JP2002060926A - 成膜装置およびそのクリーニング方法 - Google Patents

成膜装置およびそのクリーニング方法

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JP2002060926A JP2001128812A JP2001128812A JP2002060926A JP 2002060926 A JP2002060926 A JP 2002060926A JP 2001128812 A JP2001128812 A JP 2001128812A JP 2001128812 A JP2001128812 A JP 2001128812A JP 2002060926 A JP2002060926 A JP 2002060926A
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Toru Takayama
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 成膜室内の部品に付着した蒸着材料を大気解
放することなく除去するためのクリーニング方法を提供
する。 【解決手段】 成膜室101内に設けられた基板ホルダ
102、蒸着マスク104、マスクホルダ105もしく
は防着シールド106といった部品に付着した蒸着材料
111に対して加熱処理を行う。これにより付着した蒸
着材料111を再び昇華させ、真空ポンプにより排気し
て除去する。このようなクリーニング方法を電気光学装
置の作製工程に含めることで、作製工程の短縮化と信頼
性の高い電気光学装置の実現を図る

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、蒸着により成膜可
能な材料(以下、蒸着材料という)の成膜に用いる成膜
装置およびそのクリーニング方法並びに前記クリーニン
グ方法を用いた電気光学装置の作製方法に関する。特
に、本発明は蒸着材料として有機材料を用いる場合に有
効な技術である。
【0002】特に、上記EL(Electro Luminescence)
が得られる発光性の有機材料を成膜する装置において有
効な技術である。なお、発光性の有機材料は、一重項励
起もしくは三重項励起または両者の励起を経由して発光
(燐光および/または蛍光)するすべての発光性材料を
含む。
【0003】また、本明細書において、電気光学装置に
は、太陽電池、CCD(Charge Coupled Device)、C
MOSセンサ、液晶表示装置、EL表示装置もしくはE
L素子を含む光源(これらをまとめて発光装置と呼ぶ)
を含むものとする。
【0004】
【従来の技術】近年、EL(Electro Luminescence)が
得られる発光性材料(以下、EL材料という)を用いた
発光素子(以下、EL素子という)の開発が急速に進め
られている。特に、有機系のEL材料(以下、有機EL
材料という)は駆動電圧の低いEL素子を作製できるた
め、次世代ディスプレイへの応用が期待されている。
【0005】なお、本明細書において、EL素子とはE
L材料ならびにこのEL材料にキャリアを注入するため
の有機材料もしくは無機材料を含む層(以下、EL層と
いう)を二つの電極(陽極および陰極)で挟んだ構造か
らなる発光素子であり、陽極、陰極およびEL層からな
るダイオードを指す。
【0006】有機EL材料を用いたEL素子は、有機E
L材料と有機材料の組み合わせからなるEL層を用いる
構造が一般的である。この有機EL材料および有機材料
は低分子系(モノマー系)材料と高分子系(ポリマー
系)材料に大別されるが、このうち低分子系材料は主に
蒸着により成膜される。
【0007】この有機EL材料は極めて劣化しやすく、
酸素もしくは水の存在により容易に酸化して劣化する。
そのため、成膜後にフォトリソグラフィ工程を行うこと
ができず、パターン化するためには開口部を有したマス
ク(以下、蒸着マスクという)で成膜と同時に分離させ
る必要がある。従って、昇華した有機EL材料の殆どが
成膜室内の蒸着マスクもしくは防着シールド(蒸着材料
が成膜室の内壁に付着することを防ぐための保護板)に
付着していた。
【0008】蒸着マスクや防着シールドに付着した有機
EL材料を除去するためには、成膜室を一旦大気解放し
て蒸着マスクや防着シールドを外に取り出し、洗浄した
上で再び成膜室内に戻すという作業が必要であった。し
かしながら、大気解放した蒸着マスクや防着シールドに
吸着された水もしくは酸素が有機EL材料の成膜時に離
脱して膜中に取り込まれる可能性もあり、有機EL材料
の劣化を促進する要因となりうることが懸念されてい
た。
【0009】この場合、蒸着マスクや防着シールドを設
置した状態で真空加熱を行うことにより吸着水や吸着酸
素をある程度除去することも可能であったが、長時間そ
のような真空加熱を行うことはスループットの低下を招
いていた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は蒸着材料が付
着しうる部品(冶具)または成膜室内壁に付着した蒸着
材料を大気解放しないで除去するためのクリーニング方
法およびそのクリーニング方法を行うための機構を備え
た成膜装置並びに当該クリーニング方法を作製方法に含
む電気光学装置の作製方法を提供することを課題とす
る。なお、本明細書において、成膜装置の内部に設けら
れる部品(成膜装置の内部に設けられる冶具)は、基板ホ
ルダ、マスクホルダ、防着シールドもしくは蒸着マスク
を含む。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、成膜室に設け
られた部品もしくは成膜室内壁に付着した蒸着材料を加
熱することにより再び昇華させ、且つ、再び昇華させた
蒸着材料を真空ポンプより排気することを特徴としてい
る。なお、加熱する手段としては、輻射熱により加熱す
る方法、赤外光を用いて加熱する方法もしくは紫外光を
用いて加熱する方法を用いることが可能である。なお、
輻射熱により加熱する方法とは、具体的には電熱線(電
気抵抗の高い金属線)を用いて加熱する方法とも言え
る。
【0012】なお、部品等に付着した蒸着材料を再び昇
華させる際、成膜室内に蒸着材料との反応性が高いガス
を流すことで、再び昇華させた蒸着材料の再付着を防ぐ
ようにすることも好ましい。具体的には、ハロゲン族元
素(フッ素、塩素、臭素もしくは沃素)を含むガスを流
せば良い。また、蒸着材料に触れる部分をすべて加熱し
て再付着を防ぐことも効果的である。その際、典型的に
は輻射熱を用いて加熱すれば良い。
【0013】また、本明細書では、部品、蒸着マスクも
しくは成膜室内壁に付着した蒸着材料を加熱することに
より再び昇華させることを再昇華と呼び、再び昇華させ
