JP2002066441A - 複層塗膜形成方法 - Google Patents

複層塗膜形成方法

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JP2002066441A
JP2002066441A JP2000256683A JP2000256683A JP2002066441A JP 2002066441 A JP2002066441 A JP 2002066441A JP 2000256683 A JP2000256683 A JP 2000256683A JP 2000256683 A JP2000256683 A JP 2000256683A JP 2002066441 A JP2002066441 A JP 2002066441A
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acid
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resin
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Shigeru Nakamura
茂 中村
Yasushi Nakao
泰志 中尾
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Kansai Paint Co Ltd
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Kansai Paint Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】カチオン電着塗料及び粉体上塗り塗料を用いて
複層塗膜を形成する方法。 【構成】カチオン電着塗料の未硬化塗膜面に粉体上塗り
塗料を塗装し、加熱してこの両塗膜を同時に硬化するこ
とを特徴とする複層塗膜の形成方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、カチオン電着塗料
及び粉体上塗り塗料を用いて複層塗膜を形成する方法に
関する。
【0002】
【従来の技術とその課題】従来、自動車車体などの金属
製被塗物の塗装方法として、中塗り塗料を使用すること
なく、カチオン電着塗料の加熱硬化塗面に粉体上塗り塗
料を塗装し、加熱硬化して複層塗膜を形成せしめる、い
わゆる2コート2ベイク方式(2C2B)はすでに公知
である。しかしながら、この方法では塗膜を硬化するた
めに少なくとも2つ加熱工程が必要であり、塗装工程が
極めて煩雑であるという欠陥を有している。
【0003】
【課題を解決するための手段】本発明は、カチオン電着
塗料及び粉体上塗り塗料を用いて複層塗膜を形成する方
法における上記した欠陥を解消するものであり、鋭意研
究の結果、カチオン電着塗膜の加熱工程を省略し、粉体
上塗り塗料を塗装してから加熱して、この両塗膜を同時
に硬化することによって、加熱が1工程でよく、しかも
複層塗膜の性能を低下させることがないことを見出し、
本発明を完成した。
【0004】すなわち、本発明により、カチオン電着塗
料(A)の未硬化塗膜面に粉体上塗り塗料(B)を塗装
し、加熱してこの両塗膜を同時に硬化することを特徴と
する複層塗膜形成方法が提供される。
【0005】
【発明の実施の形態】以下に、本発明について詳細に説
明する。
【0006】カチオン電着塗料(A)は、粉体上塗り塗
料(B)に先立って、被塗物である自動車車体や電気製
品などの導電性金属製品に直接電着塗装するものであ
り、下塗り塗料に相当し、それ自体既知のカチオン電着
塗料を使用することができるが、ブロックポリイソシア
ネ−ト化合物を架橋剤とするカチオン電着塗料が特に好
ましい。具体的には、水酸基およびカチオン性基を有す
る基体樹脂(A−1)とブロックポリイソシアネ−ト化
合物(A−2)とを含有するカチオン電着塗料が特に好
適である。
【0007】基体樹脂(A−1)の水酸基はブロックポ
リイソシアネ−ト化合物との架橋反応に関与し、カチオ
ン性基は安定な水分散液を形成させるためのものであっ
て、以下に例示するものが挙げられる。
【0008】(イ):ポリエポキシ樹脂とカチオン化剤
との反応生成物。
【0009】(ロ):ポリカルボン酸とポリアミンとの
重縮合物(米国特許第2450940号明細書参照)を
酸でプロトン化したもの。
【0010】(ハ):ポリイソシアネ−ト化合物及びポ
リオ−ルとモノ又はポリアミンとの重付加物を酸でプロ
トン化したもの。
【0011】(ニ):水酸基及びアミノ基含有アクリル
系またはビニル系モノマ−の共重合体を酸でプロトン化
したもの(特公昭45−12395号公報、特公昭45
−12396号公報参照)。
【0012】(ホ):ポリカルボン酸樹脂とアルキレン
イミンとの付加物を酸でプロトン化したもの(米国特許
第3403088号明細書参照)。
【0013】これらのうち、(イ)に包含される、ポリ
フェノ−ル化合物とエピクロルヒドリンとから得られる
ポリエポキシド樹脂のエポキシ基にカチオン化剤を反応
せしめて得られる生成物は塗膜の防食性がすぐれている
ので特に好ましい。
【0014】このポリエポキシド樹脂は、エポキシ基を
1分子中に2個以上有する既知の化合物であり、200
以上、好ましくは400〜4000、さらに好ましくは
800〜2000の数平均分子量を有するものが適して
おり、例えば、ポリフェノ−ル化合物をアルカリの存在
下にエピクロルヒドリンと反応させることによって製造
することができる、ポリフェノ−ル化合物のポリグリシ
ジルエ−テルが包含される。ここで使用できるポリフェ
ノ−ル化合物としては、例えば、ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)−2,2−プロパン、4,4´−ジヒドロキ
