JP2002087821A - 黒色トナー用黒色非磁性粒子粉末及び該黒色非磁性粒子粉末を用いた黒色トナー - Google Patents

黒色トナー用黒色非磁性粒子粉末及び該黒色非磁性粒子粉末を用いた黒色トナー

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Kazuyuki Hayashi
一之 林
Yusuke Shimohata
祐介 下畑
Keisuke Iwasaki
敬介 岩崎
Hiroko Morii
弘子 森井
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、深みのある黒色を有するととも
に、流動性及び耐光性に優れた黒色トナー用黒色非磁性
粒子粉末を提供する。 【解決手段】 ヘマタイト粒子粉末の粒子表面にアルコ
キシシランから生成するオルガノシラン化合物又はポリ
シロキサンが被覆されており、該被覆の少なくとも一部
に有機青色顔料が付着している平均粒子径0.06〜
1.0μmの黒色複合非磁性粒子粉末からなり、前記青
色有機顔料の付着量が前記ヘマタイト粒子粉末100重
量部に対して1〜50重量部である黒色トナー用黒色非
磁性粒子粉末である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、深みのある黒色を有す
るとともに、流動性及び耐光性に優れた黒色トナー用黒
色非磁性粒子粉末を提供する。
【0002】
【従来の技術】近年における現像方式の主なものとして
は、キャリアを必要としない一成分系現像法及び黒色ト
ナーとキャリアとを摩擦して静電潜像と反対符号の電荷
を黒色トナーに与えて、静電潜像表面に静電引力によっ
て黒色トナーを付着させ、電荷を中和することにより現
像する二成分系現像法が知られており、これらに用いら
れる黒色トナーとして、樹脂中にカーボンブラック微粒
子粉末等の黒色顔料を混合分散させて得られる複合体粒
子が広く使用されている。
【0003】前記現像法において使用する黒色トナー
は、現在、複写機の主流を占めているPPC方式の場
合、いずれも絶縁性乃至高抵抗性であることが必要であ
り、体積固有抵抗値が1×1013Ω・cm以上を有す
ることが要求される。
【0004】また、黒色トナーは、複写された線画像、
ソリッドエリア画像の黒さ、濃さの程度が高いことが要
求されている。
【0005】この事実は、日本科学情報株式会社発行
「トナー材料の開発・実用化総合技術資料集」の第27
2頁の「‥‥画像濃度が高いことは粉末現像の特徴であ
るが、後述のかぶり濃度と共に画像特性を大きく左右す
る事項である。‥‥」なる記載の通りである。
【0006】更に、現像剤の流動性は、現像機の中にお
ける現像剤の挙動を強く支配し、2成分系現像法におけ
る黒色トナーとキャリアとの摩擦帯電性、あるいは、1
成分系現像法におけるスリーブ上での黒色トナーの帯電
特性に影響を与えることが知られており、近時の画像濃
度や階調性等現像機の高画質化や高速化に伴って、黒色
トナーの流動性の向上が強く要求されている。
【0007】そして、黒色トナーの流動性の向上は、近
時における黒色トナーの小粒径化に伴って益々強く要求
されている。
【0008】この事実は、前出「トナー材料の開発・実
用化総合技術資料集」(1985年)の第121頁の
「‥‥IPC等のプリンターが巾広く展開するにつれ
て、画質の高品位化が要求される。特に高解像力、高精
細プリンターの出現が求められる。表−1に各種トナー
を用いたときの解像力の関係を示したが、小径である湿
式トナーは高解像力を出すことができる。乾式トナーを
用いて解像力を高めるためにもトナーの小径化が必要で
ある。‥‥小径トナーを用いた報告としては、8.5μ
〜11μのトナーを用いることにより、下地カブリ改
良、さらに消費量の軽減をはかる。その他、6〜10μ
のポリエステル系トナーを採用すると、高画質化、及び
帯電性の安定、現像剤寿命の改良提案もある。しかし小
径トナーを使用する際には、多くの問題を解決しなくて
はならない。製造性、粒度分布のシャープさ、流動性改
良、‥‥等が存在する。‥‥」なる記載の通りである。
【0009】また、黒色トナーは記録紙に印刷された
後、長期に亘って保存されることから、鮮明な印字面を
維持するには黒色トナーが耐光性に優れていることが要
求される。
【0010】上述した通り、黒色トナーの諸特性の向上
は強く要求されているところである。この黒色トナー
は、殊に、トナーの表面から露出した黒色顔料が、現像
特性に大きく影響することが知られており、黒色トナー
の上記諸特性と黒色トナー中に混合分散されている黒色
顔料の諸特性とは密接な関係がある。
【0011】即ち、黒色トナーの黒さ、濃さの程度は、
黒色トナーに含有されている黒色顔料の黒さ、濃さの程
度に大きく依存していることから、黒色顔料自体の黒さ
が優れていることが強く要求されている。また、黒色ト
ナーの流動性は、黒色トナー表面に露出している黒色顔
料の表面状態に大きく依存している。
【0012】現在、黒色トナーに使用する黒色顔料とし
ては、主にカーボンブラック微粒子粉末が使用されてい
る(特許第2715336号公報、特開平10−395
46号公報)。
【0013】しかし、黒色トナー用黒色非磁性粒子粉末
としてカーボンブラック微粒子粉末を使用した場合、黒
色トナーの体積固有抵抗値を1×1013Ω・cm以上
とするためにはカーボンブラック微粒子粉末の使用量に
限界があるため、十分な黒色度が得られず、流動性も十
分ではないという問題があった。
【0014】これらの事実について以下に説明する。
【0015】カーボンブラック微粒子粉末は、それ自体
導電性であるため、黒色トナーの黒色度を高めるために
多量に添加、混合して使用すると、カーボンブラック微
粒子粉末がストラクチャーを形成した状態で黒色トナー
の粒子表面に存在するため黒色トナーの体積固有抵抗値
が低下し、絶縁性乃至高抵抗性トナーとして使用できな
くなる。一方、黒色トナーの体積固有抵抗値の低下を抑
制するため、黒色トナー中のカーボンブラック微粒子粉
末の使用量を削減した場合には、黒色度が低下するばか
りでなく、カーボンブラック微粒子粉末が平均粒子径
0.010〜0.060μmと微細な粒子であることに
起因して、カーボンブラック微粒子が黒色トナーの粒子
内部に含有・埋没し、黒色トナーの粒子表面に露出する
カーボンブラック微粒子が減少するため、流動性もまた
低下する傾向にある。
【0016】更に、カーボンブラック微粒子粉末は、比
重が1.80〜1.85と非常に低いためハンドリング
しにくく、且つ、これを結着剤樹脂中に分散させて黒色
トナーとしたとき、カサ比重の低い黒色トナーしか得ら
れないために、得られた黒色トナーは飛散しやすく、
又、流動性の悪いものとなる。
【0017】そこで、黒色トナーに使用する黒色顔料と
してカーボンブラックの黒色度に匹敵する、十分な黒色
度を有する黒色非磁性粒子粉末が要求されている。
【0018】現在、非磁性粒子粉末の黒色度を向上させ
る試みとして、ヘマタイト粒子粉末又は含水酸化鉄粒
子粉末の粒子表面にアルコキシシランから生成するオル
ガノシラン化合物が被覆されており、該オルガノシラン
化合物被覆にカーボンブラックを付着させる方法(特開
平11−338191号公報)があり、また、磁性粒子
粉末の黒色度を向上させる試みとして、磁性粒子粉末
の粒子表面にカップリング剤を介して着色剤を被覆する
方法(特開昭60−26954号公報)、磁性粒子粉
末を染料で着色する方法(特開昭59−57249号公
報)等がある。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】深みのある黒色を有す
るとともに、流動性及び耐光性に優れた黒色トナー用黒
色非磁性粒子粉末は、現在最も要求されているところで
あるが、このような特性を有する黒色非磁性粒子粉末は
未だ得られていない。
【0020】即ち、前出の非磁性粒子粉末は、後出比
較例に示す通り、深みのある黒色を有するとは言い難い
ものである。
【0021】また、前出の方法は色相が良好なカラー
画像用カラートナーを得ることを目的としており、深み
のある黒色を有する黒色トナーを得ることは記載されて
いない。
【0022】 また、前出の方法を用いて非磁性粒子
粉末を着色した場合には、着色剤として染料を用いてい
るので、後出比較例に示す通り、耐光性が十分とは言い
難いものである。
【0023】そこで、本発明は、深みのある黒色を有す
るとともに、流動性及び耐光性に優れた黒色トナー用黒
色非磁性粒子粉末を得ることを技術的課題とする。
【0024】
【課題を解決する為の手段】前記技術的課題は次の通り
の本発明によって達成できる。
【0025】即ち、本発明は、ヘマタイト粒子粉末の粒
子表面にアルコキシシランから生成するオルガノシラン
化合物又はポリシロキサンが被覆されており、該被覆の
少なくとも一部に有機青色顔料が付着している平均粒子
径0.06〜1.0μmの黒色複合非磁性粒子粉末から
なり、前記青色有機顔料の付着量が前記ヘマタイト粒子
粉末100重量部に対して1〜50重量部であることを
特徴とする黒色トナー用黒色非磁性粒子粉末である(本
発明1)。
【0026】また、本発明は、本発明1のヘマタイト粒
子粉末の粒子表面が、あらかじめアルミニウムの水酸化
物、アルミニウムの酸化物、ケイ素の水酸化物及びケイ
素の酸化物より選ばれる少なくとも一種からなる中間被
覆物によって被覆されていることを特徴とする黒色トナ
ー用黒色非磁性粒子粉末である(本発明2)。
【0027】また、本発明は、ヘマタイト粒子粉末の粒
子表面にアルコキシシランから生成するオルガノシラン
化合物又はポリシロキサンが被覆され、該被覆にカーボ
ンブラックが付着されており、更に、該カーボンブラッ
ク上にアルコキシシランから生成するオルガノシラン化
合物又はポリシロキサンが被覆され、該被覆の少なくと
も一部に有機青色系顔料が付着している平均粒子径0.
