JP2002080352A - ナリンゲニンカルコンを有効成分とする抗アレルギー剤 - Google Patents
ナリンゲニンカルコンを有効成分とする抗アレルギー剤Info
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Abstract
品、飲食品または化粧品を提供することを課題とする。 【解決手段】ナリンゲニンカルコンまたはその誘導体を
有効成分とする抗アレルギー剤。ナリンゲニンカルコン
またはその誘導体を有効成分とするヒスタミン遊離抑制
剤またはロイコトリエン遊離抑制剤。および上記薬剤を
含有することを特徴とする、医薬品、飲食品または化粧
品。本発明の抗アレルギー剤は、種々のアレルギー性疾
患の予防・治療剤、抗炎症剤、あるいはヒスタミン遊離
抑制剤として有用である。また、本発明の抗アレルギー
剤は、I型アレルギー反応における、肥満細胞からのヒ
スタミン遊離を阻害することから、これに起因するアト
ピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、花粉症おまたはアレ
ルギー性喘息等の予防、治療に、特に有用である。
Description
ー剤、それを含有する医薬品、飲食品または化粧品に関
する。
アレルギー性疾患の患者が増大し、大きな社会問題にな
っている。一般的にアレルギー反応には、アナフィラキ
シー(I型)、細胞障害型(II型)、アルサス型(III
型)および細胞介在型(遅延型)(IV型)の4つの型が
あるが、最近特に問題になっている花粉症はI型アレル
ギーに分類される。また、アトピー性皮膚炎もI型アレ
ルギー反応が主体といわれている。
入により産生されたIgE抗体が肥満細胞上のFcレセプタ
ーに結合し、再び侵入した抗原がこのIgE抗体と結合す
ると肥満細胞内顆粒中のヒスタミン、マクロファージ中
のロイコトリエンなどの化学物質が遊離され、直接的あ
るいは間接的に喘息や鼻炎などの症状を伴う急性炎症反
応を引き起こす。従って、I型アレルギー反応を防ぐた
めには、上記経路のいずれかを切断すればよいことにな
る。
成分の研究は数多く行われており、当作用を有する数多
くの合成化合物が報告されている。しかし、抗アレルギ
ー活性を有する天然物質はあまりしられていない。さら
に十分な抗アレルギー活性を有する安全な天然物質はほ
とんど得られていなかった。このため、特に医療の現場
では、十分な抗アレルギー活性を有する化合物の探索お
よび抗アレルギー剤の開発が求められている。
な抗アレルギー剤、それを含有する医薬品、飲食品また
は化粧品を提供することを課題とする。
ー性疾患の治療に有効となる指標を、ヒスタミン遊離抑
制活性とし、新規な抗アレルギー剤を探索するべく鋭意
研究を重ねた。その結果、ナリンゲニンカルコンが、ヒ
スタミン遊離抑制活性とロイコトリエン遊離抑制(「ロ
イコトリエン産生抑制」ということがある)活性を有す
ること、および抗アレルギー剤として有用であることを
見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は、 (1)ナリンゲニンカルコンまたはその誘導体を有効成
分とする抗アレルギー剤。 (2)ナリンゲニンカルコンまたはその誘導体を有効成
分とする、ヒスタミン遊離抑制剤またはロイコトリエン
遊離抑制剤。 (3)上記(1)記載の抗アレルギーを含有することを
特徴とする、医薬品、飲食品または化粧品。 (4)上記(2)記載のヒスタミン遊離抑制剤またはロ
イコトリエン遊離抑制剤を含有することを特徴とする、
医薬品、飲食品または化粧品。 を提供するものである。
に本発明の抗アレルギー剤,その製造法およびその用途
について説明する。
カルコンまたはその誘導体を有効成分とする。ナリンゲ
ニンカルコン(2'4'6'4−Tetrahydroxychalcone)は、
下記構造式(1)で示される物質である。 構造式(1):
