JP2002069377A - シリコーン水系塗料 - Google Patents

シリコーン水系塗料

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JP2002069377A
JP2002069377A JP2000265143A JP2000265143A JP2002069377A JP 2002069377 A JP2002069377 A JP 2002069377A JP 2000265143 A JP2000265143 A JP 2000265143A JP 2000265143 A JP2000265143 A JP 2000265143A JP 2002069377 A JP2002069377 A JP 2002069377A
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Takeshi Naito
剛 内藤
Kenji Kobayashi
憲治 小林
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Toyoda Gosei Co Ltd
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Toyoda Gosei Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 塗料構成成分が少なくて調製が容易であると
ともに、ポットライフの問題も解決できるシリコーン水
系塗料を提供すること。 【解決手段】 非極性ゴム基材30に適用し、シリコー
ンレジン、シリコーンオイル及び界面活性剤を必須成分
とし水を分散媒とするシリコーン水系塗料32。さら
に、非極性樹脂微粒子34を含有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エチレン−αオレ
フィン系ゴム(EOR)等の非極性ゴム基材に適用し、
シリコーンレジンとシリコーンオイルとを必須成分とす
るシリコーン水系塗料に関する。
【0002】以下、適用するゴム基材製品として、自動
車用ウェザストリップ(具体的にはドアウェザストリッ
プ本体)を例に採り説明するが、これに限られるもので
はない。例えば、建築物・機械構造物における人出入り
窓・監視窓等における摺動窓、回転ドア等におけるウェ
ザストリップ、冷蔵庫等の戸当たりゴム、等に適用でき
るものである。
【0003】
【背景技術】従来から、ウェザストリップには、防音
性、耐候性、非固着性、凍結防止性、滑り性及び耐摩耗
性等を向上させる見地から、シリコーン系塗料で表面処
理することは公知である(特開平7−251124号公
報:段落
【0002】参照)。
【0004】例えば、図1におけるようなドア開口部に
取り付けられるドアウェザストリップ10の場合、EO
R(EPDMソリッドゴム)からなるオープニングトリ
ム部12と、該オープニングトリム部12の車外側に同
時押出により形成されるEPDMスポンジゴムからなる
中空シール部14とを備えた構成の場合、ドア当たり部
である中空シール部14の表面塗布範囲Aにシリコーン
塗料を塗布する。
【0005】なお、オープニングトリム部12は、U字
形把持部15とU字形把持部15の車内側肩部から車内
側に向かって突出する目隠しリップ部20を備えてい
る。U字形把持部15は、車体フランジ(図示せず)把
持力を付与するために内側に把持リップ部16、17を
備えるとともに、板金インサート18が埋設されてい
る。そして、目隠しリップ部20とU字形把持部15の
意匠面側には装飾(意匠)樹脂層22が形成されてい
る。
【0006】そして、昨今の環境問題の高まりから、シ
リコーン塗料とし、従来多用されていた有機溶剤系(溶
液系)のものから水系、いわゆるO/W型(水中油滴
型)エマルション系のものが、検討されて種々提案され
ている。
【0007】しかし、通常の、離型剤や艶出し剤に使用
されているシリコーン水系塗料では、EOR基材である
ウェザストリップ本体に対する密着性や耐久性が十分で
なかった。このため、アミノ基やエポキシ基を導入した
反応性シリコーン(シリコーンレジン)を含ませたもの
