JP2002074752A - 情報記録媒体並びに薄膜形成用母材及びその製造方法 - Google Patents
情報記録媒体並びに薄膜形成用母材及びその製造方法Info
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Abstract
記録媒体と、この情報記録媒体を作製する際に好適な薄
膜形成用母材及びその製造方法とを提供する。 【解決手段】 本発明に係る情報記録媒体10、20、
30、40は、反射金属層12、22、32a、32
b、42a、42bが形成された信号層15、25、3
5a、35b、45a、45bに光を照射することによ
り信号を読み取る情報記録媒体であり、反射金属層1
2、22、32a、32b、42a、42bは、その組
成が、重量%で、Si:1.0〜10%、Fe:0.0
5〜0.25%、Mn:0.8〜1.2%、Ti:0.
2〜0.3%を含有し、残りがAlと不可避不純物から
なるアルミニウム合金であることを特徴とする。
Description
期間に亘り安定に読取可能な光学式情報記録媒体と、こ
の情報記録媒体に好適な反射金属層を作製できる薄膜形
成用母材及びその製造方法に関する。
検知手段とする光学式情報記録媒体は広く普及し、多方
面に利用されている。このような光学式情報記録媒体
は、コンパクトディスクに代表される再生のみ行うRO
M(read only memory)型媒体、CD−Rディスクと呼
ばれるWO(write once)型媒体、DVDなどに代表さ
れる媒体に大別されるが、何れの媒体においても、情報
を記録した信号層の背面側に反射金属層が設けられる構
造が広く採用されている。したがって、媒体に記録した
情報を安定に読み出すためには、上記媒体の種類には依
存せず、この反射金属層が高い反射率を長期に亘ってい
かに維持できるかが、媒体の長期信頼性を決める重要な
技術課題の一つである。
は、情報の読取は反射金属層からの反射光を検知して行
われるものであるから、反射金属層は物理的および化学
的安定性が高く、経時的劣化の少ないことが望まれる。
例えば反射率の低下は長期間使用した場合の情報の読取
エラーとなり好ましくない。また、上述した光学式情報
記録媒体において情報を反射光で読み取る場合は、反射
光量のみで読取の良否が定まるものではなく、レーザー
光線を照射して読み取る際にビット長さが長すぎたり短
すぎたりして検知される所謂信号周波数の時間的ずれ
(ジッターという)が生じ、その時間的ずれが所定値以
上となると情報の読取誤差をもたらす。あるいは情報ビ
ットの所定値以上の変形(ピットエラーという)も情報
の正確な読取を困難にする。いずれにせよこのような不
具合発生は好ましくないことから、読取信号の長期安定
性も強く望まれている。
おいて情報記録媒体用の反射金属層の開発が鋭意進めら
れており、例えば次のような材料が提案されている。 (1)特公平07−19396号公報には、重量%で、
0.1〜10%のTiを少なくとも含むアルミニウム合
金からなる反射金属層が開示されており、耐食性が良好
で経時変化も少ないことが報告されている。 (2)特開平11−328673号公報には、重量%
で、0.1〜1.5%のSiを含み、更に0.1〜1.
5%のMn又は0.05〜0.2%のTiのいずれかを
含むアルミニウム合金が記載されており、優れた耐食性
をもち、経時変化も小さくできると説明されている。
た従来の手法には以下に示すような課題があった。 (1)近年は情報記録媒体の市場が拡大するにつれて使
用者層も多岐にわたるようになり、これに伴い、高温高
湿の雰囲気など過酷な環境下で使用される場面も増える
傾向にあるため、例えば雰囲気温度が85℃で相対湿度
が95%にて暴露試験を行っても膜質変化が少ないこと
が求められる。しかしながら、このような過酷な条件下
では、上記2つの公報に記載の材料からなる反射金属層
では対応が困難となり、反射率が著しく低減したり、あ
るいはジッターやピットエラーが多発してしまうのが実
状であった。
明らかなように、上記組成の反射金属層は、形成する膜
組成とほぼ同じ薄膜形成用母材を用い、高純度な薄膜が
得られ易いドライプロセスで作製される。ドライプロセ
スとしては、例えば膜の密着性に優れるスパッタリング
法や極めて高純度の膜が得られ易い蒸着法などが利用さ
れる。その際、媒体は情報を記録した面内において均一
で均質な再生機能を備える必要があることから、反射金
属層にも均質な性質の確保が要求される。したがって、
反射金属層をなす基板への飛翔物の元となる薄膜形成用
母材には、組織が微細でかつ組成的偏析も少ない材料が
望ましく、このような組織をもつ母材が安定して作製で
きる製法の開発が強く期待されている。例えば、薄膜形
成用母材がスパッタ用途の場合には一体ものとしてある
程度の大きさが求められ、具体的には厚さ5〜15cm
程度で直径が20〜30cmφ程度のアルミニウム合金
の鋳造塊を作製できる安定な製法を確立する必要があ
る。つまり、本発明は、長期信頼性に優れた反射金属層
を備えた情報記録媒体と、この情報記録媒体を作製する
際に好適な薄膜形成用母材及びその製造方法と、を提供
することを目的とする。
目的を達成するために、本発明者は鋭意検討し研究を重
ねた結果、所定量のSi、Fe、Mn、Tiを含有させ
たアルミニウム合金からなる反射金属層を備えた情報記
録媒体は、化学的に安定で反射率の経時変化が小さく、
しかも信号特性も良好であることを見出し本発明を完成
するに至った。すなわち、第一の発明は、反射金属層が
形成された信号層に光を照射することにより信号を読み
取る情報記録媒体において、前記反射金属層は、その組
成が、重量%で、Si:1.0〜10%、Fe:0.0
5〜0.25%、Mn:0.8〜1.2%、Ti:0.
