JP2002050587A - 薄膜処理方法 - Google Patents

薄膜処理方法

Info

Publication number
JP2002050587A
JP2002050587A JP2000240374A JP2000240374A JP2002050587A JP 2002050587 A JP2002050587 A JP 2002050587A JP 2000240374 A JP2000240374 A JP 2000240374A JP 2000240374 A JP2000240374 A JP 2000240374A JP 2002050587 A JP2002050587 A JP 2002050587A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
electron beam
thin film
sample
plasma
processing chamber
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000240374A
Other languages
English (en)
Inventor
Kenichi Chiyabara
健一 茶原
Masatoshi Wakagi
政利 若木
Kenichi Kizawa
賢一 鬼沢
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Ltd filed Critical Hitachi Ltd
Priority to JP2000240374A priority Critical patent/JP2002050587A/ja
Publication of JP2002050587A publication Critical patent/JP2002050587A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Physical Or Chemical Processes And Apparatus (AREA)
  • Chemical Vapour Deposition (AREA)
  • Drying Of Semiconductors (AREA)
  • Thin Film Transistor (AREA)
  • Recrystallisation Techniques (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】絶縁基板上の薄膜または絶縁膜のプラズマ,電
子ビームの照射による薄膜処理に、基板や薄膜に帯電を
起こさず処理し、該薄膜の特性を向上する薄膜処理方法
の提供。 【解決手段】電子ビーム源10から電子ビーム34を発
生する工程と、試料処理室14にガス18を導入する工
程と、前記電子ビーム源10と前記処理室の間に配置し
た両者を分離する伝送路を通して前記電子ビームを処理
室へ導入する工程と、前記電子ビームを試料47へ照射
する工程と、前記電子ビームの照射による前記ガスの電
離により生成したプラズマ50を前記試料に照射する工
程を有する薄膜処理方法であって、前記ガスにヘリウ
ム,ネオン,クリプトン,アルゴン,キセノン,水素,
酸素,窒素の少なくとも一種を含むガスを用いる薄膜処
理方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、薄膜処理方法に係
り、特に、液晶表示装置に用いられる薄膜試料への電子
ビーム照射効果、膜処理室の雰囲気ガスへの電子ビーム
照射で生成したプラズマによる試料へのプラズマ照射効
果により、膜特性の改質に好適なシリコン系薄膜の処理
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】励起されたラジカル・プラズマ・イオン
は、化学エネルギーを有し、また、加速されたイオン・
電子は物理エネルギーを有するため、薄膜処理の低温化
が可能となる。このため、薄膜トランジスタを用いたア
クティブマトリックス方式の液晶表示装置や、半導体、
磁気ヘッド等の製造に用いられてきた。
【0003】従来、ラジカル・プラズマ・荷電粒子(イ
オン、電子)を利用した薄膜処理方法として、ラジカル
照射法、プラズマ照射法、イオンビーム照射法、電子ビ
ーム照射法が知られている。これらの方法は、膜表面清
浄化・膜構造改質などに代表される薄膜処理を行うもの
である。
【0004】例えば、高周波放電型プラズマ・平行平板
型プラズマに対し、基板バイアス・プラズマ電位バイア
ス制御によって、薄膜へのラジカル・イオン照射を制御
する薄膜処理方法がある(特開昭53−110378号
公報)。
【0005】また、電子ビームによってプラズマを生成
し、プラズマと被処理薄膜との間に配置されたグリッド
電極の電位制御によって薄膜へのラジカル照射量を制御
