JP2002046283A - インクジェット式記録ヘッドの製造方法 - Google Patents

インクジェット式記録ヘッドの製造方法

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JP2002046283A
JP2002046283A JP2000234050A JP2000234050A JP2002046283A JP 2002046283 A JP2002046283 A JP 2002046283A JP 2000234050 A JP2000234050 A JP 2000234050A JP 2000234050 A JP2000234050 A JP 2000234050A JP 2002046283 A JP2002046283 A JP 2002046283A
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pressure generating
layer
ink
piezoelectric
generating chamber
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JP2000234050A
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English (en)
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Hiroyuki Kamei
宏行 亀井
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Seiko Epson Corp
Original Assignee
Seiko Epson Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高密度且つ各圧力発生室間のクロストークを
低減したインクジェット式記録ヘッドの製造方法を提供
する。 【解決手段】 流路形成基板に圧力発生室12を形成す
ると共に、前記流路形成基板12の一方面側に振動板5
0を介して成膜及びリソグラフィ法により形成された薄
膜からなる下電極60、圧電体層70及び上電極80か
らなる圧電素子300を形成するインクジェット式記録
ヘッドの製造方法において、前記流路形成基板10の一
方面に、その厚さ方向に貫通しない前記圧力発生室12
を形成する工程と、前記圧電体層70の仮焼成温度より
高く且つ前記圧電体層70の結晶化温度よりも低い融点
を有する材料からなる犠牲層90を前記圧力発生室12
に充填する工程と、前記流路形成基板10上に前記振動
板50を形成すると共に前記圧力発生室12に対向する
領域に前記圧電素子300を形成する工程と、前記圧力
発生室12に充填した前記犠牲層90を除去する工程と
により容易に圧力発生室を形成することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インク滴を吐出す
るノズル開口と連通する圧力発生室の一部に振動板を介
して圧電素子を形成して、圧電素子の変位によりインク
滴を吐出させるインクジェット式記録ヘッドの製造方法
に関する。
【0002】
【従来技術】インク滴を吐出するノズル開口と連通する
圧力発生室の一部を振動板で構成し、この振動板を圧電
素子により変形させて圧力発生室のインクを加圧してノ
ズル開口からインク滴を吐出させるインクジェット式記
録ヘッドには、圧電素子が軸方向に伸長、収縮する縦振
動モードの圧電アクチュエータを使用したものと、たわ
み振動モードの圧電アクチュエータを使用したものの2
種類が実用化されている。
【0003】前者は圧電素子の端面を振動板に当接させ
ることにより圧力発生室の容積を変化させることができ
て、高密度印刷に適したヘッドの製作が可能である反
面、圧電素子をノズル開口の配列ピッチに一致させて櫛
歯状に切り分けるという困難な工程や、切り分けられた
圧電素子を圧力発生室に位置決めして固定する作業が必
要となり、製造工程が複雑であるという問題がある。
【0004】これに対して後者は、圧電材料のグリーン
シートを圧力発生室の形状に合わせて貼付し、これを焼
成するという比較的簡単な工程で振動板に圧電素子を作
り付けることができるものの、たわみ振動を利用する関
係上、ある程度の面積が必要となり、高密度配列が困難
であるという問題がある。
【0005】一方、後者の記録ヘッドの不都合を解消す
べく、特開平5−286131号公報に見られるよう
に、振動板の表面全体に亙って成膜技術により均一な圧
電材料層を形成し、この圧電材料層をリソグラフィ法に
より圧力発生室に対応する形状に切り分けて各圧力発生
室毎に独立するように圧電素子を形成したものが提案さ
れている。
【0006】これによれば圧電素子を振動板に貼付ける
作業が不要となって、リソグラフィ法という精密で、か
つ簡便な手法で圧電素子を作り付けることができるばか
りでなく、圧電素子の厚みを薄くできて高速駆動が可能
になるという利点がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うなインクジェット式記録ヘッドでは、圧力発生室を高
密度で配列した場合、各圧力発生室間の隔壁の厚さが薄
くなることによって隔壁の剛性が不足し、各圧力発生室
間のクロストークが発生する。
