JP2002040031A - 検体試験装置 - Google Patents

検体試験装置

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JP2002040031A
JP2002040031A JP2000225166A JP2000225166A JP2002040031A JP 2002040031 A JP2002040031 A JP 2002040031A JP 2000225166 A JP2000225166 A JP 2000225166A JP 2000225166 A JP2000225166 A JP 2000225166A JP 2002040031 A JP2002040031 A JP 2002040031A
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microplate
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Shogo Kida
正吾 木田
Yoshiko Matsushita
嘉子 松下
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Suzuki Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 マイクロプレートの反応用凹部の乾燥防止を
課題とする。 【解決手段】 試薬と検体とがそれぞれ個別に入った複
数の容器を載置する試薬・検体トレー20と、マイクロ
プレートPを一定の領域に渡って搬送するマイクロプレ
ート搬送機構30と、このマイクロプレート搬送機構3
0により搬送されるマイクロプレートPの各反応用凹部
P1に検体又は試薬の分注を行う分注機構40と、搬送
されるマイクロプレートPを所定の温度に維持する温度
維持機構50と、を備え、マイクロプレート搬送機構3
0によるマイクロプレートPの搬送領域に渡って当該マ
イクロプレートPの上面に近接して覆うプレートカバー
12を設けた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、検体試験装置に係り、
特に、酵素免疫反応のような検体と試薬との反応試験に
好適な検体試験装置に関する。
【0002】
【従来の技術】医療分野の臨床検査における検体の反応
試験,例えば酵素免疫反応試験にあっては、大量の検体
を各々反応容器に振り分け、さらに試薬を反応容器に注
ぎ、必要に応じて所定温度に維持すると共に、検体と試
薬との反応条件を均一化するための撹拌を行い、しかる
後に、試薬の特性に応じた反応を観測するという手法が
行われている。また、必要に応じて、これらの工程の他
に検体や試薬を希釈したり、これらの工程の途中におい
て新たな試薬の投入或いは容器の洗浄作業を行う場合も
ある。
【0003】このように反応試験には様々の煩雑な工程
を必要とすることが多く、これがさらに多くの検体に対
して実施されるとなると、試験を行う検査員の負担が過
大であるため、上述した種々の工程について昨今では自
動化が進められている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来から、検体と試薬
の反応が行われる反応用凹部を複数有するマイクロプレ
ートに対して、上述した各工程の内のいくつかを行う検
体試験装置が実用化している。このような試験装置にあ
っては、マイクロプレートに対して各工程をそれぞれ別
個に行う複数の機構部と各機構部間のマイクロプレート
の搬送を行う搬送手段とを有する構成であることが一般
的である。
【0005】このような検体試験装置には、マイクロプ
レートの各反応用凹部に対して分注,洗浄,反応測定等
の工程を行うためには、反応用凹部の上部が開口してい
ることが望ましい。しかしながら、マイクロプレートを
そのような構造とした場合、各反応用凹部内の検体又は
試薬の水分の蒸発が生じやすいという不都合があった。
【0006】
【発明の目的】本発明は、かかる従来例の有する不都合
を改善し、複数の検体に対して試薬との反応試験に必要
な複数の作業を行いつつも試験時において検体又は試薬
の水分の蒸発を回避する検体試験装置を提供すること
を、その目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
検体と試薬との反応が行われる複数の反応用凹部を有す
るマイクロプレートによる検体の反応試験を行う検体試
験装置であって、試薬と検体とがそれぞれ個別に入った
複数の容器を載置する試薬・検体トレーと、マイクロプ
