JP2002067148A - プレス成形フィルムの製造方法およびプレス成形フィルム - Google Patents

プレス成形フィルムの製造方法およびプレス成形フィルム

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JP2002067148A
JP2002067148A JP2000255053A JP2000255053A JP2002067148A JP 2002067148 A JP2002067148 A JP 2002067148A JP 2000255053 A JP2000255053 A JP 2000255053A JP 2000255053 A JP2000255053 A JP 2000255053A JP 2002067148 A JP2002067148 A JP 2002067148A
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press
pps
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thermoplastic resin
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Tetsuya Machida
哲也 町田
Jun Sakamoto
純 坂本
Kenji Tsunashima
研二 綱島
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Toray Industries Inc
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Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】熱可塑性樹脂の低吸湿寸法安定性、難燃性およ
び高周波特性を活かし、優れた熱寸法安定性、ハンダ耐
熱性、平面性、熱融着加工性およびスルーホール加工性
など、回路基板としての加工性に優れた絶縁基材として
好適に用いられるプレス成形フィルムの製造方法とプレ
ス成形フィルムを提供する。 【解決手段】ポリフェニレンスルフィド樹脂等の熱可塑
性樹脂からなるフィルムを用い、プレス成形によって該
フィルムに付形を与える製造工程において、該熱可塑性
樹脂フィルムの融点Tm−100℃の温度に加熱された
金型で5分間〜1時間プレスして熱転写した後、該熱可
塑性樹脂フィルムのガラス転移温度Tgまで10分間〜
5時間で金型を冷却した後に、成形フィルムを金型から
剥離してフィルム表面に回路を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱可塑性樹脂とし
てポリフェニレンスルフィド樹脂をベース基材とした、
寸法安定性とハンダ耐熱性に優れたプレス成形フィルム
の製造方法に関するものであり、特に、多層回路基板の
絶縁基材に適したプレス成形フィルムに関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】電気や電子部品分野において、機器の小
型化や高機能化の観点から、ハンダ耐熱性、熱および湿
度に対する高寸法安定性、低吸水性および高周波特性な
どの諸特性が高次元でバランス化した絶縁基材の要求が
増加している。
【0003】従来より、電気・電子機器の部品として用
いられる回路基板(配線基板)としては、ガラスクロス
にエポキシ樹脂を含浸した基材(以下、ガラエポ基材と
略称する)、あるいはポリイミドフィルムなど熱硬化性
樹脂を主体とした基材が使用されているが、いずれも製
造工程が多くなり、生産性が低いのが現状である。
【0004】また、熱可塑性樹脂としてポリフェニレン
スルフィド(以下PPSと略称することがある)樹脂か
らなるフィルムは、未延伸シートの場合、低吸湿性、難
燃性および高周波特性などの特性は満足しているが、二
軸配向フィルムに比べると耐熱性が十分ではなく、加工
工程が増加する程結晶化が進み脆くなる。そして、PP
Sフィルムを回路基板として用いる場合は、結晶サイズ
などをコントロールして、耐熱性と脆さの点では問題な
いが、ハンダ加工のように急激に熱が加わると熱変形し
易いという問題を有している。
【0005】また、二軸配向したPPSフィルムは、熱
収縮率が高く、例えば、回路基板の製造工程で熱が加わ
ると回路のズレが生じ易い。そのため、アニール処理な
どで熱収縮率を小さくする加工が行なわれているが、2
50℃における熱収縮率を1%以下にするとフィルムの
平面性が著しく悪化してしまうという問題点を有してい
る。
【0006】また、PPS樹脂をガラスクロスなどの繊
維状物に含浸したシート状物の場合は、耐熱性、熱寸法
安定性、吸湿性、難燃性および高周波特性には優れる
が、折り曲げ等の力が加わるとクラックが発生したり、
熱融着性に乏しく回路基板の加工性に問題があった。特
に、薄肉化、かつ熱融着性を要求される分野では用途が
限定されていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら一方で、
熱可塑性樹脂を使用した回路基板はプロセスが簡単で従
