JP2002051694A - 真空パック果実及びその製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 りんご等のように皮をむいたり、小片にカッ
トして食する果実を手軽に食することができるようにす
るとともに、見栄えのよい商品として提供し、商品価値
を高める。 【解決手段】 りんご等の球形に近い形状の果実を、輪
切り状あるいは中心線の周りで複数に分割し、分割片の
切り口をそろえて果実の原形形状に近いかたちで包装す
る。果実を分割しておくことによって簡単に食すること
ができ、切り口をそろえることによって酸化を防止し、
果実の保存性を向上させる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は真空パック果実及び
その製造方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】生食用として提供されるりんごや梨は、
通常は、特に何の加工もなされず、丸ごと販売されてい
る。なお、例外的に、スーパーマーケット等では、複数
種の果実をサラダ感覚で取り合わせたミックスフルーツ
が販売されている。この場合は、複数種の果実が、皮を
むかれて適宜角切り等にカットされ、プラスチック容器
等に入れられパックされて提供されている。また、食料
品を真空パックする技術は、従来から広く用いられてい
る。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】これらのりんごや梨と
いった果実を食する際は、食べやすくするため、皮をむ
いたり適当な大きさに切ることを必要とする。このた
め、手間がかかり、面倒であった。りんご等の果実は、
丸かじりすることも可能だが、歯茎から血が出てしまっ
たり、口を大きくあけることを要し、食べにくい。この
ようなことが、りんご等の果実の消費が拡大されない一
因ともなっている。

【０００４】これに対して、前記ミックスフルーツのよ
うに皮をむいてカットされた状態の商品は食べやすいと
いう利点はあるものの、果実の原形がわからず、消費者
の購買意欲をそそらない。また、カットされた果実は、
酸化して味が落ちやすく、日持ちがしない。特にりんご
は鉄分が酸化して褐色に変色しやすい。このため、前記
ミックスフルーツのような販売方法では、りんご等の果
実にかかる消費拡大の原動力になることは難しいという
課題があった。また、従来、食料品の真空パック技術は
一般化されたものではあるが、前記果実を丸ごと真空パ
ックする技術については、十分に検討されていなかっ
た。

【０００５】そこで、本発明の目的は、果実の鮮度を低
下させずに、食べやすく且つ見栄えのよい真空パック果
実及びその製造方法を提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するために次の構成を備える。すなわち、本発明にか
かる真空パック果実は、果実が複数個の分割片に分離さ
れ、かつ前記果実の原形形状に前記分割片をまとめて、
フィルム材により真空包装されて成ることを特徴とす
る。

【０００７】また、前記果実が、りんご等の球形に近い
形状のものであって、前記果実が輪切りされ前記分割片
に分離されていることは、果実を原形のまままとめやす
く、輪切り状の果実という新鮮な感覚で果実を味わうこ
とができるという利点がある。

【０００８】また、前記果実が、りんご等の球形に近い
形状のものであって、該果実を中心線の周りで複数に分
割することにより、複数の三日月状の分割片に分離され
ていることは、果実を均一に分割できるという利点があ
る。

【０００９】また、前記果実の酸化を防止する酸化防止
剤が前記果実と共に封入されていることにより、果実が
酸化して変質することを効果的に防止できるという利点
がある。

【００１０】また、本発明に係る真空パック果実の製造
方法は、皮が付いたままの果実を洗浄し、前記果実を切
断して複数の分割片に分離し、前記果実の原形形状に前
記分割片をまとめた状態で、フィルム材によって形成し
た包装材に収納し、該包装材によって前記果実を密封す
るとともに内部を脱気して真空包装することを特徴とす
る。

【００１１】

【発明の実施の形態】以下、本発明にかかる真空パック
果実の好適な実施例を詳細に説明する。本発明の対象と
なる果実としては、りんご、和梨、洋ナシ等の果肉が適
度な硬さを備えるとともに、果実の芯部分に大きい種や
硬い種のないものが適する。このような果実について、
本発明によれば、果実が複数個の分割片に分離され、か
つ前記果実の原形形状に前記分割片をまとめて、フィル
ム材により真空包装されている。

【００１２】果実は、通常は洗浄して真空包装する。果
実を洗浄する場合は皮の表面及びへた等の部分を含む全
体について丁寧に洗浄する。果実を洗浄する洗浄装置等
の公知の技術を利用することができる。

【００１３】本発明では果実を複数個の分割片に分離し
て果実を真空包装する。果実を分割する形態はとくに限
定されるものではないが、例えばりんご等の球形に近い
形状の果実の場合は、代表的な例として以下の２種類の
形態が好適である。一つの分割形態は、果実の中心線と
垂直な面で分割するいわゆる輪切り状に分割する方法で
あり、他は果実の中心線のまわりで均等に分割する方法
である。

【００１４】図１にりんごを輪切り状に分割して真空包
装した例を示す。１０がりんごを輪切りした一つの分割
片、２０がりんごを真空包装した包装フィルムである。
輪切り状に分割した場合は、各分割片１０は円板状とな
る。図２にりんごを中心線のまわりで分割した例を示
す。１２がりんごを分割した分割片である。中心線のま
わりでりんごを分割した場合は、各分割片１２は三日月
状となる。

