する経路には含まれない共通因子を抽出することができ、ユーザーに気付きの機会を提供することができる。例えば、ユーザーが経験上関係性を有するものと考えて入力した原因側物性パラメータと結果側物性パラメータとの間の関係性が探索結果に含まれていない場合に、当該原因側と結果側の物性パラメータ間には理論的に説明することができる関係性はなく、共通因子が変化することによって疑似的に関係性があるように観測されたに過ぎなかった可能性について、ユーザーに気付きの機会を提供することができる。
〔4〕<複数の物性パラメータについての仕様を同時に満たす設計>
〔1〕項の探索システム(10)において、前記探索制御部は、前記探索目標と合わせて複数の物性パラメータが入力されたときに、そのうちの任意の1つを原因側物性パラメータとし他の1つを結果側物性パラメータとする1以上の組み合わせについて規定される、前記第1探索制御命令を含む第1の探索制御命令群と前記第2探索制御命令を含む第2の探索制御命令群とを、前記グラフ探索部に供給する。ここで、前記第1の探索制御命令群は、前記複数の物性パラメータのうちの任意の1つである前記原因側物性パラメータに対応するノードから、前記他の1つである結果側物性パラメータに対応するノードに至る経路を探索させる1以上の探索制御命令である。また、前記第2の探索制御命令群は、入力された前記複数の物性パラメータのそれぞれに対応するノードに所定範囲内で到達する複数のノードからなる複数の部分グラフを出力させる複数の探索制御命令である。
前記グラフ探索部は、前記第1の探索制御命令群を実行した結果である経路の和集合を前記第1探索結果とし、前記第2の探索制御命令群を実行した結果である複数の部分グラフ(52,53,54)を前記第2探索結果として、それぞれ出力する(図8、図9)。
前記探索結果合成部は、前記第1と第2探索結果とを合成して、前記第1探索結果に含まれるノードに対応する物性パラメータ、または、前記複数の部分グラフに含まれ前記第1探索結果に含まれないノードに対応する物性パラメータを出力する。
これにより、複数の物性パラメータについての仕様を同時に満たす設計を支援することができる。達成すべき仕様が規定されている複数の物性パラメータが、「複数仕様の同時充足」という探索目標と合わせて入力された場合に、第1探索結果に含まれるノードに対応する物性パラメータは、入力された複数の物性パラメータのうちの少なくとも2つを同時に制御することができる物性パラメータの候補である。このような制御は、上記少なくとも2つの物性パラメータが同時に制御されることから従属制御型と呼ばれる。候補として出力される物性パラメータは、入力された複数の物性パラメータのうちの関係性を有する物性パラメータ対に対応するノード間の経路の途中にあるノードに対応する。そのため、候補として出力される物性パラメータを適切に制御することによって、その物性パラメータに対応するノードを含む経路に対応する関係性を有する2つの物性パラメータ(上記物性パラメータ対)を、同時に制御することができる可能性がある。
一方、第2探索結果を構成する複数の部分グラフに含まれ前記第1探索結果に含まれないノードに対応する物性パラメータは、入力された複数の物性パラメータのうちの複数を同時に変化させることなく、1つの物性パラメータのみを制御するのに適した物性パラメータである可能性がある。このような物性パラメータは、それぞれの制御の対象とする物性パラメータがそれぞれ異なることから、独立制御型と呼ばれる。入力された複数の物性パラメータにトレードオフの関係にある2つの物性パラメータが含まれているときに、それぞれを独立して制御することによって、トレードオフを回避することができ、その結果、複数の仕様を同時に満たす設計に資する候補を提示することができる。
〔5〕<グラフ生成部を含む探索システム>
〔1〕項から〔4〕項のうちのいずれか1項に記載される探索システム(10)において、前記探索システムは、物性関係性データベース(1)とグラフ生成部(2)とをさらに備える(図11)。
前記物性関係性データベースは、互いに関係性を有する物性パラメータの複数のパラメータ対を記憶し、前記グラフ生成部は、前記パラメータ対に含まれる複数の物性パラメータをノードとし、前記パラメータ対に対応するノード間をエッジとすることにより、前記物性関係性グラフを生成する。
これにより、物性関係性グラフを探索システム内で生成することができる。
〔6〕<原因側から結果側に至る経路に含まれない物性パラメータを抽出する探索方法>
本願において開示される代表的な実施の形態は、メモリ上に展開される物性関係性グラフ(図1の3)を対象として前記メモリにアクセス可能な計算機(図10の101)上で実行される探索方法であって、以下のように構成される(図12)。
前記物性関係性グラフは、複数の物性パラメータにそれぞれ対応する複数のノードと、互いに関係性を有する複数の物性パラメータ対に対応する一対のノード間をそれぞれ接続するエッジとによって構成される。
前記探索方法は、探索制御ステップ(S2)と、グラフ探索ステップ(S3−1〜S3−n)と、探索結果合成ステップ(S4)とを含む。
前記探索制御ステップは、入力(S1)される原因側及び結果側物性パラメータと探索目標とに基づいて、前記グラフ探索ステップに対して、第1探索制御命令と第2探索制御命令とを供給する。
前記グラフ探索ステップは、前記第1探索制御命令に応じて、前記物性関係性グラフを探索して、前記原因側物性パラメータに対応する第1ノードから、前記結果側物性パラメータに対応する第2ノードに至る経路を探索して第1探索結果を出力し(S3−1)、前記第2探索制御命令に応じて前記探索目標に基づく探索を行って第2探索結果を出力する(S3−2)。
前記探索結果合成ステップは、前記第1及び第2探索結果を前記探索目標に基づいて合成して出力する(S4,S5)。
これにより、物性の関係性に基づいて生成されたグラフの経路探索を行う探索方法において、2つの物性パラメータの関係性に対応する経路には含まれるノードに限らず周辺のノードを含め、対応する物性パラメータのうち、ユーザーにとって有益な物性パラメータを探索目標に応じて提示することが可能となる。
〔7〕<トレードオフの回避>
〔6〕項の探索方法において、前記第2探索制御命令は、前記グラフ探索ステップで実行されることにより、前記第2ノードに到達する所定の範囲内のノードを抽出し、抽出されたノードよりなる部分グラフ(22)を前記第2探索結果として前記グラフ探索ステップで出力し、前記探索結果合成ステップは、前記第1及び第2探索結果(21,22)を合成することにより、前記部分グラフに含まれ、前記第1探索結果に含まれないノードに対応する物性パラメータを出力する(図2〜4)。
これにより、〔2〕項と同様に、原因側物性パラメータと結果側物性パラメータとの間にトレードオフがあるときに、そのトレードオフを回避できる可能性について、ユーザーに提示することができる。
〔8〕<隠れた共通因子の抽出>
〔6〕項の探索方法において、前記物性関係性グラフは、原因側物性パラメータに対応するノードから結果側物性パラメータに対応するノードへの方向性を持った有向グラフであり、前記探索制御ステップは、前記グラフ探索ステップに対して、第3探索制御命令をさらに供給し、前記グラフ探索ステップは、前記第3探索制御命令に応じて、前記物性関係性グラフを探索して、前記探索目標に基づく探索を行って第3探索結果を出力する。
前記第2探索制御命令は、前記グラフ探索ステップで実行されることにより、前記第1ノードに到達する第1の範囲内の始点側のノードを抽出し、抽出されたノードよりなる第1部分グラフ(32)を前記第2探索結果として前記グラフ探索ステップで出力させる。前記第3探索制御命令は、前記グラフ探索ステップで実行されることにより、前記第2ノードに到達する第2の範囲内の始点側のノードを抽出し、抽出されたノードよりなる第2部分グラフ(33)を前記第3探索結果として前記グラフ探索ステップで出力させる(図5,6)。
前記探索結果合成ステップは、前記第1、第2及び第3探索結果(31,32,33)を合成することにより、前記第1及び第2部分グラフに共通に含まれ、前記第1探索結果に含まれないノードに対応する物性パラメータを出力する。
