JP2002053570A - 複素環化合物の製造方法 - Google Patents

複素環化合物の製造方法

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JP2002053570A
JP2002053570A JP2000246422A JP2000246422A JP2002053570A JP 2002053570 A JP2002053570 A JP 2002053570A JP 2000246422 A JP2000246422 A JP 2000246422A JP 2000246422 A JP2000246422 A JP 2000246422A JP 2002053570 A JP2002053570 A JP 2002053570A
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atom
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English (en)
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Naoyuki Hanaki
直幸 花木
Katsu Kobayashi
克 小林
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 本発明の目的は、有害物質を使用することな
く、芳香族基を複素環核に導入できる合成法を提供する
ことにある。 【解決手段】下記式Iで表される化合物と式IIで表さ
れる化合物を遷移金属触媒存在下カップリングさせて一
般式IIIで表される複素環化合物の製造方法。 式I 式中、Xは酸素、硫黄、セレン、テルル、NR1、CR2
3またはCR4=CR5を表す。R、R1〜R5は水素又
は1価の置換基。V1〜V4は水素又は1価の置換基を表
すが、少なくとも1つ以上はハロゲン又は擬ハロゲン基
である。一般式II 式中、Aは置換可能アルキル基、アリール基、ヘテロ環
基。Mは金属原子。Lは1価の置換基を表す。nは0ま
たは正の整数。 式III 式中、X、R、V1〜V4は式I及びIIのものと同義
である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は複素環化合物の製造
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般式(III) で表される複素環化合物
は、写真用添加剤、感光材料用増感色素、染料、レーザ
ー色素、医薬品などの機能性化合物、およびその中間
体、原料として有用である。一般式(III) で表されるよ
うな芳香族基が結合したベンゾアゾール化合物の合成法
としては、例えば以下に挙げた例が報告されている。
【0003】(1)芳香族基置換フェノールを原料とし
た2−メチル−5−アリールベンゾオキサゾールの合成
法(ジャーナル・オブ・ジェネラル・ケミストリー・ユ
ー・エス・エス・アール(Journal of General Chemist
ry U. S. S. R.)第647頁(1964年)参照) (2)多段階合成によってそれぞれのヘテロ環を構築し
ていく合成法(特開平11−15097記載の合成ルー
ト参照) (3)ジアゾカップリングを用いた5位または6位のヘ
テロ環芳香族基置換2−メチルベンゾチアゾールの合成
法(ヘルベチカ・キミカ・アクタ(Helvetica Chimica
Acta)第62巻、第21頁(1979年)参照) (4)パラジウム触媒を用いた芳香族基置換ベンゾアゾ
ール化合物の合成法(特開平6−298731、特許第
2802706号および特開平10−36361、ロシ
アン・ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー
(Russian Journal of Organic Chemistry) 第32巻、
第1861頁(1996年)参照)
【0004】(1)の芳香族基置換フェノールを原料と
して用いる合成法は、原料の入手・合成が容易ではな
い。例えば、ジャーナル・オブ・ジェネラル・ケミスト
リー・ユー・エス・エス・アール(Journal of General
Chemistry U. S. S. R.)第647頁(1964年)で
はジアゾカップリングを用いて基質の芳香族置換フェノ
ールを合成しているが、後述する(3)の場合と同様に
ジアゾカップリング反応固有の問題が生じる。その他の
反応を用いても、芳香環置換基や置換位置の異なる化合
物を得ようとした場合、その原料の入手・合成が容易で
はない場合もあり、一般的な合成法とは言い難い。
【0005】(2)の多段階合成によるヘテロ環構築
は、目的の化合物の構造によっては段階が多くなること
は容易に予想できる。例えば、特開平11−15097
には、5−(2−ベンゾチエニル)−2−メチルベンゾ
チアゾールを合成するルートが紹介されているが、この
場合には8段階も必要であり、製造に適しているとは言
えない。
【0006】(3)ではラジカル反応を利用するため反
応収率が低く、基質によっては反応後の混合物が複雑に
なる場合が多い。また、カップリングするヘテロ環によ
っては収率や反応点の選択性が低い場合があるなどの問
題がある。例えば、ヘルベチカ・キミカ・アクタ(Helv
etica Chimica Acta)第62巻、第21頁(1979
年)によれば、6−アミノ−2−エチルベンゾチアゾー
ルとベンゾ(b)フランとのジアゾカップリングによっ
て得られるカップリング体は収率40%であるが、ベン
ゾ(b)フランの2位でカップリングしたものが生成物
全体の70%、4位または7位でカップリングしたもの
が合わせて30%の割合の混合物になると報告されてい
る。またチオフェンとのカップリングでは、収率45%
でカップリング体が得られるが、2位と3位のカップリ
ング混合物であると報告されている。さらに、ジアゾ化
剤に亜硝酸イソペンチルなどを用いたり、反応試薬とし
てチオフェンなどを用いた場合には、これらの試薬に由
来する悪臭が製造時の取り扱いを困難にさせている。加
