JP2002048764A - 微量酸素測定装置及び測定方法 - Google Patents

微量酸素測定装置及び測定方法

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JP2002048764A
JP2002048764A JP2000236964A JP2000236964A JP2002048764A JP 2002048764 A JP2002048764 A JP 2002048764A JP 2000236964 A JP2000236964 A JP 2000236964A JP 2000236964 A JP2000236964 A JP 2000236964A JP 2002048764 A JP2002048764 A JP 2002048764A
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Yoshihiko Mizutani
吉彦 水谷
Akihiro Muroguchi
昭宏 室口
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NGK Insulators Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 ppb単位での酸素濃度測定のための検量線
を作成することにより、正確に微量酸素濃度の測定が可
能な測定装置及び測定方法の提供。 【解決手段】 限界電流形酸素センサの出力値と酸素濃
度との関係の直線性を確保するために、濃度検出セルの
制御電圧が確実にネルンストの式に追従する比較的高い
酸素濃度範囲に設定すること、測定ガス中の酸素濃度が
制御濃度未満の場合には、より高い酸素濃度を有する電
極から汲み込みが可能となるようにポンプ対極を専用の
空気ダクトに設けること、ポンプ電流による電圧降下等
の影響を受けないよう濃度検出セル電極とポンプセル電
極とは独立して設けること、共存する可燃性ガス等の干
渉ガスの影響を排除するための手段を講ずること、及び
ppb単位での酸素濃度測定用の検量線の作成が可能と
なる手段を測定装置に組み込むことにより達成。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】 本発明は、微量可燃ガスと
微量酸素とを含む各種産業用ガスの製造工程の管理、最
終製品の品質管理に使用される微量酸素測定装置及び測
定方法に関し、より詳しくは、微量酸素域の出力直線性
を向上させた限界電流形酸素センサを用い測定ガス中の
酸素を除去したものと測定ガスそのものとのポンプ電流
差を測定対象である酸素濃度とすることにより、多様な
ガス中の正確な微量酸素濃度の測定を可能ならしめる微
量酸素測定装置及び測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】 ガス精製業はもとより、半導体製造プ
ロセス、鉄鋼・金属等の熱処理(無酸化炉)、特殊金属
溶接、食品包装といった多岐にわたる分野において、高
純度ガスが使用されている。このような高純度ガスのう
ち、酸素濃度の制御が必要とされるアルゴン(Ar)ガ
ス、窒素(N2)ガス、ヘリウム(He)ガス等の高純
度ガスの製造工程の管理、最終製品の品質管理において
は、酸素濃度をppbのオーダーで、かつ、正確な測定
することが求められるようになってきている。
【0003】 微量酸素を含むこれらの高純度ガスに
は、微量酸素に加え、少量の可燃ガスが不純物として含
まれることが一般的である。例えば、高純度Arガス中
の可燃性ガスとしては、CO≦0.1ppm、CH4
0.1ppm、H2≦0.2ppmが含まれることが知
られている。微量酸素を含むこれらの不純物の混入は、
多くの工業用高純度ガスの製造に用いられている深冷空
気分離装置で精製したガスにおいては、避けることが困
難であり、また、これら不純物の混入量は工業的に除去
できる最低量のレベルにまで達している。
【0004】 このような高純度ガス中の微量酸素を定
量するための酸素センサとしては、黄燐発光式や特殊な
ガルバニ式のものが挙げられる。また、可燃ガスを含ん
だガスの場合には、磁気式のものが多く用いられてい
る。しかしながら、これらの酸素センサは、価格が高価
である反面、その寿命は短く、加えて、きめ細かな維持
管理が必要といった種々の問題を抱えている。従って、
小型で操作・保守が簡単で低コストであり、しかも寿命
の長い酸素センサの出現が望まれている。
【0005】 このような要求に応えられる酸素センサ
の1つの候補として、高温で良好な酸素イオン伝導性を
示すジルコニア(ZrO2)を用いた酸素センサを挙げ
ることができる。しかしながら、ZrO2酸素センサ
は、ZrO2磁器を金属電極で挟んだ構造を有し、測定
ガスが直接金属電極に接するために、測定ガス中に酸素
と可燃ガスが共存すると、金属電極上で可燃ガスの燃焼
が起こって酸素濃度が減少するという問題を生じる。つ
まり、実際に測定ガスに含まれる酸素濃度よりも低い濃
度を測定ガス中の酸素濃度として検出してしまうという
問題があった。
【0006】 このため、従来は、金属電極上で酸素が
消費された後の残留酸素濃度を測定した後、別途分析し
た可燃ガスの組成分析濃度を基に、可燃ガスの燃焼に必
要な酸素量を後から計算で補正して、測定ガス中に当初
から存在する酸素濃度を決定する手段がとられていた。
しかし、この方法では、迅速な測定が不可能であるばか
りでなく、測定手段の異なる測定結果を合わせることか
ら、測定精度の低下は否めない。
【0007】 そこで本発明者等は、酸素イオン伝導性
固体電解質と金属電極を備えた酸素センサを、バイアス
センサ及びメジャーセンサとして別々に用いてなる可燃
ガス対応微量酸素測定装置であって、当該バイアスセン
サにおいては、測定ガスを脱酸素カラムに通して得られ
る脱酸素測定ガス中の可燃ガスを、酸素ポンプセルを用
いて供給される酸素によって燃焼させることにより、当
該測定ガス中の可燃ガス量を測定し、当該メジャーセン
サにおいては、当該バイアスセンサによって測定された
可燃ガス量相当の酸素を当該測定ガスに酸素ポンプセル
を用いて別途汲み入れることにより、当該測定ガス中の
可燃ガスを燃焼させて、当該測定ガスに最初から含まれ
る酸素濃度を起電力で測定することを特徴とする可燃ガ
ス対応微量酸素測定装置について、平成11年10月1
4日出願に係る特願平11−292068号の明細書で
提案しているが、ppbの単位まで測定は可能なもの
の、必ずしも測定センサの出力値と酸素濃度との関係に
おいて高い直線性の関係が得られないということが判明
している。
【0008】 一方、市販の分析用標準ガス、通常、窒
素ガスの場合には、0.5ppm以下の酸素が含まれて
おり、ppb単位での測定用の検量線作成には不都合が
生じる。従って、ppb単位での酸素濃度をより正確に
測定するには、この点も解決しなければならない問題で
ある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】 本発明は上述した従
来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的
とするところは、測定センサの出力値と酸素濃度とが高
い直線性を示すこと、共存する可燃ガスの燃焼等の干渉
ガスによる測定酸素濃度への影響を排除すること、およ
びppb単位での酸素濃度測定のための検量線の作成を
可能とすることにより、迅速かつ正確に、微量酸素濃度
の測定が可能な微量酸素測定装置及び測定方法を提供す
ることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】 測定センサとして、ジ
ルコニアセンサを使用し、測定センサの出力値と酸素濃
度との関係において微量酸素域まで直線性を確保するた
めに、ジルコニアセルの起電力−酸素濃度特性がネルン
ストの式に確実に追従する範囲が2ppm以上であるこ
とを突き止め、限界電流形酸素センサのフィードバック
しきい値である濃度検出セル起電力を2ppm以上の酸
素濃度に相当する240mV以下に設定することによ
り、濃度検知極が存在する空間の酸素濃度制御が正確に
なり、それに伴い、測定ガス酸素濃度と設定酸素濃度の