これにより、〔3〕項と同様に、ユーザーが入力した原因側物性パラメータと結果側物性パラメータとの間の関係性を説明する経路には含まれない共通因子を抽出することができ、ユーザーに気付きの機会を提供することができる。
〔9〕<複数の物性パラメータについての仕様を同時に満たす設計>
〔6〕項の探索方法において、前記探索制御ステップは、前記探索目標と合わせて複数の物性パラメータが入力されたときに、そのうちの任意の1つを原因側物性パラメータとし他の1つを結果側物性パラメータとする1以上の組み合わせについて規定される、前記第1探索制御命令を含む第1の探索制御命令群と前記第2探索制御命令を含む第2の探索制御命令群とを、前記グラフ探索ステップに供給する。ここで、前記第1の探索制御命令群は、前記複数の物性パラメータのうちの任意の1つである前記原因側物性パラメータに対応するノードから、前記他の1つである結果側物性パラメータに対応するノードに至る経路を探索させる1以上の探索制御命令である。また、前記第2の探索制御命令群は、入力された前記複数の物性パラメータのそれぞれに対応するノードに所定範囲内で到達する複数のノードからなる複数の部分グラフを出力させる複数の探索制御命令である。
前記グラフ探索ステップは、前記第1の探索制御命令群が前記グラフ探索部で実行された結果である経路の和集合を前記第1探索結果とし、前記第2の探索制御命令群が前記グラフ探索ステップで実行された結果である複数の部分グラフを前記第2探索結果として、それぞれ出力する。
前記探索結果合成ステップは、前記第1と第2探索結果とを合成して、前記第1探索結果に含まれるノードに対応する物性パラメータ、または、前記複数の部分グラフに含まれ前記第1探索結果に含まれないノードに対応する物性パラメータを出力する。
これにより、〔4〕項と同様に、複数の物性パラメータについての仕様を同時に満たす設計を支援することができる。
〔10〕<グラフ生成ステップを含む探索方法>
〔6〕項から〔9〕項のうちのいずれか1項に記載される探索方法において、前記探索方法は、グラフ生成ステップをさらに備え(図示を省略)、前記グラフ生成ステップは、互いに関係性を有する物性パラメータの複数のパラメータ対を前記メモリに記憶する、物性関係性データベースを参照して、前記パラメータ対に含まれる複数の物性パラメータをノードとし、前記パラメータ対に対応するノード間をエッジとすることにより、前記物性関係性グラフを生成する。
これにより、〔5〕項と同様に、物性関係性グラフを探索システム内で生成することができる。
2.実施の形態の詳細
実施の形態について更に詳述する。
〔実施形態1〕
図1は、実施形態1に係る探索システムの構成例を示すブロック図である。
探索システム10は、物性関係性グラフ3とグラフ探索部4とユーザーインターフェース5とを備える。
物性関係性グラフ3は、互いに関係性を有する物性パラメータの複数の対によって構成されたグラフであり、個々の物性パラメータをそれぞれ1個のノードに対応付け、関係性を有する対に対応するノード間がエッジで接続されている。このとき、互いに関係性を有する物性パラメータ対は、如何なる分野で知られている関係性であっても特に排除される必要はなく、できる限り多くの技術分野から収集されるとよい。また、科学的根拠に基づいた関係性、即ち、理論的に説明された関係性に基づくものだけではなく、理論的な説明が未だなされておらず、または、定式化されていない段階であっても、実験データから明確な相関が認められることによって、関係性の存在が知られている物性パラメータの対を含めることもできる。なお、「理論的に説明された関係性」には、定理や公式のように定式化された関係性の他、相関の有無や相関係数の正負(一方が増加するときに他方も増加するか減少するかなど)が説明されている半定量的、あるいは、定性的な関係性までが広く含まれてよい。
グラフ探索部4は、入力される探索制御命令(「探索式」と称してもよい)に基づいて、物性関係性グラフ3内の経路探索を行って抽出した経路情報を出力し、または、物性関係性グラフ3から入力された探索制御命令に規定される探索条件に合致する部分グラフを生成して出力する。グラフ探索部4には、グラフ理論に基づく種々の経路探索アルゴリズムを適用することができる。ユーザーは、ユーザーインターフェース5を介して探索式を入力し、探索結果を得ることができる。例えば、探索式に始点と終点を指定して、物性関係性グラフ3内の経路を探索してその経路を探索結果として出力することができる。また、探索条件として、始点または終点と、その始点からまたはその終点までの経路長条件とを指定して、物性関係性グラフ3から当該始点または終点を中心とする当該経路長条件に合致した部分の部分グラフを、探索結果として出力することもできる。
これにより、探索システム10は、複数の物性パラメータの任意の組合せのうち、既に知られている関係性に基づいて、有意な関係性を有する物性パラメータの未知の組合せを探索することができる。互いに異なる技術分野においてのみ知られていた関係性を、一つの物性関係性グラフ3に統合して表すことによって、それぞれのエッジに対応する関係性がどの技術分野で知られていたかに関わらず、グラフ全体を対象とした経路探索を行うことができる。単純にエッジの有無のみに基づく経路を探索することができるため、多くの分野を横断的に探索することができる。その結果、物性パラメータの既に知られた関係性に留まらず、有意な関係性を有する未知の組合せをも発見することができる。なお、「グラフ」とは、複数のノードとそれらを接続する複数のエッジを有し、全てのノードがエッジによって直接または間接に接続されている範囲を意味し、複数のグラフ(部分グラフ)の集合であってもよい。また、物性関係性グラフ3は、原因側物性パラメータに対応するノードから結果側物性パラメータに向かう方向性を有するエッジで構成される、有向グラフであると好適である。物性パラメータ対の関係性は必ずしも双方向で定義できるとは限らないためである。ただし、探索システムとしては無向グラフを採用することもできる。探索アルゴリズムが単純化されるメリットがある一方で、現実には因果関係のない方向での関係性を含む経路が抽出される恐れがある。このような場合には、因果関係の存在しない方向での関係性を含む経路を後段で排除する後処理を追加することによって解決され得る。
ユーザーインターフェース5は、探索制御部6と探索結果合成部7とを含む。ユーザーが入力する探索式は、通常、そのままグラフ探索部4に入力され、その探索式についての探索結果は、そのまま探索装置10から出力される。本発明では、グラフ探索部4において、複数の探索制御命令のそれぞれについて物性関係性グラフ3を探索し、得られる複数の探索結果に基づいて、ユーザーにとって有益である可能性がある物性パラメータを出力できるように構成されている。
ユーザーインターフェース5には、原因側及び結果側物性パラメータと探索目標が入力される。ここで探索目標には、トレードオフの回避、隠れた共通因子の発見、など、単一の探索式(探索制御命令)で抽出することができないような、一種抽象的な目標が含まれてよい。
探索制御部6は、入力された原因側及び結果側物性パラメータと探索目標とに基づいて、グラフ探索部4に対して、複数の探索制御命令(探索式)を順次発行して、グラフ探索部4にグラフ探索を実行させ、探索結果合成部7は、その結果得られた複数の探索結果を合成することにより、入力された探索目標に合致する可能性のあるノード(物性パラメータ)の候補を出力する。順次発行される探索条件(探索制御命令)には、原因側物性パラメータに対応するノードから結果側物性パラメータに対応するノードに至る経路を探索して探索結果を出力させる探索制御命令が含まれる。このときの探索制御命令を第1探索制御命令と呼び、探索結果を第1探索結果と呼ぶこととする。順次発行される探索条件(探索制御命令)にはさらに少なくとも1個の探索制御命令が含まれ、これを第2探索制御命令と呼ぶ。その探索制御命令を実行した探索結果を第2探索結果と呼ぶこととする。探索結果合成部7は、第1探索結果と第2探索結果をはじめとする複数の探索結果を、ユーザーインターフェース5に入力された探索目標に応じて合成して出力する。
