JP2002069581A - 高強度圧延pc鋼棒およびその製造方法 - Google Patents

高強度圧延pc鋼棒およびその製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 YS(O.2% %耐力):1200 MPa以上、TS:1400 MP
a 以上、伸び4.5%以上の高強度圧延PC鋼棒を提供する。 【解決手段】 質量%で、C:0.8 〜1.3%を含有し、パー
ライト面積率で80% 以上で、更に、表面に残留応力差の
ない凹凸が形成されている鋼からなり、YS(0.2%耐力):
1200MPa以上、TS:1400 MPa 以上、かつ、伸び4.5%以上
の高強度圧延PC鋼棒。該鋼棒は、更にSi:0.10 〜2.5%と
Mn:0.25 〜2.0%を含み、適宜、Al、Ti、Ca、REM 、V 及
びNbの1種以上、及び/または、B 、Cr、Cu、Ni及びMo
の1種以上を含有する。上記組成の線材を、450 〜650
℃で恒温変態させ、インデント加工を施し、1 〜4%の歪
みを付与後、200 〜500 ℃の温度で5 〜600 秒でブルー
イング処理を施す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コンクリートポー
ルやコンクリートパイル等に用いるPC(プレストレス
コンクリート)鋼棒とその製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】コンクリートポール及びコンクリートパ
イルには、剛性および曲げ強さの向上や、ひび割れ防止
のためにコンクリートに圧縮力を与え、コンクリートポ
ール及びコンクリートパイルそのものの強度を高めたP
Cポール及びPCパイルがある。そして、これらは、以
下のようにして製造されている。
【0003】まず、円周上に並列に配したPC鋼材に軟
鋼線を螺旋状に巻き付け(以下「螺旋筋」と称す。)、
次いで、PC鋼材と螺旋筋の交点を固定して、円筒状の
籠片型補強体(以下「補強体」と称す。)を製造する。
次に、該補強体を型枠に導入して、補強体を構成するP
C鋼材の両端を固定し、引張強さの70%前後の応力で
緊張する。次いで、型枠内にコンクリートを注入し、コ
ンクリートが固化した後に、PC鋼材から緊張応力を解
除する。この解除により、コンクリートに圧縮力が付与
されることになり、PCポールまたはPCパイルが製造
される。
【0004】このようなコンクリート構造物に使用する
PC鋼材としては、JISG3137に規定されるPC
鋼棒と、JISG3536に規定されるPC鋼線を、代
表的なものとして挙げることができる。PC鋼棒は、熱
間圧延後空冷した鋼棒を、焼入れ焼戻しして製造され
る。この焼入れ焼戻しにより、JISG3137(D
種)で規定する1420 MPa以上のTS(引張強度)を
確保することができる。
【0005】例えば、特開平3−151445公報に
は、スポット溶接性とリラクゼーション特性を改善する
ため、Siを低減し、Moを添加したPC鋼棒に、焼入
れ焼戻しを施して、TS1420 MPa以上の高強度PC
鋼棒を製造することが開示されている。このように、P
C鋼棒には、通常、焼入れ焼戻しが施されるが、この焼
入れ焼戻しにより、PC鋼棒の組織は、焼戻しマルテン
サイト組織となるので、所要の一様伸びや、耐遅れ破壊
特性を確保することが難しい。例えば、「鉄と鋼vol.81
(1995).P1625」に示されているように、1400 MPa
以上の焼戻しマルテンサイト組織を有するPC鋼棒で