差に比例した酸素量が正確に給排気される。なお、微量
酸素濃度域では、測定ガス酸素濃度≦設定酸素濃度のた
め給気となる。そして、酸素供給極を酸素濃度が高い空
気ダクト内に設けて高いイオン交換率を維持することで
ポンプ電流と給排気酸素量の高い相関が維持される。ま
た、ポンプ電流による電圧降下等の影響を受けないよう
濃度検出セル電極と酸素ポンプ電極とは独立して設ける
こと、共存する可燃性ガス等の干渉ガスの影響を排除す
るために、酸素除去装置41を設け、同酸素除去装置4
1を経由したものと、経由してないものとの間の測定値
の差から測定ガス中に含まれる酸素濃度を算出させるこ
と、およびppb単位での酸素濃度測定のための検量線
の作成が可能な機構を測定装置に組み込むことにより上
記の目的を達成することができることを見出して本発明
を完成させたものである。
【0011】 即ち、本発明によれば、第一に、ブラン
クセンサおよびメジャーセンサとして使用可能な酸素イ
オン伝導性固体電解質と金属電極からなる酸素ポンプセ
ル14と濃度検出セル13とを備えた限界電流形の酸素
センサ10を少なくとも1個備えてなる微量酸素測定装
置であって、当該限界電流形酸素センサ10がブランク
センサとして機能するときは、測定ガスを酸素除去装置
41を通じて得られる脱酸素測定ガスの酸素濃度を限界
電流形センサのポンプ電流で測定し、当該限界電流形酸
素センサがメジャーセンサとして機能するときは、測定
ガスの酸素濃度を限界電流形センサのポンプ電流で測定
し、メジャーセンサとブランクセンサのポンプ電流の差
を、当該測定ガスに含まれる酸素濃度として算出する機
構80を有することを特徴とする微量酸素測定装置が提
供される。
【0012】 さらにまた、前記微量酸素測定装置にお
いて、前記測定ガスを分岐させる分岐機構を有し、一方
の測定ガスは、前記分岐機構の動作により前記酸素除去
装置41を通過した後に前記ブランクセンサ52に供給
され、他方の測定ガスは、前記分岐機構の動作により前
記メジャーセンサ51に直接供給される構成としたこと
を特徴とする微量酸素測定装置が提供される。その場合
において、分岐機構の動作を時間により切換えることに
より、一方の時間では、前記酸素除去装置41を通過し
た後の脱酸素測定ガスを、他方の時間では、前記測定ガ
スを、前記少なくとも1本設けられた酸素センサの内の
特定の酸素センサに供給し、各々の時間毎にブランクセ
ンサ及びメジャーセンサとしてポンプ電流を測定するた
めの切り替え機構を設けてもよい。
【0013】 さらにまた、本発明によれば、酸素イオ
ン伝導性固体電解質と金属電極からなる酸素ポンプセル
14と濃度検出セル13とを備えた限界電流形酸素セン
サが2個備えられており、一方の限界電流形酸素センサ
をブランクセンサ52として、また、他方の限界電流形
酸素センサをメジャーセンサ51として用いるように構
成されたことを特徴とする微量酸素測定装置が提供され
る。
【0014】 上記の何れの微量酸素測定装置において
も、さらに、上記限界電流形酸素センサの酸素ポンプ電
流により酸素を給排気し、濃度検出セル13の起電力を
所定の設定電圧に制御するフィードバック制御器71が
配置されていることがこのましい。なお、前記フィード
バック制御器71における濃度検出セル13の起電力の
設定電圧を、濃度検出セルの起電力−酸素濃度特性がネ
ルンストの式に確実に追従する酸素濃度範囲の2ppm
以上に相当する240mV以下の電圧に制御する機構と
して、測定ガス酸素濃度≦制御設定酸素濃度となるよう
に制御する機構を有していてもよい。さらに、前記フィ
ードバック制御器によるフィードバック制御に必要な酸
素補給源として大気と通じる専用の空気ダクトを微量酸
素測定装置に備えることにより、高いイオン交換率を維
持させ、より測定精度を向上させることも好ましい。
【0015】 さらに、本発明によれば、前記酸素セン
サが、複数の固体電解質層から形成され、上記複数の固
体電解質層により規定された第1空気ダクト12A、第
2空気ダクト12B、及び測定ダクト19を有し、上記
測定ダクト19には、酸素排出極16と濃度検知極17
とが備えられており、上記第1空気ダクト12A内に形
成された酸素供給極15と、上記測定ダクトに形成され
た酸素排出極16とから、上記第1空気ダクトと上記測
定ダクトとの間に形成された固体電解質層を介して、形
成された酸素ポンプセルと、上記第2空気ダクト内に形
成された空気基準極18と当該測定ダクト19に形成さ
れた濃度検知極17とから、上記第2空気ダクト12B
と上記測定ダクト19との間に形成された固体電解質層
を介して、形成された濃度検出セル13とを備え、上記
濃度検出セル13の起電力を所定の設定電圧になるよう
酸素ポンプを稼動させ酸素を給排気し、フィードバック
制御しているときの酸素ポンプ電流を測定することで測
定ガス中の酸素濃度を測定する機構を有することを特徴
とする微量酸素測定装置が提供される。
【0016】 なお、この微量酸素測定装置において、
酸素ポンプセル14と濃度検出セル13は構成が同じで
あることから、同セルを入れ替え、前記酸素センサにお
ける、第1空気ダクト内に存在する電極を基準極とし、
その対極を検知極とし、第2空気ダクトに存在する電極
を酸素供給極15とし、その対極を酸素排出極16とす
ることもできる。
【0017】 さらに、微量酸素を含む測定ガスにおけ
る微量酸素濃度を、酸素センサを使用して測定する方法
であって、上記酸素センサとして複数の固体電解質層か
ら形成され、上記複数の固体電解質層により規定された
第1空気ダクト12A、第2空気ダクト12B、及び測
定ダクト19を有し、上記測定ダクト19には、酸素排
出極16と濃度検知極17とが備えられており、上記第
1空気ダクト内に形成された酸素供給極15と、上記測
定ダクト19に形成された酸素排出極16とから、上記
第1空気ダクト12Aと上記測定ダクト19との間に形
成された固体電解質層を介して、形成された酸素ポンプ
セル14を備え、上記第2空気ダクト12B内に形成さ
れた空気基準極18と当該測定ダクト19に形成された
濃度検知極17とから、上記第2空気ダクト12Bと上
記測定ダクト19との間に形成された固体電解質層を介
して、形成された濃度検出セル13を備え、酸素ポンプ
セル14のポンプ電流値に応じた酸素量を第1空気ダク
ト12Aから測定ダクト19に汲み込む機能を用い同濃
度検出セル13の起電力を所定の設定電圧にフィードバ
ック制御させ、上記ポンプセルのポンプ電流により測定
ガス中の酸素濃度を測定する構造を有する酸素センサを
用い、同酸素センサのフィードバック制御設定電圧を、
ネルンストの式に確実に追従する酸素濃度2ppm以上
に相当する240mV以下の電圧にすることにより、酸
素濃度の検出精度が向上し、微量酸素域での出力直線性
が得られ、非常に正確な測定が可能となる。なお、この
測定方法においては、微量酸素域では測定ガス酸素濃度
≦設定酸素濃度となり、測定ダクトへの酸素汲み込み方
向のポンプ電流となる。また、酸素供給源は測定ダクト
19や第2空気ダクト12Bからでは酸素濃度低下によ
るイオン交換率の低下があるため、専用の大気と通じて
いる酸素供給空気ダクトとしての第1空気ダクト12A
を設け、ここから酸素を供給することで良好なポンプ電
流出力−酸素濃度特性の直線性が得られ、ppbオーダ
ーの酸素濃度が正確に測定できることを特徴とする限界
電流方式の微量酸素の測定方法が提供される。
【0018】
【発明の実施の形態】 本発明の微量酸素測定装置(以
下、「測定装置」と略称することもある。)は、複数の
酸素イオン伝導性固体電解質層から構成され、固体電解
質層により規定される複数の空所内に設けられた金属電
極よりなる酸素センサを用いる。即ち、酸素イオン伝導
性固体電解質と金属電極からなり、かつ、濃度検出セル
13を備えた酸素ポンプセルである限界電流形の酸素セ
ンサを用いる。図1は、本発明の測定装置に好適に用い
られる酸素センサ10の構造を示す断面図である。酸素
センサ10には、複数の固体電解質層で規定される第1
空気ダクト12A、第2空気ダクト12B及び測定ダク
ト19が形成されており、通常は、センサの基本骨格を
形作る複数の固体電解質層は、例えば、図1に示すよう
にジルコニア(ZrO2)磁器11から形成される。測