えて、塩酸条件下反応であるため、ベンゾオキサゾール
など酸に弱い化合物への応用は困難であると考えられ
る。
【0007】(4)では、主にフェニル基やナフチル基
などの炭化水素芳香族有機金属化合物とのカップリング
反応が報告されている。ヘテロ環芳香族有機金属化合物
が用いられている例として特開平10−36361が挙
げられるが、金属としては亜鉛やマグネシウムの場合の
みが報告されている。有機亜鉛化合物や有機マグネシウ
ム化合物を調製するのは基質によっては容易ではない場
合もあり、カップリング反応中に転位反応が起こり位置
が変わった有機金属反応剤になってしまったために、望
まない位置でカップリングした生成物を与える場合もあ
る。例えば、ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミス
トリー(Journal of Organic Chemistry)第62巻、第
6921頁(1997年)において、3−チエニル有機
金属反応剤の調製法と反応について報告されており、3
−リチオチオフェンは(エーテル溶媒中)−25℃で2
−リチオチオフェンとの交換が起こると報告されてい
る。また、酸化的付加による3−チエニル有機金属反応
剤の調製はこれまで例が無く、Riekeの活性化金属
(マグネシウム、亜鉛、マンガン)を用いることで、初
めて調製できたと報告されている。
【0008】上述ように、ヘテロ芳香環置換ベンゾアゾ
ール化合物の合成は、工業的製造に適しているといえる
方法がこれまで無かった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、効率
的にヘテロ芳香族基を複素環核に導入する方法による一
般式(III) で表される複素環化合物の合成法を提供する
ことにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者は種々検討した
結果、遷移金属触媒を用いた芳香族クロスカップリング
反応において、ヘテロ環芳香族有機金属化合物を原料と
して用いても効率良く合成できることを見出した。 (1) 下記一般式(I)で表される化合物と一般式(II)
で表される化合物を遷移金属触媒存在下カップリングさ
せて一般式(III)で表される複素環化合物を合成するこ
とを特徴とする複素環化合物の製造方法。 一般式(I)
【0011】
【化4】
【0012】式中、Xは酸素原子、硫黄原子、セレン原
子、テルル原子、NR1、CR23またはCR4=CR5
を表す。R、R1、R2、R3、R4およびR5は水素原子
または1価の置換基を表す。V1、V2、V3およびV4
水素原子または1価の置換基を表すが、少なくとも1つ
以上はハロゲン原子または擬ハロゲン基である。 一般式(II)
【0013】
【化5】
【0014】式中、Aは置換あるいは無置換のアルキル
基、アリール基、ヘテロ環基を表わす。Mは金属原子を
表わす。Lは1価の置換基を表す。nは0または正の整
数を表わす。 一般式(III)
【0015】
【化6】
【0016】V1〜V4のうちハロゲン原子または擬ハロ
ゲン基であるVの位置とAの間で結合を形成しているこ
とを意味する。式中、X、R、R1、R2、R3、R4、R
5、V1、V2、V3、V4は、一般式(I)および(II)のもの
と同義である。 (2) 一般式(II)で表わされる化合物におけるAが置
換あるいは無置換のヘテロ環芳香族基であることを特徴
とする、(1)記載の複素環化合物の製造方法。 (3) 一般式(II)で表される化合物におけるMがホウ
素原子であることを特徴とする、(1)又は(2)記載
の複素環化合物の製造方法。 (4) 一般式(II)で表わされる化合物におけるAが置
換あるいは無置換のチエニル基、ベンゾチエニル基、フ
リル基、ベンゾフラニル基、ピロリル基およびインドリ
ル基から選ばれる基であることを特徴とする、(1)、
(2)および(3)のいずれかに記載の複素環化合物の
製造方法。 (5) 遷移金属触媒がパラジウム錯体であることを特
徴とする、(1)、(2)、(3)および(4)のいず
れかに記載の複素環化合物の製造方法。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明を詳細に説明する。一般式
(I)および(III)におけるXは、酸素原子、硫黄原子、セ
レン原子、テルル原子、NR1、CR23またはCR4
CR5を表す。好ましくは酸素原子、硫黄原子、NR1
ある。特に好ましくは酸素原子、硫黄原子である。
【0018】Rは水素原子または1価の置換基を表わ
す。1価の置換基としては特に制限はないが、例えば、
ハロゲン原子(例えば塩素、臭素、沃素、フッ素)、メ
ルカプト基、シアノ基、カルボキシル基、リン酸基、ス
ルホ基、ヒドロキシ基、炭素数1から10、好ましくは
炭素数2から8、さらに好ましくは炭素数2から5のカ
ルバモイル基(例えばメチルカルバモイル、エチルカル
バモイル、モルホリノカルボニル)、炭素数0から1
0、好ましくは炭素数2から8、さらに好ましくは炭素
数2から5のスルファモイル基(例えばメチルスルファ
モイル、エチルスルファモイル、ピペリジノスルホニ
ル)、ニトロ基、炭素数1から20、好ましくは炭素数
1から10、さらに好ましくは炭素数1から8のアルコ
キシ基(例えばメトキシ、エトキシ、2−メトキシエト
キシ、2−フェニルエトキシ)、炭素数6から20、好
ましくは炭素数6から12、さらに好ましくは炭素数6
から10のアリールオキシ基(例えばフェノキシ、p−
メチルフェノキシ、p−クロロフェノキシ、ナフトキ
シ)、
【0019】炭素数1から20、好ましくは炭素数2か
ら12、さらに好ましくは炭素数2から8のアシル基
(例えばアセチル、ベンゾイル、トリクロロアセチ
ル)、炭素数1から20、好ましくは炭素数2から1
2、さらに好ましくは炭素数2から8のアシルオキシ基
(例えばアセチルオキシ、ベンゾイルオキシ)、炭素数
1から20、好ましくは炭素数2から12、さらに好ま
しくは炭素数2から8のアシルアミノ基(例えばアセチ
ルアミノ)、炭素1から20、好ましくは炭素数1から
10、さらに好ましくは炭素数1から8のスルホニル基
