JP2002069439A - フォトクロミック薄膜およびその製造方法、並びにそれを用いた光機能素子 - Google Patents
フォトクロミック薄膜およびその製造方法、並びにそれを用いた光機能素子Info
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Abstract
る変換率を向上させ、大きな吸光度変化および屈折率変
化を示すフォトクロミック薄膜と、上記フォトクロミッ
ク薄膜を用いて優れた光機能素子を得る。 【解決手段】光照射により可逆的な光異性化反応を示す
アモルファスのジアリールエテン系化合物などのフォト
クロミック化合物から成り、開環したジアリールエテン
化合物からなるフォトクロミック化合物に光照射するこ
とによって生成した閉環したジアリールエテン化合物を
所定の基板表面に塗布形成することによって、開環した
ジアリールエテン化合物から閉環したジアリールエテン
化合物への変換率が50%以上のフォトクロミック薄膜
を得る。
Description
情報処理分野に好適に用いられるフォトクロミック薄膜
およびその製造方法、並びにそれを用いた光機能素子に
関するものである。
照射することにより、分子構造が変化し、この変化に応
じて、吸光度、屈折率等の光学特性を可逆的に変える性
質を有しているため、光メモリ素子や光スイッチング素
子などのフォトニクスデバイスへの応用が期待されてい
る。
性化反応は、化合物Xに対して波長λ1の光を照射する
ことによって化合物X’に変換され、また、化合物X’
に波長λ2を照射することによって化合物Xに戻るとい
う可逆反応からなるものである。化合物Xと化合物X’
は、各々吸収スペクトルの異なる異性体で、波長λ1、
λ2の光照射により異性化反応を示す。
媒体として用いる場合、λ1、λ2のうち一方の波長の光
をフォトクロミック層に照射することによってデータを
記録する。そして、他方の波長の光を照射することによ
ってデータは消去される。通常は、上記のように異性体
X、X’間の吸光度の差、つまり透過率変化によってデ
ータの読み出しが行われる。この吸光度の差が大きいほ
ど良好な再生信号が得られる。
記録光として用いるレーザー光をそのままの光として利
用する(フォトンモード記録)ことができるため、速い
応答性が期待でき、かつ最終的には分子レベルの解像
度、すなわち高密度記録の可能性がある点で大いに期待
されている。
するだけで屈折率が変化し、屈折率が変化した後もエネ
ルギーを消費することなく、変化した状態で屈折率を保
持できるという利点を有している。さらに、着色・消色
状態の屈折率変化幅も大きく、従来のフォトリフラクテ
ィブ材料と比較すると数百倍に達するという特長を有し
ている。
ロンチウム−バリウム−ナイオベート(SrxBa1-xN
b2O6)やリチウムナイオベート(LiNbO3)等の
無機物で主に見られた。電界を印加した場合に屈折率が
大きく変化し、変化した屈折率が安定に保持され、さら
に別のパターンで光照射を行うと、最初のパターンが消
去されて新たなパターンが形成される、いわゆる可逆的
な屈折率変化を示す。
おり、有機物の場合、その屈折率変化は無機物に比較し
て、数倍から数十倍も大きいことが特長となっている。
変化する性質は、光メモリ素子だけではなく、光スイッ
チング素子へも非常に有効な性質である。特に光スイッ
チング素子に用いる場合、屈折率変化が大きいため、素
子の小型化が可能となり、さらに光による制御が可能な
ことから、光を用いた遠隔操作に関しても可能となるた
め、非常に有効である。
超高密度光記録媒体や光のみで操作可能である全光スイ
ッチへの応用が大いに期待される。フォトクロミック化
合物を光メモリ素子や光スイッチング素子等の光機能素
子に応用する場合、フォトクロミック化合物を含有させ
た薄膜の形成が必要となる。これまで薄膜形成法として
は、フォトクロミック化合物をポリメチルメタクリレー
トやポリスチレンなどの高分子マトリックス中に分散さ
せる方法が一般的に用いられていた。しかしながら、フ
ォトクロミック材料は高濃度になるほど変換率が低下
し、高分子に対して30%程度の濃度で最大値をとるこ
とが知られている。さらにフォトクロミック化合物の中
には、高分子との相溶性が悪く、分散性が悪いという問
題も有している。その結果、これまで十分な特性が得ら
