JP2002059503A - 触媒含有機能材およびその製造方法 - Google Patents

触媒含有機能材およびその製造方法

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JP2002059503A
JP2002059503A JP2000252068A JP2000252068A JP2002059503A JP 2002059503 A JP2002059503 A JP 2002059503A JP 2000252068 A JP2000252068 A JP 2000252068A JP 2000252068 A JP2000252068 A JP 2000252068A JP 2002059503 A JP2002059503 A JP 2002059503A
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Yoshinobu Fujimoto
好信 藤本
Mugen Cho
無限 張
Motoomi Okabe
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 有害物質等を効率的に除去することが可能で
あり、かつ耐久性に優れた触媒含有機能材およびその製
造方法を提供すること。 【解決手段】 基材表面に、最大粒径が1μm以下であ
る触媒と、粘土鉱物よりなる層を有することを特徴とす
る触媒含有機能材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、有害物質等の除去
効率に優れた触媒含有機能材およびその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】紙等の柔軟なシート状基材に触媒を固定
化し、触媒シートを作成しようという試みは以前より行
われてきた。
【0003】このような方法としては、例えば、シート
内に触媒を混抄する方法、熱可塑性樹脂に練り込んで紡
糸したのち不織布にする方法、触媒に耐性のある物質
(無機多孔性物質)を触媒に結合させた後、混抄する方
法、塗工により触媒を固定化する方法等が知られてい
る。しかしながら、これらの方法には、以下のような欠
点がある。
【0004】例えば、シート内に触媒を混抄する方法に
おける欠点としては、触媒が網抜けし、歩留まりが悪
い、シート内部に分散した触媒は水素結合を妨害して
シートの強度を低下させる上に、触媒が光触媒である場
合には、光が届き難いため、触媒作用がほとんど発揮さ
れないこと等が挙げられる。
【0005】触媒を熱可塑性樹脂に練り込んで紡糸した
のち不織布にする方法における欠点としては、溶融押
出し装置等の特別な装置が必要である、天然繊維には
適用できない、樹脂内部に埋没した触媒は触媒作用が
発揮されないこと等が挙げられる。
【0006】また、触媒に耐性のある物質(無機多孔性
物質)を触媒に結合させた後、混抄する方法における欠
点としては、結合させるために特別の操作が必要であ
る、無機多孔性物質には触媒作用が無いため、重量の
割には触媒作用が小さいこと等が挙げられる。
【0007】これに対し、塗工により、例えば光触媒を
固定化する方法は、以下のような利点がある。光が当
たりやすい基材表面にのみ光触媒が分散し、基材内部や
裏面等の光が当たらない場所に分散することがほとんど
ないため光触媒の効率が高い、基材内部や裏面等には
光触媒が分散することがほとんどないため、この部分で
基材の強度を維持できる、板、ブロック等の形態の場
合でも光触媒を含有させることができる。このようなこ
とから、各種の光触媒コーティング剤が光触媒メーカー
各社より販売されている。
【0008】市販の光触媒コーティング剤の多くは、粘
度が低く、高温で焼結させる必要があるため、タイルや
ガラス等の吸水性が小さく、熱に強い基材の塗工には適
している。しかしながら、紙や不織布等の吸水性が高
く、熱に弱い材料に塗工する場合、粘度が低いためバ
ーコータ法では塗工できない、ディップ法やスプレー
法では基材内部まで光触媒が浸透してしまう、光触媒
と基材との結合力が小さく、粉落ち(チョーキング)す
る等の問題がある。
【0009】また、吸水性が高く、熱に弱い材料に塗工
するためには、光触媒と基材とを結合させ、かつコーテ
ィング剤の粘度を増加する適当な定着剤を加えることに
より、チョーキングを防止し、かつ塗工性を向上させる
必要があるが、この場合、光触媒が定着剤に埋没し、
光触媒作用の発現が妨げられる、光触媒作用により定
着剤が分解しチョーキングする、基材が高機能材の場
合、基材表面が定着剤に覆われてしまうため当該基材の
機能の発現が妨げられる等の問題が生じる。
【0010】さらに、チョーキングを防止するために、
光触媒を塗工した塗工層の上に、もう一層塗工する方法
や通気性シートを貼り付ける方法が報告されているが、
加工に二度手間がかかる上に光触媒含有層に光が照射さ
れにくくなる問題がある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
従来のコーティング剤を塗工して得られる触媒含有機能
材における種々の問題、例えば触媒のチョーキング、触
媒による有機系担体(紙、不織布等)の強度低下、およ
び触媒が担体内部に埋没されることによる触媒反応効率
の低下等を克服したものであって、有害物質等の除去効
率に優れ、かつ耐久性にも優れた触媒含有機能材および
その製造方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成すべく鋭意研究した結果、ゾル状触媒と粘土鉱物