【0008】一方、縦振動モードの圧電アクチュエータ
では、圧力発生室の振動板側に幅広部を設け、それ以外
の部分の圧力発生室の幅を低くして隔壁の厚さを大きく
する構造が考えられているが、この場合には、圧力発生
室の幅広部の加工や貼り合わせ等の作業が必要で作業性
及び精度が低いという問題がある。
【0009】本発明はこのような事情に鑑み、高密度且
つ各圧力発生室間のクロストークを低減したインクジェ
ット式記録ヘッドの製造方法を提供することを課題とす
る。
【0010】
【発明が解決するための手段】上記課題を解決する本発
明の第1の態様は、流路形成基板に圧力発生室を形成す
ると共に、前記流路形成基板の一方面側に振動板を介し
て成膜及びリソグラフィ法により形成された薄膜からな
る下電極、圧電体層及び上電極からなる圧電素子を形成
するインクジェット式記録ヘッドの製造方法において、
前記流路形成基板の一方面に、その厚さ方向に貫通しな
い前記圧力発生室を形成する工程と、前記圧電体層の仮
焼成温度より高く且つ前記圧電体層の結晶化温度よりも
低い融点を有する材料からなる犠牲層を前記圧力発生室
に充填する工程と、前記流路形成層上に前記振動板を形
成すると共に前記圧力発生室に対向する領域に前記圧電
素子を形成する工程と、前記圧力発生室に充填した前記
犠牲層を除去する工程とを有することを特徴とするイン
クジェット式記録ヘッドの製造方法にある。
【0011】かかる第1の態様では、犠牲層を加熱溶融
することによって容易に圧力発生室に犠牲層を充填する
ことができ、犠牲層の充填にかかる時間を短縮すること
ができると共に圧力発生室に対向する領域に薄膜プロセ
スで圧電素子を容易に形成することができる。。
【0012】本発明の第2の態様は、第1の態様におい
て、前記圧電体層がPZTからなり、前記犠牲層が、6
00℃から700℃の融点の金属からなることを特徴と
するインクジェット式記録ヘッドの製造方法にある。
【0013】かかる第2の態様では、PZTの仮焼成温
度より高く且つ結晶化温度より低い融点の金属からなる
犠牲層を用いることにより、PZTを仮焼成する際の犠
牲層の溶融を防ぐことができる。
【0014】本発明の第3の態様は、第2の態様におい
て、前記金属がアルミニウム、アンチモン又はマグネシ
ウムからなる群から選択されることを特徴とするインク
ジェット式記録ヘッドの製造方法にある。
【0015】かかる第3の態様では、犠牲層に所定の材
料を使用することにより容易に且つ確実に充填及び除去
を行うことができる。
【0016】本発明の第4の態様は、第1〜3の何れか
の態様において、前記圧力発生室に前記犠牲層を充填す
る工程では、加熱溶融した材料を充填することにより行
われることを特徴とするインクジェット式記録ヘッドの
製造方法にある。
【0017】かかる第4の態様では、犠牲層を加熱溶融
することによって容易に圧力発生室に犠牲層を充填する
ことができ、犠牲層の充填にかかる時間を短縮すること
ができる。
【0018】本発明の第5の態様は、第1〜4の何れか
の態様において、前記犠牲層を除去する工程では、前記
流路形成基板の他方面と前記圧力発生室とを連通するイ
ンク流路を形成し、前記犠牲層を加熱溶融して前記イン
ク流路を介して除去することを特徴とするインクジェッ
ト式記録ヘッドの製造方法にある。
【0019】かかる第5の態様では、インク流路より容
易に且つ確実に犠牲層を除去することができる。
【0020】本発明の第6の態様は、第5の態様におい
て、前記圧電素子を形成する工程では、前記圧電体層を
仮焼成し、前記犠牲層を加熱溶融して除去する工程で
は、前記圧電体層の結晶化を行うことを特徴とするイン
クジェット式記録ヘッドの製造方法にある。
【0021】かかる第6の態様では、圧電体層の仮焼成
を行って圧電素子を形成することによって、圧電体層の
結晶化による犠牲層の溶融を防ぎ、犠牲層の溶融による
弾性膜及び下電極膜等への悪影響を防止することができ
ると共に後の工程で犠牲層の除去と圧電体層の結晶化と
を同時に行うことによって、製造工程を簡略化すること
ができる。
【0022】
【発明の実施の形態】(実施形態1)図1は、本発明の
実施形態1に係るインクジェット式記録ヘッドを示す分
解斜視図であり、図2は、インクジェット式記録ヘッド
の1つの圧力発生室の長手方向における断面構造を示す
図である。
【0023】図示するように、流路形成基板10は、本
実施形態では面方位(110)のシリコン単結晶板から
なる。
【0024】流路形成基板10は、シリコン単結晶基板
からなり、その一方の面には異方性エッチングすること
により複数の隔壁により区画された圧力発生室12が形
成されている。
【0025】また、各圧力発生室12の長手方向両端部
の底部には、インクの流路となるインク連通路13,1
4が開口している。このインク連通路13,14は、圧
力発生室12の幅より小さい径で他方面側まで貫通して
設けられており、他方面側から異方性エッチングするこ
とにより形成されている。
【0026】流路形成基板10のインク連通路13,1
4が開口する面には、各インク連通路13に連通するノ
ズル開口21と、各インク連通路14に連通するインク
供給連通口22とが穿設されたノズルプレート20が接
着剤や熱溶着フィルムを介して接着されている。なお、
ノズルプレート20は、厚さが例えば、0.1〜1mm
で、線膨張係数が300℃以下で、例えば2.5〜4.