する薄膜処理方法(特開平6−132241号公報)が
あり、電子ビーム照射密度を制御することでアモルファ
スシリコン膜から単結晶シリコン膜を形成する薄膜処理
方法(特開平7−2599号公報)がある。
【0006】また、一対の電極の一方の電極にスリット
を設け、このスリットから反応性気体を噴出させて形成
したシートビーム型のプラズマを用いた薄膜処理方法
(特開平6−252071号公報)がある。
【0007】そして、加熱された輸送チューブで輸送さ
れたラジカルを用いた薄膜処理方法(特開平5−271
951号)がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従来技術の処理用のプ
ラズマを試料と隔離して配置するか、処理用のプラズマ
と試料を同一容器内に配置するか、あるいは、電子ビー
ムを処理膜に照射する方法で、プラズマ・ラジカル・イ
オン・電子を利用した薄膜処理方法では、処理用のプラ
ズマを試料と隔離して配置する場合、試料と隔離された
プラズマを維持するために余分なエネルギーが必要とな
り、電力エネルギーが有効に薄膜処理に活用されない。
【0009】また、処理用のプラズマと試料を同一容器
内に配置する場合、プラズマ原料が分解した多種の雑多
なラジカル等が存在し、これらラジカル量やイオン量等
の制御が困難である。
【0010】電子ビームを試料に照射する方法では、絶
縁膜、特に、絶縁基板上の薄膜の処理において、試料や
基板が照射ビームの持つ電荷と同じ電荷に帯電するた
め、試料へのビームの入射が困難か、試料へのビームが
発散するためにエネルギーが有効に活用されない。
【0011】また、単一の容器内に電極やプラズマを収
納するような場合、均一な放電をさせるためには、容器
内のガス圧が数Pa(パスカル)から数十Paに制限さ
れる。即ち、容器内のガス圧を設定値より高くすると均
一な放電ができなくなり、局部に集中した放電が生じ
て、基板に均一な処理を施すことができない。
【0012】逆に、容器内のガス圧を設定値より低くす
ると放電が不安定になるか、あるいは、全く放電しない
状態となり、試料に処理を施すことが困難になる。
【0013】本発明の目的は、絶縁性基板上の薄膜や、
絶縁膜のプラズマや電子ビーム照射による薄膜処理方法
において、基板や薄膜の帯電を起こさずに薄膜処理し、
該薄膜の特性を向上できる薄膜処理方法の提供にある。
【0014】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成する本発
明の薄膜処理方法の要旨は次のとおりである。
【0015】電子ビーム源から電子ビームを発生する工
程と、試料処理室にガスを導入する工程と、前記電子ビ
ーム源と前記処理室の間に配置した両者を分離する伝送
路を通して前記電子ビームを処理室へ導入する工程と、
前記電子ビームを前記試料へ照射する工程と、前記電子
ビームの照射による前記ガスの電離により生成したプラ
ズマを前記試料に照射する工程を有する薄膜処理方法で
あって、また、前記ガスにヘリウム,ネオン,クリプト
ン,アルゴン,キセノン,水素,酸素,窒素の少なくと
も一種を含むガスを用いる薄膜処理方法にある。
【0016】前記電子ビーム源と前記処理室との間に配
置した該処理室のガス圧よりも低圧の減圧室を介して前
記電子ビームを処理室へ導入する工程を含む上記の薄膜
処理方法にある。
【0017】また、前記電子ビーム源と前記処理室との
間に配置され両者を分離するところの前記処理室のガス
圧よりも低圧の減圧室を介して、前記電子ビームを処理
室へ導入する工程と、前記電子ビームを試料へ照射し前
記試料を加熱する工程を含む上記の薄膜処理方法にあ
る。
【0018】前記の薄膜処理方法においては、以下の要
素を付加することができる。
【0019】(1) 前記電子ビームを発生する工程
は、電界レンズによる電子ビームを収束させる工程と、
前記減圧室内に配置された磁界レンズによる前記電界レ
ンズを通過した電子ビームを収束させる工程を備える。
【0020】(2) 前記電子ビームを発生する工程
は、電界レンズによる電子ビーム収束させる工程と、隣
接して配置された複数からなる前記減圧室内に配置され
た磁界レンズによって、前記電界レンズを通過した電子
ビームまたは他の減圧室内を通過した電子ビームを収束
させる工程を備える。
【0021】(3) 前記電子ビームを発生する工程
は、パルス信号に応答してアーク放電を発生させると共
に、熱電子を放出してプラズマを生成する容器内の一対
の電極に印加する前記パルス信号のパルス幅とパルス間
隔を調整する工程と、前記容器にガスを貯留する工程
と、電圧の印加により前記容器内から電子ビームを引き
出す複数の引出電極に印加する電圧を調整する工程を備
える。
【0022】(4) 前記電子ビームの照射に伴う前記
基板上の試料の帯電量を調整する工程と、前記処理室内