定ダクト19には、濃度検知極17と酸素排出極16が
設けられている。第1・第2空気ダクト12A・12B
には空気が供給され、測定ダクト19には測定ガスが供
給される。
【0019】 ZrO2磁器11は固体電解質としての
役割を果たすことは当然として、第1・第2空気ダクト
12A・12Bおよび測定ダクト19を隔離し規定する
隔壁の役割を果たす。固体電解質としては、酸素イオン
伝導率が高いことが好ましく、ZrO2の場合には、固
溶させる元素の種類や量によってイオン伝導率を変化さ
せることができることから、適宜、目的に適した組成の
ものを用いることができる。
【0020】 具体的には、ZrO2磁器11として
は、イットリア(Y23)、マグネシア(MgO)、カ
ルシア(CaO)、セリア(CeO2)等の種々の安定
化材を固溶させてなる安定化ZrO2或いは部分安定化
ZrO2が好適に用いられる。なお、各電極間のZrO2
磁器の厚みを薄くすると、電極間の抵抗の低減が図られ
る。
【0021】 第1空気ダクト12Aに形成された酸素
供給極15と測定ダクト19に形成された酸素排出極1
6は、一対となって酸素ポンプセル14を構成する。こ
の際に重要なことは、第1空気ダクト12Aには、充分
な酸素が存在するように構成されていることである。そ
して、測定ガス中の酸素濃度が、ネルンストの式に従っ
て予め設定された起電力よりも高い起電力が与えられた
場合には、上記の酸素ポンプセル14を用いて酸素を測
定ダクト19に供給して、濃度検知極17と空気基準極
18で検知される電圧が所定の起電力となるように酸素
を補給すると共に、酸素供給極15と測定ダクト19に
形成された酸素排出極16との両極間に流れる電流がポ
ンプ電流となる。かくして、得られたポンプ電流値か
ら、測定ガス中に含まれる酸素濃度を算出することによ
り、後述する様に、例えば2ppm未満の領域でも高い
直線性が得られることとなる。一方、測定ダクト19内
に形成された濃度検知極17と第2空気ダクト12Bに
形成された空気基準極18は、一対となって濃度検出セ
ル13を形成し、測定ダクト19における酸素濃度の検
知に使用される。
【0022】 これらの各電極には、良好な電子伝導性
を有することが必要とされるが、高い酸素イオン触媒性
を有することも重要な特性である。例えば、酸素供給極
15における酸素イオン触媒性とは、空気中の酸素分子
をイオン化して固体電解質へ取り込む性質をいい、一
方、酸素排出極16における酸素イオン触媒性は、逆
に、酸素供給極15から固体電解質を移動してきた酸素
イオンから電子を奪い、酸素分子として測定ダクト19
へ放出する性質をいう。
【0023】 このような特性に優れる電極材として、
白金(Pt)が好適に用いられる。なお、これらの電極
は性状を多孔質として、気相と電極と固体電解質の3相
が接する三重点(三相界面)を多く形成することが好ま
しい。従って、PtとZrO2とからなるサーメット電
極も、好適に用いることができる。
【0024】 ZrO2磁器11には、図2には示して
ないが、図3に示すように、所定の温度の保持可能とな
るように構成された加熱装置により、加熱されるヒータ
9が配設されており、このヒータ9によって酸素センサ
11の温度を上げて所定の温度に保持することにより、
各電極間にあるZrO2磁器のイオン伝導率が高めら
れ、電極間の抵抗が低減され、測定精度の向上が図られ
る。
【0025】 次に、図2に、本発明に係る測定装置4
0の一構成の概要を説明するための模式図を示す。この
態様は、限界電流形の酸素センサが一個のみ設けられて
いる態様であり、従って、酸素センサ10がブランクセ
ンサとメジャーセンサを兼ねている。これを具体的に説
明すると、当該限界電流形の酸素センサがブランクセン
サとして機能するときは、測定ガスを酸素除去装置41
を通じて得られる脱酸素測定ガスの酸素濃度を限界電流
形センサのポンプ電流で測定し、当該限界電流形の酸素
センサがメジャーセンサとして機能するときは、測定ガ
スの酸素濃度を限界電流形センサのポンプ電流で測定す
ることとなる。酸素濃度算出にあっては、後述するよう
に、メジャーセンサとブランクセンサのポンプ電流の差
を、当該測定ガスに含まれる酸素濃度として算出する機
構を利用することにより行うこととなる。なお、図3
は、図2に示した測定装置40の主要部をブロック図と
して示したものである。
【0026】 この態様においては、図2に示したよう
に、、ブランクセンサとメジャーセンサを兼ねる酸素セ
ンサ10に加えて、通常は、測定ガスを分岐させる分岐
機構としての役割を有する測定ガス供給口とマスフロー
コントローラ43、バルブSVa、SVb、SVc、お
よびバルブV1〜V6が設けられている。また、ブラン
クセンサとしての酸素センサに測定ガス中の酸素を実質
的に零とした酸素除去測定ガスを供給するために酸素除
去装置41が設けられている。さらに、センサ校正ガス
兼パージガス供給口、センサ校正用のガスを供給する際
の校正用ガス中の酸素濃度を所定の値に調整するための
酸素発生素子42が設けられている。図3に示したよう
に、酸素センサ10には、絶えず濃度検出セル13の起
電力が所定の電圧になるように、FB制御器71が備え
られており、また、温度変動による測定誤差を排除する
ためにセンサを所定温度に制御するためのヒータ制御器
72が備えられていてもよい。更に、それぞれメジャー
センサ51とブランクセンサ52としての働きに応じた
形のポンプ電流が検知できるように、第一と第二のFB
制御器71、71aからポンプ電流に相当する電圧が出
力されている。これらの出力電圧はデジタル信号に変換
され、コンピュータ装置80に送られメジャーセンサ5
1とブランクセンサ52のポンプ電流の差を、当該測定
ガスに含まれる酸素濃度として計算処理される。即ち、
上記FB制御器71が濃度検出セル13の起電力を所定
の設定電圧になるよう酸素ポンプを稼動させフィードバ
ック制御し、そのときの酸素ポンプ電流をデジタル信号
に変え、その信号をコンピューター装置80に送り、所
定のプログラムに基づいて、測定ガス中の酸素濃度を算
出することにより測定ガス中の酸素濃度を測定する機構
を構成することとなる。なお、検出手順については、後
述する。
【0027】 校正用に使用する標準ガスに所定濃度の
酸素を添加するための装置である酸素発生素子42の基
本的構造の断面図を図6に示す。図6から明らかなよう
に、酸素発生素子42は、固体電解質と1対の電極から
なり、固体電解質によって規定された空所である空気ダ
クトと、同空気ダクト内に形成された酸素供給極と、固
体電解質の測定ガスに曝される表面に設けられた酸素排
出極とからなる酸素ポンプセルとを備え、そして、酸素
排出極と酸素供給極との間には所望の定電流が流れるよ
うに定電流源/制御器が配置されている。この様な構成
を有する酸素発生素子42としては、本発明と同日付け
で出願された特願2000−236844の明細書に開
示されている酸素発生装置が好適に使用できる。酸素発
生素子42には、酸素発生量を所望量に制御するための
コンピュータ装置80からの指示により動作する定電流
源/制御器75が、また、酸素発生素子の温度を所定の
温度に制御するためのヒータ電源/制御器76が備えら
れている。
【0028】 なお、測定条件を一定にするために、測
定ガス、センサ校正ガス兼パージガスの流量を一定の水
準に制御するためのマスフローコントローラ43、43
aおよびMFC制御器78が備えられている。また、装
置の安全装置として、装置内の異常温度発生の有無をモ
ニターする温度検出器77を設けてもよい。コンピュー
タ装置80は、命令セットを実現するための演算等を行
うCPU、各測定結果を一時保存等をするワークメモリ
のRAM、測定装置の各部品、素子等をその機能に応じ
て制御する各種のプログラム、補正参照情報等が組み込
まれているROM等から構成される。
【0029】 測定装置40においては、測定ガス供給
口とセンサ校正ガス兼パージガスである窒素ガス供給口
とは、二つに先端部が分岐した配管の先端部に設けられ
ており、それぞれの流路に取り付けられているバルブを
経由して、1つの流路となり、測定ガスの場合には、M
FC制御器78の支配の下、マスフローコントローラ4
3を経由してバルブV1〜V6とSVa、SVb、およ