た蒸着材料を再昇華させた蒸着材料と呼ぶ。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明を実施するための成膜装置
の成膜室について図1を用いて説明する。まず、図1
(A)は蒸着材料の成膜プロセスを示している。成膜室
101内には基板ホルダ102により基板103が配置
されている。なお、基板103は基板面に薄膜を設けた
状態をも含めるものとする。即ち、素子が形成される途
中の基板も含める。
【0015】また、基板103の近傍に蒸着マスク10
4が設けられ、蒸着マスク104はマスクホルダ105
によって支持されている。また、成膜室101の内壁よ
りも内側には防着シールド106が設けられ、蒸着材料
が成膜室101の内壁に付着しないようになっている。
【0016】この状態で蒸着源ホルダ107に備えられ
た蒸着源108が図中矢印の方向に移動し、蒸着源10
8から昇華させた蒸着材料109が基板103に成膜さ
れていく。なお、蒸着シールド110は蒸着源108か
らの昇華が安定するまでの間、蒸着源108を覆ってお
くためのシールドである。
【0017】また、図示されていないが、蒸着ホルダ1
07は紙面に垂直な方向に長い長方形のホルダであり、
その上には蒸着源108が複数並んで設けられている。
【0018】ここで、基板ホルダ102、蒸着マスク1
04、マスクホルダ105、防着シールド106および
蒸着シールド110は成膜室内に設置され、蒸着材料1
09が付着する部品である。本発明では、これらの部品
に付着した蒸着材料を加熱するため、部品の材料として
耐熱性の高い材料を用いることが好ましい。
【0019】具体的には、タングステン、タンタル、チ
タン、クロム、ニッケルもしくはモリブデンといった高
融点金属もしくはこれらの元素を含む合金を用いると良
い。また、ステンレス、インコネルもしくはハステロイ
といった金属を用いても良い。また、これらの金属の表
面に保護膜として酸化クロム膜もしくは酸化タンタル膜
を設けても良い。
【0020】但し、蒸着材料を再昇華させる際に成膜室
内にガスを流す場合は、そのガスに対する耐蝕性をもっ
た金属を用いる必要がある。
【0021】次に、図1(B)には、図1(A)に示し
た成膜プロセスを数回繰り返した後の成膜室101の様
子を示す。なお、図1(B)に示す状態は、基板103
を成膜室の外へ搬送した後の状態である。この状態で
は、繰り返しの蒸着により基板ホルダ102、蒸着マス
ク104、マスクホルダ105、防着シールド106お
よび蒸着シールド110には蒸着材料が付着している。
図1(B)では付着した蒸着材料111を点線で表して
いる。
【0022】次に、再昇華と排気のプロセス(クリーニ
ングプロセス)を図1(C)に示す。ここでは基板ホル
ダ102、蒸着マスク104、マスクホルダ105、防
着シールド106および蒸着シールド110に付着した
蒸着材料111を加熱し、再昇華させることで再び部品
から離脱させる。加熱の方法はヒーター加熱、赤外光加
熱もしくは紫外光加熱のいずれを用いても良いし、これ
らを併用しても良い。
【0023】こうして再昇華させた蒸着材料112は、
ただちに真空ポンプ(図示せず)を用いて排気口113
から排気される。真空ポンプとしては、公知の如何なる
ポンプを用いても良い。
【0024】また、図1(C)に示す再昇華と排気のプ
ロセスを行う際に、成膜室101内にハロゲン族元素を
含むガスを流しても良い。ここではフッ素を含むガスを
流し、再昇華させると同時に蒸着材料をフッ化物として
排気している。
【0025】なお、図1を用いて説明した一連のプロセ
スは、複数回の成膜プロセスを行った後にクリーニング
プロセスを行っているが、1回の成膜プロセス毎にクリ
ーニングプロセスを行うことも可能である。
【0026】
【実施例】〔実施例1〕本実施例では、成膜室に設けら
れた部品に対して赤外光、紫外光もしくは可視光を照射
することにより部品に付着した蒸着材料を昇華させ、昇
華させた蒸着材料を排気することを特徴とする成膜装置
のクリーニング方法について説明する。なお、本実施例
は本発明の一実施例であり、発明の実施の形態の記載を
引用することができる。
【0027】図2に本実施例の成膜装置における成膜部
の断面構造を示す。図2(A)、図2(B)は互いに垂
直な方向に切断した場合における断面構造を示してい
る。図2(A)はX方向に沿った断面であり、図2
(B)はY方向に沿った断面である。また、図4は本実
施例の成膜装置における成膜部の上面図である。
【0028】図2(A)、(B)において、成膜室20
1の内部には基板ホルダ202が設けられ、基板ホルダ
202により基板203が支持されている。この場合、
図面の下方に向いている基板面が、薄膜を成膜される側
の面である。
【0029】また、基板203に近接して蒸着マスク2
04が設けられる。蒸着マスク204はマスクホルダ2
05により支持され、マスクホルダ205を可変にする
ことで基板203との距離を調節することが可能であ
る。
【0030】さらに、基板203、蒸着マスク204お
よびマスクホルダ205を囲むように防着シールド20
6が設けられている。なお、防着シールド206のうち
207で示される領域は、蒸着材料の昇華速度が安定す
るまで蒸着源を隠しておくことができる。即ち、図1
(A)に示した蒸着シールド110同様の役割をもたせ
ることができる。
【0031】また、成膜室201の下方には蒸着源20
8を備えた蒸着源ホルダ209およびランプ光源210
がレール211に取り付けられている。即ち、本実施例
の成膜部には、レール211に沿って蒸着源208およ
びランプ光源210を移動させる機構が備えられてい
る。また、このランプ光源210により赤外光、紫外光
もしくは可視光が照射される。
【0032】ここで蒸着源208および蒸着源ホルダ2
09の構造を図3(A)に示す。図3(A)に示すよう
に、本実施例の成膜部は細長い長方形の蒸着源ホルダ2
09の上に複数の蒸着源208が並べられた構造となっ
ている。なお、蒸着源208の個数に限定はなく、それ
らの配置間隔も適宜決めれば良い。
【0033】また、蒸着源208の構造を図3(B)に
示す。図3(B)に示した蒸着源208は有機EL材料
を成膜するための蒸着源であり、ホスト材料を蒸着する
ためのホスト材料用ノズル214およびゲスト材料を蒸
着するためのゲスト材料用ノズル215を備えている。
【0034】このとき、蒸着源208の移動速度や蒸着
材料の昇華速度はコントロールユニット212により制
御される。同様に、ランプ光源210の移動速度や照度
もコントロールユニット212により制御される。ま
た、蒸着源208の移動速度や昇華速度は、基板203
に成膜された蒸着材料の膜厚を膜厚計でモニタリングし
た結果をフィードバックすることで制御すれば良い。さ