2〜0.3%を含有し、残りがAlと不可避不純物から
なるアルミニウム合金であることを特徴としている情報
記録媒体である。
属層の組成を上記の如くすることによって、成膜直後に
おけるレーザー光線等の光の反射量が高く、しかも信号
特性が良好で読取エラーの少ない媒体が得られる。更に
は、雰囲気温度85℃、相対湿度95%という環境下に
96時間放置するという過酷な暴露試験後においても反
射量の低下が殆ど無く、信号特性の劣化も極めて小さい
ことから、上記組成の反射金属層を備えた媒体は長期安
定性に非常に優れている。本発明において、反射金属層
はAlを主たる構成元素とするものであり、このAlに
添加されるSi、MnおよびTiは、Alからなる反射
金属層の耐食性および信号特性の長期安定性を付与する
ために添加するものである。Si、MnおよびTiの好
適な含有範囲は、重量%で、Siが1.0〜10%、M
nが0.8〜1.2%、Tiが0.2〜0.3%であ
る。成膜処理によって形成される反射金属層において
は、Si、MnおよびTiはAl地に固溶して反射金属
層の強度向上に寄与し、たとえ一部はAl−Si−Mn
系、Al−Mn系、Al−Ti系等の金属間化合物を形
成したとしても極微細な化合物であり、反射金属層の表
面を安定化して耐食性が向上するものと思われる。特に
Siはその添加量を増すことによって反射率は低下する
傾向にあるが、Siの添加量によって反射率を定めるこ
とができる。Si、MnおよびTiの含有量が各々の下
限値より低いと、この表面安定化による耐食性向上とい
う効果が殆ど無くなる。またそれぞれが上限値を超える
と反射金属層の表面における粗面化が進み、その結果、
入射するレーザー光線の乱反射が増大し、反射率の低下
が発生するので芳しくない。
eは、Si、MnおよびTiの存在下で反射金属層の信
号特性の長期安定性付与のために添加するものである。
Feの好適な含有範囲は、重量%で、0.05〜0.2
5%である。即ち、Feを下限値0.05%以上含有さ
せると、反射金属層中のFe固溶量が増すにつれて、反
射金属層の強度が一層向上し、反射金属層は安定性が増
し、その結果、反射金属層の信号特性の長期安定性が向
上したものと思われる。しかし、Fe含有量がこの下限
値より低いと、この反射金属層における強度向上が殆ど
見られず、反射金属層の信号特性の長期安定性も確認さ
れなかった。一方、Feの含有量が上限値0.25%を
超えると、薄膜形成用母材中にAl−Fe(−Mn)系
などの粗大な化合物が形成され易くなり、母材組織の不
均一、異常放電等の発生を生じ、これに伴い反射金属層
の表面が粗面化し、入射するレーザー光線の乱反射の増
大を招き、反射率が低下するので芳しくない。
下においてBを、重量%で、0.001〜0.02%の
範囲で添加しても構わない。この範囲で添加すると、反
射金属層をなす膜組織の微細化が期待できる。さらに、
本発明における不可避不純物とは、Cu、Mg、Cr、
Ni、Zn、Ga、V等を意味し、これらの各含有量は
重量%で0.05%以下が好ましく、不可避不純物の総
量としては0.15%以下が許容範囲である。本発明に
係る情報記録媒体は、好ましくは前記信号層は情報ピッ
トを有し、前記反射金属層が該情報ピットを備えた面に
沿って設けられたことを特徴としている。この構成によ
れば、情報ピットに対してレーザー光を入射させた際
に、反射金属層からの戻り光を確実に捉えられるので、
記録情報の安定した再生が実現するのでより望ましい。
1.0〜10%、Fe:0.05〜0.25%、Mn:
0.8〜1.2%、Ti:0.2〜0.3%を含有し、
残りがAlと不可避不純物からなるアルミニウム合金で
あることを特徴としている薄膜形成用母材である。上記
組成のアルミニウム合金を薄膜形成用母材として用い、
例えばスパッタ法や蒸着法により反射金属層を作製すれ
ば、この母材は金属間化合物が微細均一で組成的偏析も
少ないので、この母材を物理的あるいは熱的に飛散させ
て堆積させた反射金属層も均一で均質な組成とすること
が可能となる。つまり、上記組成のアルミニウム合金を
薄膜形成用母材として作製した反射金属層を採用するな
らば、上述したように成膜直後におけるレーザー光線等
の光の反射量が高く、しかも信号特性が良好で読取エラ
ーの少なく、更には長期安定性にも優れた情報記録媒体
の作製が可能となる。従って、本発明に係る薄膜形成用
母材は、優れた信号特性や長期信頼性を備えた情報記録
媒体の提供に寄与する。
1.0〜10%、Fe:0.05〜0.25%、Mn:
0.8〜1.2%、Ti:0.2〜0.3%を含有し、
残りがAlと不可避不純物からなるアルミニウム合金溶
湯を用い、半連続鋳造法で鋳造して鋳塊を作製する工程
を備えることを特徴としている薄膜形成用母材の製造方
法である。上記組成のアルミニウム合金溶湯を用い、半
連続鋳造法で鋳造することによって、金属間化合物が微
細均一で組成的偏析も少ない鋳塊を形成できる。特に、
前記鋳塊を作製する工程は、前記アルミニウム合金溶湯
の湯溜内における溶湯温度を715℃〜760℃とし、
該アルミニウム合金溶湯の鋳塊半径1/2において、固
液界面における凝固時冷却速度を1℃/秒以上とするこ
とによって、金属間化合物が微細均一で組成的偏析も少
ない鋳塊が極めて安定に得られるのでより望ましい。
施形態について図面に基づき詳述するが、本発明はこれ
らに限定されるものではない。本発明に係る情報記録媒
体は、これを構成する反射金属層を、その組成が、重量
%で、Si:1.0〜10%、Fe:0.05〜0.2
5%、Mn:0.8〜1.2%、Ti:0.2〜0.3
%を含有し、残りがAlと不可避不純物からなるアルミ
ニウム(Al)合金とすることにより、上述した作用・
効果が得られる。換言すれば、以下の2点に纏められ
る。
