JP3718265B2 - 自動車用ガラスランチャンネル、及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車の窓枠内に装着して、窓の開閉動作により移動する窓ガラスを挟持するガラスランチャンネルに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車のドアの窓枠内には断面略コ字状のゴム製ガラスランチャンネルが取り付けられていて、窓の開閉に伴って移動する窓ガラスを受け入れると共に支持している。この種のガラスランチャンネルは、一般にEPDMゴム等の弾性素材を用いて底壁部と両側壁部とからなる断面略コ字状のガラス収納溝を形成し、この収納溝に窓ガラスの端縁を受け入れるようになっている。また多くの場合、前記両側壁部にはシールリップ部が形成され、窓としての密封性を高めている。
【0003】
上記形状のガラスランチャンネルは、ガラスが収納溝内を移動する際のガラスと収納溝との摩擦によって、磨耗したり、異音を発生したりするため、ガラスと収納溝との摺接部分に植毛をして摩擦抵抗を低めることを一般に行なっている。即ち、摺接部分に予め接着剤を塗布しておき、ナイロン、ポリエステル等の細デニール短繊維パイルを静電植毛によって植設するものである。しかし、この方法は多数回のガラス窓の開閉動作に対する耐久性に乏しく、比較的短期間の内にパイルが磨耗して摩擦抵抗が大きくなる問題がある。
【0004】
植毛をする代わりに、ガラスランチャンネルの摺接部分にウレタン塗料を塗布して摩擦抵抗を小さくする方法も提案されている。しかし、この方法による場合は、ゴム素材とウレタン塗料との接着性が不十分で強度的に問題がある上、塗料の硬化に長時間を必要とし、更に塗膜の耐摩耗性を向上させるためにシリコーンオイルを混入させる必要があるが、このシリコーンオイルは高価なものである等の問題がある。
【0005】
又、特公昭59ー40994号は、ガラスランチャンネルの摺接部分にポリオレフィン系樹脂を熱融着することによって、耐摩耗性の向上を図る技術を開示している。しかし、この技術は別工程の追加を必要とするもので、工程数を増加させるものである。更に、融着時の熱によってランチャンネル自体が変性する可能性があり、これを避けるために熱融着温度を下げれば接着性が低下し、極端な場合は剥離を生ずる問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、その目的とするところは耐摩耗性に優れた、耐久性の高い自動車用ガラスランチャンネル、及びその製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は
自動車の窓枠内に装着し、窓の開閉動作に際して移動する窓ガラスの端縁を摺動自在に挟持する自動車用ガラスランチャンネルであって、EPDMゴムを用いて一体に形成した底壁部と前記底壁部の両端から上方に形成した側壁部とからなる断面略コ字状のガラスランチャンネル本体と、前記本体の底壁部及び/又は側壁部のガラス摺接部分に形成したNBRゴムと塩化ビニル樹脂とのブレンド体に4フッ化エチレン樹脂微粒子を分散した滑性樹脂層とを有してなることを特徴とする自動車用ガラスランチャンネルを提案するもので、
滑性樹脂層のNBRゴムと塩化ビニル樹脂と4フッ化エチレンとの配合重量比が20〜50:20〜50:20〜40であることを含む。
【0008】
また本発明は、
自動車の窓枠内に装着し、窓の開閉動作に際して移動する窓ガラスの端縁を摺動自在に挟持する自動車用ガラスランチャンネルであって、EPDMゴムを用いて一体に形成した底壁部と前記底壁部の両端から上方に形成した側壁部とからなる断面略コ字状のガラスランチャンネル本体と、前記本体の底壁部及び/又は側壁部のガラス摺接部分に形成したNBRゴムと塩化ビニル樹脂とのブレンド体に4フッ化エチレン樹脂微粒子を分散した滑性樹脂層とを有してなる自動車用ガラスランチャンネルの製造方法であって、ガラスランチャンネル本体と滑性樹脂層とを2層押し出しダイスを用いて同時に一体形成し、次いでこれを加硫することを特徴とする自動車用ガラスランチャンネルの製造方法である。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明を詳細に説明する。
【0010】
図1は本発明のガラスランチャンネルの一例を示すもので、図中、10はガラスランチャンネルである。1は底壁部で、前記底壁部1の両端には側壁部2、3が一体に形成されていると共に、その上端から内側に折り返してシールリップ部4、5が一体に形成されて、これによりガラスランチャンネル本体が構成されている。