れていなかった。
脂に分散させず、単独で薄膜形成可能である結晶および
アモルファス状態でフォトクロミック特性を示すフォト
クロミック材料が提案されている。(M.Irie,C
hem.Lett.899(1995)、特開平8−1
19963号、特開平9−241254号、特開平10
−251630号)
フォトクロミック化合物は、蒸着等により薄膜形成する
必要があり、量産性に劣るという欠点を有している。ま
た、アモルファスフォトクロミック化合物は、スピンコ
ート法などの簡便な塗布方法により単独膜を形成可能と
いう利点を有しているが、成膜時の溶液中には反応に関
与しない立体構造(パラレル構造)を有するフォトクロ
ミック化合物が半分程度存在しており、その結果、得ら
れたフォトクロミック薄膜は、光異性化反応における異
性体への変換率が最大でも50%しかならず、十分に材
料特性を発現できていなかった。
たものであり、その目的は、フォトクロミック化合物の
光異性化反応における異性体への変換率を向上させ、大
きな吸光度変化および屈折率変化を示すフォトクロミッ
ク薄膜を提供することにある。また、上記フォトクロミ
ック薄膜を用いて優れた光メモリ素子および光スイッチ
ング素子等の光機能素子を提供することを目的とする。
明のフォトクロミック薄膜は、光照射により可逆的な光
異性化反応を示すフォトクロミック化合物から成り、光
異性化反応における異性体への変換率(以下、単に光異
性化率という。)が50%以上であることを特徴とする
ものであって、前記フォトクロミック化合物が、アモル
ファスであることも大きな特徴である。
アリールエテン系化合物からなるものであって、開環し
たジアリールエテン化合物からなるフォトクロミック化
合物に光照射することによって生成した閉環したジアリ
ールエテン化合物を所定の基板表面に塗布形成したもの
である。
が、光異性化反応によって化3の化学式で示されるAo
化合物から、化4の化学式で示されるAc化合物へ可逆
的反応し、Ao化合物からAc化合物への変換率が50
%以上であることを特徴とする。
縮合芳香環またはヘテロ環を示し、R 5、R6は、水素、
アルキル基またはアルコキシ基を示し、Xは、酸素、硫
黄または窒素を示し、環Aは、脂肪族環、酸無水物また
はマレイミド基を示し、nは1〜3の整数を示す。) また、上記フォトクロミック薄膜は、開環したジアリー
ルエテン化合物からなるフォトクロミック化合物に光照
射することによって閉環したジアリールエテン化合物を
生成した後、これを所定の基板表面に塗布形成すること
を特徴とするものである。
れた薄膜に特定波長の光を照射することにより記録再生
を行わせる光機能素子において、前記薄膜を上記のフォ
トクロミック薄膜によって形成する、あるいは所定の基
板表面に導波路が形成され、前記導波路の一部若しくは
全体が、フォトクロミック材料を用いて照射光により光
応答する導波路で形成されている光機能素子において、
前記導波路を前記フォトクロミック薄膜によって形成す
るものである。
よれば、上記フォトクロミック化合物は、ジアリールエ
テンのヘテロアリール部にトリアリールアミノ基を持つ
ため、常温でアモルファス状態とすることができ、これ
から成るフォトクロミック薄膜は、高分子樹脂等のよう
なマトリックス中に分散させる必要がなく、前述した従
来の結晶膜と同様に単独で均質の状態にすることができ
る。分散膜に比較してより大きな光学特性変化を発現で
きるだけでなく、結晶膜形成に必要な真空装置等の大が
かりな装置を必要とせず、スピンコート法などによる簡
便な塗布法によって薄膜の形成が可能となる。
テン系化合物Ao、Acは、下記化5で示されるような
光照射により化合物Aoから化合物Acへの可逆的な光
異性化反応を示す。
ニル基、縮合芳香環またはヘテロ環、および環B、環C
は、結合している水素原子の一部がアルキル基、アリー
ル基、ニトロ基、アミノ基、アルコキシ基、シアノ基ま
たはハロゲン基によって置換されていても良い。
ことが熱安定性が増し最も好ましい。また、環Aとして
は、特にシクロペンテン環でしかも置換基がハロゲン原
子、特にフッ素原子であると、化合物Aoのフォトクロ
ミック化合物の合成反応における反応性が増し、収量が
増加するので好適である。
モル吸光係数が50000以上、化合物Acのモル吸光
係数が20000以上と非常に大きな値を示す。これら