とを含有する塗料を基材表面に塗工することで、有害物
質等の除去効率および耐久性に優れた機能材が得られる
ことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0013】すなわち、本発明は以下の通りである。 〔1〕 基材表面に、最大粒径が1μm以下である触媒
と、粘土鉱物よりなる層を有することを特徴とする触媒
含有機能材。 〔2〕 触媒と粘土鉱物との重量比が、2:10〜3
0:10である上記〔1〕の触媒含有機能材。 〔3〕 触媒が、光触媒である上記〔1〕または〔2〕
の触媒含有機能材。 〔4〕 粘土鉱物が、スメクタイトである上記〔1〕〜
〔3〕のいずれかの触媒含有機能材。 〔5〕 基材が、親水性高分子基材である上記〔1〕〜
〔4〕のいずれかの触媒含有機能材。 〔6〕 基材が、多孔性物質を含有する上記〔1〕〜
〔5〕のいずれかの触媒含有機能材。 〔7〕 多孔性物質が、ゼオライトである上記〔6〕の
触媒含有機能材。 〔8〕 ゾル状触媒と粘土鉱物とを含有することを特徴
とする触媒含有塗料。
〔9〕 触媒換算したゾル状触媒と、粘土鉱物との重量
比が、1:10〜15:10である上記〔8〕の触媒含
有塗料。 〔10〕 液温20℃の条件下、No.3 ザーンカッ
プにより測定される粘度が、10〜30秒である上記
〔8〕または
〔9〕の触媒含有塗料。 〔11〕 上記〔8〕〜〔10〕のいずれかの触媒含有
塗料を基材表面に塗工し、乾燥させることを特徴とする
上記〔1〕の触媒含有機能材の製造方法。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の触媒含有機能材は、基材
表面に、最大粒径が1μm以下である触媒と、粘土鉱物
よりなる層を有することを特徴とする。この層は、ゾル
状触媒由来の最大粒径が1μm以下である触媒と、該触
媒を基材に定着する作用を有する粘土鉱物より形成され
る層であり、好ましくは、ゾル状触媒と粘土鉱物とを含
有する塗料を塗工し、乾燥させることにより得られる塗
工層である。
【0015】本発明の触媒含有機能材における触媒とし
ては、酸化チタン、酸化鉄、酸化ビスマス、硫化カドミ
ウム、酸化亜鉛、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バ
リウム、酸化タングステン、酸化ジルコニウム等の光触
媒;オクタカルボン酸鉄(III)フタロシアニン、テト
ラカルボン酸鉄(III)フタロシアニン等の鉄−フタロ
シアニン誘導体;テトラカルボン酸コバルト(II)フタ
ロシアニン、モノスルホン酸コバルト(II)フタロシア
ニン等のコバルト−フタロシアニン誘導体;コバルト、
ニッケル、イリジウム等の金属触媒;酸化バナジウム、
酸化モリブデン等の金属酸化物触媒;白金黒等の白金触
媒;パラジウム黒、塩化パラジウム等のパラジウム触媒
等を挙げることができる。なかでも光触媒が好ましく、
特に酸化チタンが好ましい。また、これらの触媒は2種
以上併用してもよい。
【0016】本発明の触媒含有機能材において、上記触
媒の最大粒径は、1μm以下、好ましくは0.5μm以
下、より好ましくは0.1μm以下である。すなわち、
本発明の触媒含有機能材中の触媒は、最大粒径が1μm
以下であればよく、それ以下の粒径であれば特に限定さ
れず、後記走査型電子顕微鏡による測定方法で測定する
ことができないような粒径のものが含まれていてもよ
い。実際、本発明の触媒含有機能材中の触媒は、大部分
が後記走査型電子顕微鏡による測定方法で測定できない
ような粒径である。触媒機能材中の触媒の最大粒径が1
μm以下であることで、除去対象物質との接触頻度に関
係する比表面積が十分に大きくなるので除去対象物質を
効率的に分解することができるばかりでなく、触媒含有
機能材におけるチョーキングの原因とはならない。ま
た、本発明の触媒含有機能材において、触媒の粒径を1
μm以下にするためには、原料の触媒としてゾル状触媒
を使用する必要がある。従来の触媒含有塗料において使
用される粉体状触媒は、塗料中で1μm以下であって
も、塗工の際にそれらが互いに結合した10μmを超え
る大きさのものが生じる。10μmを超える大きさのも
のは、除去対象物質の分解能力が不十分となる可能性が
あり、また触媒含有機能材におけるチョーキングの原因
となるので好ましくない。なお、ここでいう粒径とは、
走査型電子顕微鏡を用いて1000〜3500倍の倍率
で写真を撮り、各粒子を一定方向の2本の平行線ではさ
み、その平行線間の距離を測ることで測定した値である
(フェレー径)。また、当該測定方法において測定可能
な粒子の大きさは0.1μm以上である。
【0017】本発明の触媒含有機能材において、触媒の
含有率は、好ましくは0.1〜80重量%であり、より
好ましくは1〜30重量%である。触媒の含有率が当該
範囲内であれば触媒反応の効率は充分なものとなり、か
つ製造も容易である。
【0018】本発明の触媒含有機能材における粘土鉱物
としては、層状構造を有し、水に膨潤するものであれば
特に限定されず、非晶質であっても結晶質であってもよ
い。非晶質のものとしては、アロフェン、ヒシンゲル石
等が挙げられる。また、結晶質のものとしては、フィロ
ケイ酸塩およびイノケイ酸塩等が挙げられる。フィロケ
イ酸塩としては、2:1型(パイロフィライト、タル
ク、ウンモ、モンモリロン石群(スメクタイト)、ベン
トナイト、バーミキュル石等)、2:2型(リョクデイ
石群等)およひ1:1型(カオリン群等)が挙げられ、
イノケイ酸塩としては、パリゴルスカイト群等が挙げら
れる。好ましくは、水中の分散性、紙や不織布での塗工