【0011】
前記底壁部1の上面の、後述するガラス端縁との摺接部分には底壁部滑性樹脂層6が固着されており、又前記シールリップ部4、5の上面のガラス端縁との摺接部分にもそれぞれリップ部滑性樹脂層7、8が固着されている。
【0012】
前記ガラスランチャンネル10は自動車の窓枠に装着され、窓ガラスの開閉時には窓ガラスGの端縁9がランチャンネル10内に挿入された状態で摺動すると共に、底壁部1、両シールリップ部4、5によって窓ガラスGが支持されるものである。
【0013】
ガラスランチャンネル本体はEPDMゴムで構成されている。EPDMゴムはEPDMにSBRゴムをブレンドしたものを含む。SBRのブレンド量は重量部でEPDM:SBR=6:4〜8:2とすることが好ましい。
【0014】
EPDMゴムは通常配合される各種の公知の配合剤を公知の配合量で添加し、加硫されたものが好ましく、具体的配合例としては下記のもの等が例示される。
【0015】
滑性樹脂層はNBRゴムと塩化ビニル樹脂とをブレンドしたものに4フッ化エチレン樹脂微粒子を分散させたもので、このものはガラスに対する摩擦が極めて低いので、ガラスの摺動に基ずく摩耗が確実に防止される。
【0016】
滑性樹脂層の厚みは0.5〜1.2mmとすることが好ましい。
【0017】
NBRゴムと、塩化ビニル樹脂と、4フッ化エチレン樹脂微粒子との配合重量比は20〜50:20〜50:20〜40であることが好ましく、特に35:35:30の場合が最も好ましい。NBRゴムの配合比をこれ以上にすると、滑性樹脂層の表面の滑性が低下する傾向にある。塩化ビニルの配合比をこれ以上にすると、引張特性、圧縮永久歪み、耐寒性等の物性値が低下する傾向にある。
【0018】
4フッ化エチレン樹脂微粒子の粒子径は16μm以下のものが好ましい。粒子径が16μmを超える場合はブレンド体に対する分散性が悪くなり、また表面状態も悪くなる。微粒子の全個数の50%以上が3μm以下のものが最も好ましい。
【0019】
滑性樹脂層には更に公知の各種のものを配合することができる。具体的には高密度ポリエチレン樹脂、超高密度ポリエチレン樹脂、高粘度ジメチルシリコーンオイル、中空シリコーンバルーン等が好ましい。
【0020】
滑性樹脂層は、NBRゴムによって耐摩耗性、引張応力、強さ、硬さ等の基本的な特性が確保され、これに塩化ビニルをブレンドすることによって、耐摩耗性、耐引裂、耐屈曲亀裂性、表面平滑性等の必要な物性が確保できる。
【0021】
4フッ化エチレン樹脂微粒子を分散させると、優れた摺動性、非粘着性、耐熱性、撥水性、撥油性が発揮される。
【0022】
上記ガラスランチャンネルは側壁部にシールリップ部を形成したがこれに限られず、低壁部と両側壁部とだけでコ字状の本体を形成し、その内表面のガラス摺接部に上記と同様に滑性樹脂層を固着するようにしても良い。
【0023】
【実施例】
実施例1
(滑性樹脂) 塩化ビニル樹脂をロール温度150〜155℃のカレンダーロールによって5分間混練りし、これに素練りしたNBRを小量づつ加えた。次いで、上記ポリマーにゴム用充添剤、可塑剤、加硫剤をニーダーミキサーで混練りし、更に4フッ化エチレン樹脂微粒子(微粒子の全個数の50%以下が粒径3μm以下)を加えて150℃で混練りを行なった。
【0024】
図2に示す装置を用いてガラスランチャンネルを連続的に製造した。即ち、ガラスランチャンネル本体押出し機15からEPDM混練り物21を、又滑性樹脂混練り物押出し機16から滑性樹脂混練り物22を同時に押し出し、2層押出型17によって積層すると共に圧着して2層圧着物24を得た。なお、23は2層押出しダイスである。又、この2層押出し機は公知のものである。この時の押し出し温度は、本体側が70℃、滑性樹脂側が85℃であった。
【0025】
積層、圧着した後、2層圧着物24を加硫炉18に送り、200℃で15分間の加硫を行なった。
【0026】
ついで、冷却機19で冷却した後、定尺カット機20で所定の寸法に切断し、本発明のガラスランチャンネルを連続的に製造した。得られたガラスランチャンネルの断面形状を図2(C)に示した。図2(C)中、31は底壁部、32、33は側壁部、36は滑性樹脂層である。
【0027】
(評価)
得られたガラスランチャンネルの耐摩耗性能を評価するために、ガラス摩耗子による摩耗試験を行なった。
【0028】
評価項目は、試験後の外観異常、摺動抵抗値の上昇、異音の発生の有無であった。
