JP2002069298A - 樹脂組成物および光学記録装置部品 - Google Patents

樹脂組成物および光学記録装置部品

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JP2002069298A
JP2002069298A JP2000256159A JP2000256159A JP2002069298A JP 2002069298 A JP2002069298 A JP 2002069298A JP 2000256159 A JP2000256159 A JP 2000256159A JP 2000256159 A JP2000256159 A JP 2000256159A JP 2002069298 A JP2002069298 A JP 2002069298A
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resin
weight
calcium carbonate
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glass fiber
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JP2000256159A
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English (en)
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Shigeru Okita
茂 沖田
Michiyoshi Matsumoto
道吉 松本
Michiyuki Nakase
道行 中瀬
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Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 機械特性に優れ、レーザー光軸の温度変化が
少なく、光学記録装置部品に適した材料であって、かつ
成形時のバリ発生が少ない材料を提供する。 【解決手段】 (A)ポリフェニレンスルフィド樹脂
15〜35重量%、(B)ポリフェニレンエーテル樹脂
またはこれとポリオレフィン系樹脂との混合物5〜25
重量%、(C)ガラス繊維10〜40重量%、(D)炭
酸カルシウム10〜50重量%、(E)シラン系カップ
リング剤0.01〜3重量%からなる樹脂組成物であっ
て、(C)ガラス繊維の配合量が(D)炭酸カルシウム
の配合量より少ないことを特徴とする樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリフェニレンス
ルフィド樹脂及びポリフェニレンエーテル樹脂を含有す
る樹脂組成物に関し、特に光学記憶装置の部品に適した
樹脂組成物に関する。更に詳細には、レーザー光を利用
して書き込み及び読み出しを行うCD、CD−ROM、
CD−R、CD−RW、DVD、DVD−ROM、DV
D−R、DVD−RW、DVD−RAMなどに代表され
る光学記録装置に使用される各種部品に適した樹脂組成
物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来よりガラス繊維、炭酸カルシウムな
どの強化材、充填材を含有する樹脂は強度・剛性などの
機械的特性、耐熱性、難燃性、耐薬品性に優れ、機構部
品や電子部品など幅広い分野で使用されてきた。
【0003】近年、レーザー光を利用して情報の書き込
みや読み込みを行うCD、DVDといった記録装置が普
及しているが、それに使用される各種部品、中でもレー
ザー発振器、レーザービームを絞り込むためのレンズ、
レーザービームの方向を変えるための立ち上げミラー、
ビームスプリッター、レーザー光の受光センサーなどが
搭載された基盤(光ピックアップスライドベース、光ピ
ックアップボディ)は使用環境温度の変化によって歪み
が生じるとレーザー光の光軸がずれてしまい、情報の書
き込みや読み取りにエラーが生じてしまう。
【0004】記録容量の小さい記録媒体の場合には従来
のポリフェニレンスルフィド樹脂でも十分に使用できた
が、記録密度の増加に伴い、レーザー光軸のずれの許容
範囲が益々小さくなって来ており、使用環境温度が変化
しても光軸ずれの起こり難い材料が求められている。
【0005】また、ポリフェニレンスルフィド樹脂は射
出成形時にバリが発生しやすく、射出成形後にバリ取り
工程が必要になることが多い。このため、レーザー光軸
ずれが少なく、かつバリの発生しない、あるいは発生し
にくい材料が求められているが、そのような材料はこれ
まで見出されていない。
【0006】本発明はポリフェニレンスルフィド樹脂、
ポリフェニレンエーテル樹脂、ガラス繊維、炭酸カルシ
ウム、シラン系カップリング剤を配合した樹脂組成物で
あって、ガラス繊維の配合量が炭酸カルシウムの配合量
より少ないことを特徴とする樹脂組成物であるが、本発
明に近い樹脂組成物としてポリフェニレンスルフィド樹
脂にポリフェニレンエーテル樹脂、カップリング剤を配
合した樹脂組成物は特公平7−8949号公報で公知で
ある。
【0007】また、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポ
リフェニレンエーテル樹脂、エポキシシラン化合物及び
繊維状充填材、無機充填材またはその混合物を配合した
樹脂組成物は特開2000−198924号公報で公知
である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記特
公平7−8949号公報に記載されている樹脂組成物は
ポリフェニレンスルフィド樹脂の衝撃性向上を目的に考
案された組成物であり、ガラス繊維と炭酸カルシウムを
併用することは記載されておらず、また、同公報の実施
例として具体的にされている組成物では光学記録装置に
おけるレーザー光軸の安定性が不十分なものしか得られ
ない。
【0009】また、前記特開2000−198924号
公報に記載されている樹脂組成物はポリフェニレンスル