性の点から、結晶質のもの、なかでもフィロケイ酸塩が
挙げられ、特に2:1型のもの、なかでもスメクタイト
が挙げられる。また、これらの粘土鉱物は、2種以上を
併用してもよい。
【0019】本発明の触媒含有機能材において、触媒と
粘土鉱物との重量比は、好ましくは2:10〜30:1
0、より好ましくは3:10〜28:10、特に好まし
くは4:10〜15:10である。触媒と粘土鉱物との
重量比を当該範囲とすることで、触媒の基材への定着力
も十分に確保され、かつ触媒の機能も十分に発揮するこ
とができる。また、当該範囲より小さい場合、定着剤の
影響により触媒の機能が十分に発揮することができず、
逆に当該範囲より大きい場合には、触媒を基材に十分に
定着させることができない。
【0020】本発明の触媒含有機能材において、上記触
媒と粘土鉱物よりなる層の厚みは特に制限はないが、通
気性、層の強度等の点から、好ましくは1〜50μmで
あり、より好ましくは5〜20μmである。
【0021】本発明の触媒含有機能材における基材とし
ては、特に限定されないが、例えば、天然セルロース
(パルプ、ケナフ、木綿、麻等)、再生セルロース(セ
ロファン、セルロースビーズ、レーヨン、セルロースス
ポンジ等)、バクテリアセルロース、セルロース誘導体
(エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒ
ドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチ
ルヒドロキシエチルセルロースおよびカルボキシメチル
セルロース等)等の各種のセルロース、絹、羊毛、ポリ
ビニルアルコール、架橋型ポリビニルアルコール、キチ
ン、キトサン、エチレン酢酸ビニルコポリマー、ポリビ
ニルホルマール、ポリアクリルアミド、コラーゲン、お
よび木毛等の水に対して膨潤する高分子(親水性高分
子)に加え、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピ
レン、アクリル、アラミド、ポリ塩化ビニル、ポリアク
リロニトリル、ナイロン、ポリアミド、およびポリウレ
タン等の各種の有機高分子が挙げられる。なかでも、柔
軟であり、成形加工が容易である点から親水性高分子が
好ましく、実際の使用形態、価格および取り扱い易さの
点から、セルロースが特に好ましい。また、これらの基
材は2種以上を併用してもよく、芯さやの構造物でもよ
い。
【0022】上記基材の形態としては、上記材質から形
成されるものであれば特に限定されないが、除去対象物
質が気体である場合、通気性、坪量の調節が容易で加工
性に優れ経済的である等の点から、紙や不織布が好まし
い。また、その形状も特に限定されず、用途に応じて、
粒子、立方体、シート等として使用することができる。
【0023】上記基材において、好ましくは吸着能力を
有する多孔性物質を含有しているものが挙げられる。当
該基材より構成される触媒含有機能材は、当該多孔性物
質による吸着能力がさらに付与されるので、多孔性物質
を含有しないものに比べて除去対象物質をより効率的に
除去することができる。
【0024】上記多孔性物質は、基材を溶解、分解また
は崩壊させないものであれば特に限定されないが、例え
ば、ゼオライト、シリカゲル、ハイドロタルサイト、ハ
イドロキシアパタイト、粘土鉱物類等が挙げられる。な
かでも、最も用途が広いという点からゼオライトが好ま
しい。また、これらの多孔性物質は、2種以上を併用し
てもよい。
【0025】ゼオライトとしては、特に制限はなく、公
知のゼオライトを使用することができる。また、ゼオラ
イト骨格中のアルミニウム1分子に対するケイ素分子の
割合(Si/Al比)についても種々の値を有するゼオ
ライトが使用できる。具体的には、A型ゼオライト(S
i/Al比:1)、X型ゼオライト(Si/Al比:
1.0〜1.5)、Y型ゼオライト(Si/Al比:
1.5〜3.0)、ZSM−5型ゼオライト(Si/A
l比:10以上)、ZSM−11型ゼオライト(Si/
Al比:10以上)、シリカライト(Si/Al比:無
限大)、合成モルデナイト(Si/Al比:4.5〜1
2)などの合成ゼオライトや、天然モルデナイト(Si
/Al比:4.2〜5.0)、天然クリノプチロライト
(Si/Al比:4.25〜5.25)などの天然ゼオ
ライトなどが挙げられる。また、これらの合成ゼオライ
トや天然ゼオライトの骨格内アルミニウムを脱離させた
ゼオライトも使用できる。例えば、骨格内アルミニウム
を脱離させたY型ゼオライト、骨格内アルミニウムを脱
離させたクリノプチロライト、および骨格内アルミニウ
ムを脱離させたモルデナイトなどが挙げられる。なかで
も、比較的合成が容易である点から4Aゼオライト(N
12Si12Al 1248・27H2O)が好ましい。
【0026】上記多孔性物質の基材中の粒径としては、
好ましくは0.1〜100μmであり、より好ましくは
0.1〜20μmである。粒径が0.1μm未満である
と価格的に高価であり、また、空気中に舞い上がった
り、静電気により反応釜に付着したものが取れにくい等
の取り扱い上の問題が生じる。逆に100μmを超える
と比表面積が小さくなるので、十分な吸着能力が得られ
ない可能性がある。なお、ここでいう粒径とは、走査型
電子顕微鏡を用いて1000〜3500倍の倍率で写真
を撮り、各粒子を一定方向の2本の平行線ではさみ、そ
の平行線間の距離を測ることで測定した値である(フェ
レー径)。
【0027】上記多孔性物質の基材中の含有率は、特に
制限されないが、好ましくは1〜70重量%であり、特
に好ましくは10〜50重量%である。多孔性物質の含
