JP2002045158A - 包装食品の加熱殺菌装置および加熱殺菌方法 - Google Patents

包装食品の加熱殺菌装置および加熱殺菌方法

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JP2002045158A JP2000234372A JP2000234372A JP2002045158A JP 2002045158 A JP2002045158 A JP 2002045158A JP 2000234372 A JP2000234372 A JP 2000234372A JP 2000234372 A JP2000234372 A JP 2000234372A JP 2002045158 A JP2002045158 A JP 2002045158A
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Akihisa Hashimoto
明久 橋本
Mamoru Ueda
守 上田
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芳生 明坂
Tsuneo Nagata
恒雄 永田
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泰司 山本
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 確実な殺菌処理を確保した上で殺菌に要する
エネルギーコストの低減化を図る。 【解決手段】 対向配置される電極板13,14の内面
間に介設された包装食品Fに電極板13,14を介して
高周波を印加することにより包装食品Fに対する加熱殺
菌処理を施す包装食品Fの加熱殺菌装置3であって、少
なくとも一方の電極板13,14の内面側に断熱材料、
弾性材料または誘電加熱が可能な材料によって形成され
た敷設体17を備えている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、包装容器に密封さ
れた、いわゆる包装食品を加熱殺菌する技術に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】各種の食品がプラスチック製の袋やトレ
イ等の包装容器内に密封された、いわゆる密封包装食品
の普及は目覚ましく、現在ではかかる包装食品が食生活
における相当の部分を担っている。かかる包装食品は、
所定の食品を包装容器に密封した後、最終段階で加熱殺
菌処理を施すのが一般的である。なお、食品の種類によ
っては、この加熱によって食品の風味向上を期す加熱調
理(熱熟成処理)が施される。
【0003】従来、このような最終段階の加熱殺菌は、
煮沸処理やレトルトによるものが一般的であったが、包
装食品の表面と中心部とに大きな温度差が生じ、最も温
度の低い中心部に対して完全に殺菌処理を施すために
は、処理時間が長くなると同時に、表面部分が過加熱さ
れ、その部分の色や風味、食感が劣化したり包装容器の
臭いが食品表面に移るという問題点を有していた。そこ
で殺菌時間の短縮化を目指して、出願人は、先に、多数
の包装食品を偏平な環状容器内に装填した状態でこの容
器を高周波の対向電極間に配置するように構成した高周
波加熱装置を提案した(特許第2875198号)。
【0004】このような高周波加熱装置によれば、包装
食品が装填された容器内は、容器の縁部に当接した対向
電極によって密閉状態になるため、包装食品を密封状態
の容器内(食品収納室)で100℃以上に加熱すること
が可能であり、これによって短時間で確実な殺菌処理を
施すことが可能になる。
【0005】しかしながら、特許第2875198号の
装置にあっては、食品収納室内に多数の包装食品が装填
されることから、包装食品間で被加熱温度のばらつきが
生じ易く、装填された包装食品の全てを確実に殺菌処理
するために、ばらつきの下限温度が殺菌温度になるよう
に温度管理する必要があった。しかし、このようにする
と、より多くの加熱用の熱エネルギーが必要になってエ
ネルギーコストが嵩むという問題点が提起される。
【0006】また、煮沸やレトルトほどではないが、ば
らつきの上限部分が過加熱され、色・風味・食感が劣化
するという問題も生じる。
【0007】そこで、出願人は、かかる問題点を解消す
る改良タイプのものとして、包装食品の1つのみを装填
し得る殺菌容器を多数用意し、各殺菌容器に包装食品を
一つずつ装填していき、各殺菌容器内の包装食品に対し
て高周波印加による誘電加熱を施すように構成した殺菌
装置を提案した(特開平10−304855号公報、特
開平10−304856号公報および特開平11−92
43号公報)。
【0008】この改良された殺菌装置では、包装食品を
1つずつ誘電加熱するようになるため、包装食品間の加
熱温度のばらつきが極めて小さいものになり、ばらつき
が小さくなった分加熱温度を必要以上に上げる必要がな
くなり、確実な殺菌処理を確保した上でエネルギーコス
トの低減化に寄与することが可能になる。
【0009】また、包装食品の中で過加熱される部分が
なくなり、その結果、包装食品全体に亘って色・風味・
食感の劣化が非常に少なくなる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】ところで、包装食品
は、通常、合成樹脂製の袋状またはトレー状の包装容器
に所定の調理済みあるいは半調理済みの食品が装填され
て密閉されたものであるため、内部の食品に高周波を確
実に供給するには、包装容器を介して内部の食品に高周
波が効率的に印加されなければならない。
【0011】しかしながら、たとえ高周波が均一にかつ
効率的に包装食品に印加されたとしても、対向電極で挟
持した包装食品に高周波を印加しつつある状態では、誘
電損失の大きい包装食品は確実に誘電加熱されるのに対
し、導電体からなる対向電極自体は熱伝導率が良好であ
る上に誘電加熱されないため、加熱された包装食品の熱
がこれら対向電極を介して放熱され、これによって包装
食品の対向電極に当接している部分の温度が中心部の温
度より低くなってしまうという不都合が生じる。そし
て、かかる温度分布の不均一が起こると、包装食品の全
体に亘って確実な殺菌処理を効率的に行い得なくなると
いう問題点が発生する。
【0012】このことについては上記特開平10−30
4855号公報、特開平10−304856号公報およ
び特開平11−9243号公報に記載された改良された
誘電加熱方式を採用した場合でも提起される問題点であ
る。
【0013】また、多数の包装食品を処理する場合、同
一種であっても包装食品個々の間で、その厚み寸法を厳
密に一致させることは困難であり、対向電極間の距離と
包装食品の厚み寸法との間に若干のばらつきが生じてし
まう。個々の包装食品においても、その電極に接する面
が常に正確な平面になるとは限らず、多少の凹凸や部分
による厚み寸法のばらつきが生じてしまう。このような
凹凸やばらつきが存在すると、電極と包装食品表面との
間に空気層が存在し、その部分の高周波分布に偏りが生
じて均一加熱が困難になる。
【0014】本発明は、上記のような状況に鑑みてなさ
れたものであり、均一でかつ確実な殺菌処理を確保して
良好な品質の殺菌済み食品を得ることが可能であり、か
つ、殺菌に要するエネルギーコストの低減化を図ること
ができる包装食品の加熱殺菌装置および加熱殺菌方法を
提供することを目的としている。
【0015】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
対向配置される電極の内面間に介設された包装食品に電
極を介して高周波を印加することにより包装食品に対す
る加熱殺菌処理を施す包装食品の加熱殺菌装置であっ
て、少なくとも一方の電極の内面側に断熱材料によって
形成された敷設体を備えてなることを特徴とするもので
ある。
【0016】請求項2記載の発明は、対向配置される電
極の内面間に介設された包装食品に電極を介して高周波
を印加することにより包装食品に対する加熱殺菌処理を
施す包装食品の加熱殺菌装置であって、少なくとも一方
の電極の内面側に弾性材料によって形成された敷設体を
備えてなることを特徴とするものである。
【0017】請求項3記載の発明は、対向配置される電
極の内面間に介設された包装食品に電極を介して高周波
を印加することにより包装食品に対する加熱殺菌処理を
施す包装食品の加熱殺菌装置であって、少なくとも一方
の電極の内面側に誘電加熱が可能な材料によって形成さ
れた敷設体を備えてなることを特徴とするものである。
【0018】請求項4記載の発明は、対向配置される電
極の内面間に介設された包装食品に電極を介して高周波
を印加することにより包装食品に対する加熱殺菌処理を
施す包装食品の加熱殺菌装置であって、少なくとも一方
の電極の内面側に断熱性、弾性および誘電加熱性の少な
くとも2つの性質を有する材料によって形成された敷設
体を備えてなることを特徴とする包装食品の加熱殺菌装
置。
【0019】これらの発明によれば、包装食品は、対向
配置される電極間に挟まれることにより、少なくとも一
方の内面側に敷設された敷設体に当接した状態になるた
め、この敷設体の存在でたとえ対向電極間の距離が包装
食品の厚み寸法より大きいときでも、包装食品を敷設体
を介して電極に当接させることが可能になり、これによ
って包装食品の誘電加熱が適切に行われる。
【0020】そして、特に請求項1の発明では、敷設体
は、断熱材料によって形成されているため、外気に接し
ている面積が非常に大きく、熱伝導性がよくて放熱が最
も起こり易い電極を通して誘電加熱された包装食品の熱
が外部に移動してしまうような不都合が、電極と包装食
品との間に敷設体を介在させることで回避され、これに
よって包装食品の均一加熱が実現し、かつ、加熱効率が
向上した状態で包装食品に誘電加熱による殺菌処理が施
される。
【0021】また、請求項2の発明では、敷設体として
弾性材料が採用されているため、敷設体を標準的な厚み
寸法より若干厚めに寸法設定しておくことにより、電極
間の距離と包装食品の厚み寸法との間にばらつきが存在
しても、また、包装食品の表面に多少の凹凸が存在して