5[×10-6/℃]であるガラスセラミックスからな
る。ノズルプレート20は、一方の面で流路形成基板1
0を覆い、シリコン単結晶基板である流路形成基板10
を衝撃や外力から保護する補強板の役目も果たしてい
る。
【0027】ここで、インク滴吐出圧力をインクに与え
る圧力発生室12の大きさと、インク滴を吐出するノズ
ル開口21の大きさとは、吐出するインク滴の量、吐出
スピード、吐出周波数に応じて最適化される。例えば、
1インチ当たり360個のインク滴を記録する場合、ノ
ズル開口21は数十μmの直径で精度よく形成する必要
がある。
【0028】また、各圧力発生室12と後述する共通イ
ンク室31とは、ノズルプレート20に形成されたイン
ク供給連通口22を介して連通されており、インクはこ
のインク供給連通口22を介して共通インク室31から
供給され、各圧力発生室12に分配される。
【0029】また、共通インク室31に供給されるイン
クは、ノズルプレート20の共通インク室31に対向す
る領域に形成されたインク導入口23により供給され
る。
【0030】共通インク室形成基板30は、共通インク
室31の周壁を形成するものであり、ノズル開口数、イ
ンク滴吐出周波数に応じた適正な厚みのステンレス板を
打ち抜いて作製されたものである。本実施形態では、共
通インク室形成基板30の厚さは、0.2mmとしてい
る。
【0031】インク室側板40は、ステンレス基板から
なり、一方の面で共通インク室31の一壁面を構成する
ものである。また、インク室側板40には、他方の面の
一部にハーフエッチングにより凹部40aを形成するこ
とにより薄肉壁41が形成されている。なお、薄肉壁4
1は、インク滴吐出の際に発生するノズル開口21と反
対側へ向かう圧力を吸収するためのもので、他の圧力発
生室12に、共通インク室31を経由して不要な正又は
負の圧力が加わるのを防止する。本実施形態では、イン
ク導入口23と外部のインク供給手段との接続時等に必
要な剛性を考慮して、インク室側板40を0.2mmと
し、その一部を厚さ0.02mmの薄肉壁41としてい
るが、ハーフエッチングによる薄肉壁41の形成を省略
するために、インク室側板40の厚さを初めから0.0
2mmとしてもよい。
【0032】一方、圧力発生室12が形成された流路形
成基板10上には、例えば、酸化ジルコニウム(ZrO
2)等の絶縁層からなる、厚さ1〜2μmの弾性膜50
が設けられている。この弾性膜50は、一方の面で圧力
発生室12の一壁面を構成している。
【0033】このような弾性膜50の上の各圧力発生室
12に相対向する領域には、厚さが例えば、約0.5μ
mの下電極膜60と、厚さが例えば、約1μmの圧電体
層70と、厚さが例えば、約0.1μmの上電極膜80
とが、後述するプロセスで積層形成されて、圧電素子3
00を構成している。ここで、圧電素子300は、下電
極膜60、圧電体層70及び上電極膜80を含む部分を
いう。一般的には、圧電素子300の何れか一方の電極
を共通電極とし、他方の電極及び圧電体層70を各圧力
発生室12毎にパターニングして構成する。そして、こ
こではパターニングされた何れか一方の電極及び圧電体
層70から構成され、両電極への電圧の印加により圧電
歪みが生じる部分を圧電体能動部320という。本実施
形態では、下電極膜60は圧電素子300の共通電極と
し、上電極膜80を圧電素子300の個別電極としてい
るが、駆動回路や配線の都合でこれを逆にしても支障は
ない。何れの場合においても、各圧力発生室毎に圧電体
能動部320が形成されていることになる。また、ここ
では、圧電素子300と当該圧電素子300の駆動によ
り変位が生じる弾性膜とを合わせて圧電アクチュエータ
と称する。なお、本実施形態では、下電極膜60と弾性
膜50とが振動板として作用するが、下電極膜が弾性膜
を兼ねるようにしてもよい。
【0034】ここで、シリコン単結晶基板からなる流路
形成基板10に圧力発生室12を形成する工程及び、こ
の圧力発生室に対応する領域に圧電素子300を形成す
るプロセスを図3〜図5を参照しながら説明する。な
お、図3,図4は、圧力発生室12の幅方向の断面図、
図5は、圧力発生室12の長手方向の断面図である。
【0035】まず、図3(a)に示すように、流路形成