06〜1.0μmの黒色複合非磁性粒子粉末からなり、
前記有機青色顔料の付着量が前記ヘマタイト粒子粉末1
00重量部に対して1〜50重量部であることを特徴と
する黒色トナー用黒色非磁性粒子粉末である(本発明
3)。
【0028】また、本発明は、本発明3のヘマタイト粒
子粉末の粒子表面が、あらかじめアルミニウムの水酸化
物、アルミニウムの酸化物、ケイ素の水酸化物及びケイ
素の酸化物より選ばれる少なくとも一種からなる中間被
覆物によって被覆されていることを特徴とする黒色トナ
ー用黒色非磁性粒子粉末である(本発明4)。
【0029】また、本発明は、本発明1乃至本発明4の
いずれかの黒色非磁性粒子粉末を用いた黒色トナーであ
る。
【0030】本発明の構成をより詳しく説明すれば、次
の通りである。
【0031】 先ず、本発明に係る黒色非磁性粒子粉末
について述べる。
【0032】本発明に係る黒色非磁性粒子粉末は、芯粒
子粉末であるヘマタイト粒子粉末の粒子表面に、アルコ
キシシランから生成するオルガノシラン化合物又はポリ
シロキサンが被覆されており、該被覆の少なくとも1部
に有機青色顔料が付着している平均粒子径0.06〜
1.0μmの黒色複合非磁性粒子粉末からなる。
【0033】本発明における芯粒子粉末は、ヘマタイト
粒子粉末である。得られる黒色非磁性粒子粉末の黒色度
を考慮すれば、黒褐色ヘマタイト粒子粉末に対して5〜
40重量%のマンガンを含有する黒褐色ヘマタイト粒子
粉末及びヘマタイト粒子粉末の粒子表面が、アルコキシ
シランから生成するオルガノシラン化合物又はポリシロ
キサンで被覆されているとともに、該被覆にカーボンブ
ラックが付着している黒色ヘマタイト粒子粉末等が好ま
しい。
【0034】ヘマタイト粒子表面にアルコキシシランか
ら生成するオルガノシラン化合物又はポリシロキサンを
介してカーボンブラックを付着させた黒色ヘマタイト粒
子粉末のオルガノシラン化合物又はポリシロキサンの被
覆量は、オルガノシラン化合物被覆ヘマタイト粒子粉
末、又は、ポリシロキサン被覆ヘマタイト粒子粉末に対
してSi換算で0.02〜5.0重量%が好ましく、カ
ーボンブラックの付着量は、該ヘマタイト粒子粉末10
0重量部に対して1〜25重量部が好ましい。
【0035】付着しているカーボンブラックは、カーボ
ンブラックの層を形成しても、部分的に付着していても
どちらでも良く、一部アルコキシシランから生成するオ
ルガノシラン化合物又はポリシロキサンが露出していて
も有機青色顔料の付着処理を行うことができる。
【0036】芯粒子粉末の粒子形状は、球状、粒状、六
面体状、八面体状及び多面体状等の球形度(平均最長径
/平均最短径)(以下、「球形度」という。)が1以上
2未満の等方性粒子が好ましく、得られる黒色非磁性粒
子粉末の流動性を考慮すれば、球状粒子及び粒状粒子が
より好ましい。
【0037】芯粒子粉末の粒子サイズは、平均粒子径が
0.055〜0.95μmが好ましく、より好ましくは
0.065〜0.75μm、最も好ましくは0.065
〜0.45μmである。
【0038】平均粒子径が0.95μmを超える場合に
は、得られる黒色非磁性粒子粉末が粗大粒子となり着色
力が低下する。0.055μm未満の場合には、粒子の
微細化による分子間力の増大により凝集を起こしやすい
ため、芯粒子粉末の粒子表面へのアルコキシシラン又は
ポリシロキサンによる均一な被覆処理及び有機青色顔料
による均一な付着処理が困難となる。
【0039】芯粒子粉末の粒子径の幾何標準偏差値は
2.0以下が好ましく、より好ましくは1.8以下、最
も好ましくは1.6以下である。幾何標準偏差値が2.
0を超える場合には、存在する粗大粒子によって均一な
分散が阻害されるため、芯粒子粉末の粒子表面へのアル
コキシシラン又はポリシロキサンによる均一な被覆処理
及び有機青色顔料による均一な付着処理が困難となる。
幾何標準偏差値の下限値は1.01であり、1.01未
満のものは工業的に得られ難い。
【0040】芯粒子粉末のBET比表面積値は0.5m
/g以上が好ましい。BET比表面積値が0.5m
/g未満の場合には、芯粒子が粗大であったり、粒子相
互間で焼結が生じた粒子となっており、得られる黒色非
磁性粒子は粗大粒子となり着色力が低下する。黒色非磁
性粒子粉末の着色力を考慮すると、BET比表面積値
は、より好ましくは1.0m/g以上、最も好ましく
は1.5m/g以上である。芯粒子粉末の粒子表面へ
のアルコキシシラン又はポリシロキサンによる均一な被
覆処理及び有機青色顔料による均一な付着処理を考慮す
ると、その上限値は190m/gが好ましく、より好
ましくは140m/g、最も好ましくは90m/g
である。
【0041】芯粒子粉末の流動性は、流動性指数が25
〜42程度である。各種形状の芯粒子粉末のうち、球状
を呈した粒子粉末は流動性が優れているものであるが、
それでも流動性指数は30〜42程度である。また、前
記カーボンブラックが付着している黒色ヘマタイト粒子
粉末の流動性は、流動性指数が43〜60程度である。
【0042】芯粒子粉末の色調は、L値の下限値が
7.0、上限値は28.0が好ましく、より好ましくは
26.0程度であり、a値の下限値が0.0を超え、
上限値は17.0が好ましく、より好ましくは16.0
程度であり、b値の下限値が−1.0、上限値は1
3.0が好ましく、より好ましくは12.0程度であ
る。前記カーボンブラックが付着している黒色ヘマタイ
ト粒子粉末の色調は、L値の下限値が2.7、上限値
は14.5が好ましく、より好ましくは14.0程度で
あり、a値の下限値が0.0を超え、上限値は7.0
が好ましく、より好ましくは6.0程度であり、b
の下限値が−1.0、上限値は6.0が好ましく、より
好ましくは5.0程度である。L値が28.0を超え
る場合には、明度が高くなり、十分な黒色度を有する黒
色非磁性粒子粉末を得ることができない。a値が1
7.0を超える場合には、赤みが強いため、深みのある
黒色を有する黒色非磁性粒子粉末を得ることができな
い。
【0043】芯粒子粉末の耐光性は、後述する評価方法
により、ΔE値の下限値が5.0を超え、上限値は1
2.0が好ましく、より好ましくは10.0である。
【0044】芯粒子粉末の体積固有抵抗値は、通常1.