も、このばらつきや凹凸は敷設体の圧縮弾性変形によっ
て吸収され、これによって電極と包装食品との間の空気
層の形成が確実に防止され、空気層の存在による不均一
加熱を確実に防止することができる。
【0022】また、請求項3の発明は、敷設体として誘
電加熱が可能な材料を採用しているため、包装食品の誘
電加熱時に敷設体も発熱し、電極の放熱により奪われる
分の熱を補充して包装食品から電極への熱移行を防止す
ることによって包装食品の不均一加熱が確実に防止され
る。
【0023】さらに、請求項4記載の発明は、少なくと
も一方の電極の内面側に断熱性、弾性および誘電加熱性
の少なくとも2つの性質を有する材料によって形成され
た敷設体が形成されているため、包装食品は、上記請求
項1〜3の敷設体の内の少なくとも2つの作用を同時に
受けることが可能になり、これらの相加作用でさらに確
実に殺菌処理される。
【0024】請求項5記載の発明は、請求項1乃至4の
いずれかに記載の発明において、上記敷設体は、所定厚
みを有する板状体によって形成されていることを特徴と
するものである。
【0025】この発明によれば、敷設体が板状体である
ことによって包装食品の上面および下面のいずれか一方
または双方が全面的に敷設体に当接するため、全面的に
当接しない場合に比較して包装食品は確実に均一加熱さ
れる。
【0026】請求項6記載の発明は、請求項1乃至5の
いずれかに記載の発明において、上記敷設体は、包装食
品が包装材を介して敷設体と接することで包装食品内の
温度分布がより均一になるように厚み寸法および材質の
少なくとも一方が設定されていることを特徴とするもの
である。
【0027】この発明によれば、敷設体の厚み寸法また
は材質が適切に設定されることにより、敷設体が包装材
を介して内部の食品と接することで、誘電加熱される食
品からの電極を通しての放熱が抑制され、より包装食品
内の温度分布がより均一になる。すなわち、断熱性敷設
体を用いる場合は、極力熱伝導性の低い材質を選択する
ことにより、あるいは厚み寸法を大きくすることによ
り、断熱効果が向上して放熱が抑えられる。また、誘電
加熱され得る材料を用いる場合は、材料の誘電損失の値
や厚み寸法を大きくすることで、より多くの熱が敷設体
から包装食品に伝熱されるようになる。そして、敷設体
としてどの材料をどのように用いるかについては、必要
に応じて適宜行う試験の結果を解析することによって確
認することができる。
【0028】請求項7記載の発明は、請求項1乃至6の
いずれかに記載の発明において、上記敷設体は、上記電
極の内面に一体に取り付けられていることを特徴とする
ものである。
【0029】この発明によれば、包装食品を両電極間に
装填するに際し、敷設体を包装食品と電極との間に挟み
込む作業を一々行うことなく、包装食品は敷設体に挟持
された状態になる。
【0030】請求項8記載の発明は、請求項1乃至6の
いずれかに記載の発明において、対向配置された電極間
に介設されて包装食品を収納する筒状体が備えられ、上
記敷設体は、上記筒状体の端面に一体に取り付けられて
いることを特徴とするものである。
【0031】この発明によれば、包装食品を筒体内に装
填することにより、この筒体を両電極で挟持することに
よって、敷設体が包装食品と電極との間に挟み込まれた
状態になるため、敷設体を挟み込む作業を一々行うこと
なく、包装食品は敷設体に当接する。
【0032】請求項9記載の発明は、請求項1乃至8の
いずれかに記載の発明において、直列に収納される複数
の包装食品間に金属板を介設することを特徴とするもの
である。
【0033】この発明によれば、例えば上下に直列に包
装食品を配置した場合、上下で隣接した包装食品間には
金属板が介設されているため、この金属板によって上下
の包装食品間における電位が一定化されるので上下包装
食品に対して等しい電界分布が確保でき、各包装食品は
均一加熱される。
【0034】従って、金属板が存在しない状態で収納室
内に複数の包装食品を装填した場合、上下包装食品間で
の電界分布の不均一に起因して各包装食品の被加熱温度
がばらつき、全ての包装食品に対して短時間に確実な殺
菌処理を施すことが困難になるという従来の不都合が解
消され、複数の包装食品に対する確実かつ効率的な殺菌
処理が現実のものになる。
【0035】そして、金属板を介した収納室内の複数の
包装食品は、包装食品間のばらつきが非常に小さい状態
で常に均一に加熱されるため、過加熱される部分の発生
を防止し、確実な殺菌処理を確保した上でその分エネル
ギーコストの低減化に貢献する。
【0036】請求項10記載の発明は、請求項9記載の
発明において、上記金属板は、板面に断熱性、弾性およ
び誘電加熱性の内の少なくとも1つの性質を有する材料
によって形成されたシート体が取り付けられていること
を特徴とするものである。
【0037】この発明によれば、請求項9の発明の作用
を確保した上で、上記請求項1〜4の作用が得られる。
【0038】請求項11記載の発明は、請求項1乃至1
0のいずれかに記載の発明を用いて包装食品に加熱殺菌
処理を施す包装食品の加熱殺菌方法であって、対向配置
された電極の内面間に包装食品を装填した後、両電極を
介して上記包装食品に高周波を印加して加熱殺菌処理を
施すことを特徴とするものである。
【0039】この発明によれば、包装食品は、請求項1
〜10の作用を確保した上で誘電加熱により適性に加熱
殺菌処理される。
【0040】
【発明の実施の形態】図1〜図3は、本発明に係る加熱
殺菌容器の一実施形態を示す斜視図であり、図1は、加
熱殺菌容器が開放された状態、図2は、閉止された加熱
殺菌容器が起立姿勢に姿勢設定された状態、図3は、閉
止された加熱殺菌容器が横臥姿勢に姿勢設定された状態
をそれぞれ示している。
【0041】これらの図に示すように、殺菌容器1は、
包装食品Fを取り囲むように収納する一対の容器本体
(第1および第2囲繞体)11と、これらの容器本体1
1間に介設される金属板12と、この金属板12を挟持
した状態の一対の容器本体11における上方側の容器本
体11の開口を閉止する上部電極板13と、同下方側の
容器本体11の開口を閉止する下部電極板14と、各電
極板13,14を備えた一対の容器本体11を挟持する
挟持部材15と、この挟持部材15を介して一対の容器
本体11を開閉可能に連結する連結部材16とを備えた
構成を有している。上記上部電極板13および下部電極
板14が本発明の対向配置される電極のことである。
【0042】容器本体11は、合成樹脂等の絶縁材料に
よって横長に形成され、包装食品Fを装填するための直
列に貫設された4つの貫通孔を有している。各容器本体
11は、長手方向に向けて各貫通孔を横断するように二
分され、一方の容器本体11(図1に示す状態では左方
の容器本体11)に上部電極板13が挟持されてねじ止
めで固定されているとともに、他方の容器本体11(図
1に示す状態では右方の容器本体11)に下部電極板1
4が挟持されている。そして、図1に示す状態における
各容器本体11の各電極板13,14によって閉止され
た上記貫通孔の各電極板13,14より上方側に包装食
品Fを収納する収納室11aが形成されている。
【0043】図4は、横臥姿勢に設定された状態の殺菌
容器1の断面図である。この図に示すように、本実施形
態の収納室11aは、トレイ状の包装食品Fを収納する
のに適した立体形状に設定され、内径寸法が包装食品F
の最大外径寸法に等しく寸法設定されているとともに、
収納室11aの入口側の周縁部(上下で対向した収納室
11aのそれぞれの周縁部)に、包装食品Fの環状耳部
F1に対応した環状切欠き溝11bが設けられ、包装食
品Fを収納室11a内に収納した状態で環状耳部F1が
環状切欠き溝11bに嵌まり込み、金属板12が容器本
体11に積層された状態で環状耳部F1が環状切欠き溝
11bの底部と金属板12との間に挟持され、これによ
って包装食品Fの収納室11a内への装着状態が安定す
るとともに、包装食品Fの金属板12に対する対向面が
確実に金属板12に当接するようになっている。
【0044】また、収納室11aの奥部には、各電極板
13,14に当接するように所定厚み寸法のシート状の
敷設体17が積層されている。この敷設体17として
は、断熱材料、弾性材料および誘電加熱が可能な材料の
内のいずれかの材料、若しくはそれらの材質(断熱性、
弾性、誘電加熱性)のいずれか2つずつが組み合わされ
た性質を有する材料、または断熱性、弾性および誘電加
熱性の全てを兼ね備えた材料が採用される。
【0045】敷設体17として、断熱材料が採用される
のは、自身は発熱しない各電極板13,14を通して誘
電加熱された包装食品Fから放熱されるのを防止し、こ
れによって包装食品Fの加熱効率が低下するのを防止す
るためである。断熱材料としては、材料中に気泡を多く
含むもの、例えばパーライト、珪藻土、アルミナ粉末、
カーボンバルン等の粉末粒子を板状に成形したものや、
アスベストや裁断した紙等の繊維片状物を板状に成形し
たものや、ガラス繊維、シリカ・アルミナ繊維、綿等の
繊維品の成形品や、各種の合成樹脂製の発泡体(ウレタ
ンフォーム、ポリプロピレンフォーム、シリコンゴムフ
ォーム等)などを挙げることができる。
【0046】また、敷設体17として弾性材料が採用さ
れるのは、敷設体17を標準的な厚み寸法より若干厚め
に厚さ設定しておくことにより、各電極板13,14間
の距離と包装食品Fの厚み寸法との間にばらつきが存在
しても、このばらつきは敷設体17の圧縮弾性変形によ
って吸収され、これによって各電極板13,14と包装
食品Fとの間の隙間の形成が確実に防止され、隙間の存
在による誘電加熱効率の低下を確実に防止することがで
きる。かかる弾性材料としては、粉末粒子の成形品を除
いて断熱材料と重なっているが、これらの他にゴム製の
ものを好適品としてあげることができる。
【0047】また、敷設体17として誘電加熱が可能な
材料が採用されるのは、包装食品Fの誘電加熱時に敷設
体17も発熱し、加熱された敷設体17からの包装食品
Fへの熱伝導によって包装食品Fの加熱効率を向上する
ことができるからである。かかる材料としては、シリコ
ンゴム、ポリビニルクロライド、ポリウレタン樹脂等を