が提案されているが、ポットライフ(触媒等を添加した
後、塗布可能な時間)に問題があるとされていた(同段
落参照)。
【0008】このため、同公報において、下記構成のシ
リコーンエマルション(組成物)が提案されている。
(同
【要約】等参照)「下記(A)〜(D)成分を混合分散
してなるシリコーンエマルジョン組成物。
【0009】(A)1級アミノ基含有ジオルガノポリシ
ロキサンを主成分とするシリコーンエマルジョン (B)粘度 10,000 〜500,000 cPの両末端シラノール基
含有ジメチルポリシロキサンを主成分とするシリコーン
エマルジョン (C)γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン (D)平均粒径1.6〜2.6μmの真球状ポリメチル
シルセスキオキサン微粉末を主成分とするディスパージ
ョン。」 しかし、上記構成のシリコーン水系塗料(シリコーンエ
マルション)は、塗膜特性に良好なものが得られるかも
知れないが、組成物構成成分の種類が多く、調製が面倒
であるとともに、反応性シリコーン((A) 成分)やシラ
ンカップリング剤((C) 成分)の如く、反応に富むもの
を含むため、やはり、ポットライフの問題は完全には解
決できないと推定される。
【0010】本発明は、上記にかんがみて、反応性シリ
コーンやシランカップリング剤を含まなくてもある程度
のEOR系ゴム基材に対する密着性ないし密着耐久性を
確保できるシリコーン水系塗料を提供することを目的と
する。
【0011】すなわち、本発明の目的は、塗料構成成分
が少なくて調製が容易であるとともに、ポットライフの
問題も解決できるシリコーン水系塗料を提供することに
ある。
【0012】
【課題を解決するための手段及び発明の作用・効果】本
発明者らは、上記課題を解決するために、鋭意開発に努
力をする過程で、汎用のシリコーン水系塗料において、
PE等の非極性樹脂粉末を含有させて、塗料を加熱硬化
させた場合、特に、非極性樹脂の融点以上の温度で塗料
を加熱硬化させた場合、良好な密着耐久性を示すことを
見出して、下記構成のシリコーン水系塗料及びそれを使
用したEOR基材等の非極性ゴム基材の表面処理方法、
それにより得られる表面処理ゴム製品に想到した。
【0013】エチレン−αオレフィン系ゴム(EOR)
等の非極性ゴム基材に適用し、シリコーンレジン、シリ
コーンオイル及び界面活性剤を必須成分とし水を分散媒
とするシリコーン水系塗料において、非極性樹脂微粒子
を含有することを特徴とする。
【0014】本発明のシリコーン水系塗料は、実質的な
反応成分を含まず、ポットライフの問題が発生しない。
また、構成成分も特別なものを添加する必要がなく調製
も簡単である。
【0015】すなわち、非極性樹脂微粒子は、特別な界
面活性剤を添加しなくても、シリコーン水系塗料(O/
W型エマルション)中に良好に分散させることが可能で
あった。シリコーレジン、シリコーンオイル等は、後述
の如く、ポリエチレン等の非極性樹脂と近似して且つ低
い値のSP値を有し、シリコーンエマルションを形成す
る界面活性剤(乳化剤)は、非極性樹脂に対して良好な
分散作用を有するためと推定される。
【0016】そして、本発明のシリコーン水系塗料を、
非極性ゴム基材に塗布して水を加熱蒸発させることによ
り塗膜を硬化させた場合に、密着性及び耐久密着性に優
れた表面処理(滑性処理)塗膜が得られる。シリコーン
塗膜中にシリコーンよりSP値の近い、すなわち、密着
(凝集結合)し易い非極性樹脂が非極性ゴム基材側に集
中して付着して存在し、シリコーン膜と基材との介在層
的作用を奏するためと推定される。このとき、塗膜硬化
のための加熱温度が非極性樹脂微粒子の樹脂融点より高
い場合は、非極性ゴムとの融着(加硫接着の可能性もあ
る。)が期待できより表面(滑性)処理塗膜の密着性・
密着耐久性のさらなる向上が図れる。
【0017】上記非極性ゴムとしては、汎用性、耐候性
等の見地から、エチレン−αオレフィン系ゴム(EO
R)基材が望ましく、さらには、加硫性の見地から、E
PDM(エチレンプロピレンジエンターポリマー)に代
表されるエチレン−αオレフィン−非共役ジエン三元共
重合体ゴムが望ましい。
【0018】上記非極性樹脂微粒子の形成材料として