は、耐遅れ破壊特性が劣化する。
【0006】一方、焼戻しマルテンサイト以外の組織を
有するPC鋼棒として、熱間圧延材を冷間加工し、次い
で、ブルーイング処理を施した圧延PC鋼棒が提供され
ている。この圧延PC鋼棒に関し、「プレストレストコ
ンクリートvol.13(1971)p.52」には、鋳片を熱間圧延
した線材にストレッチングとブルーイング処理を施すこ
とにより、TS:1200 MPa以下のPC鋼棒を製造し
得ることが開示されている。
【0007】圧延PC鋼棒においては、一様伸びが高い
など優れた点がある一方、YS(降伏強度)が1100
MPa以下であり、高強度化が充分になされていないのが
実情である。このため、より高強度で耐遅れ破壊特性の
優れたPC鋼棒が求められている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は、引
張強度(TS)が1400 MPa以上を有する高強度で、
かつ、高延性の高強度圧延PC鋼棒と、該PC鋼棒を、
熱間圧延に続くパティンティングの後に通常採用する伸
線工程を経ずに、ブルーイング、ヒートストレッチ等の
時効処理により、低コストで製造する製造方法を提供す
ることを課題とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するために共析鋼または過共析鋼の組織と成分
について検討した。例えば、0.8%Cの鋼ではTSを
適正な強度にするためには、恒温変態を施し80%以上
のパーライト組織が必要である。しかし、TSが140
0MPa以上であってもYSを1200MPa以上にす
ることは困難である。このためにヒートストレッチング
を施しYSを向上させることを見いだした。
【0010】一方、コンクリートとの密着性を向上され
るためインデント加工を実施することはよく知られてい
る。PC鋼線ではストレッチングの前にインデント加工
が行われている。通常この方法でも材質特性を低下させ
ることはない。しかし、量産品では非常に稀れではある
がインデント不良が起きる場合もありPC鋼線や圧延P
C鋼棒では遅れ破壊特性を低下させる。そのため、熱間
圧延後のオーステナイト域またはDLP前の高温域でイ
ンデント加工後DLP温度での応力緩和によりインデン
ト不良材であっても遅れ破壊特性が劣化しないことを見
いだした。
【0011】本発明は、上記知見に基づき、上記課題を
解決するものであって、その要旨は、以下のとおりであ
る。 (1)質量%で、C:0.8〜1.3%、を含有し、パ
ーライト面積率が80%以上で、更に、表面に残留応力
差のない凹凸が形成されている鋼からなり、YS(0.
2%耐力)が1200 MPa以上、TSが1400 MPa以
上で、かつ、伸びが4.5%以上であることを特徴とす
る高強度圧延PC鋼棒。
【0012】(2)前記鋼が、更に、質量%で、Si:
0.10〜2.5%、及び、Mn:0.25〜2.0
%、を含有することを特徴とする上記(1)記載の高強
度圧延PC鋼棒。 (3)前記鋼が、更に、質量%で、Al:0.05%以
下、Ti:0.005〜0.05%、Ca:0.000
5〜0.005%、REM:0.0005〜0.005
%、V:0.002〜0.5%、及び、Nb:0.00
5〜0.1%の1種以上を含有することを特徴とする上
記(1)または(2)記載の高強度圧延PC鋼棒。
【0013】(4)前記鋼が、更に、質量%で、B:
0.0005〜0.01%、Cr:0.05〜2.0
%、Cu:0.05〜1.0%、Ni:0.05〜1.