有率が当該範囲内であれば十分な吸着能力が得られ、か
つ容易に製造することができる。
【0028】上記多孔性物質を含有する基材は、製造方
法等に特に限定されず、多孔性物質が基材の表面および
内部を問わず、基材の間隙、内孔(特に基材が多孔質で
ある場合)、基材の実体内(すなわち、基材を構成して
いる高分子の内部)等に物理化学的に保持されているも
のであればよい。また、多孔性物質がバインダー等によ
って基材に保持されていてもよい。なかでも、耐久性の
点から、多孔性物質の少なくとも一部分が基材の実体内
に存在しているものが好ましい。このような基材は、特
開平10−120923号公報等に記載される方法によ
り製造することができる。例えば、多孔性物質がゼオラ
イトであり、基材がパルプであるゼオライト−パルプ複
合体は、パルプを10〜50,000mmol/lの塩
基性物質の水溶液で膨潤させ、1〜10,000mmo
l/lのアルミニウム化合物の水溶液を混合し、次い
で、1〜1,000mmol/lのケイ素化合物の水溶
液を混合した後、20〜100℃で1時間〜20日間処
理することにより製造することができる。
【0029】上記多孔性物質には、さらに、銀、銅、亜
鉛、鉄、ニッケル、コバルト、パラジウム、白金等の金
属が担持されていることが好ましい。これにより、触媒
含有機能材にさらに吸着能力が付与される。例えば、銅
を担持した場合、銅はS基やN基と錯体を形成するの
で、硫化水素やアンモニア等のS基やN基を含有する物
質に対する吸着能力が格別に向上する。このような金属
を担持した多孔性物質を含有する基材は、特開平10−
120923号公報等に記載される方法により製造する
ことができる。例えば、上記ゼオライト−パルプ複合体
のゼオライト部分に金属を担持させる場合、1〜100
mmol/lの金属塩の水溶液に該複合体を浸漬させれ
ばよい。
【0030】また、上記基材は、必要に応じて、補強
材、フィブリル化セルロース、紙力増強剤、歩留向上剤
等の抄紙時に一般的に添加される添加物を含有していて
もよく、また、架橋や置換基導入等の化学修飾がされて
いてもよい。
【0031】本発明の触媒含有機能材は、好ましくはゾ
ル状触媒と粘土鉱物とを含有する触媒含有塗料を基材表
面に塗工し、乾燥させる方法により製造することができ
る。
【0032】上記触媒含有塗料におけるゾル状触媒と
は、上述したような触媒のゾル状態のものである。触媒
がゾル状態であることで、当該塗料の塗工性は良好とな
るばかりでなく、当該塗料の塗工後に得られる触媒含有
機能材においてチョーキングはほとんど発生しない。こ
れに対して、粉体状触媒を当該塗料に使用した場合、長
時間放置しておくと沈殿したり、また上述したように塗
工後に得られる触媒含有機能材においてチョーキングが
発生する等の問題がある。ゾル状触媒の例としては、例
えば、酸化チタンの場合、酸性ゾル〔pH1〜3のも
の:例えば、塩酸酸性ゾル;STS−02(石原産業
(株))、TKS−201(テイカ(株))等;および
硝酸酸性ゾル;STS−01(石原産業(株))、TK
S−202(テイカ(株))等〕と中性ゾル〔pH6〜
8のもの;例えば、TKS−203(テイカ(株))〕
が挙げられ、好ましくは中性ゾルが挙げられる。酸性ゾ
ルを使用する場合、塗料の粘度が低下して、バーコータ
塗工には不適となる恐れがあるからである。
【0033】上記塗料中のゾル状触媒の濃度は、触媒に
換算して好ましくは0.1〜5.0重量%、より好まし
くは0.4〜2.0重量%、特に好ましくは0.75〜
1.5重量%である。0.1重量%未満の濃度では、当
該塗料が塗工された触媒含有機能材において触媒機能の
発現が不十分になる傾向があり、一方、5.0重量%よ
り高い濃度としても触媒機能はさほど上昇しないからで
ある。
【0034】上記塗料における粘土鉱物としては、上述
したようなものが挙げられる。当該塗料中の粘土鉱物の
濃度は、当該塗料中のゾル状触媒と粘土鉱物との重量比
が1:10〜15:10、より好ましくは2:10〜1
3:10、特に好ましくは4:10〜10:10となる
ように設定することが好ましい。ここでいうゾル状触媒
の重量は、触媒に換算した重量である。当該塗料におい
て触媒と粘土鉱物との重量比を当該範囲とすることで、
塗工層における触媒と粘土鉱物との重量比を上述した好
適な重量比とすることができる。
【0035】上記塗料において、液温20℃の条件下、
No.3 ザーンカップにより測定される粘度は、好ま
しくは10〜30秒、より好ましくは15〜25秒、特
に好ましくは17〜19秒である。粘度が当該範囲内で
あると、バーコータ塗工に好適となるので、紙や不織布
等の吸水性が高く、熱に弱い基材に対しても、一回の塗
工作業と乾燥作業で十分な量の触媒をその機能が十分に
発揮可能なように定着させることができる。一方、10
秒未満の粘度であるとバーコータ塗工することができな
い可能性があり、また、基材内部に浸透しやすくなるた
め、触媒が基材内部に埋没され、その機能が十分に発揮
されない可能性がある。また、30秒を超える粘度であ
ると、均一に塗工することが困難となる恐れがある。
【0036】上記塗料において、触媒および粘土鉱物以
外の成分を添加して粘度を上記の好適な範囲になるよう
に調整してもよい。このような粘度調整剤としては、ア
ルギン酸塩、アルギン酸プロピレングリコールエステ
ル、デンプングリコール酸ナトリウム、デンプンリン酸
エステルナトリウム、メチルセルロース等の一般に増粘
剤として使用される物質、イソプロピルアルコール、エ
チルアルコール等のアルコール類が挙げられる。
【0037】上記塗料は、必要に応じて、本発明の目的