びSVcよりなる一連のバルブの所定の切り替えによ
り、直接センサに導かれる流路62、または、酸素除去
装置41を経由してセンサに導かれるいわゆる酸素除去
装置経由流路61を経てセンサ10に到達するように構
成されている。センサ校正に使用される標準ガス、通常
はパージガス兼用の窒素ガスが、所望とする濃度の酸素
を含むように、マスフローコントローラ43を経由した
後は、バルブSVa、SVb、およびSVcの切り替え
により、先ず、酸素除去装置41に導かれ、ここで酸素
が1ppb未満の濃度となるように、酸素が除去され、
次いで、バルブV4を経由して酸素センサへ送り込まれ
るゼロガス流路64と、酸素発生素子42の前後に設け
られている2個のバルブを開けバイパスバルブV4を閉
じることにより、酸素発生素子42を経由して、ここで
2ppm以下の所望濃度の酸素を含むように調整され、
流路63を経由して最後に酸素センサ10へと送り込ま
れるように構成されている。
【0030】 センサ校正ガス兼パージガスとして使用
する市販の窒素ガスには、通常、0.5ppm以下の酸
素が含まれている。なお、測定ガスが2ppm以上の酸
素を含むことが予め予想される場合には、酸素除去装置
41の早期消耗保護のため、バルブSVaおよびSVb
は、閉じておく。なお、酸素除去装置41は、脱酸素剤
を充填したカラム等で構成すればよい。脱酸素剤として
は商品名ガスクリーン等が例示される。
【0031】 分岐機構の動作を時間により切換えて、
一方の時間は、前記酸素除去装置41を通過した後の脱
酸素測定ガスを、他方の時間は、前記測定ガスを、当該
酸素センサにそれぞれ供給し、各々の時間毎にブランク
センサ及びメジャーセンサとしてのポンプ電流を測定す
るための切り替え機構としては、図2に示した一連のバ
ルブを、図3に示したブロック図に示したコンピュータ
装置80に予め所定時間毎に自動的に切り替わるように
予め組み込まれたプログラムにより動作する切り替えバ
ルブを利用すればよく、又、予め所定時間毎に、ガスの
流れの応じて、自動的に切り替わるように構成されたタ
イマー機構を利用してもよい。勿論、時間以外のファク
ターにより、切り替えることも可能であり、その場合に
は、例えば、所定のガスの種類に応じて開閉するように
構成されていてもよい。
【0032】 さらに、微量酸素濃度を正確に測定する
ためには、濃度検出セル13の起電力を所定の設定電圧
にするために、限界電流形酸素ポンプセルの電流による
フィードバック制御器71が配置されていることが好ま
しい。この場合において、前記フィードバック制御器7
1における濃度検出セル13の起電力の設定電圧を、濃
度検出セル13の起電力−酸素濃度特性がネルンストの
式に確実に追従する酸素濃度範囲の2ppm以上に相当
する240mV以下の電圧に設定し、制御できるように
予めコンピュータ装置80に必要なプログラムを組み込
んでおくことが好ましい。さらにまた、測定ガス中の濃
度が大きく変動しても、その変動に左右されないように
するための制御機構として、好ましくは酸素センサ10
内に設けられた大気と通じる専用の空気ダクト12A
と、このダクトから酸素を汲み出す働きを有する酸素供
給極15と酸素排出極16とから構成される酸素ポンプ
セル14とを設け、この酸素ポンプの動作させ、測定ガ
スダクト内の酸素濃度を測定ガス酸素濃度≦制御設定酸
素濃度となるように制御することが好ましい。
【0033】 図2に示したような酸素センサ10がブ
ランクセンサとメジャーセンサを兼ねている測定装置を
使用する場合には、流路61を通して脱酸素測定ガスを
酸素センサ10へ供給し、酸素センサ10をブランクセ
ンサとして用いて、濃度検出セル13の起電力を所定の
電圧に制御する機構であるFB制御器71で、コンピュ
ータ装置80から指示に基づき所定の電圧、例えば、2
10mVに濃度検出セル13の起電力がなるようなポン
プセル電流IPBを流して制御する。なお、所定の電圧と
しては、測定ダクト内の酸素濃度を測定ガスより高い状
態に保持できる酸素濃度、通常2ppm以上に対応する
電圧、240mVまたはそれ以下とするのが好ましい。
何故ならば、通常ジルコニア固体電解質セルの酸素分圧
起電力はネルンストの式に準ずる起電力を発生するが、
電極のガス吸着等で酸素濃度2ppmがおよそ限界とな
る。1ppm以下の酸素濃度の起電力は一般的に低く外
れる。フィードバック制御の設定値をネルンストの式に
確実に追従する範囲内の起電力に限定することで、測定
ダクト内の酸素濃度を正確制御することが可能になり、
測定ガスの酸素濃度とポンプ電流の直線関係が厳密に確
保され、限界電流形の酸素センサにおいて微量酸素濃度
域の出力直線性の高い特性が得られるからである。
【0034】 次に、流路を切り替えて、直接酸素セン
サに送り込まれる流路62を通して測定ガスを酸素セン
サ10へ供給し、酸素センサ10をメジャーセンサとし
て、FB制御器71ではコンピュータ装置80から指示
された所定の電圧、例えば、210mVに濃度検出セル
13の起電力がなるためのポンプ電流IPMを求める。測
定ガス中の酸素濃度の算出に当たっては、予めセンサ校
正ガス兼パージガスである窒素ガスを流路63に流し
て、脱酸素化した窒素ガス中の酸素濃度を様々に変え
て、それぞれの酸素濃度のポンプ電流を測定し、この値
から作成した検量線(関係式)に基づいて求める。
【0035】 なお、測定ガスが流路61、流路62を
経由したときおよびセンサ校正ガス兼パージガスの窒素
ガスが流路63、流路64を経由したときの測定ポンプ
電流は、図3に示したFB制御器71よりポンプ電流に
相当する電圧信号が出力され、電圧信号をデジタル変換
し、コンピュータ装置80に送られブランクセンサ、メ
ジャーセンサ及びセンサ校正値として記録、計算処理
し、保存する。測定ガス中に含まれる酸素濃度は、ブラ
ンクセンサ測定値とメジャーセンサ測定値の差として得
られる。
【0036】 従って、測定装置40においては、1台
の酸素センサ10をメジャーセンサとブランクセンサと
して用いるためにセンサ間の個体差に起因するバラツキ
が生じなく、構成も簡単であるといった利点がある。酸
素除去装置41を経由することにより生じる圧損は、マ
スフローコントローラ43によって自動調整される。
【0037】 図2に示した微量酸素測定装置は、1つ
の被測定ガス供給口、1つのセンサ校正ガス兼パージガ
ス供給口、マスフローコントローラを一個と、1つの酸
素除去装置41、1つの酸素発生素子42、および酸素
センサ10を一個備えた微量酸素測定装置であって、被
測定ガスと、センサ校正ガスと、ブランクガスの流路を
切り替えられるように前記第一のマスフローコントロー
ラ43と一連の切り替えバルブが構成されていることを
特徴とする微量酸素測定装置であるといえる。
【0038】 さらに、前記酸素センサをブランクセン
サとメジャーセンサとして兼用するために、前記被測定
ガスは、前記酸素除去装置41も前記酸素発生素子42
も経由せず直接、前記ブランクガスは酸素除去装置41
のみを、そして、前記センサ校正ガスは酸素除去装置4
1と酸素発生素子42とを経由して、それぞれ前記第一
の酸素センサ10に送り込めるように前記第一のマスフ
ローコントローラ43と一連の切り替えバルブが構成さ
れていてもよい。なお、前記酸素センサに設けられた検
出セル起電力を所定の電圧に制御するためのフィードバ
ック制御器71が設けられていることが好ましい。
【0039】 また、微量酸素測定装置は、前記酸素発
生素子42が固体電解質と1対の金属電極からなり、固
体電解質によって規定された空所である空気ダクトと、
同空気ダクト内の固体電解質表面に形成された酸素供給
極15とからなる酸素供給ダクト12Aと、ガスに曝さ
れる固体電解質の表面に設けられた酸素排出極16と上
記空気ダクト12A内に形成された酸素供給極15とか
らなる酸素ポンプセル14とを備え、そして、酸素排出
極16と酸素供給極15との間には所定の電流が流れる
ように定電流源/制御器71が配置されたものであって
もよい。
【0040】 さらに、微量酸素測定装置は、前記酸素
センサが、複数の固体電解質層から形成され、上記複数
の固体電解質層により規定された第1空気ダクト12
A、第2空気ダクト12B、及び測定ガスに通じる測定