のプラズマに含まれる正イオンの前記基板上の試料への
流入による中和量を調整する工程を備える。
【0023】(5) 前記処理室内のプラズマを、前記
試料の周囲に形成した磁場によって前記試料の被処理面
側に閉じ込める工程を備えてなる。
【0024】上記により、電子ビーム源と処理室とが分
離手段あるいは減圧室によって分離されているので、前
記の処理用のガスの存在する処理室のガス圧を、処理に
最適な任意のガス圧に設定することができる。試料を処
理するためのガスの圧力に対する制約をなくすことによ
り、処理に最適なプラズマを形成できる。
【0025】また、プラズマ照射と電子ビームの照射を
同時に行うことによって、試料の帯電量を低減すること
ができ、特に、絶縁膜や、絶縁基板上の薄膜の処理が可
能となる。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を図面に基
づき説明する。
【0027】〔実施例 1〕図1は本発明の薄膜処理方
法に用いる薄膜処理装置の模式断面図である。薄膜処理
装置は、処理室14上に減圧室12を介して電子ビーム
源10が配置されている。
【0028】電子ビーム源10は、プラズマ生成室を構
成する容器16を備え、該容器16は、軸方向の一端が
閉塞され、他端が開口された箱型に形成されている。こ
の容器16の上部側に形成されたガス導入口18から容
器16内にプラズマ生成用のガスが導入されるようにな
っている。ガス導入口18の両側の壁には複数の絶縁材
20が壁を貫通した状態で固定されており、各絶縁材2
0には、タングステンからなるカソード(マイナスの電
極)22が挿入されている。
【0029】各カソード22は、熱フィラメントとして
マイナスの直流電源に接続されており、各カソード22
からは熱電子が放出されるようになっている。
【0030】また、容器16の内壁面にはアノード(プ
ラスの電極)24が設けられており、このアノード24
はプラスの直流電源に接続されている。そしてアノード
24とカソード22との間に直流電源から直流電圧が印
加されると、各電極間にアーク放電が発生し、容器16
内にプラズマが形成される。
【0031】また、容器16の外周側には、磁性体とし
て複数の永久磁石26が配置されている。各永久磁石2
6はN極とS極が交互になるように、即ち、相隣接する
他の永久磁石26の磁極が互いに異なるように並べら
れ、各永久磁石26によって多極磁界が形成されるよう
になっている。そして、この多極磁界によって、容器1
6内に形成されたプラズマが容器16内に閉じ込められ
るようになっている。
【0032】一方、容器16の開口端側には、複数の引
出電極28,30が互いに離れて、例えば、1〜5mm
程度の絶縁距離を保って配置されている。
【0033】引出電極28はマイナスの直流電源に接続
され、引出電極30は接地されており、各引出電極2
8,30には複数の引出電極孔32が形成されている。
引出電極孔32は、例えば、直径が3mmのものが30
0個形成されている。そして、容器16内にプラズマが
生成された状態で、引出電極28,30間に直流電圧が
印加されると、プラズマから電子ビーム34が引き出さ
れる。
【0034】この場合、各引出電極孔32から電子ビー
ム34が引き出されることにより、容器16内のプラズ
マから300本の電子ビーム34が引き出されることに
なる。引き出される電子ビーム34のエネルギーは、例
えば、約1keVであり、300本の電子ビーム34に
よって、1000mAの出力電子ビーム量を有する電子
ビーム34が減圧室12内に引き出される。
【0035】減圧室12は、電子ビーム源10と反応室
14との間に配置されて両者を分離すると共に、電子ビ
ーム源10からの電子ビーム34を反応室14に導く電
子ビーム伝送路を形成する分離手段として、直方体形状
に形成されており、排気口36が真空ポンプ(図示省
略)に接続されている。即ち、減圧室12は、反応室1
8のガス圧よりも圧力が低い空間部として、真空ポンプ
により、処理室14のガス圧の約1/10に圧力が保た
れている。
【0036】また、減圧室12と処理室14との境界と
なる隔壁38には、直径3mmの電子ビーム通過孔40
が300個形成されており、300本の電子ビーム34
が各電子ビーム通過孔40を介して、処理室14内に導
入される。
【0037】また、隔壁38に各電子ビーム通過孔40
の形成に際しては、機械加工によって形成することも可
能であるが、処理室14と減圧室12との差圧を大きく
することで、真空ポンプの負担を小さくするためには、
隔壁38に直径1mm以下の孔を300個開けることが
望ましい。しかし、300本の電子ビーム34を全て偏
芯させずに、確実に各電子ビーム通過孔40を通過させ
ることは機械加工によるアライメントでは困難である。
【0038】そこで、本実施例では、処理室14、減圧
室12、電子ビーム源10を組み立てた後、平板上の隔
