JP2002047355A - 無機質繊維補強難燃性樹脂形成用組成物及び無機質繊維補強難燃性樹脂複合体 - Google Patents

無機質繊維補強難燃性樹脂形成用組成物及び無機質繊維補強難燃性樹脂複合体

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JP2002047355A
JP2002047355A JP2001157963A JP2001157963A JP2002047355A JP 2002047355 A JP2002047355 A JP 2002047355A JP 2001157963 A JP2001157963 A JP 2001157963A JP 2001157963 A JP2001157963 A JP 2001157963A JP 2002047355 A JP2002047355 A JP 2002047355A
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acid
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JP2001157963A
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Akira Inoue
顕 井上
Seitaro Onoe
清太朗 尾上
Yuka Masaki
由香 正木
Hideo Nishiguchi
西口  英夫
Keiji Tanaka
敬次 田中
Tsuyoshi Furuta
剛志 古田
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Asahi Fiber Glass Co Ltd
Sanyo Chemical Industries Ltd
Original Assignee
Asahi Fiber Glass Co Ltd
Sanyo Chemical Industries Ltd
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Publication date
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  • Reinforced Plastic Materials (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 難燃性に優れた無機質繊維補強難燃性樹脂
(以下IFRPと略記)複合体およびかかるIFRP形
成用組成物を提供する。 【解決手段】 エチレン性不飽和基含有アルコール
(a)のリン酸エステル(A0)の多価金属塩(A1)
および/または含金属エチレン性不飽和単量体(A2)
からなる単量体単独もしくは混合物、又は、(A1)お
よび/または(A2)と他の含多価金属エチレン性不飽
和単量体(A3)および/または多価金属不含不飽和単
量体(B)からなる単量体混合物、重合開始剤(C)、
並びに補強用無機質繊維(D)からなるIFRP形成用
組成物;並びに該組成物を単量体の重合により硬化させ
てなることを特徴とする、IFRP複合体を使用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、無機質繊維補強難
燃性樹脂形成用組成物及びこれから得られる無機質繊維
補強難燃性樹脂複合体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、繊維補強樹脂(FRP)として
は、中でも最も汎用されているガラス繊維を補強材とし
たFRPとしては、不飽和ポリエステル樹脂/ガラス繊
維複合体、ビニルエステル樹脂/ガラス繊維複合体、ア
クリル樹脂/ガラス繊維複合体、ポリアミド樹脂/ガラ
ス繊維複合体、フェノール樹脂/ガラス繊維複合体等が
ある。一方、高分子鎖に金属塩を導入することによって
様々な機能を持たせた金属塩含有樹脂としては、アイオ
ノマー樹脂や高吸水性樹脂が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、難燃性に優
れた無機質繊維補強難燃性樹脂(以下IFRPと略記)
複合体およびかかるIFRP形成用組成物を提供するこ
とを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明に従って、エチレ
ン性不飽和基含有アルコール(a)のリン酸エステル
(A0)の多価金属塩(A1)および/または下記一般
式(1)で示される含多価金属エチレン性不飽和単量体
(A2)からなる単量体単独もしくは混合物、又は、
(A1)および/または(A2)と他の含多価金属エチ
レン性不飽和単量体(A3)および/または多価金属不
含不飽和単量体(B)とからなる単量体混合物、重合開
始剤(C)、並びに補強用無機質繊維(D)からなり、
(C)を全単量体100部当り0.01〜5部の量比で
含有し、(D)を全単量体と(C)と(D)との合計重
量に基づいて1〜70%含有することを特徴とする、I
FRP形成用組成物;並びに該組成物を単量体の重合に
より硬化させてなることを特徴とする、IFRP複合体
が提供される。 [HC=C(R)−X−]xM (1) [式中、xは2〜4の整数、Mはx価の多価金属、R
は水素原子又はメチル基、Xは式−(CO)O−(A
−O)−(CO−A′−COO)−で示される基、
rは0または1、nは1〜8の整数、Aは炭素数2〜4
のアルキレン基、A′は炭素数2〜4のアルキレン基又
は炭素数2〜8のアルケニレン基、tは0または1を示
し;x個のXおよびRはそれぞれ同一でも異なってい
てもよく、nが2以上の場合にn個のAは同一でも異な
っていてもよく、(A−O)が2種以上の(A−O)
からなるときはランダムに分布していてもブロック状で
もよい。] 上記および以下において、部は重量部、%は重量%を表
わす。
【0005】
【発明の実施の形態】(A1)、(A2)および(A
3)を構成する多価金属(M)には、x価の典型金属お
よび遷移金属(xは2〜4、好ましくは3〜4、とくに
3)が含まれる。典型金属としては、IIa族[2族]金
属(アルカリ土類)、例えばマグネシウム、カルシウ
ム、バリウム;IIIa族[13族]金属、例えばアルミ
ニウム、ガリウム、およびIVa族[14族]金属、例え
ばゲルマニウム、スズ;遷移金属としては、Ib族[1
1族]金属、例えば銅;IIb族[12族]金属、例えば
亜鉛;IVb族[4族]金属、例えばチタン、ジルコニウ
ム、及びVIII族[8、9、10族]金属、例えば鉄、コ
バルト、ニッケルが挙げられる。(なお[ ]内の族番
号はIUPAC無機化学命名法改訂版(1989)に記
載の元素周期表による。以下同様。)好ましいのはIIa
族、IIIa族、IVb族およびVIII族の金属、とくにカル
シウム、アルミニウムおよびチタンである。
【0006】(A1)を構成する(A0)における
(a)としては、エーテル結合および/またはエステル
結合を有していてもよい、分子量が通常300までのエ
チレン性不飽和基含有アルコールが使用できる。(a)
には、アルケノール、(ポリ)オキシアルキレンモノア
ルケニルエーテル、不飽和モノカルボン酸ヒドロキシア
ルキルエステルおよび不飽和モノカルボン酸ポリオキシ
アルキレンモノエステルが含まれ、下記一般式(2)で
示されるヒドロキシル化合物が挙げられる。 R(CO)O(A−O)H (2) 一般式(2)において、Rはアルケニル基またはフェニ
ル置換アルケニル基、Aはアルキレン基、rは0または
1、nは0または1〜3またはそれ以上の整数を表わ
す。nが2以上の場合、n個のAは同一でも異なってい
てもよい。(A−O)が2種以上の(A−O)からな
るときは、それらはランダムに分布していてもブロック
状でも、それらの混合系でもよい。
【0007】Rとしては、C(炭素数、以下同様)2〜
8のアルケニル基、たとえばビニル基、イソプロペニル
基、1−プロペニル基、(メタ)アリル基(アリル基お
よびメタリル基を表わす。以下同様の表現を用いる)、
1−,2−および3−ブテニル基、ペンテニル基、2−
メチル−2−ブテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル
基、オクテニル基;およびフェニル置換アルケニル基、
たとえば2−フェニルビニル基が挙げられる。好ましい
のはビニル基、イソプロペニル基およびアリル基であ
る。アルキレン基Aには、C2〜4またはそれ以上のア
ルキレン基、たとえばエチレン基、1,2−および1,