らに、この制御は個々の蒸着源について個別に行うこと
も可能である。その際、基板203をマトリクス状に区
分けし、各々の区画に対応させて複数の水晶振動子を設
置し、個々の蒸着源について蒸着速度を制御することで
膜厚の均一性を高めることができる。
【0035】また、ランプ光源210は赤外光を発する
ランプ(赤外光ランプ)、紫外光を発するランプ(紫外
光ランプ)もしくは可視光を発するランプ(典型的には
ハロゲンランプ)を用いる。さらに、このランプ光源2
10の形状は、長方形もしくは長楕円形であり、移動さ
せながら照射することで大面積を1度に照射することが
可能である。即ち、ランプ光源210から発した赤外
光、紫外光もしくは可視光の照射面(部品に当たった
面)は長方形もしくは長楕円形となる。
【0036】本発明では、基板203を成膜室201の
外へ搬出した後、蒸着マスク204、マスクホルダ20
5および防着シールド206に付着した蒸着材料に対し
てランプ光源210から発した赤外光、紫外光もしくは
可視光を照射する。そして、この光照射により蒸着材料
を再び昇華させ、そのまま真空ポンプ(図示せず)を用
いて排気口213より排気する。なお、蒸着材料を昇華
させる温度にもよるが、吸収による熱を生じやすい赤外
光を用いることが好ましい。
【0037】また、防着シールド206の内側やマスク
ホルダ205の表面に赤外光、紫外光もしくは可視光を
吸収しやすい薄膜(光吸収膜)を成膜しておくことは有
効である。即ち、光吸収膜に赤外光、紫外光もしくは可
視光を一旦吸収させ、そこからの熱伝導により付着した
蒸着材料を再び昇華させても良い。
【0038】本実施例の成膜装置は成膜室に設けられた
部品に対して赤外光、紫外光もしくは可視光を照射する
手段(具体的にはランプ光源)を有し、それを用いて部
品もしくは蒸着マスクに付着した蒸着材料を再昇華させ
て排気(除去)するという非常に簡易な手段により成膜
室内のクリーニングが可能である。また、大気解放せず
に成膜室内のクリーニングが可能である点に大きな特徴
がある。そのため、従来問題であった吸着水や吸着酸素
の問題を回避することができる。
【0039】さらに、本実施例に示したようにランプ光
源の形状を長方形もしくは長楕円形とすることで、1度
の走査(移動)で大面積を照射することができる。従っ
て、クリーニングプロセスに要する時間を短縮化でき、
スループットを向上させることができる。
【0040】〔実施例2〕本実施例では、成膜室に設け
られた部品を輻射熱により加熱して部品に付着した蒸着
材料を昇華させ、昇華させた蒸着材料を排気することを
特徴とする成膜装置のクリーニング方法について説明す
る。なお、輻射熱は電気抵抗の高い金属線(代表的には
ニクロム線)に電流を流すことで発生させれば良い。ま
た、本実施例は本発明の一実施例であり、発明の実施の
形態の記載を引用することができる。
【0041】図5に本実施例の成膜装置における成膜部
の断面構造を示す。図5(A)、図5(B)は互いに垂
直な方向に切断した場合における断面構造を示してい
る。図5(A)はX方向に沿った断面であり、図5
(B)はY方向に沿った断面である。また、図6は本実
施例の成膜装置における成膜部の上面図である。
【0042】図5(A)、(B)において、成膜室50
1の内部には基板ホルダ502が設けられ、基板ホルダ
502により基板503が支持されている。この場合、
図面の下方に向いている基板面が、薄膜を成膜される側
の面である。
【0043】また、基板503に近接して蒸着マスク5
04が設けられる。蒸着マスク504はマスクホルダ5
05により支持され、マスクホルダ505を可変にする
ことで基板503との距離を調節することが可能であ
る。
【0044】さらに、基板503、蒸着マスク504お
よびマスクホルダ505を囲むように防着シールド50
6が設けられている。なお、防着シールド506のうち
507で示される領域は、蒸着材料の昇華速度が安定す
るまで蒸着源を隠しておくことができる。即ち、図1に
示した蒸着シールド110同様の役割をもたせることが
できる。
【0045】また、防着シールド506の周囲には電熱
線(本実施例ではニクロム線)508が接して設けられ
ている。本実施例ではこの電熱線508に電流を流すこ
とにより防着シールド506全体を加熱することが可能
である。
【0046】また、防着シールド506を覆うように反
射板509が設けられている。反射板509は1枚設け
ても良いし、複数枚設けても良い。反射板509は防着
シールド506や電熱線508からの輻射熱を反射して
防着シールド508を効率良く加熱するために設けられ
る。また、成膜室501の内壁が極力加熱されないよう
にする効果もある。反射板509の材料としては、反射
率の高い金属を用いることが好ましい。また、成膜室5
01にガスを流す場合は、そのガスに対して耐蝕性をも
つ金属を用いる必要がある。
【0047】また、成膜室501の下方には蒸着源51
0を備えた蒸着源ホルダ511がレール512に取り付
けられている。即ち、本実施例の成膜部には、レール5
12に沿って蒸着源510を移動させる機構が備えられ
ている。なお、蒸着源510および蒸着源ホルダ511
の構造は図3に示した通りである。
【0048】また、蒸着源510の移動速度や蒸着材料
の昇華速度はコントロールユニット513により制御さ
れる。本実施例でも蒸着源510の移動速度や昇華速度
は、基板503に成膜された蒸着材料の膜厚を膜厚計で
モニタリングした結果をフィードバックすることで制御
する。また、この制御は個々の蒸着源について個別に行
う。その際、基板503をマトリクス状に区分けし、各
々の区画に対応させて複数の水晶振動子を設置し、個々
の蒸着源について蒸着速度を制御することで膜厚の均一
性を高めることができる。
【0049】本発明では、基板503を成膜室501の
外へ搬出した後、電熱線507に電流を流すことにより
防着シールド506を加熱し、防着シールド506に付
着した蒸着材料を再び昇華させる。そして、そのまま真
空ポンプ(図示せず)を用いて排気口514より排気す
る。なお、蒸着材料を昇華させる温度にもよるが、有機
材料であれば500℃以下の温度でも十分に昇華させる
ことができる。
【0050】本実施例の成膜装置は成膜室に設けられた
部品に、その部品を輻射熱により加熱する導体(電熱
線、具体的にはニクロム線)が設けられており、その導
体に電流を流すことで部品に付着した蒸着材料を再昇華
させて排気(除去)するという非常に簡易な手段により
成膜室内のクリーニングが可能である。また、大気解放
せずに成膜室内のクリーニングが可能であるため、従来
問題であった吸着水や吸着酸素の問題を回避することが
できる。
【0051】〔実施例3〕本実施例では、成膜室に排気
処理室が連結された成膜装置について説明する。なお、