重量%で、Si:1.0〜10%、Fe:0.05〜
0.25%、Mn:0.8〜1.2%、Ti:0.2〜
0.3%を含有し、残りがAlと不可避不純物からなる
Al合金の反射金属層は、従来使用されているスパッタ
法あるいは蒸着法で形成したAl合金に比べて、物理的
および化学的安定性に優れ、経時的な変化が少ない。 (2)具体的には、上記組成のAl合金からなる反射金
属層を、雰囲気温度85℃で相対湿度95%の環境下に
96時間放置しても、反射金属層の反射率は殆ど無かっ
た。また、情報の読取におけるジッターやピットエラー
も極めて小さいことから、上記反射金属層を備えた情報
記録媒体は、信号特性の長期安定性において優れている
ことが明らかとなった。
の組成について、情報記録媒体を構成する反射金属層、
並びに、この反射金属層の形成に用いる薄膜形成用母材
及びその製造方法という観点から詳述する。 (Si、Mn、Ti)Alに添加されるSi、Mnおよ
びTiは、従来技術と同様にAl反射膜の耐食性および
信号特性の長期安定性を付与するために添加するもので
ある。Si、MnおよびTiの好適な含有範囲は、重量
%で、Siが1.0〜10%、Mnが0.8〜1.2
%、Tiが0.2〜0.3%である。成膜処理によって
得られた反射金属層においては、前述したとおりSi、
MnおよびTiはAl地に固溶して金属層の強度を向上
し、一部はAl−Si−Mn系、Al−Mn系、Al−
Ti系等の金属間化合物を形成したとしても極微細な化
合物で、反射金属層の表面を安定化して耐食性が向上す
るものと思われる。特にSiはその添加量を増すことに
よって反射率は低下する傾向にあるが、Si添加量によ
って反射率を定めることができる。Si、MnおよびT
i含有量が各々の下限値より低いと、この表面安定化に
よる耐食性向上という効果が少なくなる。またそれぞれ
が上限値を超えると、反射金属層の表面における粗面化
が進み、その結果、入射するレーザー光線の乱反射が増
大し、反射率の低下が発生するので好ましくない。
MnおよびTiの存在下で反射金属層の信号特性の長期
安定性付与のために添加するものである。Feの好適な
含有範囲は、重量%で、0.05〜0.25%である。
即ち、Feをこの下限値0.05%以上含有させると、
反射金属層中のFe固溶量が増すにつれて、さらに反射
金属層の強度が向上し、反射金属層は安定性が増加した
結果、反射金属層の信号特性の長期安定性が向上したも
のと思われる。本発明に係る薄膜形成用母材は、Feを
この含有範囲としたAl合金溶湯を用い半連続鋳造して
作製するので、通常方法では粗大化し易いAl−Mn系
等の化合物をAl−Si−Fe−Mn系等の微細化合物
とすることができる。従って、このようなターゲット材
を使用してスパッタもしくは蒸着により反射金属層を形
成すれば、反射金属層はその表面における粗面化が抑制
されるので、反射率の向上や耐食性の改善が図れるの
で、信号特性の長期安定性が向上する。
下においてBを、重量%で、0.001〜0.02%の
範囲で添加してもよい。この範囲でB添加すると、反射
金属層をなす膜組織の微細化を促進できるのでより望ま
しい。さらに、本発明におけるAl合金は不可避不純物
として、Cu、Mg、Cr、Ni、Zn、Ga、V等を
含むが、これらの各含有量は重量%で0.05%以下と
し、不可避不純物の総量は0.15%以下とするのがよ
い。不可避不純物がこの範囲を超えると、上述したS
i、Mn、TiあるいはFeの添加効果が阻害されるの
で芳しくない。
法の原材料として使用され、この原材料から作製される
反射金属層は均一で耐食性を妨げる化合物のなるべく少
ないものが望まれる。従って、均一な反射金属層を得る
には、薄膜形成用母材をより均一なものとする必要があ
る。即ち、薄膜形成用母材に例えば粗大な金属間化合物
が存在すれば、その化合物がスパッタされたときに雰囲
気の組成が一時的に変化してスパッタされ、反射金属層
の均一性を妨げる。しかしながら、本発明に係る半連続
鋳造法によれば、反射金属層の強度あるいは安定性を改
善するために含有させるFeを高濃度に含む組成として
も、均一な鋳塊が得られる。ゆえに、この鋳塊から作製
された薄膜形成用母材は、反射金属層を形成するのに好
適である。ここで、半連続鋳造法とは、アルミニウム
(Al)合金溶湯を鋳型内に給湯し、鋳型内でこれを冷
却し、凝固して得られた鋳塊を鋳型底部より引き出しつ
つ、この鋳塊を水冷して連続的に急冷鋳造する方法であ
る。図5は半連続鋳造法を示す模式的な説明図である。
図5において、21は水冷鋳型、22は冷却水、23は
アルミニウム(Al)合金溶湯、24は鋳塊、25は受
台、26は湯溜、27はチューブ、28はフロート、2
9は固液界面である。
膜形成用母材を作製する手順に従い説明する。先ず、受
台55は水冷鋳型51内に収納(図示せず)した状態と
する。次いで、湯溜56内にAl合金溶湯53を導入す
る。導入されたAl合金溶湯53は、チューブ57を通
過してフロート58に至り、このフロート58で水冷鋳
型51内に給湯される。図5の矢印a1、a2、a3は
湯溜56内のAl合金溶湯53が水冷鋳型51内に給湯
される方向を示す。なお、水冷鋳型51は水冷手段とし
て水52を内蔵する。その際、フロート58は、適当量
のAl合金溶湯53が水冷鋳型51内に給湯された時点
で、チューブ57の開口部を塞ぎ、水冷鋳型51内にお
けるAl合金溶湯53’の上面位置を一定に保つように
働き、Al合金溶湯53’量を調節する。そして、この
水冷鋳型51内に給湯されたAl合金溶湯53’は水冷
鋳型51と受台55で冷却され、冷却を受けた部分が凝
固する。この凝固した部分を鋳塊54と呼ぶ。この凝固
を確認しながら、順次受台55を水冷鋳型51より下方
(図5の矢印Cの方向)に引き出す。その際、この引き