ダクト19を有し、上記測定ダクトには、酸素排出極1
6と濃度検知極17とが備えられており、上記第1空気
ダクト12A内に形成された酸素供給極15と、上記測
定ダクト19に形成された酸素排出極16とから、上記
第1空気ダクト12Aと上記測定ダクト19との間に形
成された固体電解質層を介して、形成された酸素ポンプ
セル14を備え、上記第2空気ダクト12B内に形成さ
れた空気基準極18と当該測定ダクト19に形成された
濃度検知極17とが、上記第2空気ダクト12Bと上記
測定ダクト19との間に形成された固体電解質層を介し
て、形成された濃度検出セル13とを備えたものであっ
て、上記濃度検出セル13の起電力を所定の設定電圧に
なるよう酸素ポンプを稼動させ、フィードバック制御
し、その際の酸素ポンプセルの電流を測定することで測
定ガス中の酸素濃度を測定する機構を有するものであっ
てもよい。
【0041】 次に、図2に示した測定装置40におい
て、測定手順の一例を以下に説明する。パ−ジガス供給
口バルブV2を開き、装置に電源を入れスタートさせ各
流路を窒素ガスでパージさせ、次いで、酸素発生装置4
2をヒートラン動作させると共に、酸素センサ10及び
駆動用FB制御器71をヒートラン動作させる。次に、
バルブV1、SVc、V4を閉じ、バルブV2、SV
a、SVb、V3、V5およびV6を開き、流路63を
経由して、脱酸素窒素ガスを供給する。脱酸素窒素ガス
に酸素を所定量添加する場合には、定電流源/制御器7
5により所望とする酸素量に相当する電流を計算で求め
供給する。流路63に所定の酸素を含む標準ガスが流れ
出したことを、例えば、経過時間や酸素センサ10に流
れる電流が定常状態となったことなどにより確認後、酸
素センサ10の出力信号であるポンプ電流をコンピュー
タ装置80で記録し、計算処理後保存し、酸素濃度と酸
素センサ10のポンプ電流の関係を校正する。
【0042】 次いで、バルブV2、SVc、V3、お
よびV5を閉じ、バルブV1、SVa、SVb、および
V4、V6を開き、流路61を経由させて測定ガスの供
給を開始する。流路61を流れるガスが脱酸素測定ガス
で完全に置換されたことを確認後、酸素濃度を酸素セン
サ10により検知後、検知結果をブランクセンサ測定値
としてRAMに保存する。次いで、バルブSVcを開
き、バルブSVa、SVbを閉じる。測定ガスを流路6
2経由で、酸素センサ10に送り込む。その際、流路6
2を流れるガスが測定ガスで完全に置換されたことを確
認後、酸素センサ10により、酸素濃度を検知、検知結
果をメジャーセンサ測定値としてRAMに保存する。コ
ンピュータ装置80にて、メジャーセンサ測定値とRA
Mに保存されているブランクセンサ測定値の差を演算
し、測定ガス中の酸素濃度を求める。必要に応じて、ブ
ランクセンサ測定値から酸素等価換算の燃焼性ガス還元
濃度も算出させることも可能である。最後に、電源を切
り終了させればよい。
【0043】 勿論、連続して測定ガス中の酸素を測定
する必要がある場合には、バルブV2、SVa、SV
b、V3、およびV5を閉じ、バルブV1、SVc、お
よびV4、V6を開く操作からコンピュータ装置80の
指令による演算までの操作のみを繰り返させてもよい。
補正が必要な場合には、ROMの補正プログラムにより
補正する。なお、操作は、通常は、コンピュータ装置8
0に予め組み込まれたプログラムにより行う。なお、上
記の操作手順はあくまでも、一例に過ぎず、測定する測
定ガスの種類や測定環境、測定目的等に応じて、適宜修
正、変更を加えることは可能である。そのような変更に
ついても、予め、コンピュータ装置に所定のプログラム
を組み込んでおくことにより、効率的に対応することは
可能であることはいうまでもない。勿論、測定条件に変
動がないことが明らかな場合には、窒素ガスを使用した
センサ校正用の操作を省略するように、予め、コンピュ
ータに所定のプログラムを組み込んでおいてもよいこと
は勿論である。
【0044】 なお、上記の手順に従って、窒素及び可
燃ガスに酸素を添加して1.13ppb、12.2pp
b、115ppb、570ppb、1140ppbとし
たガスを測定ガスとした測定結果を図7(a)〜(f)
に示す。図7(a)〜(c)はセンサを9Wで加熱した
時、図7(d)〜(f)はセンサを8Wで加熱した時の
特性である。
【0045】 図7(b)および(e)は微量酸素添加
窒素ガスの酸素除去装置41を経由させた場合とさせな
い場合のブランクセンサとメジャーセンサのポンプ電流
−酸素濃度特性を示し、(c)および(f)は微量酸素
添加可燃ガス(CO:10ppm、H2:10ppm、
CH4:5ppm、N2:バランス)の酸素除去装置41
を経由させた場合とさせない場合のブランクセンサとメ
ジャーセンサのポンプ電流−酸素濃度特性を示す。
(a)及び(d)は、(b)(c)及び(e)(f)の
場合と同一測定ガスを酸素除去装置41を経由させたと
きのブランクセンサのポンプ電流から酸素除去装置41
を経由させなかった場合のメジャーセンサのポンプ電流
を減算し、その差をΔIpとして酸素濃度との関係を示
した測定値である。結果は、窒素ガスと可燃ガスの各ポ
ンプ電流値には大差があるが、酸素除去装置41経由の
有無によるポンプ電流差ΔIpは、窒素ガスと可燃ガス
との間に殆ど差が無い。同様にセンサ加熱電力8Wと9
Wとでは、センサ温度において740℃と800℃との
差があるが、ポンプ電流には温度による差が認められる
ものの、ΔIpでは8Wと9Wと間の差は殆どない。こ
れは、ΔIpは酸素除去装置41で除去された酸素量を
表わしており、その酸素除去量はガス種類や温度に依存
されないためである。この結果から明らかなように、本
願発明に係る測定装置を使用することにより、ppbレ
ベルの酸素量を迅速かつ正確に測定することができるこ
とが判る。
【0046】 次に、図4に、本発明に係る測定装置の
別態様についての構成の概要を説明するための模式図を
示す。この態様においては、2個の酸素センサが用いら
れ、それぞれ、ブランクセンサとメジャーセンサとして
独立して使用される。なお、図5は、図4に示した測定
装置50の主要部をブロック図として示したものであ
る。この態様においては、酸素センサが2個使用されて
いることから、マスフローコントローラもそれぞれの酸
素センサに対応して設けられている。勿論、流すガスの
種類に応じて、流路を切り替えられるように一連のバル
ブも設けられている。この態様においては、分岐機構は
以下に記述するように流すガスの種類に応じて流路を変
更するために、動作させることとなる。当然のことなが
ら、時間で、流路を切り替えられるようにプログラムさ
れていてもよい。なお、その他の機構については、原則
として、上述した測定装置40と同一であるので説明は
省略することとする。
【0047】 この測定装置50においても、測定ガス
供給口とセンサ校正ガス兼パージガスである窒素ガス供
給口とは、二つに先端部が分岐した配管の先端部に設け
られており、それぞれの流路に取り付けられているバル
ブを経由して、1つの流路となる。そして再び、2つの
流路に分岐し、1つは、第二のマスフローコントローラ
43aを経由してバルブSVa、SVb、およびV6、
V8、V9を含む一連のバルブを開に所定通り切り替え
ることにより、測定ガスが酸素除去装置41のみを経由
してブランクセンサ52に導かれる流路61、測定ガス
が第一のマスフローコントローラ43を経由し、バルブ
V4、V10およびV11のバルブを開に所定どおり切
り替えにより、直接メジャーセンサ51に導かれる流路
62、センサ校正ガスの窒素ガスが第二のマスフローコ
ントローラ43aを経由してバルブSVa、SVb、V
5、V6、およびV7を含む一連のバルブを所定通り切
り替えることにより、三つの流路、即ち、酸素除去装置
41と酸素発生素子42を経由してブランクセンサ52
に導かれる第一の標準ガス流路である流路63と、酸素
除去装置41と酸素発生素子42とを経由してメジャー
センサ51に導かれる第二の標準ガス流路である流路6
4と、および酸素除去装置41を経由し、ブランクセン
サまたはメジャーセンサに導かれるゼロガス流路である
流路65とを、状況に応じて切り替えられるように構成
されている。
【0048】 パージガス兼センサ校正用ガスである窒