3−プロピレン基、1,2−,2,3−,1,3−およ
び1,4−ブチレン基、およびこれらの2種以上の組合
せが含まれる。好ましいのはエチレン基、1,2−プロ
ピレン基および1,4−ブチレン基である。
【0008】(a)の具体例には、C2〜8のアルケノ
ール、例えばビニルアルコール、(メタ)アリルアルコ
ール、(イソ)クロチルアルコール、メチルビニルカル
ビノール、アリルカルビノール、1−ブテン−3−オー
ル、2−ブテン−1−オール、ヘキセノール、ヘプテノ
ール、オクテノール;上記アルケノールのアルキレンオ
キサイド(C2〜4またはそれ以上、以下AOと略記)
付加物(付加モル数1〜3またはそれ以上)[(ポリ)
オキシアルキレンモノアルケニルエーテル];不飽和モ
ノカルボン酸[例えば(メタ)アクリル酸、(イソ)ク
ロトン酸、ケイヒ酸]のAO付加物(付加モル数1〜3
またはそれ以上)[ヒドロキシアルキルエステルおよび
ポリアルキレングリコールモノエステル]が挙げられ
る。好ましいのはアリルアルコール、(ポリ)オキシア
ルキレン(C2〜4、重合度1〜3)モノビニルエーテ
ル、および、とくに(メタ)アクリル酸のAO付加物
(付加モル数1〜3)である。AOには、エチレンオキ
サイド(以下EOと略記)、プロピレンオキサイド(以
下POと略記)、1,2−,2,3−,1,3−および
1,4−ブチレンオキサイド、およびこれらの2種以上
(たとえばEOとPO)の併用(ランダム付加および/
またはブロック付加)が含まれる。(a)のうち好まし
いのは、rが0でRがビニル基、イソプロペニル基また
はアリル基のもの、及び、とくにrが1でRがビニル基
またはイソプロペニル基のものである。
【0009】(A0)として好ましいのは、(a)のリ
ン酸モノエステルおよび/またはジエステル[単一の
(a)のジエステルでも2種の(a)の混合ジエステル
でもよい]であるが、それらに代えて又はそれらと共
に、(a)と飽和アルコール(a′)との混合ジエステ
ルを用いることもできる。(a′)としては、エーテル
結合および/またはエステル結合を有していてもよい、
分子量が通常300までの飽和アルコールが使用でき
る。(a′)には、前記一般式(2)においてRがH、
C1〜8またはそれ以上のアルキル基、シクロヘキシル
基、ベンジル基、アリール基(フェニル基、トリル基、
キシリル基など)に置換ったもの(Rがアリール基でr
が0の場合はnは1以上)が含まれる。具体的には、ア
ルカノール、たとえばメタノール、エタノール、n−お
よびi−プロパノール;アルキレングリコール、たとえ
ばエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4
−ブタンジオール;それらのAO付加物(付加モル数1
〜3またはそれ以上)が挙げられる。
【0010】(A0)は、(a)[または(a)および
(a′)]を、公知のリン酸エステル化方法、たとえば
オキシ塩化リン、無水リン酸、ポリリン酸などのリン酸
化剤と反応させてリン酸エステル化することにより、製
造することができる。(a)と他の(a)または
(a′)との混合ジエステルは、(a)と他の(a)ま
たは(a′)との混合物をリン酸エステル化してもよ
く、また(a)のリン酸モノエステルを形成した後、モ
ノエステルを他の(a)、(a′)またはAOと反応さ
せて混合ジエステルとしてもよい。
【0011】(A0)の具体例としては、(ポリ)オキ
シエチレンモノビニルエーテルのリン酸エステル化物、
(メタ)アクリル酸のEOおよび/またはPO付加物
(付加モル数1〜3)のリン酸エステル化物が挙げられ
る。リン酸エステル化物中には、(a)のリン酸モノエ
ステルおよび/または(a)[または(a)および
(a′)]のリン酸ジエステルの外に、未反応の(a)
や、(a)[または(a)および(a′)]のリン酸ト
リエステル、(a)[または(a)および(a′)]の
縮合リン酸(ピロリン酸など)エステル等のような副生
物が、少割合(好ましくは20%以下、とくに10%以
下)含有されていてもよい。
【0012】(A1)は、(A0)と多価金属アルコキ
シド(b)を反応させることにより製造することができ
る。(b)としては、一般式:(RO)M[式中、
xは2〜4の整数、Mは多価金属(x価の金属)、R
はC1〜8またはそれ以上のアルキル基またはC2〜8
またはそれ以上のアルケニル基を表わし、x個のRは同
一でも異なっていてもよい]で示されるものが使用でき
る。Rのアルキル基には、直鎖および分岐のアルキル
基が含まれ、メチル、エチル、n−およびi−プロピ
ル、n−,i−,sec−およびt−ブチル、n−およ
びi−アミル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、2−エ
チルヘキシル等が挙げられる。アルケニル基としては、
前記一般式(1)のRと同様のものが挙げられる。具体
的には、アルミニウムイソプロポキシド、アルミニウム
エトキシド、チタンイソプロポキシドが挙げられる。
【0013】(b)の使用量は、(A0)がモノエステ
ルかジエステルかそれらの混合物か、それらの混合割合
により異なるが、(A0)のヒドロキシル基(−OH)
1当量に対して、ジエステルの場合は通常0.95当量
以上、好ましくは0.98〜1当量であり、モノエステ
ルの場合は上記当量の1/2〜上記当量の範囲で変える
ことができる。混合物の場合は、その混合割合に応じて
按分した量である。上記反応は、室温で又は加熱下に、
脱離するアルコールを除去することにより行なうことが
できる。(A1)には、下記一般式(3)で示される多
価金属塩の1種または2種以上の混合物が含まれる。
【0014】
【化2】
【0015】一般式(3)において、xは2〜4の整
数、yはxより大きくない正の整数(1〜xまでの整
数)、Mはx価の多価金属、RはC1〜8のアルキル
基またはC2〜8のアルケニル基、Rは(a)の残
基、Rは水素原子または(a)もしくは(a′)の残
基[水酸基を除いた残基]を表わす。多価金属M、
、(a)および(a′)としては、前述のものが使
用できる。RおよびRの分子量は、(A1)を用い
た重合体の難燃性の観点から、通常300以下であり、
好ましくは200以下、とくに150以下である。yが
2以上の場合、複数個のRおよびRはそれぞれ同一
でも異なっていてもよい。例えば(a)のリン酸モノエ
ステルおよび(a)のリン酸ジエステルの混合多価金属
塩でもよい。
【0016】一般式(3)で示される多価金属塩の具体
例としては、式中の各記号が次のもの、及びそれらのR
がH、メチル基またはヒドロキシエチル基に置換った
ものが挙げられる。
【0017】
【表1】
【0018】(A1)には、一般式(3)で示される多
価金属塩の外に、多価金属Mを複数個(2個またはそれ
以上)有する塩[たとえば一般式(3)においてy個の
の一部または全部が−M(O−Rx−1で置換
ったもの、下記一般式(4)[式中の各記号は一般式
(3)におけると同じ。]で示されるもの、それらのリ
ン酸基部分が縮合リン酸(ピロリン酸など)基に置換っ
たもの]等のような副生物が、少割合(好ましくは20
%以下、とくに10%以下)含有されていてもよい。
【0019】
【化3】
【0020】(A1)の不飽和結合含量(ヨウ素価測定
による、以下同様)は、重合性の観点から、1ミリ当量
/g以上、さらに2〜20ミリ当量/g、とくに3〜1
0ミリ当量/gが好ましい。(A1)の金属含量(M含
量)(原子吸光法による、以下同様)は、それを重合し
てなる樹脂の強度の観点から、1%以上、さらに3〜2
0%、とくに5〜15%が好ましい。(A1)のリン含
量(P含量)は、それを重合してなる樹脂の難燃性の観
点から、1%以上、さらに2〜30%、とくに5〜20
%が好ましい。
【0021】(A0)と(b)との反応生成物中には、
(A1)の外に、(a)の多価金属アルコキシドや、
(a)[または(a)および(a′)]のリン酸トリエ
ステル等のような副生物が、少割合で含有されていても
よい。反応生成物中の(A1)の含量は、70%以上、
さらに80%以上、とくに90%以上が好ましい。
【0022】含多価金属エチレン性不飽和単量体(A
2)を表す一般式(1)におけるXには、−O−(A−
O)−、−CO−O−(A−O)−、−CO−O−
(A−O)−CO−A′−CO−O−および−O−
(A−O)−CO−A′−CO−O−が含まれる。n
は1〜8またはそれ以上の整数、好ましくは1〜3の整
数、とくに1である。アルキレン基Aとしては、一般式
(2)において挙げたと同様のものが使用できる。A′