シベンゾフェノン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−
1,1−エタン、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−
1,1−イソブタン、ビス(4−ヒドロキシ−tert
−ブチル−フェニル)−2,2−プロパン、ビス(2−
ヒドロキシブチル)メタン、1,5−ジヒドロキシナフ
タレン、ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)メタ
ン、テトラ(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,2,
2−エタン、4,4´−ジヒドロキシジフェニルエ−テ
ル、4,4´−ジヒドロキシジフェニルスルホン、フェ
ノ−ルノボラック、クレゾ−ルノボラックなどがあげら
れる。
【0015】これらのポリエポキシド樹脂の中で、基体
樹脂(A−1)の製造に特に適当なものは、数平均分子
量が少なくとも約380、好適には約800〜約200
0、及びエポキシ当量が190〜2000、好適には4
00〜1000のポリフェノ−ル化合物のポリグリシジ
ルエ−テルである。このものは、ポリオ−ル、ポリエ−
テルポリオ−ル、ポリエステルポリオ−ル、ポリアミド
アミン、ポリカルボン酸、ポリイソシアネ−ト化合物な
どと部分的に反応させたものも含まれ、さらにε−カプ
ロラクトン、アクリルモノマ−などをグラフト重合させ
たものもよい。
【0016】反応生成物(イ)は、これらのポリエポキ
シド樹脂のエポキシ基の殆どもしくはすべてにカチオン
化剤を反応することにより得られる。
【0017】カチオン化剤として、例えば、第1級アミ
ン、第2級アミン、第3級アミン、ポリアミンなどのア
ミン化合物があげられ、これらエポキシ基と反応させ
て、第2級アミノ基、第3級アミノ基、第4級アンモニ
ウム塩基などのカチオン性基を導入してカチオン化樹脂
とする。具体的には、第1級アミン化合物としては、例
えばメチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミ
ン、イソプロピルアミン、モノエタノ−ルアミン、n−
プロパノ−ルアミン、イソプロパノ−ルアミン等の第1
級アミン化合物;第2級アミン化合物としては、例えば
ジエチルアミン、ジエタノ−ルアミン、ジn−プロパノ
−ルアミン、ジイソプロパノ−ルアミン、N−メチルエ
タノ−ルアミン、N−エチルエタノ−ルアミン等の第2
級アミン化合物;トリエチルアミン、トリエタノ−ルア
ミン、N,N−ジメチルエタノ−ルアミン、N−メチル
ジエタノ−ルアミン、N,N−ジエチルエタノ−ルアミ
ン、N−エチルジエタノ−ルアミン等の第3級アミン化
合物;ポリアミンとしては、例えばエチレンジアミン、
ジエチレントリアミン、ヒドロキシエチルアミノエチル
アミン、エチルアミノエチルアミン、メチルアミノプロ
ピルアミン、ジメチルアミノエチルアミン、ジメチルア
ミノプロピルアミン等のポリアミンをあげることができ
る。
【0018】これらのアミン化合物以外に、アンモニ
ア、ヒドロキシアミン、ヒドラジン、ヒドロキシエチル
ヒドラジン、N−ヒドロキシエチルイミダゾリン等の塩
基性化合物をカチオン化剤として用いて形成される塩基
性基を、酸でプロトン化してカチオン性基としてもよ
い。用い得る酸としては、ギ酸、酢酸、グリコ−ル酸、
乳酸などの水溶性有機カルボン酸が好ましい。
【0019】これらのカチオン性樹脂の水酸基として
は、例えば、上記カチオン化剤中のアルカノ−ルアミン
の反応、エポキシ樹脂中に導入されることがあるカプロ
ラクトンの開環物およびポリオ−ルの反応などにより導
入される第1級水酸基;エポキシ樹脂中の2級水酸基な
どがあげられ、このうち、上記のアルカノ−ルアミンの
反応により導入される第1級水酸基は、ブロックポリイ
ソシアネ−ト化合物(架橋剤)との架橋反応性がすぐれ
ているので好ましい。
【0020】カチオン電着塗料(A)における基体樹脂
(A−1)は、水酸基及びカチオン性基を有しており、
水酸基の含有量は、水酸基当量で20〜5,000、特
に100〜1,000mgKOH/gが好ましく、特に
第1級水酸基当量は200〜1,000mgKOH/g
が好ましい。また、カチオン性基の含有量は、該基体樹
脂を水中に安定に分散しうる必要な最低限以上が好まし
く、KOH(mg/g固形分)(アミン価)換算で一般
に3〜200、特に10〜80の範囲内にあることが好
ましい。基体樹脂(A−1)は、遊離のエポキシ基は原
則として含んでいない。
【0021】ブロックポリイソシアネ−ト化合物(A−
2)は、ポリイソシアネ−ト化合物のイソシアネ−ト基
のすべてを揮発性の活性水素化合物(ブロック剤)で反
応し封鎖して、常温では不活性としたものであり、所定
温度以上に加熱するとこのブロック剤が解離して元のイ
ソシアネ−ト基が再生して、基体樹脂(A−1)との架
橋反応に関与する。
【0022】ポリイソシアネ−ト化合物は1分子中に遊
離のイソシアネ−ト基2個以上有する化合物であり、例
えばヘキサメチレンジイソシアネ−ト、トリメチレンジ
イソシアネ−ト、テトラメチレンジイソシアネ−ト、ダ
イマ−酸ジイソシアネ−ト、リジンジイソシアネ−ト等
の脂肪族ジイソシアネ−ト;イソホロンジイソシアネ−
ト、メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネ−ト)、
メチルシクロヘキサンジイソシアネ−ト、シクロヘキサ
ンジイソシアネ−ト、シクロペンタンジイソシアネ−ト
等の脂環族ジイソシアネ−ト;キシリレンジイソシアネ
−ト、トリレンジイソシアネ−ト、ジフェニルメタンジ
イソシアネ−ト、ナフタレンジイソシアネ−ト、トルイ
ジンジイソシアネ−ト等の芳香族ジイソシアネ−ト;こ