これにより、物性の関係性に基づいて生成されたグラフの経路探索を利用する探索システム10において、2つの物性パラメータの関係性に対応する経路に含まれるノードに限らず周辺のノードを含め、対応する物性パラメータのうち、ユーザーにとって有益な物性パラメータの提示が可能となる。
なお、第1探索制御命令、第2探索制御命令を含む複数の探索制御命令の実行順序は任意である。複数の探索制御命令の一部または全部を同時に並列して実行してもよい。上の説明で「順次」「次に」等と表現したのは一例に過ぎない。このことは本明細書全体に共通する。
<探索目標:トレードオフの回避>
探索目標を「トレードオフの回避」とした場合の、探索システム10の動作について説明する。
材料研究において、ある特性を持つ材料を特定しようするときに、ユーザーはしばしばトレードオフに直面する。2つの物性値のうちの一方を目標に近づける方向で制御するのに伴って、他方の物性値が目標から遠ざかる方向に変化してしまう場合である。両方の物性値がともに目標とする仕様を満たすように制御するためには、トレードオフを回避する制御方法を見出す必要がある。
ユーザーから原因側及び結果側物性パラメータとともに、探索目標として「トレードオフの回避」が入力されたとき、探索制御部6は、グラフ探索部4に対して第1及び第2探索制御命令を順次発行する。第1探索制御命令は、原因側物性パラメータに対応するノードから結果側物性パラメータに対応するノードに至る経路の探索である。第2探索制御命令は、結果側物性パラメータに対応するノードに到達する所定の範囲内にあるノードを探索して、それらのノードからなる部分グラフを出力する探索制御命令である。
探索結果合成部7は、上記部分グラフに含まれ、第1探索制御命令の探索結果である経路に含まれないノードに対応するノードに対応する物性パラメータを出力する。
これにより、原因側物性パラメータと結果側物性パラメータとの間にトレードオフがあるときに、そのトレードオフを回避できる制御に寄与する物性の候補をユーザーに示すことができる。抽出された物性パラメータによれば、原因側物性パラメータを変化させることなく、結果側物性パラメータを制御することができる可能性があるからである。
なお、2つの物性パラメータが双方向に関係性をもってトレードオフを構成している場合には、原因側と結果側を入れ替えて上述の動作を繰り返すとよい。いずれが原因側か結果側かユーザーが判断できない場合も同様である。さらには、複数の物性パラメータが複雑なトレードオフの関係を構成している場合には、トレードオフの関係になっている2つずつの物性パラメータの組み合わせに分けて、上述の動作を繰り返すとよい。
図を引用した例を示しながらさらに詳しく説明する。
図2は、物性関係性グラフ3を例示する模式図である。それぞれが物性パラメータに対応づけられているノードA〜N(IとJを除く)と、互いに関係性を有する物性パラメータ対に対応するノード間をつなぐエッジからなるグラフである。説明のために、現実の物性パラメータとの対応づけのない、小規模な例としている。
ここでは、ノードAとBに対応する物性パラメータ間にトレードオフがあり、それを回避するための探索動作を例にとって、探索システム10の動作を説明する。
ユーザーが原因側及び結果側物性パラメータと探索目標として、「ノードA」、「ノードB」および「トレードオフの回避」を入力する。「ノードA」と「ノードB」はそれぞれ原因側及び結果側物性パラメータに対応している。本明細書では、物性パラメータと対応するノードを概ね同義として説明する場合があることをご理解いただきたい。例えば、「ノードAに対応する物性パラメータとノードBに対応する物性パラメータの間にトレードオフがある」ことは、「ノードA−B間にトレードオフがある」と簡略化して表現する場合があり、「ノードAに対応する物性パラメータとノードCに対応する物性パラメータの間に関係性がある」ことは、「ノードA−C間に関係性がある」と簡略化して表現する場合がある。
ユーザーから原因側及び結果側物性パラメータと探索目標として、「ノードA」、「ノードB」および「トレードオフの回避」が入力されたとき、探索制御部6は、グラフ探索部4に対して、複数の探索制御命令を発行する。探索目標が「トレードオフの回避」である場合、原因側物性パラメータに対応するノードから結果側物性パラメータに対応するノードに至る経路を探索して探索結果を出力させる探索制御命令である、「ノードAからノードBに至る経路探索」が第1探索制御命令として発行され、その結果は第1探索結果とされる。
図3は、図2に示した物性関係性グラフ3を探索した結果を例示する説明図である。原因側及び結果側物性パラメータであるノードAとノードBが二重線の枠線を持つ円で示され、ノードAからノードBに至る経路が太線のエッジと太線を枠線とするノードで示される。経路探索では所定の経路長以下の経路に絞って、探索結果として出力される。図3では経路長が2エッジ以下である経路が第1探索結果21として出力されている。
探索制御部6は、結果側物性パラメータに対応するノードに到達する所定の範囲内にあるノードを探索して、それらのノードによる部分グラフを出力する探索制御命令を、第2探索制御命令として発行する。図3には、経路長が2エッジ以内でノードBに到達するノードが探索され、その結果である部分グラフが第2探索結果22として示されている。
探索結果合成部7は、上記第2探索結果22である部分グラフに含まれ、第1探索制御命令の探索結果(第1探索結果21)である経路に含まれないノードに対応する物性パラメータを出力する。図3の例では、第2探索結果のグラフから第1探索結果のグラフを除去するグラフ演算を行った結果、ノードGとMとHが抽出される。探索システム10はノードGとMとHに対応する物性パラメータを、結果として出力する。
ノードHからは、ノードAからBに至る経路を経由せずに、ノードBに到達するエッジがあるので、ノードHに対応する物性パラメータを制御することによって、ノードAに対応する物性パラメータを変化させることなく、ノードBに対応する物性パラメータを変化させることができる可能性がある。ノードGとMを起点とする場合についても同様である。また、ノードGとMを起点とする場合にはノードHを経由する必要があることがわかる。ただしこれは、可能性に留まる。ノードHに対応する物性パラメータを制御したとき、ノードH−M−D−Aの経路に対応する関係性も存在するので、その関係性による影響力が強ければ、ノードHに対応する物性パラメータを制御したときにノードAに対応する物性パラメータを変化させてしまう可能性もあり、その増減の方向が所望の方向とは逆であれば、トレードオフを回避することはできないからである。しかしながら、トレードオフを発生させている経路とは異なる制御経路を示すことにより、トレードオフを回避する方法の候補がユーザーに示されることとなる。
なお、図3を引用して説明したこの例では、ノードGとMに対応する物性パラメータもその候補として出力される。このうちノードMについては、ノードM−H−Bの経路での制御と、ノードM−K−E−Bの経路での制御のいずれの関係性が強いかによって、ノードMに対応する物性パラメータを制御することが現実的な解決策となる可能性もある。実際には、実用上の制御可能性、制御の容易性、他の物性への影響やコストなどが総合的に検討されることとなるが、トレードオフを回避することができる可能性をもった候補が示される意義は大きい。
以上は、ノードAを原因側、ノードBを結果側として説明したが、原因側と結果側を特定することができないトレードオフについては、原因側と結果側を入れ替えた検討を加えればよい。
さらに具体例を示す。図4は、実際の物性関係性グラフ3を探索した結果を例示する説明図である。図4は、熱電材料の性能を規定するゼーベック係数、電気伝導率、熱伝導率の他、それらとの関係性を有する物性パラメータである、温度による電位差、フェルミ分布関数、電子状態密度、キャリア濃度、移動度、電子の有効質量、電子熱伝導率、格子熱伝導率、及びフォノン散乱のそれぞれに対応するノードを含む物性関係性グラフ3である。関係性の有無は対応するエッジの有無で図4に例示されているとおりであるが、明細書での説明は省略する。