出された鋳塊54は、その側面に沿って流れ下る(図5
の矢印b1、b2の方向)ように水冷鋳型51から供給
される水流52’によって更に冷却され続ける。つま
り、受台25が下方に引き出されるにつれて、湯溜56
内のAl合金溶湯53はチューブ57、フロート58を
通過して水冷鋳型51内に給湯され、その後、水冷鋳型
51内で急冷されて鋳塊54が得られる。
示す如き状態になる。湯溜56内のAl合金溶湯53の
温度は715℃〜760℃が適当である。715℃より
低いと合金元素が溶解しきれず、一部化合物として存在
する鋳塊54が形成される。一方、760℃を超えると
水冷鋳型51内で堅固に凝固できず、水冷鋳型51より
Al合金溶湯53’が漏れる恐れがある。従って、薄膜
形成用母材として好ましい結晶形態である鋳塊54を製
造するためには、湯溜56内のAl合金溶湯53の温度
を715℃〜760℃とする必要がある。また、水冷鋳
型51内のAl合金溶湯53’の凝固時の冷却速度は1
℃/秒以上が適当である。1℃/秒未満であると、合金
元素を含む化合物が粗大化した鋳塊54となる恐れがあ
るので、この鋳塊54からは好ましい薄膜形成用母材は
得られ難く、ひいては情報記録媒体に適した均一な金属
反射層も形成し難い。凝固時の冷却速度には上限は見ら
れないことから、凝固速度は速ければ速いほど好まし
い。なお、ここで、凝固時の冷却速度を測定した位置
は、図5に符号59で示した固液界面において、その半
径の1/2となる位置、すなわち図5に矢印dで示した
矢先の位置である。なお、水冷鋳型51内におけるAl
合金溶湯53’を機械的あるいは電磁力等によって攪拌
しながら鋳造すると、鋳塊内部の組織を一層均一にでき
て好ましい。また水冷鋳型51上に溶湯53’を溜めて
おける断熱材製の鋳型を設けたいわゆるホットトップ鋳
型を用いて鋳造すると、鋳塊の周辺部分の組織を一層均
一にできて好ましい。
母材を用いて作製した上記組成からなる反射金属層を適
用するのに好適な情報記録媒体について、その構成や情
報の読取方法等という観点から詳述する。図1は、本発
明に係る情報記録媒体の一例を示す模式的な断面図であ
る。この情報記録媒体10は、コンパクトディスク(通
常CDと略称される)などで採用されている単盤ディス
クと呼ばれる構造を備えた媒体である。詳細には、この
情報記録媒体10は、情報ピット14を有する信号層
(記録層)15、この情報ピット14を備えた面に沿っ
て設けられる反射金属層12、並びに、この反射金属層
12の上に設けられる保護層13を備え、この保護層1
3が最表面をなす表面19Fと平坦をなす裏面19Bと
をもつ基板11からなり、この基板11の裏面19B側
から情報ピット14に光L1を入射させることを特徴と
している。この裏面19Bは再生面と呼ばれ、再生面側
から情報ピット14に向けて集光手段18を通してレー
ザー光線等の光L1を入射し、戻り光を不図示の検知手
段で検出することによって情報を再生する。
して透明な基板11に上述の如く種々の情報をデジタル
信号に変換した信号が情報ピット14の列として穿孔記
録し、この情報ピット14を含む透明な基板11の薄層
は信号層(もしくは記録層)15と呼ばれている。次い
で、デジタル信号に変換した信号を情報ピット14の列
として穿孔記録された信号層(記録層)15を含む透明
な基板11には、スパッタ法または蒸着法等の手段で情
報ビット14面に光L1を反射する反射金属層12が設
けられる。そして、反射金属層12が設けられた後に保
護層13が設けられる。この反射金属層12として、上
述した本発明に係る組成のアルミニウム合金からなる薄
膜を用いる。光L1はピックアップ装置の光源(図示せ
ず)から発せられるもので、集光手段18で集光され反
射金属層12面に収斂する。読み取りにあたっては、情
報記録媒体10を回転させ、透明な基板11のフラット
な再生面19B側から光L1を入射させ、収斂した光線
が情報ビットを走査し、反射金属層12からの反射光を
前記ピックアップ装置で検知し、情報ビット14の列に
変換することで、音声や画像、文字などの情報として読
み取るものである。
一例を示す模式的な断面図である。この情報記録媒体2
0は、一般に片面単層ディスクと呼ばれる媒体であり、
構造的には、第一基板21の保護層23側に接着剤26
を介して第二基板27を貼り合わせた点のみ図1に示す
情報記録媒体10と異なる。詳細には、情報ピット24
を有する信号層25、この情報ピット24を備えた面に
沿って設けられる反射金属層22、並びに、この反射金
属層22の上に設けられる保護層23を備え、この保護
層23が最表面をなす表面と平坦をなす裏面29Bとを
もつ第一基板21と、表裏両面とも平坦をなす第二基板
27とを具備し、第一基板21と第二基板27の各々の
表面同士が接着剤26で固着されてなり、この第一基板
21の裏面29B側から情報ピット24に光L2を入射
させることを特徴としている。図2に示す構成の情報記
録媒体20は、保護層23の上に第二基板27が接着剤
26を介して強固に接着されているので、情報記録媒体
10に比べて情報ピット24側が外力から保護される点
において優れており、媒体が使用される雰囲気の影響も
受けづらい構造をなしている。図2の情報記録媒体20
における情報の読取方法は、上述した図1の情報記録媒
体10の場合と同様である。
他の一例を示す模式的な断面図である。この情報記録媒
体30は、一般に両面単層ディスクと呼ばれる媒体であ
り、構造的には、図1に示す情報記録媒体10を2枚用
意し、各々の媒体の保護層13側同士を接着剤を介して
貼り合わせた構造をなしている。詳細には、情報記録媒
体30は、情報ピット34aを有する信号層35a、こ
の情報ピット34aを備えた面に沿って設けられる反射
金属層32a、並びに、この反射金属層32aの上に設