レートを一定の領域に渡って搬送するマイクロプレート
搬送機構と、このマイクロプレート搬送機構により搬送
されるマイクロプレートの各反応用凹部に検体又は試薬
の分注を行う分注機構と、搬送されるマイクロプレート
を所定の温度に維持する温度維持機構と、を備えてい
る。
【0008】そして、マイクロプレート搬送機構による
マイクロプレートの搬送領域に渡って当該マイクロプレ
ートの上面に近接して覆うプレートカバーを設ける、と
いう構成を採っている。
【0009】上記構成では、試薬・検体トレー上に載置
された検体を吸引した分注機構の分注位置にマイクロプ
レートが搬送され、マイクロプレートの所定の反応用凹
部に対して分注機構は吸引した検体を吐出する。かかる
分注作業は検体数に応じて各反応用凹部ごとに繰り返し
行われる。また、同様にして試薬・検体トレー上の試薬
が各反応用凹部に分注される。
【0010】そして、検体,試薬の分注が終わると、マ
イクロプレート搬送機構によりマイクロプレートは温度
維持機構に搬送される。このとき、分注機構と温度維持
機構との間にあっては搬送されるマイクロプレートの上
面に近接するプレートカバーが配設されているので、反
応用凹部内への空気の侵入及び上部からの水分の揮発が
抑制され、反応用凹部内の水分の蒸発及び乾燥化が抑制
される。また、温度維持機構から分注機構への移動の際
も同様である。
【0011】一方、温度維持機構に搬送されたマイクロ
プレートは、所定の時間の所定の反応温度で維持され、
これにより反応の定条件下又は促進が図られる。
【0012】請求項2記載の発明は、請求項1記載の発
明と同様の構成を備えると共に、分注機構をマイクロプ
レート搬送機構の搬送領域の途中に配置し、プレートカ
バーの,分注機構に対応する箇所に開口部を設ける、と
いう構成を採っている。
【0013】この構成の場合には、請求項1記載の発明
と同様の動作が行われると共に、マイクロプレートの各
反応用凹部に対する分注はプレートカバーの開口部を介
して行われる。また、温度維持機構についても同様に搬
送領域に配置することは可能であるが、通常温度維持機
構については反応用凹部の上方から作業が行われる蓋然
性を有していないので、そのような場合であってもプレ
ートカバーの温度維持機構に対応する位置に開口部を設
ける必要はない。このことは、請求項1乃至5記載の発
明について同様である。
【0014】請求項3記載の発明は、請求項1記載の発
明の構成に加えて、搬送されるマイクロプレートの各反
応用凹部内の洗浄を行う洗浄機構を備え、分注機構と洗
浄機構のいずれか一方或いは双方の機構を,マイクロプ
レート搬送機構の搬送領域の途中に配置し、プレートカ
バーの,いずれか一方或いは双方の機構に対応する箇所
に開口部を設ける、という構成を採っている。
【0015】この構成の場合には、請求項1記載の発明
と同様に、温度維持機構と分注機構と洗浄機構の相互間
の搬送に際して反応用凹部内の水分の蒸発及び乾燥化が
抑制される。また、分注機構が搬送領域の途中に配置さ
れている場合には、開口部を介してマイクロプレートに
対する分注が行われ、洗浄機構が搬送領域の途中に配置
されている場合には、開口部を介してマイクロプレート
の各反応用凹部の洗浄が行われる。
【0016】請求項4記載の発明は、請求項1記載の発
明の構成に加えて、搬送されるマイクロプレートの各反
応用凹部内の洗浄を行う洗浄機構と、搬送されるマイク
ロプレートの各反応用凹部内の反応を測定する反応測定
機構とを備え、分注機構と温度維持機構と洗浄機構と反
応測定機構の四つの内の二乃至四つの機構を,マイクロ
プレート搬送機構の搬送領域の途中に配置し、プレート
カバーの,搬送領域の途中に配置した二乃至四つの機構
に対応する箇所に開口部を設ける、という構成を採って
いる。
【0017】かかる構成では、請求項1記載の発明と同
様に、温度維持機構と分注機構と洗浄機構と反応測定機
構の相互間の搬送に際して反応用凹部内の水分の蒸発及
び乾燥化が抑制される。また、分注機構が搬送領域の途
中に配置されている場合には、開口部を介してマイクロ
プレートに対する分注が行われ、洗浄機構が搬送領域の
途中に配置されている場合には、開口部を介してマイク
ロプレートの各反応用凹部の洗浄が行われる。同様に、
反応測定装置が搬送領域の途中に配置されている場合
も、開口部を介してマイクロプレートの各反応用凹部の
反応測定が行われる。
【0018】請求項5記載の発明は、請求項2,3又は
4記載の発明の構成に加えて、開口部に、開閉自在の蓋
部材を装備する、という構成を採っている。かかる構成
では、請求項2,3又は4記載の発明と同様の動作が行