来の回路基板に比べ生産性が良好であるなど利点が多
く、熱寸法安定性、ハンダ耐熱性あるいは吸湿寸法安定
などの改善が実現できれば、有用な回路基板になり得る
ものと期待される。
【0008】本発明の目的は、上記の諸問題を解決する
こと、すなわち、ポリフェニレンスルフィド樹脂等の熱
可塑性樹脂を使用して、低吸湿寸法安定性、難燃性およ
び高周波特性を活かし、優れた熱寸法安定性、ハンダ耐
熱性、平面性、熱融着加工性およびスルーホール加工性
など、回路基板としての加工性に優れた絶縁基材として
好適に用いられるプレス成形フィルムの製造方法、およ
びプレス成形フィルムを提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上述した問
題に鑑み、鋭意検討した結果、熱可塑性樹脂フィルムを
プレス成形する製造方法において、プレス成形して回路
パターンを熱転写した後、熱転写後のフィルムを徐冷す
ることによって前記の諸問題が解決できることを見出
し、本発明に至った。
【0010】すなわち、本発明のプレス成形フィルムの
製造方法は、熱可塑性樹脂フィルム表面にプレス成形に
よって凸凹を熱転写するプレス成形フィルムの製造方法
において、プレス成形の金型温度Tkと該熱可塑性樹脂
フィルムの融点Tmが式Tk≧Tm−100℃以上、好ま
しくはTk≧Tm−60℃以上、より好ましくはTk≧T m
−40℃以上を満足する金型温度Tkで成形し、そして
該金型温度Tkを該熱可塑性樹脂フィルムのガラス転移
温度Tgまで冷却するのに要する時間を10分〜5時
間、好ましくは30分〜3時間とすることを特徴とする
プレス成形フィルムの製造方法である。
【0011】また、本発明のプレス成形フィルムは、プ
レス成形によって、プレス成形前の熱可塑性樹脂フィル
ムのハンダ耐熱温度(Th0)と、プレス成形後のプレス
成形フィルムのハンダ耐熱温度(Th)が、式Th−Th0
≧20℃を満足することを特徴とするプレス成形フィル
ムであり、プレス成形後のハンダ耐熱温度が260℃以
上であることが好ましい。
【0012】さらに、本発明においては、金型の有する
凸凹形状寸法に対して、金型によって付形された該プレ
ス成形フィルム上の凸凹形状の転写率がフィルムのあら
ゆる方向で99.5%以上であること、、本発明のプレ
ス成形フィルムがポリフェニレンスルフィド樹脂からな
り、そのポリフェニレンスルフィドフィルムは、配向度
が同じあるいは異なったポリフェニレンスルフィドフィ
ルムを積層した多層ポリフェニレンスルフィドフィルム
であることが好ましい態様である。
【0013】そして、本発明のプレス成形フィルムは、
少なくとも片面に電気回路を設け回路基板とすることが
でき、その回路基板を積層した多層回路基板に好適に用
いられるプレス成形フィルムである。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て説明する。
【0015】本発明では熱可塑性樹脂フィルムが用いら
れるが、熱可塑性樹脂フィルムを構成する熱可塑性樹脂
としては、低吸水性、低吸湿寸法安定性、難燃性および
高周波特性が優れているポリフェニレンスルフィド樹
脂、液晶高分子化合物やポリスチレン樹脂等を用いるこ
とができるが、ポリフェニレンスルフィド樹脂が本発明
において好ましく用いられる。
【0016】本発明でいうポリフェニレンスルフィド樹
脂(PPS樹脂)とは、PPS成分を好ましくは70モ
ル%以上、より好ましくは80モル%以上含む樹脂であ
る。PPS成分が70モル%未満では、ポリマの結晶性
と熱転移温度などが低く、PPSを主成分とする樹脂組
成物の特徴である低吸湿性、難燃性および高周波特性な
どの諸特性を損なうことがある。
【0017】上記PPS樹脂において、繰り返し単位の
30モル%未満、好ましくは20モル%未満であれば、
共重合可能な他のスルフィド結合を含有する単位が含ま
れていても差し支えない。繰り返し単位の30モル%未
満、好ましくは20モル%未満の繰り返し単位として
は、例えば、3官能単位、エーテル単位、スルホン単
位、ケトン単位、メタ結合単位、アルキル基などの置換
基を有するアリール単位、ビフェニル単位、ターフェニ
レン単位、ビニレン単位、カーボネート単位などが具体
例として挙げられ、このうち一つまたは二つ以上共存さ
せて構成することができる。この場合、該構成単位は、
ランダム型またはブロック型のいずれの共重合方式であ
ってもよい。
【0018】PPS樹脂の分子は、直鎖・線状の高分子
であることが好ましいが、本発明では必ずしもこれには
こだわらず、分岐鎖を有した高分子でも、一部架橋構造
を有した高分子であっても良い。あらかじめ加熱によっ
て架橋/高分子量化したPPSを用いることにより、フ
ィルムの熱処理時間が短時間で目的を達することができ
る。PPS樹脂の架橋/高分子量化する場合の具体的方
法は、空気、酸素などの酸化性ガス雰囲気下あるいは前
記酸化性ガスと窒素、アルゴンなどの不活性ガスとの混
合ガス雰囲気下で、加熱容器中で所定の温度において希
望する溶融粘度が得られるまで加熱を行なう方法が例示
できる。加熱処理温度は、通常170〜280℃が選択
され、好ましくは200〜270℃であり、時間は通常