けられる保護層33aを備え、この保護層33aが最表
面をなす表面と平坦をなす裏面39aとをもつ第一基板
31aと、情報ピット34bを有する信号層35b、こ
の情報ピット34bを備えた面に沿って設けられる反射
金属層32b、並びに、この反射金属層32bの上に設
けられる保護層33bを備え、この保護層33bが最表
面をなす表面と平坦をなす裏面39bとをもつ第二基板
を具備しており、この第一基板31aと第二基板31b
の各々の表面同士が接着剤36で固着されてなり、第一
基板31aと第二基板31bの各々の裏面39a、39
b側から、各々の情報ピット34a、34bに各々光L
3a、L3bを入射させることを特徴としている。
における情報の読取方法は、図1の情報記録媒体10で
は片面(再生面19B)側から行っていた読取を、両面
(再生面39aと再生面39b)でそれぞれ読取を行う
点が大きく異なっている。具体的には、次に述べるよう
な2つのステップ(S31)と(S32)により行われ
る。 (S31)先ず再生面39a側で読取をする際は、情報
記録媒体10と同様に情報記録媒体30を回転させ、透
明な基板31aのフラットな再生面39a側からレーザ
ー光線等の光L3aを入射させ、集光手段38aで集光
させて情報ビット34aに設けられた反射金属層32a
面に収斂させる。収斂した光線が情報ビットを走査し、
反射金属層32aからの反射光を不図示のピックアップ
装置で検知し、情報ビット34aの列に変換すること
で、音声や画像、文字などの情報として読み取るもので
あることは図1の場合と同様である。 (S32)次いで、情報記録媒体30の場合は、再生面
39a側からの読取終了後、再生面39b側からレーザ
ー光線等の光L3bを入射させ、集光手段38bで集光
させて情報ビット34b設けられた反射金属層32b面
に収斂させる。読取は先に述べた情報ビッット34aを
光L3aで読み取る場合と同様に、情報ビッット34b
を光L3bを用いて読み取る。これにより、情報記録媒
体30は、片面読取の場合すなわち情報記録媒体10や
情報記録媒体20に比べて2倍の情報読取力を有する。
他の一例を示す模式的な断面図である。この情報記録媒
体40は、一般に片面2層ディスクと呼ばれる媒体であ
り、構造的には、図3に示す情報記録媒体30と同じで
ある。しかしながら、図3の情報記録媒体30では両面
から読取が行われるのに対して、図4の情報記録媒体4
0は片面から読取を行う点において異なる。詳細には、
情報記録媒体40は、情報ピット44aを有する信号層
45a、この情報ピット44aを備えた面に沿って設け
られる反射金属層42a、並びに、この反射金属層42
aの上に設けられる保護層43aを備え、この保護層4
3aが最表面をなす表面と平坦をなす裏面49aとをも
つ第一基板41aと、情報ピット44bを有する信号層
45b、この情報ピット44bを備えた面に沿って設け
られる反射金属層42b、並びに、この反射金属層42
bの上に設けられる保護層43bを備え、この保護層4
3bが最表面をなす表面と平坦をなす裏面49bとをも
つ第二基板を具備しており、この第一基板41aと第二
基板41bの各々の表面同士が接着剤46で固着されて
なり、第一基板41aの裏面49a側から、第一基板4
1aと第二基板41bの各々の情報ピット44a、44
bに各々光L4a、L4bを入射させることを特徴とし
ている。
における情報の読取方法は、次に述べるような2つのス
テップ(S41)と(S42)により行われる。 (S41)再生面49a側から光L4aを入射させて情
報ピット44aの読取をする際は、情報記録媒体30に
おけるステップ(S31)と同様に読取が行われる。つ
まり、先ず再生面49a側で情報ピット44aの読取を
する際は、情報記録媒体40を回転させ、透明な基板4
1aのフラットな再生面49a側からレーザー光線等の
光L4aを入射させ、集光手段48aで集光させて情報
ビット44aに設けられた反射金属層42a面に収斂さ
せる。収斂した光線が情報ビットを走査し、反射金属層
42aからの反射光を不図示のピックアップ装置で検知
し、情報ビット44aの列に変換することで、音声や画
像、文字などの情報として読み取るものである。 (S42)次いで、情報記録媒体40の場合は、再生面
49a側から光L4aを入射させて情報ピット44aを
読み取った後、同じ再生面49a側から光L4bを入射
させて今度は情報ピット44bの読み取りを行う。その
際は、再生面49a側から光L4bを入射させ、集光手
段48bで集光させて情報ピット44bに設けられた反
射金属層42bに収斂させて読み取る。この場合、レー
ザー光線等の光L4bの少なくとも一部は情報ピット4
4aに設けられた反射金属層42aを通過させる必要が
あるため、反射金属層42aとしては極薄い膜厚のもの
が好ましく、例えば厚さ20nm程度の金(Au)膜が
好適である。このような形態からなる反射金属層42a
を通過した光L4bが情報ピット44bに収斂し、反射
光がピックアップの検知手段(図示せず)で検知され
て、情報として読み取るものである。つまり、情報記録
媒体40は、情報記録媒体30と同様に、片面読取の場
合すなわち情報記録媒体10や情報記録媒体20に比べ
て2倍の情報読取力を有する。特に、情報記録媒体40
は、この2倍の情報読取力を片面からの読取で実現でき
る点が情報記録媒体30と異なる。つまり、情報記録媒
体40は光源やピックアップ等の読取手段を媒体の片面
側に配置しさえすれば良いことから、情報記録媒体40
から情報を読み取る装置の薄型化を図る上で大きく寄与
する。
MnおよびTiを含有し、残りがAlと不可避不純物か
らなるAl合金である鋳塊(直径20cmφ)を半連続
鋳造法で作製した。その際、Al合金が含有する各種元
素を、Siは0.05〜15%、Feは0.01〜0.
