JP2002060275A - 摺動部材 - Google Patents

摺動部材

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JP2002060275A
JP2002060275A JP2000245618A JP2000245618A JP2002060275A JP 2002060275 A JP2002060275 A JP 2002060275A JP 2000245618 A JP2000245618 A JP 2000245618A JP 2000245618 A JP2000245618 A JP 2000245618A JP 2002060275 A JP2002060275 A JP 2002060275A
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JP2000245618A
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Yusuke Okamoto
本 裕 介 岡
Kazuo Matsuo
尾 一 雄 松
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Nissan Motor Co Ltd
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Nissan Motor Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 軽量性と共に、摩擦特性および耐久性に優
れ、例えばエンジン動弁機構のバルブリフターシムに適
用した場合に、燃費の大幅な向上が可能な摺動部材を提
供する。 【解決手段】 断面組織における短軸径5μm以上の粒
子の割合が12〜55%であると共に、短軸径5μm以
上の粒子を除いたマトリックス部分の粒子の平均短軸径
が1.5μm以下である窒化ケイ素焼結体により摺動部
材を構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、窒化ケイ素焼結体
からなり、例えば自動車用エンジンなどにおける摺動部
品に好適に使用される摺動部材に係わり、例えばバルブ
リフター用シムに適用することによって、エンジンの燃
費を大幅に向上させることができる摺動部材に関するも
のである。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】自動車用をはじめとす
る各種のエンジンには、多くの摺動部分があるが、近年
高まっているエネルギー節約の観点から、これら摺動部
分における摩擦低減の要請が一層強くなってきている。
【0003】自動車用エンジンの中では、バルブリフタ
ーにおけるカム−シム間の部分が、摩擦の低減がとりわ
け強く要望されている部分のひとつである。また、この
カム−シム間は摩擦条件としてもかなり厳しい部類に入
る部位でもあり、この部分の摩擦を大幅に低減できれ
ば、エンジンの燃費向上が可能になるものと考えられて
いる。
【0004】図1は、エンジン内におけるシムのカムお
よびバルブに対する位置関係を模式的に示すものであっ
て、図中に示すシム1は、厚さ数mm程度、直径30m
m内外の円形または楕円形の板であって、バルブ2の先
端部に取付けられたバルブリフター3の頂面に設置さ
れ、コイルスプリング4によって図中上方に付勢され、
カム5と摺動しながらカム5から力を受ける。
【0005】このようなシムには、従来焼入れ鋼や浸炭
鋼などが用いられてきたが、比重が大きく、またスカッ
フィングなどへの対応も別途検討しなくてはならない。
一方、セラミックス材料のリフターシムへの適用も検討
されているが、焼入れ鋼や浸炭鋼製のシムと比べて、比
重は小さいものの、摩擦損失の低減に関しては格段に有
利とまでは言えず、セラミックスの適用は限定的なもの
となっているのが実情であって、カム−シム間の摩擦を
低減すると共に、シム自体を軽量化することがエンジン
におけるエネルギー効率を高め、燃費を向上させるため
の課題となっていた。
【0006】
【発明の目的】本発明は、従来のエンジンにおける上記
課題に着目してなされたものであって、軽量化が可能で
あると共に、摩擦特性および耐久性に優れ、例えばエン
ジン動弁機構のバルブリフターシムに適用した場合に、
燃費の大幅な向上が可能な摺動部材を提供することを目
的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、軽量化のた
めにセラミックス系材料を用いた上で、その摩擦特性や
耐久性の改善について鋭意検討を重ねた結果、摺動部材