0.5〜100時間が選択され、好ましくは2〜50時
間であるが、この両者をコントロールすることにより温
度300℃、剪断速度200sec-1のもとで、500
〜12000ポイズ、好ましくは700〜10000ポ
イズの目標とする粘度レベルの架橋/高分子量化したP
PSを得ることができる。
【0019】PPS樹脂には、低分子量オリゴマーが含
まれていても良い。低分子量オリゴマーの分子量分布は
100〜2000の範囲であり、PPS樹脂中に含まれ
る低分子量オリゴマーは、ジフェニルエーテルなどの溶
媒で洗浄することにより除去することができ、本発明で
は、沸騰キシレン中で36時間の処理で抽出されるオリ
ゴマー量を、1.5重量%以下にすることが好ましい。
【0020】本発明では、PPS樹脂を単独で用いても
良いし、あるいはポリマーアロイとして用いても良い。
アロイ用ポリマーとしては、ポリエステル、液晶ポリエ
ステル、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリイミド、ポ
リアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリアリレー
ト、ポリエーテルイミド、変性ポリフェニレンスルフィ
ド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルサルホ
ン、ポリサルホンなど使用することができるが、これら
に限定されない。また、当該PPS樹脂に対するアロイ
用ポリマーの混合割合は、0.1〜30重量%程度が好
ましい。
【0021】本発明におけるプレス成形フィルムは、上
記PPS樹脂を二軸配向した二軸配向PPSフィルムを
単独で用いるか、あるいは、配向度が同じあるいは異な
ったPPSフィルムを積層させた多層フィルムを用いる
こともできる。また、これらのフィルムを加熱処理した
のち用いてもよい。加熱処理の効果は、PPSフィルム
のハンダ耐熱温度を向上させ、該フィルムの熱寸法安定
性が向上し、各温度領域における熱収縮率を低減させ
る。
【0022】しかしながら、二軸配向PPSフィルムの
みを加熱処理した場合、熱収縮によって平面性が悪化し
易い。このため、フィルムの幅および/または縦方向を
拘束し、所定の割合で収縮させる手段がとられる。とこ
ろが、二軸配向PPSフィルムの少なくとも片表面に未
配向PPSフィルムを積層させたフィルムを加熱処理す
ることにより、より良好なフィルムの平面性を保ちなが
ら熱収縮率を低減させることができる。さらに未配向P
PSフィルムを芯層として、二軸配向PPSフィルムを
両表層に配置した3層積層PPSフィルムでは、より良
好な平面性を得ることができ、この場合にはフィルムの
幅方向および/または縦方向を拘束せずに熱処理するこ
とが可能となるため、本発明のプレス成形フィルムとし
て好ましい態様となる。
【0023】また、未配向PPSフィルムのみを加熱処
理すると、延伸配向していないため非常に脆くなり、折
り曲げて使用する回路基板用途などに使用することがで
きない。これに対し、未配向PPSフィルムに二軸配向
PPSフィルムを積層し、積層フィルムとすることによ
り、加熱処理しても脆くなることがなく、優れた平面性
を有したハンダ耐熱性のある、熱収縮率が小さいフィル
ムを得ることができ、上記問題を解決することができ
る。
【0024】本発明のプレス成形フィルムは、二軸配向
PPSフィルム単独であっても良いが、二軸配向PPS
フィルムの少なくとも片表面に未配向PPSフィルムを
積層させた積層フィルムが好ましく、さらには未配向P
PSフィルムの両表面に、二軸配向PPSフィルムを積
層させた積層フィルムが好ましい。未配向PPSフィル
ムおよび二軸配向PPSフィルムからなる積層フィルム
の場合、未配向PPSフィルムの厚みは、全フィルム厚
みに対して20〜90%の範囲が、好ましくは40〜8
0%の範囲が各特性をバランスさせる点から好ましい。
【0025】PPSフィルムを積層する方法としては、
例えば、未配向PPSフィルムの両面に二軸配向PPS
フィルムを積層する場合は、(1)高温高圧下で3枚を
熱融着するか、(2)2枚の二軸配向PPSフィルムの
間に直接PPSを溶融押出しするか、あるいは(3)未
配向PPSフィルムまたは二軸配向PPSフィルムの接
着側に接着剤を塗布して熱板プレスによって積層するな
どの方法が挙げられる。 これらの方法のうち、上記
(1)の方法においては、温度180℃〜270℃、圧
力1〜20kg/cm2の条件で熱板プレスによって行
なうことができる。このように3層に積層する場合は、
上記の条件で、まず2層体を作製し、得られた2層体の
未配向PPSフィルム側に、さらに二軸配向PPSフィ
ルムを積層するか、同時に3層を積層することができ
る。このようにして、本発明では、配向度が同じあるい
は異なったPPSフィルムを積層した多層PPS構造と
することができる。
【0026】また、PPSフィルムの積層に先がけて、
PPSからなる未配向フィルムおよび/または二軸配向
フィルムの表面に、目的に応じ、コロナ放電処理、紫外
線処理あるいはプラズマ処理などを施すことが好まし
い。
【0027】本発明の二軸配向PPSフィルムの配向度
は、0.07〜1.0の範囲であることが好ましく、よ