は、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリブテン又は
それらのモノマー成分を主体とする結晶性ポリマー群か
ら選択されるいずれか1種又は2種以上が望ましい。こ
れらのポリマーは、EOR等の非極性ゴムポリマーの構
成成分と重複して、ゴム基材(非極性ゴムポリマー)に
対する付着性ないし融着性を確保し易い。また、これら
のポリマーは、表面張力が小さくて、シリコーン成分が
脱落した後の急激な非付着性(滑性)の低減を阻止す
る。さらに、これらのポリマーは、融点も相対的に低く
(180℃)であり、加熱処理をして融着させることが
容易となる。すなわち、加熱処理における消費エネルギ
ーを相対的に小さくできるとともに、加硫工程における
熱の利用が可能となり、さらには、ゴム基材の表面処理
工数を相対的に低減できる。
【0019】上記非極性樹脂微粒子は、樹脂融点が18
0℃以下であるとともに、非極性樹脂微粒子を固形分質
量比で5〜30%含有させることが望ましい。融点が1
80℃以下であることが望ましいのは、上記融点が相対
的に低い理由と同じである。また、非極性樹脂微粒子の
固形分質量比が過少でも過多でも、本発明の効果(滑性
等の表面処理特性の急激低下の阻止)を奏し難い。
【0020】本発明の表面処理方法は、基本的には、上
記各シリコーン水系塗料を用いて表面処理をする方法で
ある。
【0021】そして、当該方法において、シリコーン水
系塗料を塗布後、非極性樹脂微粒子の樹脂融点の温度以
上で加熱する加熱工程を経ることが、非極性樹脂微粒子
のゴム基材に対する付着力(結合力)が増大する。
【0022】また、加熱工程を、ゴム基材の加硫工程に
おいて同時に行なうことが、前述の如く、省エネルギー
及び製品の表面処理工数を相対的に低減できる。
【0023】上記各表面処理(滑性処理)方法を適用し
た表面処理ゴム製品は、結果的に下記各構成のものとな
る。
【0024】非極性ゴム基材の表面に、シリコーンレジ
ン、シリコーンオイルを主体とするシリコーン水系塗料
の塗膜が形成されてなる表面処理ゴム製品において、塗
膜中に非極性樹脂が分散して存在することを特徴とす
る。
【0025】上記非極性樹脂の塗膜中の分散形態が、基
材に対する融着膜の形態又はそれを主体とするものであ
ることが、基材に対する付着結合性に優れている。
【0026】
【手段の詳細な説明】次に、上記手段の各構成について
詳細な説明をおこなう。
【0027】本発明のシリコーン水系塗料は、非極性ゴ
ム基材に適用するものである。
【0028】上記非極性ゴム基材の形成ポリマーとして
は、エチレン−αオレフィン系ゴム(EOR)、ブチル
ゴム(IIR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブ
タジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム(IR)、天
然ゴム等、及び、それらの水素添加物(ただし、モノマ
ー主体がジエン系の場合のみ)を挙げることができる。
【0029】これらの内で、汎用性、耐候性等の見地か
ら、エチレン−αオレフィン系ゴム(EOR)、特に、
少量の非共役ジエンを共重合させて硫黄加硫したゴムポ
リマー(以下三元系EOR)の非極性ゴム基材とするこ
とが望ましい。
【0030】ここで、EORには、エチレンとプロピレ
ン、1−ブテン、1−ヘプテン等(特に、プロピレン)
に代表されるαオレフィンとの二元系共重合体の他に、
硫黄加硫可能に少量の非共役ジエンを共重合させた三元
系共重合体を含む。非共役ジエンとしては、エチリデン
ノルボルネン(ENB)、ジシクロペンタジエン(DC
P)、1,4−ヘキサジエン(1,4−HD)等を挙げ
ることができる。特に、αオレフィンがプロピレンで少
量の非共役ジエンを共重合させたEPDMが、硫黄加硫
可能で汎用性に富む。
【0031】なお、図1のウェザストリップに適用する
場合は、非極性ゴム基材はスポンジゴムであるが、本発
明は、ソリッドゴムにも勿論適用できるものである。
【0032】また、上記各ゴムポリマーにおける溶解性
パラメータ(SP値)は、文献1(日本接着協会編「接
着ハンドブック(第2版)」(昭55−11−10)p.
