JP2002072096A - 超解像顕微鏡 - Google Patents

超解像顕微鏡

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JP2002072096A JP2000259889A JP2000259889A JP2002072096A JP 2002072096 A JP2002072096 A JP 2002072096A JP 2000259889 A JP2000259889 A JP 2000259889A JP 2000259889 A JP2000259889 A JP 2000259889A JP 2002072096 A JP2002072096 A JP 2002072096A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 イレース光として利用できる波長帯域を広く
するとともに、光源の簡便さに優れた、新しい超解像顕
微鏡を提供する。 【解決手段】 試料分子が基底状態から第一電子励起状
態へ励起するときの吸収帯の最長端波長λ1(max)より短
い波長λ1を有するポンプ光の光源と、第一電子励起状
態の試料分子が蛍光を発光するときの蛍光発光帯の最長
端波長λ2(max)より長い波長λ2を有するとともに、第
一電子励起状態の試料分子の蛍光寿命より短いパルス幅
を有するパルスイレース光の光源と、ポンプ光およびパ
ルスイレース光の照射領域を一部分重ね合わせる重ね手
段とを備え、重ね手段を介してポンプ光およびパルスイ
レース光を試料に照射することにより、第一電子励起状
態の試料分子が基底状態へ脱励起する際の発光の領域を
一部分抑制する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この出願の発明は、超解像顕
微鏡に関するものである。さらに詳しくは、この出願の
発明は、超解像性を実現した新しい超解像顕微鏡に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】近年、レーザー技術や電子画像技術をは
じめとする周辺技術の進歩にともない、様々なタイプの
高性能かつ多機能な顕微鏡が開発されてきている。本願
発明の発明者も、その一つとして、複数波長の光を試料
に照明することによって発生する二重共鳴吸収過程を用
いて、得られる画像のコントラスト制御および試料の化
学分析を可能とする顕微鏡(以下、二重共鳴吸収顕微鏡
と呼ぶ)をすでに提案している(特願平6−32916
5参照)。
【0003】この二重共鳴吸収顕微鏡では、二重共鳴吸
収過程を用いて特定の分子を選択し、特定の光学遷移に
起因する吸収および蛍光を観測することができる。その
原理を説明すると、まず、基底状態(S0状態:図1)
の試料分子(つまり、試料を構成する分子)が持つ価電
子軌道の電子を、レーザー光などの共鳴波長λ1光によ
り第一電子励起状態へ励起させ(S1状態:図2)、続
いて共鳴波長λ2光により第二電子励起状態またはさら
に高位の励起状態へ励起させる(S2状態:図3)。分
子は、この励起状態から蛍光あるいは燐光を発光したり
して基底状態に戻る(図4)。そして、図2に示した吸
収や図4に示した蛍光や燐光の発光を用いて吸収像や発
光像を観察する。
【0004】S1状態への励起過程においては、単位体
積内のS1状態の分子数は照射する光の強度が増加する
にしたがって増加する。線吸収係数は、分子一個当たり
の吸収断面積と単位体積当たりの分子数の積で与えられ
るので、S2状態への励起過程においては続いて照射す
る共鳴波長λ2に対する線吸収係数は最初に照射した共
鳴波長λ1の光の強度に依存する。すなわち、共鳴波長
λ2(以下、波長λ2と略称)に対する線吸収係数は共鳴
波長λ1(以下、波長λ1と略称)の光の強度で制御でき
る。このことは、波長λ1および波長λ2の2波長の光で
試料を照射し、波長λ2による透過像を撮影すれば、透
過像のコントラストを波長λ1の光で完全に制御できる
ことを示している。また、S2状態からの蛍光または燐
光による脱励起過程が可能である場合には、その発光強
度はS1状態にある分子数に比例する。したがって、蛍
光顕微鏡として利用する場合にも画像コントラストの制
御が可能となる。
【0005】また、この二重共鳴吸収顕微鏡は、コント
ラストの制御のみならず、化学分析も可能にする。図1
に示される最外穀価電子軌道は個々の分子に固有なエネ
ルギー準位をもつので、波長λ1は分子によって異な
る。同時に波長λ2も分子固有のものとなる。単一波長
で照明・観察を行う従来の顕微鏡においても、ある程度
は特定の分子の吸収像あるいは蛍光像を観察することが
可能ではあるが、一般にはいくつかの分子の吸収帯の波
長領域は重複するため、試料の化学組成の正確な同定ま
では不可能である。これに対し、二重共鳴吸収顕微鏡で
は波長λ1および波長λ2の2波長により吸収あるいは発
光する分子を限定するので、従来技術よりも正確な試料
の化学組成の同定が可能となる。また、価電子を励起す
る場合、分子軸に対して特定の電場ベクトルを持つ光の
みが強く吸収されるので、波長λ1および波長λ2の偏光
方向を決めて、吸収像または蛍光像を撮影すれば、同じ
分子でも配向方向の同定をも行うことができる。
【0006】本願発明の発明者はさらに、回折限界を越
える高い空間分解能の二重共鳴吸収顕微鏡をも提案して
いる(特願平8−302232参照)。二重共鳴吸収過
程については、図5に例示したようにS2状態からの蛍
光が極めて弱くなるある種の分子が存在する。このよう
な光学的性質を持つ分子に対しては、以下のような極め
て興味深い現象が起きる。図6は、図5と同じく二重共
鳴吸収過程の概念図であるが、横紬にX軸を設けて空間
的距離の広がりを表現しており、波長λ1光および波長
λ2光が照射されている空間領域A1(=蛍光抑制領域)
と、波長λ1光のみが照射されて波長λ2光が照射されて
いない空間領域A0(=蛍光領域)について示してい
る。空間領域A0では波長λ1光による励起によってS1
状態の分子が多数生成される。このとき空間領域A0
らは波長λ3で発光する蛍光が見られる。しかし空間領
域A1では、波長λ2光が照射されるので、S1状態の分
子が即座に高位のS2状態へと励起され、S1状態の分子
は存在しなくなる。このため空間領域A1においては、