フィド樹脂のバリ低減を目的としたものであり、本文中
に光学部品への適用について言及されているものの、レ
ーザー光軸の安定性には全く言及されていない。光学記
録装置部品の中でも特に光ピックアップスライドベース
についてはレーザー光軸の安定性が光学記録装置の信頼
性に大きな影響を与えるのであるが、このことについて
は全く言及されていない。また、同公報の実施例として
具体的にされている組成物のうちガラス繊維と炭酸カル
シウムを併用した組成物はすべてガラス繊維の配合量が
炭酸カルシウムの配合量より多くなっているが、そのよ
うな配合量ではガラス繊維の配向が強すぎて光軸安定性
が低下してしまい、光学記録装置におけるレーザー光軸
の安定性が不十分なものしか得られない。
【0010】このように上記したようなポリフェニレン
スルフィド樹脂をベースとし、レーザー光軸安定性に優
れた光学記録装置用部品に適した材料はこれまで見出さ
れていなかった。
【0011】そこで本発明は、機械特性に優れ、レーザ
ー光軸の温度変化が少なく、光学記録装置用部品に適し
た材料であって、かつ成形時のバリ発生が少ない材料を
提供することを課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】そこで本発明者らは上記
の課題を解決すべく検討した結果、ポリフェニレンスル
フィド樹脂にポリフェニレンエーテル樹脂またはこれと
ポリオレフィン系樹脂との混合物、ガラス繊維、炭酸カ
ルシウム、シラン系カップリング剤を特定の比率で配合
し、且つガラス繊維の配合量を炭酸カルシウムの配合量
より少なくすることによりレーザー光軸の温度変化が少
なく、光学記録装置用部品に適し、かつバリ発生の少な
い材料が得られることを見出し、本発明に到達した。
【0013】即ち本発明は、 1.(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂 15〜35
重量%、(B)ポリフェニレンエーテル樹脂またはこれ
とポリオレフィン系樹脂との混合物5〜25重量%、
(C)ガラス繊維10〜40重量%、(D)炭酸カルシ
ウム10〜50重量%、(E)シラン系カップリング剤
0.01〜3重量%からなる樹脂組成物であって、
(C)ガラス繊維の配合量が(D)炭酸カルシウムの配
合量より少ないことを特徴とする樹脂組成物、 2. (A)ポリフェニレンスルフィド樹脂 15〜3
5重量%、(B)ポリフェニレンエーテル樹脂またはこ
れとポリオレフィン系樹脂との混合物5〜25重量%、
(C)ガラス繊維10〜40重量%、(D)炭酸カルシ
ウム10〜50重量%、(E)シラン系カップリング剤
0.01〜3重量%からなり、かつ(C)ガラス繊維の
配合量が(D)炭酸カルシウムの配合量より少ない樹脂
組成物であって、(D)炭酸カルシウムと(E)シラン
系カップリング剤を予め混合してから他の成分と溶融混
練して得られる樹脂組成物。 3. (A)ポリフェニレンスルフィド樹脂 15〜3
5重量%、(B)ポリフェニレンエーテル樹脂またはこ
れとポリオレフィン系樹脂との混合物5〜25重量%、
(C)ガラス繊維10〜40重量%、(D)炭酸カルシ
ウム10〜50重量%、(E)シラン系カップリング剤
0.01〜3重量%からなり、かつ(C)ガラス繊維の
配合量が(D)炭酸カルシウムの配合量より少ない樹脂
組成物を、(D)炭酸カルシウムと(E)シラン系カッ
プリング剤を予め混合してから他の成分と溶融混練する
ことにより製造することを特徴とする樹脂組成物の製造
方法。 4.(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂が次の条件
(イ)及び(ロ)を満足する前記1または2記載の樹脂
組成物、 (イ)長さ31.75mm、径2.10mmのオリフィ
スを用い、温度316℃、荷重20gで測定した時のメ
ルトフローレイト(MFR)が50〜200g/mi
n。
【0014】(ロ)450〜500℃で炭化させた後、
538℃で6時間灰化させた時の灰分残さ量が0.30
重量%以下。 5.(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂が次の条件
(イ)及び(ロ)を満足する前記3記載の樹脂組成物の
製造方法、 (イ)長さ31.75mm、径2.10mmのオリフィ
スを用い、温度316℃、荷重20gで測定した時のメ
ルトフローレイトが50〜200g/min。
【0015】(ロ)450〜500℃で炭化させた後、
538℃で6時間灰化させた時の灰分残さ量が0.30
重量%以下。 6.前記1、2、4のいずれかに記載の樹脂組成物を成
形してなる光学記録装置部品、 7.前記1、2、4のいずれかに記載の樹脂組成物を成
形してなる光ピックアップスライドベース、を提供する
ものである。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明で用いるポリフェニレンス
ルフィド樹脂とは、一般式(1)で表される繰り返し単
位を有する重合体であり、その含有量は耐熱性の面から
70モル%以上であることが好ましく、より好ましくは
80モル%以上、特に好ましくは90モル%以上であ
る。繰り返し単位(1)の含有量が70モル%未満の場
合には耐熱性および剛性が低下する傾向が見られる。一
般式(1)以外の繰り返し単位としては、一般式(2)
〜(8)で表される構造単位が用いられる。
【0017】
【化1】
【0018】
【化2】
【0019】
【化3】
【0020】
【化4】
【0021】
【化5】
【0022】
【化6】
【0023】
【化7】
【0024】
【化8】
【0025】本発明で用いるポリフェニレンスルフィド
樹脂としては、長さ31.75mm、径2.10mmの
オリフィスを用い、温度316℃、荷重20gで測定し
た時のメルトフローレイト(以下MFRと略す)が50
〜200g/minであるものが好ましい。更に好まし
くは50〜150g/10min、とりわけ70〜15
0g/10minが好ましい。
【0026】また、本発明で用いるポリフェニレンスル
フィド樹脂の灰分は、450〜500℃で炭化させた
後、538℃で6時間灰化させた時の灰分残さ量で0.
