JP2002090816A - ファインダ装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】光源が暗い場合においてもファインダ視野内に
表示される表示部の明るさを最低限確保し常に明瞭なフ
ァインダ内の視野表示を実現し得る採光式のファインダ
装置を提供する。 【解決手段】対物光学系と接眼光学系とを有し、被写体
像を観察するためのファインダ光学系と、このファイン
ダ光学系により観察される被写体像に重畳させて観察し
得る表示部と、この表示部を照明するための照明手段
と、この照明手段からの光束を集光して上記表示部に照
射する集光手段とを有するように構成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、ファインダ装
置、詳しくは写真撮影等を行なうカメラ等に設けられ、
所望の被写体像を含む視野範囲を確認し観察すると共
に、ファインダ内に表示される視野情報等の表示部を外
光により照明するようにした採光式のファインダ装置に
関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来より、写真撮影等を行なうカメラ等
においては、所望の被写体像を含む視野範囲を確認し観
察するためのファインダ装置を具備してなるものが一般
的である。このような従来のファインダ装置としては、
対物光学系により結像された被写体像を反転光学系を介
して正立正像とし、これを接眼光学系により拡大して観
察し得るようにしたいわゆる実像式のファインダ装置が
一般的に実用化されており、またこれについての提案も
種々なされている。

【０００３】この実像式のファインダ装置におけるファ
インダ光学系は、例えば変倍動作に用いられる複数のレ
ンズを含み、被写体像を結像させるための対物レンズ
群、対物レンズ群で結像される被写体像を正立正像とす
るためのプリズム群、被写体像を観察し易い程度に拡大
する接眼レンズ群等によって構成されることが一般的で
ある。

【０００４】そして、このようなファインダ光学系とは
別に外光を採り入れる採光部（採光窓）を設け、この採
光窓から採り入れた入射光束を、所定の表示板に設けら
れる表示部（光を透過させる光透過部）に照射するよう
にし、この光透過部を通過した光束がハーフミラー部を
介して接眼レンズに入射するように構成した採光光学系
備えたもの、即ち採光式のファインダ装置についても、
従来より一般的に実用化されている。

【０００５】このような採光式のファインダ装置では、
被写体側からの入射光と表示板に設けられる光透過部を
通過した光束とがハーフミラー部において重畳されるよ
うになっており、これにより、接眼レンズから観察し得
るファインダ像は、被写体像と、これに重畳した状態の
ファインダ内表示とを明瞭に観察し得るようになってい
る。

【０００６】このように構成された従来の採光式のファ
インダ装置の採光窓は、当該ファインダ装置を適用する
装置、例えばカメラの本体部における正面や上面の所定
の部位に配置されるのが普通である。これにより、カメ
ラの正面に位置する被写体側又はカメラの上方側からの
外光をファインダ装置の内部に採り入れるようにしてい
るのが普通である。

【０００７】また、従来の採光式ファインダ装置として
は、例えば特開平５−１９６９９７号公報・特開平７−
６４１５７号公報等によって、種々の提案がなされてい
る。

【０００８】上記特開平５−１９６９９７号公報によっ
て開示されている採光式ファインダ装置は、被写体に試
行した入射面と、入射光を装置内部の視野枠板（表示
板）に向けて反射させる反射面を備えた採光プリズムを
複数有し、この採光プリズムの突出高さを被写体から隔
離する方向に順次大きくすることによって、被写体方向
からの光束を確実に補足するようにしたものである。

【０００９】また、上記特開平７−６４１５７号公報に
よって開示されている採光式ファインダ装置は、被写体
側からの光束を採光するための反射面を有するミラー部
材を装置の上部に設け、これにより採光された外光を装
置内部の視野枠部材（表示板）へと導くことで、ファイ
ンダ視野内に表示されるの表示部の最低限の明るさを確
保するようにしたものであって、同時にファインダ装置
自体の小型化を実現することができるというものであ
る。

【００１０】

【発明が解決しようとする課題】ところが、従来の採光
式ファインダ装置においては、当該装置を使用する際に
用いられ、採光窓により採り入れるべき外光の光源（例
えば野外における太陽等）の位置によっては、採光窓か
ら入射光を充分に採り入れることができない場合があ
る。このような場合には、例えばファインダ視野内に表
示されるべき表示部を明瞭に視認することが困難になっ
てしまう場合もある。

【００１１】例えばカメラの上面部に採光窓を配設した
場合には、装置の正面側の水平に近い位置に光源がある
ときには、視野内表示を充分に照明するのに必要な入射
光量を確保することができない場合もある。この場合に
は、表示部を充分に視認することができず、よって必要
な表示情報を見落としてしまうことも考えられる。

【００１２】また、光源の光量が充分にない場合には、
例え採光窓の指向する方向に光源が存在したとしても光
量が不足し、よってファインダ視野内の表示が充分な明
るさで表示されないことになる。したがって、この場合
にも表示部を充分に視認することができない状態になる
虞がある。