(例えばメタンスルホニル、エタンスルホニル、ベンゼ
ンスルホニルなど)、炭素1から20、好ましくは炭素
数1から10、さらに好ましくは炭素数1から8のスル
フィニル基(例えばメタンスルフィニル、ベンゼンスル
フィニル)、炭素1から20、好ましくは炭素数1から
10、さらに好ましくは炭素数1から8のスルホニルア
ミノ基(例えばメタンスルホニルアミノ、エタンスルホ
ニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノなど)、
【0020】アミノ基、、炭素1から20、好ましくは
炭素数1から12、さらに好ましくは炭素数1から8の
置換アミノ基(例えばメチルアミノ、ジメチルアミノ、
ベンジルアミノ、アニリノ、ジフェニルアミノ)、炭素
数0から15、好ましくは炭素数3から10、さらに好
ましくは炭素数3から6のアンモニウム基(例えばトリ
メチルアンモニウム基、トリエチルアンモニウム基)、
炭素数0から15、好ましくは炭素数1から10、さら
に好ましくは炭素数1から6のヒドラジノ基(例えばト
リメチルヒドラジノ基)、炭素数1から15、好ましく
は炭素数1から10、さらに好ましくは炭素数1から6
のウレイド基(例えばウレイド基、N,N−ジメチルウ
レイド基)、炭素数1から15、好ましくは炭素数1か
ら10、さらに好ましくは炭素数1から6のイミド基
(例えばスクシンイミド基)、炭素数1から20、好ま
しくは炭素数1から12、さらに好ましくは炭素数1か
ら8のアルキルまたはアリールチオ基(例えばメチルチ
オ、エチルチオ、カルボキシエチルチオ、スルホブチル
チオ、フェニルチオなど)、炭素2から20、好ましく
は炭素数2から12、さらに好ましくは炭素数2から8
のアルコキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニ
ル、エトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニ
ル)、炭素6から20、好ましくは炭素数6から12、
さらに好ましくは炭素数6から8のアリーロキシカルボ
ニル基(例えばフェノキシカルボニル)、
【0021】炭素数1から18、好ましくは炭素数1か
ら10、さらに好ましくは炭素数1から5の無置換アル
キル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチ
ル)、炭素数1から18、好ましくは炭素数1から1
0、さらに好ましくは炭素数1から5の置換アルキル基
(ヒドロキシメチル、トリフルオロメチル、ベンジル、
カルボキシエチル、エトキシカルボニルメチル、アセチ
ルアミノメチル、また、ここでは好ましくは炭素数2か
ら18、さらに好ましくは炭素数3から10、特に好ま
しくは炭素数3から5の不飽和炭化水素基(例えばビニ
ル基、エチニル基、1−シクロヘキセニル基、ベンジリ
ジン基、ベンジリデン基)も置換アルキル基に含まれる
ことにする。)、炭素数6から20、好ましくは炭素数
6から15、さらに好ましくは炭素数6から10の置換
または無置換のアリール基(例えばフェニル、ナフチ
ル、p−カルボキシフェニル、p−ニトロフェニル、
3,5−ジクロロフェニル、p−シアノフェニル、m−
フルオロフェニル、p−トリル、p−ブロモフェニ
ル)、
【0022】炭素数1から20、好ましくは炭素数2か
ら10、さらに好ましくは炭素数4から6の置換されて
も良いヘテロ環基(例えばピリジル、5−メチルピリジ
ル、チエニル、フリル、モルホリノ、テトラヒドロフル
フリル)が挙げられる。
【0023】好ましくは、メルカプト基、ハロゲン原子
(例えば、フッ素、塩素、臭素、沃素)、炭素数18以
下の無置換アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロ
ピル)、置換アルキル基(置換基として例えば、ハロゲ
ン原子、アルコキシ基、シアノ基、スルホ基、ヒドロキ
シ基、アシルアミノ基、アリールオキシ基、アリールア
ミノ基が置換したアルキル基)、炭素数18以下の無置
換アルケニル基(例えばビニル、プロペニル、ブテニ
ル、イソプロペニル、イソブテニル)及び置換アルケニ
ル基(置換基として例えば、ハロゲン原子、アルコキシ
基、シアノ基、スルホ基、ヒドロキシ基、アシルアミノ
基、アリールオキシ基、アリールアミノ基が置換したア
ルケニル基)、炭素数18以下の無置換アリール基(例
えばフェニル、ナフチル)及び置換アリール基(置換基
として例えば、ハロゲン原子、アルコキシ基、シアノ
基、スルホ基、ヒドロキシ基、アシルアミノ基、アリー
ルオキシ基、アリールアミノ基が置換したアリール
基)、炭素数18以下の無置換アルキルチオ基(例え
ば、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、ブチルチ
オ、ペンチルチオ)及び置換アルキルチオ基(置換基と
して例えば、ハロゲン原子、アルコキシ基、シアノ基、
スルホ基、ヒドロキシ基、アシルアミノ基、アリールオ
キシ基、アリールアミノ基が置換したアルキルチオ
基)、炭素数18以下のアルケニルチオ基(例えば、ビ
ニルチオ、プロペニルチオ、ブテニルチオ)及び置換ア
ルケニルチオ基(置換基として例えば、ハロゲン原子、
アルコキシ基、シアノ基、スルホ基、ヒドロキシ基、ア
シルアミノ基、アリールオキシ基、アリールアミノ基が
置換したアルケニルチオ基)、炭素数18以下の無置換
アリールチオ基(例えば、フェニルチオ、ナフチルチ
オ)及び置換アリールチオ基(置換基として例えば、ハ
ロゲン原子、アルコキシ基、シアノ基、スルホ基、ヒド
ロキシ基、アシルアミノ基、アリールオキシ基、アリー
ルアミノ基が置換したアリールチオ基)である。
【0024】さらに好ましくは、水素原子、メルカプト
基、ハロゲン原子、炭素数8以下の無置換アルキル基
(例えば、メチル、エチル、プロピル、オクチル)、炭
素数10以下の無置換アリール基(例えばフェニル、ナ
フチル)、炭素数8以下の無置換アルキルチオ基(例え
ば、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、ペンチル