が達成される限り、上記以外の成分を含有していてもよ
い。このようなものとしては、シリコーン樹脂等の消泡
剤、ナフテン酸金属塩等の防カビ・防腐剤等が挙げられ
る。
【0038】上記塗料の基材表面への塗工方法は、特に
限定されず、塗料の塗工方法としては、バーコータ法、
ディップ法、スプレー法等の従来公知の方法を用いるこ
とができる。好ましくは塗料を均一に塗工することが可
能であること、塗料が基材内部に浸透しにくいこと、操
作が簡便であること等の点から、バーコータ法が挙げら
れる。
【0039】上記塗工方法における塗工条件としては、
使用する基材、触媒、粘土鉱物に応じて適宜条件を設定
すればよい。例えば、紙や不織布等の熱に弱い基材より
なる12×24cmのシートをバーコータ(例えばRD
S04型バーコータ;ウェブスター社製)を使用して3
mlの塗料を塗工する場合、通常、温度は10〜30℃
であり、塗工時間は1〜2秒である。
【0040】また、上記塗料の塗工後の乾燥も同様に、
使用する基材、触媒、粘土鉱物に応じて適宜条件を設定
すればよいが、例えば、紙や不織布等の熱に弱い基材の
場合、通常、温度は100〜110℃であり、乾燥時間
は3時間である。
【0041】上記のようにして得られる本発明の触媒含
有機能材において、触媒の定着剤として用いられる粘土
鉱物は、緻密な膜を形成せず、触媒の触媒作用、多孔性
物質の吸着能力を阻害しないので、触媒と除去対象物質
との接触は効率的に行われる。同様に、基材が多孔性物
質等の吸着剤を含有する高機能材である場合、当該吸着
剤と除去対象物質との接触も効率的に行われる。また、
触媒として光触媒を使用した場合、光触媒への光照射も
妨害されることが少ない。従って、本発明の触媒含有機
能材において、含有される触媒や吸着剤の能力が十分に
発揮されることから、有害物質等の除去対象物質を効率
的に除去することができる。
【0042】本発明の触媒含有機能材は、必要に応じ
て、触媒の触媒反応および吸着剤の吸着作用に悪影響が
生じない範囲内で添加物を含有していてもよい。このよ
うな添加物としては、触媒が光触媒である場合、光照射
下において光を蓄え、非照射下においても光触媒反応を
実施可能にし得る硫化亜鉛等の蓄光物質、触媒の触媒反
応により除去対象物質から転換した転換物質により変色
し、該転換物質の存在量の目安を示すpH指示薬等のイ
ンジケーター機能を付与する物質、多孔性物質に適当な
水分を付与し、多孔性物質の吸着能力を向上させるエチ
レングリコール等の保湿剤等が挙げられる。
【0043】本発明の触媒含有機能材の除去対象となる
物質としては、触媒による触媒反応により除去される物
質であれば特に限定されないが、好ましくは、常温で気
体の無機化合物、または種々の有機化合物が挙げられ
る。特に、環境汚染等の原因物質および存在することで
動植物、機械、装置、物品等に何らかの悪影響を与える
物質と知られる様々な有害物質、例えば、NOx(N
O、NO2等)、SOx(SO2、SO3等)、VOC(ト
ルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、ブタノー
ル等)、有機ハロゲン化合物(1,1−ジクロロエチレ
ン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、p−
ジクロロベンゼン等)、悪臭物質(硫化水素、アンモニ
ア、メチルメルカプタン、アミン等)、タバコ臭(アセ
トアルデヒド、酢酸、アンモニア等)、ホルムアルデヒ
ド、脂肪酸、エチレン等が挙げられ、特に、ホルムアル
デヒド、NOx、SOxが挙げられる。
【0044】上記除去対象物質と触媒含有機能材との接
触方法は、特に限定されない。例えば、触媒含有機能材
を含有する反応容器に除去対象物質をバッチ方式または
連続方式で導入して接触させてもよく、また、除去対象
物質の発生源(タバコ臭を対象とする場合における灰皿
等)の付近および/または通り路(ホルムアルデヒド等
を対象とする場合における室内のエアコンまたは空気清
浄機の吸入部分または吹出部分)に配置して接触させる
ようにしてもよい。
【0045】本発明の触媒含有機能材において、触媒が
光触媒である場合、光触媒反応を発現させるために照射
される光としては、特に限定されず、太陽光でも人工光
でもよいが、光触媒反応の効率の点から、波長400n
m以下の光が好ましい。また、人工光の光源としては、
特に限定されないが、ブラックライト、蛍光灯等が挙げ
られる。また、光触媒含有機能材への光の照射方法(使
用する光源および装置、光の強さ、照射時間および間
隔、光源と光触媒含有機能材との距離等)は、特に限定
されず、除去対象物質の種類およびその量(濃度)、光
触媒含有機能材の除去能力、周囲の環境(温度等)等に
応じて適宜決定すればよい。
【0046】上記除去対象物質が触媒による触媒反応に
よって転換物質に転換される場合、該転換物質は、通
常、多孔性物質に保持されるが、その保持量が過度にな
ると除去対象物質の除去効率が悪化するので、上記イン
ジケーター機能を付与する物質等を予め含有させること
によりその保持量を確認し、水で洗い流したり、加熱し
て放散させたりすることによって、定期的に除去するこ
とが好ましい。
【0047】本発明の触媒含有機能材は、有害物質除去
材として、例えば、室内のホルムアルデヒド、タバコ臭
等の除去剤、自動車道路沿道、トンネルおよび車内など
のNOx汚染が問題となっている空間におけるNOxの除
去剤、硫化水素、アンモニア、メチルメルカプタン等の
悪臭および刺激臭物質の脱臭剤、硫化水素等に起因する
金属の錆の防錆剤等として好適に使用することができ