110参照)によれば下記の通りである。
【0033】エチレンプロピレンゴム:7.9、ポリブ
タジエン:8.4〜8.6、水素添加ポリブタジエン:
8.10、ポリ(ブタジエン・スチレン=90/1
0):8.37、ポリイソプレン:8.15 そして、本発明のベースとするシリコーン水系塗料は、
シリコーンレジン、シリコーンオイル及び界面活性剤を
必須成分とし水を分散媒とする汎用O/W型(無溶剤
型)のものである。シリコーンレジン、シリコーンオイ
ル等は、後述の如く、ポリエチレン(PE)等の非極性
樹脂と近似して且つ低い値のSP値を有するため、シリ
コーンエマルションを形成する界面活性剤(乳化剤)を
分散剤として共用でき非極性樹脂微粒子をシリコーン水
系エマルション中に良好に分散化させることができると
推定される。
【0034】表1の比較例に組成の一例を示す。
【0035】本発明のシリコーン系塗料の特徴は、非極
性樹脂微粒子を含有させたことにある。ここで、非極性
樹脂微粒子は、戸当たり部(通常、金属、木材等の極性
材料で形成されている。)に対する非付着性(非粘着
性)を示し、且つ、基材に対する付着性がシリコーンレ
ジンより大きければ特に限定されない。特に、表面張力
が小さくて非付着性の優れている材料を好適に使用でき
る。表面張力が小さい非極性材料として、文献2(実用
プラスチック辞典編集委員会編「実用プラスチック辞
典」(1994-1-5)産業調査会、p.41、表3-3)から拾って下
記する。
【0036】フッ素樹脂:20dyn/cm、ポリエチレン
(PE):32dyn/cm、ポリプロピレン(PP):34
dyn/cm、ポリブテン−1(PB):27dyn/cm、ポリス
チレン(PS):33dyn/cm、ポリ−4メチルペンテン
−1(PMP):24dyn/cm これらの内で、ふっ素樹脂は、基材付着性の見地から望
ましくなく、基材に対する熱融着性ないし加硫接着性の
見地から、PE、PB、PP、PS、PMP等が使用可
能であるが、融点が180℃以下である、PE、PB、
PPが望ましい。
【0037】ちなみに、文献3(プラスチック加工技術
便覧編集委員会編「プラスチック加工技術便覧新版」日
刊工業新聞社刊、昭和52年12月20日発行、p.10
54)から各融点を拾うと、PE:105〜115℃(低
密度)、137℃(高密度)、PB:120〜128
℃、PP:175℃エチレン、PS:230〜240℃
である。なお、PMPの融点は、前記文献2頁40図3
−2によれば、略230〜240℃である。
【0038】さらに、PE、PP及びPB又はそれらの
モノマー成分を主体とするポリマー群から選択されるい
ずれか1種又は2種以上として、基材をEORとした場
合、ゴム基材(非極性ゴムポリマー)に対する付着性な
いし融着性を確保し易い。これらのポリマーは、EOR
等の非極性ゴムポリマーの構成成分と重複して、SP値
も、前記文献1(頁110 表5・9 )によれば、PE:
8.1、PP:7.9、PB(ただし、ポリブチレ
ン):7.8と、EOR:7.9と近似しているためで
ある。なお、同文献において、ポリジメチルシロキサン
(シリコーンレジン):7.3である。
【0039】採用する非極性樹脂としては、基材との付
着性(密着性:凝集結合性)の見地から、SP値が可及
的に近く(±0.5以内、望ましくは、±0.3以内)
且つ、シリコーン成分との介在層的作用を考慮した場
合、シリコーン塗料中のシリコーンと非極性ゴム(基
材)との中間にSP値が位置するものが望ましく、さら
には、加熱温度も塗膜乾燥が急激におきない低い温度が
望ましい。
【0040】これらを総合的に見ると、PEが望まし
く、特に、滑性に優れている、高密度PEないし超高分
子量PEの内、可及的に、融点の低いものが望ましい。
なお、文献2(頁17表1−7)には、高密度PEの融