0×10Ω・cm以上である。
【0045】本発明に係る黒色非磁性粒子の粒子形状や
粒子サイズは、芯粒子であるヘマタイト粒子の粒子形状
や粒子サイズに大きく依存し、芯粒子に相似する粒子形
態を有している。
【0046】即ち、本発明に係る黒色非磁性粒子粉末
は、平均粒子径が0.06〜1.0μm、好ましくは
0.07〜0.8μm、最も好ましくは0.07〜0.
5μmであり、球形度が1以上2未満が好ましく、より
好ましくは1〜1.8である。
【0047】平均粒子径が1.0μmを超える場合に
は、黒色非磁性粒子が粗大粒子となり着色力が低下す
る。0.06μm未満の場合には、粒子の微細化による
分子間力の増大により凝集を起こしやすいため、黒色ト
ナー製造時における結着剤樹脂への分散性が低下する。
【0048】黒色非磁性粒子粉末の粒子径の幾何標準偏
差値は、2.0以下が好ましく、その下限値は1.01
であり、より好ましくは1.01〜1.8、最も好まし
くは1.01〜1.6である。粒子径の幾何標準偏差値
が上記範囲を超える場合には、存在する粗大粒子によっ
て黒色非磁性粒子粉末の着色力が低下しやすくなる。粒
子径の幾何標準偏差値が1.01未満のものは工業的に
得られ難い。
【0049】黒色非磁性粒子粉末のBET比表面積値は
1.0〜200m/gが好ましく、より好ましくは
1.5〜150m/g、最も好ましくは2.0〜10
0m/gである。
【0050】BET比表面積値が1.0m/g未満の
場合には、粒子が粗大であったり、粒子及び粒子相互間
で焼結が生じた粒子となっており、着色力が低下する。
BET比表面積値が200m/gを超える場合には、
粒子の微細化による分子間力の増大により凝集を起こし
やすいため、黒色トナー製造時における結着剤樹脂への
分散性が低下する。
【0051】黒色非磁性粒子粉末の流動性は、流動性指
数が44〜80の範囲が好ましく、より好ましくは45
〜80、最も好ましくは46〜80である。流動性指数
が44未満の場合には流動性がより優れたものとは言い
難く、得られる黒色トナーの流動性をより改善すること
が困難である。また、製造工程内でホッパー詰まり等の
不具合を生じやすく、ハンドリングしにくくなる。
【0052】黒色非磁性粒子粉末の色調は、L値の下
限値が3.0、上限値は15.0が好ましく、より好ま
しくは13.5、最も好ましくは11.0であり、a
値の上限値は0.0が好ましく、より好ましくは−0.
1、最も好ましくは−0.2、下限値が−2.0であ
り、b値の下限値が−3.0、上限値は5.5が好ま
しく、より好ましくは5.0である。本発明に係る黒色
磁性粒子粉末のうち、カーボンブラックが付着している
黒色ヘマタイト粒子を芯粒子とした場合の色調は、L
値の下限値が2.0、上限値は11.0が好ましく、よ
り好ましくは10.0、最も好ましくは8.5であり、
値の上限値は0.0が好ましく、より好ましくは−
0.1、最も好ましくは−0.2、下限値が−2.0で
あり、b値の下限値が−3.0、上限値は5.5が好
ましく、より好ましくは5.0である。L値が15.
0を超える場合には、明度が高くなり、黒色度が優れて
いるとは言い難い。a値が0.0を超える場合には、
赤みが強いため、深みのある黒色を有する黒色非磁性粒
子粉末とは言い難い。
【0053】黒色非磁性粒子粉末の耐光性は、後述する
評価方法において、ΔE値で5.0以下が好ましく、
より好ましくは4.0以下である。
【0054】黒色非磁性粒子粉末の体積固有抵抗値は、
5.0×10Ω・cm以上が好ましく、より好ましく
は1.0×10〜5.0×10Ω・cmである。体
積固有抵抗値が5.0×10Ω・cm未満である場合
は、得られる黒色トナーの体積固有抵抗値が低下するた
め好ましくない。
【0055】黒色非磁性粒子粉末の結着剤樹脂への分散
性は、後述する分散性の評価方法に基づいて、4又は5
が好ましく、より好ましくは5である。
【0056】黒色非磁性粒子粉末の有機青色顔料の脱離
率は15%以下が好ましく、より好ましくは12%以下
である。有機青色顔料の脱離率が15%を超える場合に
は、黒色トナーの製造時において、脱離した有機青色顔
料により結着剤樹脂中での均一な分散が阻害される場合
があるとともに、脱離した部分の芯粒子粉末の色調が黒
色非磁性粒子粉末の粒子表面に現れるため、均一な色調
を得ることが困難となる。
【0057】本発明に係る黒色非磁性粒子粉末は、必要
により、芯粒子粉末の粒子表面をあらかじめ、アルミニ
ウムの水酸化物、アルミニウムの酸化物、ケイ素の水酸
化物及びケイ素の酸化物より選ばれる少なくとも一種か
らなる中間被覆物(以下、「中間被覆物」と言う。)で
被覆しておいてもよく、中間被覆物で被覆しない場合に
比べ、芯粒子粉末の粒子表面からの有機青色顔料の脱離
をより低減することができるため、黒色トナー製造時に
おける結着剤樹脂中への分散性がより向上する。
【0058】中間被覆物による被覆量は、中間被覆物が
被覆された芯粒子粉末に対してAl換算、SiO換算
又はAl換算量とSiO換算量との総和で0.01〜
50重量%が好ましい。
【0059】0.01重量%未満である場合には、中間
被覆物を被覆したことによる有機青色顔料の脱離率低減
効果が得られないため、黒色非磁性粒子粉末の黒色トナ
ー製造時における結着剤樹脂への分散性改良効果が得ら
れない。
【0060】50重量%を超える場合には、中間被覆物
を被覆したことによる有機青色顔料の脱離率低減効果に
より、黒色非磁性粒子粉末の黒色トナー製造時における
結着剤樹脂への分散性改良効果が得られるが、その効果
が飽和するので必要以上に被覆する意味がない。
【0061】芯粒子粉末の粒子表面が中間被覆物で被覆
されている本発明に係る黒色非磁性粒子粉末は、芯粒子
粉末の粒子表面が中間被覆物で被覆されていない本発明
に係る黒色非磁性粒子粉末の場合とほぼ同程度の粒子サ
イズ、幾何標準偏差値、BET比表面積値、体積固有抵
抗値、流動性、色調(L値、a値、b値)及び耐
光性ΔE値を有している。
【0062】また、有機青色顔料の脱離率は、中間被覆
物で被覆することによって向上し、その場合の有機青色
顔料の脱離率は10%以下が好ましく、より好ましくは
5%以下を有している。
【0063】更に、本発明に係る黒色磁性粒子粉末は、
必要により、ヘマタイト粒子粉末の粒子表面を中間被覆
物で被覆した後に、カーボンブラックの付着処理を行っ
てもよい。
【0064】本発明における被覆物は、化1で表わされ
るアルコキシシランから生成されるオルガノシラン化合
物(以下、「オルガノシラン化合物」という。)、並び
に、化2で表わされるポリシロキサン、化3で表わされ