れらのポリイソシアネ−ト化合物のウレタン化付加物、
ビユ−レットタイプ付加物、イソシアヌル環タイプ付加
物;等があげられる。
【0023】ブロック剤としては、例えば、フェノ−ル
系ブロック剤、アルコ−ル系ブロック剤、活性メチレン
系ブロック剤、メルカプタン系ブロック剤、酸アミド系
ブロック剤、イミド系ブロック剤、アミン系ブロック
剤、イミダゾ−ル系ブロック剤、尿素系ブロック剤、カ
ルバミン酸系ブロック剤、イミン系ブロック剤、オキシ
ム系ブロック剤、亜硫酸系ブロック剤、ラクタム系ブロ
ック剤などがあげられる。
【0024】ブロックポリイソシアネ−ト化合物(A−
2)は、これらのポリイソシアネ−ト化合物と活性水素
化合物(ブロック剤)とを既知の方法により反応せしめ
ることにより得られ、実質的に遊離のイソシアネ−ト基
は存在しない。
【0025】カチオン電着塗料(A)において、基体樹
脂(A−1)とブロックポリイソシアネ−ト化合物(A
−2)との構成比率は、特に制限を受けないが、両成分
の合計固形分重量に基づいて、前者は40〜90%、特
に50〜80%、後者は60〜10%、特に50〜20
%が好ましい。
【0026】カチオン電着塗料(A)は、これらの基体
樹脂(A−1)及びブロックポリイソシアネ−ト化合物
(A−2)を含有し、さらに基体樹脂(A−1)中のカ
チオン性基を酢酸、ギ酸、乳酸、りん酸などの酸性化合
物で中和してから、水に分散混合することによって調製
することができ、その水分散液のpHは3〜9、特に5
〜7の範囲が好ましく、樹脂固形分濃度は5〜30重量
%が適している。
【0027】カチオン電着塗料(A)には、上記の成分
に加えて、ビスマス含有化合物を併用することことによ
り、電着塗膜の防食性、硬化性などが向上するのでより
好ましい。特に、本発明のようにして電着塗膜と粉体上
塗り塗膜とを2C1Bで硬化させるにあたり、電着塗膜
の硬化性がビスマス含有化合物を併用することにより改
良されると、電着塗膜と粉体上塗り塗膜との層間付着
性、複層塗膜の耐チッピング性、粉体上塗り塗面の平滑
性、鮮映性、光沢などの仕上り外観を向上させる効果が
ある。しかもカチオン電着塗料に鉛化合物などの有害物
質を含有させる必要がなくなった(鉛フリ−)。
【0028】ビスマス含有化合物にとしては、例えば、
水酸化ビスマス、三酸化ビスマス、硝酸ビスマス、安息
香酸ビスマス、クエン酸ビスマス、オキシ炭酸ビスマ
ス、ケイ酸ビスマスなどがあげられ、特に水酸化ビスマ
スが好ましく、これらの配合量は、電着塗料樹脂固形分
100重量部あたり、0.1〜10重量部、特に0.2
〜5重量部が好ましい。
【0029】さらに、ビスマス含有化合物として、光学
異性体のうちL体が80%以上含まれる乳酸を用いてな
る乳酸ビスマスも有功に使用することができる。このも
のは、具体的には、水の存在下で酸化ビスマス1モルに
L体が80%以上含まれる乳酸を2〜10モルの比率で
反応させて得られる乳酸ビスマス水溶液が好ましい。乳
酸ビスマスの配合量は、電着塗料樹脂固形分100重量
部あたり、0.1〜10重量部、特に0.2〜5重量部
が好ましい。
【0030】乳酸ビスマスの調製に用いる乳酸として、
光学異性体のうちのL体が80%以上(即ちD体が20
%未満)、好ましくは85%以上、さらに好ましくは8
0%以上含まれるものを用いる。L体が80%未満では
水溶性が低下することがある。L−乳酸は、発酵法によ
り生成したもものが好ましい。乳酸ビスマスの調製に用
いるビスマス化合物として、酸化ビスマス以外に、水酸
化ビスマス、塩基性炭酸ビスマスなども好適である。
【0031】ビスマス化合物と乳酸との反応は、ビスマ
ス化合物1モルあたりL体が80%以上含まれる乳酸を
2〜10モル、特に3〜8モルの比率で行うことが適し
ている。例えば、水の存在下で、酸化ビスマス1モルあ
たりL体が80%以上含まれる乳酸を2〜10モル、特
に3〜8モルを室温〜90℃で1〜30時間程度反応さ
せることにより、均一な乳酸ビスマス水溶液が得られ
る。乳酸が2モル以下では水溶化が困難であり、10モ
ルを越えると電着塗装性が低下することがある。水酸化
ビスマスを使用する場合には、水酸化ビスマス1モルあ
たりL体が80%以上含まれる乳酸を1〜5モル、特に
1.5〜4モルを反応させることにより乳酸ビスマスが
得られる。これらの反応固形分濃度は、通常0.1〜8
0重量%、好ましくは0.5〜70重量%、より好まし
くは1〜60重量%の範囲内が適している。
【0032】乳酸ビスマス水溶液の配合は、カチオン電
着塗料の水分散前又は水分散後に行ってもよい。乳酸ビ
スマス水溶液の配合時における固形分濃度は、水分散前
では特に制限ないが、水分散後配合する場合は、60重
量%以下にすることが適している。これは、電着塗料組
成物中に乳酸ビスマスが均一に分散させるためであり、
塗料配合の容易性、貯蔵安定性などを考慮すると電着塗
料組成物の分散後に添加することが好ましい。
【0033】ビスマス含有化合物として、水不溶性ビス
マス化合物とR1 C(H)(OR2)(CH2 )nCO
OH[式中、R1 は水素原子又は炭素数1〜3のアルキ
ル基、R2 は水素原子又は炭素数1〜10のアルキル
基、nは0又は1である]で示される脂肪族カルボン酸
とを、水性媒体中で、分散剤の存在下で混合分散せしめ
ることによって得られる脂肪族カルボン酸変性ビスマス
化合物も使用することができ、このものは非水溶性の状
態で、均一かつ安定に分散しているビスマスの水分散ペ
−ストとして使用することができる。
【0034】このペーストは、水分散ペ−ストであり、
水不溶性ビスマス化合物及びR1 C(H)(OR2
(CH2 )nCOOH[式中、R1 、R2 、nは上記と
同じである]で示される脂肪族カルボン酸を、水性媒体
中で分散剤の存在下で混合分散せしめることによって得
られる。上記式の脂肪族カルボン酸は、非水溶性の脂肪