壁38に向けて、電子ビーム源10からの電子ビーム3
4を照射することによって、電子ビーム通過孔40を穿
孔した。この方法を採用することで、電子ビーム通過孔
40の直径を、電子ビーム34のビーム径とほぼ同じに
することができると共に、電子ビーム34の偏芯をゼロ
にすることができる。
【0039】一方、処理室14は、高さ50cm×横8
0cm×奥行き80cmの直方体の部屋として構成され
ており、処理室14の底部側にはガス導入口42と、排
気口44が形成されている。そして処理室14内に、ガ
ス導入口42から処理ガスとして窒素を導入する。
【0040】反応室14内のガスの一部は、排気口44
から排出されるよう構成されており、この排気口44は
真空ポンプに接続され、処理室14内のガス圧は、例え
ば、1〜10Pa程度に維持されるようになっている。
【0041】また、処理室14のほぼ中央部には、基板
ホルダ46が配置されており、該ホルダ上の基板47の
上の薄膜48と共に、処理室14内にガスが満たされ、
この雰囲気中に300本の電子ビーム34が導入される
ことで、ガスが電離しプラズマ50が形成される。つま
り、電子ビーム34は、薄膜48に照射されると共に、
ガスにも照射され、該電子ビームによってプラズマ50
が形成される。
【0042】なお、電力の投入は電子ビーム対して行わ
れる。電子は負の電荷を持ち電子ビーム照射によって、
薄膜や基板は負に帯電するが、正の電荷を持つプラズマ
50の中のイオン照射によって、電子ビーム照射による
負に帯電が打ち消されるため、荷電粒子である電子やイ
オンは、薄膜に効率的に照射されることになる。
【0043】表1は、ガラス基板上に形成された低圧化
学気相蒸着法によって形成された膜厚50nmのアモル
ファスシリコン膜へ、本発明の薄膜処理を行い結晶化さ
せた場合に、ラマン散乱の測定によって結晶化率を測定
した場合の一例である。なお、ヒータ等による処理基板
の加熱は行っていない。
【0044】
【表1】
【0045】ラマン散乱の測定には、波長514.5n
mのアルゴンレーザーを用いている。測定波長域は35
0cm~1〜550cm~1である。また、基板には石英を
用いることもでき、アモルファスシリコン膜と基板の間
に、酸化シリコン膜や窒素シリコン膜等を下地層として
形成してもよい。
【0046】電子ビーム電流を20mAとして60se
c照射した。処理室14の圧力は、1、50、3700
Paとした。圧力が1Paの場合には、結晶化が進行せ
ずアモルファス相が残っている。これは、ガス圧力が低
いためプラズマの密度が低く、正の電荷を持つイオンの
密度が低いため、電子ビーム照射による薄膜や基板の負
の帯電が打ち消されないためである。この場合、プラズ
マの密度が低いためプラズマ照射による特性改善効果は
低く、かつ薄膜や基板が負に帯電するため負電位により
薄膜への電子ビームの入射が阻害され、電子ビーム照射
による特性改善効果も低くなる。
【0047】これに対し、圧力が50Pa、または、3
700Paの場合には、100%結晶化しており、電子
ビーム照射とプラズマ照射による効率的な膜質の改善が
可能なことが分かった。
【0048】また、照射時間を変えることで、薄膜への
エネルギー投入量が変化する。表2は、照射時間を変え
た場合の結晶化薄膜処理の結果である。
【0049】
【表2】
【0050】照射時間が30sec、60secの場
合、100%結晶化が進行しているが、照射時間が30
0secと長い場合には、微結晶化することが分かっ
た。
【0051】電子ビーム照射とプラズマ照射による薄膜
へのエネルギー入射量が大き過ぎるためと考えられる。
【0052】表3は、窒素以外のガスを用いた場合の結
晶化薄膜処理の結果を示したである。
【0053】プラズマ生成用のガスとして、ヘリウム、
ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノンと云った不活
性ガスを用いても、100%の結晶化が可能であること
が分かった。
【0054】表4は、本発明の薄膜処理方法で、酸化シ
リコン膜の特性改善を行った例である。薄膜処理前後で
赤外吸収測定を行い、特にシリコン−酸素−シリコン結
合部の伸縮振動ピーク位置の変化を調べた結果である。
【0055】
【表3】
【0056】
【表4】
【0057】処理前の伸縮振動ピーク位置が約1065
cm~1であるのに対し、処理後では1070cm~1〜1
077cm~1程度に変化することが分かった。この値
は、約600℃で数時間熱アニールされた酸化シリコン
膜の値とほぼ同じである。
【0058】このように、本発明の薄膜処理工程によれ
ば、ガスへの電子ビーム入射においてガス圧を調整し、
電子ビーム照射と電子ビーム照射により生成したプラズ
マ照射を同時に行うことにより、絶縁基板や絶縁膜の帯
電による荷電粒子の発散を抑えることができ、処理工程
での消費電力を効率的に薄膜処理に適用可能となる。