は、優れたヒスタミン遊離抑制活性およびアナフィラキ
シー抑制活性を示す。したがって、ナリンゲニンカルコ
ンを有効成分とする抗アレルギー剤は、種々のアレルギ
ー性疾患の予防剤または治療剤、抗炎症剤あるいはヒス
タミン遊離抑制剤として有用である。アレルギー性疾患
とは、例えば、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、
花粉症、アレルギー性喘息、食物アレルギー、炎症、ア
ナフィラキシー等である。
ー反応における、肥満細胞からのヒスタミン遊離を抑制
することから、これに起因するアトピー性皮膚炎、アレ
ルギー性鼻炎、花粉症おまたはアレルギー性喘息等の予
防、治療に、特に有用である。
る限り、ナリンゲニンカルコンは、その構造の一部が改
変あるいは修飾されていている誘導体であってもよい。
ナリンゲニンカルコンの誘導体としては、例えば、薬理
上許容される塩、エステルあるいはプロドラック等が挙
げられる。
れないが、例えば、アルカリ金属(ナトリウム、カリウ
ム等)、アルカリ土類金属(マグネシウム、カルシウム
等)。これらの水酸化物または炭酸塩、アルカリ金属ア
ルコキサイド(ナトリウムメトキサイド、カリウムt-プ
トキサイド等)との塩が挙げられる。また、塩として
は、無機酸(塩酸、硫酸、リン酸)や有機酸(マレイン
酸、クエン酸、フマル酸等)を付加した酸付加塩、更に
はアミンの付加塩、アミノ酸の付加塩等が挙げられる。
なお、上記の塩の水和物もここでいう塩に含まれる。
とのエステル化反応で生じるエステルであれば特に限定
されない。アルコールとしてはメタノール、エタノー
ル、1−プロパノール、2−プロパノール等が挙げら
れ、またはカルボン酸としてはギ酸、酢酸、乳酸等が挙
げられる。
ナリンゲニンカルコンに変化して、抗アレルギー剤とし
ての作用を発現する化合物を意味する。安定性や吸収性
の改善、副作用の低減等を目的としてプロドラック化さ
れたナリンゲニンカルコンも本発明でいう誘導体に含ま
れる。
カルコンは、どのような方法で製造されたものであって
もよく、ナリンゲニンカルコンを含有する生物から精製
する方法、化学合成法、半合成法等が広く採用できる。
類、野菜類、具体的にはトマトより抽出することができ
る。トマトよりナリンゲニンカルコンを精製する場合
は、トマト果皮あるいは搾汁粕に、10倍量の60%エタノ
ールを加え、60度の温水中で3時間抽出を行う。ナリン
ゲニンカルコンを含む抽出物が得られるので、該抽出物
を高速液体クロマトグラフィーに供する。ヒスタミン遊
離抑制活性を示す画分を採取した後、各画分に含まれる
化合物の構造を確認することにより、ナリンゲニンカル
コンを精製することができる。なお、本発明の抗アレル
ギー剤は、精製されたナリンゲニンカルコンのみを含む
ものに限定されず、ナリンゲニンカルコンを含む粗精製
物であってもよい。
ンカルコンに、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アル
カリ金属アルコキサイド、無機酸あるいは有機酸を作用
させることにより製造できる。さらに、エステルは、酸
触媒の存在下で、ナリンゲニンカルコンにアルコールま
たはカルボン酸を作用させることにより製造できる。
の抗アレルギー剤は、実施例に示す通り、ヒスタミン遊
離抑制活性、ロイコトリエン遊離抑制活性およびアナフ
ィラキシー抑制活性を示す。したがって、該抗アレルギ
ー剤は、種々のアレルギー性疾患の予防剤または治療
剤、抗炎症剤、ヒスタミン遊離抑制剤あるいはロイコト
リエン遊離抑制剤として有用である。本発明の抗アレル
ギー剤は、特にI型アレルギー反応に起因するアレルギ
ー性疾患の予防、治療に有用である。該抗アレルギー剤
は、抗アレルギー活性・抗炎症活性、ヒスタミン遊離抑
制活性あるいはロイコトリエン遊離抑制活性を有する医
薬品、飲食品または化粧品として、そのままであるいは