族カルボン酸変性ビスマス化合物が主として生成するよ
うな割合で使用される。かかる水分散ペ−ストをカチオ
ン電着塗料に配合することにより、つきまわり性、仕上
がり外観を低下させずに、硬化性や防食性などを向上さ
せることができる。
【0035】この水分散ペ−ストを遠心分離(1200
0rpmで30分間)にかけて得られる上澄み液中に存
在する水溶性ビスマス化合物の含有量が金属ビスマス重
量換算で、原料に用いた水不溶性ビスマス化合物の全量
の約40重量%以下、特に約30重量%以下、さらに約
20重量%以下であることが望ましい。
【0036】水不溶性ビスマス化合物として、酸化ビス
マス、水酸化ビスマス、三塩基性炭酸ビスマスなどがあ
げられ、これらは20℃における水に対する溶解度が
0.001g/100g以下であり、なかでも酸化ビス
マスが好適である。また、上記式で示される脂肪族カル
ボン酸は、水不溶性ビスマス化合物を水性媒体おける十
分に均一な分散体に変えることを目的として使用される
ものであり、具体的には、ヒドロキシ酢酸、乳酸、ヒド
ロキシプロピオン酸などの脂肪族ヒドロキシカルボン
酸;メトキシ酢酸、エトキシ酢酸、3−メトキシプロピ
オン酸などの脂肪族アルコキシカルボン酸などがあげら
れる。このうち、乳酸、特にL−乳酸およびメトキシ酢
酸は好適。これらの脂肪族カルボン酸は他の有機酸、例
えば酢酸と併用可能である。
【0037】脂肪族カルボン酸の使用量は、得られる脂
肪族カルボン酸変性ビスマス化合物が非水溶性の状態で
あり得る範囲内であり、それは使用する脂肪族カルボン
酸の種類によって異なり、例えば、L−乳酸では、水不
溶性ビスマス化合物中のビスマス量に対するモル比で通
常0.5〜1.7、好ましくは0.75〜1.3の範囲
内、またメトキシ酢酸では、水不溶性ビスマス化合物中
のビスマス量に対するモル比で通常0.25〜2.5、
好ましくは0.5〜1.3の範囲内とすることができ
る。
【0038】ビスマスの水分散ペ−ストの調製に使用す
る分散剤としては、カチオン電着塗料の分野においてそ
れ自体既知のカチオン型分散用樹脂や界面活性剤などが
何ら制限なく使用でき、カチオン型分散用樹脂として
は、上記したものの中から適宜選択して使用できる。例
えば、3級アミン型、4級アンモニウム塩型、3級スル
ホニウム塩型などの樹脂があげられる。また界面活性剤
としては例えばHLBが3〜18、好ましくは5〜15
の範囲内にあるアセチレングリコ−ル系、ポリエチレン
グリコ−ル系、多価アルコ−ル系などのノニオン系界面
活性剤があげられる。分散剤の使用量は、その種類や水
不溶性ビスマス化合物の使用量によって変えることがで
き、通常、水不溶性ビスマス化合物100重量部あた
り、1〜150重量部、特に10〜100重量部の範囲
内が好適である。
【0039】水不溶性ビスマス化合物、脂肪族カルボン
酸及び分散剤を用いてなるビスマスの水分散ペ−ストの
製造は、カチオン電着塗料において使用される顔料ペ−
ストの製造と同様に行うことができ、具体的には、分散
剤を含む水に脂肪族カルボン酸と水不溶性ビスマス化合
物を加え、ボ−ルミル又はサンドミル等の分散混合機中
で分散処理することにより、ビスマスの水分散ペ−スト
を製造することができる。得られる水分散ペ−ストは、
一般に10〜70重量%、特に30〜60重量%の固形
分濃度を有することができる。さらにこの水分散ペ−ス
トは、通常のカチオン電着塗料に使用される顔料を加え
て顔料ペ−ストとして調製してもよい。
【0040】具体的には、例えば、顔料分散用樹脂、中
和剤及び顔料類を配合し、ボ−ルミル、サンドミルなど
の分散混合機中で分散処理して顔料ペ−ストを調製した
のち、これを上記のビスマスの水分散ペ−ストを加える
ことができる。中和剤として酢酸、ぎ酸、乳酸などの有
機酸が使用できる。顔料分散用樹脂としては既知のもの
が制限なく使用でき、例えば上記分散ペ−ストの調製に
際して使用されると同様なカチオン型分散用樹脂を用い
ることができる。顔料類としては、通常、カチオン電着
塗料に使用されている顔料であれば特に制限なく使用で
き、例えば、酸化チタン、カ−ボンブラック、ベンガラ
等の着色顔料;クレ−、マイカ、バリタ、タルク、炭酸
カルシウム、シリカなどの体質顔料;リンモリブデン酸
アルミニウム、トリポリリン酸アルミニウム等の防錆顔
料があげられる。これらのビスマスの分散ペ−ストは、
一般に、カチオン電着塗料中の樹脂固形分100重量部
に対するビスマス金属含有量が0.1〜10重量部、好
ましくは0.3〜7重量部、さらに好ましくは0.5〜
5重量部の範囲内である。
【0041】カチオン電着塗料(A)には、上記した成
分に加えて、さらに必要に応じて硬化触媒、アルミニウ
ム、ニッケル、亜鉛、ストロンチウム、ジルコニウム、
モリブデン、錫、アンチモン、ランタン、タングステン
等から選ばれた金属の水酸化物、酸化物、有機酸塩、無
機酸塩のような防錆性を有する硬化触媒;体質顔料;着
色顔料;防錆顔料;沈降防止剤;を適宜配合することが
できる。
【0042】このうち、硬化触媒は、基体樹脂(A−
1)とブロックポリイソシアネ−ト化合物(A−2)と
の架橋反応を促進するために有功であり、例えば、錫オ
クトエ−ト、ジブチル錫ジラウレ−ト、マンガン、コバ
ルト、鉛、ビスマス錫酸塩、鉛錫酸塩、ジルコニウムオ
クトエ−ト、ジンクオクトエ−ト、ジブチル錫−ビス−
O−フェニルフェニレン、ジブチル錫−S,S−ジブチ
ルジチオ−カ−ボネ−ト、トリフェニルアンチモニ−ジ
クロライド、ジブチル錫マレエ−ト、ジブチル錫ジアセ
テ−ト、ジブチル錫ジラウレ−トメルカプチド、トリエ
チレンジアミン、ビスマスステアレ−ト、鉛ステアレ−
ト、ジメチル錫ジクロライドなどがあげられ、その配合
量は、基体樹脂(A−1)とブロックポリイソシアネ−
ト化合物(A−2)との合計100重量部あたり、0.