図7に示した本実施例の成膜装置は、成膜室702が図
2(A)に示した構造と同一の構造であり、この成膜室
702に直列に排気処理室601が接続されている。従
って、成膜室702に関しては実施例1を参照すること
とし、排気処理室701の説明を中心に行う。
【0052】図7において、排気処理室701は成膜室
702にゲート703を介して接続されている。このゲ
ート703は排気処理室701から成膜室702に向か
って排気ガスが混入しないようにする役割をもつ。そし
て、ゲート703付近の配管には電熱線704が設けら
れ、配管705を加熱することができるようになってい
る。これは成膜室701から排気されてきた蒸着材料が
配管705に付着することを防ぐために設けられてい
る。
【0053】排気処理室701において、排気処理室7
01の内部には上部電極706および下部電極707が
設けられ、上部電極706に高周波電源708が接続さ
れている。また、下部電極707は接地されている。さ
らに、排気処理室701の内部にはプラズマを形成する
ためのガスが供給できるようになっており、上部電極7
06および下部電極707の間に電圧を印加することで
プラズマ709を形成することができる。
【0054】成膜室702から排気されてきた蒸着材料
は、排気処理室701にてプラズマ709に晒され、分
解もしくは結合により不活性なガスに変化し、排気口7
10から排気される。即ち、再昇華させた蒸着材料は排
気中にプラズマに晒され、不活性なガスに変化するた
め、排気口710以降の配管は蒸着材料が付着するとい
った問題を生じることがない。
【0055】ここで蒸着材料が有機材料(有機EL材料
も含む)であれば、プラズマを形成するためのガスとし
て酸素を用い、酸素プラズマで処理することが好まし
い。但し、排気処理室701の内部に残留する酸素が成
膜室702に逆流しないように注意が必要である。
【0056】なお、本実施例の構成は、実施例1もしく
は実施例2のどちらと組み合わせて実施しても構わな
い。
【0057】〔実施例4〕本実施例では、実施例1〜実
施例3のいずれかの構成の成膜装置において、部品に付
着した蒸着材料を再昇華させる際、成膜室内にハロゲン
族元素を含むガスを流す例について説明する。
【0058】ハロゲン族元素としては、代表的にフッ
素、塩素、臭素もしくは沃素が挙げられる。これらハロ
ゲン族元素を含むガスとしては、代表的にはフッ素(F
2)ガス、塩素(Cl2)ガスもしくは四フッ化炭素(C
4)ガスが挙げられる。
【0059】本実施例では、再昇華させた蒸着材料と上
記ハロゲン族元素を含むガスとを反応させて蒸着材料を
不活性なガスにし、部品、配管および成膜室内壁への再
付着を防止する。
【0060】なお、本実施例の構成は実施例1〜実施例
3のいずれの構成とも組み合わせて実施することが可能
である。
【0061】〔実施例5〕本実施例では、実施例1〜実
施例4のいずれかの構成の成膜室をマルチチャンバー方
式(クラスターツール方式ともいう)で複数設けた成膜
装置について説明する。本実施例の成膜装置の模式図を
図8に示す。なお、本実施例ではEL素子を形成するた
めの成膜装置を示す。
【0062】図8において、801は搬送室であり、搬
送室801には搬送機構(A)802が備えられ、基板
803の搬送が行われる。搬送室801は減圧雰囲気に
されており、各処理室とはゲートによって連結されてい
る。各処理室への基板の受け渡しは、ゲートを開けた際
に搬送機構(A)802によって行われる。また、搬送
室801を減圧するには、油回転ポンプ、メカニカルブ
ースターポンプ、ターボ分子ポンプ若しくはクライオポ
ンプなどの排気ポンプを用いることが可能であるが、水
分の除去に効果的なクライオポンプが好ましい。
【0063】以下に、各処理室についての説明を行う。
なお、搬送室801は減圧雰囲気となるので、搬送室8
01に直接的に連結された処理室には全て排気ポンプ
(図示せず)が備えられている。排気ポンプとしては上
述の油回転ポンプ、メカニカルブースターポンプ、ター
ボ分子ポンプ若しくはクライオポンプが用いられる。
【0064】まず、804は基板のセッティング(設
置)を行うロード室であり、ロードロック室とも呼ばれ
る。ロード室804はゲート800aにより搬送室80
1と連結され、ここに基板803をセットしたキャリア
(図示せず)が配置される。なお、ロード室804は基
板搬入用と基板搬出用とで部屋が区別されていても良
い。また、ロード室804は上述の排気ポンプと高純度
の窒素ガスまたは希ガスを導入するためのパージライン
を備えている。
【0065】次に、805で示されるのはEL素子の陽
極もしくは陰極(本実施例では陽極)の表面を処理する
前処理室であり、前処理室805はゲート800bによ
り搬送室801と連結される。前処理室はEL素子の作
製プロセスによって様々に変えることができるが、本実
施例では酸化物導電膜からなる陽極の表面に酸素中で紫
外光を照射しつつ100〜120℃で加熱できるように
する。このような前処理は、EL素子の陽極表面を処理
する際に有効である。
【0066】次に、806は蒸着により有機材料および
有機EL材料を成膜するための成膜室であり、成膜室
(A)と呼ぶ。成膜室(A)806はゲート800cを
介して搬送室801に連結される。本実施例では蒸着室
(A)806として実施例1もしくは実施例2に示した
成膜部を設けている。なお、本実施例では、成膜室
(A)806において正孔注入層となる有機材料及び赤
色に発色する発光層となる有機EL材料を成膜する。従
って、蒸着源及び蒸着マスクを二種類備え、切り換えが
可能な構成となっている。
【0067】次に、807は蒸着法により有機EL材料
を成膜するための成膜室であり、成膜室(B)と呼ぶ。
成膜室(B)807はゲート800dを介して搬送室8
01に連結される。本実施例では成膜室(B)807と
して実施例1もしくは実施例2に示した成膜室を設けて
いる。本実施例では、成膜室(B)807において、緑
色に発色する発光層となる有機EL材料を成膜する。
【0068】次に、808は蒸着により有機EL材料を
成膜するための成膜室であり、成膜室(C)と呼ぶ。成
膜室(C)808はゲート800eを介して搬送室80
1に連結される。本実施例では成膜室(C)808とし
て実施例1もしくは実施例2に示した成膜室を設けてい
る。本実施例では、成膜室(C)808において、青色
に発色する発光層となる有機EL材料を成膜する。
【0069】次に、809は蒸着によりEL素子の陽極
もしくは陰極となる導電膜(本実施例では陰極となる金
属膜)を成膜するための成膜室であり、成膜室(D)と
呼ぶ。成膜室(D)809はゲート800fを介して搬
送室801に連結される。本実施例では成膜室(D)8
09として実施例1もしくは実施例2に示した成膜室を