波長λ3の蛍光は全く発生せず、しかもS2状態からの蛍
光はもともとないので、完全に蛍光自体が抑制されるこ
ととなる。すなわち蛍光が発生するのは空間領域A0
みとなる。このような現象の発生が数種類の分子におい
て確認されている。
【0007】したがって、従来の走査型レーザー顕微鏡
などでは、レーザー光を集光して観察試料上に形成され
るマイクロビームのサイズが集光レンズの開口数と波長
による回折限界で決まるので、それ以上の空間分解能が
原理的に期待できないにの対し、図6で示した現象によ
れば波長λ1光と波長λ2光を空間的に一部分重ね合わせ
ることで、波長λ2光の照射で蛍光領域が抑制されるた
め、たとえば波長λ1光の照射領域に着目すると、蛍光
領域は集光レンズの開口数と波長とで決まるビームのサ
イズよりも狭くなっており、実質的に空間分解能の向上
が図られている。本願発明者による二重共鳴吸収顕微鏡
(特願平8−302232参照)は、この原理を用い
て、回折限界を越える超解像顕微鏡を実現しているので
ある。
【0008】そして本願発明の発明者は、この二重共鳴
吸収顕微鏡の超解像性をさらに高めるべく、その機能を
十分に活かすための試料の調整や波長λ1光・波長λ2
の試料への照射タイミングなどをもすでに提案している
(特願平9−255444)。より具体的には、試料を
染色分子により染色する。この染色分子として、基底状
態を含め少なくとも3つの量子状態(S0状態,S1
態,S2状態・・・)を有し、且つS1状態を除く高位の
量子状態から基底状態へ脱励起するときの遷移において
蛍光による緩和過程よりも熱緩和過程が支配的である各
種分子(以下、蛍光ラベラー分子と呼ぶ)を用いるので
ある。このような蛍光ラベラー分子と生化学的な染色技
術を施した生体分子とを化学結合させてなる試料に、波
長λ1光を照射して蛍光ラベラー分子をS1状態に励起さ
せ、続いて即座に波長λ2光を照射して蛍光ラベラー分
子をより高位の量子準位に励起させることで、S1状態
からの蛍光を効果的に抑制できるようになる。この際
に、上述したような空間的な蛍光領域の人為的な抑制を
行うことにより、空間分解能のさらなる向上が実現され
る。
【0009】上記の蛍光ラベラー分子の光学的性質は、
以下のように量子化学的な見地から説明できる。一般
に、分子はそれを構成する各原子のσまたはπ結合によ
って結ばれている。言い換えると、分子の分子軌道はσ
分子軌道またはπ分子軌道をもっていて、これらの分子
軌道に存在する電子が各原子を結合する重要な役割を担
っている。そのなかでも、σ分子軌道の電子は、各原子
を強く結合し、分子の骨格である分子内の原子間距離を
決める。これに対して、π分子軌道の電子は、各原子の
結合にほとんど寄与しないで、むしろ分子全体に極めて
弱い力で束縛される。
【0010】多くの場合、σ分子軌道にいる電子を光で
励起させると、分子の原子間隔が大きく変化し、分子の
解離を含む大きな構造変化が起こる。その結果として、
原子の運動エネルギーや構造変化するために光が分子に
与えたエネルギーのほとんどが熱エネルギーに形を変え
る。したがって、励起エネルギーは蛍光という光の形態
で消費されない。また、分子の構造変化は極めて高速に
おこるので(たとえばピコ秒より短い)、その過程で仮
に蛍光が起きても極めて蛍光寿命が短い。しかしそれに
対して、π分子軌道の電子が励起しても、分子の構造自
体はほとんど変化せず、高位の量子的な離散準位に長時
間とどまり、ナノ秒のオーダーで蛍光を放出して脱励起
する性質を持つ。
【0011】量子化学によれば、分子がπ分子軌道を持
つことと、二重結合を持つこととは同等であり、用いる
蛍光ラベラー分子には、二重結合を豊富に持つ分子を選
定することが必要条件となる。そして、二重結合を持つ
分子でもベンゼンやビラジンなどの6員環分子において
は、S2状態からの蛍光が極めて弱いことが確かめられ
ている(例えば、M..Fujii et.al., Chem. Phys. Lett.
171 (1990) 341)。したがって、ベンゼンやビラジン
などの6員環分子を含む分子を蛍光ラベラー分子として
選定すればS1状態からの蛍光寿命が長くなり、しかも
光照射によりS1状態からS2状態に励起させることで分
子からの蛍光を容易に抑制でき、上述の二重共鳴吸収顕
微鏡の超解像性を効果的に利用することができるように
なる。
【0012】すなわち、これらの蛍光ラベラー分子によ
り試料を染色して観察を行えば、高空間分解能の蛍光像
を取得することができるだけでなく、その蛍光ラベラー
分子の側鎖の化学基を調整することにより生体試料の特
定の化学組織のみを選択的に染色でき、試料の詳細な化
学組成までも分析可能となる。
【0013】一般に、二重共鳴吸収過程は二つの光の波
長や偏光状態等が特定の条件を満たす場合のみに起こる
ので、これを用いることで非常に詳細な分子の構造を知
ることが可能となる。すなわち、光の偏光方向と分子の
配向方向とは強い相関関係があり、二波長光それぞれの
偏光方向と分子の配向方向とが特定の角度をなすとき二
重共鳴吸収過程が強く起こる。したがって、二波長光を
試料に照射して、各光の偏光方向を回転することによ
り、蛍光の消失の程度が変化するので、その様子から観
察しようとする組織の空間配向の情報も得られる。さら
に、二つの波長の光を調整させることでもこのことが可
能である。
【0014】他方、波長λ1光と波長λ2光の照射タイミ
ングを適当なものに調整することにより(特願平9−2
55444参照)、蛍光像のS/Nを改善し、且つ蛍光
抑制をさらに効果的に起こすことも可能となっている。
【0015】また、本願発明の発明者により、波長λ1
光と波長λ2光の照射タイミングのさらなる工夫によ
り、S/Nおよび蛍光抑制のさらなる向上を実現するこ
とも提案されている(特願平10―97924参照)。
【0016】ところで、前述した波長λ1光の照射領域
の一部分への波長λ2光の照射領域の重ね合わせは、波
長λ2光を中空ビーム化して、つまり中央部(軸近傍領
域)がゼロ強度であり、且つ軸対象な強度分布を有する
中空ビーム光にして、波長λ1光の一部分と空間的に重
ね合わせ、試料上に集光することで実現できる。図7
は、この重合せおよびそれによる蛍光抑制を例示した概
念図である。波長λ2光は、たとえば図8にも例示した
ような位相板により中空ビーム化されており、この中空
ビーム化された波長λ2光と波長λ1光の重ね合わせによ