0%、及びMo:0.05〜0.50%、の1種以上を
含有することを特徴とする上記(1)、(2)または
(3)記載の高強度圧延PC鋼棒。
【0014】(5)上記(1)、(2)、(3)または
(4)記載の高強度圧延PC鋼棒に係る化学成分を有す
る鋼片を、オーステナイト領域まで加熱後、熱間圧延し
て、表面に凹凸を有する線材とし、次いで、450〜6
50℃の温度で恒温変態を施し、その後、更に、1〜4
%の歪みを付与し、次いで、200〜500℃の温度で
5〜600秒の保定時間でブルーイング処理を施すこと
を特徴とする高強度圧延PC鋼棒の製造方法。
【0015】(6)上記(1)、(2)、(3)または
(4)記載の高強度圧延PC鋼棒に係る化学成分を有す
る鋼片を、オーステナイト領域まで加熱後、熱間圧延し
て、表面に凹凸を有する線材とし、次いで、450〜6
50℃の温度で恒温変態を施し、その後、更に、200
〜500℃の温度及び0.5〜6%の引張り歪みでヒー
トストレッチング処理を施すことを特徴とする高強度圧
延PC鋼棒の製造方法。
【0016】(7)上記(1)、(2)、(3)または
(4)記載の高強度圧延PC鋼棒に係る化学成分を有
し、表面に凹凸を有する線材を、オーステナイト領域ま
で再加熱後、冷却し、次いで、450〜650℃の温度
で恒温変態を施し、その後、更に、1〜4%の歪みを付
与し、次いで、200〜500℃の温度で5〜600秒
の保定時間でブルーイング処理を施すことを特徴とする
高強度圧延PC鋼棒の製造方法。
【0017】(8)上記(1)、(2)、(3)または
(4)記載の高強度圧延PC鋼棒に係る化学成分を有
し、表面に凹凸を有する線材を、オーステナイト領域ま
で再加熱後、冷却し、次いで、450〜650℃の温度
で恒温変態を施し、その後、更に、200〜500℃の
温度及び0.5〜6%の引張り歪みでヒートストレッチ
ング処理を施すことを特徴とする高強度圧延PC鋼棒の
製造方法。
【0018】
【発明の実施の形態】まず、本発明の高強度圧延PC鋼
の鋼(本発明の鋼)に係る化学成分について説明する。
Cは、TSやYSを確保するために重要で、かつ、経済
的な元素であるが、PC鋼棒として必要なTS:140
0 MPa以上、及び、YS:1200MPa 以上を、それぞ
れ得るためには、少なくとも、0.8%以上必要であ
り、0.8%未満では必要な強度が得られない。望まし
くは、0.85%以上必要である。一方、Cが1.3%
を超えると、粒界に、網状セメンタイトまたは粗大セメ
ンタイトが析出して、延性の低下が顕著になる。このた
め、C添加量は、0.8〜1.3%とする。
【0019】Siは、フエライト(パーライト中のフエ
ライト地)に固溶し、顕著な固溶強化作用により、YS
を向上させる元素である。この向上効果を得るために
は、少なくとも、0.10%以上の添加量が必要であ
る。一方、Siの添加量が2.5%を超えると、強度が
高くなりすぎて延性が低下する。このため、Si添加量
の上限を2.5%とする。
【0020】Mnは、焼入れ性を高めて強度を上昇させ
るとともに、鋼棒の横断面における組織を均一にするの
に有効な元素である。これらの効果を得るためには、少
なくとも、0.25%以上の添加量が必要である。一
方、Mnを過剰に添加すると、中心偏析部に、延性を低
下せしめるミクロマルテンサイトが生成し易くなる。ミ
クロマルテンサイトの生成を抑制するには、恒温変態処
理時間を長くすする必要があるが、これは実用的でな
い。このため、Mn添加量の上限を2.0%とし、Mn
添加量は、0.25〜2.0%とする。
【0021】Pは、粒界に偏析し、粒界脆化を起こし易
くする元素であるので、0.03%以下に低減する必要
がある。本発明の鋼において、Pは不純物元素であり、
極力低減することが望ましい。Sも、Pと同様に、粒界
に偏析し粒界脆化を起こし易くする元素であるので、
0.03%以下に低減する必要がある。本発明の鋼にお
いて、Sは、Pと同様に不純物元素であり、極力低減す
ることが望ましい。
【0022】次に、本発明の鋼が含有する選択元素につ
いて説明する。主に、γ粒径を微細化し、延性を向上さ
せるために、Al、Ti、Ca、REM、Nb、及び、
Vのうりの1種あるいは2種以上を添加する。また、主
に、圧延PC鋼棒の強度を向上させるために、B、C
r、Cu、Ni、Moのうちの1種あるいは2種以上を
添加する。
【0023】Alは、徹細なAl2 3 あるいはAlN析出