る変成ポリシロキサン、化4で表わされる末端変成ポリ
シロキサン又はこれらの混合物である。
【0065】
【化1】
【0066】アルコキシシランとしては、具体的には、
メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラ
ン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキ
シシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリメト
キシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニル
ジメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、デ
シルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0067】有機青色顔料の付着効果及び脱離率を考慮
すると、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキ
シシラン、ジメチルジメトキシシラン、イソブチルトリ
メトキシシラン、フェニルトリエトキシシランから生成
するオルガノシラン化合物が好ましく、メチルトリエト
キシシラン、メチルトリメトキシシランから生成するオ
ルガノシラン化合物がより好ましい。
【0068】
【化2】
【0069】
【化3】
【0070】
【化4】
【0071】有機青色顔料の付着効果及び脱離率を考慮
すると、メチルハイドロジェンシロキサン単位を有する
ポリシロキサン、ポリエーテル変成ポリシロキサン及び
末端がカルボン酸で変成された末端カルボン酸変成ポリ
シロキサンが好ましい。
【0072】オルガノシラン化合物又はポリシロキサン
の被覆量は、オルガノシラン化合物被覆ヘマタイト粒子
粉末、又は、ポリシロキサン被覆ヘマタイト粒子粉末に
対してSi換算で0.02〜5.0重量%であることが
好ましく、より好ましくは0.03〜4.0重量%、最
も好ましくは0.05〜3.0重量%である。
【0073】0.02重量%未満の場合には、ヘマタイ
ト粒子粉末100重量部に対して1重量部以上の有機青
色顔料を付着させることが困難である。5.0重量%を
超える場合には、ヘマタイト粒子粉末100重量部に対
して有機青色顔料を1〜50重量部付着させることがで
きるため、必要以上に被覆する意味がない。
【0074】本発明における有機青色顔料は、無金属フ
タロシアニンブルー、フタロシアニンブルー(銅フタロ
シアニン)、ファストスカイブルー(スルホン化銅フタ
ロシアニン)等のフタロシアニン系顔料及びアルカリブ
ルーであり、得られる黒色非磁性粒子粉末の色調を考慮
した場合、フタロシアニンブルーを用いることが好まし
い。
【0075】殊に、耐光性を考慮した場合、低塩素化銅
フタロシアニン及びNC型(non−crystall
ization)の銅フタロシアニン又はNC型低塩素
化銅フタロシアニンが好ましい。
【0076】有機青色顔料の付着量は、ヘマタイト粒子
粉末100重量部に対して1〜50重量部が好ましく、
より好ましくは1.5〜45重量部、最も好ましくは2
〜40重量部である。
【0077】1重量部未満の場合には、有機青色顔料の
付着量が不十分であるため、十分な耐光性と流動性及び
目的とする色調を有する黒色非磁性粒子粉末を得ること
が困難である。
【0078】50重量部を超える場合には、得られる黒
色非磁性粒子粉末は十分な耐光性と流動性及び目的とす
る色調を有しているが、有機青色顔料の付着量が多いた
め、有機青色顔料が脱離しやすくなり、その結果、黒色
トナー製造時における結着剤樹脂への分散性が低下する
場合がある。
【0079】次に、本発明に係る黒色トナーについて述
べる。
【0080】本発明に係る黒色トナーは、前記黒色トナ
ー用黒色非磁性粒子粉末及び結着剤樹脂からなり、必要
に応じて離型剤、着色剤、荷電制御剤、その他の添加剤
等を含有してもよい。
【0081】黒色トナーの平均粒子径は3〜25μmが
好ましく、より好ましくは4〜18μm、最も好ましく
は5〜15μmである。
【0082】結着剤樹脂と黒色非磁性粒子粉末との割合
は、黒色非磁性粒子粉末100重量部に対して結着剤樹
脂50〜3500重量部が好ましく、より好ましくは5
0〜2000重量部、最も好ましくは50〜1000重
量部である。
【0083】結着剤樹脂としては、スチレン、アクリル
酸アルキルエステル及びメタクリル酸アルキルエステル
等のビニル系単量体を重合又は共重合したビニル系重合
体が使用できる。上記スチレン単量体としては、例えば
スチレン及びその置換体がある。上記アクリル酸アルキ
ルエステル単量体としては、例えばアクリル酸、アクリ
ル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル等が
ある。
【0084】上記共重合体は、スチレン系成分を50〜
95重量%含むことが好ましい。
【0085】結着剤樹脂は、必要により、上記ビニル系
重合体とともに、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹
脂、ポリウレタン系樹脂等を併用することができる。
【0086】黒色トナーの流動性は、後述する流動性指
数が70〜100が好ましく、より好ましくは71〜1
00、最も好ましくは72〜100である。70未満の
場合には流動性がより優れたものとは言い難い。
【0087】黒色トナーの色調は、L値の下限値が
3.0、上限値は15.0が好ましく、より好ましくは
13.5、最も好ましくは11.0であり、a値の上
限値は0.0が好ましく、より好ましくは−0.1、最
も好ましくは−0.2、下限値が−2.0であり、b
値の下限値が−3.0、上限値は5.5が好ましく、よ
り好ましくは5.0である。L値が15.0を超える
場合には、明度が高くなり、黒色度が優れているとは言
い難い。a値が0.0を超える場合には、赤みが強い
ため、深みのある黒色を有する黒色トナーとは言い難
い。
【0088】黒色トナーの耐光性は、後述する評価方法
において、ΔE値で5.0以下が好ましく、より好ま
しくは4.0以下である。
【0089】黒色トナーの体積固有抵抗値は、1.0×
1013Ω・cm以上が好ましく、より好ましくは3.
0×1013Ω・cm以上、最も好ましくは6.0×1
Ω・cm以上である。1.0×1013Ω・cm
未満である場合は、トナーの使用環境によって帯電量が
変化しやすく特性が不安定となりやすい。上限値は1.