【００１３】また、上記特開平５−１９６９９７号公報
によって開示されている手段では、採光部自体が複雑な
構成となり、よって装置自体が大型化してしまうものと
考えられる。また、外観上も好ましいものとは言えな
い。

【００１４】そして、上記特開平７−６４１５７号公報
によって開示されている手段では、必要に応じて反射面
を操作する必要がある。そのために、使用者に煩雑な操
作を要求することなり、好ましい手段とは言えない。

【００１５】さらに、上記特開平５−１９６９９７号公
報及び上記特開平７−６４１５７号公報によって開示さ
れている手段では、いずれの場合も採光窓から入射され
る外光を集光するように構成されているわけではないの
で、例えば周囲環境が暗い場合等、場合によってはファ
インダ内表示を明瞭に視認することができない条件とな
ることもある。

【００１６】本発明は、上述した点に鑑みてなされたも
のであって、その目的とするところは、光源が暗い場合
においても、ファインダ視野内に表示される表示部の明
るさを最低限確保し、常に明瞭なファインダ内の視野表
示を実現し得る採光式のファインダ装置を提供すること
である。

【００１７】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、第１の発明によるファインダ装置は、対物光学系と
接眼光学系とを有し、被写体像を観察するためのファイ
ンダ光学系と、このファインダ光学系により観察される
被写体像に重畳させて観察し得る表示部と、この表示部
を照明するための照明手段と、この照明手段からの光束
を集光して上記表示部に照射する集光手段とを有してな
ることを特徴とする。

【００１８】また、第２の発明は、上記第１の発明によ
るファインダ装置において、上記集光手段は、凹面から
なる反射面であることを特徴とする。

【００１９】そして、第３の発明によるファインダ装置
は、被写体像を結像させる対物光学系と、 この対物光
学系により結像される被写体像を正立正像とするための
反転光学系と、被写体像を観察するための接眼光学系
と、上記反転光学系の一部を形成する光透過性反射面
と、この光透過性反射面を介して被写体像に重畳させて
観察し得る表示部と、この表示部を照明するための外光
を採光するための採光部と、この採光部からの外光を集
光して上記表示部に導くための凹面からなる反射面とを
有してなることを特徴とする。

【００２０】

【発明の実施の形態】以下、図示の実施の形態によって
本発明を説明する。本発明のファインダ装置は、例えば
写真撮影等を行なうカメラ等に用いられるものであっ
て、写真撮影等を行なうに当たり所望の撮影範囲の視野
の範囲を確認したり被写体の観察像等を確認するための
ものである。以下に示す実施の形態では、本発明のファ
インダ装置をカメラに適用した場合の例を示している。

【００２１】図１・図２は、本発明の一実施形態のファ
インダ装置が適用されたカメラを示し、図１は本カメラ
の外観を示す斜視図であり、図２は本カメラの内部構成
を示す要部ブロック構成図である。

【００２２】本実施形態のカメラ１の本体及び各種の構
成部材は、前カバー１ａ及び後カバー１ｂと、前カバー
１ａの前面に摺動自在に配設されるバリア部材１ｃとに
よって形成される外装部材により覆われている。

【００２３】本カメラ１の外装部材の周面上には、各種
の操作部材等が配置され、また内部に配設される各種の
構成部材の一部が外部に露出するようにして所定の位置
に配置されている。例えば本カメラ１の上面部には、撮
影動作を開始する際に操作する操作部材であるレリーズ
ボタン３２や撮影モードや内部時計の設定・ストロボ機
能に関する設定等、種々の設定操作等を行なうための操
作部材である複数のモード切換操作ボタン３５ａ等の操
作部材や、液晶表示装置（ＬＣＤ）等からなり撮影モー
ド情報や日時情報・カメラの状態情報等を視覚的に視認
し得るように絵・文字等の所定の形態で表示する情報表
示部材３６ａ等が配設されている。

【００２４】本カメラ１の前面には、一方の上側縁部寄
りの所定の位置にストロボ発光部２７（図２参照）の前
面を保護し、同発光部２７からの閃光を本カメラ１の前
方の被写体を含む所定の範囲に照射させるストロボ発光
窓２７ａが配置されている。

【００２５】また、カメラ１の前面の略中央部には、写
真撮影に寄与する被写体光束を透過させて本カメラ１の
内部に配置されるロール状のフイルム５（図２参照）の
露光面上に被写体像を結像させる撮影光学系２１ａがレ
ンズ鏡筒２１ｂに保持されて配置されている。

【００２６】撮影光学系２１ａの周縁部であって本カメ
ラ１の外装部材の上側縁部近傍の所定の位置には、測距
動作に寄与する測距装置の一部を構成する投光レンズ１
１及び受光レンズ１２（測距装置の詳細な構成は後述す
る）と、本実施形態のファインダ装置の一部を構成する
対物光学系（本ファインダ装置におけるファインダ光学
系については後述する。図３等を参照）の前面を覆い保
護するファインダ窓４１ａと、ファインダ装置の内部に
対して自然光を採り入れる採光部である採光窓部材４２
等が配設されている。さらに、本カメラ１の背面側にお
いて一端側の上縁部寄りの所定の位置には、撮影光学系
２１ａの変倍動作を行なわしめるときに操作するズーム
レバー４３等が配置されている。