これらの製品に添加して使用できる。本発明の抗アレル
ギー剤は、単独で医薬品、飲食品または化粧品として使
用してもよく、また、他の抗アレルギー剤と併用しても
よい。
公知の医薬用担体と共に製剤化することにより医薬品と
して使用できる。本発明の抗アレルギー剤は、例えば、
錠剤、顆粒剤、粉剤、シロップ剤等の経口剤や、坐剤、
外用剤等の非経口剤として製剤化できる。医薬用担体と
しては、特に制限はなく、例えば、固形担体(デンプ
ン、乳糖、カルボキシメチルセルロース等)、液体担体
(蒸留水、生理食塩水、ブドウ糖水溶液、エタノール、
プロピレングリコール等)、油性担体(各種の動植物
油、白色ワセリン、パラフィン等)が挙げられる。
ット、家畜)用として使用できる。上記医薬の服用量
は、それを使用する患者等の症状、性別、年齢に応じて
適宜設定すればよいが、例えば、成人一人あたり一日に
0.1〜1000 mg 程度摂取できるよう服用すればよい。
り、その飲食品に、抗アレルギー活性・抗炎症活性、あ
るいはヒスタミン遊離抑制活性を付与することができ
る。添加されるべき飲食品は特に限定されないが、肉製
品、加工野菜、惣菜類、乳製品、菓子、パン、清涼飲
料、果実飲料、酒類等が挙げられる。食品に対する本発
明の抗アレルギー剤の配合率も特に限定されない。
食品素材を混合して、顆粒状・粉末状・錠剤状あるいは
ブロック状などに成形し、食品素材や健康食品等として
もよい。その他の食品素材とは、例えば、糖類、食用た
んぱく質、アルコール、ビタミン、増粘多糖類、アミノ
酸、カルシウム塩類、色素、香料、保存剤等である。
品に抗アレルギー活性・抗炎症活性、あるいはヒスタミ
ン遊離抑制活性を付与することができる。化粧品とは、
特に限定されないが、例えば、化粧水、化粧クリーム、
乳液、ファンデーション、口紅、整髪料、ヘアトニッ
ク、育毛料、歯磨き、洗口料、シャンプー、リンス等で
ある。化粧品を調製する場合には、植物油等の油脂類、
ラノリンやミツロウ等のロウ類、炭化水素類、脂肪酸、
高級アルコール類、種々の界面活性剤、色素、香料、ビ
タミン類、植物・動物抽出成分、紫外線吸収剤、抗酸化
剤、保存剤等、通常の化粧品原料として使用されている
ものを適宜配合して製造することができる。
イコトリエン遊離抑制〕実施例に示す通り、ナリンゲニ
ンカルコンは、ヒスタミン遊離抑制活性およびロイコト
リエン遊離抑制活性を示すので、ヒスタミン遊離抑制剤
またはロイコトリエン遊離抑制(「ロイコトリエン産生
抑制」ともいう)剤として有用である。ナリンゲニンカ
ルコンは、そのままで、あるいは医薬品、飲食品または
化粧品に添加して、ヒスタミンまたはロイコトリエンの
遊離抑制が有効である疾患の予防治療のために使用でき
る。ナリンゲニンカルコンは、薬剤の有効成分として単
独で使用してもよく、また他の薬剤と混合してもよい。
ヒスタミン遊離抑制活性剤またはロイコトリエン遊離抑
制剤としての活性を有する限り、ナリンゲニンカルコン
は、その構造の一部が改変あるいは修飾されていている
誘導体であってもよい。ナリンゲニンカルコンの誘導体
としては、例えば、薬理上許容される塩、エステルある
いはプロドラック等が挙げられる。誘導体の詳細につい
ては前記抗アレルギー剤の項に記載した通りである。
法、ヒスタミン遊離抑制試験、ロイコトリエン遊離抑制
試験、アナフィラキシー抑制活性試験、並びに本発明の
抗アレルギー剤を含有する医薬品・飲食品・化粧品の製
造に関する実施例を示す。
方法: 1.ナリンゲニンカルコンの精製法 トマトの果皮を60%エタノール、60度の温水中で2時間
抽出を行った。これをろ過し、得たろ液を減圧濃縮した
後、高速液体クロマトグラフィー(カラムSHISEIDO CAP
CELL PAK C18 15 mmφ×250 mm; 溶離液, 0.1% トリフ
ルオロ酢酸を含むアセトニトリル/水=40/60)で分画し