のアルキレン基には、Aと同様のものが含まれ、C4〜
6のアルカンジカルボン酸(たとえばコハク酸、グルタ
ル酸、アジピン酸)の残基(カルボキシル基を除いた残
基)が挙げられ;アルケニレン基としてはC4〜10の
アルケンジカルボン酸[たとえばマレイン酸、フマル
酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸]の残基
(カルボキシル基を除いた残基)が挙げられる。好まし
いのはビニレン基、および、とくにエチレン基である。
【0023】(A2)には、前記(a)のうち一般式
(2)で示されRがビニル基およびイソプロペニル基で
ある不飽和基含有アルコール(a1)[例えばビニルア
ルコールもしくは(メタ)アクリル酸のAO付加物]の
多価金属アルコキシド、および、(a1)とアルカンも
しくはアルケンジカルボン酸との部分エステルの多価金
属塩が含まれる。
【0024】(A2)の具体例としては、一般式(1)
中の各記号が次のものが挙げられる。
【0025】
【表2】
【0026】(A2)の製造方法としては、一般式H
C=C(R)−X−Hで示される単量体[(a1)ま
たは(a1)とアルカンジカルボン酸もしくはアルケン
ジカルボン酸との部分エステル]を、前記(b)と反応
させる方法が挙げられる。(b)の使用量は、上記(a
1)もしくは部分エステルの水酸基やカルボキシル基に
対して、通常95当量%以上、好ましくは98〜100
当量%である。上記反応は室温で又は必要により加熱
し、脱離したアルコールを除去することにより行うこと
ができ、該単量体を得ることができる。
【0027】他の含多価金属エチレン性不飽和単量体
(A3)には、(A2)以外の不飽和アルコールの多価
金属アルコキシド(A31)、(A2)以外のカルボキ
シル基含有不飽和モノマーの多価金属塩(A32)及び
スルホ基含有不飽和モノマーの多価金属塩(A33)が
含まれる。(A31)、(A32)、(A33)を構成
する多価金属としては、前記(A1)、(A2)におけ
ると同様のもの(M)が使用できる。
【0028】(A31)を構成する不飽和アルコールに
は、前記(a)のうち、(a1)以外のもの、すなわち
一般式(2)で示されRが1−プロペニル基、アリル
基、C4以上のアルケニル基またはフェニル置換アルケ
ニル基である不飽和基含有アルコール(a2)が含まれ
る。(A31)は、(a1)に代えて(a2)を用いる
以外は、(A2)中の(a1)の多価金属アルコキシド
と同様にして製造できる。
【0029】(A31)としては、下記一般式(5)で
示されるものが使用できる。その具体例としては、式中
の各記号が次のものが挙げられる。 [R(CO)O(A−O)−]M(−ORx−y (5) [式中、Rは上記のもの、他の記号は一般式(2)およ
び(3)におけると同じ。]
【0030】
【表3】
【0031】(A32)を構成するカルボキシル基含有
不飽和モノマーには、エチレン性不飽和モノ−およびポ
リカルボン酸、エチレン性不飽和ポリカルボン酸の部分
エステル、および(a2)のジカルボン酸モノエステル
が含まれる。不飽和モノカルボン酸としては、例えば
(メタ)アクリル酸、(イソ)クロトン酸、ケイヒ酸;
不飽和ポリカルボン酸としては、不飽和ジカルボン酸、
たとえばマレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコ
ン酸、メサコン酸;上記部分エステルとしては、上記ジ
カルボン酸のモノアルキル(C1〜8:前記Rと同様
のもの)エステル;上記(a2)のモノエステルとして
は、ジカルボン酸(C4〜6またはそれ以上のアルカン
もしくはアルケンジカルボン酸:たとえばコハク酸、グ
ルタル酸、アジピン酸、上記不飽和ジカルボン酸)と前
述の(a2)とのモノエステルが挙げられる。
【0032】(A32)としては、下記一般式(6)で
示されるものが使用できる。その具体例としては、式中
の各記号が次のものが挙げられる。 [R′O〔(A−O)CO−A′−COO〕−]M(−ORx−y (6) [式中、R′はR(CO)−、ROCO−A′−C
O−、HOOC−A′−CO−または(RO−)
x−1M−OCO−A′−CO−、tは0または1(r
が0のときtは1)、tが1でx=yのときRは1−プ
ロペニル基、アリル基、C4以上のアルケニル基または
フェニル置換アルケニル基、その他の記号は一般式
(1)〜(3)におけると同じ。]
【0033】
【表4】
【0034】上記において、s-Btはsec-ブチル基、i-
Prはi-プロピル基を表わす。
【0035】(A33)を構成するスルホ基含有不飽和
モノマーには、エチレン性不飽和基含有スルホン酸およ
びエチレン性不飽和基含有硫酸エステルが含まれる。該
スルホン酸としては、不飽和モノマーアルケンスルホン
酸(C2〜8)、たとえばビニルスルホン酸、(メタ)
アリルスルホン酸、イソプロペニルスルホン酸;芳香族
ビニルスルホン酸、たとえばスチレンスルホン酸、α−
メチルスチレンスルホン酸;スルホ基含有アクリル系モ
ノマー[ヒドロキシル基を有していてもよい、スルホ基
含有(メタ)アクリル酸エステルもしくは(メタ)アク
リルアミド]、例えばスルホアルキル(C1〜4)(メ
タ)アクリレート[スルホエチル(メタ)アクリレー
ト、スルホプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロ
キシ−3−(メタ)アクリロイルオキシプロパンスルホ
ン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパ
ンスルホン酸、3−(メタ)アクリルアミド−2−ヒド
ロキシプロパンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミ
ド−2,2−ジメチルエタンスルホン酸など];および
アルキル(C1〜18)(メタ)アリルスルホコハク酸
エステル、例えばプロピルアリルスルホコハク酸エステ
ルが挙げられる。
【0036】該硫酸エステルには、前記(a)もしくは
そのAO付加物[一般式(2)で示されるヒドロキシル
化合物(但しnは2〜30またはそれ以上の整数)[例
えばポリアルキレン(C2〜4)グリコール(重合度2
〜30)モノ(メタ)アクリレート:ポリエチレングリ
コール(以下PEGと略記)(分子量300)モノ(メ
タ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(以下P
PGと略記)(分子量500)モノ(メタ)アクリレー
ト等]の硫酸エステル、および2価フェノールのポリオ
キシアルキレン(C2〜4)エーテル[AO(2〜30
モルまたはそれ以上)付加物]の不飽和モノカルボン酸
[(メタ)アクリル酸など]モノエステル[例えば下記
一般式(7)で示されるヒドロキシル化合物]の硫酸エ
ステルが含まれる。 RCOO(A−O)−R−(O−A)m−OH (7) 式中、Rは2価フェノール残基(水酸基を除いた残
基)、nおよびmは合計が2〜30またはそれ以上とな
る1以上の整数、RおよびAは一般式(2)におけると
同じ。残基Arを構成する2価フェノールとしては、単
環2価フェノール、例えばハイドロキノン、カテコー
ル、レゾルシン;およびビスフェノール、例えばビスフ
ェノールA、ビスフェノールFおよびビスフェノールS
が挙げられる。上記硫酸エステルは一般式(2)もしく
は(7)で示されるヒドロキシル化合物を、公知の硫酸
エステル化方法、たとえば無水硫酸、発煙硫酸などの硫
酸化剤と反応させて硫酸エステル化することにより、製
造することができる。硫酸エステル化生成物中には、未
反応のヒドロキシル化合物が少割合(好ましくは20%
以下、とくに10%以下)残存していてもよい。
【0037】(A33)としては、下記一般式(8)で
示されるものが使用できる。 [R−SO−]M(−ORx−y (8) 式中、Rはエチレン性不飽和基含有スルホン酸の残基
(−SOHを除いた残基)または一般式(2)もしく
は(7)で示されるヒドロキシル化合物の残基(活性水
素原子を除いた残基)を表わし、その他の記号は一般式
(3)におけると同じ。yが2以上の場合、R−SO
−の一部が一般式(2)もしくは(7)で示されるヒ
ドロキシル化合物の残基に置き換っていてもよい。その
具体例としては、式中の各記号が次のもの、及びそれら
のビニル基がイソプロペニル基に置き換ったものが挙げ
られる。
【0038】
【表5】
【0039】(A32)および(A33)は、それぞれ
カルボキシル基含有不飽和モノマーもしくはそのエステ
ル形成性誘導体(酸無水物、C1〜4アルキルエステ