【００２７】そして、バリア部材１ｃは、前カバー１ａ
に対して図１に示す矢印Ｘ方向に摺動自在に配設されて
いる。つまり、バリア部材１ｃが所定の方向に移動する
ことで、本カメラ１の前面に配置される主要部材、例え
ば撮影光学系２１ａ及びレンズ鏡筒２１ｂやファインダ
窓４１ａ・投光レンズ１１及び受光レンズ１２・採光窓
部材４２等の前面がバリア部材１ｃにより覆われて保護
される閉状態と、これらの部材の前面が外部に露出して
写真撮影動作を行ない得る開状態とに変化するようにな
っている。なお図１に示す状態は、バリア部材１ｃの開
状態を表わしている。

【００２８】また本カメラ１は、図２に示すように本体
内部に設けられる各種の構成部材及び各種の電気回路等
によって構成されている。本実施形態のカメラ１の本体
内部には、本カメラ１の全体的な制御を行なうための制
御手段でありＣＰＵ等によって形成される制御回路３０
が配設されており、この制御回路３０には、各種の回路
等が直接的に又は間接的に各種の構成回路等を介して電
気的に接続されている。

【００２９】即ち、制御回路３０には、フイルム５が巻
回されて収納されているフイルムパトローネ３のＤＸコ
ード等から例えばフイルムＩＳＯ感度等のフイルム情報
等を読み取るＤＸコード入力回路２と、パトローネ３よ
り送出されたフイルム５を給送するためにフイルム給送
モータ６を介してフイルム給送機構７を駆動制御するフ
イルム給送回路４と、このフイルム給送回路４によるフ
イルム給送動作中にフイルム５のパーフォレーション等
を検知して、その移動量を検知するフイルム給送状態検
知回路２４と、撮影画面の略中央部に位置する主要被写
体９までの距離を測定する測距手段であり測距装置の一
部を構成する測距回路８と、被写体９を含む被写界輝度
等を測定する測光センサ１５等によって形成されている
測光手段を構成する周囲光測定回路１４と、露光用開口
部を開閉する絞り兼用シャッタ羽根からなるセクタシャ
ッタ１７の開閉動作を行なわせる駆動機構であるプラン
ジャ１８の駆動制御を行なうシャッタ制御回路１６と、
セクタシャッタ１７の位置を検知するセクタ位置検知ス
イッチ１９と、測距回路８によって得られる被写体距離
情報等に基づいてレンズ鏡筒２１ｂの内部に保持されて
いる撮影光学系２１ａのうち焦点調節レンズをフォーカ
ス駆動機構２３を介して光軸方向に沿って移動させる駆
動モータ２２を駆動制御するモータ駆動回路２０と、焦
点調節レンズの基準位置からの移動状態を検知するレン
ズ移動状態検知回路２５と、反射傘・キセノン（Ｘｅ）
管等によって形成されるストロボ発光部２７を含むスト
ロボ装置の発光制御及び充電等を行なうストロボ回路２
６と、カメラ１の上面に配置されているレリーズボタン
３２の操作状態、即ち第１段目のオン状態（半押し状
態）又は第２段目のオン状態（全押し状態）に応答する
第１（１ｓｔ．）レリーズ検知スイッチ３３及び第２
（２ｎｄ．）レリーズ検知スイッチ３４と、複数のモー
ド切換操作ボタン３５ａ（図１参照）の操作に応答しカ
メラ１の動作モードを設定するモード設定回路３５と、
情報表示部材３６ａ（図１参照）を駆動制御する表示回
路３６と、ファインダ装置の視野範囲内の情報表示（詳
細は後述する）の制御を行なうファインダ内表示回路３
７等がそれぞれ直接的に又は間接的に電気的に接続され
ている。

【００３０】ＤＸコード入力回路２は、カメラ１の内部
にフイルムパトローネ３が装填された際に、同パトロー
ネ３の外周面上の所定の位置に例えば印刷等によって設
けられたＤＸコード等からフイルムＩＳＯ感度等のフイ
ルム情報等を読み取るようになっている。

【００３１】測距回路８は、上述したように測距装置の
一部を構成するものである。この測距装置は、投光手段
であり赤外線光束等を発光する発光手段である発光ダイ
オード（ＬＥＤ）等からなる投光素子１０と、この投光
素子１０の発光を所定の方向及び所定の範囲に向けて照
射する投光レンズ１１と、投光素子１０からの射出光束
が被写体９によって反射した反射信号光を集光する受光
レンズ１２と、光量信号手段である光検出素子（ＰＳ
Ｄ）等からなる受光素子１３等によって構成されてい
る。