り好ましくは0.5〜0.7の範囲である。ここでいう
配向度とは、広角X線回折法によって測定された、Th
rough、EdgeおよびEnd方向から各々測定し
た配向度をいい、上記いずれの方向の配向度とも0.0
7〜1.0の範囲が好ましく、より好ましくは0.5〜
0.7の範囲である二軸配向フィルムであることが好ま
しい。一方、未配向PPSフィルムとしては配向度が
0.07未満であることが好ましい。
【0028】ここで、ある方向から測定した配向度と
は、その方向からのX線入射によるX線プレート写真を
撮影し、PPS結晶の(200)面から回折の強度をマ
イクロデンシトメータで赤道上を半径方向に走査したと
きの黒点度I(φ=0°)と同じく30°方向での黒点
度I(φ=30°)の比I(φ=30°)/I(φ=0
°)によって定義される。
【0029】本発明のプレス成形フィルムのハンダ耐熱
温度は、好ましくは260℃以上、より好ましくは28
0℃以上、さらに好ましくは290℃以上である。ハン
ダ耐熱温度が260℃未満ではハンダ加工時に変形した
り、そりを発生したりする。また、鉛の有害性が指摘さ
れ鉛フリーハンダの実用化が進んでいが、鉛フリーハン
ダは、従来のハンダよりも融点が30℃以上高いため、
290℃以上のハンダ耐熱性を有することが好ましい。
【0030】プレス成形前のPPSフィルムのハンダ耐
熱温度は230℃であるが、これを260℃以上のハン
ダ耐熱温度を有するPPSプレス成形フィルムとするた
めに、プレス成形前のPPSフィルムをあらかじめ加熱
処理してもよい。例えば、二軸配向PPSフィルムと未
配向PPSフィルムを積層させた多層フィルムを、PP
Sの融点近傍の200〜350℃の温度範囲で1分〜1
0時間の範囲で熱処理をすることにより得ることができ
る。熱処理温度は、段階的に昇温させても同じ温度で処
理しても良いが、高い温度で熱処理する場合は、段階的
に昇温して行なう方がフィルムの平面性が良好となり好
ましい。例えば、240℃で30分処理した後に260
℃に昇温し、260℃の温度で1時間処理するなどの多
段処理である。さらに、多段処理では、より広い温度範
囲におけるフィルムの熱収縮率を低下させることができ
る。なお、高温で処理した後に温度を低下させてさらに
熱処理する段階的な熱処理でも勿論かまわない。
【0031】加熱雰囲気としては、通常の空気中または
オゾンを含んだ空気中や、窒素中などの不活性雰囲気下
で行なうことができる。これらの加熱処理は、連続処理
でもロール状あるいはカットシートを多数枚重ね合わせ
た枚葉で処理することができる。熱収縮率を低減させる
ためにはフィルムを自由に熱処理で収縮させることが効
果的であり、処理は枚葉でフィルムの縦方向および/ま
たは幅方向が無拘束の状態で熱処理することが好まし
い。また、フィルムとして未配向PPSフィルムと二軸
配向PPSフィルムとの積層フィルムを用いれば一層良
好な平面性を有したフィルムを得ることができる。
【0032】また、加熱処理は、上記の空気雰囲気下あ
るいは不活性雰囲気下で熱処理してもよいが、放射線あ
るいは過酢酸によって架橋処理してから加熱処理しても
よい。 本発明においては、上記の加熱処理後、さらに
リラックス処理を行なってもよい。リラックス処理は、
ロール状あるいは枚葉で、好適には150℃〜280
℃、1分〜24時間行なうことができる。
【0033】加熱処理後はフィルムをすぐに空気中に取
り出して急冷させるよりも、徐冷した後取り出した方が
フィルムの平面性が良好となり好ましい。徐冷は、10
0℃、好ましくはPPSのガラス転移温度以下の90℃
まで、10分〜5時間、好ましくは1時間〜3時間以上
かけて冷却させることが好ましい。
【0034】このようにして得られたPPSフィルム、
好ましくはPPS積層フィルムあるいは加熱処理したP
PS積層フィルムは、少なくとも片表面に電気回路が形
成された回路基板のベース基材として用いることができ
る。
【0035】電気回路は、PPSフィルム表面にプレス
成形により、回路パターン形状の凸凹を付与した金型で
熱転写し、PPSフィルム表面に形成された凹部に導電
ペーストを流し込むことによって形成される。プレス成
形する条件としては、プレス成形の金型温度Tk、PP
Sフィルムの融点TmpをTmp−100℃≦Tk≦Tmp
15℃、好ましくはTmp−60℃≦Tk≦Tmp−25℃
にして、5分から1時間、好ましくは20分〜50分、
プレス圧40kg/cm2でプレスする。Tmp−100
℃より低い温度、例えばTmp−120℃などでプレスし
た場合、熱収縮応力が高くなり、プレス成形後、フィル
ムが熱収縮し、その結果、金型の回路形状の転写率が低
くなる。したがって、プレス温度はTmp−100℃≦T
k≦Tmp−15℃、好ましくはTmp−60℃≦Tk≦Tmp
−25℃、より好ましくはTmp−40℃≦Tk≦Tmp
25℃の温度でプレスする方がプレス成形後の回路形状
の転写率が高くなるので好ましい。しかしながら、Tmp
−25℃を超えるとPPSが金型に融着し始め、安定し
た製造を行なうことが難しい。したがって、プレス成形
の金型温度TkはTmp−100℃≦Tk≦Tmp−15℃に
する。
【0036】次いで、フィルム表面に回路形状を熱転写