挙げることができる。
【0048】そして、本実施形態においては、敷設体1
7は、誘電加熱が可能でかつ柔軟に圧縮弾性変形し得る
とともに、断熱性にも優れたシリコンゴムによって形成
されている。従って、収納室11a内の包装食品Fを各
電極板13,14と金属板12との間に挟持した状態
で、敷設体17は包装食品Fの底部に押圧されて圧縮弾
性変形し、これによって包装食品Fの底部は、各電極板
13,14との間に空気の層を介在させることなく敷設
体17を介して各電極板13,14に当接することにな
る。
【0049】このような状態で収納室11a内に装填さ
れた包装食品Fは、各電極板13,14から高周波が印
加されると、包装食品Fの底部と各電極板13,14と
の間に空気層が存在しないことにより、高周波が有効に
包装食品F内に供給されて誘電加熱効率が向上するとと
もに、敷設体17が誘電加熱されて高温になるため、各
電極板13,14を介した放熱が阻止される他、この敷
設体17からの伝熱によっても包装食品Fが加熱され、
さらなる誘電加熱効率の向上が図られる。因みに、本実
施形態においては、敷設体17の材料としてシリコンゴ
ムが採用されている。
【0050】また、各容器本体11の金属板12に対す
る対向面には、図1に示すように、各収納室11aを取
り囲むようにシリコンゴム等の弾性材料からなるOリン
グ11cが装着されている。そして、容器本体11が金
属板12に積層された状態でOリング11cが、図4に
示すように、弾性変形することによって収納室11aの
気密性が確保されるようにしている。
【0051】また、容器本体11は、その側面に取り付
けられたワンタッチ操作が可能な流体継手18を有して
いる。この流体継手18は、収納室11aに高圧流体
(本実施形態においては高圧空気を使用)を導入するた
めのものであり、そのために、容器本体11内には、図
4に示すように、流体継手18からの高圧空気を各収納
室11a内に導くための流体通路11dが設けられてい
る。
【0052】従って、収納室11a内の包装食品Fが誘
電加熱されつつある状態で、外部から流体継手18およ
び流体通路11dを介して高圧空気を収納室11a内に
導入することにより、包装食品Fが100℃以上に加熱
されても内部の水分が沸騰することがなく、これによっ
て包装食品Fの破袋を確実に防止するようになされてい
る。
【0053】さらに、各電極板13,14には、高周波
発振器35aからの高周波を給電する給電フィン35b
に対応した受電フィン19が設けられている。この受電
フィン19は、各電極板13,14から長手方向の外方
に向かって細長く延設され、細長い金属板の先端部が互
いに反対方向に向かって直角に折り曲げることによって
形成されている。
【0054】一方、各給電フィン35bは、断面視でコ
字状に形成されて互いに対向配置され、各受電フィン1
9が対応した給電フィン35bのコ字状の隙間に遊嵌さ
れることによって高周波発振器35aからの高周波が給
電フィン35bを介して受電フィン19に受電されるよ
うになっている。
【0055】上記連結部材16は、一対の容器本体11
が開閉可能になるように一対の容器本体11を互いに連
結するものであり、各容器本体11を後述する一対の挟
持板150を介して連結するように長手方向一対で設け
られている。かかる連結部材16は、T字形状を呈し、
各挟持板150の端縁間に架設される連結部材本体16
aと、この連結部材本体16aの中央部から直交方向に
突設された中間電極板支持杆16bとからなっている。
【0056】連結部材本体16aの両端部はそれぞれ各
挟持板150に連結軸16c回りに相対回動自在に連結
され、各電極板13,14を連結軸16c回りに正逆回
動操作することにより、殺菌容器1は、各容器本体11
が金属板12を介して互いに積層された、図2に示す閉
止状態と、各容器本体11が離間して収納室11aが上
方に向かって開放された、図1に示す開放状態との間で
開閉し得るようになっている。
【0057】上記各中間電極板支持杆16bは、互いの
対向面に長手方向に向けて延びるように凹設された支持
溝16dをそれぞれ有している。これらの支持溝16d
に金属板12の対向縁部をそれぞれ圧入することによっ
て金属板12が連結部材16に装着された状態になるよ
うにしている。
【0058】また、各中間電極板支持杆16bの先端部
の外面側にはそれぞれ殺菌容器1の長手方向に向けて突
設された、殺菌容器1の姿勢を変更するための姿勢変更
軸16eが設けられている。これらの姿勢変更軸16e
は、後述する殺菌容器1の反転操作時や起立姿勢と横臥
姿勢との間の姿勢変更時に回動中心として利用されるも
のである。
【0059】殺菌容器1の反転は、包装食品Fの温度分
布を均一にするために行われる。すなわち、包装食品F
が誘電加熱されつつある状態では、包装食品F内で対流
現象が起こり、温度の高い流動物が上方に移動して包装
食品Fの上部が下部に比べて高温になるが、殺菌容器1
を反転させることによる強制攪拌によって上記の温度の
不均一が解消するのである。
【0060】上記金属板12は、包装食品F内の電界密
度の均一化を図るために設けられるものであり、例えば
アルミニウム合金によって形成され、長手方向に向かう
中心線に沿い、かつ、各包装食品Fに対応した位置に温
度センサ12aが埋設されているとともに、長手方向の
一方の端部に接続端子12bが設けられ、温度センサ1
2aが検出した金属板12内の温度がこの接続端子12
bを介して図略の検出装置により検出されるようになっ
ている。本実施形態においては、各容器本体11に設け
られる収納室11aの数、すなわち4室に対応させて4
つの温度センサ12aが金属板12に埋設されている。
【0061】そして、殺菌容器1が横臥姿勢(図3)に
姿勢設定されて誘電加熱されつつある状態で温度センサ
12aによる温度検出を行い、これによって各包装食品
Fの代表温度を知るようにしている。包装食品Fの加熱
温度を知るために金属板12の温度を検出するようにし
ているのは以下の理由による。
【0062】すなわち、包装食品Fの収納された各収納
室11aが金属板12によって閉止された状態では、金
属板12が、図3に示すように、上下の容器本体11に
よって挟持された状態になっており、従って、金属板1
2の中央部には、誘電加熱された上下の包装食品Fの熱
が伝達されるとともに、この伝熱時の金属板12内での
熱の拡散によって、金属板12は包装食品Fの局所的な
温度のばらつきが相殺された温度になるため、包装食品
Fの1点の温度を直接検出した場合より正確に包装食品
Fの全体的な代表温度を検出することができるからであ
る。
【0063】上記挟持部材15は、殺菌容器1を構造的
に丈夫にするためと、殺菌容器1の閉止状態(図2およ
び図3)を確実にロックするためのものであり、一対の
容器本体11を挟持する挟持板150と、容器本体11
を挟持した状態の各挟持板150を離間しないようにロ
ックするロックアーム15aとを備えて形成されてい
る。
【0064】上記挟持板150は、所定厚み寸法の金属
製の板によって形成され、容器本体11より若干大きい
平面寸法を有している。かかる挟持板150は、長手方
向の各縁部が連結部材本体16aの端部に連結軸16c
回りに回動自在に軸支されている。また、各挟持板15
0には、長手方向に延びる中心線に沿い、かつ、上記各
収納室11aに対応するように4つの水入れ孔150a
が穿設され、冷却工程でこれらの水入れ孔150aから
内部に冷却水が侵入することにより、収納室11a内の
包装食品Fが金属板12を介して効果的に冷却されるよ
うになされている。
【0065】上記ロックアーム15aは、各挟持板15
0における上記連結部材16に連結されている位置と反
対側の縁部に一対で設けられている。かかるロックアー
ム15aは、上部電極板13にねじ止めで固定される雌
係止アーム15bと、この雌係止アーム15bに対応し
て下部電極板14にねじ止めで固定される雄係止アーム
15cとから構成されている。
【0066】雌係止アーム15bは、L字状に形成さ
れ、その基端側(図3における上部)が一方の挟持板1
50に引っ掛けられた状態でねじ止めされている。ま
た、雄係止アーム15cも雌係止アーム15bと同様に
L字状に形成されて雌係止アーム15bに対応するよう
に他方の挟持板150に固定されている。
【0067】また、雌係止アーム15bの先端部には、
その中央部が凹設されて形成した嵌込み凹部15dが設
けられている一方、雄係止アーム15cの先端部には、
上記嵌込み凹部15dに嵌り込む嵌込み凸部15eが突
設され、殺菌容器1が閉止された状態で、図3に示すよ
うに、嵌込み凸部15eが嵌込み凹部15dに嵌り込む
ように各係止突片16a,16bの形状および寸法が設
定されている。
【0068】そして、各係止突片16a,16bの先端
部には、図1に示すように、互いに対応したロック孔1
5fが穿設され、嵌込み凹部15dに嵌込み凸部15e
が嵌め込まれた状態で各ロック孔15fにロックピン1
5gを差し込むことによって、図2および図3に示すよ
うに、各係止突片16a,16bが互いに係止され、こ
れによって殺菌容器1の閉止状態が維持されるようにな
っている。
【0069】このような殺菌容器1の構成によれば、ま
ず殺菌容器1を、図1に示すように開放し、この状態で
開口が上方に向いた各容器本体11の収納室11aに包
装食品Fを装填し、ついで、各挟持板150を下方から
上方に向けて突き上げることによって連結軸16c回り
に互いに反対方向に回動させた後、各係止突片16a,
16bのロック孔15fにロックピン15gを差し通す
ことにより、殺菌容器1は、図2に示すように、起立姿
勢に姿勢設定される。
【0070】そして、一旦起立姿勢(図2)に設定され
た殺菌容器1は、図3に示す横臥姿勢に姿勢変更された
後、後述する搬送手段の駆動によって搬送されつつ高周
波発振器35aからの高周波が給電フィン35b、受電
フィン19および各電極板13,14を介して収納室1
1a内の包装食品Fに供給され、これによる誘電加熱で
包装食品Fに殺菌処理が施されることになる。
【0071】このような殺菌容器1は、図2に示すよう