0×1017Ω・cm未満である。
【0090】次に、本発明に係る黒色非磁性粒子粉末の
製造法について述べる。
【0091】本発明における芯粒子粉末である粒状のヘ
マタイト粒子粉末は、第一鉄塩水溶液と水酸化アルカリ
水溶液とを反応して得られる水酸化第一鉄コロイドを含
む懸濁液中に酸素含有ガスを通気して酸化する、所謂、
湿式法により得られる粒状マグネタイト粒子粉末を、空
気中750〜1000℃で加熱することにより得られ
る。
【0092】本発明における芯粒子粉末である粒状のマ
ンガン含有ヘマタイト粒子粉末は、第一鉄塩水溶液と水
酸化アルカリ水溶液とを反応して得られる水酸化第一鉄
コロイドを含む懸濁液中に酸素含有ガスを通気して酸化
する、所謂、湿式法により得られる粒状マグネタイト粒
子を全Feに対して8〜150原子%のマンガン化合物
で被覆した粒子又は上記湿式反応を、マンガンの存在下
で行うことにより得られるFeに対して8〜150原子
%のマンガンを含有するマグネタイト粒子を、空気中7
50〜1000℃で加熱することにより得られる。マン
ガン含有ヘマタイト粒子粉末の黒色度を考慮すれば、後
者が好ましい。
【0093】本発明における芯粒子粉末であるカーボン
ブラックが付着した黒色ヘマタイト粒子粉末は、ヘマタ
イト粒子粉末とアルコキシシラン又はポリシロキサンと
を混合し、ヘマタイト粒子粉末の粒子表面をアルコキシ
シラン又はポリシロキサンによって被覆し、次いで、ア
ルコキシシラン又はポリシロキサンによって被覆された
ヘマタイト粒子粉末とカーボンブラック微粒子粉末を混
合することによって得ることができる。
【0094】芯粒子粉末の粒子表面へのアルコキシシラ
ン又はポリシロキサンによる被覆は、芯粒子粉末とアル
コキシシラン溶液又はポリシロキサンとを機械的に混合
攪拌したり、芯粒子粉末にアルコキシシラン溶液又はポ
リシロキサンを噴霧しながら機械的に混合攪拌すればよ
い。添加したアルコキシシラン又はポリシロキサンは、
ほぼ全量が芯粒子粉末の粒子表面に被覆される。
【0095】なお、被覆されたアルコキシシランは、そ
の一部が被覆工程を経ることによって生成する、アルコ
キシシランから生成するオルガノシラン化合物として被
覆されていてもよい。この場合においてもその後の有機
青色顔料の付着に影響することはない。
【0096】アルコキシシラン又はポリシロキサンを均
一に芯粒子粉末の粒子表面に被覆するためには、芯粒子
粉末の凝集をあらかじめ粉砕機を用いて解きほぐしてお
くことが好ましい。
【0097】芯粒子粉末とアルコキシシラン又はポリシ
ロキサンとの混合攪拌、有機青色顔料と粒子表面にアル
コキシシラン又はポリシロキサンが被覆されている芯粒
子粉末との混合攪拌をするための機器としては、粉体層
にせん断力を加えることのできる装置が好ましく、殊
に、せん断、へらなで及び圧縮が同時に行える装置、例
えば、ホイール型混練機、ボール型混練機、ブレード型
混練機、ロール型混練機を用いることができる。本発明
の実施にあたっては、ホイール型混練機がより効果的に
使用できる。
【0098】上記ホイール型混練機としては、具体的
に、エッジランナー(「ミックスマラー」、「シンプソ
ンミル」、「サンドミル」と同義語である)、マルチマ
ル、ストッツミル、ウエットパンミル、コナーミル、リ
ングマラー等があり、好ましくはエッジランナー、マル
チマル、ストッツミル、ウエットパンミル、リングマラ
ーであり、より好ましくはエッジランナーである。上記
ボール型混練機としては、具体的に、振動ミル等があ
る。上記ブレード型混練機としては、具体的に、ヘンシ
ェルミキサー、プラネタリーミキサー、ナウタミキサー
等がある。上記ロール型混練機としては、具体的に、エ
クストルーダー等がある。
【0099】芯粒子粉末とアルコキシシラン又はポリシ
ロキサンとの混合攪拌時における処理条件は、芯粒子粉
末の粒子表面にアルコキシシラン又はポリシロキサンが
できるだけ均一に被覆されるように適宜調整すればよ
く、線荷重は19.6〜1960N/cm(2〜200
Kg/cm)が好ましく、より好ましくは98〜147
0N/cm(10〜150Kg/cm)、最も好ましく
は147〜980N/cm(15〜100Kg/cm)
であり、処理時間は5〜120分が好ましく、より好ま
しくは10〜90分の範囲である。なお、撹拌速度は2
〜2000rpmが好ましく、より好ましくは5〜10
00rpm、最も好ましくは10〜800rpmの範囲
で適宜調整すればよい。
【0100】アルコキシシラン又はポリシロキサンの添
加量は、芯粒子粉末100重量部に対して0.15〜4
5重量部が好ましい。0.15〜45重量部の添加量に
より、芯粒子粉末100重量部に対して有機青色顔料を
1〜50重量部付着させることができる。
【0101】芯粒子粉末の粒子表面にアルコキシシラン
又はポリシロキサンを被覆した後、有機青色顔料を添加
し、混合攪拌してアルコキシシラン被覆又はポリシロキ
サン被覆に有機青色顔料を付着させる。必要により更
に、乾燥乃至加熱処理を行ってもよい。
【0102】有機青色顔料は、少量ずつを時間をかけな
がら、殊に5〜60分程度をかけて添加するのが好まし
い。
【0103】混合攪拌時における処理条件は、有機青色
顔料がアルコキシシラン被覆、オルガノシラン化合物被
覆又はポリシロキサン被覆に均一に付着するように適宜
調整すればよく、線荷重は19.6〜1960N/cm
(2〜200Kg/cm)が好ましく、より好ましくは
98〜1470N/cm(10〜150Kg/cm)、
最も好ましくは147〜980N/cm(15〜100
Kg/cm)であり、処理時間は5〜120分が好まし
く、より好ましくは10〜90分の範囲である。なお、
撹拌速度は2〜2000rpmが好ましく、より好まし
くは5〜1000rpm、最も好ましくは10〜800
rpmの範囲で適宜調整すればよい。
【0104】有機青色顔料の添加量は、芯粒子粉末10
0重量部に対して1〜50重量部である。有機青色顔料
の添加量が上記範囲外の場合には、目的とする黒色非磁
性粒子粉末が得られない。
【0105】乾燥乃至加熱処理を行う場合の加熱温度
は、通常40〜150℃が好ましく、より好ましくは6
0〜120℃であり、加熱時間は10分〜12時間が好
ましく、より好ましくは30分〜3時間である。
【0106】得られた黒色非磁性粒子粉末の被覆に用い
られたアルコキシシランは、これらの工程を経ることに
より、最終的にはアルコキシシランから生成するオルガ
ノシラン化合物となって被覆されている。
【0107】芯粒子粉末は、必要により、アルコキシシ
ランの溶液又はポリシロキサンとの混合攪拌に先立っ
て、あらかじめ、アルミニウムの水酸化物、アルミニウ
ムの酸化物、ケイ素の水酸化物及びケイ素の酸化物から
選ばれる少なくとも一種からなる中間被覆物で被覆して
おいてもよい。
【0108】中間被覆物による被覆は、芯粒子粉末を分
散して得られる水懸濁液に、アルミニウム化合物、ケイ
素化合物又は当該両化合物を添加して混合攪拌すること
により、又は、必要により、混合攪拌後にpH値を調整
することにより、前記芯粒子粉末の粒子表面を、アルミ
ニウムの水酸化物、アルミニウムの酸化物、ケイ素の水
酸化物及びケイ素の酸化物から選ばれる少なくとも一種
からなる中間被覆物で被覆し、次いで、濾別、水洗、乾
燥、粉砕する。必要により、更に、脱気・圧密処理等を
施してもよい。
【0109】アルミニウム化合物としては、酢酸アルミ
ニウム、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、硝酸ア
ルミニウム等のアルミニウム塩及びアルミン酸ナトリウ
ム等のアルミン酸アルカリ塩等が使用できる。
【0110】ケイ素化合物としては、3号水ガラス、オ
ルトケイ酸ナトリウム及びメタケイ酸ナトリウム等が使
用できる。
【0111】次に、本発明に係る黒色トナーの製造法に
ついて述べる。
【0112】本発明に係る黒色トナーは、所定量の結着
剤樹脂と所定量の黒色非磁性粒子粉末とを混合、混練、
粉砕による公知の方法によって行うことができる。具体
的には、黒色非磁性粒子粉末と結着剤樹脂とを、必要に