素ガスの場合には、酸素除去装置41のみを経由して、
窒素ガス中に含まれる酸素を実質的に完全に除去した標
準ガス(酸素濃度:1ppb未満)を得、その際のポン
プ電流を測定するためにブランクセンサに送りこまれる
ものと、酸素除去装置41および酸素発生素子42を経
由して、酸素除去装置41で、酸素を実質的に完全に除
去した窒素ガス(酸素濃度:1ppb未満。以下同
じ。)を得、次いで、酸素発生素子42に所望の酸素濃
度となる所定の酸素ポンプ電流を流し、ここで窒素ガス
は所定濃度の酸素を含むように調製され、最後にブラン
クセンサへと送り込まれ、それぞれのポンプ電流値が測
定され、この結果を基に、酸素濃度−ポンプ電流の検量
線(関係式)が作成され、その結果に基づきセンサは校
正される。
【0049】 なお、勿論、測定ガスが2ppm以上の
酸素を含むことが予め予想される場合には、上述の如
く、酸素除去装置41の消耗が激しいため、バルブSV
aおよびSVbは、閉じておく。図4に示した測定装置
50の場合には、測定ガスが送り込まれた場合には、メ
ジャーセンサ51には直接測定ガスが、ブランクセンサ
52には酸素除去装置41を経由し酸素が除去された測
定ガスが流れる。メジャーセンサとブランクセンサは同
時進行でポンプ電流を測定し、センサ個体差を補正した
2つのポンプ電流値の差が測定ガスの酸素濃度として連
続的に測定される。この方式の特徴は、差動信号処理の
ため干渉ガス濃度、温度等の変動に強いことである。メ
ジャーセンサ51及びブランクセンサ52によって測定
された可燃ガス量相当の酸素(可燃ガスを完全に燃焼さ
せるに過不足ない量の酸素を示す。)と測定ダクト内の
酸素濃度設定起電力を維持するための酸素を、酸素ポン
プセルを用いて測定ダクト内に汲み入れ、測定ガス中の
可燃ガスを燃焼させ、測定ダクト内の起電力を設定値に
保つ動作をする。
【0050】 ブランクセンサ52では酸素除去装置4
1で測定ガス中の酸素をほぼ完全に除去しており、メジ
ャーセンサ51では測定ガスに最初から含まれる酸素が
あり、ブランクセンサ52に比べ最初から含まれている
酸素分だけポンプ電流が減少する。従って、図4に示す
態様においては、酸素センサが2個使用されているの
で、各センサ51、52に流れるポンプ電流を測定ダク
ト19内へのガス拡散量等のセンサ個体差を考慮して、
補正し、補正後の両者の差が酸素除去装置41で除去さ
れた酸素量となり、測定ガスに最初から含まれる酸素濃
度を、正確に連続測定することが可能となる。
【0051】 図4に示した微量酸素測定装置において
は、1つの被測定ガス供給口、1つのセンサ校正ガス兼
パージガス供給口、第一および第二のマスフローコント
ローラと、1つの酸素除去装置41、1つの酸素発生素
子42、および第一および第二の酸素センサ51、52
が備えられており、かつ、第一のマスフローコントロー
ラ43に並列して第二のマスフローコントローラ43a
が、第一の酸素センサ51に並列して第二の酸素センサ
52が備えられており、前記第一の酸素センサ51はブ
ランクセンサであって、前記第二の酸素センサ52はメ
ジャーセンサであり、前記ブランクセンサ52側の流路
が、ブランクセンサ校正ガスとメジャーセンサ校正ガス
を、前記第一のマスフローコントローラ43と切り替え
バルブにより酸素除去装置41および/または酸素発生
素子42を経由して上記ブランクセンサ52に送り込ま
れるように構成されている。また、前記酸素センサに設
けられたポンプセルの酸素供給により検出セル起電力を
所定の設定電圧にするためのフィードバック制御器71
が設けられていてもよい。
【0052】 さらにまた、この態様における微量酸素
測定装置は、前記第一および第二の酸素センサ51、5
2は共に、複数の固体電解質層から形成され、上記複数
の固体電解質層により規定された第1空気ダクト12
A、第2空気ダクト12B、及び測定ダクト19を有
し、上記測定ダクト19には、酸素排出極16と濃度検
知極17とが備えられており、上記第1空気ダクト12
A内に形成された酸素供給極15と、上記測定ダクト1
9に形成された酸素排出極16とから、上記第1空気ダ
クト12Aと上記測定ダクト19との間に形成された固
体電解質層を介して、形成された酸素ポンプセル10を
備え、かつ、上記第1空気ダクト12A内に形成された
酸素供給極15と、上記測定ダクト19に形成された酸
素排出極16とは、濃度検出セル起電力を所定の設定値
に制御するため、両電極間にポンプ電流を流し、ポンプ
電流値に応じた酸素量が第1空気ダクト12Aから汲み
込まれるポンプセルを形成し、上記第2空気ダクト内に
形成された空気基準極18と当該測定ダクト19に形成
された濃度検知極17とが、上記第2空気ダクト12B
と上記測定ダクト19との間に形成された固体電解質層
を介して、濃度検出セル13を形成しフィードバック動
作を形成し、上記ポンプセルのポンプ電流により測定ガ
ス中の酸素濃度を測定する構造を有するものであっても
よい。
【0053】 上述した測定装置50を用いた測定ガス
中の酸素濃度の測定手順を、更に詳細に説明する。図4
に示した測定装置50における測定手順の一例を説明す
る。先ず、センサ校正ガス兼パージガス供給口のバルブ
V2を開き、装置に電源を入れスタートさせ、各流路を
窒素ガスでパージさせ、次いで、酸素発生装置42をヒ
ートラン動作させると共に、酸素センサ51と駆動用F
B制御器71及び酸素センサ52と駆動用FB制御器7
1aをヒートラン動作させる。FB制御器71及び71
aにはコンピュータ指示によりFBしきい値電圧、例え
ば、210mVが与えられ、各々の酸素センサ51、5
2の濃度検出セル13の起電力が210mVを上回る場
合には、FB制御器71及び71aから酸素センサ51
及び52に必要な電流を供給して酸素ポンプを作動させ
て、酸素供給用空気ダクト側から測定ダクト側の濃度検
出セル起電力が210mVとなるように酸素を汲み込
む。次に、バルブV1、V3、V4、V5、V7、V1
0、V11を閉じ、バルブV2、SVa、SVb、V
6、V8、およびV9を開く。
【0054】 センサ校正ガス兼パージガスの窒素ガス
供給口から、第二のマスフローコントローラ43aを経
て、第三の標準ガス流路65を経由して、脱酸素窒素ガ
スをブランクセンサ52へと供給する。酸素除去装置4
1により酸素を含まなくなった窒素ガスは、ブランクセ
ンサ52で、酸素ポンプにより汲み込まれた必要酸素量
に応じたポンプ電流が測定される。この場合に測定され
るポンプ電流は、酸素量が実質的に零(酸素量:1pp
b未満)のときのポンプ電流である。なお、ガス流量
は、マスフローコントローラ43、43aおよびMFC
制御器78により所定の流量に制御され、ガス流量の計
測信号はコンピュータ装置80へ送られる。次に、バル
ブV6を閉じ、バルブV5、V7を開く。かくして、定
電流源/制御器75により、所望する酸素濃度とする酸
素量に相当するポンプ電流を酸素発生素子42に供給
し、所定量の酸素を添加する。第一の標準ガス流路63
に所望の酸素濃度の標準ガスが流れ出したことを、例え
ば、経過時間やブランクセンサ52に流れるポンプ電流
が定常状態となったこと等により確認後、同センサ52
のポンプ電流−酸素濃度の結果をコンピュータ装置80
に保存し、ブランクセンサの校正をする。
【0055】 次に、バルブV5、V7、V8およびV
9を閉じ、バルブV6、V10、およびV11を開く。
センサ校正ガス兼パージガスの窒素ガス供給口から第三
の標準ガス流路65を経由して、脱酸素窒素ガスをメジ
ャーセンサ51に供給する。酸素除去装置41により酸
素を含まなくなった窒素ガスは、メジャーセンサ51
で、酸素ポンプにより汲み込まれた必要酸素量に応じた
ポンプ電流が測定される。この場合に測定されるポンプ
電流は、酸素量が実質的に零(酸素量:1ppb未満)
のときのポンプ電流である。次に、バルブV6を閉じ、
バルブV5、V7を開く。かくして、定電流源/制御器
75により所望する酸素濃度にする酸素量に相当するポ
ンプ電流を酸素発生素子42に供給し、窒素ガスに所定
量の酸素が添加される。第二の標準ガス流路64に所望
の酸素濃度ガスが流れ出したことを、例えば、経過時間
やメジャーセンサ51に流れる電流が定常状態となった
こと等により確認後、同センサ51のポンプ電流−酸素