ここで、ゼーベック係数と電気伝導率とはトレードオフの関係にあることが知られている。ユーザーが、ゼーベック係数の変化を最小限に抑えながら電気伝導率を向上するようなトレードオフの回避を志向した場合、原因側物性パラメータとして「ゼーベック係数」を、結果側物性パラメータとして「電気伝導率」を、探索目標として「トレードオフの回避」を、探索システム10に入力する。
探索制御部6から発行される第1探索制御命令によりグラフ探索が行われ、「ゼーベック係数」に対応するノードから「電気伝導率」に対応するノードに至る経路として、直接接続されているエッジと、熱電材料の性能を経由する経路と、温度差による電位差、電子状態密度、キャリア濃度を経由する経路とが、第1探索結果21として抽出される。次に、探索制御部6から発行される第2探索制御命令により、「電気伝導率」に対応するノードに到達する部分グラフが、第2探索結果22として抽出される。第2探索結果22として抽出された部分グラフは、「電気伝導率」まで2エッジ以内のノードによって構成される部分グラフである。探索結果合成部7により探索結果の合成が行われ、第2探索結果22に含まれるノード、エッジのうち、第1探索結果21に含まれない、「移動度」と「電子の有効質量」と「電子熱伝導率」とが出力される。
これにより、ゼーベック係数と電気伝導率との間のトレードオフを回避する方法の候補が示される。即ち、移動度及び/または電子の有効質量の値が適切な材料を選ぶことにより、ゼーベック係数を変化させることなく電気伝導度についての目標仕様を満足するような、トレードオフを回避した材料設計の可能性があることがユーザーに示される。電子熱伝導率の値が適切な材料を選ぶことにより、ゼーベック係数を変化させることなく電気伝導度についての目標仕様を満足するような、トレードオフを回避した材料設計の可能性があることもまた、ユーザーに示される。ユーザーは、2つの可能性を検討して、自身の条件により適した材料設計を採用することができる。
さらに、原因側と結果側を入れ替えて、原因側物性パラメータとして「電気伝導率」、結果側物性パラメータとして「ゼーベック係数」、探索目標として「トレードオフの回避」を、それぞれ探索システム10に入力した探索を行うとより好適である。「ゼーベック係数」と「電気伝導率」の間にトレードオフの関係を発現させているメカニズムが上述とは逆の場合や双方向の場合を想定した、回避方法の候補が示されることとなるからである。
<探索目標:隠れた共通因子の抽出>
探索目標を「隠れた共通因子の抽出」とした場合の、探索システム10の動作について説明する。
材料研究においては、経験的に相関があることが知られているものの理論的に説明されていない、物性パラメータ間の相関関係が、しばしば存在する。このような物性パラメータについて、本探索システム10における経路探索を行うことによって、理論的に説明することができる関係性を見出すためのヒントが得られる。一方、そのような関係性を説明することができる経路が見いだされない場合もあり得る。
本発明では、関係性を説明することができる経路がないにもかかわらず相関のある複数の物性パラメータを共通に変動させる原因となっている物性パラメータを、「隠れた共通因子」と呼び、その隠れた共通因子である可能性のある物性パラメータを候補として出力することを、「隠れた共通因子の抽出」という一つの探索目標と位置付けている。
ユーザーから原因側及び結果側物性パラメータとともに、探索目標として「隠れた共通因子の抽出」が入力されたとき、探索制御部6は、グラフ探索部4に対して第1、第2及び第3探索制御命令を発行する。原因側及び結果側物性パラメータは、経験的に相関があると考えられている物性パラメータ対である。第1探索制御命令が実行されると、グラフ探索部4は、原因側物性パラメータに対応するノードから結果側物性パラメータに対応するノードに至る経路の探索であり、経路探索の結果を第1探索結果として出力する。経験的に相関があると考えられているものの、実際には関係性がない場合には、この第1探索結果は空集合となる。第2探索制御命令が実行されると、グラフ探索部4は、原因側物性パラメータに対応するノードに到達する所定範囲内の始点側のノードを抽出し、抽出したノードよりなる部分グラフ(第1部分グラフと呼ぶ)を、第2探索結果として出力し、第2探索制御命令が実行されると、結果側物性パラメータに対応するノードに到達する所定範囲内の始点側のノードを抽出し、抽出したノードよりなる部分グラフ(第2部分グラフと呼ぶ)を、第3探索結果として出力する。
探索結果合成部7は、第1、第2及び第3探索結果を合成して、第1及び第2部分グラフに共通に含まれ、第1探索結果に含まれないノードに対応する物性パラメータを出力する。
これにより、ユーザーが入力した原因側物性パラメータと結果側物性パラメータとの間の関係性を説明する経路には含まれない共通因子を抽出することができ、ユーザーに気付きの機会を提供することができる。例えば、ユーザーが経験上関係性を有するものと考えて入力した原因側物性パラメータと結果側物性パラメータとの間の関係性が探索結果に含まれていない場合に、当該原因側と結果側の物性パラメータ間には理論的に説明することができる関係性はなく、共通因子が変化することによって疑似的に関係性があるように観測されたに過ぎなかった可能性について、ユーザーに気付きの機会を提供することができる。なお、原因側と結果側の関係を逆転させた探索を、合わせて行ってもよい。
図を引用した例を示しながらさらに詳しく説明する。
ユーザーから原因側及び結果側物性パラメータと探索目標として、「ノードA」、「ノードB」および「隠れた共通因子の抽出」が入力されたとき、探索制御部6は、グラフ探索部4に対して、複数の探索制御命令を順次発行する。探索目標が「隠れた共通因子の抽出」である場合、原因側物性パラメータに対応するノードから結果側物性パラメータに対応するノードに至る経路を探索して探索結果を出力させる探索制御命令である、「ノードAからノードBに至る経路探索」が第1探索制御命令として発行され、その結果は第1探索結果とされる。
図5及び図6は、図2に示した物性関係性グラフ3を有向グラフに変更し、探索した結果を例示する説明図である。原因側及び結果側物性パラメータであるノードAとノードBが二重線の枠線で示され、ノードAからノードBに至る経路が太線のエッジと太線を枠線とするノードで示される。物性関係性グラフ3を無向グラフとした場合には図3に示したように、A−C−F−B,A−C−F−N−B,A−N−B,A−N−F−B,A−K−E−Bが、ノードAからノードBに至る経路として探索されたが、図5に示す有向グラフの場合には、A−C−F−N−Bのみとなる。これが第1探索結果31である。
次に、図6に示すように、原因側物性パラメータに対応するノードAに到達する所定範囲内(この例では2エッジ以内)の始点側のノードを抽出し、抽出したノードよりなる部分グラフ(第1部分グラフと呼ぶ)を、第2探索結果32として出力する。また、結果側物性パラメータに対応するノードBに到達する所定範囲内(この例では2エッジ以内)の始点側のノードを抽出し、抽出したノードよりなる部分グラフ(第2部分グラフと呼ぶ)を、第3探索結果33として出力する。
探索結果合成部7は、第1、第2及び第3探索結果(31,32,33)を合成して、第1及び第2部分グラフに共通に含まれ、第1探索結果に含まれないノードK,Mに対応する物性パラメータを出力する。ノードK,Mに対応する物性パラメータは、探索目標である「隠れた共通因子」の候補として抽出される。ここで、ノードF,Nも第1及び第2部分グラフに共通に含まれる共通因子であるが、ノードAからノードBに至る経路の途中のノードであるため、この例では「隠れた」には当たらず、「隠れた共通因子」の候補から除外される例を示した。探索結果合成部7における合成段階で、「第1探索結果に含まれない」という条件を外して、「隠れた共通因子」の候補に含めて出力するように変更してもよい。A−C−F−N−Bの経路の途中ノードではあっても、ノードNからノードAへのエッジがあるため、ノードF,Nを起点としてノードAとBの両方に到達する経路が存在する。これはノードF,Nに対応する物性パラメータを制御することにより、ノードA,Bに対応する物性パラメータがともに変化することを意味している。したがって、ノードF,NがノードAからBへの経路探索で既に見つかっているノードではあっても、改めて「隠れた共通因子」の候補として抽出されてもよい。