る。
【0048】また、触媒が鉄−フタロシアニン誘導体で
ある場合、鉄−フタロシアニン誘導体の消臭効果を生か
して寝装具、衣類、各種フィルター、建築資材として使
用することができる。
【0049】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、
本発明はこれらの実施例に限定されない。また、実施例
および比較例における各特性値の測定方法を以下に示
す。
【0050】(触媒含有塗料の粘度)液温20℃の条件
下、No.3 ザーンカップにより測定した。
【0051】(触媒含有機能材中の各無機成分の含有
率)蛍光X線装置(MESA−500;(株)堀場製作
所製)を使用して測定した試料中の各無機成分の比率
と、該試料を400℃で3時間加熱処理することにより
基材成分を除去して得られた試料中の無機成分の含有率
より、触媒含有機能材中の各無機成分の含有率を算出し
た。
【0052】(触媒含有シート中の触媒の粒径)走査型
電子顕微鏡(JSM−5400LV;日本電子社製)を
用いて1000〜3500倍の倍率で写真を撮り、各粒
子を一定方向の2本の平行線ではさみ、その平行線間の
距離を測ることで測定した(フェレー径)。また、当該
測定方法において測定可能な粒子の大きさは0.1μm
以上であった。
【0053】(シートの塗工層の厚さ)シートの断面
を、エネルギー分散型X線解析装置を用いてチタンが何
μm分散しているか測定することにより塗工層の厚さを
算出した。
【0054】(シートの裂断長)JIS P 8113
「紙及び板紙の引張強さ試験方法」に基づいて引張強度
を測定し、シートの裂断長を算出した。
【0055】(シートの変色の有無)JIS P 81
23「紙及びパルプのハンター白色度試験方法」に基づ
いて白色度を測定することによりシートの変色の有無を
判定した。光照射処理前の試料と比較して白色度が減少
していた場合、変色ありと判定した。
【0056】(シートのチョーキング(粉落ち)の有
無)JIS P 8136「板紙の対摩擦強さ試験方
法」の定める試験装置を用いて、試料を1分間摩擦した
後、目視によりチョーキングの有無を判定した。
【0057】以下の実施例において、叩解NBKPと
は、針葉樹クラフトパルプ(NBKP;日本製紙(株)
製)を自動叩解機(三菱重工業(株)製)を使用してフ
リーネス値(CSF)400mlに叩解したパルプであ
る。
【0058】製造例1 A型ゼオライト含有シート (1)針葉樹クラフトパルプ(100g;NBKP;日
本製紙(株)製)に48重量%苛性ソーダ(100g;
旭硝子(株)製)を加え、よく混練した。パルプが膨潤
した後、55重量%液状アルミン酸ソーダ(130g;
浅田化学工業(株)製)を加えて混練した。次いで、さ
らに65重量%液状ケイ酸ソーダ(100g;日本化学
工業(株)製)を加えて混練した後、該懸濁液を100
℃で1時間加熱した。懸濁液中のパルプを水道水で充分
に水洗し、遠心分離機で含水率約60重量%に脱水して
A型ゼオライト含有パルプを得た。このA型ゼオライト
含有パルプのA型ゼオライト含有率は43.1重量%で
あった。
【0059】(2)上記(1)で得られたA型ゼオライ
ト含有パルプ(5.6g;乾燥重量)と無処理の叩解N
BKP(2.4g;乾燥重量)を混合し、角型抄紙機
(熊谷理工機工業(株)製;条件80メッシュ、自然水
使用、吸引なし、水量15l、サイズ25×25cm)
を使用して抄紙し、A型ゼオライト含有シートを得た。
【0060】実施例1 中性チタニアゾルTKS−203(5ml;テイカ
(株)製)およびスメクトンSA(1.5g;クニミネ
工業(株)製)を水道水(95ml)中に投入し、十分
に攪拌してスラリー状にした。このときの酸化チタンの
濃度は1.1重量%であり、スメクタイトの濃度は1.
5重量%であった。また、その粘度は17秒であった。
次いで、上記製造例1で得られたA型ゼオライト含有シ
ート(12×24cm)にRDS04型バーコータ(ウ
ェブスター社製)を使用して3mlのスラリーを均一に
塗工し、100℃、3時間乾燥させて酸化チタン・スメ
クタイト・A型ゼオライト含有シートを得た。その塗工
層の厚みは15μmであった。当該シートの酸化チタン
の含有率は2.0重量%であり、スメクタイトの含有率
は1.5重量%であった。また、当該シート中の酸化チ
タンの最大粒径は0.1μm未満であった。得られたシ
ートの走査型電子顕微鏡写真を図1に示す。
【0061】実施例2 中性チタニアゾルTKS−203(2ml;テイカ
(株)製)およびスメクトンSA(1.5g;クニミネ
工業(株)製)を水道水(98ml)中に投入し、十分
に攪拌してスラリー状にした。このときの酸化チタンの
濃度は0.44重量%であり、スメクタイトの濃度は
1.5重量%であった。また、その粘度は18秒であっ
た。次いで、上記製造例1で得られたA型ゼオライト含
有シートにRDS04型バーコータ(ウェブスター社
製)を使用して上記実施例1と同様に塗工し、乾燥させ
て酸化チタン・スメクタイト・A型ゼオライト含有シー
トを得た。その塗工層の厚みは12μmであった。当該
シートの酸化チタンの含有率は0.8重量%であり、ス
メクタイトの含有率は1.7重量%であった。また、当
該シート中の酸化チタンの最大粒径は0.1μm未満で
あった。
【0062】実施例3 中性チタニアゾルTKS−203(8ml;テイカ
(株)製)およびスメクトンSA(1.5g;クニミネ
工業(株)製)を水道水(92ml)中に投入し、十分
に攪拌してスラリー状にした。このときの酸化チタンの
濃度は1.8重量%であり、スメクタイトの濃度は1.