に、後述する加熱殺菌装置3の一対のタイミングベルト
31cに装着されている。タイミングベルト31cは、
殺菌容器1の挟持部材15間を挟むように幅方向一対で
設けられている。各タイミングベルト31cには、幅方
向で対向した軸受部材310cがそれぞれ固定されてい
る一方(図2では図示の都合上一方の軸受部材310c
のみを示している)、上記各姿勢変更軸16eがこれら
の軸受部材310cに軸心回りに回転自在に軸支され、
これによって殺菌容器1は、姿勢変更軸16e回りに正
逆共回りし得るるとともに、タイミングベルト31cの
移動に同伴して移動するようになっている。
【0072】そして、上記各姿勢変更軸16eの先端に
は、それぞれピニオン160eが同心で固定されている
一方、殺菌容器1の搬送路の適所における機枠31a
(図6)にラック311cが固定され、タイミングベル
ト31cの前進による殺菌容器1の移動でピニオン16
0eがラック311cに噛合することによりピニオン1
60eが姿勢変更軸16e回りに時計方向に回動し、こ
れによって殺菌容器1の姿勢を変更することができるよ
うになっている。
【0073】ラック311cの歯数は、殺菌容器1の要
求される姿勢変更の度合いに応じて設定されている。例
えば、図2に示す起立姿勢の殺菌容器1を90°回転さ
せて図3に示す横臥姿勢に姿勢変更するときは、ラック
311cの端数は、ピニオン160eの歯数の1/4に
設定され、図3に示す横臥姿勢の殺菌容器1を上下18
0°反転させるときには、ラック311cの歯数は、ピ
ニオン160eの歯数の1/2に設定される。かかるピ
ニオン160eおよびラック311cを設けることによ
り、搬送路の所望の位置で殺菌容器1の姿勢を必要量だ
け変更することが可能になる。
【0074】また、搬送路におけるラック311cの前
後位置における一対のタイミングベルト31c間には、
設定された殺菌容器1の姿勢を維持させるための一対の
案内レール312cが敷設され、所定の姿勢に設定され
た殺菌容器1の下面部がこれらの案内レール312cに
摺接することによって搬送されつつある殺菌容器1の設
定姿勢が維持されるようになっている。
【0075】図5は、本発明に係る殺菌容器1の使用を
前提とした包装食品の製造工程を説明するための工程図
である。この工程図に示すように、包装食品Fは、所定
のトレーに包装食品Fの内容物(食品)を充填する食品
充填ラインP1と、この食品充填ラインR1で得られた
包装食品Fに殺菌処理を施す殺菌ラインP2と、殺菌ラ
インR2で殺菌処理が施された包装食品Fを梱包する梱
包ラインP3とを経て製造され、引き続き梱包ラインP
3を介して出荷される。
【0076】食品充填ラインP1は、食品充填用のトレ
ーF0を成形するトレー成形工程P11と、成形された
トレーF0に所定の食品を装填する食品充填工程P12
と、食品の装填されたトレーF0に蓋を被せてシールす
るシール工程P13と、連なった複数の包装食品Fを型
抜きしてばらばらに分離する型抜き工程P14とからな
っている。
【0077】上記トレー成形工程P11においては、原
料ロール20からトレーF0の原料になる合成樹脂製の
トレー用シート21が順次引き出されて所定の金型22
間に供給され、金型22の底部の空気を吸引除去する、
いわゆるブロー成形によって軟化状態のトレー用シート
21に連続的にトレーF0を形成させるようにしてい
る。
【0078】上記食品充填工程P12においては、トレ
ー用シート21の移動で連なって送られてきたトレーF
0に、まず液状食品充填装置23から液状食品を供給
し、引き続き固形食品充填装置24から固形食品を供給
するようにしている。
【0079】上記シール工程P13においては、蓋ロー
ル25からトレーF0の蓋になる合成樹脂製の蓋用シー
ト26が順次引き出され、移動しているトレー用シート
21の上面に積層されることによって、食品の装填され
たトレーF0の上面開口が順次閉止される。引き続き、
合成樹脂シートの熱溶着に用いられる、いわゆるシーラ
ー27の駆動で蓋用シート26をトレー用シート21に
溶着することによって食品はトレーF0内に密封された
状態になる。
【0080】上記型抜き工程P14においては、連なっ
て順次移送されてきたトレーF0内に食品が密封された
状態のトレー用シート21および蓋用シート26を、プ
レスマシン28の駆動で順次切断して包装食品Fをばら
ばらに分離する、いわゆる型抜き操作が実行され、これ
によってばらばらになった包装食品Fが得られる。これ
らの包装食品Fは、整列させられた後つぎの殺菌ライン
P2に送り込まれて所定の殺菌処理が施される。
【0081】上記殺菌ラインP2は、循環搬送路に沿っ
て搬送される、上記食品充填ラインP1から送り込まれ
た包装食品Fに対して殺菌処理を順次施すものであり、
投入工程P21、容器閉止工程P22、容器転倒工程P
23、高圧空気導入工程P24、誘電加熱工程P25、
測温工程P26、冷却工程P27、容器開放工程P2
8、および包装食品取出し工程P29とを備えて構成さ
れている。
【0082】上記投入工程P21は、開放された殺菌容
器1(図1)の容器本体11の収納室11aに食品充填
ラインP1から送り込まれた包装食品Fを投入(装填)
する工程である。
【0083】上記容器閉止工程P22は、投入工程P2
1で容器本体11の収納室11aに包装食品Fが装填さ
れた状態の殺菌容器1を閉止して起立姿勢(図2)に姿
勢設定するとともに、ロック孔15f(図1)にロック
ピン15g(図2)を挿通することにより殺菌容器1の
閉止状態をロックする工程である。
【0084】上記容器転倒工程P23は、図2に示す起
立姿勢の殺菌容器1を横転して搬送路上(すなわち図2
に示す案内レール312c上)に図3に示すように横臥
させる工程である。このような容器転倒工程P23が必
要な理由は、殺菌容器1が起立姿勢に姿勢設定されたま
ま(図2の状態)では、殺菌容器1を移動させながら各
電極板13,14に対向配置された受電フィン19に給
電フィン35b(図3)からの高周波を受電させること
ができないためである。
【0085】上記高圧空気導入工程P24は、流体継手
18を介して収納室11a内に高圧空気を導入する工程
である。この高圧空気導入工程P24において略1.4
気圧に昇圧された高圧空気が流体継手18を介して収納
室11a内に導入され、これによってつぎの誘電加熱工
程P25で収納室11a内の包装食品Fが130℃以上
に加熱されても、包装食品F内の水分の沸騰が阻止さ
れ、これによって包装食品Fの破袋が起こらないように
している。
【0086】上記誘電加熱工程P25は、横臥姿勢に姿
勢設定された殺菌容器1(図3)の各電極板13,14
に対して高周波を印加することにより収納室11a内の
包装食品Fを誘電加熱し、これによって包装食品Fに殺
菌処理を施す工程である。この工程は、さらに給電工程
P251と、反転工程P252とに区分され、給電工程
P251において所定時間の各電極板13,14に対す
る高周波印加が実行されるとともに、反転工程P252
において殺菌容器1が上下反転され、この反転動作によ
る攪拌効果で包装食品F内の温度分布の不均一を解消す
るようになされている。かかる給電工程P251および
反転工程P252は、誘電加熱工程P25において所定
回数繰り返され、これによって包装食品Fの均一加熱の
実現を期すようにしている。
【0087】上記測温工程P26は、誘電加熱工程P2
5において殺菌処理が完了した包装食品Fの温度を検出
して殺菌処理が正常に実行されたか否かをチェックする
工程である。この工程で包装食品Fが予め設定された殺
菌温度より高温になっているか否かがチェックされ、殺
菌温度より低いものは、後の包装食品取出し工程P29
において不良品として系外に排出される。
【0088】上記冷却工程P27は、測温工程P26が
実行された後の包装食品Fを殺菌容器1ごと水槽内の水
中に没入させることにより強制冷却する工程である。こ
の冷却工程P27の実行により、130℃以上であった
包装食品Fは、略60℃にまで冷却されることになる。
【0089】上記容器開放工程P28は、冷却工程P2
7後の殺菌容器1を開放する工程であり、殺菌容器1
は、ロックアーム15aからロックピン15gが引き抜
かれたのち開放され、これによって収納室11a(図
1)内の包装食品Fは外部に露出した状態になる。
【0090】上記包装食品取出し工程P29は、殺菌容
器1が開放されることにより外部に露出した容器本体1
1の収納室11a内の包装食品Fを取り出す工程であ
る。また、この工程では測温工程P26で不良品とされ
た包装食品Fを排除するようになされている。
【0091】このような殺菌ラインP2における各工程
は、加熱殺菌装置により実行されるが、この加熱殺菌装
置については、後に図6を基に詳細に説明する。
【0092】上記梱包ラインP3は、殺菌ラインP2か
ら送り込まれた殺菌処理済みの包装食品Fを梱包して出
荷するためのものであり、冷却水を散水して包装食品F
を常温にまで冷却する二次冷却工程P31と、この二次
冷却工程P31での散水によって外周面に付着した水滴
を取り除く乾燥工程P32と、乾燥後の包装食品Fの所
定個数ずつをダンボール箱に装填して梱包する梱包工程
P33とからなっている。そして、梱包工程P33でダ
ンボール箱に梱包された包装食品Fは出荷されることに
なる。
【0093】図6は、上記殺菌ラインP2を実行するた
めに使用される加熱殺菌装置の一実施形態を示す側面視
の説明図である。この図に示すように、加熱殺菌装置3
は、殺菌容器1に対して垂直面に沿って周回する搬送路
に直交する方向で水平方向に延びるような姿勢を維持さ
せなが殺菌容器1を時計方向に周回搬送する搬送手段3
1を有している。
【0094】そして、この搬送手段31は、垂直面内で
周回駆動する後述のタイミングベルト31cを有してお
り、このタイミングベルト31cに沿うように、搬送さ
れつつある殺菌容器1の収納室11aに包装食品Fを投
入する食品投入手段32と、収納室11aに包装食品F
が投入された殺菌容器1を閉止する閉止手段33と、包
装食品Fが投入され、かつ、起立姿勢に設定された殺菌
容器1を横転させて横臥姿勢に姿勢変更する容器横転手
段34と、容器横転手段34によって横臥姿勢に姿勢設