り、波長λ2光の強度がゼロとなる光軸近傍の領域以外
では蛍光は抑制され、波長λ1光の広がりよりも狭い領
域に存在する蛍光ラベラー分子(または試料分子)の蛍
光のみが観察される。その結果、超解像性が発現する。
【0017】図8に例示した位相板は、波長λ2光にそ
の光軸を中心対象としてπだけ位相差を与えるものであ
る。この位相板に波長λ2光を通すことで、波長λ2光の
光軸近傍領域(光軸を含む)の位相が反転するため、そ
の光軸近傍領域の電場強度はゼロとなり、蛍光抑制によ
る超解像性の発現に理想的な中空ビーム形状をもつ波長
λ2光が得られるのである。
【0018】中空ビーム化を実現する位相板としては、
図8に示したものの他にも、たとえば図9に例示したよ
うに光軸を中心として連続的に波長λ2光に2πの位相
差を与えるものを用いることができる。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】さて、以上のように本
願発明の発明者によってこれまで提案されてきた二重共
鳴吸収顕微鏡は、その超解像性と分析能力において際立
った有用性と技術的優位性を示しているものの、未だに
以下に示すような改良すべき点が残されているのが実情
である。なお、従来の二重共鳴吸収顕微鏡については、
試料分子(=試料を構成する分子)をS0状態からS1
態へ励起させる波長λ1光をポンプ光、S1状態の分子を
2状態へ励起させる波長λ2光をイレース光と呼ぶこと
とする。また、超解像性の実現をより効果的なものとす
べく、蛍光ラベラー分子を用いて試料を染色する場合に
は、試料分子とはこの蛍光ラベラー分子のこととなる。
【0020】まず第一に、従来の二重共鳴吸収顕微鏡で
は、蛍光を抑制するためにイレース光を用いることが前
提であるが、イレース光はS1状態からS2状態へ共鳴吸
収する波長λ2を有することが必要となるため、利用で
きる波長帯域が狭く限定されてしまっていた。
【0021】第二に、蛍光ラベラー分子を用いる場合、
使用する蛍光ラベラー分子に応じて波長帯域も変化する
ため、蛍光ラベラー分子を変える度に光源のレーザーシ
ステムにも手を加える必要があった。この点を改善する
ためにオプティカルパラメトリックレーザーを用いるこ
とも考えられるが、高価で大規模な光源システムとなる
のであまり好ましくない。また、光源システムの調整に
は高度な技術が必要となり、電子顕微鏡のように専任オ
ペレータを要する事態も発生し得る。
【0022】そこで、この出願の発明は、以上のとおり
の事情に鑑みてなされたものであり、イレース光として
利用できる波長帯域を広くするとともに、光源の簡便さ
に優れた、新しい超解像顕微鏡を提供することを課題と
している。
【0023】
【課題を解決する手段】この出願の発明は、上記の課題
を解決するものとして、試料分子が基底状態から第一電
子励起状態へ励起するときの吸収帯の最長端波長λ
1(max)より短い波長λ1を有するポンプ光の光源と、第
一電子励起状態の試料分子が蛍光を発光するときの蛍光
発光帯の最長端波長λ2(max)より長い波長λ2を有する
とともに、第一電子励起状態の試料分子の蛍光寿命より
短いパルス幅を有するパルスイレース光の光源と、ポン
プ光およびパルスイレース光の照射領域を一部分重ね合
わせる重ね手段とを備え、重ね手段を介してポンプ光お
よびパルスイレース光を試料に照射することにより、第
一電子励起状態の試料分子が基底状態へ脱励起する際の
発光の領域を一部分抑制することを特徴とする超解像顕
微鏡(請求項1)を提供する。
【0024】また、この出願の発明は、上記の超解像顕
微鏡において、パルスイレース光のパルス幅が、1psec
以上であり、且つ第一電子励起状態の試料分子の蛍光寿
命より短いこと(請求項2)や、パルスイレース光の波
長λ2が、第一電子励起状態の試料分子が蛍光を発光す
るときの蛍光発光帯の最長端波長λ2(max)より長いこと
に加え、試料分子が第一電子励起状態の特定の振動準位
・回転準位から当該振動準位・回転準位よりも高い第一
電子励起状態の振動準位・回転準位へ遷移するときの共
鳴波長であること(請求項3)や、その場合におけるパ
ルスイレース光の波長λ2の具体的数値が1μm以上で
あること(請求項4)や、試料分子からの蛍光発光期間
内に2発以上のパルスイレース光が試料へ照射されるこ
と(請求項5)や、パルスイレース光のフォトンフラッ
クスIeraseが、後述の数7の条件式を満たすこと(請
求項6)や、その場合におけるパルスイレース光のフォ
トンフラックスIeraseの具体的数値範囲が1027photo
n/cm2/sec以上1030photon/cm2/sec以下であること
(請求項7)や、ポンプ光がパルスポンプ光であり、そ
のパルス幅が第一電子励起状態の試料分子の蛍光寿命よ
り短いこと(請求項8)や、パルスポンプ光の照射開始
時あるいは照射終了時から試料分子の蛍光発光終了時ま
での間に2発以上のパルスイレース光が試料へ照射され
ること(請求項9)(請求項10)や、試料分子の蛍光
発光終了時から次のパルスポンプ光のパルス開始時まで
の間にイレース光が試料へ照射されないこと(請求項1
1)や、パルスポンプ光のパルス幅とパルスイレース光
のパルス幅が同じであること(請求項12)をその態様
として提供し、さらに、試料分子からの発光を検出する
発光検出器としてシリコンを用いた半導体検出器を備え
ていること(請求項13)をもその態様として提供す
る。
【0025】
【発明の実施の形態】以下に、この出願の発明の超解像
顕微鏡の原理について説明する。
【0026】図10は、分子一般のエネルギー準位を例
示したものである。まず、分子には、それを構成する電
子の分子軌道を変えることによって高いエネルギーを持
つ準位へ量子遷移を行う電子遷移が存在する。その各々
の量子状態は、電子状態、特に、励起したものは電子励
起状態と呼ばれる。光が吸収される際には、主にこの電
子状態間の電子遷移が起こる。
【0027】その一方で、構成する電子の分子軌道は変
化しないものの、構成する原子核の核間距離が量子的に
位置を変化する振動遷移も存在する。この場合の量子状
態は振動準位と呼ばれる。さらには、分子に空間的に移
動の自由度があるときは、量子的な回転運動を行う回転
遷移が存在する。この場合の量子状態は回転準位と呼ば
れる。そして、これら振動準位と回転準位はカップリン
グして、様々な組み合わせの量子準位を形成する。