【００３２】なお、測距装置の動作を簡単に説明すると
次のようになる。即ち測距回路８は、上述の１ｓｔ．レ
リーズ検知スイッチ３３からのオン信号、即ち測距動作
の開始を指示する指示信号を受けて投光素子１０を発光
駆動させ、同投光素子１０からの赤外光束を投光レンズ
１１を介して被写体９に向けて投射する。その反射信号
光は、受光レンズ１２を介して集光され、これを介して
受光素子１３によって受光される。その結果、測距回路
８は、受光素子１３による受光位置に基づいて被写体９
までの距離を演算し、所望の被写体まで距離が算出され
るのである。そして、ここで得られた被写体距離情報等
のデータ（デジタル値）は、制御回路３０に伝達され
て、所定の自動焦点調節動作がなされることになる。

【００３３】シャッタ制御回路１６は、上述したように
プランジャ１８の駆動制御を行なってセクタシャッタ１
７の開閉動作を行なわせるための回路である。セクタシ
ャッタ１７は、三角開口特性を有する絞り兼用シャッタ
となっている。

【００３４】即ちセクタシャッタ１７は、プランジャ１
８がシャッタ制御回路１６によって駆動制御が行なわれ
る際に、プランジャ１８からのオン信号によってセクタ
開口（露光用開口部）が徐々に開口される一方、同プラ
ンジャ１８からのオフ信号によって同セクタ開口（露光
用開口部）は急速に閉状態とされるようになっている。
この場合において、セクタ開口（露光用開口部）の開口
動作の開始時期は、セクタ位置検知スイッチ１９によっ
て検知されるようになっている。

【００３５】モード設定回路３５によって設定されるカ
メラの動作モードとしては、例えばストロボ撮影モード
がある。このストロボ撮影モードには、例えば被写体輝
度等の撮影条件によって自動的にストロボ光を発光させ
たりストロボ光の発光を禁止するオートストロボモード
やストロボ光の発光を被写体輝度等の撮影条件に関らず
強制的に禁止するストロボオフモード、日中の戸外等に
おいて例えば逆光条件や所望の被写体が日陰の中にある
等の撮影条件によって任意にストロボ光を発光させるた
めの日中シンクロモード等である。また、カメラの動作
モードとしては、これに限らず、連続的な撮影動作を行
なわしめるためのフイルム給送動作モードや、所定時間
の経過後に自動的にレリーズ信号を発生させるセルフタ
イマーモード・インターバルタイマーモード等、さまざ
まなものが挙げられる。

【００３６】次に、本実施形態のファインダ装置の詳細
な構成について、以下に説明する。図３・図４・図５・
図６・図７・図８・図９は、本実施形態のファインダ装
置の主な構成を示す図である。このうち図３は、本ファ
インダ装置における構成部材のうち主にファインダ光学
系を構成する部材のみを取り出して、その配置を示す斜
視図である。図４は、同様にファインダ光学系の上面
図、図５は、同ファインダ光学系の側面図である。な
お、図４における符号Ａは、対物光学系による被写体像
の結像位置を示している。図６・図７は、本ファインダ
装置の構成部材の一部であって、主に接眼光学系の近傍
の構成を示す要部斜視図である。図７は、本ファインダ
装置におけるファインダ内表示板のみを取り出して示す
拡大図である。

【００３７】また、図８・図９は、本ファインダ装置の
採光光学系の近傍の構成を示す要部側面図であって、図
８は、外部の光源が比較的高い位置にある場合の例を、
図９は、外部の光源が比較的低い位置にある場合の例
を、それぞれ示している。

【００３８】本実施形態のファインダ装置におけるファ
インダ光学系は、図３に示すように複数の対物レンズ群
及び反転光学系の一部によって形成される対物光学系
と、反転光学系の他の一部及び接眼レンズ５７によって
形成される接眼光学系とによって構成されている。

【００３９】対物レンズ群は、被写体からの光束を受け
て被写体像を形成するためのものであって、複数の光学
要素（レンズ）によって構成されている。即ち、カメラ
１の本体の所定の位置に固設される第１レンズ５１と、
光軸方向に移動自在に設けられ、撮影光学系２１ａ（図
１参照）の変倍動作に連動して所定の位置に移動する第
２レンズ５２及び第３レンズ５３とによって形成され
る。

【００４０】反転光学系は、対物レンズ群により形成さ
れる被写体像を正立正像とするために設けられているも
のであって、３つのプリズムにより形成されている。即
ち、対物光学系の一部を構成する第１プリズム５４及び
第２プリズム５５と、接眼光学系の一部を構成する第３
プリズム５６とによって形成される。このうち第１プリ
ズム５４は、アルミ蒸着等により反射面が形成されてい
る第１反射面５４ａ（図５参照）を内部に有して形成さ
れている。また、第２プリズム５５は二つの全反射面か
らなる第２反射面５５ａ及び第３反射面５５ｂ（図４・
図５参照）を、第３プリズム５６は一つの透過性反射面
（いわゆるハーフミラー）５６ａ（図３・図４参照）を
それぞれ内部に有して形成されている。

【００４１】対物光学系は、上述の第１・第２・第３レ
ンズ５１・５２・５３からなる対物レンズ群と、反転光
学系のうちの第１・第２プリズム５４・５５とによって
構成されている。