このように、ノードK,MさらにはノードF,Nに対応する物性パラメータが、ノードA,Bに対応する物性パラメータ間に相関があるように見せかけている、隠れた共通因子の候補として出力される。
以上説明したように、隠れた共通因子の抽出を目標とした探索では、物性関係性グラフ3を有向グラフとするのが好ましいが、無向グラフとしても同様の探索を行うことができる。
図7は、物性関係性グラフ3が無向グラフである場合の、隠れた共通因子の抽出を目標とした探索を例示する説明図である。図3と同様に、原因側及び結果側物性パラメータであるノードAとノードBが二重線の枠線で示され、ノードAからノードBに至る経路が太線のエッジと太線を枠線とするノードで示されている。経路探索では所定の経路長(この例では2エッジ)以下の経路に絞って、第1探索結果として出力される。ただし、図面が煩雑となるのを避けるため第1探索結果を囲む曲線の表示は省略した。
次に、原因側物性パラメータに対応するノードAに到達する所定範囲内(この例では2エッジ以内)の始点側のノードを抽出し、抽出されたノードよりなる部分グラフ(第1部分グラフと呼ぶ)を、第2探索結果42として出力し、結果側物性パラメータに対応するノードBに到達する所定範囲内(この例では2エッジ以内)の始点側のノードを抽出し、抽出されたノードよりなる部分グラフ(第2部分グラフと呼ぶ)を、第3探索結果43として出力する。
探索結果合成部7は、第1探索結果(太線で図示)、第2及び第3探索結果(42,43)を合成して、第1及び第2部分グラフに共通に含まれ、第1探索結果に含まれないノードM及びG(三重線の枠線で強調)に対応する物性パラメータを、探索目標である「隠れた共通因子」の候補として抽出する。
物性関係性グラフ3が有向グラフである場合にくらべて、ノードF,N,Kが「隠れた共通因子」ではなく、経路上のノードとして抽出される違いはあるものの、「隠れた共通因子」の候補として出力されるノードMに加え、ノードF,N,Kも経路途中の共通因子として抽出されているので、ユーザーには気付きの機会を与えることができる。
<探索目標:複数仕様の同時充足>
探索目標を「複数仕様の同時充足」とした場合の、探索システム10の動作について説明する。
材料研究において、複数の物性パラメータについての仕様を同時に満たす設計が求められる場合がある。むしろほとんどの場合がこれに該当すると言っても過言ではない。そのような設計の過程でトレードオフに直面した場合には、上述した「トレードオフの回避」を探索目標として探索システム10を動作させることによって、ユーザーは解決のヒントを得ることができる。また、想定した関係性では因果関係を説明できないような物性パラメータの組み合わせが現れて、設計の進捗を妨げる場合には、上述した「隠れた共通因子の抽出」を探索目標として探索システム10を動作させることによって、ユーザーは解決のヒントを得ることができる。探索システム10を、「複数仕様の同時充足」を探索目標とする動作を可能とするように構成することによって、ユーザーの利便性はさらに向上する。
探索目標としての「複数仕様の同時充足」ともに、充足すべき仕様が規定されている複数の物性パラメータが、ユーザーによって入力されたとき、探索制御部6は、複数の探索制御命令をグラフ探索部4に供給して物性関係性グラフ3の探索を実行させ、その結果が入力される探索結果合成部7で入力された複数の探索結果を合成することによって、入力された探索目標の達成に資する結果をユーザーに提示する。
探索制御部6が供給する複数の探索制御命令は、第1と第2の探索制御命令群に分けられる。第1の探索制御命令群は、入力された複数の物性パラメータのうちの任意の1つを原因側物性パラメータ、他の1つを結果側物性パラメータとする1以上の組み合わせのそれぞれについて、原因側物性パラメータに対応するノードから結果側物性パラメータに対応するノードに至る経路を探索させる探索制御命令で構成される。第2の探索制御命令群は、入力された複数の物性パラメータのそれぞれに対応するノードに所定範囲内で到達する複数のノードからなる複数の部分グラフを出力させる複数の探索制御命令で構成される。ここで所定範囲とは、例えば構成するエッジ数で表される経路長を使って規定される範囲である。
グラフ探索部4は、第1の探索制御命令群を実行した結果である複数の経路を第1探索結果として出力し、第2の探索制御命令群を実行した結果である複数の部分グラフを第2探索結果として出力する。探索結果合成部7は、第1と第2探索結果とを合成して、入力された探索目標の達成に資する結果を出力する。
例えば、第1探索結果である複数の経路の和集合として合成される部分グラフに含まれるノード(「第1探索結果に含まれるノード」と呼ぶ)に対応する物性パラメータを出力する。これは従属制御型の設計において制御の起点となる物性パラメータの候補である。そのような物性パラメータは、対応するノードがある経路の起点と終点に対応する2つの物性パラメータを同時に制御することができる可能性がある。経路の起点と終点には、充足すべき仕様が規定されている複数の物性パラメータのうちの2つが対応するので、候補とされた物性パラメータは、その2つの物性パラメータの値をともに、それぞれが充足すべき仕様に近づける方向で制御することができるからである。上記の経路が起点と終点以外の中間点に、充足すべき仕様が規定されている複数の物性パラメータのうちの他の物性パラメータに対応するノードを含んでいる場合には、候補とされた物性パラメータは、起点と終点に対応する2つの物性パラメータ以外にその中間点に対応する物性パラメータも、同時に制御することができる可能性がある。
また例えば、第2の探索制御命令群を実行した結果である複数の部分グラフに含まれ第1探索結果に含まれないノードに対応する物性パラメータを出力する。これは、独立制御型の設計に寄与する可能性のある物性パラメータである。出力される物性パラメータは、入力された複数の物性パラメータのうちの複数を同時に変化させることなく、1つの物性パラメータのみを制御するのに適した物性パラメータである。
従属制御型設計と独立制御型設計について、利用することができる可能性のある物性パラメータを、それぞれの場合に分けて出力するように構成してもよいし、従属制御型か独立制御型かをユーザーが指定できるように構成してもよい。
以上のように、複数の物性パラメータについての仕様を同時に満たす設計を支援することができる。
図を引用した例を示しながらさらに詳しく説明する。
図8は、2つの物性パラメータについて規定された仕様を同時に満たすことを探索目標とした例を示す説明図である。同時に満たすべき仕様が規定された2つの物性パラメータに対応するノードAとBが二重枠線で示され、他の関連する物性パラメータに対応する複数のノードによってグラフが形成されている。
上述の第1の探索制御命令群に当たるのは、ノードAからノードBに至る経路の探索であり、エッジを太線で示した経路A−L−F−B,A−L−C−F−B,A−M−T−F−B,A−M−T−B,A−D−M−T−F−B,A−D−M−T−B,A−D−G−T−F−B,A−D−G−T−B,A−D−G−Zが抽出されて、第1探索結果としてグラフ探索部4から出力されている。
上述の第2の探索制御命令群に当たるのは、ノードAとノードBのそれぞれに到達するノード群による部分グラフを探索する探索制御命令である。2エッジ以内でノードAに到達するノードによる部分グラフ52と、同じく2エッジ以内でノードBに到達するノードによる部分グラフ53とが図示されている。
複数の物性パラメータについての仕様を同時に満たす設計には、従属制御型と独立制御型がある。