設けている。本実施例では、成膜室(D)809におい
て、EL素子の陰極となる導電膜としてAl−Li合金
膜(アルミニウムとリチウムとの合金膜)を成膜する。
なお、周期表の1族もしくは2族に属する元素とアルミ
ニウムとを共蒸着することも可能である。
【0070】次に、810は封止室であり、ゲート80
0gを介してロード室804に連結されている。封止室
810には紫外光ランプ811が設けられている。さら
に、封止室810には受渡室812が連結される。受渡
室812には搬送機構(B)813が設けられ、封止室
810でEL素子の封止が完了した基板を受渡室812
へと搬送する。
【0071】このとき、封止室810では形成されたE
L素子を密閉空間に封止(封入)する工程が行われる。
即ち、EL素子にかぶせるようにしてシーリング材を紫
外線硬化樹脂により貼り合わせ、紫外光ランプ811か
ら発する紫外光により紫外線硬化樹脂を硬化させて封止
する。
【0072】以上のように、図8に示した成膜装置を用
いることで完全にEL素子を密閉空間に封止するまで外
気に晒さずに済むため、信頼性の高い発光装置を作製す
ることが可能となる。
【0073】また、成膜室(A)806、成膜室(B)
807、成膜室(C)808および成膜室(D)809
に本発明の成膜室を用いることで、各成膜室を大気解放
しないでクリーニングすることが可能となる。従って、
さらに信頼性の高い発光装置を作製することが可能とな
る。
【0074】〔実施例6〕本実施例では、実施例1〜実
施例4のいずれかの構成の成膜室をインライン方式で複
数設けた成膜装置について説明する。本実施例の成膜装
置の模式図を図9に示す。なお、本実施例ではEL素子
を形成するための成膜装置を示す。
【0075】図9において901はロード室であり、基
板90の搬送はここから行われる。ロード室901には
排気系900aが備えられ、排気系900aは第1バルブ
91、ターボ分子ポンプ92、第2バルブ93及びロー
タリーポンプ(油回転ポンプ)94を含んだ構成からな
っている。
【0076】第1バルブ91はメインバルブであり、コ
ンダクタンスバルブを兼ねる場合もあるしバタフライバ
ルブを用いる場合もある。第2バルブ93はフォアバル
ブであり、まず第2バルブ93を開けてロータリーポン
プ94によりロード室901を粗く減圧し、次に第1バ
ルブ91を空けてターボ分子ポンプ92で高真空まで減
圧する。なお、ターボ分子ポンプの代わりにメカニカル
ブースターポンプ若しくはクライオポンプを用いること
が可能であるがクライオポンプは水分の除去に特に効果
的である。
【0077】次に、902で示されるのはEL素子の陽
極もしくは陰極(本実施例では陽極)の表面を処理する
前処理室であり、前処理室902は排気系900bを備
えている。また、ロード室901とは図示しないゲート
で密閉遮断されている。前処理室902はEL素子の作
製プロセスによって様々に変えることができる。
【0078】前処理としては、オゾンプラズマ処理、酸
素プラズマ処理、アルゴンプラズマ処理、ネオンプラズ
マ処理、ヘリウムプラズマ処理もしくは水素プラズマ処
理を行うことができる。また、ヒーターを備えることで
プラズマ処理と同時に加熱することも可能である。さら
に、紫外光ランプを備えることで紫外光照射を可能とす
ることも有効である。
【0079】本実施例では、基板を100℃に加熱しな
がら酸化物導電膜からなる陽極の表面にオゾンプラズマ
処理を行い、水分の除去と同時に陽極表面の仕事関数を
高める前処理を行う。
【0080】次に、903は蒸着により有機材料を成膜
するための成膜室であり、成膜室(A)と呼ぶ。成膜室
(A)903は排気系900cを備えている。また、前
処理室902とは図示しないゲートで密閉遮断されてい
る。本実施例では成膜室(A)903として実施例1も
しくは実施例2に示した成膜室を用い、成膜室(A)9
03にて正孔注入層を形成する。
【0081】次に、904は蒸着により有機材料を成膜
するための成膜室であり、成膜室(B)と呼ぶ。成膜室
(B)904は排気系900dを備えている。また、成
膜室(A)903とは図示しないゲートで密閉遮断され
ている。本実施例では成膜室(B)904として実施例
1もしくは実施例2に示した成膜室を用い、成膜室
(B)904にて正孔輸送層を形成する。
【0082】次に、905は蒸着により有機EL材料を
成膜するための成膜室であり、成膜室(C)と呼ぶ。成
膜室(C)905は排気系900eを備えている。ま
た、成膜室(B)904とは図示しないゲートで密閉遮
断されている。本実施例では成膜室(C)905として
実施例1もしくは実施例2に示した成膜室を用い、成膜
室(C)905にて赤色に発色する発光層を形成する。
【0083】次に、906は蒸着により有機EL材料を
成膜するための成膜室であり、成膜室(D)と呼ぶ。成
膜室(D)906は排気系900fを備えている。ま
た、成膜室(C)905とは図示しないゲートで密閉遮
断されている。本実施例では成膜室(D)906として
実施例1もしくは実施例2に示した成膜室を用い、成膜
室(D)906にて緑色に発色する発光層を形成する。
【0084】次に、907は蒸着により有機EL材料を
成膜するための成膜室であり、成膜室(E)と呼ぶ。成
膜室(E)907は排気系900gを備えている。ま
た、成膜室(D)906とは図示しないゲートで密閉遮
断されている。本実施例では成膜室(E)907として
実施例1もしくは実施例2に示した成膜室を用い、成膜
室(E)907にて青色に発色する発光層を形成する。
【0085】次に、908は蒸着により有機材料を成膜
するための成膜室であり、成膜室(F)と呼ぶ。成膜室
(F)908は排気系900hを備えている。また、成
膜室(E)907とは図示しないゲートで密閉遮断され
ている。本実施例では成膜室(F)908として実施例
1もしくは実施例2に示した成膜室を用い、成膜室
(F)908にて電子輸送層を形成する。
【0086】次に、909は蒸着により有機材料を成膜
するための成膜室であり、成膜室(G)と呼ぶ。成膜室
(G)909は排気系900iを備えている。また、成
膜室(F)908とは図示しないゲートで密閉遮断され
ている。本実施例では成膜室(G)909として実施例
1もしくは実施例2に示した成膜室を用い、成膜室
(G)909にて電子注入層を形成する。
【0087】次に、910は蒸着によりEL素子の陽極
もしくは陰極となる導電膜(本実施例では陰極となる金
属膜)を成膜するための成膜室であり、成膜室(H)と
呼ぶ。成膜室(H)910は排気系900jを備えてい
る。また、成膜室(G)909とは図示しないゲートで
密閉遮断されている。本実施例では成膜室(H)910
として実施例1もしくは実施例2に示した成膜室を用い
る。
【0088】また、本実施例では、成膜室(H)910