【００４２】一方、接眼光学系は、反転光学系により正
立正像とされた被写体像を観察するのに適する拡大像を
形成するために設けられているものであって、反転光学
系のうちの第３プリズム５６と、接眼レンズ（いわゆる
ルーペ）５７とによって構成されている。

【００４３】そして、各光学系を構成するそれぞれの光
学要素（レンズ・プリズム等）は、図３・図４・図５に
示すようにそれぞれが配置されている。

【００４４】ところで、本ファインダ装置には、観察像
を形成するための光学系のほかに、光束の進行方向を調
整するための第４プリズム５８が設けられている。この
第４プリズム５８は、上述の第３プリズム５６の透過性
反射面５６ａの設けられている面の外側の面に貼合され
ている。これによって、第３プリズム５６と第４プリズ
ム５８とは、透過性反射面５６ａを挟んで一体的に形成
されている。

【００４５】この第４プリズム５８の近傍には、所定の
位置に被写体の輝度を測定するための測光手段の一部を
構成する測光センサ１５と、ファインダ視野の範囲内に
所定の情報、即ちファインダ視野情報を被写体像に重畳
させて観察し得るように表示する表示手段であるファイ
ンダ内表示板６０とが配設されている。

【００４６】測光センサ１５は、第３プリズム５６の透
過性反射面５６ａを透過して直進する光束の光路上であ
って、第４プリズム５８の射出面５８ｂ上に形成される
集光レンズ５８ａに対してその受光面が対向する所定の
位置に配置されている。この集光レンズ５８ａは、透過
性反射面５６ａを透過した光束を集光し、その集光した
光束を測光センサ１５の受光面へ向けて照射するように
なっている。

【００４７】ファインダ内表示板６０は、被写体側から
の光束が第３プリズム５６に入射し、この第３プリズム
５６の透過性反射面５６ａで反射した後、接眼レンズ５
７に向けて進む光束の光軸（光路）の延長線上であっ
て、第３プリズム５６及び第４プリズム５８を挟んで接
眼レンズ５７が配置されている側とは反対側の所定の位
置に配置されている。そして、このファインダ内表示板
６０の配設される位置は、対物光学系によって形成され
る被写体像の結像位置に対し、光学的に略等価の位置と
なるように設定されている。

【００４８】以上のように第４プリズム５８は、第３プ
リズム５６の透過性反射面５６ａで反射せずに透過した
光束を測光センサ１５へと導く役目をしているのと同時
に、ファインダ内表示板６０に設けられる所定の表示部
であって光を透過させる光透過部（詳細は後述する）を
通過した光束を第３プリズム５６の透過性反射面５６ａ
上へと導き、被写体像と視野内表示とを重畳させて視認
し得るようにする役目をしている。

【００４９】図７は、上述したように本ファインダ装置
におけるファインダ内表示板のみを取り出して示す拡大
図である。このファインダ内表示板６０は、所定の位置
に所定の形態の複数の表示部である光透過部（６０ａ・
６０ｂ・６０ｃ・６０ｄ）を配設した薄板状の部材によ
って形成されている。これら複数の光透過部は、それぞ
れが光拡散面により形成されることが望ましい。これら
を光拡散面で形成することにより、当該複数の光透過部
を照明する光が拡散され、これによって表示がより明瞭
に観察され得るようになる。

【００５０】この所定の形態の光透過部は、ファインダ
内に視覚的に視認し得る形態の表示を行なってファイン
ダ視野情報を所定の手段で表示させるべく、例えば図７
に示すように文字・絵文字・記号等の所定の形態で板状
部材の一部を穿設して形成したものである。

【００５１】図７において符号６０ａは、ストロボ装置
に関する情報を表わすための表示の例であり、符号６０
ｂは、撮影動作に関する情報を表わすための表示の例で
ある。また符号６０ｃは、ファインダ視野の範囲に関す
る情報であって、ファインダ装置と撮影光学系２１ａ
（図１参照）との間に生じる視差（パララックス）に関
する情報を表わす表示の例である。そして符号６０ｄ
は、ファインダ視野の略中央部に位置し、測距動作や測
光動作を行なう際の指標となるターゲットマークを表わ
す表示の例である。光透過部の形態については、これら
の表示例に限らずこの他にも様々なものが考えられるの
は当然である。

【００５２】また、図６に示すようにファインダ内表示
板６０の前方、即ち採光窓部材４２の配設されている側
には、ファインダ内表示板６０に対向する位置に同ファ
インダ内表示板６０の複数の光透過部を電気的な発光素
子等により照明するための第１の照明手段が配置されて
いる。

【００５３】この第１の照明手段は、所定のフレキシブ
ルプリント基板６２と、このフレキシブルプリント基板
６２に実装された複数の発光素子である発光ダイオード
（以下、ＬＥＤという）６２ａ・６２ｂ・６２ｃ・６２
ｄ及びこれらを制御するファインダ内表示回路３７（図
２参照）等によって構成されている。