チオ)、炭素数10以下の無置換アリールチオ基(例え
ば、フェニルチオ、ナフチルチオ)である。特に好まし
くは水素原子、メルカプト基、ハロゲン原子、炭素数3
以下の無置換アルキル基(例えば、メチル、エチル、プ
ロピル)、炭素数3以下の無置換アルキルチオ基(例え
ば、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ)である。
【0025】R1、R2、R3、R4およびR5は水素原子
または1価の置換基を表わす。1価の置換基の例として
は、前述のRの例として示した置換基が挙げられる。好
ましくは、水素原子、炭素数18以下の無置換および置
換アルキル基、炭素数18以下の無置換および置換アリ
ール基である。特に好ましくはメチル基、エチル基、フ
ェニル基である。また、R2とR3、およびR4とR5は同
じであっても異なっていてもよい。さらに、R2とR3
およびR4とR5で互いに結合して環を形成してもよい。
2とR3で形成する環はシクロヘキサン環、シクロペン
タン環が好ましい。R4とR5で形成する環はベンゼン
環、シクロヘキセン環が好ましい。
【0026】V1、V2、V3およびV4は水素原子または
1価の置換基を表すが、少なくとも1つはハロゲン原子
あるいは擬ハロゲン基である。1価の置換基の例として
は、前述のRの例として示した置換基が挙げられる。好
ましくは、水素原子、ハロゲン原子(例えば、フッ素、
塩素、臭素、ヨウ素)、炭素数3以下の置換あるいは無
置換アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、n−プ
ロピル基、イソプロピル基、トリフルオロメチル基)、
炭素数3以下のアルコキシ基(例えば、メトキシ基、エ
トキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基)、置換あ
るいは無置換フェニル基、、置換あるいは無置換へテロ
環基、ニトロ基、置換あるいは無置換アミノ基である。
【0027】ここで言う擬ハロゲン基とは、辻二郎著
「遷移金属が拓く有機合成」(化学同人、1997年)
第15頁に記載されている擬ハロゲン化物の定義に基づ
いている。すなわち、ハロゲンのように優れた脱離能を
有し、ハロゲン同様の反応をする官能基である。ここで
は遷移金属触媒を用いたカップリング反応がハロゲンの
場合と同様に進行する官能基を表わす。擬ハロゲン基を
有する擬ハロゲン化物は、R+シントンを提供できる基
質であって、低原子価の遷移金属錯体に酸化的付加をす
るものである。例えば、トリフルオロメタンスルホン酸
エステル(トリフラート)、メタンスルホン酸エステル
(メシラート)、ジアゾニウム塩、カルボン酸ハロゲン
化物、スルホン酸ハロゲン化物、リン酸エステルなどが
挙げられる。好ましくはトリフルオロメタンスルホン酸
エステルである。
【0028】V1、V2、V3およびV4のうちカップリン
グするVとして好ましくは、塩素原子、臭素原子、ヨウ
素原子、トリフラート、メシラートである。さらに好ま
しくは臭素原子、ヨウ素原子、トリフラートである。特
に好ましくは臭素原子である。
【0029】さらに好ましくは、V1〜V4のうち1つが
ハロゲン原子あるいは擬ハロゲン基であり、残りは水素
原子である場合である。特にV3が臭素原子、V1
2、V4が水素原子である場合、あるいはV2が臭素原
子、V1、V3、V4が水素原子である場合が好ましい。
【0030】またV1〜V4は互いに結合して環を形成す
ることで、ベンゼン環と縮合環を形成してもよい。縮合
環としては、飽和、不飽和どちらでもよく、ヘテロ環で
あってもよい。好ましくはベンゼン環、ナフタレン環、
ピリジン環、フラン環、ピロール環である。これらはさ
らに置換されていてもよい。
【0031】Aは置換あるいは無置換のアルキル基、ア
リール基、ヘテロ環基を表わす。Aの例としては、炭素
数1から20、好ましくは炭素数1から10、さらに好
ましくは炭素数1から6の無置換アルキル基(例えば、
メチル基、エチル基、2−プロピル基、シクロヘキシル
基)、炭素数1から20、好ましくは炭素数1から1
0、さらに好ましくは炭素数1から8の置換アルキル基
(例えば、前述のRで示した1価の置換基で置換された
アルキル基が挙げられる。具体的には、2−メトキシエ
チル基、2−フェニルエチル基などが挙げられる。)、
炭素数6から20、好ましくは炭素数6から10、さら
に好ましくは炭素数6から8の無置換アリール基(例え
ば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基)、
炭素数6から20、好ましくは炭素数6から10、さら
に好ましくは炭素数6から8の置換アリール基(例え
ば、前述のRで示した1価の置換基で置換されたアリー
ル基が挙げられる。具体的にはp−メトキシフェニル
基、p−メチルフェニル基、p−クロロフェニル基など
が挙げられる。)、炭素数1から20、好ましくは炭素
数3から10、さらに好ましくは炭素数4から8の無置
換ヘテロ環基(例えば2−フリル基、3−フリル基、2
−チエニル基、3−チエニル基、2−ピロリル基、3−
ピロリル基、2−ベンゾフラニル基、3−ベンゾフラニ
ル基、2−ベンゾチエニル基、3−ベンゾチエニル基、
2−インドリル基、3−インドリル基、2−ピリジル
基、3−ピリジル基、4−ピリジル基、3−ピラゾリル
基、3−イソオキサゾリル基、3−イソチアゾリル基、
2−イミダゾリル基、2−オキサゾリル基、2−チアゾ
リル基、2−ピリダジル基、2−ピリミジル基、3−ピ
ラジル基、2−(1,3,5−トリアゾリル)基、3−
(1,2,4−トリアゾリル)基、5−テトラゾリル
基)、炭素数1から20、好ましくは炭素数3から1
0、さらに好ましくは炭素数4から8の置換ヘテロ環基
(例えば前述のRで示した1価の置換基で置換された複
素環基が挙げられる。具体的には5−メチル−2−チエ
ニル基、4−メトキシ−2−ピリジル基などが挙げられ
る。)が挙げられる。
【0032】Aは置換あるいは無置換のヘテロ環芳香族
基である場合、特に好ましい。この場合、好ましくはチ
エニル基、ベンゾチエニル基、フリル基、ベンゾフラニ