30重量%以下であることが好ましい。更に好ましくは
0.25重量%以下、とりわけ0.22重量%以下が好
ましい。
【0027】このようなポリフェニレンスルフィド樹脂
は公知の方法、例えば特公昭45−3368号公報、特
公昭52−12240号公報、特開昭61−7332号
公報に記載されている方法を用いて製造することができ
る。本発明においては、前記公報に記載されている方法
で得られたポリフェニレンスルフィド樹脂を空気中加熱
により架橋・高分子量化、窒素などのガス雰囲気下ある
いは減圧下での熱処理、有機溶剤・熱水・酸性水溶液・
アルカリ性水溶液などによる洗浄を施した上で使用して
も良い。特に有機溶剤で洗浄すると低分子量成分が除去
されるため、溶融成形時のガス発生、金型腐蝕は低減さ
れる。その場合の有機溶剤としては、N−メチルピロリ
ドン、N,N’−ジメチルホルムアミド、N,N’−ジ
メチルアセトアミド、1,3−ジメチルイミダゾリジノ
ン、ヘキサメチルホスホンアミド、ピペラジノンなどの
含窒素溶剤、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホ
ン、スルホランなどのスルホン系溶剤、アセトン、メチ
ルエチルケトン、ジエチルケトン、アセトフェノンなど
のケトン系溶剤、ジメチルエーテル、ジエチルエーテ
ル、ジプロピルエーテル、1,4−ジオキサン、テトラ
ヒドロフランなどのエーテル系溶剤、クロロホルム、メ
チレンジクロリド、四塩化炭素、トリクロロエチレン、
ジクロロエチレン、クロルベンゼンなどのハロゲン系溶
剤、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノー
ル、ペンタノール、エチレングリコール、プロピレング
リコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレング
リコールなどのアルコール系溶剤、フェノール、クレゾ
ールなどのフェノール系溶剤、ベンゼン、トルエン、キ
シレンなどの芳香族炭化水素系溶剤、ペンタン、ヘキサ
ン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの飽和炭
化水素系溶剤などが挙げられる。
【0028】また、酸性水溶液、アルカリ性水溶液につ
いては、ポリフェニレンスルフィド樹脂を分解する作用
の無いものであれば特に制限は無く、酢酸、塩酸、硫
酸、燐酸、有機カルボン酸、有機スルホン酸、各種水酸
化アルカリ水溶液などが用いられる。
【0029】また、酸無水物、エポキシ基、イソシアネ
ート基などの官能基を有する化合物で処理しても良い。
【0030】本発明で用いられるポリフェニレンスルフ
ィド樹脂の配合量は、(A)〜(E)の合計重量中、1
5〜35重量%であり、好ましくは18〜32重量%、
更に好ましくは20〜30重量%である。ポリフェニレ
ンスルフィド樹脂の配合量が少なすぎると溶融成形時の
流動性が低下する上にレーザー光軸の安定性が低下す
る。また、多すぎると成形時にバリが出易い上にレーザ
ー光軸の安定性に劣る。
【0031】本発明で用いられるポリフェニレンエーテ
ル樹脂は一般式(9)で表されるフェノール化合物の1
種または2種以上と酸化カップリング触媒を用い、酸素
または酸素含有ガスの存在下で酸化重合して得られる重
合体である。
【0032】
【化9】
【0033】(式中、R1、R2、R3、R4、R5は
水素、ハロゲン、炭化水素、置換炭化水素から選ばれ、
このうち少なくとも1種は水素である)。
【0034】上記一般式(9)におけるR1、R2、R
3、R4、R5の具体例としては、水素、塩素、臭素、
フッ素、メチル、エチル、n−プロピル、iso−プロ
ピル、n−ブチル、iso−ブチル、tert−ブチ
ル、フェニル、クロロエチル、ヒドロキシエチル、フェ
ニルエチル、ベンジル、ヒドロキシメチル、カルボキシ
エチル、メトキシカルボニルエチル、シアノエチル、ク
ロロフェニル、o−トリル、m−トリル、p−トリル、
ジメチルフェニル、エチルフェニル、アリルなどが挙げ
られる。
【0035】具体的な例としては、フェノール、o−ク
レゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、2,6
−、2,5−、2,4−または3,5−ジメチルフェノ
ール、2−メチル−6−フェニルフェノール、2,6−
ジフェニルフェノール、2,6−ジエチルフェノール、
2−メチル−6−エチルフェノール、2,3,5−、
2,3,6−または2,4,6−トリメチルフェノー
ル、3−メチル−6−t−ブチルフェノール、2−メチ
ル−6−アリルフェノールなどが挙げられる。また、こ
れらのフェノール類を酸化重合してポリフェニレンエー
テル樹脂を製造する場合には上記一般式以外のフェノー
ル化合物、例えばビスフェノールA、テトラブロモビス
フェノールA、レゾルシン、ハイドロキノン、ノボラッ
ク樹脂のような多価ヒドロキシ芳香族化合物と、上記一
般式のフェノール化合物との共重合でも良い。
【0036】このようにして得られるポリフェニレンエ
ーテル樹脂の中で好ましいものとしては、2,6−ジメ
チルフェノール単独重合体、2,6−ジメチルフェノー
ルと少量の3−メチル−6−t−ブチルフェノールある
いは2,3,6−トリメチルフェノールとの共重合体が