基板10となるシリコン単結晶板上に、例えば、酸化シ
リコンからなる所定形状のマスクを用いて異方性エッチ
ングすることにより圧力発生室12を形成する。
【0036】この異方性エッチングは、ウエットエッチ
ング又はドライエッチングの何れの方法を用いてもよ
く、シリコン単結晶基板を厚さ方向に途中までエッチン
グ(ハーフエッチング)することにより圧力発生室12
は浅く形成されている。なお、ハーフエッチングはエッ
チング時間の調整により行われる。
【0037】次に、図3(b)に示すように、流路形成
基板10に形成された圧力発生室12に犠牲層90を埋
め込む。例えば、本実施形態では、金属を加熱溶融して
流路形成基板10の圧力発生室12に充填した後、固体
化した金属の圧力発生室12以外の部分90Aを除去し
て流路形成基板10の表面を平坦化して犠牲層90とす
る。
【0038】このような犠牲層90の材料は、融点が圧
電体層70の仮焼成温度より高く且つ圧電体層70の結
晶化温度より低い材料なら特に限定されない。
【0039】なお、詳しくは後述するが、圧電体層70
の材料は、本実施形態では、例えば、チタン酸ジルコン
酸鉛(PZT)が使用される。また、本実施形態では、
このチタン酸ジルコン酸鉛からなる圧電体層70を60
0℃で仮焼成温度し、700℃で結晶化する。このた
め、犠牲層90の材料としては、融点が600℃より高
く且つ700℃より小さい材料、例えば、アルミニウ
ム、アンチモン及びマグネシウム等の金属が好ましく、
本実施形態では、融点が650℃のマグネシウムを用い
た。
【0040】次に、図3(c)に示すように、流路形成
基板10及び犠牲層90上に弾性膜50を形成する。例
えば、本実施形態では、流路形成基板10上にジルコニ
ウム層を形成後、本実施形態では、犠牲層90の融点6
50℃より低い温度、例えば、600℃の拡散炉で熱酸
化して酸化ジルコニウムからなる弾性膜50とした。
【0041】次に、図4(a)に示すように、スパッタ
リングで下電極膜60を形成する。この下電極膜60の
材料としては、白金等が好適である。これは、スパッタ
リング法やゾル−ゲル法で成膜する後述の圧電体層70
は、成膜後に大気雰囲気下又は酸素雰囲気下で600〜
1000℃程度の温度、本実施形態では、600℃で仮
焼成すると共に700℃で結晶化させるからである。す
なわち、下電極膜60の材料は、このような高温、酸化
雰囲気下で導電性を保持できなければならず、殊に、圧
電体層70としてチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)を用
いた場合には、酸化鉛の拡散による導電性の変化が少な
いことが望ましく、これらの理由から白金が好適であ
る。
【0042】次に、図4(b)に示すように、圧電体層
70を成膜すると共に仮焼成する。例えば、本実施形態
では、金属有機物を触媒に溶解・分散したいわゆるゾル
を塗布乾燥してゲル化し、さらに600℃で仮焼成する
ことで金属酸化物からなる圧電体層70を得る、いわゆ
るゾル−ゲル法を用いて形成した。圧電体層70の材料
としては、チタン酸ジルコン酸鉛系の材料がインクジェ
ット式記録ヘッドに使用する場合には好適である。
【0043】なお、従来の工程では、圧電体層70を成
膜し、600〜1000℃で焼成することで結晶化を行
うが、本工程では圧電体層70を400℃以上、本実施
形態では600℃で仮焼成している。これは、犠牲層9
0の融点、すなわち、マグネシウムの融点が650℃で
あるため、犠牲層90を溶融せずに、圧電体層70を形
成する必要があるからである。
【0044】また、この圧電体層70の成膜方法は、特
に限定されず、例えば、スパッタリング法又はMOD法
(有機金属熱塗布分解法)等のスピンコート法により成
膜してもよい。また、ゾル−ゲル法又はスパッタリング
法もしくはMOD法等によりチタン酸ジルコン酸鉛の前
駆体膜を形成後、アルカリ水溶液中での高圧処理法にて
低温で結晶化させる方法を用いてもよい。
【0045】何れにしても、このように成膜された圧電
体層70は、バルクの圧電体とは異なり結晶が優先配向
しており、且つ本実施形態では、圧電体層70は、結晶
が柱状に形成されている。なお、優先配向とは、結晶の
配向方向が無秩序ではなく、特定の結晶面がほぼ一定の