従属制御型の設計のためには、2つの物性パラメータに対応するノードA−B間の経路探索を行い、その経路上のノードを抽出する。図8の例ではノードL,C,F,M,T,D,G,Zが抽出される。これらに対応する物性パラメータのうち、変化させると物性Aの仕様と物性Bの仕様を同時に満たす方向に作用する物性パラメータが、従属制御型の設計に適する物性パラメータである。2つの物性パラメータに対応するノードA−B間の経路上のノードを抽出して、その候補として出力することができる。このとき、物性パラメータ間の関係性を、対応するエッジにその属性として付与しておくと、より好適である。例えば相関の正/負だけでもよい。ノードAとBに対応する物性パラメータをともにできる限り大きくする設計仕様があるとき、中間ノードであるGを大きくする方向に制御したときに、ノードAとBがともに増加する方向に変化することがわかれば、ノードGに対応する物性パラメータを有効な候補として出力することができる。一方、他の中間ノードTに対応する物性パラメータの値を変化させたときに、ノードAとBに対応する物性パラメータの変化の方向が逆であれば、ノードTに対応する物性パラメータは、従属制御型の設計に適する物性パラメータである可能性は低くなる。このようにエッジに量的・質的な関係性が紐づけられていれば、有効であると予想される順に優先順位付けして、ユーザーに提示することにより、利便性をさらに向上させることができる。
独立制御型の設計のためには、2つの物性パラメータに対応するノードA−B間の経路探索を行い、さらにノードAとノードBそれぞれの周辺で所定の範囲内に存在するノードを抽出する探索を行う。
図8には、ノードAの周辺でエッジ数2の範囲内にあるノードL,C,F,M,T,D,G、X,H,Jによって構成される部分グラフ52と、ノードBの周辺で同じくエッジ数2の範囲内にあるノードF,C,L,T,M,Z,G,W,Y,Eによって構成される部分グラフ53とが示される。
ノードAの周辺でエッジ数2の範囲内にあるノードのうち、ノードA−B間の経路に含まれないノードH,J,Xを抽出し、対応する物性パラメータを物性Aの仕様を満たすために制御する物性パラメータの候補として出力する。これらは、物性Aの仕様を満たすために制御しても物性Bに影響を与えない。同じようにノードBの周辺でエッジ数2の範囲内にあるノードのうち、ノードA−B間の経路に含まれないノードE,Y,Wを抽出し、対応する物性パラメータを物性Bの仕様を満たすために制御する物性パラメータの候補として出力する。これらは、物性Bの仕様を満たすために制御しても物性Aに影響を与えない。このように、物性AとBを独立に制御することができる。
図9は、3つの物性パラメータについて規定された仕様を同時に満たすことを探索目標とした例を示す説明図である。同時に満たすべき仕様が規定された3つの物性パラメータに対応するノードAとBとCが二重枠線で示され、他の関連する物性パラメータに対応する複数のノードによってグラフが形成されている。
上述の第1の探索制御命令群に当たるのは、ノードA−B間、ノードA−C間、ノードB−C間の経路探索であり、その探索結果はエッジを太線で示した複数の経路で示されている。これがグラフ探索部4から出力される上記第1探索結果である。上述の第2の探索制御命令群に当たるのは、ノードA、B、Cそれぞれに到達するノード群による部分グラフを探索する探索制御命令である。2エッジ以内でノードAに到達するノードによる部分グラフ52と、同じく2エッジ以内でノードBに到達するノードによる部分グラフ53と、同じく2エッジ以内でノードCに到達するノードによる部分グラフ54とが図示されている。
従属制御型の設計のためには、3つの物性パラメータに対応するノードA−B間、ノードA−C間、ノードB−C間の経路探索を行い、その経路上のノードを抽出する。図9の例ではノードL,F,M,T,D,G,Zが抽出される。これらのノードに対応する物性パラメータを従属制御型の設計に適する物性パラメータの候補として、ユーザーに提示することができる。
より好適には、ノードA−C間の経路のうちノードBを経由する経路上のノードを抽出する。図9の例ではノードF,M,Tである。ノードA−B間の経路のうちノードCを経由する経路上のノードも同様に抽出する。図9の例ではノードL,Fである。さらにノードB−C間の経路のうちノードAを経由する経路上のノードも同様に抽出する。図9の例ではノードL,M,Tである。抽出したノードF,M,T、ノードL,F、ノードL,M,Tに対応する物性パラメータのうち、変化させると物性A,B,Cの仕様を同時に満たす方向に作用する物性パラメータが、従属制御型の設計に適する物性パラメータである。このとき、物性パラメータ間の関係性を対応するエッジに属性として付与しておくとさらに有効である。例えば相関の正/負だけでもよい。
3つの物性パラメータに対応するノードA−B間、ノードA−C間、ノードB−C間の経路探索の際には、例えば抽出する経路の経路長を制限する方が好適である。長すぎる経路は、グラフ理論上は経路として抽出することができても、実際の物性パラメータ間の関係性を説明するには適さない経路である可能性が高いからである。図9に示す例で例えば「4エッジ以内」に制限すると、ノードA−B間、ノードA−C間、ノードB−C間の経路探索の探索結果には、ノードD,G,Zは含まれないこととなり、残りのノードL,F,M,Tに対応する物性パラメータが、従属制御型の設計に適する物性パラメータの候補として、ユーザーに提示される。
独立制御型の設計のためには、3つの物性パラメータに対応するノードA−B間、ノードA−C間、ノードB−C間の経路探索を行い、さらにノードA,B、Cそれぞれの周辺で所定の範囲内に存在するノードを抽出する探索を行う。
図9には、ノードAの周辺でエッジ数2の範囲内にあるノードL,C,F,M,T,D,G、X,H,Jによって構成される部分グラフ52と、ノードBの周辺で同じくエッジ数2の範囲内にあるノードF,C,L,T,M,Z,G,W,Y,Eによって構成される部分グラフ53と、ノードCの周辺で同じくエッジ数2の範囲内にあるノードL,A,F,T,B,V,Kによって構成される部分グラフ54とが示される。
ノードAの周辺でエッジ数2の範囲内にあるノードのうち、ノードA−B間の経路にもノードA−C間の経路にも含まれないノードH,J,Xを抽出し、対応する物性パラメータを物性Aの仕様を満たすために制御する物性パラメータの候補として出力する。これらは、物性Aの仕様を満たすために制御しても他の物性B,Cに影響を与えない。同じようにノードBの周辺でエッジ数2の範囲内にあるノードのうち、ノードA−B間の経路にもノードB−C間の経路にも含まれないノードE,Y,Wを抽出し、対応する物性パラメータを物性Bの仕様を満たすために制御する物性パラメータの候補として出力する。これらは、物性Bの仕様を満たすために制御しても物性A,Cに影響を与えない。さらにノードCの周辺でエッジ数2の範囲内にあるノードのうち、ノードC−A間の経路にもノードC−B間の経路にも含まれないノードV,Kを抽出し、対応する物性パラメータを物性Cの仕様を満たすために制御する物性パラメータの候補として出力する。これらは、物性Cの仕様を満たすために制御しても物性A,Bに影響を与えない。このように、物性AとBとCを独立に制御することができる。
ノードA−B間、ノードA−C間、ノードB−C間の経路探索について4エッジ以内の経路長に制限する例について上述したが、同じ例においては、ノードD,X,GがノードAに対応する物性Aの仕様を満たすために制御する物性パラメータの候補として出力され、ノードZ,G,W,YがノードBに対応する物性Bの仕様を満たすために制御する物性パラメータの候補として出力される。
以上は、同時に満足すべき仕様が規定された物性パラメータが2個の場合と3個の場合について説明したが、4個以上の場合であっても同様に拡張することができる。