定された殺菌容器1の収納室11a(図1)内に高圧空
気を導入する高圧空気導入手段340とが設けられてい
る。
【0095】また、高圧空気導入手段340の下流側
(搬送手段31の周回方向)には、横臥姿勢に姿勢変更
された殺菌容器1の各電極板13,14に対して高周波
を供給する高周波供給手段35と、加熱途中の殺菌容器
1を上下反転させる反転手段36、誘電加熱後の包装食
品Fの温度を検出する測温手段37と、温度検出後の包
装食品Fを殺菌容器1ごと冷却する冷却水槽30と、横
臥姿勢に姿勢設定されている冷却後の殺菌容器1を起立
姿勢に姿勢変更する起立手段38と、起立姿勢の殺菌容
器1を開放して収納室11a内の包装食品Fを外部に露
出する開放手段39と、および包装食品Fを殺菌容器1
から取り出す食品取出し手段390とが設けられ、食品
取出し手段390のつぎには最初の食品投入手段32に
戻るようになっている。
【0096】上記搬送手段31は、前後方向に延びる長
尺の機枠31aと、この機枠31aの四隅部にそれぞれ
軸回りに回転自在に設けられた4対のスプロケット31
bと、各スプロケット31b間に張設された、例えばポ
リテトラフルオロエチレン製等の絶縁材料からなる幅方
向一対のタイミングベルト31c(内面側にスプロケッ
ト31bに噛合する歯が形成されたベルト)と、いずれ
かのスプロケット31bを回転させる駆動モータ31d
とからなっている。そして駆動モータ31dの駆動によ
るスプロケット31bの軸回りの時計方向に向かう回転
によってタイミングベルト31cが時計方向に周回し、
これによってタイミングベルト31cに軸受部材310
cおよび姿勢変更軸16eを介して装着された殺菌容器
1が周回しながら内部の包装食品Fに順次所定の処理が
施されるようになっている。
【0097】上記食品投入手段32は、タイミングベル
ト31cの往きベルト(上部のスプロケット31b間に
張設されているベルト)の中央部より若干上流側(図6
の左方)に設けられている。この食品投入手段32は例
えばロボットアームを有し、このロボットアームの作動
により、食品充填ラインP1から送り込まれてストック
され、かつ、整列されている包装食品Fが収納室11a
(図1)内に逐一投入されるようになっている。
【0098】上記閉止手段33は、食品投入手段32の
直ぐ下流側であって、タイミングベルト31cの下方位
置に1ピッチ分隔てて設けられている。この閉止手段3
3は、開放している殺菌容器1の一対の容器本体11
を、例えば上下駆動可能の押圧ロッドの上動によって突
き上げ、これによって一対の容器本体11を、金属板1
2を挟んで対向させることにより殺菌容器1を閉止する
ように構成されている。
【0099】また、閉止手段33は、殺菌容器1の閉止
状態をロックする図略のロック機構を有しており、この
ロック機構の駆動によってロックアーム15a(図2)
のロック孔15f(図1)にロックピン15gが差し込
まれ、これによって殺菌容器1の閉止状態が維持される
ようになっている。
【0100】上記容器横転手段34は、閉止手段33の
直ぐ下流側に1ピッチ分離間して設けられている。かか
る容器横転手段34は、図2に示すラック311cが、
ピニオン160eに対応するように機枠31aに固定さ
れて形成されている。このラック311cの歯数は、ピ
ニオン160eの歯数の1/4に設定され、これによっ
てタイミングベルト31cの周回で殺菌容器1がラック
311cに差し掛かると、ラック311cに噛合したピ
ニオン160eが90°だけ姿勢変更軸16e回りに時
計方向に回転し、起立姿勢であった殺菌容器1が横臥姿
勢に姿勢変更されるようになっている。姿勢変更した殺
菌容器1は、案内レール312c(図2)上に摺接状態
になるため、以後は横臥姿勢が維持された状態で前進す
ることになる。この横転によって殺菌容器1は、各電極
板13,14が上下で対向し、以後の誘電加熱に備えら
れることになる。
【0101】上記高圧空気導入手段340は、圧縮ポン
プと、この圧縮ポンプからの高圧空気を殺菌容器1に向
けて送出する配管と、この配管の先端に設けられた接続
機構とを備えて構成されている。そして、殺菌容器1が
横臥姿勢に姿勢設定された状態で、接続機構の動作によ
り配管の先端が各容器本体11に設けられている流体継
手18(図3)に接続されて高圧空気が流体継手18お
よび流体通路11d(図4)を介して収納室11a内に
導入されるようになっている。この高圧空気の導入によ
って、包装食品Fが誘電加熱で100℃以上に昇温して
も、水分の沸騰が抑制されて包装食品Fの破袋が防止さ
れるようにしている。
【0102】上記高周波供給手段35は、高周波発振器
35aと、この高周波発振器35aからの高周波を殺菌
容器1の受電フィン19に給電する給電フィン35bと
を備えて構成されている。給電フィン35bは、図3お
よび図4に示すように、端面視でコ字状に形成され、タ
イミングベルト31cに沿って開口を対向させた状態で
上下一対が設けられている。上部の給電フィン35b
は、上部電極板13の受電フィン19に対応するもので
あり、下部の給電フィン35bは、下部電極板14の受
電フィン19に対応するものである。
【0103】そして、各受電フィン19の先端部が対応
した給電フィン35bのコ字状の隙間に非接触状態で嵌
め込まれることによって、高周波発振器35aからの高
周波が受電フィン19を介して各電極板13,14に供
給され、収納室11a内に収納されている包装食品Fが
誘電加熱されるようになっている。
【0104】上記給電フィン35bは、下流側に向かっ
て1ピッチ分の長さ寸法のものが、1ピッチ分離間した
状態で複数組が設けられている。図6においては、図示
の都合上、2対の給電フィン35bのみを示して他は省
略している。
【0105】殺菌容器1がタイミングベルト31cの周
回で給電フィン35bに到達すると、上下の受電フィン
19の直角に折れ曲がった先端部が上下の給電フィン3
5bの隙間に離間状態で嵌まり込み、受電フィン19が
給電フィン35bを通り過ぎるまでの間、殺菌容器1内
の包装食品Fは、高周波発振器35aからの高周波が印
加された状態になり、このときの誘電加熱で殺菌処理が
施されることになる。
【0106】上記反転手段36は、給電フィン35b間
に設けられ、受電フィン19が給電フィン35bから抜
け出た直後の殺菌容器1を上下反転するものである。か
かる反転手段36は、図2に示すラック311cが、ピ
ニオン160eに対応するように機枠31aに固定され
て形成されている点については先の容器横転手段34と
同様である。そして反転手段36の場合、ラック311
cの歯数は、ピニオン160eの歯数の1/2に設定さ
れ、これによってタイミングベルト31cの周回で殺菌
容器1がラック311cに差し掛かると、ラック311
cに噛合したピニオン160eが180°だけ姿勢変更
軸16e回りに時計方向に回転して上下反転されるよう
になっている。この場合も、反転した殺菌容器1は案内
レール312c(図2)上に摺接状態で載置され、以後
は反転状態が維持されたまま前進してつぎの給電フィン
35bに向かうことになる。
【0107】上記反転動作が行われるのは、上下の包装
食品Fにおける各内容物は、上部側の方が下部側より高
温になる傾向にあるため、殺菌容器1を反転することに
よって今まで下部電極板14であったものを新たな上部
電極板13とし、これによって今まで各包装食品の下部
位置にあった内容物を上部に移して加熱され易くし、各
包装食品Fの内容物の温度の均一化を図るためである。
さらに、包装食品Fを上下反転することによる内容物の
攪拌効果が温度の均一化に寄与することも期待される。
【0108】そして、上下反転した殺菌容器1は、タイ
ミングベルト31cの周回移動によってつぎの給電フィ
ン35bに到達し、この給電フィン35bからの受電に
よって上下逆転した殺菌容器1内の包装食品Fに高周波
が印加されることになる。
【0109】測温手段37は、最下流側の給電フィン3
5bを通過した殺菌容器1の金属板12の温度を測定す
るものであり、金属板12の接続端子12bに着脱自在
に接続される可動接続端子と、この可動接続端子を介し
て入力される温度センサ12a(図1)からの検出信号
を変換して温度信号とするとともに、その温度を表示す
る温度計とを備えている。
【0110】この測温手段37によって得られた金属板
12の温度信号は、図略の制御装置に入力されて予め設
定されている殺菌温度(例えば130℃)を越えている
か否かが判別され、殺菌温度を越えていないものが存在
した場合、その殺菌容器1が食品取出し手段390に到
達した時点で制御装置はその殺菌容器1内の包装食品F
が不良品であることを示す信号を食品取出し手段390
に出力し、食品取出し手段390はこの信号に基づいて
不良品を排除するようになっている。
【0111】上記冷却水槽30は、高周波供給手段35
によって誘電加熱された包装食品Fを殺菌容器1から取
り出す前に所定の温度(例えば60℃)にまで冷却する
ためのものであり、内部に冷却水が充填されている。か
かる冷却水槽30は、タイミングベルト31cの略下半
分が冷却水に浸漬されるに充分な容量を有しているとと
もに、底面および上流側および下流側の内壁面が所定の
間隔(殺菌容器1の厚み寸法より若干大きい間隔)を保
持してタイミングベルト31cに沿うように形状設定さ
れ、これによって殺菌容器1がタイミングベルト31c
に誘導されつつ冷却水槽30内を通過し得るようになっ
ている。
【0112】また、冷却水槽30の上流側および下流側
の内壁面位置には、上方に向かって延設された案内フー
ド30aが設けられている。これらの案内フード30a
は、所定の間隔(殺菌容器1の厚み寸法より若干大きな
間隔)を有してタイミングベルト31cと平行になるよ
うに形状設定されている。かかる案内フード30aの存
在によって殺菌容器1が安定した状態で冷却水槽30内
に誘導されるとともに、安定した状態で冷却水槽30か
ら外部に導出されるようになっている。
【0113】上記起立手段38は、冷却水槽30から上
方に抜け出て往きベルト上に戻った横臥姿勢の殺菌容器
1を起立姿勢に姿勢変更するためのものであり、上下動