点:120〜140℃、超高分子量PEの融点:120
〜135℃と記載されている。
【0041】また、これらのポリマーは、表面張力が小
さくて、シリコーン成分が脱落した後の急激な表面処理
塗膜特性(特に非付着性:滑性)の低減を阻止する。さ
らに、これらのポリマーは、融点も相対的に低く(18
0℃)であり、加熱処理をして融着させることが容易と
なる。すなわち、加熱処理における消費エネルギーを相
対的に小さくできるとともに、加硫工程における熱の利
用が可能となり、さらには、ゴム基材の表面処理工数を
相対的に低減できる。
【0042】上記非極性樹脂微粒子は、融点が180℃
以下、望ましくは150℃以下のものを使用する。融点
が低いことが望ましいのは、上記融点が相対的に低い理
由と同じである。また、非極性樹脂微粒子を固形分質量
比で5〜30%、さらに望ましくは10〜25%、最も
望ましくは、15〜20%とする。また、非極性樹脂微
粒子の固形分質量比が過少でも過多でも、本発明の効果
(滑性の急激低下の阻止)を奏し難い。
【0043】なお、上記シリコーン分散系塗料は、汎用
のシリコーン水系塗料に、上記非極性樹脂微粒子を、添
加して攪拌することにより容易に調製することができ
る。このとき、非極性樹脂微粒子の粒径は、0.1〜1
00μm、望ましくは、0.5〜50μm、さらに望ま
しくは1〜5μmとする。粒径が小さ過ぎると凝集し易
く、逆に大き過ぎると沈降し易くて、分散性に悪影響を
あたえる。また、粒径が大き過ぎると、塗膜平滑性及び
加熱溶融が不完全となり、後述の加熱工程における基材
に対する融着化が不完全になるおそれがある。
【0044】本発明の表面処理方法は、基本的には、上
記各シリコーン水系塗料を用いて表面処理をする方法で
ある。
【0045】そして、当該方法において、シリコーン水
系塗料を塗布後、非極性樹脂微粒子の樹脂融点の温度以
上で加熱する加熱工程を経ることが、非極性樹脂微粒子
のゴム基材に対する付着力(結合力)がより増大して望
ましい。例えば、非極性樹脂が高密度PEの場合、12
0〜220℃、望ましくは、170〜200℃とする。
そして、加熱処理時間は、温度により異なるが、通常、
1〜10min 、望ましくは、2〜5min とする。
【0046】また、加熱工程を、ゴム基材の加硫工程、
特に、熱風加硫工程において同時に行なうことが、前述
の如く、省エネルギー及び製品の表面処理工数を相対的
に低減できる。
【0047】例えば、図1に示すようなウェザストリッ
プを押出加硫する場合を例にとり説明すると下記の如く
になる。
【0048】押出機24から押し出されたウェザストリ
ップ本体(ワーク)Wは、マイクロ波加硫槽(UHF)
26及び前段・後段熱風加硫槽(HAV)28、29を
経て加硫され、その後、冷却される。
【0049】上記工程において、例えば、HAVが5mi
n の場合、前段HAV28による加硫2min 経過後に、
本発明の水系シリコーン塗料をワークWに塗布し、その
後段HAV29により加硫3min を行なう。HAV工程
の中間位置で塗布するのは、加硫ゴムの場合、加硫と発
泡との関係から、水系塗料の塗布により急冷作用で断面
形状が変形するおそれがあるためである。
【0050】ここで、前段HAV28の出口温度(塗布
前のワーク温度)は、例えば、150〜180℃であ
り、後段HAV29の出口温度は、170〜200℃と
する(図2参照)。
【0051】なお、塗布の形態は、特に限定されず、慣
用の方法、例えば、スプレー、デッピング、刷毛塗り、
点滴後刷毛ならし、点滴後フェルトならし等任意であ
り、ゴム製品の製造形態に応じて適宜選択することがで
きる。また、塗布時期は、加硫工程の途中でなくても、
加硫工程完了直後ないし冷却後でも当然よい。
【0052】このとき、非極性ゴム(EPDMスポン