し、プレスしたままの状態でPPSのガラス転移温度T
gpまで該金型温度Tkを10分〜5時間、好ましくは3
0分〜3時間で冷却した後にフィルムを金型から剥離す
ることが本発明において大きな特徴である。このよう
に、該金型温度範囲で熱転写した後、該冷却時間で冷却
することによって、寸法安定性に優れた、またハンダ耐
熱性に優れたプレス成形フィルムを得ることができる。
【0037】また、金型温度TKは、金型内部に設置さ
れた温度センサ(例えば、熱電対が使われる)で調整さ
れる。
【0038】このようなプレス条件によって、フィルム
表面に回路形状を熱転写し、冷却後剥離した後の、金型
の有する凸凹形状寸法に対する該フィルム表面上に熱転
写された凸凹形状寸法の転写率は、フィルムのあらゆる
方向で99.5%以上となる。ここで転写率とは、金型
の有する凸凹形状の寸法に対して、フィルム平面に転写
された凸凹形状の寸法の転写率を表している。また、金
型の有する凸凹形状の寸法は、1単位が約1cm角で、
これが金型全面に約100単位並んでいる。この1cm
角の中に数十μm幅の回路パターンが形成されており、
約数十μmの溝を有した形状となっている。転写率は回
路パターン1単位について評価したものである。
【0039】プレス成形によってフィルム表面に回路形
状を熱転写した後、直ちにフィルムを金型から剥離し空
気中に取り出して急冷した場合、その際フィルムが熱収
縮し、フィルムの平面性が悪くなり、また金型形状の凸
凹の転写率が小さくなる。また、金型温度TkをPPS
のガラス転移温度Tgpまで、例えば、1分〜9分で冷却
した場合、金型の回路形状の転写率は満足するものの、
良好な平面性のフィルムを得ることができない。
【0040】また、本発明のプレス成形フィルムは、あ
らかじめ加熱処理してハンダ耐熱温度を260℃以上に
向上させた高耐熱化したPPSフィルムを用いてもよい
が、加熱処理されていないPPSフィルム用い、該プレ
ス成形で加熱処理されることによって、該PPSフィル
ムのハンダ耐熱温度を向上させることができることが大
きな特徴である。すなわち、プレス成形によって加熱処
理されていないPPSフィルムのプレス成形前のハンダ
耐熱温度(Th0)と、プレス成形後の該PPSフィルム
のハンダ耐熱温度(Th)が、式Th−Th0≧20℃とな
ることが本発明の特徴の一つである。従って、10分よ
り短い時間で冷却した場合、およびTmp−100℃より
低い温度でプレス成形した場合には、加熱処理が十分と
はならずハンダ耐熱温度を十分向上させることはできな
い。回路基板用絶縁基材として必要なハンダ耐熱温度は
260℃以上であるが、PPSフィルムを該ハンダ耐熱
温度にするためのプレス成形条件としては、プレス成形
の金型温度Tkが250℃〜270℃で30分〜1時間
プレスして加熱処理することが好ましい。このようなプ
レス成形を行なうことで、回路形状の転写と同時にPP
Sフィルムのハンダ耐熱温度の向上を達成することがで
きる。
【0041】本発明のプレス成形フィルム上に形成をさ
れた回路部分に流し込む導電体としては、銅、アルミニ
ウム、鉄などの金属または、銅、銀およびカーボンなど
を含有する導電性塗料などが通常用いられる。また、該
回路に電気部品や電子部品が実装されていてもよい。ま
た、本発明のプレス成形フィルムは、ドリル、レーザ
ー、溶融貫通法などで穴加工が容易であるため該回路基
板が2層以上積層された多層回路基板として適してい
る。
【0042】次に、本発明のプレス成形フィルムの製造
方法、およびそのプレス成形フィルムを用いた回路基板
の製造方法について具体的に述べるが、本発明はこれに
限定されない。
【0043】本発明で用いられるプレス成形フィルム
は、好適にはPPS樹脂からなり、公知の方法により製
造されたPPS樹脂を用いることができる。例えば、硫
化ナトリウムとp−ジクロロベンゼンを、N−メチル−
2−ピロリドン(NMP)などのアミド系極性溶媒中で
高温高圧化で反応させる。必要によっては、トリハロベ
ンゼンなどの共重合成分を含ませることもできる。重合
度調整剤として、苛性カリやカルボン酸アルカリ金属塩
などを添加し、230〜280℃で重合反応させる。重
合後にポリマーを冷却し、ポリマーを水スラリーとして
フィルターで濾過後、粒状ポリマーを得る。これを酢酸
塩などの水溶液中で30〜100℃、10〜60分攪拌
処理し、イオン交換水にて30〜80℃で数回洗浄、乾
燥してPPS粉末ポリマーを得る。この粉末ポリマー
を、酸素分圧10トール以下、好ましくは5トール以下
でNMPにて洗浄後、30〜80℃のイオン交換水で数
回洗浄し、5トール以下の減圧下で乾燥する。このよう
にして得られたポリマーは、実質的に線状のPPSポリ
マーであり、しかもこのPPS樹脂の溶融結晶化温度T
mcは160〜190℃の範囲にあるので、安定した延
伸製膜が可能になる。もちろん必要に応じて、他の高分
子化合物や酸化珪素、酸化マグネシウム、炭酸カルシウ
ム、酸化チタン、酸化アルミニウム、架橋ポリエステ
ル、架橋ポリスチレン、マイカ、タルク、カオリンなど
の無機、有機化合物や熱分解防止剤、熱安定剤および酸
化防止剤などを添加してもよい。
【0044】このようにして得られたPPS樹脂(原