挙げられる。
【0037】ポリフェニレンエーテル樹脂は、上記単独
重合体または共重合体に他の重合体をグラフト変性した
ものであっても良い。例えばEPDMゴムの存在下に前
記フェノール類を酸化重合したもの、ポリスチレン系樹
脂等のポリオレフィン系樹脂の存在下に前記フェノール
類を酸化重合したもの、上記フェノール類の単独重合体
または共重合体の存在下にスチレン及び/または他のビ
ニルモノマーをラジカル開始剤と共に溶融混練したもの
などを使用することができる。これらの中ではポリスチ
レン系樹脂で変性したものが好ましい。
【0038】ポリフェニレンエーテル樹脂はポリオレフ
ィン系樹脂と共に用いることができる。このようなポリ
オレフィン系樹脂としては、ポリスチレン系樹脂、ポリ
エチレン、ポリプロピレン、エチレン/α−オレフィン
共重合体、ポリ塩化ビニルなどを使用することができ
る。これらの中でも特にポリスチレン系樹脂が好まし
い。
【0039】ポリスチレン系樹脂とはビニル芳香族化合
物の単独重合体もしくは共重合体を意味するものであ
り、一般式(10)で表される繰り返し単位を重合体中
に少なくとも25重量%以上有するものである。
【0040】
【化10】
【0041】(式中、Rは水素または炭素原子数1〜4
のアルキル基であり、Zはハロゲンまたは炭素原子数1
〜4のアルキル基を示し、qは1〜5の整数を意味す
る)。かかるポリスチレン系樹脂としては例えばスチレ
ンもしくはその誘導体の単独重合体ならびに例えばポリ
ブタジエン、ポリイソプレン、ブチルゴム、EPDM、
エチレン/プロピレン共重合体、天然ゴム、エピクロル
ヒドリンのような天然または合成エラストマー物質の混
合あるいはこれらで変性したスチレン系樹脂、更にはス
チレン含有重合体、例えばスチレン/アクリロニトリル
共重合体(SAN)、スチレン/ブタジエン共重合体、
スチレン/無水マレイン酸共重合体、アクリロニトリル
/ブタジエン/スチレン共重合体(ABS)を挙げるこ
とができる。好ましいポリスチレン系樹脂としては、ポ
リスチレンホモポリマー、エラストマー強化ポリスチレ
ンである。
【0042】ポリフェニレンエーテル樹脂に対するポリ
オレフィン系樹脂の配合比率はポリフェニレンエーテル
樹脂の優れた特性を損なわない範囲であれば特に制限は
無いが、ポリフェニレンエーテル樹脂/ポリオレフィン
系樹脂=100/0〜55/45重量%が好ましい。
【0043】本発明で用いられるポリフェニレンエーテ
ル樹脂またはこれとポリオレフィン系樹脂との混合物の
使用量は5〜25重量%であり、好ましくは8〜23重
量%、更に好ましくは5〜20重量%である。ポリフェ
ニレンエーテル樹脂またはこれとポリオレフィン系樹脂
との混合物の使用量が少なすぎるとレーザー光軸の安定
性及びバリ低減が不十分であり、多すぎると溶融成形時
の流動性が低下する上にレーザー光軸の安定性が低下す
る。
【0044】本発明で用いられるガラス繊維は、樹脂用
強化材として通常用いられているガラス繊維を使うこと
ができるが、SiO2を45〜75重量%含有する無ア
ルカリガラス(Eガラス)、含アルカリガラス(Cガラ
ス)が好ましく用いられる。また、平均繊維径は3〜1
5μmであることが好ましい。更に樹脂組成物中でのガ
ラス繊維の平均長さは50〜500μmであることが好
ましく、特に200〜400μmであることが機械的強
度、流動性を得る上で好ましい。なお、ここで言う平均
長さは、組成物を炭化させた後、走査型電子顕微鏡を用
いてガラス繊維を観察し、その中の任意の1000本に
ついて平均したものである。ガラス繊維は耐熱性、機械
的強度を得る上でイソシアネート系化合物、有機シラン
化合物、有機チタネート化合物、有機ボラン化合物、エ
ポキシ化合物などで予備処理して使用することが好まし
い。これらの化合物の付着量は0.1〜1.0重量%で
あることが好ましい。ここで言う付着量はガラス繊維を
110℃で乾燥後に625℃で処理した時の減量で表
す。
【0045】本発明で用いられるガラス繊維の配合量は
10〜40重量%であり、好ましくは15〜40重量
%、更に好ましくは20〜35重量%である。ガラス繊
維の配合量が少なすぎると強度、剛性、耐衝撃性が低く
なってしまい、多すぎると成形時の流動性が低下する上
にレーザー光軸の安定性が低下してしまう。
【0046】本発明で用いられる炭酸カルシウムは特に
制限は無いが、沈降炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウ
ム、炭酸カルシウムウィスカーなどが好ましく使用でき
る。
【0047】本発明で用いられる炭酸カルシウムの配合
量は10〜50重量%であり、好ましくは15〜45重
量%、好ましくは20〜40重量%である。炭酸カルシ
ウムの配合量が少なすぎるとレーザー光軸の安定性が不
十分であり、多すぎると強度、剛性、耐衝撃性が不十分
となってしまう。
【0048】本発明で用いられるシラン系カップリング
剤は、一般に各種フィラーの表面処理剤、接着剤や塗装
におけるプライマーとして使用されるカップリング剤の
うち、シラン系のものであるが、中でもエポキシ基、ア
ミノ基、イソシアネート基、水酸基、メルカプト基、ウ
レイド基、ビニル基、メタクリロキシ基の中から選ばれ