て、ヒスタミン遊離抑制成分を得た。上記成分をLC-M
S、NMRなどを駆使して同定を行った。1H-NMRスペクトル
を図1、13C-NMRスペクトルを図2、LC-MSを図3に示し
た。以上により、該化合物がナリンゲニンカルコンであ
ることを確認した。なお、精製の各段階で得られた画分
のヒスタミン遊離抑制活性は、実施例2記載の方法によ
り行なった。
ン遊離抑制活性の測定:ナリンゲニンカルコンについ
て、下記方法でヒスタミン遊離抑制活性を測定した。そ
の結果を表1に示した。 (1)ラットを放血致死後直ちに腹腔よりヘパリン含有
肥満細胞用緩衝液(組成:0.150 M NaCl、3.7 mM KCl、
3.0 mM Na2HPO4、3.5 mM KH2PO4、0.9 mM CaCl2、5.6 m
M D-glucose、0.1% (w/v) gelatin)を用いて細胞を採
取した(生物薬科学実験講座12 炎症とアレルギーII、
大内和雄 編集、廣川書店、1993年、372ページ)。細
胞を洗浄後、2.0×105個/ ml になるよう上記ヘパリン
含有肥満細胞用緩衝液を加え、細胞浮遊液とした。一
方、実施例1で得たナリンゲニンカルコン、抗アレルギ
ー活性を有することが知られているフマル酸ケトチフェ
ンを、それぞれ0.15%ジメチルスルホキシド(DMSO,終
濃度)を含有するヘパリン含有肥満細胞用緩衝液に溶解
し、25 〜250μg/mlの濃度の試料溶液とした。
て37℃10分間インキュベートした。次いで、脱顆粒誘発
剤としてコンパウンド48/80(5 μg/ml)を20 μl 加え
て10分インキュベートした。その後いったん氷冷して遠
心分離(1,500×g、5 分、4度)し、上清中に遊離され
たヒスタミンを蛍光検出器付き高速液体クロマトグラフ
ィーにより測定した。
スタミン値から下記の計算式(1)を用いて算出した。 ヒスタミン遊離抑制率(%)=(1-(S-B)/(C-B))×100 ・・・(1) B:誘発剤を加えない対照の細胞から遊離されるヒスタ
ミン量 C:誘発剤を加えたときに細胞から遊離されるヒスタミ
ン量 S:被験試料を共存させて誘発剤を加えたときに細胞か
ら遊離されるヒスタミン量
ニンカルコンは、公知の抗アレルギー剤であるフマル酸
ケトチフェンよりも強い、ヒスタミン遊離抑制活性を示
した。ナリンゲニンカルコンが、抗アレルギー剤または
ヒスタミン遊離抑制剤として有用であることが示され
た。また、ナリンゲニンカルコンのIC50(50%阻害率)
は約70μg/ml、フマル酸ケトチフェンは約250 μg/ml
であり、その活性は約3.5倍であった。
の方法で調製した細胞浮遊液(1〜2×106個/ml )80μ
lに、各濃度のナリンゲニンカルコンを含有する試料溶
液20μlを加え、37℃で培養した。培養開始から、0,1
0,20,60,120分後に各10μlずつ取り出し、予め用意
しておいた20μlの0.4%トリパンブルー液に加えた。
青色色素で染まる細胞を死細胞と判定し、血球計算盤を
用いて、顕微鏡下で細胞数を測定し, cell viability
(全細胞数に対する生存細胞数の割合)と生存細胞数を
測定した。その結果、ナリンゲニンカルコンには細胞毒
性は見られなかった。
るアナフィラキシー抑制活性の評価:実施例1で得たナ
リンゲニンカルコンについて、下記方法でアナフィラキ
シー抑制活性を測定した。その結果を図4に示した。マ
ウスは15〜20gの体重の C3H/Hecrj、7週齢、雌を一群
当り5匹用いた。ナリンゲニンカルコンは0.5%CMC−Na
(カルボキシメチルセルロースナトリウム)溶液に懸濁
したものを調製し、対照として0.5 % CMC-Naを投与し
た。なお、ナリンゲニンカルコンの投与量は、体重1k
g当たり0.8mg、0.16mg、0.032mg、
0.0064mgとした。試料の投与は5日間かけて6回
行い、5日目に測定を行った。1日目から4日目までは1日