ジ)基材30上の塗膜の状態は、塗布直後においては、
シリコーン水系塗料で形成されたエマルション塗膜32
中に非極性樹脂微粒子(PE微粒子)34が分散してい
る状態である(図3(a) 参照)。そして、加熱後におい
ては、非極性樹脂微粒子は溶融して、水分がとんだシリ
コーン塗膜36中に、主として、基材に対する融着膜の
形態(加硫接着を含む可能性もある。)又はそれらを主体
としたフィルム状の非極性樹脂凝集体34Aの形態で存
在するものと推定される。
【0053】なお、塗膜が非極性樹脂微粒子の樹脂融点
以上に加熱しない場合でも、後述の如く、樹脂融点以上
に加熱した場合に比して、塗膜耐久性に劣るが、非極性
樹脂微粒子を添加しない場合に比しては、塗膜耐久性が
向上する。微粒子の形態で塗膜中に残存するが、塗膜耐
久性が、基材に対する前述の如く、非極性樹脂微粒子の
樹脂SP値がシリコーンのそれに比して近いため、基材
に対して凝集結合し易く、シリコーン層とゴム基材との
間に擬似介在層を形成するものと推定される。
【0054】
【実施例】次に、本発明の実施例について、比較例とと
もに説明をする。
【0055】下記配合処方のEPDM配合物を用いてス
ポンジゴム基材(2mmt×20mm□)を加硫成形(18
0℃×5min )した各基材片を調製した。
【0056】 EPDMスポンジゴム配合物 EPDM 100部 MAFカーボンブラック 130部 パラフィン系プロセスオイル 100部 亜鉛華 5部 ステアリン酸 1部 脱水剤(CaO) 5部 硫黄 2部 加硫促進剤 3.5部 発泡剤(ジニトロソペンタメチレンテトラミン) 3部 上記各基材片に対して、表1に示す組成の実施例及び比
較例のシリコーン水系塗料(表面処理剤)を、スプレー
塗布後、表示の各温度で加熱処理して、各試験片を調製
した。なお、平均乾燥塗膜厚は、約2μmであった。
【0057】そして、各試験片について、初期(常態)
及び劣化試験(耐温水、耐湿熱、耐候性)後の各試験片
について、微振動摩耗試験機により耐久評価試験を行な
った。
【0058】微振動摩耗試験条件は、ラップ代:2mm、
振幅:3mm、振動数:16.7Hz、振動部材:白色塗
装板(実車塗装鋼板)とした。
【0059】それらの結果を示す表2及び図4から、実
施例のシリコーン水系塗料を用いた場合は、加熱処理温
度が添加PEの融点以上・以下にかかわらず、PE微粒
子を添加しない比較例(従来例)のシリコーン水系塗料
を用いた場合に比して、塗膜耐久性に優れていることが
分かる。特に、加熱処理温度が添加PEの融点以上の場
合は、格段に優れていることが分かる。
【0060】
【表1】
【0061】*1)粘度20000mPa・sのシリコーンレジ
ン(ジメチルポリシロキサン系) *2)粘度 1000mPa・sのシリコーンオイル(ジメチル
ポリシロキサン系) *3)アニオン/ノニオン併用系
【0062】
【表2】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のシリコーン水系塗料を適用する非極性
ゴム製品の一例であるドアウェザストリップの断面図
【図2】ウェザストリップの押出加硫工程途中に本発明
の表面処理を行なう場合の概略工程図
【図3】本発明のシリコーン水系塗料を非極性ゴム基材
に塗布直後及び加熱処理後の塗膜の各モデル形態を示す
断面図
【図4】本発明の効果を確認するために行なった微振動
摩耗試験の結果を示すヒストグラム
【符号の説明】
30 非極性ゴム基材 32 エマルション塗膜 34 非極性樹脂微粒子 34A フィルム状非極性樹脂凝集体