た少なくとも1種の官能基を有するアルコキシシランが
好ましく用いられる。具体例としては、γ−グリシドキ
シプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロ
ピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシク
ロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのエポキシ
基含有アルコキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリ
メトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシ
シランなどのメルカプト基含有アルコキシシラン、γ−
ウレイドプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプ
ロピルトリエトキシシラン、γ−(2−ウレイドエチ
ル)アミノプロピルトリメトキシシランなどのウレイド
基含有アルコキシシラン、γ−イソシアナトプロピルト
リメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルトリエト
キシシラン、γ−イソシアナトプロピルメチルジメトキ
シシラン、γ−イソシアナトプロピルメチルジエトキシ
シラン、γ−イソシアナトプロピルエチルジメトキシシ
ラン、γ−イソシアナトプロピルエチルジエトキシシラ
ン、γ−イソシアナトプロピルトリクロロシランなどの
イソシアナト基含有アルコキシシラン、γ−(2−アミ
ノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−
(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシ
シラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシランな
どのアミノ基含有アルコキシシラン、γ−ヒドロキシプ
ロピルトリメトキシシラン、γ−ヒドロキシプロピルト
リエトキシシランなどの水酸基含有アルコキシシラン、
ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン
などのビニル基含有アルコキシシラン、γ−メタクリロ
キシプロピルトリメトキシシランなどのメタクリロキシ
基含有アルコキシシランが挙げられる。中でもγ−グリ
シドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキ
シプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキ
シシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのエ
ポキシ基含有アルコキシシランが好ましい。
【0049】本発明で用いられるシラン系カップリング
剤の配合量は0.01〜3重量%であり、好ましくは
0.05〜2重量%、更に好ましくは0.1〜1.5重
量%である。シラン系カップリング剤の配合量が少なす
ぎるとバリ低減効果が見られず、多すぎると成形時の流
動性、ガス発生が悪化する。
【0050】本発明の樹脂組成物を製造する方法として
一般には溶融混練方法が用いられる。各成分の混練状態
を向上させるために少量の溶剤を共存させてもかもわな
い。装置としては単軸押出機、2軸押出機、バンバリー
ミキサー、ローラー、ニーダー等を挙げることができ
る。
【0051】各成分の添加順には特に制限は無いが、炭
酸カルシウムと樹脂成分との密着性を向上させ、機械物
性、バリ、レーザー光軸安定性を向上させる意味で炭酸
カルシウムとシラン系カップリング剤を予め混合してお
くことが好ましい。
【0052】本発明で用いられる樹脂には、本発明の効
果を損なわない範囲で、チタン酸カリウィスカ、酸化亜
鉛ウィスカ、硼酸アルミウィスカ、アラミド繊維、アル
ミナ繊維、炭化珪素繊維、セラミック繊維、アスベスト
繊維、石コウ繊維、金属繊維などの繊維状充填剤、ワラ
ステナイト、ゼオライト、セリサイト、カオリン、マイ
カ、クレー、パイロフィライト、ベントナイト、アスベ
スト、タルク、アルミナシリケートなどの珪酸塩、アル
ミナ、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウ
ム、酸化チタン、酸化鉄などの金属化合物、炭酸マグネ
シウム、ドロマイトなどの炭酸塩、硫酸カルシウム、硫
酸バリウムなどの硫酸塩、水酸化マグネシウム、水酸化
カルシウム、水酸化アルミニウムなどの水酸化物、ガラ
スビーズ、セラミックビーズ、窒化ホウ素、炭化珪素お
よびシリカなどの非繊維状充填剤を併用することができ
る。これらは中空であってもよく、さらにはこれら充填
剤を2種類以上併用することも可能である。また、これ
ら充填材をイソシアネート系化合物、有機シラン系化合
物、有機チタネート系化合物、有機ボラン系化合物、エ
ポキシ化合物などのカップリング剤で予備処理して使用
することは、より優れた機械的強度を得る意味において
好ましい。
【0053】さらに、本発明の樹脂組成物には、タル
ク、カオリン、有機リン化合物、ポリエーテルエーテル