の結果、本発明のフォトクロミック薄膜は大きな吸光度
変化が発現させることができる。
のフォトクロミック化合物は、溶液中、光反応に関与す
る立体構造(アンチパラレルコンフォメーション)と光
反応に関与しない立体構造(パラレル構造)が約半分存
在する。その結果、開環したジアリールエテンを含む溶
液を塗布して得られた薄膜の場合、光異性化率は最大で
も50%程度であって、フォトクロミック化合物の持つ
特性を十分に発揮できないという問題がある。
ミック化合物Aoは、化5に示す光異性化反応における
化合物Ao(開環体)から化合物Ac(閉環体)への反
応量子収率が0.5と非常に大きいのに対して、化合物
Ac(閉環体)からCo化合物Ao(開環体)への反応
量子収率は、0.005以下と、Ao→Acに比較して
非常に小さいため、化5に示す反応式の光定常状態にお
ける光異性化率は、ほぼ100%に達する。
応により化合物Ao(開環体)をすべて化合物Ac(閉
環体)に変換した後、塗布法により薄膜形成することに
より、すべての分子が光異性化反応に関与するフォトク
ロミック薄膜が得られる。この結果、従来法で得られた
フォトクロミック薄膜に対して、2倍の吸光度変化およ
び屈折率変化を示すフォトクロミック薄膜を形成するこ
とが可能となる。
着等の大がかりな装置を用いることなく、有機薄膜形成
で一般的に用いられる塗布法(スピンコート法、バーコ
ート法、浸積法、溶融押し出し法、スプレー法など)に
より形成可能である。
化合物Ao(開環体)を粘性の高い有機溶媒に溶解さ
せ、これに450nm以下の光を照射し光異性化させ、
前記化4の化学式で表される化合物Ac(閉環体)の異
性体に100%変換させる。その後、この化合物Ac
(閉環体)を含む溶液を所定の基体表面に塗布、さらに
80〜150℃程度で加熱処理することにより、フォト
クロミック薄膜を形成することができる。
500nm以上の光を照射することにより、化合物Ao
(開環体)のフォトクロミック化合物に変換されるが、
そのすべての分子が光異性化反応に関与する立体構造の
みから成るフォトクロミック薄膜が得られる。
基板としては、特に限定するものではなく、その用途に
応じて種々選択される。基板材料としては、有機樹脂基
板や、ガラス、セラミックス、金属の群から選ばれる少
なくとも1種を用いることができる。また、フォトクロ
ミック薄膜の厚みも適宜、用途に応じて設定されるが、
光異性化反応性の点では、100Å〜5μmが適当であ
る。
ロミック化合物Ao(開環体)は、例えば化6の(a)
〜(d)の順序で製造することができる。但し、製造方
法は、この方法に限定されるものではなく、公知の方法
から適宜選択して製造することができる。
ヘテロ環化合物と臭素を酢酸溶液中反応させることによ
り、右に示された臭素原子が2位および4位に導入され
たヘテロ環化合物が合成される。
置換ヘテロ環化合物に−70℃程度の極低温下、ノルマ
ルリチウムヘキサン溶液を滴下して反応させる。これに
ホウ素化合物B(OBu)3を加えることにより、化6
(b)の右に示されたヒドロキシルホウ素置換基が置換
されたヘテロ環化合物が合成される。
化合物にトリアリールアミンのヨウ素置換体を加え、パ
ラジウム触媒を用いて反応を行うと、化6(c)の右に
示されたヘテロ環2位にトリアリールアミノ基が置換さ
れた化合物が合成される。
ウムを反応させ、リチウム−ハロゲン交換によりアニオ
ン種を発生させる。このアニオン種に環A化合物(ハロ
ゲン原子置換)を反応させることにより、目的とするジ
アリールエテン(図6(d)右)、つまり前記化3の化
合物Ao(開環体)のジアリールエテンを合成すること
ができる本発明で用いられるフォトクロミック化合物
は、分子内にトリアリール基が置換されているため、低
分子でありながら安定なガラス状態を示す。そのため、
該フォトクロミック化合物は、単独でアモルファス薄膜
を形成することが可能であり、さらに溶液系と同様に可
逆的なフォトクロミック反応を示す。
体)に光照射させ、一旦すべて化合物Ac(閉環体)に
変換させた後、これを基板表面に塗布形成した本発明の
フォトクロミック薄膜は、高分子樹脂分散膜とは異な
り、フォトクロミック化合物単一のアモルファス薄膜で
あるため、光吸収係数、屈折率、旋光性あるいは誘電率
を等の光学特性も、透明媒体に分散した分散膜と比較し