物のピンニング効果により、熱処理時のγ粒径を微細化
するために添加する元素である。しかし、0.05%を
超えて添加すると、粗大なAl2 3 が発生し、延性が低
下する。このため、Al添加量の上限を0.05%とす
る。Tiは、TiO2等の酸化物あるいはTiN、TiC等のT
i析出物のピンニング効果により、熱処理時のγ粒径を
微細化するために添加する元素である。この効果を得る
ためには、0.005%以上の添加が必要である。しか
し、0.05%を超えて添加すると、粗大なTiNが多量
に析出して、延性を劣化させる。このため、Ti添加量
の上限を0.05%とする。
【0024】Caは、CaS(O)の生成により、熱処理
時のγ粒径を微細化するのに有効な元素である。0.0
005%未満では効果がないので、0.0005%を、
Ca添加量の下限とする。しかし、0.005%を超え
て添加すると、清浄度が低下するとともに、Ca介在物
が粗大化し、延性が低下するので、上限を0.005%
とする。
【0025】REMも、Caと同様に、熱処理時のγ粒
径を微細化するのに有効な元素である。0.0005%
未満では効果がないので、0.0005%を、REM添
加量の下限とする。しかし、0.005%を超えて添加
すると、清浄度が低下するとともに、REMを含む介在
物が粗大化し、延性が低下するので、上限を0.005
%とする。
【0026】Vは、炭窒化物を析出させγ粒を徹細化
し、強度、延性を向上させる元素である。また、Vは、
鋼中に侵入した水素のトラップサイトとなり、遅れ破壊
特性を改善する元素でもある。これらの効果を得るに
は、0.002%以上の添加が必要である。しかし、多
量の添加では効果が飽和し、経済的に不利になるので、
上限を0.5%とする。
【0027】Nbは、Nb析出物のピンニング効果によ
りオーステナイト粒を微細化し、圧延PC鋼棒の延性を
向上させる元素である。このため、0.005%以上の
添加が必要である。しかし、多量に添加しても効果が飽
和し、経済的に不利となるので、0.1%を上限とす
る。このため、Nb添加量は、0.005〜0.1%と
する。
【0028】Bは、焼入性を向上させて、圧延PC鋼棒
の強度を高める元素である。また、Bは、優先的に粒界
に偏析し、P、S、Mn等の粒界偏析を抑制する粒界清
浄効果を介して、遅れ破壊の劣化を抑える元素でもあ
る。このため、B添加量の下限を0.0005%とす
る。しかし、0.01%を超えて添加すると、Fe23Bが
析出し、耐遅れ破壊特性が劣化する。このため、B添加
量は、0.0005〜0.01%とする。
【0029】Crは、固溶強化により、また、焼入れ性
を向上させパーライトのラメラー間隔を小さくして、強
度を上昇させる元素である。0.05%未満ではこの効
果が不十分である。しかし、2.0%を超えて添加する
と、強度が高くなり過ぎ、延性が低下する。このため、
上限を2.0%とする。Cuは、焼入れ性を向上させる
ために添加する元素である。また、Cuは、安定な腐食
生成物を生成して、水素の侵入を抑制し、遅れ破壊を改
善する元素でもある。この効果を得るには、0.05%
以上の添加量が必要である。しかし、1.0%を超えて
添加すると、圧延時に熱間割れが起き易くなるので、上
限を1.0%とする。
【0030】Niは、Cuと同様に、焼入れ性の向上さ
せるために添加する元素である。また、Niは、安定な
腐食生成物を生成して、水素の侵入を抑制し、遅れ破壊
を改善する元素でもある。さらに、Niは、Cu脆化を
抑制する効果も奏する元素である。耐遅れ破壊特性を向
上するには、0.05%以上の添加量が必要である。し
かし、1.0%を超えて添加しても、その効果は飽和
し、経済的に不利になるので、上限を1.0%とする。
【0031】Moは、リラクセーション特性を向上させ
るために有効な元素である。鋼の強度を上昇させるため
には、少なくとも、0.05%以上の添加量が必要であ
る。しかし、0.50%を超えて添加すると、フエライ
トの生成が抑制されるので、上限を0.50%とする。
そのため、Mo添加量は、0.10〜0.50%とす
る。
【0032】以上、鋼の化学成分について説明した。圧
延PC鋼棒において、YSを1200 MPa以上確保する
ためには、熱間圧延後、調整冷却した線材において、T
Sを、少なくとも、1400MPa 以上にする必要があ
り、これを考慮して、C量や、他の強化元素の組合わせ