【００１５】いずれの実施形態の場合も、りんごの原形
形状となるように分割片１０、１２をまとめて真空包装
する。りんごの原形形状となるように分割片１０、１２
をまとめるとは、分割片１０、１２の切り口を互いに組
み合わせて切り口が外部に露出しないようにすることで
ある。したがって、りんごを分割してまとめる場合は個
々のりんごごとに行うようにする。なお、りんご等の果
実を分割片に分離する方法は、切断刃を用いてカットす
る方法に限らず、種々の分離方法が利用できる。

【００１６】図１に示すように、果実を輪切り状にした
場合は、果実の原形形状にまとめやすく、新鮮な感覚で
果実を味わうことができる。また、図２に示すように、
果実の中心線のまわりで分割した場合は、分割片が三日
月状となって均一に分割される。なお、中心線のまわり
で分割するとは、果実の中心線を含む面で分割する意で
あるが、厳密に中心線を含む面であることを要しないこ
とは勿論である。

【００１７】次に、以上のように複数の分割片に分離
し、果実の原形形状となるように分割片をまとめて真空
包装したことによる効果等について説明する。まず、上
記のように、果実を適宜分割片に分離したことによっ
て、食べやすくなる。また、分割片の切り口を合わせて
真空包装したことで酸化等による変質が生じにくく、細
菌から保護され、鮮度を保持できる。特に、りんごの場
合は、切り口が、褐色に変色することを防止でき、保存
性が向上する。また、包装材でカバーされて保護されて
いることから取り扱いやすくなる。

【００１８】また、果実の原形形状のまま包装されてい
ることにより商品としての見栄えがよく、消費者の購買
意欲をそそるという効果がある。すなわち、果実がまる
ごとの形状で包装されていることから、果実の色彩、形
態がそのまま外観にあらわれ、これによって消費者の購
買意欲をそそることができる。また、包装を外すと即座
に食べることができ、手間を省けて便利である。

【００１９】図３は、りんごを輪切り状に分割して包装
したものを包装から開いた状態を示す。りんごを輪切り
にした場合は、分割片の中心を表裏から親指で挟んで持
ち、周囲から食べて行けば、食する部分に指を触れなく
ても清潔に芯の近くまで食べられる。皮付きのため栄養
もあり、味もよい。また、皮を剥きたい時には円板状の
分割片の周囲を一回り紐状（帯状）に剥けば良い。スラ
イスする際の厚さを薄くしておけば、幼児や、高齢者、
特に入れ歯を使用した人にも食べやすい。スライスの厚
さを２ｃｍ程度にすれば、およそ万人に適する。また、
輪切り状にしたりんごは珍しく、その食べ方に遊び心が
あり、子供たちにも喜ばれる。

【００２０】また、あらかじめ分割片に分離しておくこ
とにより、行楽の際や入院の時など、ナイフを使わずに
食べることができ、手を洗わなくても食べることができ
る。これらの利点は、りんごに限らず和梨や洋梨につい
ても同様であり、のような種類の果実に共通して同様な
利点となる。これに対し、従来のりんごを丸ごとかじる
場合には、歯茎から血が出たり、大きな口を開かなけれ
ばならない。かぶりついた一口分は、果肉部の体積に比
べ皮の面積が多くなり、皮の舌触りが悪く、おいしく食
べられない。

【００２１】また、前述したように、輪切りに分離せず
に、中心線のまわりで分割する方法の場合は、カットス
イカや、カットメロン等、内部の中央に硬い大きな種の
ない品種について有効に適用できる。また、スイカなど
では、その赤道線で分割し、さらに中央線を通る対称面
で切断して食べやすい形状にしたものを組み合わせて原
形に復し、その原形を保った状態で真空包装してもよ
い。

【００２２】そして、りんごの場合などでは、芯の部分
を中心線方向にくり抜き、輪切り状に分割して真空包装
してもよい。また、芯全体をくり抜くのではなく、汚れ
る原因となりやすい部分である、へたの部分或いはお尻
の部分（上下のくぼんだ部分）について、その近傍部分
をあらかじめ取り除いてから分割片に分離してもよい。
さらに、りんごの場合などでは、輪切り状に分割した
後、りんごの原形形状を確実に保つようにするため、中
心線に沿って串を刺して固定するようにしてもよい。串
の端部が突出するように串刺しすれば、串部分がへた状
となり、りんごの原形を模造することができ見栄えもよ
くなる。串をプラスチック製としてへたの模造形状とす
ることもできる。

【００２３】また、芯の部分を中心線方向にくり抜いて
輪切りにした場合は、くり抜き部分にプラスチック等の
芯を挿入することによって分割片の位置ずれを防止して
原形形状を保持しやすくすることができる。プラスチッ
クの芯のかわりに、くり抜き部分にキャンデーを挿入し
て芯部分も食することができるようにすると、子供向き
商品として好適であり、分割片の位置ずれも防止でき
る。