1〜10重量部の範囲内が適している。
【0043】本発明において、カチオン電着塗料(A)
の塗装は、例えば、被塗物をカソ−ドとし、浴温20〜
35℃、電圧100〜400V、電流密度O.01〜5
A、通電時間1〜10分で行うことが好ましい。塗装膜
厚は、硬化塗膜で10〜40μm程度とするのがよい。
【0044】本発明の方法は、カチオン電着塗料(A)
の塗装したのち、その塗膜を硬化させることなく、その
塗面に、粉体上塗り塗料を塗装し、加熱してこの両塗膜
を同時に硬化して複層塗膜の形成方法である。
【0045】本発明において使用される粉体上塗り塗料
(B)は、カチオン電着塗料(A)の未硬化塗面に塗装
する上塗り塗膜を形成するための塗料であり、それ自体
従来から公知のものを使用することができ、具体的に
は、例えば、エポキシ系樹脂粉体塗料、ポリエステル系
樹脂粉体塗料、及びビニル系樹脂系の粉体塗料が好適に
使用できる。以下、好適なものについて説明する。
【0046】エポキシ系樹脂粉体塗料:エポキシ樹脂と
しては、エポキシ当量約200〜5000、数平均分子
量約1000〜80000および軟化温度約60℃〜1
50℃の粉体樹脂が使用できる。具体的には、商品名と
して、例えば、エピコート1004、エピコート100
2、エピコート1007(以上、油化シェルエポキシ
(株)社製)、アラルダイトGY−6084、アラルダ
イトGY−6097(チバ・ガイギー社製)、DER−
662、DER−664,DER−667(ダウ・ケミ
カル社製)等のビスフェノール〜エピクロルヒドリン型
エポキシ樹脂、EPPN―201、EPPN―202、
EOCN―1020、EOCN−102S(以上、日本
化薬(株)社製)等のノボラック型エポキシ樹脂、エポ
キシ基含有ビニル系重合体[例えば、グリシジル(メ
タ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメ
チル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテ
ル、グリシジルスチリルエーテル、4−ビニルシクロヘ
キセン−1−オキシド、5−ビニルビシクロ[2.2.
1]ヘプト−2−エン−2−オキシド、リモネンモノオ
キシド等のエポキシ基含有不飽和モノマーのラジカル同
重合体、および必要に応じて、例えば、メチル(メタ)
アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、エチル
(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリル酸
エステル、iso−ブチル(メタ)アクリル酸エステ
ル、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)
アクリル酸のアルキルまたはシクロアルキルエステル
類、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基
含有不飽和モノマー類、(メタ)アクリロニトリル等の
ニトリル化合物類、スチレン、α―メチルスチレン等の
芳香族ビニルモノマー、その他の不飽和モノマーとのラ
ジカル共重合体等]等が挙げられる。これらの中でも、
ビスフェノール〜エピクロルヒドリン型エポキシ樹脂、
ノボラック型エポキシ樹脂が耐食性等が優れることから
このものを使用することが好ましい。
【0047】上記エポキシ樹脂を架橋させるための架橋
剤としては、上記エポキシ樹脂のエポキシ基に対して架
橋硬化するものであれば特に制限なしに従来から公知の
ものを使用することができる。具体的には、例えば、
(無水)ポリカルボン酸化合物[アジピン酸、ドデカン
2酸、(無水)トリメリット酸、(無水)コハク酸等、
フェノール樹脂、ジシアンジアミド等]、芳香族ジヒド
ラジッド[アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒド
ラジド等]、芳香族スルホニウム塩のカチオン重合触媒
[ベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウ
ムヘキサフルオロアンチモネート、ベンジル−4−メト
キシフェニルメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチ
モネート等]、イミダゾール類[2−ウンデシルイミダ
ゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニル
イミダゾール、2,4ジアミノ−6−[2'−メチルイ
ミダゾリル−(1)']−エチル−S−トリアジン、
2,4ジアミノ−6−[2'−エチル−4−メチルイミ
ダゾリル−(1)']−エチル−S−トリアジン、2,
4ジアミノ−6−[2'−ウンデシルイミダゾリル−
(1)']−エチル−S−トリアジン等]等のものが挙
げられる。
【0048】エポキシ樹脂と架橋剤との配合比率は、通