【００５４】この第１の照明手段は、本ファインダ装置
の内部に設けられる固定部材である視野枠部材（図示せ
ず）によって支持されるようになっている。つまり、こ
の視野枠部材の所定の位置にフレキシブルプリント基板
６２が固定支持されており、このフレキシブルプリント
基板６２にＬＥＤ６２ａ・６２ｂ・６２ｃ・６２ｄ等の
電気部材が実装されて第１の照明手段は構成されてい
る。なお図６では、図面の繁雑化を避け、フレキシブル
プリント基板６２とファインダ内表示板６０との位置関
係を明確に示すために視野枠部材の図示を省略してい
る。

【００５５】したがって、この場合において、ＬＥＤ６
２ａの発光部は、ファインダ内表示板６０の光透過部６
０ａに対向する位置に、ＬＥＤ６２ｂの発光部は、ファ
インダ内表示板６０の光透過部６０ｂに対向する位置
に、ＬＥＤ６２ｃの発光部は、ファインダ内表示板６０
の光透過部６０ｃに対向する位置に、ＬＥＤ６２ｄの発
光部は、ファインダ内表示板６０の光透過部６０ｄに対
向する位置に、それぞれ配置されている。

【００５６】そして、ＬＥＤ６２ａ・６２ｂ・６２ｃ・
６２ｄは、撮影モードや撮影動作等のそれぞれ対応する
条件によって点灯又は点滅されるように上述のファイン
ダ内表示回路３７によって制御されている。これによ
り、これらＬＥＤ６２ａ・６２ｂ・６２ｃ・６２ｄは、
それぞれが対応する光透過部６０ａ・６０ｂ・６０ｃ・
６０ｄを所定の条件により照明するように構成されてい
る。

【００５７】また、ＬＥＤ６２ｄは、ファインダ内表示
板６０の前方（カメラ１の前面寄り）の所定の位置、即
ちファインダ内表示板６０の光透過部６０ｄを照明し得
る位置に配設されている。この場合において、光透過部
６０ｄは、後述するように採光光学系（採光窓部材４
２）からの光束によっても照明されるようにしている。
そのために、ＬＥＤ６２ｄは、ＬＥＤ６２ａ・６２ｂ・
６２ｃから離間した位置に配設されている。

【００５８】なお、ＬＥＤ６２ｄは、フレキシブルプリ
ント基板６２等に実装されていると共に、このフレキシ
ブルプリント基板６２に実装されるファインダ内表示回
路３７に対しても電気的に接続されているものである
が、図６では図面の繁雑化を避けるためにその配線等の
図示は省略し、位置関係のみを示している。

【００５９】このように、本ファインダ装置におけるフ
ァインダ内表示板６０の光透過部６０ｄは、採光窓部材
４２から入射する自然光束によって常に照明される状態
にあると共に、所定の条件で点灯又は点滅制御されるＬ
ＥＤ６２ｄによって照明されるようになっている。

【００６０】フレキシブルプリント基板６２は、ファイ
ンダ内表示板６０の前面側、つまり採光窓部材４２の配
設されている側に配置されている。その形状は、ファイ
ンダ内表示板６０の一部の領域、即ち光透過部６０ｄに
対向する領域が露出するように、かつこれ以外の光透過
部６０ａ・６０ｂ・６０ｃを覆うように形成されてい
る。

【００６１】このような形状にしているのは、採光窓部
材４２から入射する自然光束によって光透過部６０ｄ以
外の光透過部６０ａ・６０ｂ・６０ｃが照明されること
を防ぎ、当該光束を遮光するためである。したがって、
フレキシブルプリント基板６２は、光透過部６０ａ・６
０ｂ・６０ｃを遮光するのと同時に、採光窓部材４２か
らの入射光束がファインダ内表示板６０の特定の光透過
部６０ｄのみを照明するように形成されている。

【００６２】また、図４・図５に示すように、このファ
インダ内表示板６０の前方、即ちカメラ１の前面（被写
体に対向する面）の側には、当該カメラ１の外部からの
自然光を採り入れて、この自然光によりファインダ内表
示板６０の光透過部６０ｄを照明するための第２の照明
手段である採光窓部材４２が配設されている。この採光
窓部材４２は、例えば磨りガラス等によって形成されて
いる。

【００６３】また、採光窓部材４２は、図６・図８・図
９に示すようにカメラ１の前部壁面（図示せず）に対し
て所定の角度で傾斜するように配置されている。

【００６４】さらに、採光窓部材４２とファインダ内表
示板６０との間の空間には、光路変換素子である反射鏡
４３が配設されている。この反射鏡４３は、凹面からな
る反射面を有する反射部材によって形成されており、そ
の反射面は、本ファインダ装置の上側に向けて配設され
ている。したがって、これにより当該反射鏡４３は、採
光窓部材４２とファインダ内表示板６０との間の空間に
配設される各種の部材、例えば上述のＬＥＤ６２ｄ等を
避けて、採光窓部材４２によって採光され装置の内部に
入射する少なくとも二方向からの入射光束をファインダ
内表示板６０の光透過部６０ｄへと導き、これを照明す
るようになっている。この場合において、少なくとも二
方向からの入射光束とは、例えば本装置の上方寄りの方
向（略垂直方向；図８の符号Ｅ方向参照）からの光束
と、本装置の前方寄りの方向（略水平方向；図９の符号
Ｆ方向参照）からの光束である。