30%、Mnは0.01〜1.5%、Ti:0.01〜
0.35%の各範囲で変更することにより各種組成のA
l合金を形成した。半連続鋳造法における湯溜内溶湯温
度は720℃〜725℃とした。また鋳塊の凝固時の冷
却速度は半径1/2の位置における固液界面の位置で2
〜10℃/秒であった。表1〜3には、得られた鋳塊の
組成を発光分光分析法により調べた結果を示した。な
お、この表中に示した組成以外の残部は、Alと不可避
不純物である。この鋳塊から薄膜形成用母材として表1
〜表3に示した各種組成のスパッタターゲット材を作製
した。このスパッタターゲット材を用い、図2に示す片
面単層ディスク構造の情報記録媒体20の反射金属層2
2を作製した。反射金属層22は、厚さ0.6mmで、
透明のポリカーボネート樹脂からなる基板21の情報ピ
ット24面上にスパッタ法により形成し、その厚さは5
0nmとした。得られた反射金属層の組成を分析した結
果、使用した各スパッタターゲット材の組成と形成した
反射金属層の組成は同じであることが確認された。
属膜22を設けた情報記録媒体20を、雰囲気温度が8
5℃で相対湿度が95%の環境中に、96時間暴露放置
し、情報記録媒体に対して高温高湿負荷テストを行っ
た。ここで、高温高湿負荷テストは、所定の暴露放置時
間毎に、所定値以上の欠落(ピットエラー)等を測定す
る信号系評価と反射金属層の反射率を測定評価する2項
目からなる。反射率とは、反射金属層22に対して、図
2に示す如くレーザー光線からなる光L2を入射させ、
反射光量を測定し、入射光量に対する反射光量の比率か
ら求めた数値である。表1〜3に示す反射率の評価結果
において、「前」とは暴露時間0時間、即ち暴露前の反
射金属層の反射率を示す。一方、「後」とは96時間の
暴露放置を終えた後の反射金属層の反射率を示す。信号
系の評価結果とは、DVD規格に基づきジッターとピッ
トエラーを評価し、各規定値を満たすか否かを調べた結
果である。表1〜3に示す信号系の評価結果における○
印は、ジッター及びピットエラーが評価基準を満足し、
情報記録媒体として良好であることを示す。一方、×印
はこの評価基準を満たさないことを示す。
図で変更された。表1の上段は、各元素の最小値に対し
て他の元素の含有量を増加させた場合を検討した結果で
ある。これに対して、表1の下段は、Siの含有量を変
更し、他の元素はある一定値に固定(Fe=0.15
%、Mn=1.0%、Ti=0.25%)した場合であ
る。表2の上段は、試料No.16以外は、Feの含有
量を変更し、他の元素はある一定値に固定(Mn=1.
0%、Ti=0.25%、Si=5.0%)した場合で
ある。一方、表2の下段は、Mnの含有量を変更し、他
の元素はある一定値に固定(Fe=0.15%、Ti=
0.25%、Si=5.0%)した場合である。表3の
上段は、Tiの含有量を変更し、他の元素はある一定値
に固定(Fe=0.15%、Mn=1.0%、Si=
5.0%)した場合である。最後に、表3の下段に記載
した試料No.30〜32は、Fe含有量を最小値0.