常、エポキシ樹脂/架橋剤の比率が、約95/5〜50
/50重量比の範囲が好適である。但し、上記芳香族ス
ルホニウム塩のカチオン重合触媒、及びイミダゾ−ル類
を使用する場合には、99.99/0.01〜90/1
0重量比の範囲で良い。
【0049】ポリエステル系樹脂粉体塗料:ポリエステ
ル樹脂としては、水酸基および/またはカルボキシル基
含有ポリエステル樹脂が使用でき、カルボキシル当量お
よび/または水酸基当量は200〜5000、該平均分
子量は約500〜50000,軟化温度は約60℃〜1
50℃の粉体樹脂が使用できる。該ポリエステル樹脂は
主に多塩基酸(またはメチルエステル)と多価アルコー
ルとのエステル化物であって、例えば、フタル酸、イソ
フタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロ(無水)フタル
酸、ヘキサヒドロ(無水)フタル酸、イソフタル酸ジメ
チル、テレフタル酸ジメチル等の芳香族または脂肪族ジ
カルボン酸化合物及び必要に応じてアジピン酸、セバシ
ン酸、(無水)マレイン酸、(無水)トリメリット酸等
のその他のポリカルボン酸化合物等の多塩基酸にエチレ
ングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグ
リコール、ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオー
ル、グリセリン等のポリオール化合物をカルボキシル基
及び/または水酸基を有するようにエステル化反応させ
たものが使用できる。
【0050】上記ポリエステル樹脂を架橋させるための
架橋剤としては、ポリエステル樹脂がカルボキシル基を
有する場合には、トリグルシジルイソシアヌレート、前
記ポリエポキシ樹脂、前記エポキシ基含有ビニル系重合
体等が挙げられる。これらの中でも、ビスフェノール
(A、F、またはS)〜エピクロルヒドリン型エポキシ
樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂が耐食性等が優れるこ
とからもこのものを使用することが好ましい。
【0051】また、ポリエステル樹脂が水酸基を有する
場合には、ブロックポリイソシアネート(ε−カプロラ
クタムブロック化イソホロンジイソシアネート等)等が
挙げられる。上記ポリエステル樹脂と架橋剤との配合比
率は、通常、ポリエステル樹脂/架橋剤の比が、約95
/5〜50/50重量比の範囲が好適である。
【0052】ビニル系樹脂粉体塗料:ビニル系樹脂は、
軟化温度40℃〜150℃、好ましくは50℃〜130
℃の範囲にあるものである。軟化温度が40℃を下回る
と、塗料の耐ブロッキング性が劣り、一方、150℃を
上回ると塗膜の仕上がり性外観(平滑性等)が劣るので
好ましくない。
【0053】ビニル系樹脂の数平均分子量は1500〜
15000、好ましくは2500〜6000の範囲内で
ある。数平均分子量が1500を下回ると粉体塗料のブ
ロッキング性が劣り、かつ耐擦り傷性、耐候性等の塗膜
性能が劣る。数平均分子量が15000を越えると塗膜
の仕上がり外観が劣るので好ましくない。
【0054】粉体塗料で使用されるビニル系樹脂として
は、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メ
タ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、
iso−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル
(メタ)アクリレートなどのC1〜C18 の(メタ)ア
クリル酸エステル、スチレン、α−メチルスチレン等の
芳香族ビニル化合物、グリシジル(メタ)アクリレー
ト、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)ア
クリレート等のエポキシ基含有不飽和化合物、ヒドロキ
シアルキル(メタ)アクリレート等の水酸基含有不飽和
化合物、(メタ)アクリル酸等のカルボキシル基含有不
飽和化合物をラジカル(共)重合反応させたものが使用
できる。上記ビニル系樹脂において、該樹脂としてエポ
キシ基を有する場合にはポリカルボン酸(例えば、下記
脂肪族2塩基酸等)架橋剤、また該樹脂が水酸基を有す
る場合には、前記ブロックポリイソシアネート架橋剤を
使用することができ、また、カルボキシル基を有する場
合にはポリエポキシド架橋剤を使用することができる。
【0055】エポキシ基含有ビニル系樹脂は、前記エポ
キシ基含有ビニルモノマーと、前記その他の不飽和モノ
マーを適宜組み合わせて重合反応させたものが使用され
る。該ビニル系樹脂を構成するエポキシ基含有ビニルモ
ノマーの割合は、特に25〜50重量%が好ましい。エ
ポキシ基含有ビニルモノマーの割合が25重量%を下回
ると耐擦り傷性が劣り、50重量%を越えると粉体塗料