ル、酸ハライド等)およびスルホ基含有不飽和モノマー
を、(b)と反応させることにより製造することができ
る。(b)としては、(A1)において挙げたと同様の
ものが挙げられる。(b)の使用量は、カルボキシル基
またはスルホ基1当量に対して、通常0.95当量、好
ましくは0.98〜1当量である。上記反応は室温で又
は必要により加熱し、脱離したアルコールを除去するこ
とにより行うことができ、該単量体を得ることができ
る。
【0040】(A2)および(A3)の不飽和結合含量
は、重合性の観点から、1ミリ当量/g以上、さらに2
〜20ミリ当量/g、とくに3〜10ミリ当量/gが好
ましい。(A2)および(A3)のM含量は、IFRP
の耐熱性及び強度の観点から、1%以上、さらに3〜2
0%、とくに5〜15%が好ましい。併用する他の含多
価金属単量体のM含量によっては、全体のM含量が下記
の範囲内となる範囲で、(A1)〜(A3)の何れかの
M含量が上記範囲を外れていてもよい。(A1)および
/または(A2)および必要により(A3)からなる含
金属エチレン性不飽和単量体(A)全体のM含量は、そ
れを重合してなる樹脂の強度の観点から、好ましくは1
%以上、さらに好ましくは3〜20%、とくに5〜15
%である。
【0041】多価金属不含不飽和単量体(B)は、
(A)と共重合可能なものであれば特に制限されず、
(B1)不飽和炭化水素モノマー、(B2)ヒドロキシ
ル基および/またはエーテル結合含有不飽和モノマー、
(B3)含窒素不飽和モノマー、(B4)エステル結合
含有不飽和モノマー、(B5)ハロゲン含有不飽和モノ
マー、(B6)ケトン結合含有不飽和モノマー、(B
7)イオウ含有不飽和モノマー、(B8)イソシアネー
ト基含有不飽和モノマー、および(B9)多官能不飽和
モノマーが含まれる。これらの例としては以下のものが
挙げられる。
【0042】(B1)不飽和炭化水素モノマー(C2〜
36またはそれ以上): (B11)脂肪族ビニル系炭化水素:アルケン、例えば
エチレン、プロピレン、ブテン、イソブチレン、ペンテ
ン、ヘプテン、ジイソブチレン、オクテン、ドデセン、
オクタデセン、α−オレフィン(C20〜36);アル
カジエン、例えばブタジエン、イソプレン、1,4−ペ
ンタジエン、1,6−ヘキサジエン、1,7−オクタジ
エン等; (B12)脂環式ビニル系炭化水素:シクロアルケン、
例えばシクロヘキセン;(ジ)シクロアルカジエン、例
えば(ジ)シクロペンタジエン;テルペン、例えばピネ
ン、リモネン;ビニルシクロヘキセン、エチリデンビシ
クロヘプテン等; (B13)芳香族ビニル系炭化水素:スチレン(以下S
tと略記)、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、
2,4−ジメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロ
ピルスチレン、ブチルスチレン、フェニルスチレン、シ
クロヘキシルスチレン、ベンジルスチレン、クロチルベ
ンゼン、ビニルナフタレン、インデン等;
【0043】(B2)ヒドロキシル基および/またはエ
ーテル結合含有不飽和モノマー: (B21)ヒドロキシル基含有不飽和モノマー:前記
(a)およびそのAO付加物[一般式(1)で示される
ヒドロキシル化合物(但しnは2〜30またはそれ以上
の整数)[アルケノール、(ポリ)オキシアルキレンモ
ノアルケニルエーテル、不飽和モノカルボン酸ヒドロキ
シアルキルエステルおよび不飽和モノカルボン酸ポリオ
キシアルキレンモノエステル]、例えば2−ヒドロキシ
エチルプロペニルエーテル、2−ヒドロキシエチルアク
リレート(以下HEAと略記)、2−ヒドロキシエチル
メタクリレート(以下HEMAと略記)、ヒドロキシプ
ロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール
(以下PEGと略記)モノ(メタ)アクリレート、ポリ
プロピレングリコールモノアクリレート;前記一般式
(6)で示されるヒドロキシル化合物[2価フェノール
のポリオキシアルキレンエーテルの不飽和モノカルボン
酸モノエステル]、例えばビスフェノールAのPO(2
〜30モル)付加物;不飽和ポリオール(2〜7価また
はそれ以上、例えばアルケンジオール(2−ブテン−
1,4−ジオールなど)、3〜8価またはそれ以上の多
価アルコール(グリセリン、ペンタエリスリトール、ソ
ルビトール、ショ糖など)のモノアルケニル(C2〜8
またはそれ以上)エーテル[ショ糖(メタ)アリルエー
テルなど];ヒドロキシスチレン、プロパルギルアルコ
ール等;
【0044】(B22)エーテル結合含有不飽和モノマ
ー: (B221)エポキシ基含有不飽和モノマー:例えばグ
ルシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリ
ル(メタ)アクリレート、p−ビニルフェニルフェニル
オキサイド等; (B222)ポリオキシアルキレン鎖含有不飽和モノマ
ー:(ポリ)オキシアルキレン(C2〜4、重合度1〜
30またはそれ以上)アルキル(C1〜20)エーテル
[アルカノールのAO(EO、POなど)付加物]、例
えばメチルアルコールEO10モル付加物(メタ)アク
リレート、ラウリルアルコールEO30モル付加物(メ
タ)アクリレート等; (B223)その他のエーテル結合含有不飽和モノマ
ー:ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビ
ニルプロピルエーテル、ビニルブチルエーテル、ビニル
2−エチルヘキシルエーテル、ビニルフェニルエーテ
ル、ビニル2−メトキシエチルエーテル、メトキシブタ
ジエン、ビニル2−ブトキシエチルエーテル、3,4−
ジヒドロ−1,2−ピラン、2−ブトキシ−2’−ビニ
ロキシジエチルエーテル、ビニル−2−エチルメルカプ
トエチルエーテル、フェノキシスチレン等;
【0045】(B3)含窒素不飽和モノマー: (B31)アミノ基(1級、2級または3級)含有ビニ
ル系モノマー:アミノ基含有不飽和炭化水素:アルケニ
ルアミン、例えば(メタ)アリルアミン、クロチルアミ
ン、及びアミノ基含有スチレン系モノマー、例えばN,
N−ジメチルアミノスチレン;アミノ基含有(メタ)ア
クリレート:モノ−およびジ−アルキル(C1〜4)ア
ミノアルキル(C2〜4)(メタ)アクリレート、例え
ばジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチ
ルアミノエチル(メタ)アクリレート、t−ブチルアミ
ノエチル(メタ)アクリレートなど、複素環アミノ基含
有(メタ)アクリレート[モルホリノアルキル(C2〜
4)(メタ)アクリレート]、例えばモルホリノエチル
(メタ)アクリレート、及びメチルα−アセトアミノア
クリレート;アミノ基含有(メタ)アクリルアミド、例
えばN−アミノエチル(メタ)アクリルアミド;その他
の複素環アミノ基含有モノマー、例えば4−ビニルピリ
ジン、2−ビニルピリジン、ビニルイミダゾール、N−
ビニルピロール等; (B32)アミド基含有ビニル系モノマー:(メタ)ア
クリルアミド、その置換体たとえばN−モノ−および
N,N−ジ−アルキル(C1〜4)(メタ)アクリルア
ミド[N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル
アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミドな
ど],ジアセトンアクリルアミド、N−メチロール(メ
タ)アクリルアミド、N,N−ジベンジルアクリルアミ
ド;桂皮酸アミド、メタクリルホルムアミド、N−メチ
ル−N−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドン
等; (B33)ニトリル基含有ビニル系モノマー:(メタ)
アクリロニトリル、シアノスチレン、N−シアノアクリ
レート等;
【0046】(B4)エステル結合含有不飽和モノマ
ー: (B41)(メタ)アクリル酸エステル:アルキル(C
1〜50)(メタ)アクリレート、例えばメチルアクリ
レート、メチルメタクリレート(以下MMAと略記)、
エチルアクリレート、エチルメタクリレート(以下EM
Aと略記)、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル
(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)ア
クリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデ
シル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アク
リレート、エイコシル(メタ)アクリレート;シクロア
ルキル,アラルキルおよびアリール(メタ)アクリレー
ト、例えばシクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメ
タクリレート、フェニル(メタ)アクリレート等; (B42)その他の不飽和カルボン酸[モノカルボン酸
たとえば(イソ)クロトン酸、ケイヒ酸、ビニル安息香
酸、アルコキシ(C1〜4)置換アクリル酸;ポリカル
ボン酸たとえばマレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シ
トラコン酸、メサコン酸]エステル:アルキル(C1〜
50)エステル、例えばエチルα−エトキシアクリレー
ト、メチル4−ビニルベンゾエート、ジメチルフマレー
ト、ジメチルマレエート等;
【0047】(B43)飽和カルボン酸[モノカルボン
酸(C1〜20)たとえばギ酸、酢酸、プロピオン酸、
酪酸、アルコキシ酢酸、安息香酸;ジカルボン酸(C2
〜20たとえばシュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバ
シン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸]の不
飽和エステル[ビニルエステル、(メタ)アリルエステ
ル、イソプロペニルエステル、ビニルフェニルエステ
ル]、例えばビニルホルメート、酢酸ビニル、イソプロ
ペニルアセテート、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、
ビニルメトキシアセテート、ビニルベンゾエート、アセ
トキシスチレン等;
【0048】(B5)ハロゲン含有不飽和モノマー:塩
化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン、(メタ)アリ
ルクロライド、モノ−およびジ−クロルスチレン、クロ
ロプレン等; (B6)ケトン結合含有不飽和モノマー:ビニルメチル
ケトン、ビニルエチルケトン、ビニルフェニルケトン
等; (B7)イオウ含有不飽和モノマー:p−ビニルジフェ
ニルサルファイド、ビニルエチルサルファイド、ビニル
エチルスルフォン、ジビニルスルフォン、ジビニルスル
フォキサイド等; (B8)イソシアネート基含有不飽和モノマー:イソシ
アナトエチル(メタ)アクリレート、m−イソプロペニ
ル−α,α−ジメチルメチルベンジルイソシアネート
等;
【0049】(B9)多官能不飽和モノマー: (B91)ポリビニル炭化水素モノマー、例えばジビニ
ルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルキシレン、ト
リビニルベンゼン等; (B92)エーテル結合含有多官能不飽和モノマー:2
〜8価またはそれ以上の多価アルコール[エーテル結合
を有していてもよいアルカンポリオール、例えばアルキ
レン(C2〜6)グリコール(エチレングリコール、プ
ロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグ
リコール、ヘキサンジオールなど)、グリセリン、トリ
メチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビト
ール、これらの分子内または分子間脱水物(ソルビタ
ン、ポリグリセリン、ジペンタエリスリトールなど)、
糖類(蔗糖など);およびこれらのAO(1〜30モル
またはそれ以上)付加物]のポリアルケニル[C2〜8
またはそれ以上:ビニル、(メタ)アリルなど]エーテ
ル、例えばポリ(メタ)アリロキシアルカン類[ジアリ
ロキシエタン、トリアリロキシエタン、テトラアリロキ
シエタン、テトラアリロキシプロパン、テトラアリロキ
シブタン、テトラ(メタ)アリロキシエタン等]、ショ
糖ポリ(メタ)アリルエーテルなど;
【0050】(B93)エステル結合含有多官能不飽和
モノマー:2〜8価またはそれ以上の多価アルコール
(上記のもの)と不飽和カルボン酸[(メタ)アクリル
酸など]とのポリエステル、例えばエチレングリコール
ジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)
アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)ア
クリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリ
レート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリ
レート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリ
レート、PEGジ(メタ)アクリレート等;不飽和カル
ボン酸アルケニル[C2〜8またはそれ以上:ビニル、
(メタ)アリルなど]エステル、例えばビニルメタクリ
レート;ポリカルボン酸[C4〜8またはそれ以上のア
ルカンジカルボン酸(アジピン酸など)、ベンゼンジカ
ルボン酸(フタル酸など)]のポリアルケニル[C2〜
8またはそれ以上:ビニル、(メタ)アリルなど]エス
テル、例えばジアリルフタレート、ジアリルアジペート
等; (B94)その他の多官能不飽和モノマー:ビス(メ
タ)アクリルアミド類、たとえばN,N’−メチレン−
ビス(メタ)アクリルアミド;ジビニルケトン、ジビニ
ルサルファイド等。
【0051】(B)のうち好ましいのは、得られるIF
RPの吸水強度の観点から、HLB値が10以下、さら
に8以下、とくに2以上6以下のものである。本発明に
おいて、HLB値は、小田法によって算出される値であ
る(「新界面活性剤入門」三洋化成工業株式会社発行1
97頁)。(B)のうち好ましいのは(B1)、(B
3)および(B4)、とくに(B13)、(B32)、
(B33)、(B41)および(B43)である。さら
にアルキル(メタ)アクリレート、St、α−メチルス
チレン、アクリロニトリル、アクリルアミドおよび酢酸
ビニル、とくにStおよびMMAが好ましい。
【0052】全単量体[(A1)および/または(A
2)、および、必要により(A3)および/または
(B)]中の(A1)および/または(A2)の含量
は、得られるIFRPの難燃性、耐熱性、機械的強度の
観点から、5%以上、さらに10%以上、とくに40%
以上が好ましい。更に高い難燃性を付与する[JIS
A1321による温度・時間面積(tdθ)が更に小さ
いIFRPを与える]点で、50%以上、さらに60%
以上、とくに80%以上が好ましい。(A1)と(A
2)のうちでは、より高度の難燃性を付与する点で、
(A1)単独使用および(A1)と(A2)との併用が
好ましく、(A1)を上記含量の範囲で用いるのが好ま
しい。
【0053】全単量体中の(B)の含量は、IFRPの
難燃性、耐熱性、機械的強度の観点から、95%以下、
さらに90%以下、とくに60%以下が好ましい。更に
高い難燃性を付与する点で、50%以下、さらに40%
以下、とくに20%以下が好ましい。IFRPの品質及
びコストの点から、1%以上、とくに10%以上が好ま
しい。(B)の一部として(B9)を使用する場合、
(B)中の(B9)の含有量は、得られるIFRPの品
質及びコストの点から、好ましくは80%以下である。
【0054】重合開始剤(C)には、パーオキサイド系
重合開始剤(C1)、アゾ系重合開始剤(C2)、(C
1)と還元剤とを併用してなるレドックス系重合開始剤
(C3)、更には(C1)〜(C3)の2種以上の併用
等が挙げられる。(C1)としては、(C11)油溶性
パーオキサイド系重合開始剤:アセチルシクロヘキシル
スルホニルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイ
ド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2
−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、2,4−
ジクロロベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオ
キシビバレート、3,5,5−トリメチルヘキサノニル
パーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノ
イルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステ
アロイルパーオキサイド、プロピオニトリルパーオキサ
イド、サクシニックアシッドパーオキサイド、アセチル
パーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘ
キサノエート、ベンゾイルパーオキサイド(以下BPO
と略記)、パラクロロベンゾイルパーオキサイド、t−
ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキ
シマレイックアシッド、t−ブチルパーオキシラウレー
ト、シクロヘキサノンパーオキサイド、t−ブチルパー
オキシイソプロピルカーボネート、2,5−ジメチル−
2,5−ジベンゾイルパーオキシヘキサン、t−ブチル
パーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエ
ート、ジイソブチルジパーオキシフタレート、メチルエ
チルケトンパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、
2,5−ジメチル−2,5−ジt−ブチルパーオキシヘ
キサン、t−ブチルクミルパーオキサイド、t−ブチル
ヒドロパーオキサイド、ジt−ブチルパーオキサイド、
ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイド、パラメ
ンタンヒドロパーオキサイド、ピナンヒドロパーオキサ
イド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロパ
ーオキサイド、クメンパーオキサイド等;および(C1
2)水溶性パーオキサイド系重合開始剤:過酸化水素、
過酢酸、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等を挙
げることができる。
【0055】(C2)としては、(C21)油溶性アゾ
系重合開始剤:2,2′−アゾビスイソブチロニトリル
(以下AIBNと略記)、1,1′−アゾビスシクロヘ
キサン1−カーボニトリル、2,2′−アゾビス−4−
メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2′
−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル等;およ
び(C22)水溶性アゾ系重合開始剤:アゾビスアミジ
ノプロパン塩、アゾビスシアノバレリックアシッド
(塩)等を挙げることができる。(C3)としては、第
1鉄塩、亜硫酸塩、ヒドロキシルアミン、ヒドラジンな
どの還元剤と、上記(C1)(BPOなど)との併用系
が挙げられる。(C)のうち、好ましいのは(C1)、
とくに(C11)である。(C11)のうちではt−ブ
チルパーオキシベンゾエート、メチルエチルケトンパー
オキサイド、および、とくにBPOが好ましい。(C)
の使用量は、全単量体100部当り、通常0.01〜5
部、好ましくは0.5〜2部である。
【0056】補強用無機質繊維(D)としては、従来の
IFRPにおける補強繊維と同様のものを用いることが
できる。(D)には、例えば、ガラス繊維、セラミック
繊維、カーボン繊維、ウィスカ等が含まれる。(D)
は、それらの質及び形態を、複合化の方法、IFRP形
成用組成物の成形法、IFRPの用途等に適合するよう
に、適宜選択して、それらのうちの1種を単独使用し、
又は2種以上を併用することができる。ガラス繊維のガ
ラス組成としては、Aガラス、Dガラス、Eガラス、E
CRガラス、Sガラス、ARガラス等を例示することが
できる。また、セラミック繊維としては、アルミナ繊
維、珪素−アルミナ繊維、窒化珪素繊維等;ウィスカと
してはホウ酸アルミニウム等を例示することができる。
(D)は、短繊維及び長繊維(連続繊維をも含む)のい
ずれの形態でも使用することができ、マット、織布、不
織布、ペーパー等の形態に加工した無機質繊維も含め
て、各種の形態の無機質繊維を用いることができる。
【0057】(D)としては、コストが安く汎用されて
いる点から、ガラス繊維が好ましい。ガラス繊維は、ミ
ルドファイバーやチョップドストランドのような短繊
維、ヤーンやローピングのような連続繊維、マット、織
布、不織布等に加工した形態のものを使用することがで
きる。ガラス繊維としては、平均径が1〜20μmであ
るガラスモノフィラメントの200〜2000本を集束
させたものを用いることができる。中でもガラスフィラ
メントの平均径が6〜17μmであるもの、集束本数が
400〜1200本であるものが特に好ましい。
【0058】また、単量体[(A1)および/または
(A2)、および、必要により(A3)および/または
(B)]が重合してなる難燃性樹脂とガラス繊維との接
着性を向上させ、得られるIFRPの機械的強度を高め
るために、ガラス繊維には集束剤が付与されていること
が好ましい。集束剤としては、従来のIFRP用ガラス
繊維に付与されている集束剤と同様のものを使用するこ
とができる。例えば、カップリング剤(シラン系カップ
リング剤、チタン系カップリング剤など)、フィルム形
成剤(ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂な
ど)、潤滑剤、帯電防止剤等の成分を、得られる難燃性
樹脂の質やガラス繊維との複合方法等に適合するよう
に、適宜選択して配合したものを用いることができる。
集束剤は、難燃性樹脂との接着性向上および経済性の点
から、集束剤を付与されたガラス繊維の重量を基準にし
て固形分として0.1〜2%、とくに0.5〜1.5%
を付与することが好ましい。
【0059】本発明のIFRP形成用組成物において、
(D)の含有量は、全単量体と(C)と(D)との合計
重量に基づいて、通常1〜70%、好ましくは5〜50
%である。(D)の含有量が1%未満であると、IFR
Pの機械的強度や寸法安定性が不十分となり、また成形
時に変形する場合がある。一方、(D)の含有量が70
%を超えると、(D)に対するマトリックスの相対量が
小さくなりIFRPの機械的強度が不十分となる。
【0060】本発明のIFRP形成用組成物には、必要
によりさらに、(D)以外の無機物(E)を含有させる
ことができる。(E)としては、従来の樹脂、IFRP
においてフィラーとして用いられているものが使用でき
る。(E)には、金属、金属化合物及び非金属無機充填
材が含まれ、これらの1種または2種以上を用いること
ができる。金属としては、IIIa族[13族]金属たと
えばアルミニウム、IVa族[14族]金属たとえばスズ
等の典型金属;並びにIb族[11族]金属たとえば
銅、IIb族[12族]金属たとえば亜鉛、およびVIII族
[8、9、10族]金属たとえば鉄、ニッケル等の遷移
金属が挙げられる。これらは、金属粉であっても金属ウ
ィスカーであってもよい。
【0061】金属水酸化物および金属酸化物としては、
IIa族[2族]金属(アルカリ土類:マグネシウム、カ
ルシウム、バリウムなど)、IIIa族[13族]金属
(アルミニウム、ガリウムなど)、IVa族[14族]金
属(ゲルマニウム、スズなど)、Ib族[11族]金属
(銅など)、IIb族[12族]金属(亜鉛など)、IVb
族[4族]金属(チタン、ジルコニウムなど)およびVI
II族[8、9、10族]金属(鉄、コバルト、ニッケル
など)からなる群から選ばれる金属の水酸化物および酸
化物が使用できる。具体例としては水酸化アルミニウ
ム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、酸化アル
ミニウムが挙げられる。
【0062】金属塩には、上記金属およびアルカリ金属
(ナトリウム、カリウム、セシウムなど)からなる群か
ら選ばれる金属の、炭酸塩、硫酸塩、酢酸塩、硼酸塩、
リン酸塩、硝酸塩、珪酸塩などが含まれる。具体例とし
ては珪酸アルミニウム、硼酸アルミニウム、硫酸アルミ
ニウムが挙げられる。これらの複合物としては、金属含
有シリケート類、例えばクレー、ベントナイト、雲母、
アスベスト、タルク、疎水性珪酸アルミニウム等が挙げ
られる。非金属無機充填材としては、例えばカーボンブ
ラック、シリカ、ガラス粉、ガラスフレーク、ガラスビ
ーズ等が挙げられる。(E)のうち、難燃性の観点から
好ましいのは、金属酸化物及び金属水酸化物、特に水酸
化アルミニウム及び水酸化マグネシウムである。(E)