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09D 201/00 B60J 5/00 501G Fターム(参考) 3D024 AA06 AB06 AB19 AB36 AB57 4J038 CB022 CB032 CB092 CB112 CC032 CD092 DL031 KA20 MA08 MA10 NA11 NA12 PA19 PB05 PB06 PB07 PB09 PC07

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非極性ゴム基材に適用し、シリコーンレ
    ジン、シリコーンオイル及び界面活性剤を必須成分とし
    水を分散媒とするシリコーン水系塗料において、 非極性樹脂微粒子を含有することを特徴とするシリコー
    ン水系塗料。
  2. 【請求項2】 前記非極性ゴム基材が、エチレン−αオ
    レフィン系ゴム(EOR)基材であることを特徴とする
    請求項1記載のシリコーン水系塗料。
  3. 【請求項3】 前記非極性樹脂微粒子の形成材料が、ポ
    リエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)及びポリ
    ブテン−1(PB)又はそれらのモノマー成分を主体と
    する結晶性ポリマー群から選択されるいずれか1種又は
    2種以上であることを特徴とする請求項1又は2記載の
    シリコーン水系塗料。
  4. 【請求項4】 前記非極性樹脂微粒子の樹脂融点が18
    0℃以下であるとともに、前記非極性樹脂微粒子を固形
    分質量比で5〜30%含有することを特徴とする請求項
    1記載のシリコーン水系塗料。
  5. 【請求項5】 請求項1、2、3又は4記載のシリコー
    ン水系塗料を使用して非極性ゴム基材の表面処理処理を
    する方法であって、 前記シリコーン水系塗料を塗布後、前記非極性樹脂微粒
    子の樹脂融点の温度以上で加熱する加熱工程を経ること
    を特徴とする特徴とする非極性ゴム基材の表面処理方
    法。
  6. 【請求項6】 前記加熱工程を、前記非極性ゴム基材の
    加硫工程において同時に行なうことを特徴とする請求項
    5記載の非極性ゴム基材の表面処理方法。
  7. 【請求項7】 非極性ゴム基材の表面に、シリコーンレ
    ジン及びシリコーンオイルを主体とするシリコーン水系
    塗料の塗膜が形成されてなる表面処理ゴム製品におい
    て、 前記塗膜中に非極性樹脂が分散して存在することを特徴
    とする表面処理ゴム製品。
  8. 【請求項8】 前記非極性ゴム基材がEOR基材である
    ことを特徴とする請求項7記載の表面処理ゴム製品。
  9. 【請求項9】 前記非極性樹脂微粒子の形成樹脂が、P
    E、PP及びPB又はそれらのモノマー成分を主体とす
    る結晶性ポリマー群から選択されるいずれか1種又は2
    種以上であることを特徴とする請求項7又は8記載の表
    面処理ゴム製品。
  10. 【請求項10】 前記非極性樹脂微粒子の塗膜中の分散
    形態が、基材に対する融着膜の形態又はそれらを主体と
    するものであることを特徴とする請求項7、8又は9記
    載の表面処理ゴム製品。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009520082A (ja) * 2005-12-14 2009-05-21 ロード コーポレーション 騒音防止及び/又は摩擦軽減特性を有する水性分散塗料組成物
JP2009292954A (ja) * 2008-06-05 2009-12-17 Shin-Etsu Chemical Co Ltd ゴム用水性コーティング剤およびその硬化皮膜で被覆されたゴム物品

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