濃度についての測定結果をコンピュータ装置80に保存
し、メジャーセンサの校正をする。
【0056】 次いで、バルブV2、V3、V5、V7
を閉じ、バルブV1、SVa、SVb、V4、V6、V
8、V9、V10およびV11を開きブランクセンサ5
2及びメジャーセンサ51の両方に測定ガスを供給す
る。ブランクセンサ52への供給は測定ガス供給口から
測定ガスを第二のマスフローコントローラ43aを経
て、酸素除去装置経由流路61を経由してブランクセン
サ52に供給する。酸素除去装置41を経由した測定ガ
スにより酸素除去装置経由流路61が置換されたことを
確認後、ブランクセンサ51のポンプ電流を計測しコン
ピュータ80に保存する。もう一方のメジャーセンサ5
1への供給は測定ガス供給口から第一のマスフローコン
トローラ43を経て、直接流路62を経由させて直接メ
ジャーセンサ51に供給する。直接流路62が測定ガス
で置換されたことを確認後、メジャーセンサ51のポン
プ電流を計測しコンピュータ80に保存する。コンピュ
ータ80ではブランクセンサ52及びメジャーセンサ5
1の個体差補正を行いポンプ電流差から測定ガス中の酸
素濃度を連続的に求める。必要に応じて、ブランクセン
サ52のポンプ電流から燃焼性ガスによる酸素の消費量
をも算出させることも可能である。最後に、電源を切り
終了させればよい。
【0057】 勿論、連続して測定ガス中の酸素を測定
する場合には、標準ガスによる校正を省略してもよく、
その場合には、バルブV2、V3、V5、V7およびV
12を閉じ、バルブV1、SVa、SVb、V4、V
6、V8、V9、V10およびV11を開く操作からコ
ンピュータ80の指令による演算までの操作を繰り返さ
せてもよい。酸素濃度測定結果の補正が必要な場合に
は、コンピュータにより補正する。なお、操作は、通常
は、コンピュータ装置に予め組み込まれたプログラムに
より行う。勿論、測定対象、測定条件に応じて、各種の
変更が可能であり、予めこれらの変更プログラムをコン
ピュータに組み込んでおくことにより、所望とする測定
ができることはいうまでもない。
【0058】 図8は、図1における酸素センサ(メジ
ャーセンサ51およびブランクセンサ52)の動作の形
態を示した説明図である。まず、濃度検知極17と空気
基準極18間の起電力VMについて目標値VTを設定す
る。この目標値VTとしては、例えば、酸素濃度2pp
mで生ずる約240mVまたはそれ以下、例えば210
mVを目標値VTとすることができる。
【0059】 起電力VMが目標値VT以上である場合に
は、FB制御器71,71aから酸素ポンプセル(酸素
供給極15と酸素排出極16間)に、ポンプ電流IP
流して、酸素供給極15から酸素排出極16へ酸素を供
給し、測定ダクト14内の起電力VMを可燃ガスがあれ
ば燃焼させて、所定の起電力VTとなるようにフィート
バック制御を行う。逆に、起電力VMが目標値VT以下の
場合には、測定ダクト内の酸素を第一空気ダクトに汲出
すように酸素排出極16から酸素供給極15に酸素を移
動させるようにポンプ電流IBを流すこととする。こう
して、目標値VTを境にしポンプ電流IPの極性が反転す
ることとなり、ポンプ電流の極性及び大きさから、可燃
ガスの燃焼分を含めた測定ダクト内の酸素濃度を目標値
Tにするに必要な酸素過不足量が求められる。1個の
センサで測定ガス中の酸素を除去した状態と、除去され
ない状態のポンプ電流の差から酸素除去装置41で除去
された酸素量が求められ、これが測定ガス中の酸素濃度
となる。
【0060】 ブランクセンサ52によって測定された
ポンプ電流IPBと、メジャーセンサ51によって測定さ
れたポンプ電流IPMとのポンプ電流をセンサ個体差を考
慮して補正し、ポンプ電流差を求める。
【0061】 得られるポンプ電流IPは、可燃ガスの
燃焼に要した酸素分IP1、測定ガス中に存在する酸素分
P2、測定ダクト内を設定酸素濃度にするために必要な
酸素分IP3とすると、メジャーセンサのポンプ電流はI
PM=IP1−IP2+IP3となり、ブランクセンサでは測定
ガス中の酸素が除去されるためIPB=IP1+IP3とな
る。従ってIPB−IPM=IP2となり、ブランクセンサと
メジャーセンサのポンプ電流の差が、最初から測定ガス
中に含まれていた酸素濃度に相当する酸素分に基づくも
のであるから、上述した測定方法を用いることにより、
可燃ガス等の干渉ガスの影響を排除しつつ、測定ガス中
の酸素濃度をより正確に知ることができるようになる。
【0062】 なお、測定装置50では、メジャーセン
サ51とブランクセンサ52にほぼ同じタイミングで供
給された測定ガスについて酸素濃度の測定を行うため
に、短時間に測定ガスの組成が変化するような場合であ
っても使用が可能である。一方、測定装置40では、酸
素センサ10をメジャーセンサとブランクセンサとして
時分割して共用しているので、ブランクセンサとメジャ
ーセンサの測定タイミングがずれるために、短時間にガ
ス組成が変化するような測定ガスは、測定対象としては
不向きであり、比較的ガス組成が安定している測定ガス
について好適に用いることができる。
【0063】
【発明の効果】 上述した通り、本発明の微量酸素測定
装置及び測定方法によれば、コンパクト化が容易であ
り、メンテナンス性や寿命特性に優れたZrO2酸素セ
ンサを用いた簡単な構成の装置を用いていることから、
操作性がよく、しかも可燃ガス等の干渉ガスの影響を排
除した正確な微量酸素濃度の測定を迅速に行うことがで
きるようになる等の優れた効果を奏する。また、ZrO
2酸素センサの構造を種々に変えることも可能であり、
多レンジ化、高精度化を図ることが容易であり、また、
酸素センサの校正も容易であることから、適用用途が広
いといった利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の微量酸素測定装置に好適に用いられ
るZrO2酸素センサの一実施形態を示す断面図であ
る。
【図2】 本発明に係る微量酸素測定装置の構成の一実
施形態を示す説明図である。
【図3】 図2に示した本発明に係る微量酸素測定装置
の構成の一実施形態を示すブロック図である。
【図4】 本発明に係る微量酸素測定装置の別の実施形
態の構成を示す説明図である。
【図5】 図4に示した本発明の微量酸素測定装置の構
成を示すブロック図である。
【図6】 本発明の微量酸素測定装置に使用する酸素発
生素子の一構成例を示す説明図である。
【図7】 本発明の酸素測定装置により測定したブラン
クセンサとメジャーセンサのポンプ電流出力およびその
出力電流の差と酸素濃度の関係を示す測定例である。
【図8】 図1における酸素センサの動作の形態を示し
た説明図である。
【符号の説明】
9…ヒータ、10…ZrO2酸素センサ、11…ZrO2
磁器、12A…第1空気ダクト、12B…第2空気ダク
ト、13…濃度検出セル、14…酸素ポンプセル、15
…酸素供給極、16…酸素排出極、17…濃度検知極、
18…空気基準極、19…測定ダクト、40…測定装
置、41…酸素除去装置、42…酸素発生素子、43…
第一のマスフローコントローラ、43a…第二のマスフ
ローコントローラ、50…測定装置、51…メジャーセ
ンサ、52…ブランクセンサ、61…酸素除去装置経由
流路、62…直接流路、63…第一の標準ガス流路、6
4…第二の標準ガス流路、65…第三の標準ガス流路、
71…第一のFB制御器、71a…第二のFB制御器、
72…ヒータ制御器、72a…ヒータ制御器、75…定
電流源/制御器、76…ヒータ電源/制御器、77…温
度検出器、78…MFC制御器、80…コンピュータ装
置。

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ブランクセンサおよびメジャーセンサと
    して使用可能な酸素イオン伝導性固体電解質と金属電極
    からなる酸素ポンプセルと濃度検出セルとを備えた限界
    電流形酸素センサを少なくとも1個備えてなる微量酸素
    測定装置であって、 当該限界電流形酸素センサがブランクセンサとして機能
    するときは、測定ガスを酸素除去装置を通じて得られる
    脱酸素測定ガスの酸素濃度を限界電流形センサのポンプ
    電流で測定し、 当該限界電流形酸素センサがメジャーセンサとして機能