われると共に、開口部を介する作業が行われる際に、そ
の蓋部材が開かれる。
【0019】本発明は、上述した各構成によって前述し
た目的を達成しようとするものである。
【0020】
【発明の実施の形態】(実施形態の全体構成)以下、本
発明の実施形態を図1乃至図19に基づいて説明する。
本実施形態は、被験者の体液,血液,血清等の検体に対
して抗体反応の検査を行う検体試験装置としての酵素免
疫反応測定装置10である。その検査には、検体と試薬
との酵素免疫反応が行われる複数の反応用凹部としての
ウェルP1(図3参照)を有するアッセイ用のマイクロ
プレート(以下、アッセイプレートPとする)が使用さ
れる。図1は酵素免疫反応測定装置10の各部の配置を
概略的に示す斜視図であり、図2は酵素免疫反応測定装
置10の各部の配置を概略的に示す平面図である。
【0021】この酵素免疫反応測定装置10は、複数種
の試薬が個別に入った複数の試薬瓶S及び複数の検体が
個別に入った複数の検体容器Kを載置する試薬・検体ト
レー20と、この試薬・検体トレー20を往復移動自在
に支持する基台11と、試薬・検体トレー20の往復移
動を付勢するトレー搬送機構としてのステージ機構30
と、アッセイプレートPの各ウェルP1に検体又は試薬
の分注を行う分注機構40と、アッセイプレートPを所
定の温度に維持する温度維持機構50と、アッセイプレ
ートPの各ウェルP1内の洗浄を行う洗浄機構60と、
アッセイプレートPの各ウェルP1内の酵素免疫反応を
測定する反応測定機構70と、アッセイプレートPの各
ウェルP1内の検体又は試薬の乾燥を防止するプレート
カバー12と、後述する使い捨てのチップT1,T2,
T3が廃棄されるチップ廃棄部13とを備えている。ま
た、符号14は、装置各部に電力を供給する電源であ
り、符号15は装置全体を収容する装置カバーであり、
符号16は電源14を外気にて冷却するファンである。
なお、この酵素免疫反応測定装置10は、各部の動作制
御を行う動作制御手段としてパーソナルコンピュータ
(図示略)が接続されている。
【0022】以下各部を説明する。
【0023】(アッセイプレート及び希釈用プレート)
まず、各部の構成の説明の前にアッセイプレートPにつ
いて説明する。ここで、後述する検体又は試薬の希釈用
のマイクロプレート(以下、希釈用プレートUとする)
もアッセイプレートPと同一構造のプレートなので同時
に説明する。このアッセイプレートP(希釈用プレート
U)の平面図の一例を図3(A)に,正面方向の断面図
を図3(B)に示す。アッセイプレートP(希釈用プレ
ートU)は横12×縦8の計96個のウェルP1(U
1)が平面上に並んで形成されている。各ウェルP1
(U1)は有底且つ上方が開口しており、底面はフラッ
トになっている。なお、アッセイプレートP(希釈用プ
レートU)はこのように底面がフラットなものに限ら
ず、底面が半球形状に形成されているものもある。
【0024】さらに、アッセイプレートPについては、
透明なプラスチックでできており、上方から所定波長の
光を照射し、アッセイプレートPの下方でその透過光か
ら吸光度を測定することで酵素免疫反応の測定結果を得
ることが可能となっている。また、各ウェルP1の内面
全体には予め試薬が塗布されており、その上から検体や
また別の試薬が分注されるようになっている。希釈用プ
レートUについては、特に透明である必要はなく、また
試薬も塗布されていない。
【0025】(基台)基台11は、前述した酵素免疫反
応測定装置10の各構成が載置装備される板状部材であ
り、かかる基台及び各構成は、図示しない装置カバー内
に全て収容される。
【0026】(試薬・検体トレー)次に、試薬・検体ト
レー20について図2及び図4に基づいて説明する。図
4は、試験時における試薬・検体トレー20の斜視図を
示している。この試薬・検体トレー20は、トレー搬送
機構30を介して基台11上に装備されている。そし
て、この試薬・検体トレー20は、長方形の板状を呈す
るトレー本体27と、このトレー本体27上に配設され
たストッカ群とを備える構成となっている。
【0027】トレー本体27上においてストッカ群は、
トレー搬送機構30による往復方向Yに沿って順番に配
置された、検査方式に対応した複数の試薬の試薬瓶Sを
保持する試薬ストッカ21と、複数の検体を個別に収納
する検体容器Kを複数保持する検体ストッカ22と、各
検体をアッセイプレートPの対応するウェルP1に分注
する際に使用される検体用チップT1を複数保持する検
体用チップストッカ23及び各ウェルP1ごとに対応す
る複数の希釈用チップT2を保持する希釈用チップスト