「探索目標」は、ここに示した3例、「トレードオフの回避」、「隠れた共通因子の抽出」、「複数仕様の同時充足」に限られるものではない。探索目標ごとに、実行されるべき複数の探索制御命令と、その探索結果の合成方法を定義したライブラリを、探索システム10に備え、探索目標が入力されたときにライブラリを参照して、発行すべき探索制御命令と探索結果の合成方法を呼び出して、探索制御部6と探索結果合成部7にそれぞれ供給するように構成してもよい。ユーザーは新しい探索目標が与えられ、その探索目標を達成するために実行すべき複数の探索制御命令とその探索結果の合成方法を確立したときに、その一式をライブラリに追加することによって、知見を蓄積することができる。またこのとき、ライブラリに登録された探索目標、実行されるべき探索制御命令、探索結果の合成方法は、登録したユーザーまたは他のユーザーによって編集することができるように構成することができる。これにより、ライブラリに蓄積された知見を随時改善していくことができる。
<ハードウェア/ソフトウェア実装形態>
本発明の探索システム10は、記憶装置と計算機を備えたハードウェアシステム上に、ソフトウェアとして機能構築される。
図10は、本発明の探索システム10が実装されるハードウェアシステムの一例を示すブロック図である。
サーバー100とユーザー側のワークステーション110,120が、インターネットなどのネットワーク200に接続されている。サーバー100は、計算機101、記憶装置102、ネットワークインターフェース103、入力部104及び表示部105を有する。
ネットワーク200を介する入出力で十分であれば、入力部104及び表示部105は具備されなくても良い。ユーザー側のワークステーション110,120もそれぞれ、計算機111,121、記憶装置112,122、ネットワークインターフェース113,123、入力部114,124及び表示部115,125を有する。一方、ネットワーク200に接続されない態様で実装することもできる。サーバー100からネットワークインターフェース103を省略し、本発明の探索システム10のすべてを、計算機101、記憶装置102、入力部104及び表示部105に実装すればよい。
探索システム10の物性関係性グラフ3は記憶装置102に記憶され、グラフ探索部4は計算機101上で動作するソフトウェアである。ユーザーインターフェース5は、入力部104及び表示部105を使って同じ計算機101上で動作するソフトウェアとして実装されてもよいし、ユーザー側のワークステーション110,120の入力部114,124及び表示部115,125を使ってユーザー側の計算機111,121上で動作するソフトウェアとして実装されてもよい。また、物性関係性グラフ3がサーバー100に保管されており、ユーザー側からの求めに応じて探索の対象としてユーザー側のワークステーション110,120へ提供されてもよい。
〔実施形態2〕
探索システム10は、物性パラメータ関係性データベースとグラフ生成部とをさらに備えると好適である。
図11は、本実施形態2の探索システムの構成例を示すブロック図である。
物性パラメータ関係性データベース1は、互いに関係性を有する物性パラメータの複数のパラメータ対を記憶する。グラフ生成部2は、パラメータ対に含まれる複数の物性パラメータをノードとし、そのパラメータ対に対応するノード間をエッジとすることにより、物性関係性グラフ3を生成する。他の構成と動作は、図1等を引用して説明した実施形態1の探索システム10と同様であるので、説明を省略する。
これにより、物性関係性グラフを探索システム内で生成することができる。
〔実施形態3〕
図1、図11に例示した探索システム10は、図10に例示し上で説明したように、種々のハードウェア上に実装することができる。その探索方法は、一般に、記憶装置を備える電子計算機上で動作するソフトウェアによって実現される。
図12は、本発明の探索方法を説明するフローチャートである。本発明の探索方法は、複数の物性パラメータにそれぞれ対応する複数のノードと、互いに関係性を有する複数の物性パラメータ対に対応する一対のノード間をそれぞれ接続するエッジとによって構成され、メモリ上に展開される物性関係性グラフ3(図1)を対象として前記メモリにアクセス可能な計算機101(例えば図10)上で実行される探索方法であって、以下のように構成される。
探索方法は、入力ステップ(S1)と、探索制御ステップ(S2)と、グラフ探索ステップ(S3−1〜S3−n)と、探索結果合成ステップ(S4)と、探索結果出力ステップ(S5)とを含む。
入力ステップ(S1)では、原因側及び結果側物性パラメータと探索目標とが入力される。 探索制御ステップ(S2)は、入力された原因側及び結果側物性パラメータと探索目標とに基づいて、第1探索制御命令と第2探索制御命令を含む複数の探索制御命令を作成する。
グラフ探索ステップ(S3−1〜S3−n)では、作成された第1探索制御命令に応じて、物性関係性グラフ3を探索して、原因側物性パラメータに対応する第1ノードから、前記結果側物性パラメータに対応する第2ノードに至る経路を探索して第1探索結果を出力し(S3−1)、第2探索制御命令に応じた探索を行って第2探索結果を出力する(S3−2)。
探索結果合成ステップ(S4)は、第1及び第2探索結果を合成し、入力された探索目標に応じた探索結果を出力する(S5)。
これにより、物性の関係性に基づいて生成されたグラフの経路探索を行う探索方法において、2つの物性パラメータの関係性に対応する経路には含まれるノードに限らず周辺のノードを含め、対応する物性パラメータのうち、ユーザーにとって有益な物性パラメータの提示が可能となる。
「探索目標」については、例えば「トレードオフの回避」、「隠れた共通因子の抽出」、「複数仕様の同時充足」であって、実施形態1で説明したものと同様であるので、詳細な説明を省略する。
以上本発明者によってなされた発明を実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは言うまでもない。
1 物性パラメータ関係性データベース
2 グラフ生成部
3 物性関係性グラフ
4 グラフ探索部
5 ユーザーインターフェース
6 探索条件抽出部
7 探索結果出力部
10 探索システム
100 サーバー
110、120 ワークステーション
101、111、121 計算機
102、112、122 記憶装置
103、113、123 ネットワークインターフェース
104、114、124 入力部
105、115、125 表示部
200 ネットワーク

Claims (10)

  1. 物性関係性グラフを対象とする経路探索を行うグラフ探索部を備える探索システムであって、
    前記物性関係性グラフは、複数の物性パラメータにそれぞれ対応する複数のノードと、互いに関係性を有する複数の物性パラメータ対に対応する一対のノード間をそれぞれ接続するエッジとによって構成され、
    前記グラフ探索部は、供給された探索制御命令に応じて、前記物性関係性グラフを探索して、前記探索制御命令によって指定される探索条件に合致する経路または部分グラフを探索結果として出力することができ、
    前記探索システムは、探索制御部と探索結果合成部とをさらに備え、
    前記探索制御部は、入力される原因側及び結果側物性パラメータと探索目標とに基づいて、前記グラフ探索部に対して、前記原因側物性パラメータに対応する第1ノードから、前記結果側物性パラメータに対応する第2ノードに至る経路を探索して第1探索結果を出力させる第1探索制御命令と、前記探索目標に基づく探索を行って第2探索結果を出力させる第2探索制御命令とを前記グラフ探索部に供給し、
    前記探索結果合成部は、前記探索目標に基づいて前記第1及び第2探索結果を合成して出力する、
    探索システム。
  2. 請求項1において、前記第2探索制御命令は、前記グラフ探索部で実行されることにより、前記第2ノードに到達する所定の範囲内のノードを抽出し、抽出されたノードよりなる部分グラフを前記第2探索結果として前記グラフ探索部から出力させ、
    前記探索結果合成部は、前記第1及び第2探索結果を合成して、前記部分グラフに含まれ前記第1探索結果に含まれないノードに対応する物性パラメータを出力する、
    探索システム。