【0028】一般に、異なる電子状態間の光遷移(つま
り、光吸収による電子遷移)と比較すると、同じ電子状
態における異なる振動準位・回転準位間の光遷移(つま
り、光吸収による振動遷移・回転遷移)の確率は低いも
のの、図10に例示したように電子状態間を埋めるよう
に広くその状態が分布する特徴がある。
【0029】電子状態間の光遷移に伴う光の吸収断面積
は10-16〜10-17cm2の値を持つのに対し、振動準
位・回転準位間では10-17〜10-19cm2と2桁程度
小さい値を持つ。したがって、分子の振動準位・回転準
位間の光遷移を起こすためには、電子遷移を利用した場
合と比較して2桁以上高い光子フラックスを持つ光で分
子を励起する必要がある。
【0030】また、同じ電子状態に属するエネルギー的
に高い振動準位・回転準位の脱励起過程には次のような
性質がある。たとえば図11に例示したように、S1
態(=第一電子励起状態)にある分子は、蛍光を発して
0状態(=基底状態)へ緩和する(蛍光過程)。とこ
ろが、S0状態に属する高位の振動準位・回転準位にあ
る分子は、蛍光を発することなく、主に熱で緩和してS
0状態の最低エネルギー状態へ落ち着く(熱緩和過
程)。また、仮にS1状態の高位の振動準位・回転準位
へ励起した場合でも、S1状態の最低振動準位・回転準
位へ熱緩和により脱励起し、その後、蛍光を発してS0
状態の振動準位・回転準位へ緩和する(いわゆるKas
haの法則)。また、このような2段階の過程を経ず、
ある一定の確率で直接S0状態の振動準位・回転準位へ
熱緩和する場合もあり、この場合では分子は一切蛍光を
発しない。
【0031】したがって、この直接熱緩和による振動準
位・回転準位の脱励起過程を用いることで分子の蛍光抑
制が可能となるのである。この出願の発明の超解像顕微
鏡はこの原理を利用している。
【0032】まず、ポンプ光により試料分子をS0状態
からS1状態の最低振動準位・回転準位(以下、S1 0
態)へ励起させる。次いで、イレース光によりS1状態
のS1 0状態から同じS1状態の高位の振動準位・回転準
位(以下、S1'状態)へ励起させる。この出願の発明に
おいては、従来の二重共鳴吸収顕微鏡の場合とは異な
り、S0→S1 0励起のための照射光をポンプ光とし、S1
0→S1'励起のための照射光をイレース光とする。前述
したように、一般にS1 0→S1'励起に要する光エネルギ
ーは電子遷移のそれと比較すると遥かに小さく、イレー
ス光の波長λ2は近赤外領域に近づく場合がある。
【0033】また、S1'状態の分子は数ピコ秒という極
めて短時間で熱緩和してしまう。仮に、1ピコ秒よりパ
ルス幅の短いレーザー光で試料分子をS1 0状態からS1'
状態へ励起した場合、S1'状態の試料分子は数ピコ秒の
間に確率aでS1 0状態へ熱緩和し、この状態より蛍光収
率φで蛍光を発する。一方、1−aの確率でS1'状態の
試料分子は直接S0状態へ蛍光を発することなく熱緩和
する。
【0034】ここで、S1'状態にある試料分子に対し、
波長λ2のピコ秒パルスレーザーによりN発のパルスを
照射する場合を考える。但し、N発のパルスはS1 0状態
の蛍光寿命τより短い期間に発振が終了しているものと
する。この場合、図12に例示したように、試料分子は
1 0状態とS1'状態との間を何回も往復することにな
る。その間に、S1 0状態の試料分子は、蛍光を発する前
に直接、つまり蛍光を発することなくS0状態へ熱緩和
する。その結果として、試料分子そのものからの蛍光を
抑制できる。
【0035】1分子が蛍光を発光する確率Fは、上記の
各変数を用いて定量的に求めると、下記の数2で与えら
れる。
【0036】
【数2】
【0037】一般にS1 0状態へ熱緩和する確率aはゼロ
であり得ないため、Nをある程度大きくすれば、蛍光確
率Fを小さくすることができる。その結果、試料分子の
蛍光抑制が可能となるのである。
【0038】またあるいは、試料分子の蛍光寿命より短
いイレース光を複数発照射しても同等の効果を実現でき
る。イレース光の照射時間をT、S1'状態の励起寿命を
τ(S1')とすると、試料分子は、照射時間の間にT/
τ(S1')回、S1'状態とS 1 0状態との間の遷移・緩和
を繰り返す。一般に、τ(S1')は数psecであり、
1 0状態の蛍光寿命τは短くても数100psecであ
るので、試料分子が蛍光を発する前にS1'状態とS1 0
態との間で遷移・緩和する回数は100回以上にもな
る。たとえば、イレース光の照射時間TをS1 0状態の蛍
光寿命τに設定し、仮にaが0.95であっても蛍光確
率Fは100分の1以下に抑制される。これは、超解像
性の発現には十分な値である。
【0039】ここで、S1 0状態からS1'状態への光遷移
に伴う吸収断面積をσvとし、イレース光のフォトンフ
ラックスをIeraseとすると、簡単レート方程式により
1'状態へ励起される確率αが次式で与えられる(たと
えばY.Iketaki et.al Opt.Eng.35(8) 2418, 1996参
照)。
【0040】
【数3】
【0041】蛍光抑制を有効に発現させるには、少なく
とも、イレース光の1パルスの照射で確率αが0.5以
上のS1 0→S1'励起を起こす必要がある。このため、イ
レース光は、次式のような不等式を満たす必要がある。
【0042】
【数4】
【0043】また、その一方で、イレース光のフォトン
フラックスがあまりにも強すぎると、非共鳴型の2光子
吸収過程が起こり、S0状態の試料分子がS1状態へ励起
してしまい、逆に蛍光を抑制するのではなく促進させて
しまう。したがって、イレース光のフォトンフラックス
の上限も次式で決まる。
【0044】
【数5】
【0045】ここで、βは非共鳴型の2光子吸収過程で
試料分子がS1状態に励起する確率であり、σ2pは非共
鳴型の2光子吸収過程の吸収断面積である。この確率β
を少なくとも2分の1以下にしないと、イレース光で蛍
光抑制する確率よりもS0状態をS1状態へ励起する確率
の方が大きくなってしまう恐れがあるので、数5の条件
を、
【0046】
【数6】
【0047】とする必要がある。
【0048】そして、数4および数6より、Ierase
最適条件は次式となる。
【0049】
【数7】
【0050】したがって、数7のもとで、S1'状態を経
由した蛍光抑制効果を用いれば、幅広い波長帯域のイレ