にてEL素子の陰極となる導電膜としてAl−Li合金
膜(アルミニウムとリチウムとの合金膜)もしくはAl
−Cs合金膜(アルミニウムとセシウムとの合金膜)を
形成する。なお、周期表の1族もしくは2族に属する元
素とアルミニウムとを共蒸着することも可能である。
【0089】次に、911は封止室であり、排気系90
0kを備えている。また、成膜室(H)910とは図示
しないゲートで密閉遮断されている。封止室911では
EL素子を酸素および水分から保護するために、パッシ
ベーション膜として炭素膜、具体的にはDLC(ダイヤ
モンドライクカーボン)膜を形成する。
【0090】DLC膜を形成するにはスパッタ法、プラ
ズマCVD法もしくはイオンプレーティング法を用いれ
ば良い。イオンプレーティング法を用いる場合、実施例
1の構造の成膜装置を用いれば良い。イオンプレーティ
ング法の場合、通常の蒸着と異なり電界を加えるための
電極が必要となるが、この電極に付着した蒸着材料もラ
ンプ光源からの光照射により再昇華させて排気すれば良
い。
【0091】DLC膜は室温から100℃以下の温度範
囲で成膜できるため、耐熱性の低いEL素子を保護する
パッシベーション膜として好適である。また、熱伝導率
が高く放熱効果が良いため、EL素子の熱劣化を抑制す
る効果も期待できる。なお、本実施例で形成するDLC
膜は窒化珪素膜もしくは炭化珪素膜と積層して用いるこ
とも有効である。
【0092】最後に、912はアンロード室であり、排
気系900lを備えている。EL素子が形成された基板
はここから取り出される。
【0093】なお、本実施例に示した成膜装置の各処理
室、排気系および搬送系をコンピュータ制御により動作
させることは有効である。本実施例の場合、連続的に一
連の処理を行ってEL素子が完成するため、コンピュー
タ制御により基板投入から基板取り出しまでを管理する
ことができる。
【0094】以上のように、図9に示した成膜装置を用
いることで完全にEL素子を密閉空間に封止するまで外
気に晒さずに済むため、信頼性の高いEL表示装置を作
製することが可能となる。また、インライン方式により
高いスループットでEL表示装置を作製することができ
る。
【0095】また、成膜室(A)903、成膜室(B)
904、成膜室(C)905、成膜室(D)906、成
膜室(E)907、成膜室(F)908、成膜室(G)
909および成膜室(H)910に本発明の成膜室を用
いることで、各成膜室を大気解放しないでクリーニング
することが可能となる。従って、さらに信頼性の高い発
光装置を作製することが可能となる。
【0096】〔実施例7〕本実施例では、実施例1〜実
施例4に示したいずれかの構成のクリーニング方法を作
製方法に含むことを特徴とする発光装置の作製方法につ
いて説明する。
【0097】図10に示したフローチャートは本実施例
における発光装置の作製工程の流れを示している。ま
ず、図10(A)は、EL素子を形成する有機材料(有
機EL材料も含む)を成膜する度に、実施例1〜実施例
4のいずれかの方法により成膜装置のクリーニングを行
う例である。なお、その際、実施例5もしくは実施例6
の成膜装置を用いれば良い。
【0098】この場合、絶縁体上にTFTを作製する過
程(TFTの作製過程)の後、EL素子を形成するため
の有機材料を成膜する過程(有機材料の成膜過程)を経
て、EL素子を封止する過程(封止過程)に至り、発光
装置が完成する。この一連の作製工程において、有機材
料の成膜過程が終了した直後に、成膜装置のクリーニン
グ過程が行われ、その後で次の有機材料の成膜過程が行
われる。
【0099】なお、アクティブマトリクス型発光装置の
作製方法においてはTFTの作製過程が含まれるが、パ
ッシブマトリクス型発光装置もしくはEL素子を含む光
源の作製方法においてはTFTの作製過程は含まれな
い。そういった意味でTFTの作製過程を括弧書きで表
している。
【0100】次に、図10(B)は、EL素子を形成す
る有機材料(有機EL材料も含む)を成膜する過程を複
数回行った後に、実施例1〜実施例4のいずれかの方法
により成膜装置のクリーニングを行う例である。即ち、
成膜室に設けられた部品に付着した蒸着材料の膜厚があ
る程度の膜厚に達したら定期的にクリーニング過程を行
うことになる。
【0101】この場合、連続的に行われる発光装置の作
製工程において、有機材料の成膜過程が複数の基板に対
して行われた後に、成膜装置のクリーニング過程が行わ
れ、その後で次の有機材料の成膜過程が行われる。
【0102】〔実施例8〕本実施例では、EL素子を含
むパッシブマトリクス型発光装置の作製工程を例にとっ
て説明する。
【0103】まず、図11(A)に示すように、表面に
絶縁膜を設けた基板11の上に酸化物導電膜からなる陽
極12を形成し、その上に隔壁13を形成する。隔壁1
3は酸化珪素膜からなる第1隔壁部13a、樹脂膜から
なる第2隔壁部13bおよび窒化珪素膜からなる第3隔
壁部13cで形成される。
【0104】このとき、第1隔壁部13aはフォトリソ
グラフィによりパターニングすれば良い。また、第2隔
壁部13bと第3隔壁部13cの形状は、第2隔壁部13
bとなる樹脂膜と第3隔壁部13cとなる樹脂膜とを同一
形状にエッチングした後に、第3隔壁部13cをマスク
として第2隔壁部13bとなる樹脂膜を等方的にエッチ
ングすることで得られる。
【0105】次に、実施例5に示した成膜装置を用いて
EL素子を形成する有機材料の成膜過程を行う。まず、
前処理室805で陽極12の表面処理を行い、成膜室
(A)806にて正孔注入層14および発光層(R)1
5を成膜する。なお、発光層(R)は、赤色光を発する
発光層である。
【0106】次に、成膜室(B)807で発光層(G)
16を成膜し、成膜室(C)808で発光層(B)17
を成膜する。なお、発光層(G)は、緑色光を発する発
光層であり、発光層(B)は、青色光を発する発光層で
ある。
【0107】次に、アルミニウム(Al)およびリチウ
ム(Li)を共蒸着させたAl−Li合金膜を陰極18
として成膜する。そして、封止室810で封止過程を行
ってパッシブマトリクス型の発光装置が完成する。
【0108】このとき、正孔注入層14、発光層(R)
15、発光層(G)16、発光層(B)17もしくは陰
極18を成膜した後に、各成膜室のクリーニングを実施
例1〜実施例4に示したいずれかの構成により行えば良
い。勿論、図10に示すように成膜毎に行っても良い
し、複数回の成膜過程の後に行っても良い。
【0109】また、本実施例では実施例5に示した成膜
装置を用いているが、実施例6に示した成膜装置を用い
ても良い。
【0110】〔実施例9〕本実施例では、EL素子を含
むアクティブマトリクス型発光装置の作製工程を例にと
って説明する。
【0111】まず、図12(A)に示すように、表面に