ケトンなどの結晶核剤、次亜リン酸塩などの着色防止
剤、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミンなどの酸
化防止剤、熱安定剤、滑剤、紫外線防止剤、着色剤、帯
電防止剤、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワッ
クス、モンタン酸ワックス、ステアリン酸リチウム、ス
テアリン酸アルミニウム、エイチレンジアミン/ステア
リン酸/セバシン酸重縮合物、エチレンビスステアロア
ミドなどの離型剤などの添加剤を添加することができ
る。
【0054】かくして得られた樹脂組成物は、射出成形
等公知の方法により成形することができる。
【0055】本発明の組成物が光ピックアップスライド
ベースに用いられた際にレーザー光の光軸ずれが少なく
なる理由は完全には解明されていないが、温度変化に伴
う寸法変化による面の歪み、面の傾きが特に小さくなる
ためと考えられる。
【0056】本発明の組成物は、光学記録装置部品、特
に光ピックアップスライドベースに用いられた際にレー
ザー光の光軸ずれが極めて小さいため、これらの用途に
特に適した材料である。また、本発明の樹脂組成物から
なる光学記録装置部品を用いることにより、レーザー光
を利用するCD、CD−ROM、CD−R、CD−R
W、DVD、DVD−ROM、DVD−R、DVD−R
W、DVD−RAMなどの光学記録装のデータ読み込
み、書き込みにおけるエラーが少ないという利点が得ら
れる。
【0057】また、本発明の組成物は射出成形時のバリ
発生が極めて少なく、場合によってはバリ取り処理が不
要であるか、必要であっても簡単な処理で済むという利
点がある。
【0058】
【実施例】以下に実施例を示し、本発明を更に具体的に
説明するが、本発明はこれら実施例の記載に限定される
ものではない。
【0059】また、以下の実施例において、機械特性の
測定、光軸安定性評価、バリの評価は、次の方法により
行った。
【0060】[機械特性] 引張特性:ASTM D638に従って測定した。 曲げ特性:ASTM D790に従って測定した。 アイゾット衝撃強度:ASTM D256に従って測定
した。 何れの材料も機械特性評価用試験片は、東芝機械IS8
0型射出成形機にて、シリンダー温度:320℃、金型
温度:140℃、射出−冷却時間:13-15秒、射出
速度:75%、射出圧力:成形下限圧+10kg/cm2(G)
の設定条件で射出成形することにより作成した。なお、
表中の成形下限圧はASTM D638の1号ダンベル
片を成形する際の成形下限圧を意味する。
【0061】[光軸安定性評価]図1に示す形状の射出
成形品1の中央切欠部分にハーフミラー2を設置し、恒
温槽の中で焦点距離150mm、波長670nm、出力
0.3mWの半導体レーザーオートコリメーターから発
振したレーザー光を当て、反射してくるレーザー光をC
CDカメラにて受光した。23℃における反射レーザー
光の位置を原点とし、1℃/分の速度で−10℃へ降温
し、30分放置後の光軸ずれを測定した。その後70℃
まで1℃/分で昇温し、30分放置後の光軸ずれを測定
した。図1は、ハーフミラー2を設置した射出成形品の
斜視図であり、射出成形品1の中央切欠部分にはハーフ
ミラー2が設置されている。半導体レーザーオートコリ
メーターから発振されたレーザー光は、ハーフミラー2
の表面に対して直角に入射し、反射する。
【0062】[バリ]円周上に(a)幅4mm×長さ20
mm×深さ500μm、(b)幅4mm×長さ20mm×
深さ50μmの2つの突起部を有する80mmφ×2m
mtの円盤形状金型を用いて射出成形を行い、(a)の突
起部がちょうど充填される時の(b)の突起部の充填長さ
を測定した。
【0063】[参考例(ポリフェニレンスルフィド樹脂
の製造)]攪拌機付きオートクレーブに水硫化ナトリウ
ム水溶液4.67kg(水硫化ナトリウム25モル)、
50%水酸化ナトリウム2kg(水酸化ナトリウム25
モル)ならびにN−メチル−2−ピロリドン(以下NM
Pと略す。)8kgを仕込み、攪拌しながら徐々に昇温
し、水3.8kgを含む留出水4.1Lを除去した。残
留混合物に1,4−ジクロロベンゼン3.75kg(2
5.5モル)ならびにNMP2kgを加えて230℃で
1時間加熱した。反応生成物を温水で5回洗浄後、90
℃、pH4の酢酸水溶液25L中に投入し、1時間攪拌
した。ポリフェニレン樹脂を濾過し、濾液のpHが7に
なるまで90℃のイオン交換水で洗浄した後、80℃で
24時間真空乾燥した。長さ31.75mm、径2.1
0mmのオリフィスを用い、温度316℃、荷重20g
で測定した時のメルトフローレイト(MFR)は87g
/min、450〜500℃で炭化させた後、538℃
で6時間灰化させた時の灰分残さ量は0.19重量%で
あった。
【0064】[実施例1〜8、比較例1〜14]参考例
で製造したポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリフェニ
レンエーテル樹脂(三菱エンジニアリングプラスチック
ス社製YPX−100F)、ガラス繊維(旭ファイバー
ガラス製JA523)、炭酸カルシウム(同和カルファ
イン製KSS1000)、カオリン(ENGELHAR