【００６５】このように構成された本実施形態のカメラ
１におけるファインダ装置の作用を、以下に説明する。

【００６６】図８・図９は、上述したように本ファイン
ダ装置の採光光学系の近傍の構成を示す要部側面図であ
って、図８は、外部の光源が比較的高い位置にある場合
の例を、図９は、外部の光源が比較的低い位置にある場
合の例を、それぞれ示している。

【００６７】なお、外部の光源が高い位置にある場合と
は、本ファインダ装置の採光窓部材４２から装置内部に
入射する光源からの光束の入射角度が、本カメラ１の前
面に沿う面（撮影光学系の光軸Ｏに対して略直交する
面）に対して狭い角度となる場合、即ち採光窓部材４２
への入射光束が略垂直方向から入射するような場合をい
うものとする。これとは逆に、外部の光源が低い位置に
ある場合とは、採光窓部材４２からの入射光束の入射角
度が、本カメラ１の前面に沿う面に対して広い角度とな
る場合、即ち採光窓部材４２への入射光束が略水平方向
から入射するような場合をいうものとする。

【００６８】本カメラ１のファインダ装置における採光
窓部材４２によって採り入れられ、この採光窓部材４２
から当該ファインダ装置の内部に入射する外光の光束
は、図８・図９に示すように、まず反射鏡４３の側へと
進み、この反射鏡４３の凹面によって所定の方向に反射
される。この反射光は、ファインダ内表示板６０の光透
過部６０ｄの方向に進み、これを照明する。

【００６９】この場合において、例えば図８に示すよう
に外部の光源がカメラ１の上方寄りの位置にある場合
等、光源が比較的高い位置にある場合、即ち採光窓部材
４２からの入射光束の入射角度が本カメラ１の前面に沿
う面に対して狭い角度となる場合の入射光束の経路は、
次のようになる。

【００７０】採光窓部材４２を透過した入射光束は、図
８に示すように反射鏡４３の反射面（凹面）上における
採光窓部材４２寄りの部位４３ａに入射し、ここで所定
の角度の方向に反射する。すると、当該入射光束は、そ
の進行方向が変換されて、ファインダ内表示板６０の光
透過部６０ｄへと進む。これにより、光透過部６０ｄ
は、自然光等の外部の光源により照明される。

【００７１】また、図９に示すように外部の光源が比較
的低い位置にある場合、即ち採光窓部材４２からの入射
光束の入射角度が、本カメラの前面に沿う面に対して広
い角度となる場合には、その入射光束の経路は次のよう
になる。

【００７２】採光窓部材４２を透過した入射光束は、図
９に示すように反射鏡４３の反射面（凹面）上における
採光窓部材４２寄りの部位４３ｂに入射し、ここで所定
の角度の方向に反射する。すると、当該入射光束は、そ
の進行方向が変換されて、ファインダ内表示板６０の光
透過部６０ｄへと進む。これにより、光透過部６０ｄ
は、自然光等の外部の光源により照明される。

【００７３】このようにカメラ１の周囲環境が充分に明
るい環境で使用する通常の場合には、採光窓部材４２か
ら装置内部に入射する入射光束（自然光）によって光透
過部６０ｄは、常に照明されることになる。

【００７４】その一方で、カメラ１の周囲環境が暗い場
合には、外光の光源の光量が不足して、採光窓部材４２
からの光束のみでは、明瞭な情報表示を行なうことが困
難になる場合もある。このような場合には、ＬＥＤ６２
ｄを用いて光透過部６０ｄを照明する。

【００７５】つまり、周囲光測定回路１４（図２参照）
等による周囲環境の測光結果に基づいて、採光窓部材４
２からの採光が光量不足であると判断される場合は、Ｌ
ＥＤ６２ｄによる光透過部６０ｄの照明を行なうように
ＬＥＤ６２ｄが制御される。このときのＬＥＤ６２ｄの
制御は、例えば点灯動作や点滅動作等によって各種の表
示が行なわれる。これによって、単一のＬＥＤ６２ｄに
よって複数種類の情報を表示させ得る。

【００７６】また、採光窓部材４２により採光される入
射光束を反射鏡４３によって反射させて光透過部６０ｄ
へ導く際には、上述したようにその反射光束を所定の方
向へ向けて集光させるようになっている。したがって、
反射鏡４３とＬＥＤ６２ｄとを近接させて配置した場合
にも、同反射光束は、ＬＥＤ６２ｄによって妨げられる
ことなく、確実に光透過部６０ｄが照明されることにな
る。

【００７７】つまり、図８・図９に示すように採光窓部
材４２から採光され装置内部に入射する入射光束は、反
射鏡４３によって集光された後、光透過部６０ｄを照明
する。このことは、例えば次に示すようなことである。