料)を、公知の押出し機に供給して、酸素の少ない減圧
下で溶融した後、原料中の異物を除去するために、溶融
樹脂を適宜フィルター、例えば、焼結金属、多孔性セラ
ミック、サンド、金網等で濾過しながら押し出しする。
その後、ギアーポンプで計量した後に口金から吐出さ
せ、冷却されたドラム上に公知の密着手段である静電印
可法、エアーチャンバー法、エアーナイフ法あるいはプ
レスロール法などで、ドラムなどの冷却媒体に密着冷却
固化させて急冷し、未配向PPSフィルムを得る。
【0045】次いで、得られた未配向PPSフィルム
を、加熱されたロール上に接触させて90〜130℃に
昇温させ、長手方向に2.5〜4倍延伸し、いったん冷
却した後に、テンタークリップに該フィルムの端部を噛
ませて、幅方向に100〜160℃で2〜4倍延伸し、
続いて200〜280℃で0〜10%程度のリラックス
下で10〜100秒程度の熱処理をして、二軸配向PP
Sフィルムを得る。もちろん、延伸方式は限定されず、
逐次二時延伸でなくても同時二軸延伸方式を用いること
もでき、このときのフィルム把持クリップの駆動方式に
は、スクリュー方式、パンタグラフ方式、リニアモータ
ー駆動方式などを挙げることができるが、延伸制御を行
ない易い点からリニアモーター駆動方式が好ましく用い
られる。これらの製造方法は、特公昭63−12772
号公報などに記載されている。
【0046】本発明では、このようにして得られた二軸
配向PPSフィルムを単独で用いることもできるが、延
伸前の未配向PPSフィルムと二軸配向PPSフィルム
を、二軸配向PPSフィルム/未配向PPSフィルム/
二軸配向PPSフィルムのように積層した、積層PPS
フィルムを用いた方がプレス成形前の加熱処理や、プレ
ス成形による加熱処理によって良好なフィルム平面性を
保持することができる。PPSフィルムの積層は、温度
180〜270℃、圧力1〜20kg/cm2の条件で
ロールプレスによって熱圧着する。このときロールプレ
スでなくても熱板プレスを用いて積層することもでき
る。
【0047】このようにして得られた融点285℃、ガ
ラス転移温度89℃、ハンダ耐熱温度230℃のPPS
積層フィルムをそのままプレス成形に用いることもでき
るが、あらかじめ加熱処理したPPS積層フィルムを用
いてもよい。加熱処理は、空気雰囲気下あるいは不活性
雰囲気下で、200〜350℃の温度で一挙に、あるい
は段階的に昇温させて、上記温度範囲で1分〜10時間
程度の熱処理を施した後、150〜280℃で1分〜2
4時間リラックス処理を行ない、100℃、好ましく
は、該PPSフィルムのガラス転移温度である90℃ま
で10分〜5時間で徐冷して得られる。このようにして
得られたPPS積層フィルムは、融点が287℃、ガラ
ス転移温度90℃であり、260℃以上のハンダ耐熱温
度を満足することができる。
【0048】次いで、該PPS積層フィルムの表面に、
PPSフィルムの融点Tmp−100℃以上の温度に加熱
された金型に5分間〜1時間、40kg/cm2の圧力
でプレスして回路形状を熱転写した後、プレスしたまま
の状態で、金型がPPSフィルムのガラス転移温度にな
る温度まで約10分〜5時間で冷却することで、本発明
の平面性の良好な寸法安定性、ハンダ耐熱性に優れた回
路基板用プレス成形フィルムを得ることができる。
【0049】また、本発明のプレス成形フィルムは、該
回路基板を積層し、プレスで一括熱融着して多層回路基
板とすることもできる。さらに、上記の多層回路基板に
スルーホールを設けてもよい。スルーホールは、ドリ
ル、レーザー、溶融貫通法などの方法で設けることがで
きる。さらに、各層をメッキ法などの方法で層間接続す
ることもできる。また、回路基板には必要に応じて電子
部品などがハンダなどで実装される。
【0050】[物性の測定法]次に、本発明で使用した
測定法について以下に述べる。
【0051】1.ハンダ耐熱温度 JIS C5013に従い、ハンダ浴に自由収縮できる
ような状態でサンプルを浸漬し、平面性の悪化のない最
高温度をいう。この温度(℃)の高い方が耐ハンダ性に
優れている。
【0052】2.回路形状転写率 金型の有する凸凹形状の1単位について、金型の1単位
に有する凹凸形状寸法(amm)に対して、フィルム平
面内に転写された1単位の凹凸形状の寸法(bmm)を
1単位、約1cm角の両端の寸法を顕微鏡で正確に読み
とる。次式で転写率(%)を求めた。 転写率(%)=100−{(a−b)/a×100} 3.融点およびガラス転移温度 視差走査熱量計(DSC−2型)を用いて測定した。
【0053】4.平面性 フィルムを長手方向、幅方向に平行に150ミリ角に切
り出したサンプルを平坦な台上に平行に置き、台からの
フィルムの浮き高さを測定し、次の4ランクに分けた。 ◎:2ミリ未満 ○:2ミリ以上3ミリ未満 △:3ミリ以上5ミリ未満 ×:5ミリ以上
【0054】
【実施例】(実施例1)東レ(株)製の線状PPS樹脂
(ライトンT1881)を用いて、これに、ステアリン
酸カルシウム0.05重量%を添加し、これをシリンダ
ー径150mmの公知の一軸押出機に供給し、310℃
で溶融させた後、10μ以上の異物をカットする濾過箱
を通過させて、リップ幅1200ミリ、リップ間隙1.