01%としてSi含有量を大きく変えた場合を示し、試
料No.33はFeを含有しない場合である。
られた。但し、以下の説明で用いる%は重量%を表す。 (1)試料1〜5の結果より、Al合金が含有する個別
の元素すなわちFe、Mn、Ti、Siを増加させて
も、信号系の評価結果は改善しない。 (2)試料6〜9の結果より、Feを0.15%含有さ
せたAl合金に、Mn、Ti、Siを所定量以上に加え
ていくと、信号系の評価結果において良好となる暴露時
間が伸びていき、信号系の評価に著しい改善が見られ
た。 (3)表1下段(試料8〜15)の結果より、Si含有
量を1〜10%とした時、信号系の評価結果が良好(暴
露96時間後でも○印)であり、かつ、暴露後の反射率
も70%以上を確保できる。 (4)表2上段(試料11、16〜21)の結果より、
Fe含有量を0.05〜0.25%とした時、信号系の
評価結果が良好(暴露96時間後でも○印)であり、か
つ、暴露後の反射率も70%以上を確保できる。 (5)表2下段(試料19、22〜25)の結果より、
Mn含有量を0.8〜1.2%とした時、信号系の評価
結果が良好(暴露96時間後でも○印)であり、かつ、
暴露後の反射率も70%以上を確保できる。 (6)表3上段(試料11、26〜29)の結果より、
Ti含有量を0.2〜0.3%とした時、信号系の評価
結果が良好(暴露96時間後でも○印)であり、かつ、
暴露後の反射率も70%以上を確保できる。 (7)試料30〜32の結果より、Fe含有量が少ない
(0.01%)とSi含有量を増加させても、96時間
後の信号系の評価結果は改善しない。但し、反射率は暴
露後も高い値を維持できる。 (8)試料33の結果より、Feを含有しないと、Al
合金にMn、Ti、Siを所定量以上に加えても、96
時間後の信号系の評価結果は改善しない。
する反射金属層22として、重量%で、Si:1.0〜
10%、Fe:0.05〜0.25%、Mn:0.8〜
1.2%、Ti:0.2〜0.3%を含有し、残りがA
lと不可避不純物からなる組成のAl合金からなる薄膜
を設けることにより、上述した高温高湿負荷テストにお
いて極めて良好な媒体が安定して得られることが明らか
となった。なお、ここでは、図2に示す片面単層ディス
ク構造の情報記録媒体20の反射金属層22に、本発明
に係る組成を適用した場合について詳述したが、他の構
造の情報記録媒体10、30、40においてもほぼ同様
の結果が得られることが見出された。したがって、本発
明に係る組成、すなわち重量%で、Si:1.0〜10
%、Fe:0.05〜0.25%、Mn:0.8〜1.
2%、Ti:0.2〜0.3%を含有し、残りがAlと
不可避不純物からなる組成のAl合金を反射金属層に採
用すれば、長期信頼性に優れた情報記録媒体の提供が可
能になると判断した。
金を作製する際に用いた半連続鋳造法に代えて金型鋳造
法を用い、実施例1における試料11の組成からなるA
l合金の鋳塊を作製した。鋳塊の直径は実施例1と同様
に20cmとした。本例に係る金型鋳造法の鋳造条件
は、半連続鋳造法における湯溜に相当するレンドル内の
溶湯温度を720〜725℃とし、凝固時の冷却速度
は、鋳塊長さ1/2で半径の1/2の位置で0.01〜
0.05℃/秒であった。つまり、実施例1で用いた半
連続鋳造法と大きく異なる点は、凝固時の冷却速度であ
る。具体的には、半連続鋳造法における凝固時の冷却速
度が1℃/秒以上であるのに対して、本例に係る金型鋳
造法における凝固時の冷却速度は0.01〜0.05℃
/秒であり、前者に比べて後者は凝固時に約100倍遅
く冷却処理される。本例に係る金型鋳造法で得られた鋳
塊からも、実施例1と同様にスパッタターゲット材を製
作した。そして、このスパッタターゲット材を使用し
て、実施例1と同じ条件で透明のポリカーボネート樹脂
の情報ピット面にスパッタ処理し、実施例1と同じ構成
の図2に示す情報記録媒体20を作製し、実施例1と同
じ項目について同条件で測定した。その結果を表4に示
す。なお、本例で作製した試料は試料34と呼称する。
なお、表4には比較のため、実施例1で作製した試料1
1の結果も合わせて示した。
遅いスパッタターゲット材を用いて形成した反射金属層
を備えた媒体(試料34)は、鋳造の冷却速度が速い半
連続鋳造法で得たスパッタターゲット材を用いて形成し
た反射金属層を備えた媒体(試料11)と比較して、信
号系の評価においては大きな差はなく、反射率において
も良好であるが、反射率の劣化速度が大きいことが分か
った。つまり、96時間暴露後において試料11では反
射率に変化は見られないのに対して、試料34では反射
率が73%から70%へと低下する傾向を示すことか
ら、本発明に係る組成のAl合金を鋳造して作製する方
法は、鋳造時の冷却速度が速い半連続鋳造法が好ましい
と判断した。
記録媒体は、信号層を構成する反射金属層として、その
組成が、重量%で、Si:1.0〜10%、Fe:0.
05〜0.25%、Mn:0.8〜1.2%、Ti:
0.2〜0.3%を含有し、残りがAlと不可避不純物
からなるアルミニウム(Al)合金を設けた。これによ
り、化学的に安定で反射率の経時変化が小さく、しかも
信号特性も良好な情報記録媒体の提供が可能となった。
特に、本発明に係る情報記録媒体は、作製後の諸特性が
優れるばかりではなく、雰囲気温度85℃、相対湿度9
5%という高温高湿の雰囲気に長時間放置された後で
も、この初期特性を維持できる。ゆえに、従来より長期
信頼性の面において著しく改善された情報記録媒体の提
供が可能となる。
れば、媒体構造に依らず、上記効果が得られる。本願で
は、図1〜図4に示した代表的な4種類の情報記録媒体
に適用した例について述べたが、本発明は、反射金属層
が形成された信号層に光を照射することにより信号を読
み取る情報記録媒体であれば、如何なる構造の媒体にも
応用できることは言うまでもない。上記作用・効果をも
たらす反射金属層を形成するためには、反射金属層と同
じ組成のアルミニウム合金からなる薄膜形成用母材が好
適である。反射金属層を設ける作製法に応じて、母材の
形態はスパッタターゲット材として提供される。
れた反射金属層を形成する原材料として用いるものであ
る。従って、母材内に例えば粗大な金属間化合物が存在
し、その化合物がスパッタあるいは蒸着され、雰囲気の
組成が一時的に変化した結果、形成される反射金属層の
均一性が阻害される懸念があってはならない。これに対
し、本発明に係る組成、すなわち重量%で、Si:1.