の素材として、窒化ケイ素の組織が一定の条件を満たす
場合に、摩擦損失が低減し、かつ耐久性が向上すること
が判明し、このような窒化ケイ素をシムとしてエンジン
に用いることによって、燃費を向上させることができ、
しかもこのような効果を長期間に亘って維持できること
を見出した。さらに、熱伝導率を所定の値以上とするこ
とによって上記効果がさらに顕著なものとなり、加えて
表面の粗さについて、日本工業規格に規定される表面粗
さRaがある一定の値以下となることによって、摩擦損
失の低減と耐久性の向上の効果がさらに高められること
も併せて見出すに到った。
【0008】本発明は、このような知見に基づくもので
あって、本発明の請求項1に係わる摺動部材は、窒化ケ
イ素焼結体からなり、該窒化ケイ素焼結体の断面組織に
おいて、短軸径5μm以上の粒子が12〜55%の割合
で存在すると共に、短軸径5μm以上の粒子を除いたマ
トリックス部分における粒子の短軸径の平均値が1.5
μm以下である構成としたことを特徴としており、摺動
部材におけるこのような構成を前述した従来の課題を解
決するための手段としている。
【0009】本発明に係わる摺動部材実施の一形態とし
て、請求項2に係わる摺動部材においては、熱伝導率が
70W/m・K以上である構成とし、同じく実施形態と
して、請求項3に係わる摺動部材においては、表面粗さ
がRa0.20μm以下である構成とし、請求項4に係
わる摺動部材は、当該摺動部材がシムである構成として
おり、摺動部材におけるこのような構成を前述した従来
の課題を解決するための手段としたことを特徴としてい
る。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明に係わる摺動部材において
は、素材として窒化ケイ素焼結体を用い、焼結体中にお
ける窒化ケイ素粒子の径の分布を特定のものとするこ
と、すなわち、焼結体組織における短軸径5μm以上の
粒子の割合を断面での面積比で12%以上55%以下と
し、さらにこれら短軸径5μm以上の粒子を除いたマト
リックス部分の粒径を短軸径の平均値で1.5μm以下
とすることにより、耐久性に富み、かつ摩擦損失の少な
い窒化ケイ素焼結体を得、このような窒化ケイ素焼結体
をもって摩擦特性,耐久性および軽量性に優れた摺動部
材としている。したがって、このような摺動部材をエン
ジンのバルブリフターに用いられるシムに適用すること
によって、摩擦損失の低減と軽量化によりエンジンの燃
費が向上すると共に、耐久性の向上によりこのような燃
費の向上効果が長期に亘って維持されることになる。
【0011】このとき、短軸径5μm以上の粒子の割合
が12%に満たない場合には、摺動部材の摩擦抵抗が大
きくなり、このような摺動部材をシムとして用いたエン
ジンにおいては燃費の向上効果が得られなくなる。ま
た、短軸径5μm以上の粒子の割合が55%を超える
と、摺動部材としての耐久性が得られなくなり、このよ
うなシムを用いたエンジンにおいては、搭載初期には燃
費が向上したとしても、次第にその効果が減じることに
なる。一方、マトリックス部分における粒子の短軸径の
平均値が1.5μmを超えた場合には、同様に摺動部材
としての耐久性が劣るものとなり、シムとしてこのよう
な摺動部材を用いたエンジンにおいては燃費低減の効果
が次第に小さくなるものとなる。
【0012】また、本発明に係わる摺動部材において
は、上記効果をさらに高め、確実なものとする観点にお
いて、その熱伝導率を70W/m・K以上とすることが
望ましい。すなわち、熱伝導率が70W/m・Kに満た
ない場合には、摺動部材の摩擦抵抗が大きくなる傾向が
あり、シムとしてエンジンに用いたときには、燃費の向
上が期待できなくなることある。一方、熱伝導率は高い
ほど望ましく、上限値は規定されない。上記した窒化ケ
イ素焼結体の組織(粒子径の分布)の規定を満足する範
囲内で選択することができる。
【0013】さらに、本発明に係わる摺動部材において
は、摩擦抵抗をさらに低減し、シムとして搭載したエン
ジンの燃費の向上効果をより顕著なものとするために、
その表面粗さを日本工業規格(B 0601)に規定さ
れるRaで0.20μm以下とすることが望ましい。摺
動部材の表面粗さRaが0.20μmを超えると、摩擦
抵抗が急激に増加する傾向があり、このようなシムを用
いたエンジンにおいては、燃費の向上効果が得難くなる
ことがある。表面粗さについては、表面が平滑であれば
あるほど摩擦低減効果が顕著となって燃費向上効果が大
きくなることから、Ra値の下限は特に定められない
が、要求性能と加工コストとを勘案して適度の表面粗さ
に定められることになる。
【0014】なお、本発明に係わる摺動部材は、上記し