  3. 請求項1において、前記物性関係性グラフは、原因側物性パラメータに対応するノードから結果側物性パラメータに対応するノードへの方向性を持った有向グラフであり、
    前記探索制御部は、前記探索目標に基づく探索を行って第3探索結果を出力させる第3探索制御命令を前記グラフ探索部にさらに供給し、
    前記第2探索制御命令は、前記グラフ探索部で実行されることにより、前記第1ノードに到達する第1の範囲内の始点側のノードを抽出し、抽出されたノードよりなる第1部分グラフを前記第2探索結果として前記グラフ探索部から出力させ、
    前記第3探索制御命令は、前記グラフ探索部で実行されることにより、前記第2ノードに到達する第2の範囲内の始点側のノードを抽出し、抽出されたノードよりなる第2部分グラフを前記第3探索結果として前記グラフ探索部から出力させ、
    前記探索結果合成部は、前記第1、第2及び第3探索結果を合成して、前記第1及び第2部分グラフに共通に含まれ、前記第1探索結果に含まれないノードに対応する物性パラメータを出力する、
    探索システム。
  4. 請求項1において、
    前記探索制御部は、前記探索目標と合わせて複数の物性パラメータが入力されたとき、当該複数の物性パラメータのうちの任意の1つを原因側物性パラメータとし他の1つを結果側物性パラメータとする1以上の組み合わせについて規定される、前記第1探索制御命令を含む第1の探索制御命令群と前記第2探索制御命令を含む第2の探索制御命令群とを、前記グラフ探索部に供給し、
    前記第1の探索制御命令群は、前記複数の物性パラメータのうちの任意の1つである前記原因側物性パラメータに対応するノードから、前記他の1つである結果側物性パラメータに対応するノードに至る経路を探索させる1以上の探索制御命令であり、
    前記第2の探索制御命令群は、入力された前記複数の物性パラメータのそれぞれに対応するノードに所定範囲内で到達する複数のノードからなる複数の部分グラフを出力させる複数の探索制御命令であり、
    前記グラフ探索部は、前記第1の探索制御命令群を実行した結果である複数の経路を前記第1探索結果とし、前記第2の探索制御命令群を実行した結果である複数の部分グラフを前記第2探索結果として、それぞれ出力し、
    前記探索結果合成部は、前記第1と第2探索結果とを合成して、前記第1探索結果に含まれるノードに対応する物性パラメータ、または、前記複数の部分グラフに含まれ前記第1探索結果に含まれないノードに対応する物性パラメータを出力する、
    探索システム。
  5. 請求項1から請求項4のうちのいずれか1項において、
    前記探索システムは、物性関係性データベースとグラフ生成部とをさらに備え、
    前記物性関係性データベースは、互いに関係性を有する物性パラメータの複数のパラメータ対を記憶し、
    前記グラフ生成部は、前記パラメータ対に含まれる複数の物性パラメータをノードとし、前記パラメータ対に対応するノード間をエッジとすることにより、前記物性関係性グラフを生成する、
    探索システム。
  6. 複数の物性パラメータにそれぞれ対応する複数のノードと、互いに関係性を有する複数の物性パラメータ対に対応する一対のノード間をそれぞれ接続するエッジとによって構成され、メモリ上に展開される物性関係性グラフを対象として前記メモリにアクセス可能な計算機上で実行される探索方法であって、
    前記探索方法は、探索制御ステップと、グラフ探索ステップと、探索結果合成ステップとを含み、
    前記探索制御ステップは、入力される原因側及び結果側物性パラメータと探索目標とに基づいて、前記グラフ探索ステップに対して、第1探索制御命令と第2探索制御命令とを供給し、
    前記グラフ探索ステップは、前記第1探索制御命令に応じて、前記物性関係性グラフを探索して、前記原因側物性パラメータに対応する第1ノードから、前記結果側物性パラメータに対応する第2ノードに至る経路を探索して第1探索結果を出力し、
    前記グラフ探索ステップは、前記第2探索制御命令に応じて、前記物性関係性グラフを探索して、前記探索目標に基づく探索を行って第2探索結果を出力し、
    前記探索結果合成ステップは、前記第1及び第2探索結果を前記探索目標に基づいて合成して出力する、
    探索方法。
  7. 請求項6において、前記第2探索制御命令は、前記グラフ探索ステップで実行されることにより、前記第2ノードに到達する所定の範囲内のノードを抽出し、抽出されたノードよりなる部分グラフを前記第2探索結果として前記グラフ探索ステップで出力させ、
    前記探索結果合成ステップは、前記第1及び第2探索結果を合成することにより、前記部分グラフに含まれ、前記第1探索結果に含まれないノードに対応する物性パラメータを出力する、
    探索方法。
  8. 請求項6において、前記物性関係性グラフは、原因側物性パラメータに対応するノードから結果側物性パラメータに対応するノードへの方向性を持った有向グラフであり、
    前記探索制御ステップは、前記グラフ探索ステップに対して、第3探索制御命令をさらに供給し、
    前記グラフ探索ステップは、前記第3探索制御命令に応じて、前記物性関係性グラフを探索して、前記探索目標に基づく探索を行って第3探索結果を出力し、
    前記第2探索制御命令は、前記グラフ探索ステップで実行されることにより、前記第1ノードに到達する第1の範囲内の始点側のノードを抽出し、抽出されたノードよりなる第1部分グラフを前記第2探索結果として前記グラフ探索ステップで出力させ、
    前記第3探索制御命令は、前記グラフ探索ステップで実行されることにより、前記第2ノードに到達する第2の範囲内の始点側のノードを抽出し、抽出されたノードよりなる第2部分グラフを前記第3探索結果として前記グラフ探索ステップで出力させ、
    前記探索結果合成ステップは、前記第1、第2及び第3探索結果を合成することにより、前記第1及び第2部分グラフに共通に含まれ、前記第1探索結果に含まれないノードに対応する物性パラメータを出力する、
    探索方法。
  9. 請求項6において、
    前記探索制御ステップは、前記グラフ探索ステップに対して、前記探索目標と合わせて複数の物性パラメータが入力されたとき、当該複数の物性パラメータのうちの任意の1つを原因側物性パラメータとし他の1つを結果側物性パラメータとする1以上の組み合わせについて規定される、前記第1探索制御命令を含む第1の探索制御命令群と前記第2探索制御命令を含む第2の探索制御命令群とを供給し、
    前記第1の探索制御命令群は、前記複数の物性パラメータのうちの任意の1つである前記原因側物性パラメータに対応するノードから、前記他の1つである結果側物性パラメータに対応するノードに至る経路を探索させる1以上の探索制御命令であり、
    前記第2の探索制御命令群は、入力された前記複数の物性パラメータのそれぞれに対応するノードに所定範囲内で到達する複数のノードからなる複数の部分グラフを出力させる複数の探索制御命令であり、
    前記グラフ探索ステップは、前記第1の探索制御命令群を実行した結果である複数の経路を前記第1探索結果とし、前記第2の探索制御命令群を実行した結果である複数の部分グラフを前記第2探索結果としてそれぞれ出力し、
    前記探索結果合成ステップは、前記第1と第2探索結果とを合成して、前記第1探索結果に含まれるノードに対応する物性パラメータ、または、前記複数の部分グラフに含まれ前記第1探索結果に含まれないノードに対応する物性パラメータを出力する、
    探索方法。
  10. 請求項6から9のうちのいずれか1項において、前記探索方法は、グラフ生成ステップをさらに備え、
    前記グラフ生成ステップは、互いに関係性を有する物性パラメータの複数のパラメータ対を前記メモリに記憶する、物性関係性データベースを参照して、前記パラメータ対に含まれる複数の物性パラメータをノードとし、前記パラメータ対に対応するノード間をエッジとすることにより、前記物性関係性グラフを生成する、
    探索方法。
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