及び添加量を決定し、鋼の化学成分を構成する必要があ
る。
【0033】次に、本発明の高強度圧延PC鋼棒を製造
する製造方法(本発明の製造方法)について説明する。
本発明の製造方法の特徴は、伸線等の強加工をしない状
態のパーライト組織で、YSを1200MPa 以上とした
点にある。即ち、本発明の鋼におけるパーライト組織は
高延性を有するものである。
【0034】前述したように、TSが1400MPa 以上
確保できた過共析鋼のDLP線材であっても、C量を
1.0%以上に高めた場合を除いて,そのままでは、Y
Sを1200MPa 以上とすることは難しい。実際の過共
析鋼にDLPを施したままの線材において、TSが14
00MPa 以上の場合、伸びは7%程度と低く、さらに、
ストレッチング+ブルーイング処理を施すと、時効硬化
により、延性が低下する恐れがある。
【0035】そこで、本発明者らは、上記課題を解決す
べく、伸線加工を施さずに、ストレッチング後ブルーイ
ング処理、もしくは、ヒートストレッチ処理を施した後
のYSの上昇と、破断伸びの低下について検討した。そ
して、TSが1400MPa 以上を有するパーライト組織
の鋼に、ストレッチング+ブルーイング処理、もしく
は、ヒートストレッチ処理を施すことにより、YSを約
100MPa 以上高め、伸びの低下を約2%以下に抑える
ことがきることを見い出した。
【0036】以上のことから、C量が0.8%以上の鋼
においても、YS:1200MPa 以上、TS:1400
MPa 以上、かつ、伸び4.5%以上を確保することが容
易に可能になった。次に、詳細に組織、及び、製造条件
について説明する。本発明の鋼の特徴は、パーライト主
体の組織で、TSが1400MPa 以上となることであ
る。このためには、前述した化学成分を満足するととも
に、パーライト組織が80%以上存在することが必要で
あり、本発明の製造方法においては、鋼材の熱間圧延
後、もしくは、線材の再加熱後、450〜650℃の温
度で恒温変態を行う。パーライト組織が80%未満であ
ると、所望の強度(TS)が得られない。
【0037】恒温変態において、保持温度が450℃未
満であると、多量のベイナイトが生成し、パーライト8
0%以上の組織を確保することができず、所望のTSが
得られない。一方、保持温度が650℃を超えると、ラ
メラー間隔が粗になり、パーライト組織の強度が低下す
る。従って、恒温変態における保持温度は、450〜6
50℃とする。
【0038】本発明の製造方法の特徴は、熱間圧延中、
もしくは、熱間圧延後恒温変態前に、線材にインデント
加工を施す点にある。インデント加工により、線材の表
面に凹凸部が形成されるが、熱間圧延中もしくは恒温変
態中に残留応力が開放されて、該凹凸部間に残留応力差
は存在しない。インデント加工の方法は、所要の凹凸形
状に応じ、適宜、選択すればよい。
【0039】PC鋼棒の表面に凹凸を形成することによ
り、コンクリートとの密着性が、格段に向上する。YS
を上昇させるために、線材を、ストレッチングで塑性域
まで引張り、次いで、ブルーイング処理を施し、この時
付与した加工歪みを除去する。前述したように、YS:
1200MPa 以上で、破断伸び4.5%以上を確保でき
るストレッチング及びブルーイングに係る条件は、1〜
4%の歪みを付与した後、200〜500℃の温度で5
〜600秒の時間、保定することである。
【0040】ストレッチングが1%未満では、YSの上
昇が図れない。一方、ストレッチングが4%を超える
と、破断伸び4.5%以上を確保できない。また、熱処
理温度が、200℃未満では、Cの拡散が不十分で、転
位が固着されないので、時効によるYSの上昇を図るこ
とができない。一方、熱処理温度が500℃を超える
と、炭化物が粗大化して延性が低下する。このため、ブ
ルーイング処理の熱処理温度は、200〜500℃とす
る。
【0041】上記の適正な熱処理温度範囲であっても、
処理時間が適切でないと、所望のYSと伸びの確保が困
難となる。処理時間が5秒未満では、Cの拡散が不十分
で、時効によりYSの上昇を図ることができない。一
方、600秒を超えて処理しても、時効の効果は飽和す
るので、処理時間の上限は600秒とする。本発明の製
造方法においては、ストレッチング+ブルーイング処理
に替えて、ヒートストレッチング処理を用いることがで
きる。このヒートストレッチング処理は、線材に、0.