絶縁膜を設けた基板21の上に公知の作製工程により薄
膜トランジスタ(以下、TFTという)22を形成す
る。次に、図12(B)に示すように、酸化物導電膜か
らなる陽極23および酸化珪素膜からなる絶縁膜24を
形成する。なお、絶縁膜24は、有機樹脂膜であっても
良い。
【0112】次に、実施例5に示した成膜装置を用いて
EL素子を形成する有機材料の成膜過程を行う。まず、
前処理室805で陽極23の表面処理を行い、成膜室
(A)806にて正孔注入層25および発光層(R)2
6を成膜する。なお、発光層(R)は、赤色光を発する
発光層である。
【0113】次に、成膜室(B)807で発光層(G)
27を成膜し、成膜室(C)808で発光層(B)28
を成膜する。なお、発光層(G)は、緑色光を発する発
光層であり、発光層(B)は、青色光を発する発光層で
ある。
【0114】次に、アルミニウム(Al)およびリチウ
ム(Li)を共蒸着させたAl−Li合金膜を陰極29
として成膜する。そして、封止室810で封止過程を行
ってアクティブマトリクス型の発光装置が完成する。
【0115】このとき、正孔注入層25、発光層(R)
26、発光層(G)27、発光層(B)28もしくは陰
極29を成膜した後に、各成膜室のクリーニングを実施
例1〜実施例4に示したいずれかの構成により行えば良
い。勿論、図10に示すように成膜毎に行っても良い
し、複数回の成膜過程の後に行っても良い。
【0116】また、本実施例では実施例5に示した成膜
装置を用いているが、実施例6に示した成膜装置を用い
ても良い。
【0117】〔実施例10〕本実施例について、図13
を用いて説明する。実施例9ではTFT22としてトッ
プゲート型TFT(具体的にはプレーナ型TFT)を作
製した例を示しているが、本実施例ではTFT22の代
わりにTFT30を用いる。
【0118】本実施例で用いるTFT30は、ボトムゲ
ート型TFT(具体的には逆スタガ型TFT)であり、
公知の作製工程により形成すれば良い。なお、TFT構
造が異なる以外は実施例9と同じ構成であるため、同じ
部分の符号は図12で用いた符号を引用する。また、詳
細な説明は、実施例9を参照すれば良い。
【0119】本実施例では、図13(A)に示すように
基板21上に逆スタガ型のTFT30を形成し、図13
(B)に示すようにTFT30に電気的に接続された陽
極24を形成する。さらに、陽極24の縁を覆う絶縁膜
23を形成する。
【0120】そして、実施例9と同様の処理を行い、正
孔注入層25、発光層(R)26、発光層(G)27、
発光層(B)及び陰極29を形成する(図13
(C))。さらに、実施例9と同様の封止過程まで行っ
てアクティブマトリクス型の発光装置が完成する。
【0121】なお、本実施例の発光装置を作製するにあ
たって、実施例5に示した成膜装置を用いても実施例6
に示した成膜装置を用いても良い。
【0122】〔実施例11〕本発明を実施して形成され
た発光装置は、自発光型であるため液晶表示装置に比べ
て明るい場所での視認性に優れ、しかも視野角が広い。
従って、様々な電気器具の表示部として用いることがで
きる。
【0123】本発明を実施して形成された発光装置を用
いた電気器具としては、ビデオカメラ、デジタルカメ
ラ、ゴーグル型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプ
レイ)、カーナビゲーションシステム、カーオーディ
オ、ノート型パーソナルコンピュータ、ゲーム機器、携
帯情報端末(モバイルコンピュータ、携帯電話、携帯型
ゲーム機または電子書籍)、記録媒体を備えた画像再生
装置(具体的にはコンパクトディスク(CD)、レーザ
ーディスク(登録商標)(LD)又はデジタルバーサタ
イルディスク(DVD)等の記録媒体を再生し、その画
像を表示しうるディスプレイを備えた装置)などが挙げ
られる。それら電気器具の具体例を図14、図15に示
す。
【0124】図14(A)はELディスプレイであり、
筐体2001、支持台2002、表示部2003を含
む。本発明の発光装置は表示部2003に用いることが
できる。ELディスプレイは自発光型であるためバック
ライトが必要なく、液晶ディスプレイよりも薄い表示部
とすることができる。
【0125】図14(B)はビデオカメラであり、本体
2101、表示部2102、音声入力部2103、操作
スイッチ2104、バッテリー2105、受像部210
6を含む。本発明の発光装置は表示部2102に用いる
ことができる。
【0126】図14(C)はデジタルカメラであり、本
体2201、表示部2202、接眼部2203、操作ス
イッチ2204を含む。本発明の発光装置は表示部22
02に用いることができる。
【0127】図14(D)は記録媒体を備えた画像再生
装置(具体的にはDVD再生装置)であり、本体230
1、記録媒体(CD、LDまたはDVD等)2302、
操作スイッチ2303、表示部(a)2304、表示部
(b)2305を含む。表示部(a)は主として画像情
報を表示し、表示部(b)は主として文字情報を表示す
るが、本発明の発光装置はこれら表示部(a)、(b)
に用いることができる。なお、記録媒体を備えた画像再
生装置には、CD再生装置、ゲーム機器なども含まれう
る。
【0128】図14(E)は携帯型(モバイル)コンピ
ュータであり、本体2401、表示部2402、受像部
2403、操作スイッチ2404、メモリスロット24
05を含む。本発明の電気光学装置は表示部2402に
用いることができる。この携帯型コンピュータはフラッ
シュメモリや不揮発性メモリを集積化した記録媒体に情
報を記録したり、それを再生したりすることができる。
【0129】図14(F)はパーソナルコンピュータで
あり、本体2501、筐体2502、表示部2503、
キーボード2504を含む。本発明の発光装置は表示部
2503に用いることができる。
【0130】なお、将来的にEL材料の発光輝度が高く
なれば、出力した画像情報を含む光をレンズ等で拡大投
影してフロント型若しくはリア型のプロジェクターに用
いることも可能となる。
【0131】また、上記電子装置はインターネットやC
ATV(ケーブルテレビ)などの電子通信回線を通じて
配信された情報を表示することが多くなり、特に動画情
報を表示する機会が増してきている。EL材料の応答速
度は非常に高いため、そのような動画表示を行うに適し
ている。
【0132】また、発光装置は発光している部分が電力
を消費するため、発光部分が極力少なくなるように情報
を表示することが望ましい。従って、携帯情報端末、特
に携帯電話やカーオーディオのような文字情報を主とす
る表示部に発光装置を用いる場合には、非発光部分を背
景として文字情報を発光部分で形成するように駆動する
ことが望ましい。
【0133】ここで図15(A)は携帯電話であり、本