D製ASP200)、シラン系カップリング剤(A:β
−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメト
キシシラン)、B:γ−グリシドキシプロピルトリエト
キシシラン、C:γ−グリシドキシプロピルトリメトキ
シシラン)を表1〜3の割合で一括してドライブレンド
した後、2軸押出機を用いてシリンダー温度300℃、
スクリュー回転数160rpmで溶融混練した。得られ
たペレットを用いて射出成形を行い、得られた試験片を
用いて各種特性を評価した。
【0065】[実施例9]炭酸カルシウムとシラン系カ
ップリング剤(A:β−(3,4−エポキシシクロヘキ
シル)エチルトリメトキシシラン)を予めブレンダーを
用いてブレンドすること以外は実施例1と同様に各成分
をブレンドして溶融混練した。ただし、その配合比率は
表1に示すとおりである。配合組成及び各種特性評価結
果を表1〜3に示す。
【0066】
【表1】
【0067】
【表2】
【0068】
【表3】
【0069】実施例1より、本発明の組成物は機械物
性、レーザー光軸安定性、成形時のバリ量を満足する材
料であることがわかる。実施例2〜3より、ポリフェニ
レンスルフィド樹脂とポリフェニレンエーテル樹脂の配
合量を変えても本発明の組成範囲内であれば、機械物
性、レーザー光軸安定性、成形時のバリ量を満足する材
料が得られることがわかる。実施例4よりガラス繊維と
炭酸カルシウムの配合量を変えても本発明の組成範囲内
であれば、機械物性、レーザー光軸安定性、成形時のバ
リ量を満足する材料が得られることがわかる。
【0070】実施例5〜6より、シラン系カップリング
剤の配合量を変えても本発明の組成範囲内であれば、機
械物性、レーザー光軸安定性、成形時のバリ量を満足す
る材料が得られることがわかる。実施例7〜8より、シ
ラン系カップリング剤の種類を変えても機械物性、レー
ザー光軸安定性、成形時のバリ量を満足する材料が得ら
れることがわかる。実施例9より炭酸カルシウムとシラ
ン系カップリング剤を予め混合することによってレーザ
ー光軸の安定性が更に向上し、バリ発生が更に低減する
ことがわかる。
【0071】比較例1〜5より、ポリフェニレンスルフ
ィド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ガラス繊維、
炭酸カルシウム、シラン系カップリング剤の一つでも欠
けると機械物性、レーザー光軸安定性、成形時のバリ量
の全てを満足する材料は得られないことがわかる。すな
わち、ポリフェニレンスルフィド樹脂の配合されていな
い比較例1はバリは少ないもののレーザー光軸安定性が
低く、強度、弾性率も劣っている。更に成形下限圧が高
く、流動性にも劣っている。ポリフェニレンエーテル樹
脂の配合されていない比較例2はレーザー光軸安定性が
不十分である上にバリが多い。ガラス繊維の配合されて
いない比較例3はレーザー光軸安定性やバリは良好であ
るが、衝撃特性、強度が低すぎて光記録装置部材として
は使用に耐えない。炭酸カルシウムを配合していない比
較例4はレーザー光軸安定性が不十分である。シラン系
カップリング剤を配合していない比較例5はレーザー光
軸安定性とバリが不十分である上に強度、弾性率がやや
劣っている。
【0072】比較例6〜8より、ポリフェニレンスルフ
ィド樹脂とポリフェニレンスルフィド樹脂の配合量が本
発明の組成範囲をはずれると機械物性、レーザー光軸安
定性、成形時のバリ量の全てを満足する材料は得られな
いことがわかる。すなわち、ポリフェニレンスルフィド
樹脂が少ない比較例6はバリは少ないもののレーザー光
軸安定性が低く、成形下限圧が高い。ポリフェニレンエ
ーテル樹脂が少ない比較例7はレーザー光軸安定性が低
い上にバリも多い。ポリフェニレンスルフィド樹脂が少
なく、ポリフェニレンエーテル樹脂が多い比較例8は、
バリは良好であるが、レーザー光軸安定性が低く、成形
下限圧も高い。更に強度、弾性率も低い。
【0073】比較例9〜10より、ガラス繊維と炭酸カ
ルシウムの配合量が本発明の組成範囲をはずれると機械
物性、レーザー光軸安定性、成形時のバリ量の全てを満
足する材料は得られないことがわかる。すなわちガラス
繊維が少なく、炭酸カルシウムが多い比較例9はレーザ
ー光軸安定性やバリは比較的良好であるが、衝撃特性、
強度が低すぎて光記録装置部材としては使用に耐えな
い。一方、ガラス繊維が多く、炭酸カルシウムが少ない
比較例10はレーザー光軸安定性が不十分である。
【0074】比較例11〜12より、シラン系カップリ
ング剤の配合量が本発明の組成範囲をはずれると機械物
性、レーザー光軸安定性、成形時のバリ量の全てを満足
する材料は得られないことがわかる。すなわち、シラン
系カップリング剤の少ない比較例11はレーザー光軸安
定性とバリが不十分である上に強度、弾性率がやや劣っ
ている。シラン系カップリング剤の多い比較例12はバ
リは少ないもののレーザー光軸安定性が低く、成形下限
圧も高い。
【0075】比較例13より、ガラス繊維の配合量が炭
酸カルシウムの配合量より多いと機械物性、成形時のバ
リ量は良好であるが、レーザー光軸安定性が低く、機械
物性、レーザー光軸安定性、成形時のバリ量の全てを満
足する材料は得られないことがわかる。