【0059】また、薄膜や基板の帯電量調整や、中和量
の調整を行うことで、薄膜や基板に入射する電子の量
や、プラズマからのイオンの量のバランスを変化させ、
特に、電子の量の増減により、薄膜への局所的熱投入量
を変化させることが可能である。処理容器や基板等を加
熱せずに処理時の薄膜の有効温度を上昇させることがで
き、基板温度が低温のままで、薄膜の特性を大きく改善
することが可能となる。
【0060】〔実施例 2〕本実施例では、図1に示す
熱フィラメント方式の代わりに、図2に示すようにマイ
クロ波方式による電子ビーム源52を用いた。なお、他
の構成は図1と同様であるので、電子ビーム源52の構
成についてのみ説明する。
【0061】電子ビーム源52は、カソード22の代わ
りに、容器16の上部側に、マイクロ波導波管54が接
続されて構成されている。
【0062】このマイクロ波導波管54には、マイクロ
波電源〔図示省略〕からマイクロ波が導入され、容器1
6内に導入されたプラズマ生成用ガスに、マイクロ波が
照射されると、容器16内にプラズマが生成される。そ
して、このプラズマは引出電極28,30により電子ビ
ームとして、減圧室12に引き出されるようになってい
る。
【0063】〔実施例 3〕本実施例では、図3のプラ
ズマ処理装置の模式断面図に示すように、電子ビーム源
56、減圧室58,60を備えて構成されており、処理
室14中に基板ホルダ46、基板47、薄膜48が配置
されている。
【0064】電子ビーム源56は、ガスを収納する容器
62を備え、容器62の一端にはタングステンフィラメ
ント64が設けられており、容器62の他端には電界レ
ンズ66が配置されている。
【0065】電子ビーム源56は、容器62の内壁に設
けたアノードとフィラメント64との間に直流電圧が印
加されると共に、容器62内にプラズマ生成ガスが導入
されることにより、容器62内に単一のプラズマを生成
し、引出電極28,30と同一の機能を有する電界レン
ズ66によって、プラズマから単一の電子ビーム68を
引き出すと共に、電子ビーム68のビーム径を絞るよう
に構成されている。
【0066】減圧室58,60は、電子ビーム68を伝
送するための電子ビーム伝送路を形成しており、各減圧
室58,60にはそれぞれ磁界レンズ74,74’が電
界レンズ66と同心状に配置されている。各磁界レンズ
74,74’は、例えば、ソレノイドコイルで構成され
ており、ソレノイドコイルから発生する磁場を電子ビー
ム68に与えて、電子ビーム68のビーム径を絞るよう
に構成されている。そして電子ビーム68は、磁界レン
ズ74,74’でビーム径が絞られた状態で、ビーム通
過孔76を通過し、て基板48上に照射される。
【0067】また、各減圧室58,60は、それぞれ排
気口82,84を介して真空ポンプ(図示省略)に接続
されており、各真空ポンプの作動により、減圧室58,
60は指定のガス圧に維持されている。
【0068】本実施形態において、減圧室58,60内
のガス圧を順次大気圧よりも低くすることで、薄膜47
を1気圧のガス雰囲気中で処理することも可能である。
【0069】〔実施例 4〕本実例では、図4に示すよ
うに電子ビーム源として、パルス電子ビーム源86を用
い、パルス電子ビーム源86から単一、または、300
本のパルス電子ビーム88を発生させると共に、基板4
7の背面側に、複数の永久磁石90を相対向させて配置
し、各永久磁石90によってマグネトロン磁場91を形
成し、処理室14内のプラズマを基板47の被処理面側
(表面側)に閉じ込めるようにしたものである。
【0070】パルス電子ビーム源86は、単一のパルス
電子ビームを発生するときには電子ビーム源56(図3
参照)を用い、複数のパルス電子ビームを発生させると
きには電子ビーム源10(図1参照)を用いて構成する
ことができる。
【0071】この場合、電界レンズ、または、アノード
24とカソード22間に100〜200V程度のパルス
信号を周期的に印加し、周期的にパルスアーク放電を発
生させる。そしてパルス信号を発生するパルス信号発生
器(図示省略)のパルス幅とパルス間隔を、パルス信号
発生器のパルス信号調整手段によって調整する。
【0072】即ち、電界レンズ66やアノード24、カ
ソード22に印加されるパルス信号の印加時間は、パル
ス電子ビーム88のパルス幅になり、あるパルス信号の
印加時間と次のパルス信号の印加時間の間隔は、パルス
電子ビーム88のパルス間隔になるため、パルス信号発
生器から発生するパルス信号のパルス幅と、パルス信号
の発生間隔を、例えば、電源の入り切りのタイミングや
電源オン時間等で調整する。
【0073】また、電界レンズ66、または、アノード
24とカソード22に印加するパルス信号の電圧を調整
することで、パルス電子ビーム88のエネルギーを調整
する。さらにまた、処理室14内のガス流量を調整する