て大きな値を示す。
を照射すると、膜中でフォトクロミック反応が進行し着
色する。光照射前後フォトクロミック薄膜の光学特性
が、分散膜と比較して大きく変化する。特に屈折率変化
は著しく、従来の分散膜では10- 3オーダーであったの
に対して、フォトクロミック分子を配向させたフォトク
ロミック薄膜の場合、10-2オーダーの屈折率変化を示
す。さらにそのスイッチングは、数ナノ秒内に完了する
ため、高速応答が可能となる。
素子として種々応用することができるが、その1つとし
ては、フォトクロミック薄膜に光照射することにより情
報の記録再生を行わせる光記録媒体として用いることが
できる。この光記録素子によれば、アモルファスフォト
クロミック化合物単独からなる光異性化率がほぼ100
%に達するフォトクロミック薄膜を記録層とするため、
高いC/N比が得られる。
体に適用する場合、真空蒸着等の大がかりな装置を用い
ることなく、有機薄膜形成で一般的に用いられる塗布法
(スピンコート法、バーコート法、浸積法、溶融押し出
し法、スプレー法など)により所定の記録媒体基板表面
に形成可能である。具体的には、粘性の高い有機溶媒に
前記フォトクロミック化合物を溶解させ、その溶液を塗
布、さらに80〜150℃程度で加熱処理することによ
り、薄膜形成することができる。
は、図5(a)の断面図にて示すように、例えば透光性
を有するポリカーボネート等の樹脂材料やガラス等から
成るディスク状の基板1上に、本発明の方法により作製
したフォトクロミック体からなる薄膜を記録層2として
設け、さらにこの反射層3を設けたものである。
は、、透光性を有するプラスティック(例えば、ポリエ
ステル樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカー
ボネート樹脂、ポリオレフィン樹脂、フェノール樹脂、
エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂)やガラス、セラミッ
ク、金属等を用いることができる。また記録層は厚み1
00Å〜5μm(好ましくは1000Å〜1μm)程度
に積層し、さらにこの上に蒸着法等により高反射で腐食
され難い金属(Au、Al、Ag、Cu、Cr、Ni
等)や半金属(Si等)等から成る反射層3を含み50
Å〜3000Å(より好ましくは100Å〜3000
Å)程度に積層する。
光感度が得られないし、厚すぎると厚み方向に光反応速
度が遅くなるので好ましくない。また、反射層3の場
合、その厚みが上記範囲より薄すぎると反射率が得られ
ない。
れば、基板1より入射した光L1で情報の記録ができ、
反射光L2を検出することにより、情報の読み出しを行
うことができる。
ように、基板1に不透明なものを使用する場合には、反
射層3を基板1上に設け、次いで記録層2をその上に設
けるようにし、記録層2側から光を照射するようにして
も良い。また、これら層構成は最小限度必要な構成であ
って、例えば反射層や記録層を保護層で覆って多数の層
構成としても良い。かくして、反射率変化が大きく、さ
らに着色・消色の繰り返し耐久性が良好な光記録媒体P
2とすることができる。
層とから成る積層体を配設する以外に、図5(c)に示
すように、透光性の基板1上に記録層2を設け、入射光
L1により情報を記録し、入射光L1と出射光L2の検
出により光透過率の差によって情報の再生を行うように
した光記録媒体P3とするようにしても良い。この場合
においても、記録層2を透光性の保護層等で覆って多数
の層構成としても良い。
吸光度だけではなく大きな屈折率変化を示すため、図6
に示すような光導波路として用いる光スイッチング素子
は、素子の小型化が可能となり、さらに光による制御が
可能なことから、光を用いた遠隔操作に関しても可能と
なる。
光スイッチングの場合、電界印加しなければならないと
いう問題を有していたが、本発明のフォトクロミック薄
膜を用いると、電界を印加しなくても光だけで制御可能
であるため、エネルギーを消費することなく動作せるこ
とが可能となる。
薄膜を光記録媒体や光スイッチ素子に適用した場合につ
いて示したが、本発明のフォトクロミック薄膜の用途
は、必ずしもこれに限定されるものではなく、例えば調
光材料や光センサ等にも適用が可能である。またこのフ
ォトクロミック薄膜を形成する基板も上記材料に限定さ