ッカ24と、試薬ストッカ21及び検体ストッカ22に
隣接して各試薬に対応する試薬分注用の試薬用チップT
3を保持する試薬チップストッカ25から構成されてい
る。
【0028】上記試薬ストッカ21には、試薬瓶Sを上
方から挿入して保持する孔部21aが前述したY方向と
直交するX方向に並んで七つ形成されているが、その数
に限定はない。即ち、必要に応じてより多く設けてもま
たより少なくしても良い。
【0029】検体ストッカ22は、トレー状に形成され
ており、トレー本体27から着脱自在に装備されてい
る。この検体ストッカ22は、有底で上部が開口した検
体容器を挿入して保持する孔部22aがX方向に14×
Y方向に7で計98形成されている。この孔部22aの
総数もこれに限定されるものではない。
【0030】検体用チップストッカ23と希釈用チップ
ストッカ24は互いにX方向に沿って隣接して配置され
ており、いずれも検体ストッカ22に隣接している。こ
れら各チップストッカ23,24はトレー本体27上に
装備されたホルダ26に着脱自在に保持される。各チッ
プストッカ23,24はいずれも同一の構造であり、ま
た検体用チップT1と希釈用チップT2も同一の構造を
備えている。そして、各チップストッカ23,24から
は各チップT1,T2は抜脱自在に保持されている。
【0031】ここで、各チップT1,T2について説明
を加えると、これらは管状であって、先端部が基端部よ
りも細くなっている(図15参照)。このチップT1,
T2の基端部が後述する分注機構40の分注ノズル先端
部に装着され、チップ先端部から検体又は希釈液の吸入
・吐出が行われる。各検体の混合を防ぐため、複数ある
各チップT1,T2は、それぞれのアッセイプレートP
又は希釈用プレートUの各ウェルP1,U1に個別に対
応するものが使用される。
【0032】上述した試薬用チップストッカ25は、ト
レー本体27のX方向における一端部に装備されてい
る。この試薬用チップストッカ25は、Y方向に沿って
並んだ状態で9つの試薬用チップT3を保持することが
でき、これら各チップT3も抜脱自在となっている。こ
のチップ保持数についても限定はないが、試薬ストッカ
21の試薬瓶保持数よりも多く設定することが望まし
い。
【0033】ここで、試薬用チップT3について説明を
加えると、このチップT3は前述の検体用チップT1と
同様に管状であって、先端部が基端部よりも細くなって
いる(図15参照)。そして、このチップT3の基端部
もまた後述する分注機構40の分注ノズル先端部に装着
され、チップ先端部から試薬の吸入・吐出が行われる。
但し、この試薬用チップT3は、検体用チップT1より
も径が大きく、その長さもより長く設定され、内部容積
が大きく設定されている。そして、試薬用チップT3も
また、各試薬の混合を防ぐために、各試薬瓶Sごとに個
別のものが使用される。
【0034】(保持枠体)さらに、この試薬・検体トレ
ー20のトレー本体27上には、アッセイプレートP及
び希釈用プレートUの保持部としての保持枠体28が、
加振機構80を介してトレー本体27上に設けられてい
る。図5(A)に保持枠体28の平面図,図5(B)に
W−W線に沿った断面図を示し、図6に加振機構80の
分解斜視図を示す。
【0035】これら保持枠体28及び加振機構80は、
トレー本体27上のX方向における端部に配設され、前
述した希釈用チップストッカ24に隣接している。保持
枠体28は平板状を呈しており、その上面にはアッセイ
プレートPの配置領域である凹部28aと希釈用プレー
トUの配置領域である凹部28bとが形成されている。
各凹部28a,28bはいずれも各プレートP,Uが丁
度収まる形状及び大きさで形成されており且つ各プレー
トP,Uの長手方向(ウェルが12個並んだ方向)がY
方向に沿うようにトレー本体27上に配設されている。
また、図4に示すようにアッセイプレートPの配置領域
が設けられた保持枠体28の右半分は、トレー本体27
の平面領域内からX方向に沿った一方向に向かって突出
している。
【0036】また、図5の如く、保持枠体28の凹部2
8aの底面には保持枠体28の背面側に貫通した大きな
穴28cが設けられている。この穴28cは、アッセイ
プレートPの底面の周縁部を除いたほぼ全体が保持枠体
28の下方に露出する大きさに設定されている。この穴
28cは、後述する温度維持機構50がアッセイプレー
トPを下方から加温すること及び反応測定機構70が上
方から照射した光の下方への透過光を検出することを考
慮して設けられている。
【0037】また、保持枠体28の上面における保持部
28aのY方向側に隣接して、洗浄機構60の後述する