方向に向いている状態をいう。また、結晶が柱状の薄膜
とは、略円柱体の結晶が中心軸を厚さ方向に略一致させ
た状態で面方向に亘って集合して薄膜を形成している状
態をいう。勿論、優先配向した粒状の結晶で形成された
薄膜であってもよい。なお、このように薄膜工程で製造
された圧電体層の厚さは、一般的に0.2〜5μmであ
る。
【0046】次に、図4(c)に示すように、上電極膜
80を成膜する。上電極膜80は、導電性の高い材料で
あればよく、アルミニウム、金、ニッケル、白金等の多
くの金属や、導電性酸化物等を使用できる。本実施形態
では、白金をスパッタリングにより成膜している。
【0047】次いで、下電極膜60、圧電体層70及び
上電極膜80を一緒にエッチングして下電極膜60の全
体パターンをパターニングした後、図4(d)に示すよ
うに、圧電体層70及び上電極膜80のみをエッチング
して圧電体能動部320のパターニングを行う。
【0048】次に、図5(a)に示すように、少なくと
も圧電体層70を覆うように保護膜100を成膜する。
その後、他方面側から異方性エッチングすることにより
インク連通路13,14を形成する。インク連通路1
3,14を形成する際の異方性エッチングは、インク連
通路13,14を垂直な貫通孔とするためにドライエッ
チングによる形成が望ましい。このインク連通路13,
14は、保護膜100を成膜する前、すなわち図4
(d)の後に形成しても特に問題はない。
【0049】その後、図5(b)に示すように、インク
連通路13,14から犠牲層90を除去し、同時に圧電
体層70を結晶化する。そのため、本実施形態では、圧
電体層70の結晶化温度である700℃に加熱すること
により犠牲層90を溶融させて除去している。
【0050】なお、本実施形態では、犠牲層90の除去
と、圧電体層70の結晶化とを一工程で同時に行った
が、これに限定されず、例えば、犠牲層90を650〜
700℃に加熱してインク連通路13、14から除去し
た後、圧電体層70を700℃で焼成することにより結
晶化を行うようにしてもよい。また、圧電体層70を仮
焼成する工程で、圧電体層70の仮焼成を行わず、結晶
化を行うようにしてもよい。このように、圧力発生室1
2内に犠牲層90が充填された状態で、圧電体層70を
700℃で焼成して結晶化すると、犠牲層90が溶融し
てしまうが、このとき、流路形成基板10を水平に保つ
ことにより、犠牲層90の固体化する形状を保つことが
できると考えられる。
【0051】以上のような工程で、圧力発生室12及び
圧電素子300が形成される。
【0052】以上説明した一連の膜形成及び異方性エッ
チングでは、一枚のウェハ上に多数のチップを同時に形
成し、プロセス終了後、図1に示すような一つのチップ
サイズの流路形成基板10毎に分割する。又、分割した
流路形成基板10を、ノズルプレート20、共通インク
室形成基板30及びインク室側板40と順次接着して一
体化し、インクジェット式記録ヘッドとする。
【0053】このように構成したインクジェット式記録
ヘッドは、図示しない外部インク供給手段と接続したイ
ンク導入口23からインクを取り込み、共通インク室3
1からノズル開口21に至るまで内部をインクで満たし
た後、図示しない外部の駆動回路からの記録信号に従
い、下電極膜60と上電極膜80との間に電圧を印加
し、弾性膜50、下電極膜60及び圧電体層70をたわ
み変形させることにより、圧力発生室12内の圧力が高
まりノズル開口21からインク滴が吐出する。
【0054】以上説明したように、本実施形態では、圧
力発生室12を形成する際に犠牲層90を用いると共に
犠牲層90の材料に、圧電体層70の仮焼成温度より高
く、且つ圧電体層70の焼成温度より低い融点の材料を
用いるようにしたため、犠牲層90を加熱溶融するだけ
で、容易に圧力発生室12への充填及び除去ができる。
【0055】また、犠牲層としては、リンドープ酸化シ
リコン(PSG)、ポリシリコン等が考えられるが、こ
のような材料の犠牲層をスパッタリング等で圧力発生室
に充填するには、圧力発生室の深さが1〜2μmであれ
ば問題がないが、10μm以上の深さであると、このよ
うな材料では、時間がかかってしまい高コストとなって