れるものではなく、要旨を逸脱しない範囲で適宜変更実
施が可能である。
る。なお、本発明の要旨を逸脱しない限り以下の実施例
に限定されるのもではない。
有する化合物を用い、これらのフォトクロミック特性を
表1、表2に示した。
表1、表2に示すように、いずれも紫外光および可視光
照射により化合物Boから化合物Bcに、および化合物
Coから化合物Ccに可逆的に進行した。また、いずれ
の化合物も閉環反応(左→右)の量子収率の方が、開環
反応(右→左)の量子収率より2桁大きく、光定常状態
における光異性化率は、ほぼ100%であることが分っ
た。
ガラス転移温度は、化合物Boは103℃、化合物Bc
は124℃、化合物Coは110℃、化合物Ccは13
6℃であることを確認し、光による可逆的なフォトクロ
ミズムを示す材料としては、最高の値を示した。
ク化合物をトルエンに溶解させた後、342nmの紫外
光を照射し、すべて閉環体である化合物Bcに変換し
た。この溶液を石英基板上にスピンコート法に塗布し、
90℃でベーキングすることによって膜厚1μmのフォ
トクロミック薄膜1を作製した。
物Coを用いて、閉環体である化合物Ccに変換し、こ
れを塗布、ベーキング処理して膜厚1μmのフォトクロ
ミック薄膜2を作製した。
く、長時間放置すると結晶化してしまい、その結晶化部
分が欠陥となり特性低下を引起こす。しかしながら、上
記のようにして作製した薄膜1および薄膜2は、いずれ
も半年以上放置しても結晶化による欠陥発生はなく、さ
らに特性低下も見られないことを確認した。
(XRD)測定、偏光顕微鏡観察を行ったところ、XR
D測定では、ブロードなハローが観測されるだけであ
り、偏光顕微鏡観察ではクロスニコル状態では光が透過
せず黒色であることが観測され、均一なアモルファス薄
膜であることが確認できた。
に紫外光313nmの光を照射すると膜が緑色に着色さ
れた。さらにこの光照射による吸収波長の変化は、可逆
的に起こることを確認した。薄膜状態においても可逆的
なフォトクロミック反応が進行することが分かった。ま
た、薄膜状態における可逆的な光異性化率は、ほぼ10
0%程度を示した。
回以上の繰返しフォトクロミック反応を行っても、暗所
80℃条件下1000時間以上放置しても、化合物劣化
による特性低下は見られなかった。 (比較例1)比較として、開環体である化合物Boおよ
び化合物Coのフォトクロミック化合物をトルエンに溶
解させた後、閉環体に変換することなく、石英基板上に
スピンコート法に塗布し、90℃でベーキングし、膜厚
1μmのフォトクロミック薄膜3、4を作製した。
を塗布して得られた薄膜3,4は、反応に関しないパラ
レル構造の分子が半分程度存在するため、薄膜中におけ
る光異性化率が40%程度(薄膜3:38%、薄膜2:
42%)と、本発明品である薄膜1、薄膜2に比較して
半分以下であることが分かった。
おける吸光度変化を示すグラフである。 (実施例2)実施例1および比較例1により作製した薄
膜1、薄膜2および薄膜3、薄膜4に817nm、13
0nm、1550nmのレーザー光を用いて、紫外光照
射前後の屈折率変化を調べ、その結果を表3に示した。
も、紫外光照射によるフォトクロミック反応の進展に伴
い、屈折率が大きくなることが確認できた。しかしなが
ら、閉環体から作成したフォトクロミック薄膜(薄膜
1、2)と開環体から作成した薄膜(薄膜3、4)で
は、可逆的屈折率変化の割合に大きな差があり、閉環体
から作成したフォトクロミック薄膜(薄膜1、2)の方
が2倍程度大きな屈折率変化を示すことが分かった。 (実施例3)実施例1で得られたフォトクロミック薄膜
を用いて図5(a)に示す光記録媒体P1を作製した。
透光性を有するポリカーボネート基板1上に実施例1で
得られたフォトクロミック薄膜1から成る記録層2を積
層し、さらにこの上にAl層から成る反射層3を積層し
た。さらにこの上にアクリル樹脂から成る保護層(図示
せず)を形成し、光記録媒体を作製した。
て、記録層2のフォトクロミック化合物を着色状態にし
た後、400nmおよび680nmの半導体レーザーを
ピックアップに搭載した装置を用いて記録再生の評価を
行った。400nmレーザー10mWのパワーで記録を
行い、680nmレーザー0.2mWのパワーで再生を
行ったところ、50dB以上の高いC/N比の再生信号