【００２４】また、前記果実が酸化しないように酸化防
止剤を果実と共に封入するようにしてもよい。これによ
って、果実の酸化による変質を抑制できる。酸化防止剤
としては、公知のものを適宜選択して用いればよく、粒
状のものを袋詰したものや、いわゆるビタミンＣ（アス
コルビン酸）や塩を用いてもよい。ビタミンＣや塩を用
いる場合は、水溶液状にし、分割した果実を、原形を保
って真空包装する前に、その水溶液中に短時間浸漬する
ようにすればよい。

【００２５】次に、以上に説明した真空パック果実の製
造方法について説明する。本発明にかかる真空パック果
実の製造方法によれば、皮が付いたままの果実を洗浄
し、前記果実を切断して複数の分割片に分離し、前記果
実の原形形状に前記分割片をまとめた状態で、フィルム
材によって形成した包装材に収納し、該包装材によって
前記果実を密封するとともに内部を脱気して真空包装す
る。

【００２６】果実を分割する場合に鋭利な刃物を用いる
と、切り口が平坦となって切り口同士が密着しやすくな
る。これによって、果実の原形形状に分割片をまとめや
すくなり、合わせ面の空気が好適に排除されて、酸化が
好適に防止され、果実の保存性が向上する。また、果実
を真空包装する際に使用するフィルム材は、真空包装用
として従来使用されているフィルムを使用すればよく、
透明フィルム、半透明フィルム、着色フィルム等の種々
のフィルムが使用できる。また、フィルムに所要の印刷
を施したフィルム材を使用することももちろん可能であ
る。

【００２７】フィルム材は、あらかじめりんご等の果実
を収容できる個別の袋状に形成したもの、単なるシート
状に形成して、包装時に果実を包み込むように密封して
包装するもの等、真空包装方法によって種々の形態が利
用できる。真空包装する場合は、包装材の中に処理済み
のりんごを収納し、真空吸引して空気を除去し、シュリ
ンク包装、ヒートシール等によって開口部をシールすれ
ばよい。さらに、保存性を高めるため真空包装する前
に、殺菌等の処理を行ってもよい。殺菌方法としては、
瞬間的に熱湯中に浸漬して加熱することにより雑菌や酵
素の活性をなくす方法や、他の公知の殺菌方法等を適宜
選択的に用いればよい。

【００２８】以上の実施例では、ビタミンＣや塩等の水
溶液に果実を浸漬してもよいことを説明したが、さら
に、りんご等の果実の味や艶を向上させるような成分等
を適宜調整して添加した溶液を用いてもよい。但し、果
実本来の味を大切にする上では、そのような添加物が極
力ない方が、より好ましいことも勿論のことである。以
上、本発明につき好適な実施例を挙げて種々説明してき
たが、本発明はこの実施例に限定されるものではなく、
発明の精神を逸脱しない範囲内で多くの改変を施し得る
のは勿論のことである。

【００２９】

【発明の効果】本発明によれば、果実があらかじめ分割
片に分離され、真空包装されて提供されるから、開封し
て簡単に食することができ、だれでも簡単に手軽に食す
ることができる。また、分割片の切り口を互いに組み合
わせて密着させるようにして包装されていることから酸
化等の変質を抑えて鮮度の良い状態で保持することがで
きる。また、果実の原形を保つように包装されているた
め、商品としての見栄えがよく、消費者の購買意欲をそ
そるという著効を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る真空パック果実の一実施形態を示
す説明図である。

【図２】本発明に係る真空パック果実の他の実施形態を
示す説明図である。

【図３】りんごを輪切り状にしたものをパック状態から
開いた状態を示す説明図である。

【符号の説明】

１０、１２ 分割片 ２０ 包装フィルム

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 果実が複数個の分割片に分離され、かつ
   前記果実の原形形状に前記分割片をまとめて、フィルム
   材により真空包装されて成ることを特徴とする真空パッ
   ク果実。
2. 【請求項２】 前記果実が、りんご等の球形に近い形状
   のものであって、前記果実が輪切りされ前記分割片に分
   離されていることを特徴とする請求項１記載の真空パッ
   ク果実。
3. 【請求項３】 前記果実が、りんご等の球形に近い形状
   のものであって、該果実を中心線の周りで複数に分割す
   ることにより、複数の三日月状の分割片に分離されてい
   ることを特徴とする請求項１記載の真空パック果実。
4. 【請求項４】 前記果実の酸化を防止する酸化防止剤が
   前記果実と共に封入されていることを特徴とする請求項
   １、２又は３記載の真空パック果実。
5. 【請求項５】 皮が付いたままの果実を洗浄し、前記果
   実を切断して複数の分割片に分離し、前記果実の原形形
   状に前記分割片をまとめた状態で、フィルム材によって
   形成した包装材に収納し、該包装材によって前記果実を
   密封するとともに内部を脱気して真空包装することを特
   徴とする真空パック果実の製造方法。