ル基、ピロリル基およびインドリル基である。さらに好
ましくは、2−フリル基、3−フリル基、2−チエニル
基、3−チエニル基、2−ピロリル基、3−ピロリル
基、2−ベンゾフラニル基、3−ベンゾフラニル基、2
−ベンゾチエニル基、3−ベンゾチエニル基、2−イン
ドリル基、3−インドリル基である。特に好ましくは、
2−フリル基、2−ベンゾフリル基、2−チエニル基、
2−ベンゾチエニル基、2−ピロリル基、2−インドリ
ル基である。特に好ましくは、2−チエニル基、2−ベ
ンゾチエニル基である。
【0033】Mは金属原子を表わす。金属原子としては
いずれでもよいが、遷移金属触媒に一般式(I)の化合物
が酸化的付加を起こした後、トランスメタル化すること
が可能な金属であることが好ましい。例えば、マグネシ
ウム、亜鉛、ホウ素、アルミニウム、ケイ素、スズ、リ
チウム、マンガンなどが挙げられる。好ましくはマグネ
シウム、亜鉛、ホウ素である。特に好ましくはホウ素で
ある。
【0034】Lは1価の置換基を表す。1価の置換基の
例としては、前述のRの例として示した置換基が挙げら
れる。好ましくは、水素原子、水酸基、ハロゲン原子
(例えばフッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、炭素数1ない
し8の置換あるいは無置換アルキル基(例えばメチル
基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、トリ
フルオロメチル基)、炭素数1ないし8のアルコキシ基
(例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソ
プロポキシ基)、置換あるいは無置換フェニル基、置換
あるいは無置換アミノ基である。特に好ましくは、Mに
よって異なるが、Mがマグネシウムおよび亜鉛の場合は
ハロゲン原子、ホウ素の場合は水酸基、アルコキシ基で
ある。
【0035】nは0または正の整数を表わす。好ましく
は0から3である。特に好ましくは、Mによって異なる
が、Mがマグネシウムおよび亜鉛の場合は1、ホウ素の
場合は2である。nが2以上の場合はLが繰り返される
が、それぞれ同じであっても異なっていてもよい。
【0036】nが2以上の時、Lが互いに結合して金属
原子を含む環を形成してもよい。環としては飽和、不飽
和どちらでもよく、金属原子以外のヘテロ原子を含む環
であってもよい。またこれらの環上はさらに置換されて
いてもよい。例えば、Mがホウ素原子の場合、好ましい
環は5または6員環環状エステルである場合、9−ボラ
ビシクロ[3.3.1]ノナンである場合などが挙げら
れる。
【0037】また、Lによっては、脱水などによって複
数の有機金属化合物が縮合し、n量体となっていてもよ
い。例えば、Mがホウ素でLが水酸基でnが2である場
合、脱水縮合して3量体となったボロキシン化合物であ
ってもよい。この時、単量体とボロキシン化合物が任意
の割合で混在するが、その比率は0から100%のいず
れの割合でもよい。
【0038】一般式(II)で表わされる有機金属化合物は
これまで知られているいかなる方法を用いて合成しても
良い。例えば、佐藤史衛・山本経二・今本恒雄編「合成
化学者のための実験有機金属化学」(講談社、1992
年)第11頁、第53頁、第200頁記載の実験例など
を参考にして合成することができる。ただし、ヘテロ環
芳香族のメタル化の場合、基質・位置によっては調製が
困難なものがある。例えば、チオフェンの3位のみをメ
タル化するのは通常の方法では容易ではない。この場
合、ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー
(Journal of Organic Chemistry)第62巻、第692
1頁(1997年)記載のように、Reikeの活性化
メタルを用いるなどの工夫が必要である。また最近は、
一般的な試薬メーカーより多種の有機金属反応剤が販売
されており、必要なものがあればそれを購入して使用し
てもよい。
【0039】一般式(II)で表わされる化合物は、調製後
に単離することなく、引き続き一般式(I)で表わされる
化合物と遷移金属触媒および必要であれば他の反応試薬
や溶媒を加えてカップリング反応をおこなってもよい
し、単離精製したものをカップリング反応をおこなって
もよい。Mがホウ素の場合には単離精製した方が好まし
く、Mがマグネシウムまたは亜鉛の場合には単離が困難
であるためそのまま使用した方が好ましい。
【0040】本発明の製造方法は一般式(I)、(II)およ
び(III)で表される化合物が同位元素(例えば、 2H、
3H、13C)を含有していても適用できる。
【0041】以下に一般式(I)、(II)および(III)で表さ
れる化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定さ
れるものではない。
【0042】
【化7】
【0043】
【化8】
【0044】
【化9】
【0045】
【化10】
【0046】触媒として用いる遷移金属錯体はいずれの
金属錯体でもよいが、カップリング反応が良好に進行す
るという観点でパラジウムおよびニッケル錯体が好まし
い。しかしニッケル錯体は毒性が高いために(IARCでニ
ッケル化合物は全体評価1)工業的製造に適していると
は言い難いため、パラジウム錯体を用いることが特に好
ましい。パラジウム錯体としては、テトラキス(トリフ
ェニルホスフィン)パラジウム(Pd(PPh3)4)、テトラキ
ス(メチルジフェニルホスフィン)パラジウム(Pd(Ph2
PCH3)4)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パ
ラジウム(PdCl2(PPh3)2)、ジクロロビス(トリ−o−
トリルホスフィン)パラジウム(PdCl2[P(o-to
l) 3]2)、ジクロロビス(トリシクロヘキシルホスフィ
ン)パラジウム(PdCl2(PCy 3)2)、ジクロロビス(トリ
エチルホスフィン)パラジウム(PdCl2(PEt3)2)、酢酸
パラジウム(Pd(OAc)2)、塩化パラジウム(PdCl2) 、塩化