が得られた。さらに再生回数は1万回以上であった。 (実施例4)実施例1で得られたフォトクロミック薄膜
1を用いて図6に示すような光導波路Hを作製し、スイ
ッチング現象を確認した。なお、この光導波路Hにおい
て、11は基板、12、13はコア部、16は本発明に
よるフォトクロミック薄膜からなるフォトクロミックク
ラッド、14,15はフォトクロミック薄膜と同程度の
屈折率を持つ高分子クラッドである。なお、B1、B2
はカプラ部分を示す。作製した導波路に1.55nmの
光を通しておき、紫外光を照射したところ、屈折率が変
化し、1.55nmの光をスイッチングできることが分
かった。またスイッチング速度は、従来法により得られ
た薄膜3により作製された導波路よりも大きいことが分
かった。
を有するジアリールエテンから成るアモルファスフォト
クロミック化合物を光照射により閉環体へすべて変換さ
せた後、薄膜形成することにより、高分子樹脂媒体中に
分散せず、フォトクロミック化合物単独でアモルファス
薄膜を形成させることが可能であるだけでなく、薄膜中
の50%以上を光異性化反応に関与させることができる
ため、分散膜や開環体から得られたアモルファス膜に比
較して、より大きな光学特性、特に大きな吸光度変化お
よび屈折率変化を示す。したがって、これを用いた光機
能素子は、優れたデバイス特性を有し、高速応答するこ
とができる。
射前後における吸光度変化を示すグラフである。
射前後における吸光度変化を示すグラフである。
射前後における吸光度変化を示すグラフである。
射前後における吸光度変化を示すグラフである。
面図である。
図である。
Claims (9)
- 【請求項1】光照射により可逆的な光異性化反応を示す
フォトクロミック化合物から成り、光異性化反応による
異性体への変換率が50%以上であることを特徴とする
フォトクロミック薄膜。 - 【請求項2】前記フォトクロミック化合物が、アモルフ
ァスであることを特徴とする請求項1記載のフォトクロ
ミック薄膜。 - 【請求項3】前記フォトクロミック化合物が、ジアリー
ルエテン系化合物からなることを特徴とする請求項1ま
たは請求項2記載のフォトクロミック薄膜。 - 【請求項4】開環したジアリールエテン化合物から閉環
したジアリールエテン化合物への変換率が50%以上で
あることを特徴とする請求項3記載のフォトクロミック
薄膜。 - 【請求項5】開環したジアリールエテン化合物からなる
フォトクロミック化合物に光照射することによって生成
した閉環したジアリールエテン化合物を所定の基板表面
に塗布形成したものである請求項1乃至請求項4のいず
れか記載のフォトクロミック薄膜。 - 【請求項6】開環したジアリールエテン化合物が化1の
化学式で表される化合物Ao、閉環したジアリールエテ
ン化合物が化2の化学式で表される化合物Acからなる
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか記載
のフォトクロミック薄膜。 【化1】 【化2】 (化1、化2中、R1 〜 4は、フェニル基、縮合芳香環ま
たはヘテロ環を示し、R 5、R6は、水素、アルキル基ま
たはアルコキシ基を示し、Xは、酸素、硫黄または窒素
を示し、環Aは、脂肪族環、酸無水物またはマレイミド
基を示し、nは1〜3の整数を示す。) - 【請求項7】開環したジアリールエテン化合物からなる
フォトクロミック化合物に光照射することによって閉環
したジアリールエテン化合物を生成した後、これを所定
の基板表面に塗布形成することを特徴とするフォトクロ
ミック薄膜の製造方法。 - 【請求項8】所定の基板表面に形成された薄膜に特定波
長の光を照射することにより記録再生を行わせる光機能
素子において、前記薄膜が、請求項1乃至請求項5のい
ずれか記載のフォトクロミック薄膜からなることを特徴
とする光機能素子。 - 【請求項9】所定の基板表面に導波路が形成され、前記
導波路の一部若しくは全体が、フォトクロミック材料を
用いて照射光により光応答する導波路で形成されている
光機能素子において、前記導波路が請求項1乃至請求項
5のいずれか記載のフォトクロミック薄膜からなること
を特徴とする光機能素子。
Priority Applications (1)
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