0〜10%、Fe:0.05〜0.25%、Mn:0.
8〜1.2%、Ti:0.2〜0.3%を含有し、残り
がAlと不可避不純物からなる組成のAl合金からなる
薄膜形成用母材は、含有する金属間化合物が極めて少な
いことから、上記特質すなわち高温高湿下における優れ
た耐久性を備えた反射金属層を安定して作製することに
寄与する。また、上記組成の薄膜形成用母材を安定して
製造するためには、半連続鋳造法が有効である。特に、
半連続鋳造法で上記組成のAl合金を作製するために
は、湯溜56内のAl合金溶湯53の温度と、水冷鋳型
51内のAl合金溶湯53の凝固時の冷却速度とを所定
値とすることが重要であり、これにより、含有する金属
間化合物の極めて少ない母材が常に安定して製造でき
る。
的な断面図である。
模式的な断面図である。
示す模式的な断面図である。
示す模式的な断面図である。
明図である。
属層、 13、23、33a、33b、43a、43b 保護
層、 14、24、34a、34b、44a、44b 情報ピ
ット、 15、25、35a、35b、45a、45b 信号層
(記録層)、 18、28、38a、38b、48a、48b 集光手
段、 19F 表面、 19B、29B、39a、39b、49a、49b 裏
面、 21、31a、41a 第一基板、 26、36、46 接着剤、 27、31b、41b 第二基板、 51 水冷鋳型、 52 冷却水、 53 湯溜56内のアルミニウム(Al)合金溶湯、 54 鋳塊、 55 受台、 56 湯溜、 57 チューブ、 58 フロート、 59 固液界面。
Claims (10)
- 【請求項1】 反射金属層が形成された信号層に光を照
射することにより信号を読み取る情報記録媒体におい
て、 前記反射金属層は、その組成が、重量%で、Si:1.
0〜10%、Fe:0.05〜0.25%、Mn:0.
8〜1.2%、Ti:0.2〜0.3%を含有し、残り
がAlと不可避不純物からなるアルミニウム合金である
ことを特徴とする情報記録媒体。 - 【請求項2】 前記信号層は情報ピットを有し、前記反
射金属層が該情報ピットを備えた面に沿って設けられた
ことを特徴とする請求項1に記載の情報記録媒体。 - 【請求項3】 情報ピットを有する前記信号層、該情報
ピットを備えた面に沿って設けられる前記反射金属層、
並びに、該反射金属層の上に設けられる保護層を備え、
該保護層が最表面をなす表面と平坦をなす裏面とをもつ
基板からなり、前記基板の裏面側から情報ピットに光を
入射させることを特徴とする請求項1に記載の情報記録
媒体。 - 【請求項4】 情報ピットを有する前記信号層、該情報
ピットを備えた面に沿って設けられる前記反射金属層、
並びに、該反射金属層の上に設けられる保護層を備え、
該保護層が最表面をなす表面と平坦をなす裏面とをもつ
第一基板と、表裏両面とも平坦をなす第二基板とを具備
し、該第一基板と該第二基板の各々の表面同士が接着剤
で固着されてなり、 前記第一基板の裏面側から情報ピットに光を入射させる
ことを特徴とする請求項1に記載の情報記録媒体。 - 【請求項5】 情報ピットを有する前記信号層、該情報
ピットを備えた面に沿って設けられる前記反射金属層、
並びに、該反射金属層の上に設けられる保護層を備え、
該保護層が最表面をなす表面と平坦をなす裏面とをもつ
第一基板と第二基板を具備し、該第一基板と該第二基板
の各々の表面同士が接着剤で固着されてなり、 前記第一基板と前記第二基板の各々の裏面側から、各々
の情報ピットに光を入射させることを特徴とする請求項
1に記載の情報記録媒体。 - 【請求項6】 情報ピットを有する前記信号層、該情報
ピットを備えた面に沿って設けられる前記反射金属層、
並びに、該反射金属層の上に設けられる保護層を備え、
該保護層が最表面をなす表面と平坦をなす裏面とをもつ
第一基板と第二基板を具備し、該第一基板と該第二基板
の各々の表面同士が接着剤で固着されてなり、 前記第一基板の裏面側から、前記第一基板と前記第二基
板の各々の情報ピットに光を入射させることを特徴とす
る請求項1に記載の情報記録媒体。 - 【請求項7】 組成が、重量%で、Si:1.0〜10
%、Fe:0.05〜0.25%、Mn:0.8〜1.
2%、Ti:0.2〜0.3%を含有し、残りがAlと
不可避不純物からなるアルミニウム合金であることを特
徴とする薄膜形成用母材。 - 【請求項8】 前記アルミニウム合金はスパッタターゲ
ット材であることを特徴とする請求項7に記載の薄膜形
成用母材。 - 【請求項9】 組成が、重量%で、Si:1.0〜10
%、Fe:0.05〜0.25%、Mn:0.8〜1.
2%、Ti:0.2〜0.3%を含有し、残りがAlと
不可避不純物からなるアルミニウム合金溶湯を用い、半
連続鋳造法で鋳造して鋳塊を作製する工程を備えること
を特徴とする薄膜形成用母材の製造方法。 - 【請求項10】 前記工程は、前記アルミニウム合金溶
湯の湯溜内における溶湯温度を715℃〜760℃と
し、該アルミニウム合金溶湯の鋳塊半径1/2におい
て、固液界面における凝固時冷却速度を1℃/秒以上と
することを特徴とする請求項9に記載の薄膜形成用母材
の製造方法。
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