可能に構成された図略の押圧ロッドをタイミングベルト
31cの下方位置から、タイミングベルト31cの中央
部に形成された隙間を通して突き上げることにより殺菌
容器1を起すようにしている。
【0114】上記開放手段39は、閉止状態の殺菌容器
1を開放するためのものであり、ロックアーム15aに
装着されているロックピン15gを引き抜くピン抜出機
構と、ロックピン15gを引き抜いた後の一対の容器本
体11を連結軸16c回りに互いに離反方向に回動させ
る回動機構とを有している。かかる開放手段39の駆動
によって、閉止状態がロックされていた殺菌容器1は開
放され、これによって収納室11a内の包装食品Fは外
部に露出した状態になる。
【0115】上記食品取出し手段390は、開放された
殺菌容器1の収納室11aから殺菌処理済みの包装食品
Fを取り出すためのものであり、ロボットアームの先端
に吸盤を備えた図略の吸引手段を有し、この吸引手段の
駆動による吸引空気流によって収納室11a内の包装食
品Fを吸盤に吸い付けて取り出すように構成されてい
る。取り出された包装食品Fは、梱包ラインP3に向け
て送り出されることになる。
【0116】なお、先にも説明したように、測温手段3
7による測温結果に基づいて不良品と判定された包装食
品Fを有する殺菌容器1が食品取出し手段390に到達
したときは、不良品は梱包ラインP3には送出されずに
系外に排除されるようになっている。
【0117】かかる加熱殺菌装置3の構成によれば、駆
動モータ31dの駆動によるタイミングベルト31cの
周回に同伴させて複数の殺菌容器1を周回させることに
より、まず食品投入手段32が殺菌容器1の収納室11
aに包装食品Fを投入し、ついで閉止手段33が開放し
ている殺菌容器1を閉止することにより一対の容器本体
11の各収納室11a内に収納されている包装食品Fが
金属板12を挟持して対向した状態になり、この状態の
殺菌容器1は、容器横転手段34によって横転させられ
て横臥姿勢に姿勢設定され、引き続き容器横転手段34
によって各収納室11a内に高圧空気が導入され、つい
で高周波供給手段35による高周波印加で収納室11a
内の包装食品Fは誘電加熱されるとともに、誘電加熱間
に反転手段36によって上下が反転されて包装食品Fの
温度分布の均一化が図られ、誘電加熱が終了した時点で
測温手段37によって包装食品Fの温度がチェックさ
れ、ついで殺菌容器1は、冷却水槽30内に導入される
ことにより強制的に冷却され、起立手段38で起立姿勢
に姿勢変更された後、開放手段39によって閉止してい
た殺菌容器1が開放され、最後に食品取出し手段390
によって収納室11a内の包装食品Fが取り出されてつ
ぎの梱包ラインP3に向けて送り出されることになる。
【0118】このような誘電加熱による一連の殺菌処理
が、タイミングベルト31cの周回に同期して自動的に
次々と実行されるため、人手を介することなく極めて効
率的に包装食品Fに対して殺菌処理を施すことができ
る。
【0119】そして、本発明に係る殺菌容器1は、対向
配置される電極板13,14の内面間に介設された包装
食品Fに電極板13,14を介して高周波を印加するこ
とにより包装食品Fに対する加熱殺菌処理を施す包装食
品Fの加熱殺菌装置3に用いられるものであり、各電極
板13,14の内面側に敷設体17を備えてなるもので
あるため、包装食品Fは、対向配置される電極板13,
14間に挟まれることにより、少なくとも一方の内面側
に敷設された敷設体17に当接した状態になるため、こ
の敷設体17の存在でたとえ対向電極板13,14間の
距離が包装食品Fの厚み寸法より大きいときでも、包装
食品Fを敷設体17を介して電極板13,14に当接さ
せることが可能になり、これによって包装食品Fの誘電
加熱が適切に行われる。
【0120】また、包装食品Fは、銘柄によって厚み寸
法が異なるもあるが、このような場合、銘柄毎に装置の
仕様を変更しなくても、敷設体17をその包装食品Fに
合ったものに交換するだけで対応することが可能であ
り、加熱殺菌装置の汎用性が向上する。
【0121】そして、敷設体17を断熱材料によって形
成することにより、電極板13,14を通して誘電加熱
された包装食品Fの放熱を防止することができ、加熱効
率が向上した状態で包装食品Fに誘電加熱による確実な
殺菌処理が施される。
【0122】また、敷設体17として弾性材料を採用す
ることにより、敷設体17を標準的な厚み寸法より若干
厚めに寸法設定しておくことで電極板13,14間の距
離と包装食品Fの厚み寸法との間にばらつきが存在して
も、このばらつきは敷設体17の圧縮弾性変形によって
吸収され、これによって電極板13,14と包装食品F
との間の空気層の形成が確実に防止され、空気層の存在
による誘電加熱効率の低下が抑制される。
【0123】また、敷設体17として誘電加熱が可能な
材料を採用すれば、包装食品Fの誘電加熱時に敷設体1
7も発熱し、加熱された敷設体17からの包装食品Fへ
の伝熱によって包装食品Fの加熱効率を向上させること
ができる。
【0124】さらに、敷設体17を断熱性、弾性および
誘電加熱性の少なくとも2つの性質を有する材料によっ
て形成することにより、敷設体17の有する2つの作用
を同時に受けることが可能になり、これらの相加作用で
包装食品Fに対してさらに確実な殺菌処理を施すことが
できる。
【0125】図7は、本発明に係る敷設体17が適用さ
れた殺菌容器の他の実施形態を示す側面視の説明図であ
り、(イ)は、容器が開放された状態、(ロ)は、容器
が閉止された状態をそれぞれ示している。この実施形態
の殺菌容器1aは、一対の容器本体110が開口を対向
させた状態で上下で対向配置されているとともに、これ
ら対向配置された一対の容器本体110間に金属板12
0が四辺形リンク構造4を介して挟持された基本構造を
有している。四辺形リンク構造4は、同一長さ寸法の4
本のリンクアーム41が各端部でそれぞれ相対回動可能
に連結されることによって形成されている。
【0126】また、上部の容器本体110の上面には上
部電極板13が積層固定されているとともに、下部の容
器本体110の底面には下部電極板14が積層固定され
ている。上部電極板13の中央位置には上部ピン42が
取り付けられているとともに、下部電極板14の中央位
置には下部ピン43が固定され、各ピン42,43にそ
れぞれ2本のリンクアーム41が相対回動可能に連結さ
れている。
【0127】そして、上部ピン42および下部ピン43
に軸支された各2本のリンクアーム41は、それぞれ対
応するもの同士がそれぞれ中間ピン44を介して相対回
動可能に連結されている一方、金属板120は、その端
面に長手方向に延びるように穿設された一対のガイド長
孔121を有しており、各中間ピン44がこれらのガイ
ド長孔121に嵌め込まれることによって金属板120
が四辺形リンク構造4に支持された状態で一対の容器本
体110間に配設されることになる。
【0128】かかる容器本体110の底部であって各電
極板13,14の対向面には敷設体17がそれぞれ接着
剤を介して敷設されているとともに、金属板120の表
裏面にも敷設体17がそれぞれ接着剤を介して敷設され
ている。
【0129】かかる殺菌容器1aの構成によれば、上部
電極板13および下部電極板14を互いに離間方向に移
動させることにより、四辺形リンク構造4のリンク運動
によって中間ピン44がガイド長孔121内を互いに接
近する方向に移動し、これによって、図7の(イ)に示
すように、金属板120が水平状態を維持したままで各
容器本体110が開放される。この状態で、各容器本体
110の収納室11a内に包装食品Fが装填される。包
装食品Fの装填は、所定の治具を用いて横方から行われ
る。なお、図7の(イ)では、図示の都合上、上部の容
器本体110の収納室11aに逆さま状態で包装食品F
が装填された状態を描いているが、実際には金属板12
0上に逆さま状態で包装食品Fが載置される。
【0130】ついで、各電極板13,14を互いに接近
する方向に移動させることにより(具体的には、各電極
板13,14をそれぞれ対向方向に押圧することによ
り)、中間ピン44がガイド長孔121内を互いに離間
方向に移動し、これによって金属板120の水平状態が
維持されたまま上下の容器本体110が金属板120に
当接して収納室11aが閉止される。
【0131】この実施形態の殺菌容器1aによれば、四
辺形リンク構造4を採用したことにより、簡単な構造で
ありながら金属板120を挟んで一対の容器本体110
を対向配置することが可能になり、殺菌容器1aのコス
ト低減を図る上で有効である。
【0132】また、収納室11aが閉止された状態で包
装食品Fは、それらの底部が各電極板13,14の対向
面に積層された敷設体17を押圧した状態で同底部が敷
設体17に密着しているとともに、各容器本体110の
入口側は、その縁部が金属板120の表裏に積層された
敷設体17を押圧して弾性変形させた状態になっている
ため、包装食品Fと各電極板13,14および金属板1
20との間に隙間ができるようなことはなく、これによ
って包装食品Fに対する効率的な加熱処理が実現する。
【0133】図8は、本発明の敷設体17が適用される
加熱殺菌装置の他の実施形態を示す側面視の断面図であ
る。この実施形態の加熱殺菌装置3aは、耐圧容器5
と、この耐圧容器5内で上下に対向対置される上部電極
板13および下部電極板14と、各電極板13,14に
高周波を印加する高周波発振器35aと、耐圧容器5内
に圧縮空気を送り込む圧縮ポンプ6とを備えた基本構成
を有している。各電極板13,14の対向面には敷設体
17がそれぞれ敷設されている。また、この実施形態で
は、包装食品F間に金属板12が介設されていない。
【0134】高周波発振器35aと各電極板13,14
とを電気的に接続するリード線350aは、耐圧容器5
の側壁を貫通して配線されている。上記側壁のリード線
350aが貫通する部分には絶縁体50が配設され、こ
の絶縁体50の存在で耐圧容器5とリード線350aと
が電気的に絶縁状態になるようにしている。
【0135】耐圧容器5の一方の側壁には開閉扉51が
設けられ、この開閉扉51を開放した状態で耐圧容器5