たようなバルブリフターシムのみならず、エンジン部品
をはじめとする種々の部材、例えばロッカーアームなど
にっ広く適用することができる。
【0015】
【発明の効果】本発明の請求項1に係わる摺動部材は、
上記構成すなわち、断面組織における短軸径5μm以上
の粒子の割合が12〜55%であると共に、短軸径5μ
m以上の粒子を除いたマトリックス部分の粒子の平均径
が短軸径で1.5μm以下である窒化ケイ素焼結体から
なるものであるから、従来の鉄鋼系材料に比べて大幅な
軽量化が可能であり、摩擦特性および耐久性を大幅に改
善することができるという極めて優れた効果をもたらす
ものである。
【0016】本発明の実施の形態として請求項2に係わ
る摺動部材においては、その熱伝導率を70W/m・K
以上としたものであるから、摩擦抵抗をさらに低減する
ことができ、同じく実施の形態として、請求項3に係わ
る摺動部材においては、その表面粗さをRa0.20μ
m以下としたものであるから、摩擦抵抗をさらに顕著に
低減することができ、本発明の効果をさらに確実なもの
とすることができる。
【0017】また、本発明の請求項4に係わる摺動部材
は、当該摺動部材をエンジンのバルブリフターシムに適
用したものであるから、本発明に係わる摺動部材の軽量
性、摩擦性能および耐久性を最大限に活かすことがで
き、カムの軸トルクを低減して、エンジンの燃費を大幅
に向上させることができると共に、耐久性の向上により
ってこのような燃費の向上効果を長期間維持することが
できるという優れた効果がもたらされる。
【0018】
【実施例】以下に、本発明を実施例に基づいてより具体
的に説明する。
【0019】実施例1 β型窒化ケイ素を主成分とする窒化ケイ素粉末(電気化
学工業製:SN−P21FC)に、焼結助剤としてY2
3およびNd23を2molずつ添加し、エタノールを
用いた湿式ボールミルで94時間混合した。
【0020】混合後の粉末を乾燥し、直径40mm、厚
さ約5mmの大径円板と、直径13mm、厚さ4mmの
小径円板と、さらに5mm×6mm×50mmの角柱と
の3種類にそれぞれ圧粉成形した。この成形体に冷間静
水圧プレスを施した後、電気炉を用いて、0.94MP
aの窒素雰囲気中、1900℃で4時間焼結した。そし
てさらに、この焼結体を9.8MPaの窒素雰囲気記
中、2000℃で4時間焼成した。
【0021】焼成完了後、得られた焼結体のうち、直径
40mmの大径円板を研削により直径31mmの円板形
状に加工し、シムとして後述するモータリング試験に供
した。このとき、片面側をラッピングにより、JIS
B 0601に規定される表面粗さRaで0.05μm
程度まで仕上げた。ラッピング加工後、この研磨面の表
面粗さRaを実測したところ0.030μmであった。
なお、シムの厚さとしては、カムとのクリアランンスを
調整する必要性から数水準のものを用意した。
【0022】得られた焼結体の組織観察については、角
柱状の焼結体を厚さ4mmに切断し、切断面を研磨した
後、プラズマエッチング処理を行った。この試験片を走
査型電子顕微鏡により観察し、粒径の定量を行った。粒
子の径は短軸径をもって代表させた。なお、当該短軸径
の定量に際しては、HwangとTienの方法(マテ
リアルズ サイエンス フォーラム 第47巻(198
9)、84−109ページ、トランステックパブリケー
ション、スイス国)を用いた。これは、材料の任意の切
断面において個々の粒子の断面として現れる六角形の対
辺間距離のうち、最小のものを粒子の真の径に近似する
方法である。
【0023】また、直径13mmの小径円板の表面を研
削して厚さ3mmに仕上げたのち、レーザフラッシュ法
によって、熱伝導率の測定を行った。測定は1つの資料
につき3回行い、その平均値を採った。
【0024】そして、3.0リットルV型6気筒エンジ
ンのひとつの気筒を模擬した試験装置を用いて、排気側
および吸気側それぞれ2本、合計4本のバルブリフター
にシムに加工した上記円板(直径31mm)を組み込み、
定格回転数でのモータリング試験を720時間実施し、
モータのカム軸トルクを計測した。カム軸トルクは、カ
ムの回転角に応じて変動するが、この試験においては1
サイクルにおける最大値をもって代表値とした。なお、
以下に示すカム軸トルクの測定値は、いずれも試験終了
直前(試験開始から720時間)における値である。試験
終了後には、シム表面を観察すると共に、表面粗さの測
定を行い試験開始前の表面粗さの値と比較した。
【0025】このモータリング試験においては、従来技
術と比較するため、別途用意した浸炭焼入れ鋼(SCM
415)製のシムを同様の試験装置に組み込み、同様の
モータリング試験を行った場合のカム軸トルクを基準値