しまう。そのため、本発明の犠牲層によれば、犠牲層を
加熱溶融することにより圧力発生室内への充填及び除去
ができるため、製造時間を短縮することができると共に
製造コストを低減することができる。
【0056】さらに、犠牲層90を圧力発生室12から
除去する際に、犠牲層90の加熱溶融と、圧電体層70
の結晶化とを同時に行えるため、製造工程を簡略化する
ことができる。
【0057】(実施形態2)上述した実施形態1では、
流路形成基板10の圧電素子300とは反対側にノズル
開口21を設けたが、実施形態2では、ノズル開口を流
路形成基板の圧電素子側に設けた例である。
【0058】図6は、実施形態2に係るインクジェット
式記録ヘッドの圧力発生室の長手方向の断面図である。
【0059】本実施形態の流路形成基板10の弾性膜5
0上には、ノズルプレート20Aが流路形成基板10の
略全面を覆うように接合されており、ノズルプレート2
0A上には、上述した実施形態1と同様に、共通インク
室31を形成する共通インク室形成基板30及びインク
室側板40が順次接合されている。
【0060】このノズルプレート20Aは、上述した実
施形態1と同様に、ノズル開口21A、インク供給連通
口22A、インク導入口23Aを有し、さらに、ノズル
プレート20Aの流路形成基板10との接合面には圧電
素子300の運動を阻害しない程度の空間を確保した状
態でその空間を密封可能な圧電素子保持部24を有して
いる。なお、ノズル開口21Aは、弾性膜50に設けら
れたノズル連通口51を介して圧力発生室12と連通し
ている。
【0061】また、弾性膜50には、ノズルプレート2
0Aのインク供給連通口22Aに対応して、共通インク
室31からのインクを圧力発生室12に供給するインク
供給孔52が設けられている。
【0062】このような構成のインクジェット式記録ヘ
ッドでは、製造時の圧力発生室内の犠牲層の除去を、ノ
ズル連通口51及びインク供給孔52から行うようにす
れば、上述した実施形態1と同様の形成方法で製造する
ことができる。
【0063】そのため、上述した実施形態1と同様の効
果を得ることができる。
【0064】(他の実施形態)以上、本発明の各実施形
態を説明したが、インクジェット式記録ヘッドの基本的
構成は上述したものに限定されるものではない。
【0065】例えば、上述の実施形態1では、圧電体層
70にPZT、犠牲層90にマグネシウムを用いたが、
圧電体層の材料に伴って犠牲層を圧電体層の仮焼成温度
より高く且つ圧電体層の焼成温度より低い融点の材料を
用いれば、これに限定されない。
【0066】このように、本発明の製造方法は、その趣
旨に反しない限り、種々の構造のインクジェット式記録
ヘッドに応用することができる。
【0067】また、これら各実施形態のインクジェット
式記録ヘッドは、インクカートリッジ等と連通するイン
ク流路を具備する記録ヘッドユニットの一部を構成し
て、インクジェット式記録装置に搭載される。図7は、
そのインクジェット式記録装置の一例を示す概略図であ
る。
【0068】図7に示すように、インクジェット式記録
ヘッドを有する記録ヘッドユニット1A及び1Bは、イ
ンク供給手段を構成するカートリッジ2A及び2Bが着
脱可能に設けられ、この記録ヘッドユニット1A及び1
Bを搭載したキャリッジ3は、装置本体4に取り付けら
れたキャリッジ軸5に軸方向移動自在に設けられてい
る。この記録ヘッドユニット1A及び1Bは、例えば、
それぞれブラックインク組成物及びカラーインク組成物
を吐出するものとしている。
【0069】そして、駆動モータ6の駆動力が図示しな
い複数の歯車およびタイミングベルト7を介してキャリ
ッジ3に伝達されることで、記録ヘッドユニット1A及
び1Bを搭載したキャリッジ3はキャリッジ軸5に沿っ
て移動される。一方、装置本体4にはキャリッジ軸5に
沿ってプラテン8が設けられており、図示しない給紙ロ
ーラなどにより給紙された紙等の記録媒体である記録シ
ートSがプラテン8に巻き掛けられて搬送されるように
なっている。
【0070】
【発明の効果】このように、本発明では、圧力発生室を
浅く形成すると共に製造時に使用される犠牲層に、圧電
体層の仮結晶温度より高くて且つ圧電体層の結晶化温度
より大きな融点の材料を使用することで、隔壁の剛性を