5重量%であった。また、その粘度は15秒であった。
次いで、上記製造例1で得られたA型ゼオライト含有シ
ートにRDS04型バーコータ(ウェブスター社製)を
使用して上記実施例1と同様に塗工し、乾燥させて酸化
チタン・スメクタイト・A型ゼオライト含有シートを得
た。その塗工層の厚みは18μmであった。当該シート
の酸化チタンの含有率は3.1重量%であり、スメクタ
イトの含有率は1.2重量%であった。また、当該シー
ト中の酸化チタンの最大粒径は0.1μm未満であっ
た。
【0063】実施例4 中性チタニアゾルTKS−203(5ml;テイカ
(株)製)およびベントナイト(1.5g;水澤化学工
業(株)製)を水道水(95ml)中に投入し、十分に
攪拌してスラリー状にした。このときの酸化チタンの濃
度は1.1重量%であり、ベントナイトの濃度は1.5
重量%であった。また、その粘度は18秒であった。次
いで、上記製造例1で得られたA型ゼオライト含有シー
トにRDS04型バーコータ(ウェブスター社製)を使
用して上記実施例1と同様に塗工し、乾燥させて酸化チ
タン・ベントナイト・A型ゼオライト含有シートを得
た。その塗工層の厚みは15μmであった。当該シート
の酸化チタンの含有率は2.0重量%であり、ベントナ
イトの含有率は1.6重量%であった。また、当該シー
ト中の酸化チタンの最大粒径は0.1μm未満であっ
た。
【0064】比較例1 上記製造例1で得られたA型ゼオライト含有シート。
【0065】比較例2 上記製造例1(1)で得られたA型ゼオライト含有パル
プ(5.6g;乾燥重量)、無処理の叩解NBKP
(2.4g;乾燥重量)、および粉体状酸化チタンST
−01(0.5g;石原産業(株))を混合し、角型抄
紙機(熊谷理工機工業(株)製;条件80メッシュ、自
然水使用、吸引なし、水量15l、サイズ25×25c
m)を使用して抄紙し、酸化チタン・A型ゼオライト含
有シートを得た。当該シートの酸化チタンの含有率は
2.3重量%であった。また、当該シート中の酸化チタ
ンの粒径は最大15μmであった。得られたシートの走
査型電子顕微鏡写真を図2に示す。
【0066】比較例3 粉体状酸化チタンST−01(1.5g;石原産業
(株))およびスメクトンSA(1.5g;クニミネ工
業(株)製)を水道水(100ml)中に投入し、十分
に攪拌してスラリー状にした。このときの酸化チタンの
濃度は1.5重量%であり、スメクタイトの濃度は1.
5重量%であった。また、その粘度は18秒であった。
次いで、上記製造例1で得られたA型ゼオライト含有シ
ートにRDS04型バーコータ(ウェブスター社製)を
使用して上記実施例1と同様に塗工し、乾燥させて酸化
チタン・スメクタイト・A型ゼオライト含有シートを得
た。その塗工層の厚みは18μmであった。当該シート
の酸化チタンの含有率は2.1重量%であり、スメクタ
イトの含有率は1.5重量%であった。また、当該シー
ト中の酸化チタンの粒径は最大18μmであった。
【0067】比較例4 中性チタニアゾルTKS−203(5ml;テイカ
(株)製)をアクリル樹脂(95ml)に投入し、十分
に攪拌した。このときの酸化チタン濃度は1.0重量%
であった。また、その粘度は18秒であった。次いで、
該スラリーを上記製造例1で得られたA型ゼオライト含
有シートにRDS04型バーコータ(ウェブスター社
製)を使用して上記実施例1と同様に塗工し、乾燥させ
て酸化チタン・アクリル樹脂・A型ゼオライト含有シー
トを得た。その塗工層の厚みは17μmであった。当該
シートの酸化チタンの含有率は2.0重量%であり、そ
の最大粒径は0.1μm未満であった。
【0068】実施例1〜3のスラリーは沈殿が生じなか
ったが、比較例3のスラリーは長時間放置すると粉体状
酸化チタンが沈殿した。
【0069】また、図1から、ゾル状酸化チタンを使用
した実施例1のシートにおいて酸化チタンは粒子として
観察されないことがわかる(なお、図1中の直径2μm
程度の白〜灰色粒子として観察されるものはゼオライト
を示している)。これに対して、図2から、粉体状酸化
チタンを使用した比較例2のシートにおいて酸化チタン
は直径10μm前後の粒子を含む白色粒子として観察さ
れ、基材中に分散していることがわかる。
【0070】実験例1 ホルムアルデヒド除去試験 上記実施例および比較例の各シートを10cm四方に裁
断し、ホルムアルデヒドガス(4l;50ppm)と共
にテドラーバック中に封入した。室温下で20Wのブラ
ックライト(ピーク波長352nm;東芝(株)製)を
点灯してテドラーバックの外から紫外線を照射した。各
シートとブラックライトとの距離は約30cmとした。
テドラーバック中のホルムアルデヒド濃度を一定時間毎
に検知管(ガステック(株)製)で測定した。その結果
を表1および図3に示す。
【0071】
【表1】
【0072】表1および図3から、実施例1のシートで
は、3時間でホルムアルデヒド濃度が0.5ppmまで
低下し、6時間でほぼ全てのホルムアルデヒドが吸着・
分解された。これは、該シートがゼオライトを含有し、
酸化チタンを塗工しているため、ゼオライトがホルムア
ルデヒドを吸着し、吸着されたホルムアルデヒドを酸化
チタンが効率よく光分解したことによると考えられる。
【0073】実施例2および3の各シートは、実施例1
のシートと同様、A型ゼオライト含有シートに酸化チタ
ンを塗工したシートであり、比較例1〜4の各シートに
比べホルムアルデヒドの吸着・分解効率は高いが、実施
例1のシートと比べると劣るものであった。実施例1の
シートと、実施例2および3の各シートとの違いは、塗
料中に含まれる酸化チタンの濃度であることから、塗料
中に含まれる酸化チタンの濃度は実施例1の濃度が好適
であると考えられる。
【0074】実施例4のシートは、酸化チタンの定着剤
としてスメクトンの代わりにベントナイトを使用して酸
化チタンを塗工したものである。ホルムアルデヒドの吸
着・分解効率は高く、実施例1のシートにわずかに劣る
程度であった。実施例1のシートとの違いは、酸化チタ
ンの定着剤としてスメクトンの代わりにベントナイトを
使用したことであるので、定着剤としてはスメクトンの
ほうがベントナイトよりも優れていると考えられる。
【0075】比較例1のシートでは、1時間でホルムア
ルデヒド濃度が10ppmに減少し、その後ホルムアル
デヒド濃度の減少は見られなかった。これは、ホルムア
ルデヒド濃度はゼオライトの吸着作用により減少する
が、該シートには分解作用が無いので、吸着容量が飽和