とした。そして、この基準値に対するカム軸トルクの減
少率で各シムの摩擦特性を評価した。
【0026】なお、この実施例においては、上記基準値
に対して10%以上のカム軸トルクの減少が認められた
ものを効果ありと判断した。また、表面粗さについて
は、試験後のRaが試験前のRaに比べて25%増以内
に収まったものを耐久性の面で効果ありと判断した。も
ちろん、表面に明らかなえぐれや薄利が生じているもの
については、Raの増加分が25%以内であっても耐久
性を満足しないものと判断した。
【0027】組織観察(短軸径5μm以上の粒子の割
合、繊短軸径5μm以上の粒子を除いたマトリックス部
分の粒子の平均短軸径)結果、熱伝導率、表面粗さおよ
び基準値に対するカム軸トルクの減少率の調査結果を表
1に示す。当該実施例1に係わる摺動部材においては、
カム軸トルクが基準値に対して22%減少すると共に、
表面粗さRaの増加分は6%に収まり、摩擦損失および
耐久性ともに良好な結果が得られた。
【0028】実施例2 上記実施例1と同様の材料を用いて、同様の焼成を行っ
た後、さらにもう一度2000℃×4時間の焼成を繰返
すことによって、同様に3種類の焼結体を得た。そし
て、同様の試験を行った結果を表1に併せて示す。
【0029】この結果、短軸径5μm以上の粒子の割合
が増加すると共に、マトリックス部分の粒子の粒子径も
若干大きくなった。また、熱伝導率に向上が認められ
た。そして、実施例1に比べてカム軸トルクの減少幅が
大きくなる一方、表面粗さRaの増加分が幾分大きくな
ったが、摩擦損失、耐久性とも良好な結果が得られた。
【0030】実施例3 上記実施例1と同様の材料を用いて、同様に1900℃
×4時間の焼成を行った後、2000℃における2回目
の焼成時間を2時間に短縮することによって、3種類の
同様の焼結体を得た。そして、同様の試験を行った結果
を表1に併せて示す。
【0031】この結果、実施例2とは逆に、短軸径5μ
m以上の粒子の割合が減少し、マトリックス部分の粒子
径も小さくなった。また、熱伝導率には若干の低下が認
められ、実施例1に比べてカム軸トルクの減少の効果が
わずかに小さくなったが、表面粗さRaの低下が抑制さ
れることが確認され、摩擦損失、耐久性ともに良好な結
果となった。
【0032】実施例4 上記実施例1と同様の材料を用いて、同様の焼成を行う
ことによって、同様に3種類の焼結体を得たのち、直径
40mmの大径円板から直径31mmのシム用円板を作
成するに際し、表面にラッピング加工を行うことなく研
削加工のみによって仕上げた。
【0033】この結果、表1に示すように、表面粗さR
aは0.17μmと、実施例1よりかなり粗くなったも
のの、カム軸トルクの減少幅では、ある程度の効果が認
められ、トルク減少に対する要求がさほど厳しくない場
合には、必ずしもラッピングを行わなくてもよく、加工
コストの低減が可能であることが確認された。
【0034】実施例5 上記実施例1における1900℃×4時間+2000℃
×4時間の焼成過程に代えて、0.98MPaの窒素雰
囲気下における1900℃×12時間の焼成プロセスに
より、同様の焼結体を作製した。そして、同様の試験を
行った結果を表1に併せて示す。
【0035】この結果、短軸径5μm以上の粒子の割合
が減少し、マトリックス部分の粒子の径も小さくなっ
た。また、熱伝導率は幾分低下し、カム軸トルクの減少
効果も小さくなったが、比較的良好な結果を示し、焼成
が一度で済むことから、当該工程の採用により製造工程
の簡略化の可能性が確認された。
【0036】実施例6 上記実施例1において使用した焼結助剤Y23,Nd2
3に代えて、4molのYb23を添加し、以下同様
のプロセスにより各試験片を作製し、同様の試験を行っ
た。その結果を表1に併せて示す。
【0037】表1から明らかなように、実施例1の摺動
部材に比べて、短軸径5μm以上の粒子の割合がわずか
に増加したが、摩擦損失、耐久性ともに、実施例1の場
合とほぼ同等の良好な結果が得られた。
【0038】実施例7 実施例1において使用した焼結助剤Y23,Nd23
添加量をそれぞれ2molから0.5molずつに減ら
して焼成を行った。そして、同様のプロセスにより各試
験片を作製して同様の試験を行った。その結果を表1に
併せて示す。
【0039】その結果、実施例1に比べて、短軸径5μ
m以上の粒子の割合が増加し、熱伝導率も向上したが、
表面粗さRaの増加分がやや多くなったものの、良好な
結果が得られた。
【0040】実施例8 熱伝導率がやや低い例である。実施例1で用いたY23
とNd23の組み合わせの助剤に代えて、Y23とAl
23の組み合わせを用いた。添加量は各2molずつで
ある。他のプロセスは実施例1と同様に行った。同様の