の貯蔵安定性が劣り、また仕上がり外観も劣るので好ま
しくない。
【0056】エポキシ基含有ビニル系樹脂の架橋剤成分
として使用できる脂肪族2塩基酸は、炭素数が2個以上
の飽和もしくは不飽和基の脂肪族2塩基酸である。具体
的には、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、
ピロメリット酸、ドデカン2酸、アゼライン酸、セバシ
ン酸、ブラシリル酸、イタコン酸、マレイン酸、シトラ
コン酸、エイコサン2酸およびこれらの1種もしくは2
種以上の酸無水物等を挙げることができる。このうち特
にドデカン2酸およびこの酸無水物が好適である。上記
水酸基含有ビニル系樹脂としては、前記水酸基含有不飽
和モノマーと前記のその他不飽和モノマーとのラジカル
共重合体が使用できる。
【0057】このものは前記ブロックポリイソシアネー
ト架橋剤と組み合わせても使用できる。
【0058】上記ビニル系樹脂と架橋剤との配合比率
は、通常、ビニル系樹脂/架橋剤の比で、95/5〜5
0/50重量比が好適である。
【0059】粉体上塗り塗料(B)には、上記した成分
以外に、例えば着色顔料、充填剤、流動性調整剤、ブロ
ッキング防止剤、ワキ防止剤、酸化防止剤、硬化促進
剤、帯電制御剤、その他樹脂などを必要に応じて配合で
きる。このようにして製造した粉体塗料の塗装は、それ
自体公知の粉体塗装方法、好ましくは静電粉体塗装方
法、例えばコロナ帯電式、摩擦帯電式等によって行うこ
とができる。粉体塗膜膜厚は通常、約20μm〜100
μm、好ましくは約30μm〜80μmの範囲が好適であ
る。粉体上塗り塗料(B)の単独塗膜は、ソリッドカラ
ー調、メタリック調又は光り干渉調のいずれかであるこ
とが好ましく、しかも隠蔽性がすぐれ下層に隣接する電
着塗膜を透視できないことが好適である。
【0060】粉体上塗り塗料(B)、未硬化の電着塗膜
面に、それ自体公知の好ましくは静電粉体塗装方法、例
えばコロナ帯電式、摩擦帯電式等によって塗装を行うこ
とができる。粉体塗膜膜厚は通常、約20μm〜100
μm、好ましくは約30μm〜80μmの範囲が好適であ
る。
【0061】カチオン電着塗料(A)及び粉体上塗り塗
料(B)を塗装してから、通常、約140℃〜200℃
の範囲では約20分間〜40分間の条件により加熱する
ことによって、この両塗膜を同時に硬化することがで
き、それによって本発明の複層塗膜形成方法が達成され
る。
【0062】
【実施例】以下に、本発明に関する実施例及び比較例に
ついて説明をする。部及び%はいずれも重量に基いてお
り、また塗膜の膜厚は硬化塗膜についてである。
【0063】1.試料の調製 1)カチオン電着塗料(A) (A−1):エポキシ当量630のビスフェノ−ルA型
エポキシ樹脂(「エピコ−ト1002」商品名、シェル
化学社製、)1260部をブチルセロソルブ450部に
溶解し、p−ノニルフェノ−ル132部及びN−メチル
エタノ−ルアミン105部を加え、140℃まで昇温さ
せ、同温度で反応させて、固形分77%、アミン価52
の付加エポキシ樹脂を得た。この樹脂130部に酢酸
2.1部を加えてプロトン化した。ついで、このもの7
0部(固形分)に、ブロックポリイソシアネ−ト化合物
(硬化剤)30部、水酸化ビスマス1部及びポリプロピ
レングリコ−ル(数平均分子量4000)1.3部を加
え、脱イオン水を徐々に加えて分散し、固形分30%の
エマルジョンとする。これに、チタン白顔料15部、ク
レ−7部、カ−ボンブラック0.3部、ジオクチル錫オ
キシド3部を加え、さらに脱イオン水で希釈して固形分
15%の電着浴とした。上記ブロックポリイソシアネ−
ト化合物は、2,6−トリレンジイソシアネ−ト174
部と水酸基当量425のポリカプロラクトンジオ−ル8
5部との反応生成物にエチレングリコ−ルの2−エチル
ヘキシルアルコ−ルモノエ−テル(ブロック剤)を反応
させてなるものである。
【0064】(A−2):上記カチオン電着塗料(A−
1)の「水酸化ビスマス1部」を、「乳酸ビスマス1部
(金属ビスマス量として)」に代えた以外はすべてカチ
オン電着塗料(A−1)と同様にして調製した。ここで
「乳酸ビスマス」は、フラスコに、90%乳酸300g
(乳酸として3モル)及び脱イオン水658gを仕込
み、60℃に加熱した。次に、酸化ビスマス233g
(0.5モル)をゆっくり加え、60℃で3時間撹拌し
た。反応液に黄色の固形分がなくなり、透明になったこ
とを確認してから、脱イオン水3572gを加えてな
る、固形分10%の乳酸ビスマス水溶液である。
【0065】(A−3):上記カチオン電着塗料(A−
1)の「水酸化ビスマス1部」を、「ビスマスの分散ペ
−スト1部(金属ビスマス量として)」に代えた以外は
すべてカチオン電着塗料(A−1)と同様にして調製し
た。ここで「ビスマスの分散ペ−スト」は、容器に、固
形分75%のエポキシ系3級アミン型顔料分散用樹脂
(アミン価100)133.3部、メトキシ酢酸81.