5〜6%の引張り歪みを与えて200〜500℃の温度
に加熱して行う処理である。
【0042】与える引張り歪みが0.5%未満では、Y
Sの上昇が図れない。一方、引張り歪みが6%を超える
と、破断伸び4.5%以上を確保できない。また、熱処
理温度が、200℃未満では、Cの拡散が不十分で、転
位が固着されないので、時効によりYSの上昇を図るこ
とができない。一方、熱処理温度が500℃を超える
と、炭化物が粗大化して延性が低下する。このため、ヒ
ートストレッチング処理の熱処理温度は、200〜50
0℃とする。
【0043】本発明の製造方法は、以上の条件の下で、
高強度圧延PC鋼棒において、YS:1200MPa 以
上、TS:1400MPa 以上、かつ、伸び4.5%以上
を確保することができるものである。そして、更に、本
発明の製造方法では、従来必要とされていた伸線工程を
省略し、加熱(オーステナイト化)→熱間圧延(+イン
デント加工)→(インデント加工)→恒温変態→冷却→
ストレッチング+ブルーイング処理、まがは、加熱(オ
ーステナイト化)→熱間圧延(+インデント加工)→
(インデント加工)→恒温変態→冷却→ヒートストレッ
チング処理のいずれかの各工程を経て、コンクリートと
の密着しが格段に優れた高強度圧延PC鋼棒を、低コス
トで製造することが可能となった。
【0044】
【実施例】以下本発明の実施例について説明する。表1
の化学成分を有する鋳片を加熱後熱間圧延し、DLPを
実施した。その後、該線材をストレッチイングした後に
ブルーイング処理した。製造条件および材質特性を表2
に示す。引張り試験での伸びは突き合わせ法により測定
した。パーライトの面積率は光学顕微鏡観察によって決
定した。本発明鋼の鋼T1〜T12ではTSが1400
MPa以上、YSが1200MPa以上およびE1が
4.5%以上を満足した。
【0045】PC鋼棒に要求される材質特性としてリラ
クゼーションがあげられる。本発明では省略するが、例
えば鋼Cではリラクゼーション試験は180℃の高温リ
ラクゼーションで評価し、1420MPa×0.7の荷
重で20%以下であった。鋼H1〜H3は適切な鋼成分
ではないので、機械的性質が確保できなかった。鋼H1
はC量が少なく所定の強度が得られない。鋼H2はC量
が多く延性が低下した。鋼H3はSi添加量が多く延性
が低下した例である。鋼H4〜H8では適正な製造条件
となっておらず材質特性が得られない。鋼H4は恒温変
態温度が低く80%以上のパーライト分率に満たないた
め強度が低下した。また、鋼H5では恒温変態温度が高
いため強度が低下した例である。鋼H6では予歪みの量
が少なくYSの所定の強度が得られない。鋼H7ではブ
ルーイング温度が低くCの拡散が不十分であるためYS
の所定の強度が得られない例である。鋼H8はブルーイ
ング温度が高く時効硬化により延性が低下した。鋼H9
はインデント加工をしていないためコンクリート密着性
が低下した。鋼H10は圧延後にインデント加工してい
ないため耐遅れ破壊特性に対して一部劣化した。
【0046】
【表1】
【0047】
【表2】
【0048】
【発明の効果】本発明によれば、高延性で高強度の圧延
PC鋼棒を、低コストで製造し、提供することができ
る。したがって、本発明は、工業的に非常に有用なもの
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 玉川 良彦 千葉県君津市君津1番地 新日本製鐵株式 会社君津製鐵所内 (72)発明者 齊藤 仁 千葉県君津市君津1番地 新日本製鐵株式 会社君津製鐵所内 Fターム(参考) 4E070 AA01 AB00 AC01 DA04 EA00 EA05 FA01 4K032 AA01 AA02 AA06 AA07 AA08 AA11 AA12 AA14 AA16 AA19 AA22 AA23 AA31 AA32 AA35 AA36 AA40 BA02 CA01 CF01 CF02 CG01 CH04

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 質量%で、C:0.8〜1.3%、を含