の含有量はとくに限定されないが、全単量体100部当
り、500部以下、とくに300部以下が好ましい。経
済性の点から、10部以上、とくに50部以上が好まし
い。
【0063】本発明のIFRP形成用組成物には、必要
によりさらに他の添加剤(F)を含有させることができ
る。(F)としては、従来の樹脂添加剤と同様の各種の
添加剤が使用できる。例えば無機および有機の顔料、染
料などの着色剤;PEG(分子量106〜100,00
0)、セルロース、デンプンなどのポリマー;含リン難
燃剤(トリスクロロエチルフォスフェート、トリスクロ
ロプロピルフォスフェート等)などの難燃剤;油脂、
油、キレート、界面活性剤;耐候安定剤(たとえば紫外
線吸収剤)、酸化防止剤(たとえばヒンダードフェノー
ル、ヒンダードアミン)などの安定化剤等が挙げられ
る。(F)の量は特に限定されず、その種類および添加
目的に応じて適宜採択されるが、得られるIFRPの品
質から、全単量体の重量に基づいて50%以下、とくに
20%以下が好ましい。
【0064】本発明のIFRP形成用組成物の製造方
法、各成分の添加の方法および順序等はとくに限定され
ず、各成分を1段階または2段階以上で混合することが
できるが、予め上記各単量体と(C)を含有する硬化性
混合物を形成しておいて(D)と複合するのが好まし
い。その際に、(E)および(F)は(D)と複合する
際に加えてもよいが、硬化性混合物中に含有させておく
のが好ましい。上記硬化性混合物は、単量体と(C)お
よび必要により(E)とを常法に従って混合することに
よって得ることができる。
【0065】IFRP形成用組成物は、上記硬化性混合
物と(D)とを複合することにより製造することができ
る。「複合する」とは、上記硬化性混合物と(D)とを
一体にすることをいう。複合させる具体的態様として
は、例えば上記硬化性混合物と所定長さに切断された
(D)(チョップドストランド)とを混合すること、連
続した(D)、あるいは織布状若しくはマット状に加工
された(D)に上記硬化性混合物を含浸させること、及
び、連続した(D)又は織布状若しくはマット状に加工
された(D)の表面を上記硬化性混合物で被覆すること
等を挙げることができる。
【0066】本発明のIFRP複合体は、IFRP形成
用組成物を後述の方法によって所望の形状に成形し、さ
らにこの組成物の中の単量体[(A1)および/または
(A2)、および、必要により(A3)および/または
(B)]を重合させて硬化させることによって、製造す
ることができる。上記単量体が重合してなる難燃性樹脂
は、本発明のIFRP複合体のマトリックスとして機能
する。(E)は、単量体が重合してなる難燃性樹脂中に
分散状態で存在する。
【0067】硬化性混合物と(D)とを複合させる方法
やIFRPを製造するための成形法については、従来の
IFRP(FRP)に適用されている方法と同様の方法
を採用することができる。例えば以下の方法が挙げら
れ、IFRPの形状、大きさ、用途に応じて選択し採用
することができる。 (i)硬化性混合物と(D)とを複合させた後、所望の
形状に成形する方法:硬化性混合物と所望の長さに切断
した(D)とを複合させたシートモールディングコンパ
ウンド(SMC)またはバルクモールディングコンパウ
ンド(BMC)とするか、あるいは硬化性混合物を織布
又は不織布の形態に加工された(D)に含浸させた後、
樹脂を半硬化状態としたプリプレグシートとする。次い
で、これらのSMC、BMCまたはプリプレグシート
を、金型を用いて所望の形状に加熱しつつプレス成形す
る。
【0068】(ii)硬化性混合物と(D)との複合、
及び所望の形状への成形を同時に行う方法:(D)のロ
ービング、或いはマット、織布、不織布、ペーパー又は
所望の形状のプリフォームマット等の形態に加工された
(D)を成形法により選択して用いて、従来の繊維強化
樹脂の成形法と同様のハンドレイアップ成形法、スプレ
ーアップ法、引き抜き成形法、フィラメントワインディ
ング成形法、シートワインディング法、トランスファー
成形法、又は射出成形法等の成形法によって、硬化性混
合物と(D)との複合、及び所望の形状への成形を行
う。硬化の際の加熱温度は通常80〜150℃、加熱時
間は通常5〜30分である。本発明のIFRP複合体は
上記の成形法によって、例えば板、シート、フィルム、
棒、筒、又はこれら以外の所望の形状の成形品とするこ
とができる。
【0069】本発明のIFRP複合体の密度は用途等に
応じて任意に設定できる。IFRPの強度から、1.0
〜3.0g/cm、さらに1.0〜2.5g/c
、とくに1.0〜2.2g/cmが好ましい。本
発明のIFRP複合体は、上述の難燃性樹脂と(D)と
を組み合わせることにより、JIS規格A−1321に
おいて、難燃1級又は2級の難燃性能を有するものとす
ることができる。
【0070】本発明のIFRP複合体においては、塗
装、コーティング又は表皮剤の貼着等の表面加工、或い
は他の材料との積層加工を、用途に応じて適宜施すこと
もできる。本発明のIFRP複合体は、構造材料(鉄骨
芯材等)、建築材料(建築物の内外装材等)、保護材
(パッキングの緩衝材等)、電気・電子材料(プリント
配線基板、電気絶縁材料等)をはじめ、従来の繊維強化
樹脂と同様の用途に用いることができ、特に高い難燃性
や耐熱性を要求される用途において有用性を発揮するこ
とができる。
【0071】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに説明する
が、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0072】製造例1−1 HEA224gとオキシ塩化リン153.3gとピリジ
ン0.4gを1L4ツ口コルベンに仕込み、遊離する塩
酸を捕捉しながら110℃で6時間反応させた。その
後、反応生成物を炭酸水素ナトリウム水溶液で水洗し、
油層と水層に分離した後、油層を取り出しリン酸ジエス
テル(A0−1)[ジエステル82%とトリエステル1
8%からなる(液体クロマトグラフィーによる;以下同
様)]326gを得た。(A0−1)326gとアルミ
ニウムイソプロポキシド[商品名:AIPD、川研ファ
インケミカル(株)製、以下同じ]204.2gとハイ
ドロキノン(以下HQと略記)0.06gを1L4ツ口
コルベンに仕込み、空気を1ml/分液中に吹き込みな
がら80℃に加熱した。80℃に到達した時点でコルベ
ン内を減圧にして脱離したイソプロピルアルコール18
0gを除去して、単量体(A1−1)からなる淡黄色粘
稠液状の含金属エチレン性不飽和単量体[不飽和結合含
量5.8ミリ当量/g、M含量6.9%、P含量9.0
%(ヨウ素価測定、原子吸光法による;以下同様)]3
50.2gを得た。
【0073】製造例1−2 HEMA260gとオキシ塩化リン153.3gとピリ
ジン0.6gを1L4ツ口コルベンに仕込み、遊離する
塩酸を捕捉しながら110℃で6時間反応させた。その
後、反応生成物を炭酸水素ナトリウム水溶液で水洗し、
油層と水層に分離した後、油層を取り出しリン酸ジエス
テル(A0−2)(ジエステル85%とトリエステル1
8%からなる)354gを得た。(A0−2)354g
とチタンイソプロポキシド[和光純薬(株)製、以下同
じ]283.9gとHQ0.06gを1L4ツ口コルベ
ンに仕込み、空気を1ml/分液中に吹き込みながら8
0℃に加熱する。80℃に到達した時点でコルベン内を
減圧にして脱離したイソプロピルアルコール240gを
除去して、単量体(A1−2)からなる含金属エチレン
性不飽和単量体(不飽和結合含量5.0ミリ当量/g、
M含量11.1%、P含量8.0%)379.9gを得
た。
【0074】製造例1−3 アリルアルコール174gとオキシ塩化リン153.3
gとピリジン0.8gを1L4ツ口コルベンに仕込み、
遊離する塩酸を捕捉しながら100℃×10時間反応さ
せた。その後、反応生成物を炭酸水素ナトリウム水溶液
で水洗し、油層と水層に分離した後油層を取り出しリン
酸ジエステル(a3)(ジエステル83%とトリエステ
ル17%からなる)268gを得た。(a3)268g
とモノ−sec−ブトキシアルミニウムジイソプロポキ
シド[商品名:AMD、川研ファインケミカル(株)
製]218.2gを仕込み、空気を1ml/分液中に吹
き込みながら80℃に加熱する。80℃に到達した時点
からでコルベン内を減圧にして脱離したイソプロピルア
ルコール120gを除去して、単量体(A1−3)から
なる含金属エチレン性不飽和単量体(不飽和結合含量
9.7ミリ当量/g、M含量11.6%、P含量15.