5mmのTダイ口金からフィルム状に押出した。このよ
うにして押出された溶融フィルムに静電荷を印加させ
て、表面温度25℃のキャスティングドラム(直径80
0mm)に密着冷却固化させた。このようにして得られ
たキャストフィルムは、非晶で、未配向のフィルムであ
った。得られた未配向フィルムを、加熱ロール群からな
る長手方向延伸機に供給し、フィルム温度100℃で
3.6倍延伸し、続いてテンターを用いて幅方向に10
0℃で3.5倍延伸し、さらに270℃で15秒間熱処
理をしてテンタ幅方向に8%リラックスして、端部エッ
ジカットした後に厚さ50μmの二軸配向フィルムを得
た。
【0055】次に、延伸前の未配向PPSフィルムの両
面に、上記二軸方向PPSフィルムを重ね合わせ、温度
260℃の温度で20kg/cmの線圧でロールプレスし
た。得られたPPS積層フィルムは二軸配向PPSフィ
ルム部分が50μmであり、未配向PPSフィルム部分
が200μmであった。該PPS積層フィルムの融点は
285℃、ガラス転移温度は89℃、ハンダ耐熱温度は
230℃であった。
【0056】かくして得られたPPS積層フィルムの表
面に、あらかじめ260℃に加熱さた金型を30分間、
40kg/cm2の圧力でプレスして凸凹の回路形状を
熱転写した後、プレスしたままの状態で金型が89℃に
なるまで約30分間で冷却した後、該積層フィルムを金
型から剥離した。該積層フィルム上に転写された凸凹形
状の転写率は、フィルムのあらゆる方向で99.6%以
上であり、プレス成形後のフィルムの平面性は◎であっ
た。プレス成形後のPPS積層フィルムのハンダ耐熱温
度を測定したところ260℃であった。結果を表1に示
す。かくしてフィルム上に転写された凹部に銀ペースト
を注入し電気回路を形成し、平面性の良好なハンダ耐熱
性、熱寸法安定性に優れた回路基板を得た。 (実施例2)実施例1で得られた融点285℃、ガラス
転移温度89℃、ハンダ耐熱温度230℃である二軸配
向PPSフィルム/未配向PPSフィルム/二軸配向P
PSフィルムのPPS積層フィルムをプレス成形前にあ
らかじめ加熱処理した。加熱処理は、該PPS積層フィ
ルムを50cm角の正方形に切り出し、鉄板で挟み込ん
だ。鉄板の重量から、積層PPSフィルムには300P
aの面圧がかかっている。このような状態で200℃の
熱風オーブン中で1時間熱処理し、その後260℃に熱
風オーブンを昇温して260℃となった後1時間熱処理
を行なった。熱処理後4時間かけて30℃まで冷却し、
サンプルを得た。得られた二軸配向PPSフィルム/未
配向PPSフィルム/二軸配向PPSフィルムのPPS
積層フィルムの融点は287℃、ガラス転移温度は90
℃、ハンダ耐熱温度は263℃であり、フィルムの平面
性も良好であった。
【0057】かくして得られた高耐熱化したPPS積層
フィルムの表面に、金型の温度を220℃にして5分間
プレスした後、90℃になるまで10分間で冷却したこ
と以外は、実施例1と同様にしてプレス成形を行なっ
た。
【0058】該PPS積層フィルム上に転写された凸凹
形状の転写率は、フィルムのあらゆる方向で99.5%
以上であり、プレス成形後のフィルムの平面性は◎であ
った。プレス成形後の該PPS積層フィルムのハンダ耐
熱温度を測定したところ263℃であった。結果を表1
に示す。かくしてフィルム上に転写された凹部に銀ペー
ストを注入し電気回路を形成し、平面性の良好なハンダ
耐熱性、熱寸法安定性に優れた回路基板を得た。 (実施例3)実施例1で得られた二軸配向PPSフィル
ム/未配向PPSフィルム/二軸配向PPSフィルムの
PPS積層フィルムの表面に、89℃になるまで約3時
間かけて冷却したこと以外は、実施例1と同様にプレス
成形した。
【0059】該PPS積層フィルム上に転写された凸凹
形状の転写率は、フィルムのあらゆる方向で99.7%
以上であり、プレス成形後のフィルムの平面性は◎であ
った。プレス成形後の該PPS積層フィルムのハンダ耐
熱温度を測定したところ262℃であった。結果を表1
に示す。かくしてフィルム上に転写された凹部に銀ペー
ストを注入し電気回路を形成し、平面性の良好なハンダ
耐熱性、熱寸法安定性に優れた回路基板を得た。 (比較例1)実施例1で得られた二軸配向PPSフィル
ム/未配向PPSフィルム/二軸配向PPSフィルムの
PPS積層フィルムの表面に、金型の温度を160℃に
して5分間プレスした後、すぐに金型から該PPS積層