より更に離型剤、着色剤、荷電制御剤、その他の添加剤
等を添加した混合物を混合機により十分に混合した後、
加熱混練機によって結着剤樹脂中に黒色非磁性粒子粉末
等を分散させ、次いで、冷却固化して樹脂混練物を得、
該樹脂混練物を粉砕及び分級を行って所望の粒子サイズ
とすることにより得られる。
【0113】前記混合機としては、ヘンシェルミキサ
ー、ボールミルなどの混合機を使用することができる。
前記加熱混練機としては、ロールミル、ニーダー、二軸
エクストルーダー等を使用することができる。前記粉砕
は、カッターミル、ジェットミル等の粉砕機によって行
うことができ、前記分級も特許第2683142号公報
等に記載の通り、公知の風力分級等により行うことがで
きる。
【0114】黒色トナーを得る他の方法として、懸濁重
合法又は乳化重合法がある。懸濁重合法においては、重
合性単量体と黒色非磁性粒子粉末とを、必要により更
に、着色剤、重合開始剤、架橋剤、荷電制御剤、その他
の添加剤を添加した混合物を溶解又は分散させた単量体
組成物を、懸濁安定剤を含む水相中に攪拌しながら添加
して造粒し、重合させて所望の粒子サイズとすることに
より得られる。
【0115】乳化重合法においては、単量体と黒色非磁
性粒子粉末とを、必要により更に着色剤、重合開始剤な
どを水中に分散させて重合を行う過程に乳化剤を添加す
ることによって所望の粒子サイズとすることにより得ら
れる。
【0116】
【発明の実施の形態】本発明の代表的な実施の形態は、
次の通りである。
【0117】芯粒子粉末、黒色非磁性粒子粉末及び有機
青色顔料の平均粒子径は、電子顕微鏡写真(×20,0
00)を縦方向及び横方向にそれぞれ4倍に拡大した写
真に示される粒子約350個について定方向径をそれぞ
れ測定し、その平均値で示した。
【0118】球形度は平均最長径と平均最短径との比で
示した。
【0119】粒子の粒子径の幾何標準偏差値は、下記の
方法により求めた値で示した。即ち、上記拡大写真に示
される粒子の粒子径を測定した値を、その測定値から計
算して求めた粒子の実際の粒子径と個数から、統計学的
手法に従って、対数正規確率紙上に横軸に粒子の粒子径
を、縦軸に所定の粒子径区間のそれぞれに属する粒子の
累積個数(積算フルイ下)を百分率でプロットする。
【0120】そして、このグラフから粒子の個数が50
%及び84.13%のそれぞれに相当する粒子径の値を
読みとり、幾何標準偏差値=積算フルイ下84.13%
における粒子径/積算フルイ下50%における粒子径
(幾何平均径)に従って算出した値で示した。幾何標準
偏差値が1に近いほど、粒度分布が優れていることを意
味する。
【0121】比表面積値はBET法により測定した値で
示した。
【0122】芯粒子粉末の粒子内部や粒子表面に存在す
るMn量、Al量及びSi量及び黒色非磁性粒子粉末に
被覆されているアルコキシシランから生成するオルガノ
シラン化合物又はポリシロキサンに含有されるSi量の
それぞれは、「蛍光X線分析装置3063M型」(理学
電機工業株式会社製)を使用し、JIS K0119の
「けい光X線分析通則」に従って測定した。
【0123】尚、芯粒子粉末の粒子表面を被覆している
ケイ素の酸化物、ケイ素の水酸化物及びアルコキシシラ
ンから生成するオルガノシラン化合物又はポリシロキサ
ンのそれぞれに含有される各Si量は、処理工程後の各
段階でSi量を測定し、その測定値から処理工程前の段
階で測定したSi量を差し引いた値で示した。
【0124】黒色ヘマタイト粒子粉末に付着しているカ
ーボンブラック及び黒色非磁性粒子粉末に付着している
有機青色顔料の付着量は、「堀場金属炭素・硫黄分析装
置EMIA−2200型」(株式会社堀場製作所製)を
用いて炭素量を測定することにより求めた。
【0125】芯粒子粉末、黒色非磁性粒子粉末及び黒色
トナーの流動性は、「パウダテスタ」(ホソカワミクロ
ン株式会社製)を用いて、安息角(度)、圧縮度
(%)、スパチュラ角(度)、凝集度の各粉体特性値を
測定し、該各測定値を同一基準の数値に置き換えた各々
の指数を求め、各々の指数を合計した流動性指数で示し
た。流動性指数が100に近いほど、流動性が優れてい
ることを意味する。
【0126】芯粒子粉末、黒色非磁性粒子粉末、青色有
機顔料及び黒色トナーの色調は、試料0.5gとヒマシ
油1.5mlとをフーバー式マーラーで練ってペースト
状とし、このペーストにクリアラッカー4.5gを加
え、混練、塗料化してキャストコート紙上に150μm
(6mil)のアプリケーターを用いて塗布した塗布片
(塗膜厚み:約30μm)を作製し、該塗料片につい
て、「ポータブル分光色彩計 カラーガイド45/0」
(ビックケミー・ジャパン株式会社製)を用いてJIS
Z 8729に定めるところに従って表色指数L
値、a値、b値を測定した値で示した。
【0127】ここで、L値は明度を表わし、L値が
小さいほど黒色度が優れていることを示す。また、a
値は赤みを表し、a値が小さいほど赤みが少ないこと
を示す。
【0128】芯粒子粉末、黒色非磁性粒子粉末、有機青
色顔料及び黒色トナーの耐光性は、試料粉体10gとア
ミノアルキッド樹脂16g及びシンナー6gとを配合し
て3mmφガラスビーズ90gとともに140mlのガ
ラスビンに添加し、次いで、ペイントシェーカーで45
分間混合分散した後、アミノアルキッド樹脂50gを追
加し、更に5分間ペイントシェーカーで分散させて得ら
れた塗料を、冷間圧延鋼板(0.8mm×70mm×1
50mm)(JIS G−3141)に150μmの厚
みで塗布、乾燥して塗膜を形成し、該測定用試料片の半
分を金属性フォイルで覆い、「アイ スーパーUVテス
ター(SUV−W13)」(岩崎電気株式会社製)を用
いて、紫外線を照射強度100mW/cmで6時間連
続照射した後、金属製フォイルで覆うことによって紫外
線が照射されなかった部分と紫外線照射した部分との色
調(L値、a値、b値)をそれぞれ測定し、金属
製フォイルで覆うことによって紫外線が照射されなかっ
た部分の測定値を基準に、下記数1に従って算出したΔ
値によって示した。
【0129】
【数1】ΔE値=((ΔL値)+(Δa値)
+(Δb値)1/2 ΔL値: 比較する試料の紫外線照射有無のL値の
差 Δa値: 比較する試料の紫外線照射有無のa値の
差 Δb値: 比較する試料の紫外線照射有無のb値の
【0130】黒色非磁性粒子粉末に付着している有機青
色顔料の脱離率(%)は、下記の方法により求めた値で
示した。有機青色顔料の脱離率が0%に近いほど、粒子
表面からの有機青色顔料の脱離量が少ないことを示す。
【0131】被測定粒子粉末3gとエタノール40ml
を50mlの沈降管に入れ、20分間超音波分散を行っ
た後、120分静置し、比重差によって被測定粒子粉末
と脱離した有機青色顔料を分離した。次いで、この被測
定粒子粉末に再度エタノール40mlを加え、更に20
分間超音波分散を行った後、120分静置し、被測定粒
子粉末と脱離した有機青色顔料を分離した。この被測定
粒子粉末を100℃で1時間乾燥させ、前述の「堀場金
属炭素・硫黄分析装置EMIA−2200型」(株式会
社堀場製作所製)を用いて炭素量を測定し、下記数2に
従って求めた値を有機青色顔料の脱離率(%)とした。
【0132】
【数2】有機青色顔料の脱離率(%)=[(Wa−W
e)/Wa]×100 Wa:被測定粒子粉末の有機青色顔料付着量 We:脱離テスト後の被測定粒子粉末の有機青色顔料付
着量
【0133】黒色非磁性粒子粉末の結着剤樹脂への分散
性は、得られた黒色トナー粒子の断面を「光学顕微鏡
BH−2」(オリンパス光学工業社製)を用いて撮影
し、得られた顕微鏡写真(×200倍)における未分散
の凝集粒子の個数を計数することで判定し、5段階で評
価した。5が最も分散状態が良いことを示す。 1:0.25mm当たりに50個以上 2:0.25mm当たりに10個以上50個未満 3:0.25mm当たりに5個以上10個未満 4:0.25mm当たりに1個以上5個未満 5:未分散物認められず
【0134】芯粒子粉末、黒色非磁性粒子粉末及び黒色
トナーの体積固有抵抗値は、まず、被測定粒子粉末0.