内の各電極板13,14間に金属板12を介して包装食
品Fを装填し得るとともに、開閉扉51を閉止すること
により耐圧容器5内が密封状態を維持し得るようになっ
ている。
【0136】また、上記上部電極板13は、押圧手段5
2(例えばばねや油圧等の押圧手段)を介して耐圧容器
5内の天井面に固定され、包装食品Fを各電極板13,
14間に挟持させることにより、押圧手段52の押圧力
によって包装食品Fが各電極板13,14間に押圧挟持
された状態になるように構成されている。
【0137】かかる加熱殺菌装置3aによれば、圧縮ポ
ンプ6の駆動で耐圧容器5内を所定の高圧に圧力設定し
た状態で高周波発振器35aからの高周波を各電極板1
3,14を介して包装食品Fに印加することにより、金
属板12を挟んで上下の電極板13,14間に挟持され
た包装食品Fは誘電加熱され、これによって包装食品F
に殺菌処理が施される。
【0138】そして、耐圧容器5内は、圧縮ポンプ6の
駆動で常圧よりも高圧に圧力設定されているため、包装
食品Fが100℃以上に加熱されても、内部の水分が沸
騰することはなく、従って、包装食品Fの破袋は確実に
防止される。また、一対の包装食品F間には金属板12
が介設されているため、先に説明したように、上下の包
装食品Fについてそれぞれ均一加熱が実現する。なお、
図8では、耐圧容器5内に2つの包装食品Fが装填され
た図を例示しているが、耐圧容器5を大きな耐圧室と
し、この耐圧室内で多くの包装食品Fを一度に加熱処理
するようにしてもよい。
【0139】さらに、各電極板13,14の対向面には
敷設体17がそれぞれ接着剤を介して積層され、この敷
設体17は、包装食品Fの当接面の凹凸に沿うように弾
性変形するため、包装食品Fと各電極板13,14との
間には全く隙間がない状態になり、包装食品Fに対して
誘電加熱を効率的に行い得る状態になる。
【0140】図9は、さらに他の殺菌容器1bの実施形
態を示す一部切欠き斜視図である。この実施形態では、
殺菌容器1bは合成樹脂製の円筒容器1cによって形成
されている。そして、この円筒容器1cの底部には、底
部開口を閉止するように円形に裁断された敷設体17が
接着剤を介して敷設されている。
【0141】かかる殺菌容器1bによれば、包装食品を
この殺菌容器1bの一対にそれぞれ装填したのち各殺菌
容器1bの開口側の縁部を互いに当接させた状態で一対
の殺菌容器1bを対向電極間に挟持させることによって
2つの包装食品は敷設体17を介して電極に挟持された
状態になる。
【0142】本発明は、上記の実施形態に限定されるも
のではなく、以下の内容をも包含するものである。
【0143】(1)上記の実施形態においては、包装食
品Fは、一対の容器本体11の収納室11aに収納され
た状態で金属板12を介して互いに対向させられている
が、包装食品Fが耐圧容器に収納されている場合や、殺
菌温度を100℃以下に設定する、いわゆる低温殺菌を
採用する場合等では、容器本体11の存在は必須ではな
く、包装食品Fで金属板12を挟持した状態で上部電極
板13および下部電極板14で上下の包装食品Fを挟持
するだけでよく、特に容器本体11に包装食品Fを収納
しなくても誘電加熱で包装食品Fが破袋するような不都
合を回避することができる。上記耐圧容器としてはプラ
スチックを使用したトレーや袋を挙げることができる。
【0144】(2)上記の実施形態においては、殺菌容
器1は、1つの容器本体11当り4つの収納室11aが
設けられることにより合計8つの収納室11aを有して
いるが、本発明は、1つの容器本体11当り4つの収納
室11aを設けることに限定されるものではなく、3つ
以下でもよいし、5つ以上であってもよい。
【0145】(3)上記の実施形態においては、金属板
12を一対の容器本体11間に挟持するようにしている
が、こうする代わりに容器本体として深めのものを1つ
だけ採用し、この容器本体内に包装食品Fを1つ装填し
た後で中間電極板を容器本体内で包装食品Fに積層し、
さらにこの中間電極板の上に包装食品Fを重ねた状態で
上部およ下部電極板13,14で容器本体を挟持するよ
うにしてもよい。こうすることによって、金属板12を
介して容器本体11を積み重ねつつ収納室11a内に包
装食品Fを装填するような面倒な作業を行うことなく、
容器本体内に包装食品F、中間電極板および包装食品F
を順次積層するだけで殺菌容器内に包装食品Fを装填す
ることが可能になり、装填作業が容易になる他、殺菌容
器の構成も簡単なものになる。
【0146】(4)上記の実施形態においては、上部電
極板13および下部電極板14に高周波を印加する一
方、金属板12には高周波を印加しないようにしている
が、こうする代わりに、金属板12に高周波出力の一方
のライン接続するとともに、各電極板13,14に他方
のラインを接続するようにしてもよい。例えば電極板1
3,14をアースしてもよい。
【0147】(5)上記の図1〜図4に示す実施形態の
殺菌容器1においては、挟持板150の収納室11aに
対応した位置にそれぞれ1つずつの円形の水入れ孔15
0aを穿設しているが、かかる円形の水入れ孔150a
に代えて、小さな孔を多数設けてもよいし、多数のスリ
ットを設けてもよい。
【0148】(7)上記の実施形態においては、包装食
品Fとしてトレイタイプのものを例に挙げて説明した
が、本発明は、包装食品Fがトレイタイプのものである
ことに限定されるものではなく、合成樹脂製の袋に食品
が収納されたもの等、上面と下面とが平行に形成されて
いるものであれば、どのようなものでもよい。また、誘
電加熱が可能なものであれば、包装食品Fの中身は問わ
ない。
【0149】
【実施例】敷設体17の材質および厚み寸法が包装食品
Fの温度分布にどのような影響を及ぼすかを調べるため
に、図10に示すように、2個の包装食品Fを上下に積
層した状態で敷設体17を介して電極板13,14で挟
持して包装食品Fの所定側定点の温度を測定し、温度分
布を調べる試験を実施した。試験条件は以下の通りであ
る。
【0150】 敷設体の種類 シリコンゴム(3種類) ・第1シリコンゴム(赤色のもの) ・第2シリコンゴム(煉瓦色のもの) ・第3シリコンゴム(乳白色のもの) 包装食品の種類 ・外観形状:ピロータイプ ・内容物:ソフトクリームミックス(200ml/個) ・供試個数:2個 高周波の印加条件 ・高周波出力:1.8kw〜1.0kw ・印加方法:10秒間隔の間欠印加(10秒印加して1
0秒休止。但し、間欠的であっても1.8kwの高周波
を印加し続けると包装食品が破袋するおそれがあること
から、包装食品の最高温度が140℃を越えた時点から
出力を1.0kwに落とした。) 温度測定位置 図10に「×」印で示すように、上部の包装食品Fが上
部の敷設体17と接している位置の中央部、上下の包装
食品Fが接している位置の中央部、および下部の包装食
品Fが下部の敷設体17と接している位置の中央部を選
び、上、中、下の縦方向の温度分布を測定した。
【0151】測定結果を表1に示す。なお、表1におい
ては各ケースにおける上、中、下の平均温度を示すとと
もに、上、中、下の温度のばらつき(標準偏差)をそれ
ぞれ示している。
【0152】
【表1】
【0153】表1から判るように、下部電極板14にの
み敷設体17を敷いて上部電極板13には敷設体17を
用いなかった場合(ケース3)には、通常は温度の低い
包装食品Fの下部の方が高温になっており、このことか
ら敷設体17を使用することにより顕著な保温効果の得
られることが確認された。
【0154】ついで、上下において同一種類のシリコン
ゴムを用いた場合(ケース1)では、上部および下部の
第1シリコンゴムの厚さ寸法を1.5mmおよび5.0
mmにすることにより、包装食品Fの上下の温度差が非
常に小さくなることが確認された。
【0155】さらに、上下でシリコンゴムの種類を変え
た場合(ケース2、ケース4およびケース5)について
試験結果を見てみると、上部に0.5mm厚の第3シリ
コンゴムを用いるとともに、下部に1.5mm厚の第1
シリコンゴムを用いたケース4の温度ばらつきが4.4
℃と最も低く、この組み合わせでシリコンゴムを敷設体
17として使用すれば、誘電加熱時の包装食品Fの温度
分布が均一になることを見出した。
【0156】ついで、上記ケース4のシリコンゴムの組
み合わせによる均一加熱に再現性が存在するか否かを確
認するために、以下の再現性確認テストを4回(ケース
1′〜ケース4′)行った。
【0157】シリコンゴムについては、上部のものとし
て0.5mm厚のものを採用するとともに、下部のもの
として1.5mm厚のものを採用した。包装食品の種
類、高周波の印加条件および温度測定位置については、
先の試験と同様とした。試験結果は表に2示す通りであ
る。
【0158】
【表2】
【0159】表2から判る通り、包装食品Fの上、中、
下の温度分布のばらつき(標準偏差)は、0.4℃〜
3.1℃と極めて低い値になっており、先の試験結果が
再現性のあることを確認することができた。
【0160】
【発明の効果】請求項1〜4記載の発明によれば、包装
食品は、対向配置される電極間に挟まれることにより、
少なくとも一方の内面側に敷設された敷設体に当接した
状態になるため、この敷設体の存在でたとえ対向電極間
の距離が包装食品の厚み寸法より大きいときでも、包装
食品を敷設体を介して電極に当接させることが可能にな
り、これによって包装食品を適切かつ効率的に誘電加熱
することができる。
【0161】また、包装食品は、銘柄によって厚み寸法
が異なるもあるが、このような場合、銘柄毎に装置の仕
様を変更しなくれも、敷設体をその包装食品に合ったも
のに交換するだけで対応することが可能であり、加熱殺
菌装置の汎用性を向上させることができる。
【0162】そして、特に請求項1の発明によれば、敷
設体は、断熱材料によって形成されているため、自身は
発熱しない電極を通して誘電加熱された包装食品の放熱
が起こるような不都合が回避され、加熱効率が向上した
状態で包装食品に誘電加熱による確実な殺菌処理を施す
ことができる。
【0163】また、請求項2の発明によれば、敷設体と
して弾性材料が採用されているため、敷設体を標準的な
厚み寸法より若干厚めに寸法設定しておくことにより、