    有し、パーライト面積率が80%以上で、更に、表面に
    残留応力差のない凹凸が形成されている鋼からなり、Y
    S(0.2%耐力)が1200 MPa以上、TSが140
    0 MPa以上で、かつ、伸びが4.5%以上であることを
    特徴とする高強度圧延PC鋼棒。
  2. 【請求項2】 前記鋼が、更に、質量%で、 Si:0.10〜2.5%、及び、 Mn:0.25〜2.0%、 を含有することを特徴とする請求項1記載の高強度圧延
    PC鋼棒。
  3. 【請求項3】 前記鋼が、更に、質量%で、 Al:0.05%以下、 Ti:0.005〜0.05%、 Ca:0.0005〜0.005%、 REM:0.0005〜0.005%、 V:0.002〜0.5%、及び、 Nb:0.005〜0.1% の1種以上を含有することを特徴とする請求項1または
    2記載の高強度圧延PC鋼棒。
  4. 【請求項4】 前記鋼が、更に、質量%で、 B:0.0005〜0.01%、 Cr:0.05〜2.0%、 Cu:0.05〜1.0%、 Ni:0.05〜1.0%、及び Mo:0.05〜0.50%、 の1種以上を含有することを特徴とする請求項1、2ま
    たは3記載の高強度圧延PC鋼棒。
  5. 【請求項5】 請求項1、2、3または4記載の高強度
    圧延PC鋼棒に係る化学成分を有する鋼片を、オーステ
    ナイト領域まで加熱後、熱間圧延して、表面に凹凸を有
    する線材とし、次いで、450〜650℃の温度で恒温
    変態を施し、その後、更に、1〜4%の歪みを付与し、
    次いで、200〜500℃の温度で5〜600秒の保定
    時間でブルーイング処理を施すことを特徴とする高強度
    圧延PC鋼棒の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項1、2、3または4記載の高強度
    圧延PC鋼棒に係る化学成分を有する鋼片を、オーステ
    ナイト領域まで加熱後、熱間圧延して、表面に凹凸を有
    する線材とし、次いで、450〜650℃の温度で恒温
    変態を施し、その後、更に、200〜500℃の温度及
    び0.5〜6%の引張り歪みでヒートストレッチング処
    理を施すことを特徴とする高強度圧延PC鋼棒の製造方
    法。
  7. 【請求項7】 請求項1、2、3または4記載の高強度
    圧延PC鋼棒に係る化学成分を有し、表面に凹凸を有す
    る線材を、オーステナイト領域まで再加熱後、冷却し、
    次いで、450〜650℃の温度で恒温変態を施し、そ
    の後、更に、1〜4%の歪みを付与し、次いで、200
    〜500℃の温度で5〜600秒の保定時間でブルーイ
    ング処理を施すことを特徴とする高強度圧延PC鋼棒の
    製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項1、2、3または4記載の高強度
    圧延PC鋼棒に係る化学成分を有し、表面に凹凸を有す
    る線材を、オーステナイト領域まで再加熱後、冷却し、
    次いで、450〜650℃の温度で恒温変態を施し、そ
    の後、更に、200〜500℃の温度及び0.5〜6%
    の引張り歪みでヒートストレッチング処理を施すことを
    特徴とする高強度圧延PC鋼棒の製造方法。
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WO2011081360A2 (en) * 2009-12-28 2011-07-07 Posco Ultra-high-strength steel wire having excellent resistance to delayed fracture and manufacturing method thereof
CN104651730A (zh) * 2015-02-12 2015-05-27 清原满族自治县三方耐磨材料有限公司 一种耐磨合金钢、合金磨球及其制备方法

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