5gを測り取り、「KBr錠剤成形器」(株式会社島津
製作所製)を用いて、1.372×10Pa(140
Kg/cm)の圧力で加圧成形を行い、円柱状の被測
定試料を作製した。
【0135】次いで、被測定試料を温度25℃、相対湿
度60%環境下に12時間以上暴露した後、この被測定
試料をステンレス電極の間にセットし、「ホイートスト
ンブリッジ TYPE2768」(横河北辰電気株式会
社製)で15Vの電圧を印加して抵抗値R(Ω)を測定
した。
【0136】次いで、被測定(円柱状)試料の上面の面
積A(cm)と厚みt(cm)を測定し、下記数3
にそれぞれの測定値を挿入して、体積固有抵抗値(Ω・
cm)を求めた。
【0137】
【数3】 体積固有抵抗値(Ω・cm)=R×(A/t
【0138】黒色トナーの平均粒子径は、「レーザー回
折式粒度分布測定装置 modelHELOS LA/
KA」(SYMPATEC社製)を用いて測定した。
【0139】<黒色非磁性粒子粉末の製造>黒褐色ヘマ
タイト粒子粉末(粒子形状:粒状、平均粒子径0.29
μm、球形度1.29、幾何標準偏差値1.43、BE
T比表面積値3.8m/g、Mn含有量13.1重量
%、流動性指数35、黒色度L値13.0、a
2.9、b値4.8、耐光性ΔE値7.3、体積固
有抵抗値5.1×10Ω・cm)20kgを、凝集を
解きほぐすために、純水150lに攪拌機を用いて邂逅
し、更に、「TKパイプラインホモミクサー」(特殊機
化工業株式会社製)を3回通して黒褐色ヘマタイト粒子
粉末を含むスラリーを得た。
【0140】次いで、この黒褐色ヘマタイト粒子粉末を
含むスラリーを横型サンドグラインダー「マイティーミ
ルMHG−1.5L」(井上製作所株式会社製)を用い
て、軸回転数2000rpmにおいて5回パスさせて、
黒褐色ヘマタイト粒子粉末を含む分散スラリーを得た。
【0141】得られた分散スラリーの325mesh
(目開き44μm)における篩残分は0%であった。こ
の分散スラリーを濾別、水洗して、黒褐色ヘマタイト粒
子粉末のケーキを得た。この黒褐色ヘマタイト粒子粉末
のケーキを120℃で乾燥した後、乾燥粉末11.0k
gをエッジランナー「MPUV−2型」(株式会社松本
鋳造鉄工所製)に投入して、588N/cm(60Kg
/cm)で20分間混合攪拌を行い、粒子の凝集を軽く
解きほぐした。
【0142】次に、メチルトリエトキシシラン(商品
名:TSL8123:GE東芝シリコーン株式会社製)
110gを200mlのエタノールで混合希釈して得ら
れるメチルトリエトキシシラン溶液を、エッジランナー
を稼動させながら粒子の凝集を解きほぐした上記黒褐色
ヘマタイト粒子粉末に添加し、588N/m(60Kg
/cm)の線荷重で20分間混合攪拌を行い、黒褐色ヘ
マタイト粒子粉末の粒子表面に被覆物を形成させた。な
お、このときの攪拌速度は22rpmで行った。
【0143】次に、フタロシアニンブルーA(粒子形
状:粒状、平均長軸径0.06μm、BET比表面積値
680m/g、L値5.2、a値9.7、b
−21.8、耐光性ΔE値24.5)1100gを、
エッジランナーを稼動させながら10分間かけて添加
し、更に588N/m(60Kg/cm)の線荷重で2
0分間混合攪拌を行い、メチルトリエトキシシラン被覆
の上にフタロシアニンブルーを付着させた後、乾燥機を
用いて105℃で60分間加熱処理を行い、黒色複合非
磁性粒子粉末を得た。なお、この時の攪拌速度は22r
pmで行った。
【0144】得られた黒色複合非磁性粒子粉末は、メチ
ルトリエトキシシランから生成するオルガノシラン化合
物の被覆量がSi換算で0.15重量%、有機青色顔料
の付着量がC換算で6.00重量%(黒褐色ヘマタイト
粒子粉末100重量部に対して10重量部に相当する)
であって、平均粒子径が0.30μmであった。そし
て、この黒色複合非磁性粒子粉末は、球形度が1.2
9、幾何標準偏差値が1.43、BET比表面積値が
7.2m/g、流動性指数が51、黒色度L値が
7.6、a値が−0.60、b値が−1.3、耐光
性ΔE値が3.3、体積固有抵抗値8.1×10Ω
・cm、有機青色顔料の脱離率が5.7%であった。電
子顕微鏡観察の結果、有機青色顔料がほとんど認められ
ないことから、有機青色顔料のほぼ全量が黒褐色ヘマタ
イト粒子粉末の粒子表面に付着していることが認められ
た。
【0145】<黒色トナーの製造>上記黒色複合非磁性
粒子粉末150g、スチレン−ブチルアクリレート−メ
チルメタクリレート共重合樹脂765g(分子量13
0,000、スチレン/ブチルアクリレート/メチルメ
タクリレート=82.0/16.5/1.5)、ポリプ
ロピレンワックス85g(分子量3,000)及び帯電
制御剤15gをヘンシェルミキサーに投入し、槽内温度
60℃において15分間攪拌混合を行った。得られた混
合粉体を連続型二軸混練機で140℃において溶融混練
を行い、得られた混練物を空気中で冷却、粗粉砕、微粉
砕した後、分級し、黒色トナーを得た。
【0146】得られた黒色トナーは、平均粒子径が1
0.0μm、分散性が5、流動性指数が79、黒色度L
値が8.2、a値が−0.50、b値が−0.