と共に、排気系を調整することで、処理室14内のガス
圧を調整する。
【0074】本実施例では、処理室14内の圧力を大気
圧よりも減圧することができると共に、マグネトロン磁
界91により基板48の表面のプラズマ密度を高めてパ
ルス電子ビーム88とによる帯電を減らすことができ
る。
【0075】
【発明の効果】本発明の薄膜処理方法によれば、ガスへ
の電子ビーム入射においてガス圧を調整し、電子ビーム
照射と電子ビーム照射により生成したプラズマ照射を同
時に行うことにより、絶縁基板や絶縁膜の帯電による荷
電粒子の発散を抑えることができ、処理工程での消費電
力を効率的に薄膜処理に適用できる。
【0076】また、電子ビームの照射による薄膜への局
所的熱投入によって、処理容器や基板等を加熱せず、処
理時の薄膜の有効温度を上昇させることができるので、
基板温度を高温にして処理する高温炉アニール処理膜等
の膜特性と同等な特性を持つ処理薄膜を形成することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の薄膜処理装置の模式断面図である。
【図2】実施例2の電子ビーム源の要部模式断面図であ
る。
【図3】実施例3のプラズマ処理装置の模式断面図であ
る。
【図4】実施例4の薄膜処理装置の要部模式断面図であ
る。
【符号の説明】
10…ビーム源、12…減圧室、14…処理室(反応
室)、16,62…容器、18…ガス導入口、22…カ
ソード、24…アノード、26…永久磁石、28,30
…引出電極、34…電子ビーム、40…通過孔、46…
基板ホルダ、47…基板、48…薄膜、50…プラズ
マ、52,56…電子ビーム源、54…マイクロ波導波
管、58,60…減圧室、64…フィラメント、66…
電界レンズ、74…磁界レンズ、86,88…パルス電
子ビーム源、89…パルス電子ビーム容器、90…永久
磁石、91…マグネトロン磁界、92…2次電子ビー
ム、93…Siイオン、94…供給ガス、95…ガス供
給容器。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01L 21/302 H01L 21/302 Z 29/786 29/78 627G 21/336 (72)発明者 鬼沢 賢一 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内 Fターム(参考) 4G075 AA24 AA30 BC01 BD03 BD14 CA14 CA47 CA63 EB43 EC21 FC13 4K030 BA30 CA06 DA08 LA18 5F004 AA14 BA17 BB18 DA22 DA23 DA24 DA25 DA26 EA38 FA04 5F052 AA03 DA02 JA01 5F110 AA30 DD02 GG02 GG13 GG47 PP08 PP13

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電子ビーム源から電子ビームを発生する
    工程と、試料処理室にガスを導入する工程と、前記電子
    ビーム源と前記処理室の間に配置した両者を分離する伝
    送路を通して前記電子ビームを処理室へ導入する工程
    と、該電子ビームを試料へ照射する工程と、電子ビーム
    の照射による前記ガスの電離により生成したプラズマ
    を、前記試料に照射する工程を有する薄膜処理方法であ
    って、 前記ガスにヘリウム,ネオン,クリプトン,アルゴン,
    キセノン,水素,酸素,窒素の少なくとも一種を含むガ
    スを用いることを特徴とする薄膜処理方法。
  2. 【請求項2】 前記電子ビーム源と前記処理室との間に
    配置した該処理室のガス圧よりも低圧の減圧室を介して
    前記電子ビームを処理室へ導入する工程を含む請求項1
    に記載の薄膜処理方法。
  3. 【請求項3】 前記電子ビーム源と前記処理室との間に
    配置され両者を分離するところの前記処理室のガス圧よ
    りも低圧の減圧室を介して、前記電子ビームを処理室へ
    導入する工程と、前記電子ビームを試料へ照射し前記試
    料を加熱する工程を含む請求項1に記載の薄膜処理方
    法。
  4. 【請求項4】 前記電子ビームを発生する工程が、電界
    レンズにより電子ビーム径を絞って単一の電子ビームを
    発生する工程と、前記減圧室内に配置された磁界レンズ
    による前記電界レンズを通過した電子ビーム径を絞る工
    程を含む請求項2または3記載の薄膜処理方法。
  5. 【請求項5】 前記電子ビームを発生する工程が、電界
    レンズによる電子ビーム径を収束して電子ビームを発生
    する工程と、隣接して配置された複数からなる前記減圧
    室内に配置された磁界レンズによって、前記電界レンズ
    を通過した電子ビームまたは他の減圧室内を通過した電