ース光によって超解像を実現することができるようにな
る。
【0051】以上より、この出願の発明の超解像顕微鏡
では、まず、ポンプ光の波長λ1を試料分子がS0状態か
らS1状態へ励起するときの吸収帯の最長端波長λ
1(max)より短い波長とし、イレース光の波長λ2をS1
態の試料分子が蛍光を発光するときの蛍光発光帯の最長
端波長λ2(max)より長い波長、好ましくは試料分子がS
1状態の特定の振動準位・回転準位(たとえばS1 0)か
ら当該振動準位・回転準位よりも高いS1状態の振動準
位・回転準位(たとえばS1')へ遷移するときの共鳴波
長とし、且つ、イレース光をパルス光とするとともにそ
のパルス幅をS1状態の試料分子の蛍光寿命より短くす
ることで、試料分子が蛍光を発光することなく直接S0
状態へ熱緩和するようになる。これにより、ポンプ光お
よびイレース光を互いの照射領域を一部分重ね合せるよ
うに試料へ照射する、たとえばイレース光を前述の図8
や図9に例示した位相板などにより中空ビーム化してポ
ンプ光の照射領域に対して一部分重ね合せるように試料
へ照射すると、重ね合わさった領域、つまり蛍光抑制領
域では蛍光が抑制されることとなり、超解像性が実現さ
れる。S1状態の試料分子の蛍光発光帯の最長端波長λ
2(max)より長い波長λ2というイレース光の波長帯域
は、従来の二重共鳴吸収顕微鏡におけるイレース光より
も極めて広く、オプティカルパラメトリックレーザーな
どの複雑な光源システムを用いることなく、簡単な構成
の光源システムで超解像顕微鏡を実現でき、蛍光ラベラ
ー分子で試料を染色した場合でも複数の蛍光ラベラー分
子に対応することができるのである。
【0052】なお、好ましくは、パルスイレース光のパ
ルス幅は1psec以上で、且つS 1状態の試料分子の
蛍光寿命より短いものとし、波長λ2は1μm以上、よ
り好ましくは1μm以上2.5μm以下とする。
【0053】また、蛍光確率Fをより小さくして蛍光抑
制をさらに効果的に発現すべく、パルスイレース光は、
試料分子からの蛍光発光期間内に2発以上、好ましくは
なるべく多数、試料へ照射されることが望ましい。
【0054】さらにまた、パルスイレース光のフォトン
フラックスIeraseは、上述のとおり、数7の条件を満
たすことが望ましく、具体的数値としては、たとえば1
27photon/cm2/sec以上1030photon/cm2/sec以下が好
ましい。
【0055】ポンプ光については、イレース光と同様
に、S1状態の試料分子の蛍光寿命より短いパルス幅を
有するパルス光とし、この場合において、より効果的な
蛍光抑制を実現すべく、たとえば、パルスポンプ光の照
射開始時あるいは照射終了時から試料分子の蛍光発光終
了時までの間に2発以上のパルスイレース光が試料へ照
射されることや、試料分子の蛍光発光終了時から次のパ
ルスポンプ光のパルス開始時までの間はイレース光が試
料へ照射されないことや、パルスポンプ光のパルス幅と
パルスイレース光のパルス幅が同じであることが好まし
い態様である。
【0056】なお、以上のこの出願の発明の超解像顕微
鏡では、蛍光抑制領域以外の領域、つまり観察領域にお
ける試料分子からの発光を検出する発光検出器として、
たとえばシリコンを用いた半導体検出器を備えることが
できる。
【0057】この出願の発明は、以上のとおりの特徴を
有するものであるが、以下に、添付した図面に沿って実
施例を示し、さらに詳しくこの発明の実施の形態につい
て説明する。
【0058】
【実施例】[実施例1]図13は、この出願の発明の超
解像顕微鏡の一実施例を示したものである。
【0059】この図13に例示した超解像顕微鏡では、
光源として、半導体レーザー励起の固体パルスレーザー
であるNd:YAGレーザー(1)を用いている。この
Nd:YAGレーザー(1)は、基本波で1064n
m、2倍波で532nmのサブナノ秒レーザーパルスを
最大数10kHzの高繰返しで発振する。また、そのパ
ルス幅は500psecとする。この種のレーザーは、
メンテナンスフリーであり、しかもサイズが全てのユニ
ットを含め数10cmのボリュームに収まってしまうの
で、光源設備を極めて扱いが容易で、小型なものとする
ことができる。本実施例における超解像顕微鏡は、N
d:YAGレーザー(1)の2倍波をパルスポンプ光、
基本波をパルスイレース光として用いた超解像レーザー
走査型蛍光顕微鏡を構成している。
【0060】ここで、試料(12)を蛍光ラベラー分子
としてのローダミン−6Gで染色する場合を想定する。
【0061】下記の表1は、ローダミン−6Gの各エネ
ルギー準位間で遷移が起こるときのおおよその吸収断面
積を示している。
【0062】
【表1】
【0063】また、下記の表2は、本実施例におけるN
d:YAGレーザー(1)の仕様を示している。
【0064】
【表2】
【0065】ここで、前記数7を用いて、表2の仕様の
Nd:YAGレーザー(1)を用いた場合のパルスイレ
ース光のフォトンフラックスIeraseの最適値を計算す
ると、1.4×1027photon/cm2/sec < Ierase
3.7×1029photon/cm2/secとなる。
【0066】たとえば、イレース光の開口数NAが1の
レンズでレーザービームを集光した場合、そのスポット
サイズsは、以下のレイリーの式で計算するとほぼ13
00nmになる。
【0067】
【数8】
【0068】また、得られたsとIeraseの最上限値
3.7×1029photon/cm2/secを用いてパルスエネルギ
ーの最大値を求めると、約0.5μJ/pulseである。
【0069】ローダミン−6Gをはじめとする各種の蛍
光ラベラー分子を用いた場合、各吸収断面積は多少変動
するが、Ieraseは1027photon/cm2/sec以上1030pho
ton/cm2/sec以下のオーダー値にある。したがって、本
実施例のような小型の半導体レーザー励起の固体パルス
レーザーであるNd:YAGレーザー(1)によって、
様々な蛍光ラベラー分子に対して最適なパルスイレース
光を発生させることができるのである。
【0070】さて、図13の超解像顕微鏡の動作につい
てさらに説明する。まず、Nd:YAGレーザー(1)
の基本波1064nmをビームスプリッター(2)で分
岐し、分岐した一つはKDP結晶(4)を介して2倍の
532nmに変換する。これをパルスポンプ光として用