ビス(アセトニトリル)パラジウム(PdCl2(CH3C
N)2)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウ
ム(Pd2(dba)3)、塩化ビス(ジフェニルホスフィノフ
ェロセン)パラジウム(PdCl2〔bis(diphenylphosphino)
ferrocene 〕)など市販されている触媒を購入してその
まま反応系中に加えてもよいし、Pd(OAc)2やPd2(dba)3
などと任意の配位子から別途調製、単離した触媒を加え
てもよい。また、Pd(OAc)2やPd2(dba)3などと任意の配
位子を混合することによって反応系中で実際に反応に関
与すると考えられる触媒を調製してもよい。パラジウム
の価数は0であっても+2であってもよい。用いるパラ
ジウム触媒の当量数は、等量であっても触媒量であって
もよいが、0.01mol %〜20.0mol %が好まし
く、特に0.10mol %〜10.0mol%がより好まし
い。
【0047】本発明におけるパラジウム触媒は、配位子
の違いによって反応性に大きな影響がある。配位子とし
ては、トリフェニルホスフィン(PPh3)、メチルジフェ
ニルホスフィン(Ph2PCH3)、トリフリルホスフィン(P
(2-furyl)3)、トリ(o−トリル)ホスフィン(P(o-to
l)3)、トリ(シクロヘキシル)ホスフィン(PCy3)、
ジシクロヘキシルフェニルホスフィン(PhPCy2)、トリ
(t−ブチル)ホスフィン(PtBu3)、2,2’−ビス
(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル(BI
NAP)、2,2’−ビス[(ジフェニルホスフィノ)ジ
フェニル]エーテル(DPEphos)(テトラへドロン・レ
ターズ(Tatrahedron Letters)第39巻、第5327
頁(1998年)参照)、ジフェニルホスフィノフェロ
セン(DPPF)、1,1’−ビス(ジ−t−ブチルホスフ
ィノ)フェロセン(DtBPF)、N,N−ジメチル−1−
[2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]エチル
アミン、1−[2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセ
ニル]エチルメチルエーテル、2−ジシクロヘキシルホ
スフィノ−2’−ジメチルアミノ−1,1’−ビフェニ
ル(ジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・ケミカル・ソ
サエティー(Journalof the American Chemical Societ
y)第120巻、第9722頁(1998年)参照)、
スピロ型ホスホニウム塩(アンゲバンテ・ケミー・イン
ターナショナル・エディション(Angewandte Chemie In
ternational Edition)第37巻、第481頁(1998
年)参照)などのホスフィン系配位子や、イミダゾル−
2−イリデンカルベン類などのホスフィンミミック配位
子(アンゲバンテ・ケミー・インターナショナル・エデ
ィション・イン・イングリッシュ(Angewandte Chemie
International Edition in English)第36巻、第21
63頁(1997年)、ジャーナル・オブ・オーガニッ
ク・ケミストリー(Journal of Organic Chemistry)第
64巻、第3804頁(1999年)参照)などが挙げ
られる。パラジウムと配位子上の置換基とで反応してパ
ラダサイクル(アンゲバンテ・ケミー・インターナショ
ナル・エディション・イン・イングリッシュ(Angewand
te Chemie International Edition in English)第34
巻、第1844頁(1995年)参照)を形成していて
もよい。好ましくはトリフェニルホスフィン、トリフリ
ルホスフィン、トリ(o−トリル)ホスフィン(パラダ
サイクルを形成してもよい)、トリ(シクロヘキシル)
ホスフィン、トリ(t−ブチル)ホスフィン、ジシクロ
ヘキシルフェニルホスフィン、1,1’−ビス(ジ−t
−ブチルホスフィノ)フェロセン、2−ジシクロヘキシ
ルホスフィノ−2’−ジメチルアミノ−1,1’−ビフ
ェニル、およびイミダゾル−2−イリデンカルベン類な
どのホスフィンミミック配位子などである。
【0048】反応温度は、20℃から150℃までの間
が好ましく、反応温度が20℃より低い場合、反応の進
行が遅くなることがある。特に好ましくは、20℃から
120℃の間である。
【0049】反応系としては、水−有機溶媒の2相系、
含水有機溶媒あるいは有機溶媒の均一系いずれであって
もよい。有機溶媒としては、トルエン、キシレン、ヘキ
サンなどの炭化水素系溶媒、塩化メチレンなどのハロゲ
ン系溶媒、ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド系
溶媒、ジメチルホルムアミドなどのアミド系溶媒、テト
ラヒドロフラン、ジオキサン、ジグライムなどのエーテ
ル系溶媒、メタノール、エタノールなどのアルコール系
溶媒、アセトニトリルなどのニトリル系溶媒、アセト
ン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒、酢酸エチル
エステルなどのエステル系溶媒、ピリジンなどのヘテロ
環系溶媒などを用いることができる。また、2種類以上
の有機溶媒を混合して用いてもよい。使用する溶媒は、
反応前に蒸留などによって含有する水分を十分除去した
ものを用いるのが好ましいが、水との混合溶媒にして用
いる場合には必ずしも必要ではない。ただし、一般式(I
I)で表わされる有機金属反応剤と反応することで目的の
カップリング反応が進行しなくなってしまう溶媒は使用
できない。例えば、Mがホウ素の場合にはプロティック
溶媒を使用できるが、Mがマグネシウムや亜鉛の場合に
はプロティック溶媒は使用できない。
【0050】Mがホウ素の場合、反応は塩基の存在下で
行なうことが好ましい。塩基として炭酸ナトリウム、炭