【0029】
試験条件は、摺動長さ100mm、摺動サイクル60回/min、負荷3kgf、摩耗子ガラスはJISR3206で規定された下端面の曲率が10Rのものを用いた。摺動1000回毎にJISZ8901に規定する混合砂と水を1:3の比率にしたものを10ccづつ吹き付けた。
【0030】
(結果)
実施例1:
20000回の摺動後、外観において摩耗の跡は見られるが、摺動抵抗値の上昇、異音の発生は、いずれも認められなかった。
【0031】
比較例1:
従来の植毛タイプのガラスランチャンネルを用いた。
【0032】
5000回の摺動後、パイルが摩耗し、外観異常を来した。更に、10000回の摺動後には、基材が露出し、異音が発生し、摺動抵抗値も上昇した。
【0033】
比較例2:
従来のウレタンコーティングタイプのガラスランチャンネルを用いた。
【0034】
10000回の摺動後、摺動折り返しの端部に基材の露出があり、中間部にも外観異常をきたし、摺動抵抗値も上昇した。
【0035】
【発明の効果】
本発明のガラスランチャンネルは上記の様に構成したので、耐摩耗性にすぐれ、耐久性も高いものである。更に、ガラスランチャンネル本体のEPDM混練り物と滑性樹脂混練り物との加工温度が比較的近いので1工程で確実に積層、圧着をすることもでき、この場合は連続的、かつ一体的に製造でき、有利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のガラスランチャンネルの一例を示す断面図である。
【図2】(A)は本発明のガラスランチャンネルの製造装置の一例を示す構成図で、(B)は(A)の2層押出し型の部分拡大断面図、(C)は得られたガラスランチャンネルの概略断面拡大図である。
【符号の説明】
1 底壁部
2、3 側壁部
4、5 シールリップ部
6 底壁部滑性樹脂層
7、8 リップ部滑性樹脂層
9 端縁
10 ガラスランチャンネル
G ガラス
15 EPDM本体押出し機
16 滑性樹脂押出し機
17 2層押出し型
18 加硫炉
19 冷却機
20 定尺カット機
21 EPDM混練り物
22 滑性樹脂混練り物
23 2層押出しダイス
24 2層圧着物
Claims (2)
- 自動車の窓枠内に装着し、窓の開閉動作に際して移動する窓ガラスの端縁を摺動自在に挟持する自動車用ガラスランチャンネルであって、
(i)EPDMゴムを用いて一体に形成した底壁部と、
(ii)前記底壁部の両端から上方に形成した側壁部と、
からなる断面略コ字状のガラスランチャンネル本体と、
(iii)前記本体の底壁部及び/又は側壁部のガラス摺接部分に形成した
(a)NBRゴムと、
(b)塩化ビニル樹脂とのブレンド体に、
(c)全個数の50%以上が3μm以下の4フッ化エチレン樹脂微粒子を分散した、滑性樹脂層
とを有してなることを特徴とする自動車用ガラスランチャンネル。 - 前記滑性樹脂層のNBRゴムと塩化ビニル樹脂と4フッ化エチレンとの配合重量比が20〜50:20〜50:20〜40である請求項1に記載の自動車用ガラスランチャンネル。
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JP22907695A JP3718265B2 (ja) | 1995-09-06 | 1995-09-06 | 自動車用ガラスランチャンネル、及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP22907695A JP3718265B2 (ja) | 1995-09-06 | 1995-09-06 | 自動車用ガラスランチャンネル、及びその製造方法 |
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JPH0971137A JPH0971137A (ja) | 1997-03-18 |
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Family Applications (1)
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1995
- 1995-09-06 JP JP22907695A patent/JP3718265B2/ja not_active Expired - Fee Related
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