いる。他方はそのままパルスイレース光として用いる。
【0071】パルスイレース光は、ミラー(3)を介し
て遅延光学系(5)へ入射される。この遅延光学系
(5)は、平行移動可能な折り返しプリズム(51)を
有しており、プリズム(51)の位置を移動調整するこ
とで光路長を変化させることができる。よって、パルス
イレース光を遅延光学系(5)に通すことにより、パル
スポンプ光に対して任意の光路差を持たすことが可能と
なり、パルスイレース光とパルスポンプ光が観察試料面
に到達する時刻を同時にしたり、ずらしたりすることが
可能となる。
【0072】遅延光学系(5)を通過したパルスイレー
ス光は、前述の図8や図9に例示したような位相板
(6)を介して中空ビーム化された後、ミラー(7)で
偏向され、ダイクロイックミラー(8)によりパルスポ
ンプ光と同軸上にビーム調整される。
【0073】そして、コンバインされたパルスポンプ光
とパルスイレース光は、リレーレンズ(9)およびハー
フミラー(10)を介して観察光学系の光軸上に誘導さ
れ、対物レンズ(11)により試料走査ステージ(1
3)上の試料(12)に集光される。
【0074】試料(12)から発せられた蛍光は、ハー
フミラー(10)およびハーフミラー(14)を通過し
て、結像レンズ(15)によりCCDカメラ(16)の
撮像面上に結像される。これにより蛍光像が目視可能と
なる。
【0075】その一方で、ハーフミラー(14)に入射
した蛍光は一部反射されてレンズ(17)へ入射し、さ
らに空間フィルターであるピンホール(18)上に結像
される。ピンホール(18)を通過した蛍光は、レンズ
(19)により透過型回折格子(20)を通過してIC
CDカメラ(21)の撮像面上に結像される。ICCD
カメラ(21)とは、光−電子変換膜と2次元光電子像
倍管からなるカメラシステムである。蛍光は、一度、透
過型回折格子(20)を通過するので蛍光スペクトルの
形としてICCDカメラ(20)で撮影される。
【0076】そして、試料(12)を試料走査ステージ
(13)で2次元走査しながら、蛍光信号を計測し、各
点におけるデータをコンピュータのメモリーに格納し、
CRT上で画像表示を行えば、目的とする試料(12)
の構造を画像化できる。このとき、集光したレーザービ
ームよりも遥かに微少な領域の蛍光信号をセレクトする
ことによって、計測法としてのポテンシャルを極めて高
いものとすることができる。
【0077】また、試料走査ステージ(13)としてた
とえばピエゾ駆動型のものを用いることで、位置移動分
解能は10nmという極めて高い値を実現することがで
き、この超解像顕微鏡の空間分解能に十分見合った性能
の試料走査ステージ(13)とすることができる。
【0078】また、ピンホール(18)を顕微鏡光学系
の共焦点位置に設置することで、試料(12)の3次元
観察も可能となる。すなわち、ピンホール(18)はレ
ーザー光の焦点位置から発する蛍光のみを通過させるこ
とができるので、試料走査ステージ(13)を光軸方向
に移動して、試料走査ステージ(13)をレーザービー
ムに対して2次元走査することにより、光学深さ方向の
断層像が得られる。
【0079】このような超解像顕微鏡において、パルス
ポンプ光およびパルスイレース光の照射タイミングなら
びに蛍光信号入力時のゲートタイミングについて説明す
る。図14は、そのタイミングの一例を示したものであ
る。
【0080】本実施例においては、パルスポンプ光もパ
ルスイレース光も同一のNd:YAGレーザー(1)か
ら発生され、どちらも500psecのパルス幅を有し
ている。それに対し、たとえば蛍光ラベラー分子として
のローダミン−6Gの蛍光寿命はその6倍の3nsec
である。この場合、たとえば図14に例示したように、
まず、パルスポンプ光を試料(12)へ照射し、その照
射終了直後に、つまりそのパルス終了時にイレース光を
試料(12)へ照射する。そして、パルスポンプ光とパ
ルスイレース光の照射が完全に終了する直後から信号入
力ゲートを2nsec開放し、丁度ローダミン−6Gの
発光が終了する時刻に信号入力ゲートを閉じる。これに
より、観察領域では、パルスポンプ光とパルスイレース
光が重なり合っていないので、パルスポンプ光の照射終
了後からローダミン−6Gの蛍光寿命である3nsec
の間、ローダミン−6Gは発光する。蛍光抑制領域で
は、他方、パルスポンプ光とパルスイレース光が重なり
合っているので、パルスイレース光の照射終了時には、
蛍光が抑制されて観察されない。
【0081】以上のようなタイミングでレーザー光の照
射と信号の取込みを設定すれば、検出器へパルスポンプ
光およびパルスイレース光の散乱光が混入せず、バック
グラウンドノイズを低減できるだけなく、ポンプ光およ
びイレース光のパルス幅がローダミン−6Gの蛍光寿命
よりも十分に短いので、蛍光寿命の70%にもおよび時
間帯域の蛍光を有効に取得できる。その結果、非常に良
いS/Nで信号検出が可能となる。そして、本実施例に
おいて用いたレーザーのパルス幅は500nsecであ
るが、ローダミン−6GがS1 0状態とS1'状態との間の
遷移・緩和を100回以上繰り返すので、前記数2によ
り十分に良好な蛍光抑制が可能となり、超解像性が良好
に発現する。
【0082】なお、パルスポンプ光とパルスイレース光
の照射のタイミングは、遅延光学系(5)でパルスイレ
ース光の光路長を高精度に調整できるため、検出器から
の出力信号をオシロスコープ等でモニターすることで最
低化が図れる。たとえば、光速を考えると、100ps
ecは約3cmの光路長に対応するので、その値に従っ
てマイクロステージなどに搭載した遅延光学系(5)の
プリズム(51)を位置調整する。
【0083】[実施例2]ここでは、この出願の発明の
超解像顕微鏡の特徴を十分に引き出すパルスイレース光
の波長領域についてさらに説明する。
【0084】この発明における蛍光抑制効果は、前述し
たように広い波長領域のパルスイレース光で発現する
が、特に約1μm以上の長波長領域で顕著なものとな
る。たとえば、尾崎幸洋・河田聡編 「近赤外分光法」
日本分光学会測定法シリーズ32 学会出版センター
(1996)には、各有機分子の近赤外領域の吸収スペ
クトルが示されている。それらが示すように、約1μm
以上約2.5μm以下の長波長領域で様々な吸収線が観
測されている。これは、様々な分子の化学基とその倍音