酸カリウム、炭酸セシウム、水酸化バリウム、フッ化セ
シウム、リン酸カリウム、酢酸カリウム、トリエチルア
ミン、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化タリ
ウム、ナトリウムメトキシド、リチウムメトキシドなど
を用いることができる。
【0051】本発明における一般式(I)と(II)には好ま
しい組み合わせが存在する。中でもAがヘテロ環の場合
における一般式(I)のXと一般式(II)のMの組み合わせ
は重要である。好ましい組み合わせとしては、Xが硫黄
原子のときは、Mはホウ素が好ましい。Xが酸素原子の
ときは、Mはホウ素、亜鉛、マグネシウムが好ましい。
特に、Xが酸素原子のときはMが亜鉛およびマグネシウ
ムの場合が好ましい。
【0052】反応条件については、以下の文献および文
献記載の参考文献を参照することができる。 文献(a) 宮浦憲夫、鈴木章、ケミカル・レビュー(Chem
ical Review) 第95巻、第2457頁(1995
年)。 文献(b) ヴイ・スニーカス(V.Snieckus)、ケミカル・レ
ビュー(Chemical Review) 第90巻、第879頁(1
990年)。 文献(c) 佐藤史衛・山本経二・今本恒雄編「合成化学者
のための実験有機金属化学」(講談社、1992年)第
193頁〜第208頁。
【0053】
【実施例】本発明を実施例によって更に詳細に説明す
る。 (実施例―1) <5−(2−ベンゾチエニル)−2−メチルベンゾチア
ゾールの合成(1)>5−ブロモ−2−メチルベンゾチ
アゾール4.24g(0.02mol)、2−ベンゾチオ
フェンボロニックアシッド3.56g(0.02mo
l)、ナトリウムメトキシド(28%メタノール溶液)
6.4ml(0.03mol)、イソプロパノール2.3
ml(0.03mol)にTHF200mlを加えて攪拌
し、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム
1.16g(0.001mol)を添加した。これを窒素
雰囲気下、4時間還流下加熱した。反応混合物を放冷
し、水250mlを加えた後、有機層を分取し、水層を
酢酸エチル250mlで洗浄した。有機層を混合し、硫
酸ナトリウムで乾燥させた後、溶媒を留去し、得られた
粗生成物をカラムクロマトグラフィーで精製し、5−
(2−ベンゾチエニル)−2−メチルベンゾチアゾール
を2.4g(収率43%)で得た。 FAB-MS 281(M+)、1H NMR(CDCl3) δ2.85 (s, 3H, 2-
CH3), 7.33 (m, 2H), 7.61 (s, 1H), 7.72 (dd, J=1.8
and 8.3Hz, 1H), 7.78-7.89 (m, 3H), 8.29 (d,J=1.6 H
z, 1H).
【0054】(実施例―2) <5−(2−ベンゾチエニル)−2−メチルベンゾチア
ゾールの合成(2)>5−(2−メチルベンゾチアゾリ
ル) トリフルオロメタンスルホネート 5.62g
(0.02mol)、2−ベンゾチオフェンボロニックア
シッド3.56g(0.02mol)、カリウムブロミド
2.4g(0.02mol)、リン酸カリウム 5.2
g(0.03mol)に1,3−ジオキサン 100ml
を加えて攪拌し、テトラキス(トリフェニルホスフィ
ン)パラジウム1.16g(0.001mol)を添加し
た。これを窒素雰囲気下、4時間80℃で加熱した。反
応混合物を放冷し、水250mlを加えた後、有機層を
分取し、水層を酢酸エチル250mlで洗浄した。有機
層を混合し、硫酸ナトリウムで乾燥させた後、溶媒を留
去し、得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィーで
精製し、5−(2−ベンゾチエニル)−2−メチルベン
ゾチアゾールを2.2g(収率39%)で得た。
【0055】(比較例−1)実施例―1および実施例―
2で合成した5−(2−ベンゾチエニル)−2−メチル
ベンゾチアゾールの合成法は、特開平11−15097
に記載されている。細かい収率は記載されていないが8
段階の反応が必要である。
【0056】(実施例−3) <2−メチル−5−(2−チエニル)ベンゾオキサゾー
ルの合成>窒素雰囲気下、リチウムアルミニウムヒドリ
ドから蒸留したテトラヒドロフラン 50ml中、マグ
ネシウム 3.9gに2−ブロモチオフェン 14.5
mlを、攪拌下20分間かけて滴下した。滴下終了後、
室温で30分間攪拌した。次に、これに塩化亜鉛 2
0.5gのテトラヒドロフラン 100ml溶液を10
分かけて加え室温で30分攪拌した。更にこれに5−ブ
ロモ−2−メチルベンゾオキサゾール 21.2gのテ
トラヒドロフラン溶液 100ml、テトラキストリフ
ェニルフォスフィンパラジウム 1.2gを室温で順次
加え、80℃に昇温し、この温度で4時間攪拌した。T
LCで原料の5−ブロモ−2−メチルベンゾオキサゾー
ルの消失を確認したのち、反応液を放冷した後、結晶を
ろ過して除き、結晶は酢酸エチルで良く洗浄し、濾液と
洗浄液を混合し、溶媒を減圧留去した。これに酢酸エチ
ル、飽和塩化アンモニウム水溶液、を順次加え、酢酸エ
チルで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄、分離後、ぼ
うしょうで乾燥し、溶媒を減圧留去した。得られた組成
生物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(SiO2:40
0g、溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=10)で精製すること
により、2−メチル−5−(2−チエニル)ベンゾオキ
サゾール 9.9g(収率:46%)を得た。1H NMR(D
MSO-d6)δ2.63(s, 3H, methyl), 7.14(t, 1H, J=4.9Hz,
thienyl),7.55(m, 2H, thienyl), 7.63(d, 1H, J=10.6
Hz, benzo), 7.72(d, 1H, J=10.6Hz, benzo), 7.92(s,
1H, benzo).