    子ビームを収束する工程を含む請求項2または3に記載
    の薄膜処理方法。
  6. 【請求項6】 前記電子ビームを発生する工程は、パル
    ス信号に応答してアーク放電を発生させると共に、熱電
    子を放出してプラズマを生成する生成室内の一対の電極
    に印加する前記パルス信号のパルス幅とパルス間隔を調
    整するパルス信号を調整する工程と、前記生成室にガス
    を貯留する工程と、電圧の印加により前記生成室内から
    電子ビームを引き出す複数の引出電極に印加する電圧を
    調整する工程を有する請求項1,2または3に記載の薄
    膜処理方法。
  7. 【請求項7】 前記電子ビームの照射に伴う基板上の試
    料の帯電量を調整する工程と、前記処理室内のプラズマ
    に含まれる正イオンの前記基板上の試料への流入による
    中和量を調整する工程を含む請求項1,2または3に記
    載の薄膜処理方法。
  8. 【請求項8】 前記処理室内のプラズマを、前記試料の
    周囲に形成した磁場により前記試料の被処理面側に閉じ
    込める工程を含む請求項1〜7のいずれかに記載の薄膜
    処理方法。
JP2000240374A 2000-08-03 2000-08-03 薄膜処理方法 Pending JP2002050587A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000240374A JP2002050587A (ja) 2000-08-03 2000-08-03 薄膜処理方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000240374A JP2002050587A (ja) 2000-08-03 2000-08-03 薄膜処理方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002050587A true JP2002050587A (ja) 2002-02-15

Family

ID=18731744

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000240374A Pending JP2002050587A (ja) 2000-08-03 2000-08-03 薄膜処理方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002050587A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4713585A (en) Ion source
JP4979580B2 (ja) プラズマドーピング方法
US4980610A (en) Plasma generators
JP2792558B2 (ja) 表面処理装置および表面処理方法
JP2002289583A (ja) ビーム処理装置
JP2009038030A (ja) ハイブリッドイオン源/マルチモードイオン源
TW201705179A (zh) 離子束裝置、離子植入裝置、離子束放出方法
US20010017109A1 (en) Enhanced plasma mode and system for plasma immersion ion implantation
US4851668A (en) Ion source application device
US5252892A (en) Plasma processing apparatus
JP2000054125A (ja) 表面処理方法および装置
US6858838B2 (en) Neutral particle beam processing apparatus
JP2004353066A (ja) プラズマ源およびプラズマ処理装置
JP2002050587A (ja) 薄膜処理方法
US8663430B2 (en) Magnetron sputtering apparatus and method for manufacturing thin film
JPH08165563A (ja) 電子ビームアニール装置
JPH0770512B2 (ja) 低エネルギイオン化粒子照射装置
JP2703029B2 (ja) 基板への不純物の導入方法
JPH08222553A (ja) 処理装置及び処理方法
JP2002203860A (ja) 薄膜処理方法とそれを用いたトランジスタの製法
JPH0488165A (ja) スパッタ型イオン源
JP4032504B2 (ja) スパッタ装置
JPH0666296B2 (ja) プラズマ処理装置
JPH10172793A (ja) プラズマ発生装置
JPWO2010082345A1 (ja) シリコンドット形成方法及びシリコンドット形成装置