    するときは、測定ガスの酸素濃度を限界電流形センサの
    ポンプ電流で測定し、 メジャーセンサとブランクセンサのポンプ電流の差を、
    当該測定ガスに含まれる酸素濃度として算出する機構を
    有することを特徴とする微量酸素測定装置。
  2. 【請求項2】 前記測定ガスを分岐させる分岐機構を有
    し、 一方の測定ガスは、前記分岐機構の動作により前記酸素
    除去装置を通過した後に前記ブランクセンサに供給さ
    れ、 他方の測定ガスは、前記分岐機構の動作により前記メジ
    ャーセンサに直接供給される構成としたことを特徴とす
    る請求項1記載の微量酸素測定装置。
  3. 【請求項3】 分岐機構の動作を時間により切換えて、 一方の時間は、前記酸素除去装置を通過した後の脱酸素
    測定ガスを、 他方の時間は、前記測定ガスを、当該酸素センサにそれ
    ぞれ供給し、各々の時間毎にブランクセンサ及びメジャ
    ーセンサとしてのポンプ電流を測定するための切り替え
    機構を有することを特徴とする請求項1記載の微量酸素
    測定装置。
  4. 【請求項4】 前記酸素イオン伝導性固体電解質と金属
    電極からなる酸素ポンプセルと濃度検出セルとを備えた
    限界電流形の酸素センサが2個備えられており、一方の
    限界電流形の酸素センサをブランクセンサとして用い、
    他方の限界電流形の酸素センサをメジャーセンサとして
    用いるように構成されたことを特徴とする請求項1に記
    載の微量酸素測定装置。
  5. 【請求項5】 上記限界電流形酸素センサの酸素ポンプ
    セル通電電流により酸素を給排気し、濃度検出セルの起
    電力を所定の設定電圧に制御するフィードバック制御器
    が配置されていることを特徴とする請求項1〜4のいず
    れか一項に記載の微量酸素測定装置。
  6. 【請求項6】 前記フィードバック制御器における濃度
    検出セルの起電力の設定電圧を、濃度検出セルの起電力
    −酸素濃度特性がネルンストの式に確実に追従する酸素
    濃度範囲の2ppm以上に相当する240mV以下の電
    圧にすることを特徴とする請求項5に記載の微量酸素測
    定装置。
  7. 【請求項7】 前記フィードバック制御器によるフィー
    ドバック制御に必要な酸素補給源として大気と通じる専
    用の空気ダクトを備えたことを特徴とする請求項5また
    は6に記載の微量酸素測定装置。
  8. 【請求項8】 前記酸素センサが、 複数の固体電解質層から形成され、 上記複数の固体電解質層により規定された第1空気ダク
    ト、第2空気ダクト、及び測定ダクトを有し、 上記測定ダクトには、酸素排出極と濃度検知極とが備え
    られており、 上記第1空気ダクト内に形成された酸素供給極と、上記
    測定ダクトに形成された酸素排出極とから、上記第1空
    気ダクトと上記測定ダクトとの間に形成された固体電解
    質層を介して、形成された酸素ポンプセルと、 上記第2空気ダクト内に形成された空気基準極と当該測
    定ダクトに形成された濃度検知極とが、上記第2空気ダ
    クトと上記測定ダクトとの間に形成された固体電解質層
    を介して、形成された濃度検出セルとを備え、 上記濃度検出セルの起電力を所定の設定電圧になるよう
    酸素ポンプを稼動させフィードバック制御しているとき
    の酸素ポンプ電流を測定することで測定ガス中の酸素濃
    度を測定する機構を有することを特徴とする請求項1〜
    7のいずれか一項に記載の微量酸素測定装置。
  9. 【請求項9】 前記酸素センサにおいて、第1空気ダク
    ト内に存在する電極が空気基準極で、その対極が濃度検
    知極で、第2空気ダクトに存在する電極が酸素供給極
    で、その対極が酸素排出極であることを特徴とする請求
    項8に記載の微量酸素測定装置。
  10. 【請求項10】 微量酸素を含む測定ガスにおける微量
    酸素濃度を、酸素センサを使用して測定する方法であっ
    て、 上記酸素センサとして複数の固体電解質層から形成さ
    れ、 上記複数の固体電解質層により規定された第1空気ダク
    ト、第2空気ダクト、及び測定ダクトを有し、 上記測定ダクトには、酸素排出極と濃度検知極とが備え
    られており、 上記第1空気ダクト内に形成された酸素供給極と、上記
    測定ダクトに形成された酸素排出極とから、上記第1空
    気ダクトと上記測定ダクトとの間に形成された固体電解
    質層を介して、形成された酸素ポンプセルを備え、 上記第2空気ダクト内に形成された空気基準極と当該測
    定ダクトに形成された濃度検知極とが、上記第2空気ダ
    クトと上記測定ダクトとの間に形成された固体電解質層
    を介して、濃度検出セルを形成し、 上記濃度検出セルの起電力を所定の設定電圧になるよう
    に酸素ポンプを稼動させ、フィードバック制御している
    ときの酸素ポンプ電流を測定することでガス中の酸素濃
    度を測定する機構を有する酸素センサを用い、 同酸素センサのフィードバック制御における濃度検出セ
    ルの起電力設定電圧を、濃度検出セル起電力−酸素濃度
    特性がネルンストの式に確実に追従する酸素濃度範囲の
    2ppm以上に相当する240mV以下の所定の電圧に
    し、 かつ、測定ダクト内を設定酸素濃度にするために必要な
    酸素を大気と通じている専用の酸素供給空気ダクトから
    供給することを特徴とする微量酸素の測定方法。
  11. 【請求項11】 可燃ガスと微量酸素を含む測定ガスに
    おける微量酸素濃度を、酸素センサを使用して測定する
    方法であって、 上記酸素センサとして複数の固体電解質層から形成さ
    れ、 上記複数の固体電解質層により規定された第1空気ダク
    ト、第2空気ダクト、及び測定ダクトを有し、 上記測定ダクトには、酸素排出極と濃度検知極とが備え
    られており、 上記第1空気ダクト内に形成された酸素供給極と、上記
    測定ダクトに形成された酸素排出極とから、上記第1空
    気ダクトと上記測定ダクトとの間に形成された固体電解
    質層を介して、形成された酸素ポンプセルを備え、 上記第2空気ダクト内に形成された空気基準極と当該測
    定ダクトに形成された濃度検知極とが、上記第2空気ダ
    クトと上記測定ダクトとの間に形成された固体電解質層
    を介して、濃度検出セルを形成し、 上記濃度検出セル起電力を所定の設定電圧になるよう酸
    素ポンプを稼動させフィードバック制御しているときの
    酸素ポンプ電流を測定することでガス中の酸素濃度を測
    定する機構を有する酸素センサを少なくとも一個用い、 最初に酸素除去装置を通して酸素分を除去した測定ガス
    の酸素濃度を酸素センサのポンプ電流値で測定し、 次に酸素除去装置を通してない、測定ガスの酸素濃度を
    酸素センサのポンプ電流で測定して、最初に測定した酸
    素ポンプ電流と次に測定した酸素ポンプ電流の差を測定
    ガス中の酸素濃度として算出することを特徴とする微量
    酸素の測定方法。
  12. 【請求項12】 請求項11に記載の測定方法におい
    て、切り替え機構を動作させることにより、測定ガスを
    酸素除去装置を経由させ、あるいは経由させることなく
    上記の酸素センサに供給することを特徴とする微量酸素
    の測定方法。
  13. 【請求項13】 請求項11に記載の測定方法におい
    て、酸素センサとして2個の酸素センサを使用し、 第一の酸素センサのポンプ電流で酸素除去装置を通して
    酸素分を除去した測定ガスの酸素濃度を測定し、 次いで、第二の酸素センサのポンプ電流で酸素除去装置
    を通してない、測定ガスの酸素濃度を測定して、第一の
    酸素センサのポンプ電流と第二の酸素センサのポンプ電
    流の差を測定ガス中の酸素濃度として算出することを特
    徴とする微量酸素の測定方法。
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