9、耐光性ΔE値が2.9、体積固有抵抗値4.5×
1014Ω・cmであった。
【0147】
【作用】本発明において最も重要な点は、ヘマタイト粒
子粉末の粒子表面にオルガノシラン化合物又はポリシロ
キサンを介して有機青色顔料を付着させた黒色非磁性粒
子粉末は、深みのある黒色を有し、流動性及び耐光性に
優れているという事実である。
【0148】本発明において深みのある黒色を有する黒
色非磁性粒子粉末が得られる理由としては、未だ明らか
ではないが、ヘマタイト粒子粉末の赤みを低下させる顔
料として有機青色顔料を選択し、更に、選択した有機青
色顔料がヘマタイト粒子粉末に強固に固定化できる糊剤
としてアルコキシシラン又はポリシロキサンを選択した
ことによって、黒色非磁性粒子粉末の赤みを示すa
を0以下にすることができたことによるものと推定して
いる。
【0149】黒色非磁性粒子粉末の流動性が優れている
理由について、本発明者は、ヘマタイト粒子粉末の粒子
表面に均一、且つ、緻密に有機青色顔料が付着されてい
ることによって、ヘマタイト粒子の粒子表面に多数の微
細な凹凸を形成することによるものと考えている。
【0150】本発明に係る黒色非磁性粒子粉末が耐光性
に優れている理由としては、ヘマタイト粒子粉末を耐光
性に優れるオルガノシラン化合物又はポリシロキサンに
よって被覆し、更に、耐光性に優れている有機青色顔料
が付着されることによって、黒色非磁性粒子粉末として
の耐光性が向上したものと考えている。
【0151】そして、有機青色顔料が付着している上記
黒色非磁性粒子粉末を用いて得られた本発明に係る黒色
トナーは、1×1013Ω・cm以上の高抵抗を維持し
ながら、耐光性及び流動性に優れた深みのある黒色を有
しているという事実である。
【0152】黒色トナーの流動性が優れている理由につ
いて、本発明者は、ヘマタイト粒子粉末の粒子表面に有
機青色顔料が付着している黒色非磁性粒子粉末が、黒色
トナーの表面に露出して、多数の微細な凹凸を形成して
いることによるものと考えている。
【0153】黒色トナーが深みのある黒色を有する理由
について、本発明者は、L値が十分低く、a値が0
以下である深みのある黒色非磁性粒子粉末が黒色トナー
中に配合されていることによるものと考えている。
【0154】
【実施例】次に、実施例並びに比較例を挙げる。
【0155】芯粒子1〜4 公知の製造方法で得られた各種のヘマタイト粒子粉末を
準備し、上記発明の実施の形態と同様にして凝集が解き
ほぐされた芯粒子粉末を得た。
【0156】これら芯粒子粉末の諸特性を表1に示す。
【0157】
【表1】
【0158】芯粒子5 芯粒子1の凝集が解きほぐされた黒褐色ヘマタイト粒子
粉末20kgと水150lとを用いて、前記発明の実施
の形態と同様にして黒褐色ヘマタイト粒子粉末を含む分
散スラリーを得た。得られた黒褐色ヘマタイト粒子粉末
を含む分散スラリーのpH値を、水酸化ナトリウム水溶
液を用いて10.5に調整した。次に、該スラリーに水
を加えスラリー濃度を98g/lに調整した。このスラ
リー150lを加熱して60℃とし、このスラリー中に
1.0mol/lのNaAlO溶液2722ml(黒
褐色ヘマタイト粒子粉末に対してAl換算で0.5重量
%に相当する)を加え、30分間保持した後、酢酸を用
いてpH値を7.5に調整した。この状態で30分間保
持した後、濾過、水洗、乾燥、粉砕して粒子表面がアル
ミニウムの水酸化物により被覆されている黒褐色ヘマタ
イト粒子粉末を得た。
【0159】このときの製造条件を表2に、得られたア
ルミニウムの水酸化物により被覆されている黒褐色ヘマ
タイト粒子粉末の諸特性を表3に示す。
【0160】尚、表面処理工程における被覆物の種類の
Aはアルミニウムの水酸化物を表わし、Sはケイ素の酸
化物を表わす。
【0161】
【表2】
【0162】
【表3】
【0163】芯粒子6及び7 芯粒子の種類、表面処理工程における添加物の種類及び
量を種々変えた以外は、芯粒子5と同様にして表面処理
済芯粒子粉末を得た。
【0164】このときの処理条件を表2に、得られた表
面処理済芯粒子粉末の諸特性を表3に示す。
【0165】有機青色顔料A〜C:有機青色顔料として
表4に示す諸特性を有するフタロシアニンブルーを用意
した。
【0166】
【表4】
【0167】<黒色非磁性粒子粉末の製造> 実施例1〜7及び比較例1〜4 芯粒子の種類、アルコキシシラン及びポリシロキサンに
よる被覆工程における添加物の種類、添加量、エッジラ
ンナー処理の線荷重及び時間、有機青色顔料の付着工程
における有機青色顔料の種類、添加量、エッジランナー
処理の線荷重及び時間を種々変化させた以外は、前記発
明の実施の形態と同様にして黒色複合非磁性粒子粉末を
得た。
【0168】このときの製造条件を表5に、得られた黒
色複合非磁性粒子粉末の諸特性を表6に示す。実施例1
〜7の各実施例で得られた黒色複合非磁性粒子粉末は、
電子顕微鏡観察の結果、有機青色顔料がほとんど認めら
れないことから、有機青色顔料のほぼ全量がアルコキシ
シランから生成するオルガノシラン化合物又はポリシロ
キサン被覆に付着していることが確認された。
【0169】比較例5(特開昭59−57249号公報
の実施例1) 芯粒子1(黒褐色ヘマタイト粒子)100重量部を、青
色系染料であるオイルブラック5重量部をメタノール1
00重量部に溶解した液に浸漬した後、メタノールを溜
去した。
【0170】得られた粒子の諸特性を表6に示す。
【0171】
【表5】
【0172】
【表6】
【0173】<黒色トナーの製造> 実施例8〜14、比較例6〜14 黒色非磁性粒子粉末の種類を種々変化させた以外は、前
記発明の実施の形態と同様にして黒色トナーを得た。
【0174】このときの製造条件を表7に、得られた黒
色トナーの諸特性を表8に示す。
【0175】
【表7】
【0176】
【表8】
【0177】
【発明の効果】本発明に係る黒色非磁性粒子粉末は、深
みのある黒色を有するとともに、流動性及び耐光性に優
れているので、黒色トナー用黒色非磁性粒子粉末として
好適である。
【0178】そして、深みのある黒色を有するととも
に、流動性及び耐光性に優れている黒色非磁性粒子粉末
を用いた黒色トナーもまた流動性及び耐光性に優れてい
るとともに深みのある黒色を有しているで、黒色トナー
として好ましいものである。
フロントページの続き (72)発明者 森井 弘子 広島県大竹市明治新開1番4 戸田工業株 式会社大竹創造センター内 Fターム(参考) 4G002 AA03 AA05 AA12 AB05 AD01 AE01 AE03 AE05

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヘマタイト粒子粉末の粒子表面にアルコ
    キシシランから生成するオルガノシラン化合物又はポリ
    シロキサンが被覆されており、該被覆の少なくとも一部
    に有機青色顔料が付着している平均粒子径0.06〜
    1.0μmの黒色複合非磁性粒子粉末からなり、前記青
    色有機顔料の付着量が前記ヘマタイト粒子粉末100重
    量部に対して1〜50重量部であることを特徴とする黒
    色トナー用黒色非磁性粒子粉末。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のヘマタイト粒子粉末の粒
    子表面が、あらかじめアルミニウムの水酸化物、アルミ
    ニウムの酸化物、ケイ素の水酸化物及びケイ素の酸化物
    より選ばれる少なくとも一種からなる中間被覆物によっ
    て被覆されていることを特徴とする黒色トナー用黒色非
    磁性粒子粉末。
  3. 【請求項3】 ヘマタイト粒子粉末の粒子表面にアルコ
    キシシランから生成するオルガノシラン化合物又はポリ
    シロキサンが被覆され、該被覆にカーボンブラックが付
    着されており、更に、該カーボンブラック上にアルコキ
    シシランから生成するオルガノシラン化合物又はポリシ
    ロキサンが被覆され、該被覆の少なくとも一部に有機青
    色系顔料が付着している平均粒子径0.06〜1.0μ
    mの黒色複合非磁性粒子粉末からなり、前記有機青色顔
    料の付着量が前記ヘマタイト粒子粉末100重量部に対
    して1〜50重量部であることを特徴とする黒色トナー
    用黒色非磁性粒子粉末。
  4. 【請求項4】 請求項3記載のヘマタイト粒子粉末の粒
    子表面が、あらかじめアルミニウムの水酸化物、アルミ
    ニウムの酸化物、ケイ素の水酸化物及びケイ素の酸化物
    より選ばれる少なくとも一種からなる中間被覆物によっ
    て被覆されていることを特徴とする黒色トナー用黒色非
    磁性粒子粉末。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至請求項4のいずれかに記載
    の黒色非磁性粒子粉末を用いた黒色トナー。
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