1部を配合し均一になるように撹拌した後、この中に脱
イオン水233.5部を強く撹拌しながら滴下し、さら
に酸化ビスマス111.5部を加えてボ−ルミルで20
時間混合分散してなる固形分50%のビスマス分散ペ−
スである。
【0066】(A−4):上記カチオン電着塗料(A−
1)の「水酸化ビスマス1部」を除去した以外はすべて
カチオン電着塗料(A−1)と同様にして調製した。
【0067】2)粉体上塗り塗料(B) (B−1):ファインディクA−253(グリシジルメ
タクリレート/スチレン/n−ブチルメタクリレート/
メチルメタクリレート=35/15/16.7/33.5のラジカル
共重合体、エポキシ基含有ビニル系樹脂、数平均分子量
4000)/ドデカン二酸/顔料(チタン白)=80/
20/30の比率に計量した後、乾式混合工程において
攪拌混合した。その後2軸エクストルーダーで溶融混練
し、冷却して1mm〜30mm程度のペレットに粗粉砕
した。そののち微粉砕工程〜サイクロン捕集工程〜微粉
除去工程〜粗粒フルイ分け工程〜サイクロン捕集工程〜
最終フルイ分け工程で150メッシュろ過を行った。
【0068】2.実施例及び比較例 実施例 1 カチオン電着塗料(A−1)の浴中に脱脂及びりん酸亜
鉛処理を浸漬し、30℃、200Vで3分間電着し(膜
厚25μm)、100℃で5分間乾燥してから、その塗
面に上塗り粉体塗料(B−1)を静電塗装し(膜厚60
μm)したのち、170℃で30分加熱して両塗膜を同
時に硬化せしめた。
【0069】実施例 2 カチオン電着塗料(A−2)の浴中に脱脂及びりん酸亜
鉛処理を浸漬し、30℃、200Vで3分間電着し(膜
厚25μm)、100℃で5分間乾燥してから、その塗
面に上塗り粉体塗料(B−1)を静電塗装し(膜厚60
μm)したのち、170℃で30分加熱して両塗膜を同
時に硬化せしめた。
【0070】実施例 3 カチオン電着塗料(A−3)の浴中に脱脂及びりん酸亜
鉛処理を浸漬し、30℃、200Vで3分間電着し(膜
厚25μm)、100℃で5分間乾燥してから、その塗
面に上塗り粉体塗料(B−1)を静電塗装し(膜厚60
μm)したのち、170℃で30分加熱して両塗膜を同
時に硬化せしめた。
【0071】比較例1 カチオン電着塗料(A−4)の浴中に脱脂及びりん酸亜
鉛処理を浸漬し、30℃、200Vで3分間電着し(膜
厚25μm)、170℃で30分間加熱して硬化してか
ら、その塗面に上塗り粉体塗料(B−1)を静電塗装し
(膜厚60μm)したのち、170℃で30分加熱して
塗膜を硬化せしめた。
【0072】3.性能試験結果 実施例及び比較で形成された複層塗膜についての性能試
験結果を、下記の表1に示した。
【0073】
【表1】
【0074】試験方法 光沢:60度鏡面反射率。
【0075】鮮映性:複層塗膜の鮮映性を写像性測定器
(IMAGE CLARITY METER 、スガ試験機(株)製)で測定
した結果である。表中の数字はICM値で、0〜100
の範囲の値をとり、数値の大きい方が鮮映性(写像性)
が良く、ICM値が80以上であれば鮮映性が極めて良
好であることを示す。
【0076】耐チッピング性:Q−G−Rグラベロメ−
タ−(Qパネル(株)製)を用いて、直径15〜20m
mの砕石100gをエア−圧約4Kg/cm2で、−2
0℃において複層塗膜面への吹き付け角度90度で吹き
付けた。その後の塗面状態を目視で評価した。○は上塗
り塗面に衝撃キズはわずか認められるが電着塗膜の剥離
は全くない、△は上塗り塗面に衝撃キズがやや多く認め
られ、しかも電着塗膜の剥離もわずかある、×は上塗り
塗面に衝撃キズが多く認められ、しかも電着塗膜の剥離
もかなりあることを示す。
【0077】耐衝撃性:デュポン式衝撃試験機を使用
し、撃芯1/2インチで、複層塗面を上側にして加重5
00gの重りを落下させ、塗膜にワレが生じない落下距
離(高さcm)を測定した。
【0078】平滑性:複層塗膜を目視判定した。○はフ
クレ、ヘコミが全くなく良好、△はフクレ、ヘコミが少
し認められやや不良、×はフクレ、ヘコミが多く認めら
れ不良を示す。
【0079】付着性:カッターで素地に達するように切
り込み、大きさ1mm×1mmのゴバン目を100個作
り、その塗面に粘着テープを貼着し、20℃でそのテ−
プを剥離し、残存するゴバン目の数を調べた。○は98
個以上残存、△は90〜97個残存、×は96個以下残
存していることを示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C25D 13/10 C25D 13/10 A Fターム(参考) 4D075 AE06 BB26Z DB01 DC12 DC18 EA02 EB32 EB33 EB35 EB38 EB52 EB55 EB56 EC02 EC54 4J038 DG141 DG161 DG171 DG191 DG301 HA216 HA266 HA336 HA456 JA47 JA50 KA02 MA08 MA10 NA03 NA23 NA25 PA04 PA19 PB07 PB09 PC02

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】カチオン電着塗料の未硬化塗膜面に粉体上
    塗り塗料を塗装し、加熱してこの両塗膜を同時に硬化す
    ることを特徴とする複層塗膜形成方法。
  2. 【請求項2】カチオン電着塗料が、さらにビスマス含有
    化合物を含有してなる請求項1記載の複層塗膜形成方
    法。
  3. 【請求項3】ビスマス含有化合物が、水酸化ビスマス、
    三酸化ビスマス、硝酸ビスマス、安息香酸ビスマス、ク
    エン酸ビスマス、オキシ炭酸ビスマス、ケイ酸ビスマス
    から選ばれたものである請求項2記載の複層塗膜形成方
    法。
  4. 【請求項4】ビスマス含有化合物が、光学異性体のうち
    L体が80%以上含まれる乳酸を用いてなる乳酸ビスマ
    スである請求項2記載の複層塗膜形成方法。
  5. 【請求項5】ビスマス含有化合物が、水の存在下で酸化
    ビスマス1モルにL体が80%以上含まれる乳酸を2〜
    10モルの比率で反応させて得られる乳酸ビスマス水溶
    液である請求項4記載の複層塗膜形成方法。
  6. 【請求項6】ビスマス含有化合物が、水不溶性ビスマス
    化合物及びR1 C(H)(OR2 )(CH2 )nCOO
    H[式中、R1 は水素原子又は炭素数1〜3のアルキル
    基、R2 は水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基、
    nは0又は1である]で示される脂肪族カルボン酸を、
    水性媒体中で分散剤の存在下で混合分散せしめることに
    よって得られる脂肪族カルボン酸変性ビスマス化合物が
    非水溶性の状態で、均一かつ安定に分散しているビスマ
    スの水分散ペ−ストである請求項2記載の複層塗膜形成
    方法。
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