十分に確保して、クロストークを防止したインクジェッ
ト式記録ヘッドの製造工程を簡略化できると共に製造時
間を短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1に係るインクジェット式記
録ヘッドの分解斜視図である。
【図2】本発明の実施形態1に係るインクジェット式記
録ヘッドの圧力発生室の長手方向の断面図である。
【図3】本発明の実施形態1に係るインクジェット式記
録ヘッドの製造工程を示す断面図である。
【図4】本発明の実施形態1に係るインクジェット式記
録ヘッドの製造工程を示す断面図である。
【図5】本発明の実施形態1に係るインクジェット式記
録ヘッドの製造工程を示す断面図である。
【図6】本発明の実施形態2に係るインクジェット式記
録ヘッドの要部を示す断面図である。
【図7】本発明の一実施形態に係るインクジェット式記
録装置の概略図である。
【符号の説明】
10 流路形成基板 12 圧力発生室 13、14 インク連通路 20、20A ノズルプレート 21、21A ノズル開口 22、22A インク供給連通口 23、23A インク導入口 24 圧電素子保持部 30 共通インク室形成基板 40 インク室側板 50 弾性膜 51 ノズル連通口 52 インク供給孔 60 下電極膜 70 圧電体層 80 上電極膜 90 犠牲層 100 保護膜 300 圧電素子 320 圧電体能動部

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 流路形成基板に圧力発生室を形成すると
    共に、前記流路形成基板の一方面側に振動板を介して成
    膜及びリソグラフィ法により形成された薄膜からなる下
    電極、圧電体層及び上電極からなる圧電素子を形成する
    インクジェット式記録ヘッドの製造方法において、 前記流路形成基板の一方面に、その厚さ方向に貫通しな
    い前記圧力発生室を形成する工程と、前記圧電体層の仮
    焼成温度より高く且つ前記圧電体層の結晶化温度よりも
    低い融点を有する材料からなる犠牲層を前記圧力発生室
    に充填する工程と、前記流路形成基板上に前記振動板を
    形成すると共に前記圧力発生室に対向する領域に前記圧
    電素子を形成する工程と、前記圧力発生室に充填した前
    記犠牲層を除去する工程とを有することを特徴とするイ
    ンクジェット式記録ヘッドの製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1において、前記圧電体層がPZ
    Tからなり、前記犠牲層が、600℃から700℃の融
    点の金属からなることを特徴とするインクジェット式記
    録ヘッドの製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項2において、前記金属がアルミニ
    ウム、アンチモン又はマグネシウムからなる群から選択
    されることを特徴とするインクジェット式記録ヘッドの
    製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3の何れかにおいて、前記圧
    力発生室に前記犠牲層を充填する工程では、加熱溶融し
    た材料を充填することにより行われることを特徴とする
    インクジェット式記録ヘッドの製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4の何れかにおいて、前記犠
    牲層を除去する工程では、前記流路形成基板の他方面と
    前記圧力発生室とを連通するインク流路を形成し、前記
    犠牲層を加熱溶融して前記インク流路を介して除去する
    ことを特徴とするインクジェット式記録ヘッドの製造方
    法。
  6. 【請求項6】 請求項5において、前記圧電素子を形成
    する工程では、前記圧電体層を仮焼成し、前記犠牲層を
    加熱溶融して除去する工程では、前記圧電体層の結晶化
    を行うことを特徴とするインクジェット式記録ヘッドの
    製造方法。
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