6%)366.2gを得た。
【0075】製造例2−1 HEA448gとアルミニウムイソプロポキシド20
4.2gとHQ0.06gを1L4ツ口コルベンに仕込
み、空気を1ml/分液中に吹き込みながら80℃に加
熱する。80℃に到達した時点でコルベン内を減圧にし
て脱離したイソプロピルアルコール180gを除去し
て、単量体(A2−1)からなる含金属エチレン性不飽
和単量体(不飽和結合含量8.1ミリ当量/g、M含量
7.3%)472.2gを得た。
【0076】製造例2−2 HEMA480gとチタンイソプロピレート226.8
gとHQ0.06gを1L4ツ口コルベンに仕込み、空
気を1ml/分液中に吹き込みながら80℃に加熱す
る。80℃に到達した時点でコルベン内を減圧にして脱
離したイソプロピルアルコール180gを除去して、単
量体(A2−2)からなる含金属エチレン性不飽和単量
体(不飽和結合含量7.1ミリ当量/g、M含量8.5
%)526.8gを得た。
【0077】実施例1〜13および比較例1 表6に示す処方[部(固形分または濃度を100%に換
算)]に従って、各単量体または不飽和ポリエステル樹
脂と重合開始剤および必要により無機物を混合して、硬
化性混合物を得た。次に、この硬化性混合物と、表6に
示す量(部)のチョップドストランド(D−1)(Eガ
ラス繊維、長さ50mm、フィラメント平均径13μ
m)またはコンティニュアスストランドマット(D−
2)(Eガラス繊維、単位面積重量450g/m)と
を複合させて、表1に示す(D)含量(%)を有するI
FRP形成用組成物を得た。続いて、この組成物を平板
状に成形した後、80℃で10分間加熱して単量体を重
合させて硬化させ、平板状のIFRPを得た。得られた
IFRPの品質を後述の方法によって評価した。その結
果を表6に示す。
【0078】
【表6】
【0079】評価方法 曲げ破壊強さ(kgf/mm)および曲げ弾性率(k
gf/mm):JISK7055に準拠(常態および
24時間水中浸漬後に測定)。 吸水率(%):JIS K7209に準拠。 吸水寸法変化率(%):JIS K7114に準拠。 難燃性:JIS A1321に準拠し、難燃1級または
難燃2級の合否を判定、tdθ(温度・時間面積)(℃
分)を測定。 熱変形温度(℃):JIS K7207のA法(曲げ応
力18.5kgf/cm )に準拠。
【0080】
【発明の効果】本発明のIFRP形成用組成物から得ら
れるIFRPは、機械的強度や耐熱性が高く、かつ吸水
時強度が高い。また乾燥工程が不要でありエネルギーコ
ストが低い。また通常FRP生産に使用される生産設備
が使用できるため、設備投資が必要ない。従って本発明
の組成物は生産コストが安価であり、構造材料、建築材
料、保護材、電気・電子材料(プリント配線基板、電気
絶縁材料等)等として有用である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08F 20/28 C08F 20/28 30/02 30/02 32/00 32/00 C08K 3/20 C08K 3/20 C08L 57/00 C08L 57/00 (72)発明者 尾上 清太朗 東京都千代田区神田鍛冶町3丁目6番地3 旭ファイバーグラス株式会社内 (72)発明者 正木 由香 東京都千代田区神田鍛冶町3丁目6番地3 旭ファイバーグラス株式会社内 (72)発明者 西口 英夫 京都市東山区一橋野本町11番地の1 三洋 化成工業株式会社内 (72)発明者 田中 敬次 京都市東山区一橋野本町11番地の1 三洋 化成工業株式会社内 (72)発明者 古田 剛志 京都市東山区一橋野本町11番地の1 三洋 化成工業株式会社内 Fターム(参考) 4F072 AA02 AA03 AA08 AB08 AB09 AB10 AD38 AD52 AE07 AF02 4J002 BC101 BE041 BG011 BG071 BG121 BQ001 DA017 DE078 DE147 DE148 DK007 DL007 EK006 EQ016 FA057 FD018 FD047 FD138 FD146 FD156 4J100 AA02Q AB02Q AC03Q AE02Q AE09P AK08P AK08Q AK13P AK13Q AK20P AK21Q AL02Q AL08P AL08Q AM15Q BA03 BA08 CA01 CA03

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エチレン性不飽和基含有アルコール
    (a)のリン酸エステル(A0)の多価金属塩(A1)
    および/または下記一般式(1)で示される含多価金属
    エチレン性不飽和単量体(A2)からなる単量体単独も
    しくは混合物、又は、(A1)および/または(A2)
    と他の含多価金属エチレン性不飽和単量体(A3)およ
    び/または多価金属不含不飽和単量体(B)とからなる
    単量体混合物、重合開始剤(C)、並びに補強用無機質
    繊維(D)からなり、(C)を全単量体100重量部当
    り0.01〜5重量部の量比で含有し、(D)を全単量
    体と(C)と(D)との合計重量に基づいて1〜70重
    量%含有することを特徴とする、無機質繊維補強難燃性
    樹脂形成用組成物。 [HC=C(R)−X−]M (1) [式中、xは2〜4の整数、Mはx価の多価金属、R
    は水素原子又はメチル基、Xは式−(CO)O−(A
    −O)−(CO−A′−COO)−で示される基、
    rは0または1、nは1〜8の整数、Aは炭素数2〜4
    のアルキレン基、A′は炭素数2〜4のアルキレン基又
    は炭素数2〜8のアルケニレン基、tは0または1を示
    し;x個のXおよびRはそれぞれ同一でも異なってい
    てもよく、nが2以上の場合にn個のAは同一でも異な
    っていてもよく、(A−O)が2種以上の(A−O)
    からなるときはランダムに分布していてもブロック状で
    もよい。]
  2. 【請求項2】 (A1)および/または(A2)と(A
    3)および/または(B)とからなる単量体混合物およ
    び(C)を含有する硬化性混合物と(D)とを複合して
    なることを特徴とする、請求項1記載の組成物。
  3. 【請求項3】 (a)が下記一般式(2)で示される、
    請求項1または2記載の組成物。 R(CO)O(A−O)H (2) [式中、Rは炭素数2〜8のアルケニル基又はフェニル
    置換アルケニル基、Aは炭素数2〜4のアルキレン基、
    rは0または1、nは0または1以上の整数を表わ
    す。]
  4. 【請求項4】 Rがビニル基、イソプロペニル基または
    アリル基である、請求項3記載の組成物。
  5. 【請求項5】 (A1)が下記一般式(3)で示され
    る、請求項1〜4の何れか記載の組成物。 【化1】 [式中、xは2〜4の整数、yはxより大きくない正の
    整数、Mはx価の多価金属、Rは炭素数1〜8のアル
    キル基または炭素数2〜8のアルケニル基、R
    (a)の残基、Rは水素原子または(a)もしくは飽
    和アルコールの残基を表わす。]
  6. 【請求項6】 (A3)が、(A2)以外の不飽和アル
    コールの多価金属アルコキシド、(A2)以外のカルボ
    キシル基含有不飽和モノマーの多価金属塩およびスルホ
    基含有不飽和モノマーの多価金属塩からなる群から選ば
    れる少なくとも1種である、請求項1〜5の何れか記載
    の組成物。
  7. 【請求項7】 多価金属が、IIa族、IIIa族、IVa
    族、Ib族、IIb族、IVb族またはVIII族金属である、
    請求項1〜6の何れか記載の組成物。
  8. 【請求項8】 (A1)および/または(A2)および
    /または(A3)の金属含量が1重量%以上である、請
    求項1〜7の何れか記載の組成物。
  9. 【請求項9】 (B)が、不飽和炭化水素モノマー、ヒ
    ドロキシル基および/またはエーテル結合含有不飽和モ
    ノマー、含窒素不飽和モノマー、エステル結合含有不飽
    和モノマー、ハロゲン含有不飽和モノマー、ケトン結合
    含有不飽和モノマー、イオウ含有不飽和モノマー、イソ
    シアネート基含有不飽和モノマーおよび多官能不飽和モ
    ノマーからなる群から選ばれる1種または2種以上であ
    る、請求項1〜8の何れか記載の組成物。
  10. 【請求項10】 (B)が10以下のHLB値を有す
    る、請求項1〜9の何れか記載の組成物。
  11. 【請求項11】 (A1)および/または(A2)を全
    単量体の重量に基づいて5重量%以上含有する、請求項
    1〜10の何れか記載の組成物。
  12. 【請求項12】 (B)を全単量体の重量に基づいて1
    〜95重量%含有する、請求項1〜11の何れか記載の
    組成物。
  13. 【請求項13】 さらに、(D)以外の無機物(E)を
    全単量体100重量部当り10〜500重量部の量比で
    含有する、請求項1〜12の何れか記載の組成物。
  14. 【請求項14】 (E)が金属酸化物および金属水酸化
    物からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求
    項13記載の組成物。
  15. 【請求項15】 金属水酸化物が水酸化アルミニウムお
    よび/または水酸化マグネシウムからなる、請求項14
    記載の組成物。
  16. 【請求項16】 請求項1〜15の何れか記載の組成物
    を単量体の重合により硬化させてなることを特徴とす
    る、無機質繊維補強難燃性樹脂複合体。
  17. 【請求項17】 密度が1.0〜3.0g/cmであ
    る請求項16記載の複合体。
  18. 【請求項18】 JIS規格A−1321に規定された
    試験において難燃1級もしくは難燃2級の難燃性能を有
    する請求項16または17記載の複合体。
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