【0076】比較例14より、炭酸カルシウムの代わり
にカオリンを用いると機械物性、成形時のバリ量は良好
であるが、レーザー光軸安定性が低く、機械物性、レー
ザー光軸安定性、成形時のバリ量の全てを満足する材料
は得られないことがわかる。
【0077】
【発明の効果】本発明の樹脂組成物は、機械特性に優
れ、レーザー光軸の温度変化が少なく、かつ成形時のバ
リ発生が少ないため、それを用いることにより、実用性
に優れる光学記録装置部品が得られるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は実施例において光軸安定性評価のために
使用した、ハーフミラーを設置した射出成形品の斜視図
である。
【符号の説明】
1.射出成形品、2.ハーフミラー a.半導体レーザーオートコリメーターから発振された
レーザー光の入射方向 b.反射レーザー光の反射方向
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08K 7/14 C08K 7/14 C08L 23/00 C08L 23/00 71/12 71/12 G11B 7/135 G11B 7/135 Z Fターム(参考) 4F070 AA52 AA58 AB11 AC16 AC28 AC52 AD02 AE01 AE22 FA03 FA12 FB09 FC05 4J002 BB033 BB053 BB123 BC033 BD033 CH07X CN01W DE237 DL006 EX008 EX038 EX068 EX078 EX088 FA046 FD016 FD017 FD208 GQ00 5D119 AA35 AA38 BA01 MA03 MA04

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)ポリフェニレンスルフィド樹脂
    15〜35重量%、(B)ポリフェニレンエーテル樹脂
    またはこれとポリオレフィン系樹脂との混合物5〜25
    重量%、(C)ガラス繊維10〜40重量%、(D)炭
    酸カルシウム10〜50重量%、(E)シラン系カップ
    リング剤0.01〜3重量%からなる樹脂組成物であっ
    て、(C)ガラス繊維の配合量が(D)炭酸カルシウム
    の配合量より少ないことを特徴とする樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 (A)ポリフェニレンスルフィド樹脂
    15〜35重量%、(B)ポリフェニレンエーテル樹脂
    またはこれとポリオレフィン系樹脂との混合物5〜25
    重量%、(C)ガラス繊維10〜40重量%、(D)炭
    酸カルシウム10〜50重量%、(E)シラン系カップ
    リング剤0.01〜3重量%からなり、かつ(C)ガラ
    ス繊維の配合量が(D)炭酸カルシウムの配合量より少
    ない樹脂組成物であって、(D)炭酸カルシウムと
    (E)シラン系カップリング剤を予め混合してから他の
    成分と溶融混練して得られる樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 (A)ポリフェニレンスルフィド樹脂
    15〜35重量%、(B)ポリフェニレンエーテル樹脂
    またはこれとポリオレフィン系樹脂との混合物5〜25
    重量%、(C)ガラス繊維10〜40重量%、(D)炭
    酸カルシウム10〜50重量%、(E)シラン系カップ
    リング剤0.01〜3重量%からなり、かつ(C)ガラ
    ス繊維の配合量が(D)炭酸カルシウムの配合量より少
    ない樹脂組成物を、(D)炭酸カルシウムと(E)シラ
    ン系カップリング剤を予め混合してから他の成分と溶融
    混練することにより製造することを特徴とする樹脂組成
    物の製造方法。
  4. 【請求項4】 (A)ポリフェニレンスルフィド樹脂が
    次の条件(イ)及び(ロ)を満足する請求項1または2
    記載の樹脂組成物。 (イ)長さ31.75mm、径2.10mmのオリフィ
    スを用い、温度316℃、荷重20gで測定した時のメ
    ルトフローレイト(MFR)が50〜200g/mi
    n。 (ロ)450〜500℃で炭化させた後、538℃で6
    時間灰化させた時の灰分残さ量が0.30重量%以下。
  5. 【請求項5】 (A)ポリフェニレンスルフィド樹脂が
    次の条件(イ)及び(ロ)を満足する請求項3記載の樹
    脂組成物の製造方法。 (イ)長さ31.75mm、径2.10mmのオリフィ
    スを用い、温度316℃、荷重20gで測定した時のメ
    ルトフローレイトが50〜200g/min。 (ロ)450〜500℃で炭化させた後、538℃で6
    時間灰化させた時の灰分残さ量が0.30重量%以下。
  6. 【請求項6】 請求項1、2、4のいずれかに記載の樹
    脂組成物を成形してなる光学記録装置部品。
  7. 【請求項7】 請求項1、2、4のいずれかに記載の樹
    脂組成物を成形してなる光ピックアップスライドベー
    ス。
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