フィルムを剥離し、空気中に取り出して常温まで1分間
で冷却したこと以外は、実施例1と同様にプレスを行な
った。該PPS積層フィルム上に転写された凸凹形状の
転写率は、98.0%以下であり、プレス成形後のフィ
ルムの平面性は×であった。プレス成形後の該PPS積
層フィルムのハンダ耐熱温度を測定したところ230℃
であった。結果を表1に示す。かくしてフィルム上に転
写された凹部に銀ペーストを注入し電気回路を形成した
が、回路形状の転写率が低くく、目的とする電気回路を
形成することはできなかった。 (実施例4)実施例1の融点285℃、ガラス転移温度
は89℃、ハンダ耐熱温度230℃である二軸配向PP
Sフィルムのみを積層した積層PPSフィルムを用い、
該積層PPSフィルムを実施例2と同様に加熱処理を行
なった。得られたPPS積層フィルムの融点は287
℃、ガラス転移温度は90℃、ハンダ耐熱温度は263
℃であったが、フィルムの平面性は○であった。かくし
て得られた該積層PPSフィルムの表面に、実施例2と
同様にプレス成形を行なった。
【0060】該PPS積層フィルム上に転写された凸凹
形状の転写率は、フィルムのあらゆる方向で99.5%
以上であったが、プレス成形後のフィルムの平面性は△
であった。プレス成形後の該PPS積層フィルムのハン
ダ耐熱温度を測定したところ263℃であった。結果を
表1に示す。かくしてフィルム上に転写された凹部に銀
ペーストを注入し電気回路を形成したが、フィルムに反
りが発生し部品を実装することができなかった。
【0061】
【発明の効果】本発明によれば、低吸湿性、難燃性およ
び高周波特性に優れ、かつハンダ耐熱性と熱寸法安定性
に優れたプレス成形熱可塑性樹脂フィルムと熱可塑性樹
脂回路基板が得られる。しかも、熱融着加工性およびス
ルーホール加工などの加工特性に優れているため、多層
回路基板用絶縁基材として好適である。
【0062】
【表1】
フロントページの続き Fターム(参考) 4F209 AA34 AC03 AG01 AG03 AG05 AH33 PA02 PB01 PC05 PN03 PN04

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性樹脂フィルム表面にプレス成形
    によって凸凹形状を熱転写するプレス成形フィルムの製
    造方法において、プレス成形の金型温度Tkと該熱可塑
    性樹脂フィルムの融点Tmが式Tk≧Tm−100℃以上
    を満足する金型温度Tkで成形した後、該金型温度Tk
    該熱可塑性樹脂フィルムのガラス転移温度Tgまで10
    分〜5時間かけて冷却することを特徴とするプレス成形
    フィルムの製造方法。
  2. 【請求項2】 プレス成形前の熱可塑性樹脂フィルムの
    ハンダ耐熱温度(Th0)とプレス成形後のプレス成形フ
    ィルムのハンダ耐熱温度(Th)が、式Th−T h0≧20
    ℃を満足することを特徴とするプレス成形フィルム。
  3. 【請求項3】 プレス成形後のプレス成形フィルムのハ
    ンダ耐熱温度が260℃以上であることを特徴とする請
    求項2記載のプレス成形フィルム。
  4. 【請求項4】 金型の有する凸凹形状寸法に対して、金
    型によって付形されたプレス成形フィルム上の凸凹形状
    の転写率がフィルムのあらゆる方向で99.5%以上で
    あることを特徴とする請求項2または3記載のプレス成
    形フィルム。
  5. 【請求項5】 プレス成形フィルムがポリフェニレンス
    ルフィド樹脂からなることを特徴とする請求項2〜4の
    いずれかに記載のプレス成形フィルム。
  6. 【請求項6】 配向度が同じあるいは異なったポリフェ
    ニレンスルフィドフィルムを積層した多層ポリフェニレ
    ンスルフィド成形フィルムからなることを特徴とする請
    求項2〜5のいずれかに記載のプレス成形フィルム。
  7. 【請求項7】 請求項2〜6のいずれかに記載のプレス
    成形フィルムの少なくとも片面に、電気回路を設けてな
    る回路基板用プレス成形フィルム。
  8. 【請求項8】 請求項7に記載の回路基板用プレス成形
    フィルムが積層されてなることを特徴とする多層回路基
    板用プレス成形フィルム。
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