試験を行った結果を表1に併せて示す。
【0041】熱伝導率は63W/m・Kであった。モー
タリング試験においてトルクの減少は見られたが、他の
実施例に比べて減少幅は小さい傾向がある。
【0042】実施例9 表面粗さがRaで0.2を超えた例である。シム素材の
作製までは実施例1と同様に行ったが、表面加工を研削
のみとして粗さを変えたものである。以降の評価、組織
観察は実施例1と同様に行った。その結果を表1に併せ
て示す。
【0043】カム軸トルクの低減効果は11%であっ
た。低減効果をより大きく得るためには表面粗さが小さ
い方がよいが、加工コストとの関係でこのような態様を
採ることもできる。
【0044】比較例1 上記実施例1における1900℃×4時間+2000℃
×4時間の焼成過程に代えて、1900℃×2時間のみ
の焼成を行い、以下同様のプロセスにより各試験片を作
製し、同様の試験を行った。その結果を表1に併せて示
す。
【0045】その結果、表面粗さRaの低下が少なく、
耐久性には優れているものの、短軸径5μm以上の粒子
の割合が11%と減少し、カム軸トルクの低減効果はほ
とんど認められなかった。
【0046】比較例2 実施例1における1900℃−4時間+2000℃−4
時間の焼成過程に代えて、2回目の焼成温度2000℃
を2200℃に高めて同様の焼結体を作製した。以下同
様のプロセスにより各試験片を作製し、同様の試験を行
った。その結果を表1に併せて示す。
【0047】その結果、短軸径5μm以上の粒子の割合
が58%と増加した。モータリング試験の開始直後にお
いてはカム軸トルクの低減効果が顕著であったが、時間
経過とともに次第にトルクが大きくなり、試験終了時点
(720時間経過後)における効果は小さいものとなっ
た。表面粗さRaについても試験開始前に比べて大幅に
増加しており、表面の一部には荒れが認められた。
【0048】比較例3 実施例1において使用した焼結助剤Y23,Nd23
添加量をそれぞれ2molから4molずつに増量した
上で、同様の焼成を行った。次いで、同様のプロセスに
より各試験片を作製し、同様の試験を行った。その結果
を表1に併せて示す。
【0049】その結果、短軸径5μm以上の粒子を除い
たマトリックス部分の平均短軸径が1.7μmと粗大化
し、カム軸トルクの減少効果は認められたものの、表面
粗さRaの低下幅が大きい結果となった。
【0050】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【図1】エンジン内におけるシムのカムおよびバルブに
対する位置関係を示す模式図である。
【符号の説明】
1 シム
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3G016 AA02 AA06 AA19 BB05 DA12 EA14 EA24 GA01 GA02 4G001 BA08 BA09 BA32 BB08 BB09 BB32 BC52 BC54 BC57 BD03 BD11 BE35

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 窒化ケイ素焼結体からなり、該窒化ケイ
    素焼結体の断面組織において、短軸径5μm以上の粒子
    が12〜55%の割合で存在すると共に、短軸径5μm
    以上の粒子を除いたマトリックス部分における粒子の短
    軸径の平均値が1.5μm以下であることを特徴とする
    摺動部材。
  2. 【請求項2】 熱伝導率が70W/m・K以上であるこ
    とを特徴とする請求項1記載の摺動部材。
  3. 【請求項3】 表面粗さがRa0.20μm以下である
    ことを特徴とする請求項1または請求項2記載の摺動部
    材。
  4. 【請求項4】 シムであることを特徴とする請求項1な
    いし請求項3のいずれかに記載の摺動部材。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005003522A1 (ja) * 2003-07-01 2005-01-13 Sumitomo Electric Industries, Ltd. 耐摩摺動部品およびそれを用いた摺動装置

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WO2005003522A1 (ja) * 2003-07-01 2005-01-13 Sumitomo Electric Industries, Ltd. 耐摩摺動部品およびそれを用いた摺動装置

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