電極間の距離と包装食品の厚み寸法との間にばらつきが
存在しても、このばらつきは敷設体の圧縮弾性変形によ
って吸収され、これによって電極と包装食品との間の空
気層の形成が確実に防止され、空気層の存在による誘電
加熱効率の低下を防止して確実な殺菌処理を施すことが
できる。
【0164】また、請求項3の発明によれば、敷設体と
して誘電加熱が可能な材料を採用しているため、包装食
品の誘電加熱時に敷設体も発熱し、加熱された敷設体か
らの包装食品への伝熱による加熱効率の向上が実現した
上で、包装食品に確実な殺菌処理を施すことができる。
【0165】さらに、請求項4記載の発明によれば、少
なくとも一方の電極の内面側に断熱性、弾性および誘電
加熱性の少なくとも2つの性質を有する材料によって形
成された敷設体が形成されているため、包装食品は、上
記請求項1〜3の敷設体の内の少なくとも2つの作用を
同時に受けることが可能になり、これらの相加作用で包
装食品をさらに確実に殺菌処理することができる。
【0166】請求項5記載の発明によれば、敷設体を、
所定厚みを有する板状体によって形成したため、包装食
品の上面および下面のいずれか一方または双方が全面的
に敷設体に当接し、これによって全面的に当接しない場
合に比較して包装食品を確実に均一加熱することができ
る。
【0167】請求項6記載の発明によれば、包装食品が
包装材を介して敷設体と接することで包装食品内の温度
分布がより均一になるように敷設体の厚み寸法および材
質の少なくとも一方を設定したため、包装食品内の温度
分布をより均一にすることができる。
【0168】請求項7記載の発明によれば、敷設体を電
極の内面に一体に取り付けたため、包装食品を両電極間
に装填するに際し、敷設体を包装食品と電極との間に挟
み込む作業を一々行うことなく、包装食品を容易に敷設
体に当接した状態にすることができ、作業効率を向上さ
せることができる。
【0169】請求項8記載の発明によれば、対向配置さ
れた電極間に介設されて包装食品を収納する筒状体が備
え、敷設体を筒状体の端面に一体に取り付けたため、包
装食品を筒体内に装填することにより、この筒体を両電
極で挟持することによって、敷設体が包装食品と電極と
の間に挟み込まれた状態になり、敷設体を挟み込む作業
を一々行う必要がなくなり、作業効率を向上させること
ができる。
【0170】請求項9記載の発明は、上下で隣接した包
装食品間には金属板が介設されているため、この金属板
によって上下の包装食品間における電位が一定化される
ので上下包装食品に対して等しい電界分布が確保でき、
各包装食品を均一加熱することができる。
【0171】従って、金属板が存在しない状態で収納室
内に複数の包装食品を装填した場合、上下包装食品間で
の電界分布の不均一に起因して各包装食品の被加熱温度
がばらつき、全ての包装食品に対して短時間に確実な殺
菌処理を施すことが困難になるという従来の不都合が解
消され、複数の包装食品に対する確実かつ効率的な殺菌
処理を行うことができる。
【0172】そして、金属板を介した収納室内の複数の
包装食品は、包装食品間のばらつきが非常に小さい状態
で常に均一に加熱されるため、確実な殺菌処理を施し得
る設定温度を従来ほどには高温にする必要がなくなり、
確実な殺菌処理を確保した上でその分エネルギーコスト
の低減化に貢献することができる。
【0173】請求項10記載の発明によれば、金属板
に、板面に断熱性、弾性および誘電加熱性の内の少なく
とも1つの性質を有する材料によって形成されたシート
体を取り付けたため、請求項9の発明の効果を確保した
上で、上記請求項1〜4の効果を得ることができる。
【0174】請求項11記載の発明によれば、請求項1
乃至10のいずれかに記載の発明を用い、対向配置され
た電極の内面間に包装食品を装填した後、両電極を介し
て上記包装食品に高周波を印加して加熱殺菌処理を施す
ものであるため、包装食品に対し、請求項1〜10の効
果を確保した上で誘電加熱により適性に加熱殺菌処理を
施すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る加熱殺菌容器の一実施形態を示す
斜視図であり、加熱殺菌容器が開放された状態を示して
いる。
【図2】本発明に係る加熱殺菌容器の一実施形態を示す
斜視図であり、閉止された加熱殺菌容器が起立姿勢に姿
勢設定された状態を示している。
【図3】本発明に係る加熱殺菌容器の一実施形態を示す
斜視図であり、閉止された加熱殺菌容器が横臥姿勢に姿
勢設定された状態を示している。
【図4】横臥姿勢に設定された状態の殺菌容器の断面図
である。
【図5】本発明に係る殺菌容器の使用を前提とした包装
食品の製造工程を説明するための工程図である。
【図6】殺菌ラインにおける殺菌処理を実行するための
加熱殺菌装置の一実施形態を示す側面視の説明図であ
る。
【図7】本発明に係る敷設体が適用された殺菌容器の他
の実施形態を示す側面視の説明図であり、(イ)は、容
器が開放された状態、(ロ)は、容器が閉止された状態
をそれぞれ示している。
【図8】本発明の敷設体が適用される加熱殺菌装置の他
の実施形態を示す側面視の断面図である。
【図9】殺菌容器のさらに他の実施形態を示す一部切欠
き斜視図である。
【図10】包装食品の誘電加熱による温度分布を調べる
試験を説明するための説明図である。
【符号の説明】
1,1a,1b 殺菌容器 11 容器本体 11a 収納室 12 金属板 13 上部電極板 14 下部電極板 15 挟持部材 16 連結部材 17 敷設体 18 流体継手 19 受電フィン 3,3a 加熱殺菌装置 31 搬送手段 32 食品投入手段 33 閉止手段 34 容器横転手段 340 高圧空気導入手段 35 高周波供給手段 35a 高周波発振器 35b 給電フィン 36 反転手段 37 測温手段 38 起立手段 39 開放手段 390 食品取出し手段 4 四辺形リンク構造 5 耐圧容器 F 包装食品
フロントページの続き (72)発明者 上田 守 大阪市天王寺区上汐6丁目3番12号 山本 ビニター株式会社内 (72)発明者 明坂 芳生 大阪市天王寺区上汐6丁目3番12号 山本 ビニター株式会社内 (72)発明者 永田 恒雄 大阪市天王寺区上汐6丁目3番12号 山本 ビニター株式会社内 (72)発明者 山本 泰司 大阪市天王寺区上汐6丁目3番12号 山本 ビニター株式会社内 Fターム(参考) 4B021 LA01 LP06 LT03

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 対向配置される電極の内面間に介設され
    た包装食品に電極を介して高周波を印加することにより
    包装食品に対する加熱殺菌処理を施す包装食品の加熱殺
    菌装置であって、少なくとも一方の電極の内面側に断熱
    材料によって形成された敷設体を備えてなることを特徴
    とする包装食品の加熱殺菌装置。
  2. 【請求項2】 対向配置される電極の内面間に介設され
    た包装食品に電極を介して高周波を印加することにより
    包装食品に対する加熱殺菌処理を施す包装食品の加熱殺
    菌装置であって、少なくとも一方の電極の内面側に弾性
    材料によって形成された敷設体を備えてなることを特徴
    とする包装食品の加熱殺菌装置。
  3. 【請求項3】 対向配置される電極の内面間に介設され
    た包装食品に電極を介して高周波を印加することにより
    包装食品に対する加熱殺菌処理を施す包装食品の加熱殺
    菌装置であって、少なくとも一方の電極の内面側に誘電
    加熱が可能な材料によって形成された敷設体を備えてな
    ることを特徴とする包装食品の加熱殺菌装置。
  4. 【請求項4】 対向配置される電極の内面間に介設され
    た包装食品に電極を介して高周波を印加することにより
    包装食品に対する加熱殺菌処理を施す包装食品の加熱殺
    菌装置であって、少なくとも一方の電極の内面側に断熱
    性、弾性および誘電加熱性の少なくとも2つの性質を有
    する材料によって形成された敷設体を備えてなることを
    特徴とする包装食品の加熱殺菌装置。
  5. 【請求項5】 上記敷設体は、所定厚みを有する板状体
    によって形成されていることを特徴とする請求項1乃至
    4のいずれかに記載の包装食品の加熱殺菌装置。
  6. 【請求項6】 上記敷設体は、包装食品が包装材を介し
    て敷設体と接することで包装食品内の温度分布がより均
    一になるように厚み寸法および材質の少なくとも一方が
    設定されていることを特徴とする請求項1乃至5のいず
    れかに記載の包装食品の加熱殺菌装置。
  7. 【請求項7】 上記敷設体は、上記電極の内面に一体に
    取り付けられていることを特徴とする請求項1乃至6の
    いずれかに記載の包装食品の加熱殺菌装置。
  8. 【請求項8】 対向配置された電極間に介設されて包装
    食品を収納する筒状体が備えられ、上記敷設体は、上記
    筒状体の端面に一体に取り付けられていることを特徴と
    する請求項1乃至6のいずれかに記載の包装食品の加熱
    殺菌装置。
  9. 【請求項9】 直列に収納される複数の包装食品間に金
    属板を介設することを特徴とする請求項1乃至8のいず
    れかに記載包装食品の加熱殺菌装置。
  10. 【請求項10】 上記金属板は、板面に断熱性、弾性お
    よび誘電加熱性の内の少なくとも1つの性質を有する材
    料によって形成されたシート体が取り付けられているこ
    とを特徴とする請求項9記載の包装食品の加熱殺菌装
    置。
  11. 【請求項11】 請求項1乃至10のいずれかに記載の
    加熱殺菌装置を用いて包装食品に加熱殺菌処理を施す包
    装食品の加熱殺菌方法であって、対向配置された電極の
    内面間に包装食品を装填した後、両電極を介して上記包
    装食品に高周波を印加して加熱殺菌処理を施すことを特
    徴とする包装食品の加熱殺菌方法。
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