に達してそれ以上は吸着しなかったためと考えられる。
【0076】比較例2のシートは、混抄したため、紙の
内部や裏面等の紫外線が照射されない場所にも酸化チタ
ンが存在する。このため、実施例1のシートと比較して
吸着・分解効率が悪いと考えられる。
【0077】比較例3のシートは、実施例1のシートと
同程度の吸着・分解効率を示した。
【0078】比較例4のシートは、比較例1のシートよ
りホルムアルデヒドの吸着・分解効率が低い。これは、
該シートはバインダーとしてアクリル樹脂を使用してい
るため、酸化チタンおよびゼオライトが塗工層に埋没し
てしまい、光触媒作用および吸着作用が発現しなかった
ためと考えられる。
【0079】実験例2 耐久性試験 上記実施例1および比較例1〜4の各シートをサンシャ
インウェザーメーター(WEL−SUN−HC;スガ試
験機(株)製)を用いて72時間連続光照射を行った。
これは屋外で太陽光線に6ヶ月間曝されたことに相当す
る。各シートの光照射前と光照射後の裂断長を上記のよ
うに算出した。また、各シートの変色、チョーキングの
有無を調べた。その結果を表2に示す。また、裂断長の
変化を図4に示す。
【0080】
【表2】
【0081】表2および図4から、実施例1のシート
は、光照射後に変色、チョーキング、裂断長の低下が見
られず、耐久性に優れたものであることがわかる。
【0082】比較例1のシートは、光照射後も変色、チ
ョーキングおよび裂断長の低下は見られないが、これ
は、当該シートが酸化チタンを含有していないためと考
えられる。
【0083】比較例2のシートは、光照射後に変色と裂
断長の低下を示した。これは、当該シートは、混抄によ
り酸化チタンを含有させたため、光照射後、酸化チタン
の触媒作用により基材であるパルプが分解したためと考
えられる。
【0084】比較例3のシートは、光照射前後にチョー
キングを示した。これは粉体状の酸化チタンを使用した
ことにより、塗工後に粒径が2〜15μm程度の酸化チ
タンが生じたためと考えられる。従って、当該シートは
実験例1に見られるようにホルムアルデヒドの吸着・分
解効率は高いもののチョーキングや耐久性の点で問題が
あることがわかる。
【0085】比較例4のシートは、光照射後に変色、チ
ョーキングおよび裂断長の低下を示した。これは、酸化
チタンの触媒作用によりバインダーであるアクリル樹脂
が分解したためと考えられる。
【0086】
【発明の効果】本発明の触媒含有機能材は、基材表面
に、最大粒径が1μm以下である触媒と、粘土鉱物より
なる層を有することで、有害物質等を効率的で除去でき
るばかりでなく、従来のものにはない優れた耐久性も有
する。また、本発明の触媒含有塗料は、バーコータ塗工
に好適な粘度となり得ることから、従来の塗料を使用し
た場合には触媒が埋没し、その機能を十分に発揮できな
い可能性がある紙や不織布等の吸水性が高く、熱に弱い
基材に対しても、触媒の機能を十分に発揮できるように
塗工することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られたシートの走査型電子顕微鏡
写真(倍率:1000倍)である。
【図2】比較例2で得られたシートの走査型電子顕微鏡
写真(倍率:1000倍)である。
【図3】ホルムアルデヒド除去試験におけるホルムアル
デヒド濃度の変化を示すグラフである。
【図4】連続光照射前後における各シートの裂断長の変
化を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) D21H 19/40 D21H 19/40 19/76 19/76 21/14 21/14 Z (72)発明者 岡辺 元臣 大阪府大阪市福島区大開4丁目1番186号 レンゴー株式会社中央研究所内 Fターム(参考) 4F100 AA21 AC03B AC04A AJ04 AT00A BA02 BA07 DJ10A GB07 GB56 GB72 GB90 JB05A JL00 JL08 JL08B YY00B 4G069 AA03 BA04B BA07A BA07B BA10A BA10B BA37 BA48A CA10 CA11 CA17 DA06 EA08 EA09 EA13 EB18X ZA02B 4J038 AA011 HA066 HA126 HA216 HA246 HA356 HA556 JC38 KA04 KA12 KA20 NA02 NA05 PC08 PC10 4L055 AA02 AC06 AF09 AF43 AF44 AG19 AG27 AH02 AH50 AJ04 BE07 BE08 EA16 EA25 EA32 FA12 FA13 FA20 FA30 GA23 GA50

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材表面に、最大粒径が1μm以下であ
    る触媒と、粘土鉱物よりなる層を有することを特徴とす
    る触媒含有機能材。
  2. 【請求項2】 触媒と粘土鉱物との重量比が、2:10
    〜30:10である請求項1記載の触媒含有機能材。
  3. 【請求項3】 触媒が、光触媒である請求項1または2
    記載の触媒含有機能材。
  4. 【請求項4】 粘土鉱物が、スメクタイトである請求項
    1〜3のいずれかに記載の触媒含有機能材。
  5. 【請求項5】 基材が、親水性高分子基材である請求項
    1〜4のいずれかに記載の触媒含有機能材。
  6. 【請求項6】 基材が、多孔性物質を含有する請求項1
    〜5のいずれかに記載の触媒含有機能材。
  7. 【請求項7】 多孔性物質が、ゼオライトである請求項
    6記載の触媒含有機能材。
  8. 【請求項8】 ゾル状触媒と粘土鉱物とを含有すること
    を特徴とする触媒含有塗料。
  9. 【請求項9】 触媒換算したゾル状触媒と、粘土鉱物と
    の重量比が、1:10〜15:10である請求項8記載
    の触媒含有塗料。
  10. 【請求項10】 液温20℃の条件下、No.3 ザー
    ンカップにより測定される粘度が、10〜30秒である
    請求項8または9記載の触媒含有塗料。
  11. 【請求項11】 請求項8〜10のいずれかに記載の触
    媒含有塗料を基材表面に塗工し、乾燥させることを特徴
    とする請求項1記載の触媒含有機能材の製造方法。
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