一回投与し、5日目のみ抗TNP-IgE溶液投与4時間前と30
分後の2回試料を経口投与した。
2ml投与し、30分後に試料溶液を経口投与した。さら
に30分後に左右の耳の厚さを測定し、この直後に塩化
ピクリルの0.8%アセトン・オリーブオイル(1:
1)溶液を各耳10μlずつ塗布した。塗布2時間後に
マウスの左右の耳の厚さを測定し、塗布前後の耳の厚さ
の差をアナフィラキシーによる浮腫とした。有意差の検
定はStudentのT検定によった。図4の結果から明らかな
ように、ナリンゲニンカルコンは、容量依存的なアナフ
ィラキシー抑制活性を示した。アナフィラキシーは、ア
レルギー症状の一種であることから、ナリンゲニンカル
コンが抗アレルギー剤として有用であることがさらに示
された。 [実施例5]ラットマクロファージからのロイコトリエン
遊離抑制活性の測定:実施例1で得たナリンゲニンカル
コンを被験試料として、下記方法でラットマクロファー
ジからのロイコトリエンB4遊離抑制活性を測定し、その
結果を表2に示した。可溶性でんぷん(和光、一級)お
よびバクトペプトン(DIFCO)を生理食塩水(0.9%NaC
l、大塚製薬)にそれぞれが5%になるように懸濁した。
オートクレーブにて滅菌(121℃、20分)した後、室温
に冷却した。エーテル麻酔下のラットに体重100gあたり
5mL腹腔内投与した(21G針使用)。4日後、エーテル麻
酔下のラットの頚動脈を切断し放血した。十分に放血し
た後、ラットにエタノールを噴霧し、クリーンベンチに
入れた。CMF-HBSS(Ca,Mg free HBSS)を腹腔内に25mL
投与し、腹部をよくもんだ。滅菌した器具を用いてラッ
トの腹部を開き、腹腔内の溶液を回収した。回収した溶
液は3枚重ねのガーゼを用いてろ過した。再びCMF-HBSS
(Ca,Mg free HBSS)25mLにて腹腔内を洗浄し、同様に
回収した。採取した細胞を氷冷0.1%BSA-PBSにて3回洗浄
した後、細胞を10%FBS-RPMI1640培地に懸濁し、6cmシャ
ーレに4.5x106 cells/3mL/シャーレになるようにまきこ
み、5%CO2、37℃インキュベータ内で2時間培養した。そ
の後、上清を捨て、PBSにてシャーレ内を3回洗浄して非
付着性細胞を洗い流し、シャーレ内に付着した細胞をマ
クロファージとして用いた。1%FBS-RPMI1640培地にて20
分間プレインキュベートした後、ラットの血清を用いて
オプソニン化したザイモサンを添加し、5%CO2、37℃イ
ンキュベータ内で一定時間培養した。また、サンプルは
ザイモサンを加える30分前に添加した。培養終了後、培
養上清を回収ELISA kit(Leukotriene B4 EIA Kit Cay
man)を用いて上清中のLTB4量を測定した。ロイコトリエ
ンB4遊離抑制活性は、測定されたロイコトリエンB4値か
ら下記の計算式(2)を用いて算出した。結果を表2に
示す。 ロイコトリエンB4遊離抑制率(%)=(1-(S-B)/(C-B))×100 ・・・(2) B:誘発剤を加えない対照の細胞から遊離されるロイコ
トリエンB4量 C:誘発剤を加えたときに細胞から遊離されるロイコト
リエンB4量 S:被験試料を共存させて誘発剤を加えたときに細胞か
ら遊離されるロイコトリエンB4量
に、ロイコトリエン遊離抑制活性を示した。 [実施例6]本発明の抗アレルギー剤を含有する医薬品 実施例1で精製したナリンゲニンカルコンを、以下の方
法で製剤化し、医薬品とした。 (1)ナリンゲニンカルコン100gに同量の乳糖及び
ステアリン酸マグネシウム5gと混合し、この混合物を
単発式打錠機にて打錠し、直径10mm、重量300m
gの錠剤を製造した。 (2)上記(1)で得た錠剤を粉砕、整粒し、篩別して
20〜50メッシュの顆粒剤を得た。
する飲食品 本発明の抗アレルギー剤を含有する食品として、以下の
組成(重量部)のキャンデーを製造した。砂糖(47.