が似たような波長領域に現れるからである。したがっ
て、1μm以上、好ましくは1μm以上2.5μm以下
の波長領域にパルスイレースの波長λ2を同調させるこ
とにより、吸収断面積が比較的大きいので、非共鳴多光
子吸収過程を起こすような強いフォトンフラックスでパ
ルスイレース光を照射することなく、S 1 0状態からS1'
状態への遷移を起こすことができる。その結果、前述し
たような比較的低いフォトンフラックスのパルスイレー
ス光で有効な蛍光抑制を実現できるのである。
【0085】また、同文献から明らかなように、代表的
な基本的な化学基の振動・回転吸収帯は波長1μm以上
に集中しており、このことから、大部分の蛍光ラベラー
分子に対して、1μm以上、あるいは1μm以上2.5
μm以下の波長帯域のパルスイレース光による蛍光抑制
が実現できるのがわかる。
【0086】さらには、この波長帯域が優れている点と
して、生体試料にほとんどダメージを与えないことが挙
げられる。これは、高分解能で生きたまま生体試料を観
察できるというライフサイエンスにおいて特に有用であ
る。近赤外領域では、非共鳴多光子吸収過程が起こらな
い限り、試料の損傷は起きないのである。
【0087】またさらに、この波長帯域では、シリコン
を用いた半導体光検出器の検出効率も最大となるため、
CCD等の汎用で利用しやすい固体素子を用いて検出器
を構成できる。
【0088】そして、この波長帯域が実用性の点からさ
らに魅力的なのは、この波長帯域で発振する小型固体レ
ーザーが数多く存在するということである。特に、実用
的なYGA結晶を基本とするレーザー媒質が多く、たと
えば、ポピュラーなNd:YGA以外にも、Tm:YA
G、Ho:YAG、Er:YAGがあり、丁度1μm以
上3μm以下の波長帯域で極めて強い発振線を有する。
この他にもHd:YLFwはじめとするガラスレーザ
ー、Tiサファイアレーザーが利用できる。これらは極
めて安定で信頼性の高いものであるため、前述の実施例
1のように基本波をイレース光とし、その高調波をポン
プ光とすることで、非常に簡単な光源系を構成できる。
【0089】[実施例3]図15は、この出願の発明の
超解像顕微鏡の別の一実施例を示したものである。
【0090】この図15に例示した超解像顕微鏡では、
図13におけるダイクロイックミラー(8)がパルス遅
延光学回路(22)に換えられ、図13の超解像顕微鏡
とはパルスポンプ光とパルスイレース光の融合法式が異
なるものとなっている。そして、パルスポンプ光の照射
開始時あるいは照射終了時から試料分子の蛍光発光終了
時までの間にパルスイレース光を複数回間欠的に試料
(12)に照射するようになっている。
【0091】より具体的には、まず、本実施例における
Nd:YAGレーザー(1)は、そのレーザー共振器内
に過飽和の色素セルを有し、本来はレーザーパルス幅が
ナノ秒であるところを30psecまで圧縮できる。
【0092】図13の場合と同様に、このNd:YAG
レーザー(1)からの基本波(1064nm)はビーム
スプリッター(2)で分岐され、その一方はKDP結晶
(4)により2倍波(532nm)とされてパルスポン
プ光として用いられ、他方はそのままパルスイレース光
として用いられる。
【0093】パルスイレース光は、ハーフミラー
(3)、遅延光学系(5)、位相板(6)、およびミラ
ー(7)を介してパルス遅延光学回路(22)に入る。
パルスポンプ光は、パルス遅延光学回路(22)の出力
段でパルスイレース光とコンバインされる。コンバイン
された両光は、リレーレンズ(9)およびハーフミラー
(10)を介して観察光学系へと誘導される。
【0094】パルス遅延光学回路(22)は、具体的に
は、たとえば図16に例示したように、一つのハーフミ
ラー(221)と、このハーフミラー(221)を光路
上に含むループ光路を形成するプリズム(222)とで
構成されるループ光学系であり、その出力段にはダイク
ロイックミラー(223)が設けられている。このパル
ス遅延光学回路(22)に入射したパルスイレース光
は、まず、ハーフミラー(221)により透過光1と反
射光1とに分離される。透過光1はそのままダイクロイ
ックミラー(223)へ出力され、反射光1は各プリズ
ム(222)で光路が変更されてハーフミラー(22
1)へ戻り、透過光2と反射光2とに分離される。反射
光2は透過光1と同じ光路を通過し、透過光2は各プリ
ズム(222)を介して同じループ光路を通過してハー
フミラー(221)へ戻り、再び透過光と反射光に分離
される。このようにしてハーフミラー(221)および
プリズム(222)による透過光および反射光の分離・
ループが繰り返される。したがって、パルスイレース光
をこのパルス遅延光学回路(22)に入射させること
で、ループ光路の分だけ遅延したパルスが次々と発生す
る。
【0095】図17は、パルス遅延光学回路(22)を
出力したパルスイレース光とパルスポンプ光のタイミン
グチャートの一例を示したものである。この図17に例
示したように、パルスイレース光の1番目のパルスn1
が一番強い強度を持ち、それ以後のパルスn2,n3,
n4・・・は指数関数的にその強度が低下する。本実施
例では、パルス幅30psecのパルス列がパルス遅延
光学回路(22)から次々と出力される。したがって、
このような間欠的なパルスによりS1 0状態にある試料分
子あるいは蛍光ラベラー分子を次々とS1'状態へ励起さ
せ、効果的に蛍光を抑制することができる。
【0096】なお、光は大気中において1nsecで約
30cm進むので、パルス遅延光学回路(22)のルー
プ長を調整することで、パルス列のパルス間隔を任意に
調整できる。たとえば、ループ長を3cmに設定すれ
ば、パルス間隔は100psecとすることができる。
このような光源系の簡単な構成・操作によっても、様々
な試料分子あるいは蛍光ラベラー分子に対する蛍光抑制
効果を実現できる。もちろん、この発明は以上の例に限
定されるものではなく、細部については様々な態様が可
能である。
【0097】
【発明の効果】以上詳しく説明したとおり、この出願の
発明によって、イレース光として利用できる波長帯域を
広くするとともに、光源の簡便さに優れた、新しい超解
像顕微鏡が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】基底状態の試料分子の電子配置を例示した図で
ある。