【0057】(比較例−2)実施例―3で合成した2−
メチル−5−(2−チエニル)ベンゾオキサゾールの合
成法は、ジャーナル・オブ・ジェネラル・ケミストリー
・ユー・エス・エス・アール(Journal of General Che
mistry U. S. S. R.)第647頁(1964年)で報告
されている。p−ニトロソアセチルアミノアニソールか
ら6段階で総収率13%と報告されている。
【0058】(実施例−4) <2−メチル−5−(3−チエニル)ベンゾオキサゾー
ルの合成>窒素雰囲気下、3−チオフェンボロニックア
シッド 20g、5−ブロモ−2−メチルベンゾオキサ
ゾール 29.7g、テトラキストリフェニルフォスフ
ィンパラジウム 1.9g、炭酸カリウム 64.7g
を乾燥したDMF 150mlに溶かし、外温100℃で
3時間攪拌した。TLCで原料の5−ブロモ−2−メチ
ルベンゾオキサゾールの消失を確認したのち、反応液を
放冷した後、結晶をろ過して除いた。結晶は酢酸エチル
で良く洗浄し、濾液と洗浄液を混合し、これに酢酸エチ
ル、飽和塩化アンモニウム水溶液、を順次加え、酢酸エ
チルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄、分離後、
ぼうしょうで乾燥し、溶媒を減圧留去した。得られた組
成生物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(SiO2
400g、溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=10)で精製するこ
とにより、2−メチル−5−(3−チエニル)ベンゾオ
キサゾール 24.7g(収率:82%)を得た。1H N
MR(DMSO-d6) δ2.63(s, 3H, methyl), 7.60-7.73(m, 4
H, aromatic), 7.90(m, 1H, aromatic), 7.99(d, 1H, a
romatic) .
【0059】
【発明の効果】本発明の合成法は、一般式(III) で表さ
れる複素環化合物を収率よく与え、また多段階が必要で
あったものが短段階で製造できるという点において、従
来法よりも優れている。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C07B 61/00 300 C07B 61/00 300 Fターム(参考) 4C063 AA01 BB01 CC62 CC75 CC92 CC94 DD04 DD06 DD12 DD22 DD26 DD52 DD62 EE01 EE05 EE10 4H039 CA42 CD20

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(I)で表される化合物と一般
    式(II)で表される化合物を遷移金属触媒存在下カップリ
    ングさせて一般式(III)で表される複素環化合物を合成
    することを特徴とする複素環化合物の製造方法。 一般式(I) 【化1】 式中、Xは酸素原子、硫黄原子、セレン原子、テルル原
    子、NR1、CR23またはCR4=CR5を表す。R、
    1、R2、R3、R4およびR5は水素原子または1価の
    置換基を表す。V1、V2、V3およびV4は水素原子また
    は1価の置換基を表すが、少なくとも1つ以上はハロゲ
    ン原子または擬ハロゲン基である。 一般式(II) 【化2】 式中、Aは置換あるいは無置換のアルキル基、アリール
    基、ヘテロ環基を表わす。Mは金属原子を表わす。Lは
    1価の置換基を表す。nは0または正の整数を表わす。 一般式(III) 【化3】 1〜V4のうちハロゲン原子または擬ハロゲン基である
    Vの位置とAの間で結合を形成していることを意味す
    る。式中、X、R、R1、R2、R3、R4、R5、V1、V
    2、V3、V4は、一般式(I)および(II)のものと同義であ
    る。
  2. 【請求項2】 一般式(II)で表わされる化合物における
    Aが置換あるいは無置換のヘテロ環芳香族基であること
    を特徴とする、請求項1記載の複素環化合物の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 一般式(II)で表される化合物におけるM
    がホウ素原子であることを特徴とする、請求項1又は2
    記載の複素環化合物の製造方法。
  4. 【請求項4】 一般式(II)で表わされる化合物における
    Aが置換あるいは無置換のチエニル基、ベンゾチエニル
    基、フリル基、ベンゾフラニル基、ピロリル基およびイ
    ンドリル基から選ばれる基であることを特徴とする、請
    求項1、2および3のいずれか1項記載の複素環化合物
    の製造方法。
  5. 【請求項5】 遷移金属触媒がパラジウム錯体であるこ
    とを特徴とする、請求項1、2、3および4のいずれか
    1項記載の複素環化合物の製造方法。
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