0)、水飴(49.76)、香料(1.0)、水(2.
0)、ナリンゲニンカルコン(0.24)。
する化粧品 (1)以下の組成(重量部)の歯磨き粉を製造した。第
二リン酸カルシウム(42)、グリセリン(18)、カ
ラギーナン(0.9)、ラウリル硫酸ナトリウム(1.
2)、サッカリンナトリウム(0.09)、パラオキシ
安息香酸ブチル(0.005)、ナリンゲニンカルコン
(0.05)、香料(1)、水を加え100とした。
造した。リセリン(5.0)、プロピレングリコール
(4.0)、ナリンゲニンカルコン(0.15)、ポリオ
キシエチレンソルビタン モノラウリン酸エステル
(2.0)、エタノール(10.0)、香料(0.1)、
精製水を加え100とした。
スを製造した。化ステアリルジメチル(1.4)、ベン
ジルアンモニウムステアリルアルコール(0.6)、グ
リセリンモノステアレート(1.5)、食塩(0.1)、
ナリンゲニンカルコン1(0.1)、精製水を加え10
0とした。
たはその誘導体を有効成分とする抗アレルギー剤が提供
された。また、本発明により、該抗アレルギー剤を含有
することを特徴とする、医薬品、飲食品または化粧品が
提供された。さらに本発明により、ナリンゲニンカルコ
ンまたはその誘導体を有効成分とする、ヒスタミン遊離
抑制剤またはロイコトリエン遊離抑制剤が提供された。
本発明の抗アレルギー剤は、種々のアレルギー性疾患の
予防・治療剤、抗炎症剤、ヒスタミン遊離抑制剤あるい
はロイコトリエン遊離抑制剤として有用である。また、
本発明の抗アレルギー剤は、I型アレルギー反応におけ
る、肥満細胞からのヒスタミン遊離を阻害することか
ら、これに起因するアトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻
炎、花粉症おまたはアレルギー性喘息等の予防、治療
に、特に有用である。
か、飲食品、化粧品に添加することにより、これらの製
品に抗アレルギー活性、抗炎症活性、ヒスタミン遊離抑
制剤あるいはロイコトリエン遊離抑制活性を付与するこ
とができる。
1H-NMRスペクトル
13C-NMRスペクトル
LC-MS
カルコンのアナフィラキシー抑制活性を示す図。
Claims (4)
- 【請求項1】ナリンゲニンカルコンまたはその誘導体を
有効成分とする抗アレルギー剤。 - 【請求項2】ナリンゲニンカルコンまたはその誘導体を
有効成分とする、ヒスタミン遊離抑制剤またはロイコト
リエン遊離抑制剤。 - 【請求項3】請求項1記載の抗アレルギーを含有するこ
とを特徴とする、医薬品、飲食品または化粧品。 - 【請求項4】請求項2記載のヒスタミン遊離抑制剤また
はロイコトリエン遊離抑制剤を含有することを特徴とす
る、医薬品、飲食品または化粧品。
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---|---|---|---|---|
JP2008115163A (ja) * | 2006-10-10 | 2008-05-22 | Kikkoman Corp | アディポネクチン産生増強・促進剤 |
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