【図2】S1状態に励起された試料分子の電子配置を例
示した図である。
【図3】S2状態に励起された試料分子の電子配置を例
示した図である。
【図4】脱励起した試料分子の電子配置を例示した図で
ある。
【図5】二重共鳴吸収過程を例示した概念図である。
【図6】二重共鳴吸収過程を空間的に例示した概念図で
ある。
【図7】ポンプ光およびイレース光の一部重合せおよび
それによる蛍光抑制を例示した概念図である。
【図8】イレース光の中空ビーム化のための位相板の一
例を示した図である。
【図9】イレース光の中空ビーム化のための位相板の別
の一例を示した図である。
【図10】分子一般のエネルギー準位を例示した図であ
る。
【図11】分子の脱励起過程を例示した図である。
【図12】この出願の発明の超解像顕微鏡が利用する蛍
光抑制原理を説明するための図である。
【図13】この出願の発明の超解像顕微鏡の一実施例を
示した概略構成図である。
【図14】パルスポンプ光およびパルスイレース光の照
射タイミングならびに蛍光信号入力時のゲートタイミン
グの一例を示した図である。
【図15】この出願の発明の超解像顕微鏡の別の一実施
例を示した概略構成図である。
【図16】パルス遅延光学回路の一例を示した概略構成
図である。
【図17】パルスポンプ光およびパルスイレース光の照
射タイミングの一例を示した図である。
【符号の説明】
1 Nd:YAGレーザー 2 ビームスプリッター 3 ハーフミラー 4 KDP結晶 5 遅延光学系 51 プリズム 6 位相板 7 ミラー 8 ダイクロイックミラー 9 リレーレンズ 10 ハーフミラー 11 対物レンズ 12 試料 13 試料走査ステージ 14 ハーフミラー 15 結像レンズ 16 CCDカメラ 17 レンズ 18 ピンホール 19 レンズ 20 透過型回折格子 21 ICCDカメラ 22 パルス遅延光学回路 221 ハーフミラー 222 プリズム 223 ダイクロイックミラー
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 尾松 孝茂 神奈川県横浜市戸塚区平戸5−10−9 (72)発明者 藤井 正明 愛知県岡崎市竜美南2−3−1 6号棟 303号 (72)発明者 鈴木 智雄 千葉県千葉市花見川区幕張本郷6−11−13 ニューバイオレット101 Fターム(参考) 2G043 AA06 BA16 DA02 DA05 EA01 FA02 GA02 GA07 GB19 HA02 HA09 HA15 JA04 KA01 KA02 KA08 KA09 LA03 MA01 MA04 MA16 2H052 AA08 AA09 AC04 AC13 AC30 AC34 AD18 AF02

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 試料分子が基底状態から第一電子励起状
    態へ励起するときの吸収帯の最長端波長λ1(max)より短
    い波長λ1を有するポンプ光の光源と、第一電子励起状
    態の試料分子が蛍光を発光するときの蛍光発光帯の最長
    端波長λ2(ma x)より長い波長λ2を有するとともに、第
    一電子励起状態の試料分子の蛍光寿命より短いパルス幅
    を有するパルスイレース光の光源と、ポンプ光およびパ
    ルスイレース光の照射領域を一部分重ね合わせる重ね手
    段とを備え、重ね手段を介してポンプ光およびパルスイ
    レース光を試料に照射することにより、第一電子励起状
    態の試料分子が基底状態へ脱励起する際の発光の領域を
    一部分抑制することを特徴とする超解像顕微鏡。
  2. 【請求項2】 パルスイレース光のパルス幅が、1psec
    以上であり、且つ第一電子励起状態の試料分子の蛍光寿
    命より短い請求項1の超解像顕微鏡。
  3. 【請求項3】 パルスイレース光の波長λ2が、第一電
    子励起状態の試料分子が蛍光を発光するときの蛍光発光
    帯の最長端波長λ2(max)より長く、且つ、試料分子が第
    一電子励起状態の特定の振動準位・回転準位から当該振
    動準位・回転準位よりも高い第一電子励起状態の振動準
    位・回転準位へ遷移するときの共鳴波長である請求項1
    または2の超解像顕微鏡。
  4. 【請求項4】 パルスイレース光の波長λ2が1μm以
    上である請求項3の超解像顕微鏡。
  5. 【請求項5】 試料分子からの蛍光発光期間内に2発以
    上のパルスイレース光が試料へ照射される請求項1ない
    し4のいずれかの超解像顕微鏡。
  6. 【請求項6】 パルスイレース光のフォトンフラックス
    eraseが、 【数1】 の条件式を満たす請求項1ないし5のいずれかの超解像
    顕微鏡。
  7. 【請求項7】 パルスイレース光のフォトンフラックス
    eraseが1027photon/cm2/sec以上1030photon/cm2/
    sec以下である請求項6の超解像顕微鏡。
  8. 【請求項8】 ポンプ光がパルスポンプ光であり、その
    パルス幅が第一電子励起状態の試料分子の蛍光寿命より
    短い請求項1ないし7のいずれかの超解像顕微鏡。
  9. 【請求項9】 パルスポンプ光の照射開始時から試料分
    子の蛍光発光終了時までの間に2発以上のパルスイレー
    ス光が試料へ照射される請求項8の超解像顕微鏡。
  10. 【請求項10】 パルスポンプ光の照射終了時から試料
    分子の蛍光発光終了時までの間に2発以上のパルスイレ
    ース光が試料へ照射される請求項8または9の超解像顕
    微鏡。
  11. 【請求項11】 試料分子の蛍光発光終了時から次のパ
    ルスポンプ光のパルス開始時までの間にイレース光が試
    料へ照射されない請求項8ないし10のいずれかの超解
    像顕微鏡。
  12. 【請求項12】 パルスポンプ光のパルス幅とパルスイ
    レース光のパルス幅が同じである請求項8ないし11の
    いずれかの超解像顕微鏡。
  13. 【請求項13】 試料分子からの発光を検出する発光検
    出器としてシリコンを用いた半導体検出器を備えている
    請求項1ないし12のいずれかの超解像顕微鏡。
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