【００７８】即ち、図８に示す光束幅Ｌ１の入射光束
は、反射鏡４３によって光束幅Ｌ２となるように集光さ
れる。これにより、単位面積当りの光量を増加させるこ
とになる。したがって、外光の光源による光量が比較的
少ないような場合であっても、ＬＥＤ６２ｄを用いるこ
となくファインダ装置におけるファインダ視野内表示を
観察し得る状態を確保している。

【００７９】［付記］上記発明の実施形態により、以下
のような構成の発明を得ることができる。

【００８０】（１） 被写体像を結像させる対物光学系
と、この対物光学系により結像される被写体像を正立正
像とするための反転光学系と、被写体像を観察するため
の接眼光学系と、上記反転光学系の一部を形成する光透
過性反射面と、この光透過性反射面を介して被写体像に
重畳させて観察し得る表示部と、この表示部を照明する
ための外光を採光するための採光部と、この採光部の拡
散面において拡散される外光を上記表示部に向けて集光
及び照射する反射面と、を有してなるファインダ装置。

【００８１】（２） 付記（１）に記載のファインダ装
置は、上記表示部に焦点を結ぶように集光する凹面から
なる反射面である。

【００８２】

【発明の効果】以上述べたように本発明によれば、光源
が暗い場合においても、ファインダ視野内に表示される
表示部の明るさを最低限確保し、常に明瞭なファインダ
内表示を実現し得る採光式のファインダ装置を提供する
ことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施形態のファインダ装置が適用さ
れたカメラの外観を示す斜視図。

【図２】図１のカメラの内部構成を示す要部ブロック構
成図。

【図３】本発明の一実施形態のファインダ装置における
構成部材のうち主にファインダ光学系を構成する部材の
みを取り出して、その配置を示す斜視図。

【図４】図３のファインダ光学系の上面図。

【図５】、図３のファインダ光学系の側面図。

【図６】図３のファインダ装置の構成部材の一部であっ
て、主に接眼光学系の近傍の構成を示す要部斜視図。

【図７】図３のファインダ装置におけるファインダ内表
示板のみを取り出して示す拡大図。

【図８】図３のファインダ装置の採光光学系の近傍の構
成を示す要部側面図であって、外部光源が比較的高い位
置にある場合の例を示す図。

【図９】図３のファインダ装置の採光光学系の近傍の構
成を示す要部側面図であって、外部光源が比較的低い位
置にある場合の例を示す図。

【図１０】本発明の一実施形態の変形例を示す図であっ
て、ファインダ装置の採光光学系の近傍の構成を示す要
部側面図。

【符号の説明】

１……カメラ １ａ……前カバー １ｂ……後カバー １ｃ……バリア部材 １４……周囲光測定回路 １５……測光センサ ２１ａ……撮影光学系 ２１ｂ……レンズ鏡筒 ３０……制御回路 ３７……ファインダ内表示回路 ４１ａ……ファインダ窓 ４２……採光窓部材（第１の照明手段） ４３……反射鏡（光路変換素子） ５１……第１レンズ（対物光学系） ５２……第２レンズ（対物光学系） ５３……第３レンズ（対物光学系） ５４……第１プリズム（対物光学系） ５５……第２プリズム（対物光学系） ５６……第３プリズム（接眼光学） ５６ａ……透過性反射面 ５７……接眼レンズ（接眼光学） ５８……第４プリズム ６０……ファインダ内表示板 ６０ａ・６０ｂ・６０ｃ・６０ｄ……光透過部 ６２……フレキシブルプリント基板 ６２ａ・６２ｂ・６２ｃ・６２ｄ……ＬＥＤ（発光ダイ
オード；第２の照明手段）

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 杉田 幸彦 東京都渋谷区幡ヶ谷２丁目43番２号 オリ ンパス光学工業株式会社内 Ｆターム(参考） 2H018 AA04 AA06 BE02 2H102 AA41 CA34

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 対物光学系と接眼光学系とを有し、被
   写体像を観察するためのファインダ光学系と、 このファインダ光学系により観察される被写体像に重畳
   させて観察し得る表示部と、 この表示部を照明するための照明手段と、 この照明手段からの光束を集光して上記表示部に照射す
   る集光手段と、 を有してなることを特徴とするファインダ装置。
2. 【請求項２】 上記集光手段は、凹面からなる反射面
   であることを特徴とする請求項１に記載のファインダ装
   置。
3. 【請求項３】 被写体像を結像させる対物光学系と、
   この対物光学系により結像される被写体像を正立正像
   とするための反転光学系と、 被写体像を観察するための接眼光学系と、 上記反転光学系の一部を形成する光透過性反射面と、 この光透過性反射面を介して被写体像に重畳させて観察
   し得る表示部と、 この表示部を照明するための外光を採光するための採光
   部と、 この採光部からの外光を集光して上記表示部に導くため
   の凹面からなる反射面と、 を有してなることを特徴とするファインダ装置。