体2601、音声出力部2602、音声入力部260
3、表示部2604、操作スイッチ2605、アンテナ
2606を含む。本発明の発光装置は表示部2604に
用いることができる。なお、表示部2604は黒色の背
景に白色の文字を表示することで携帯電話の消費電力を
抑えることができる。
【0134】また、図15(B)はカーオーディオ(車
載用オーディオ)であり、本体2701、表示部270
2、操作スイッチ2703、2704を含む。本発明の
発光装置は表示部2702に用いることができる。ま
た、本実施例では車載用オーディオを示すが、据え置き
型(家庭用)オーディオに用いても良い。なお、表示部
2704は黒色の背景に白色の文字を表示することで消
費電力を抑えられる。
【0135】さらに、光センサを内蔵させ、使用環境の
明るさを検知する手段を設けることで使用環境の明るさ
に応じて発光輝度を変調させるような機能を持たせるこ
とは有効である。使用者は使用環境の明るさに比べてコ
ントラスト比で100〜150の明るさを確保できれば
問題なく画像もしくは文字情報を認識できる。即ち、使
用環境が明るい場合は画像の輝度を上げて見やすくし、
使用環境が暗い場合は画像の輝度を抑えて消費電力を抑
えるといったことが可能である。
【0136】以上の様に、本発明の適用範囲は極めて広
く、あらゆる分野の電気器具に用いることが可能であ
る。また、本実施例の電気器具は、実施例7〜実施例1
0の構成を自由に組み合わせた発光装置を用いることで
得ることができる。
【0137】
【発明の効果】本発明を実施することで、成膜装置(蒸
着装置)の内部に設けられた部品もしくは成膜室内壁を
大気解放することなくクリーニングすることが可能とな
る。そのため、部品洗浄等に要する時間を短縮化でき、
延いては電気光学装置の作製工程を短縮化できる。
【0138】特に、本発明のクリーニング方法を実施し
てEL素子を含む発光装置を作製した場合、EL素子を
形成する有機EL材料の吸着酸素や吸着水による劣化を
低減することができるため、信頼性の良い発光装置を作
製することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 成膜室の断面構造を示す図。
【図2】 成膜室の断面構造を示す図。
【図3】 蒸着源および蒸着源ホルダの構造を示す
図。
【図4】 成膜室の上面構造を示す図。
【図5】 成膜室の断面構造を示す図。
【図6】 成膜室の上面構造を示す図。
【図7】 成膜室の断面構造を示す図。
【図8】 マルチチャンバー方式の成膜装置の構造を
示す図。
【図9】 インライン方式の成膜装置の構造を示す
図。
【図10】 発光装置の作製工程のフローチャートを示
す図。
【図11】 発光装置の作製工程を示す図。
【図12】 発光装置の作製工程を示す図。
【図13】 発光装置の作製工程を示す図。
【図14】 電気器具の一例を示す図。
【図15】 電気器具の一例を示す図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3K007 AB13 AB18 BB01 BB02 CA04 CB01 DA00 DB03 EB00 FA01 FA02 FA03 4K029 BA62 BC07 BD00 DA00 DA09 DA10 5F004 AA15 BB05 BD07 DA00 DA01 DA04 5F103 AA01 BB45 LL01 LL20 PP01 RR01 RR07

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】成膜室に設けられた部品に対して赤外光、
    紫外光もしくは可視光を照射する手段を有することを特
    徴とする成膜装置。
  2. 【請求項2】成膜室の内部に設けられた部品に対して赤
    外光、紫外光もしくは可視光を照射するランプ光源を有
    することを特徴とする成膜装置。
  3. 【請求項3】請求項2において、前記ランプ光源の形状
    は長方形もしくは長楕円形であることを特徴とする成膜
    装置。
  4. 【請求項4】成膜室に設けられた部品を輻射熱により加
    熱する手段を有することを特徴とする成膜装置。
  5. 【請求項5】成膜室に設けられた部品に、該部品を輻射
    熱により加熱する導体が設けられていることを特徴とす
    る成膜装置。
  6. 【請求項6】請求項1乃至請求項5のいずれか一におい
    て、前記部品は防着シールドであることを特徴とする成
    膜装置。
  7. 【請求項7】請求項1乃至請求項6のいずれか一におい
    て、前記成膜室に排気処理室が連結されていることを特
    徴とする成膜装置。
  8. 【請求項8】請求項7において、前記排気処理室ではプ
    ラズマが形成されることを特徴とする成膜装置。
  9. 【請求項9】成膜室に設けられた部品に対して赤外光、
    紫外光もしくは可視光を照射することにより該部品に付
    着した蒸着材料を昇華させ、昇華させた蒸着材料を排気
    することを特徴とする成膜装置のクリーニング方法。
  10. 【請求項10】請求項9において、前記赤外光、紫外光
    もしくは可視光は前記成膜室に設けられたランプ光源を
    用いて照射されることを特徴とする成膜装置のクリーニ
    ング方法。
  11. 【請求項11】請求項9において、前記赤外光、紫外光
    もしくは可視光の照射面は長方形もしくは長楕円形であ
    ることを特徴とする成膜装置のクリーニング方法。
  12. 【請求項12】請求項9乃至請求項11のいずれか一に
    おいて、前記蒸着材料を昇華させる際、前記成膜室内に
    ハロゲン族元素を含むガスを流すことを特徴とする成膜
    装置のクリーニング方法。
  13. 【請求項13】請求項9乃至請求項12のいずれか一に
    おいて、前記昇華させた蒸着材料は排気中にプラズマに
    晒されることを特徴とする成膜装置のクリーニング方
    法。
  14. 【請求項14】請求項13において、前記プラズマは酸
    素プラズマであることを特徴とする成膜装置のクリーニ
    ング方法。
  15. 【請求項15】請求項9乃至請求項14のいずれか一に
    おいて、前記蒸着材料は有機EL材料であることを特徴
    とする成膜装置のクリーニング方法。
  16. 【請求項16】請求項9乃至請求項15のいずれか一に
    記載のクリーニング方法を用いたことを特徴とする電気
    光学装置の作製方法。
  17. 【請求項17】請求項9乃至請求項15のいずれか一に
    記載のクリーニング方法を用いたことを特徴とする発光
    装置の作製方法。
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