吸引ノズル先端部を洗浄するための洗浄槽29が設けら
れている。この洗浄槽29はアッセイプレートPのX方
向幅とほぼ等しい幅に設定されており、洗浄時には槽内
部で洗浄液の吐出と吸引を繰り返し、これにより吸引ノ
ズルの先端部の洗浄を行う。
【0038】(加振機構)前述したように、上記保持枠
体28は加振機構80を介してトレー本体27上に装備
されている。この加振機構80は、図6に示すように、
四本の足を介してトレー本体27上に固定装備された台
板81と、回転軸を垂直方向(X方向,Y方向のいずれ
にも直交する方向、以下この方向をZ方向とする)であ
って上方に向けて台板81に固定装備された加振モータ
82と、この加振モータ82の駆動軸に装備された偏心
カム83と、偏心カム83の偏心軸83aを回転自在に
保持枠体28と連結する軸受け84と、保持枠体28を
水平面(X方向,Y方向のいずれにも平行な面)に沿っ
たいずれの方向への滑動も自在として台板81に連結す
るスライダの連結体85と、台板81に対する保持枠体
28の基準位置を検出する原位置センサ86とを備えて
いる。
【0039】上記加振モータ82は回転数及び回転角度
の制御を自在に行うことができるサーボモータであり、
加振後に台板81に対する保持枠体28の位置が変化し
ないように常に一定の回転角度で加振を終了する制御が
行われる。
【0040】偏心カム83は、一端で加振モータ82の
駆動軸と連結され,他端には駆動軸と平行且つ偏心した
偏心軸83aを備えている。この偏心軸83aが軸受け
84を介して保持枠体28と連結されることで、加振モ
ータ82の駆動により保持枠体28は駆動軸を中心とす
る偏心軸83aの偏心距離を半径とした円運動が付勢さ
れることとなる。
【0041】台板81と保持枠体28とを連結する連結
体85は、一方の部材に対する他方の部材の直線方向に
沿った滑動を自在とするスライダを二つ組み合わせたも
のであり、一方のスライダの滑動方向をX方向に向け、
他方のスライダの滑動方向をY方向に向けて台板81−
保持枠体28間に装備している。従って、保持枠体28
は枠体自体の向きを変えることなく水平面に沿った方向
のいずれにも滑動することを可能としている。このた
め、保持枠体28は前述した加振モータ82の駆動によ
り水平面に沿って向きを替えずに円運動を行うこととな
る。
【0042】また前述した偏心カム83の円周面上には
突起部83bが設けられており、前述した原位置センサ
86はかかる突起部83bの有無を検出する。原位置セ
ンサ86の検出信号は前述した酵素免疫反応測定装置1
0の動作制御を行うパーソナルコンピュータに出力し、
これに対してパーソナルコンピュータは、突起部83b
の検出時に保持枠体28が基準位置にあるものと判断し
てそのときの回転角度で加振モータ82の駆動を停止
し、加振動作を終了する制御が行われる。従って、加振
動作の前後において、台板81に対する保持枠体28の
位置を常に一定に保つことができ、他の作業(例えば、
アッセイプレートPの分注,洗浄,保温,反応測定等)
の際にアッセイプレートPの位置ズレによる不都合を防
止することができる。
【0043】(ステージ装置)次に、ステージ装置30
について図2及び図7に基づいて説明する。前述の如く
試薬・検体トレー20上に保持枠体28を介してアッセ
イプレートPが保持されているので、試薬・検体トレー
20の搬送を行うステージ機構30がマイクロプレート
搬送機構として機能することとなる。
【0044】このステージ装置30は、試薬・検体トレ
ー20をY方向に沿って案内する二つのガイド軸31
a,31bと、試薬・検体トレー20の下面側に固定装
備され,各ガイド軸31a,31bに沿って滑動自在の
スライダ32a,32bと、二つの従動プーリ33a,
33bによってY方向に沿って張設された無端ベルト3
4と、この無端ベルト34の搬送の駆動源である駆動モ
ータ35と、駆動モータ35の出力軸に装備された主動
プーリ36と、従動プーリ33aと同一軸で連結された
減速プーリ37と、主動プーリ36のトルクを減速プー
リに伝える伝達ベルト38とを備えている。
【0045】上記各ガイド軸31a,31bは、いずれ
もY方向に沿った状態で基台11(図7では図示略)に
両端部が固定されている。各スライダ32a,32b
は、それぞれガイド軸31a,31bと係合した直動玉
軸受け(図示略)を内蔵しており、これによりガイド軸
31a,31bに沿って滑動を自在としている。また、
各スライダ32a,32bは試薬・検体トレー20のト
レー本体27の下面側に装着されており、これによって
試薬・検体トレー20全体がY方向に沿って往復自在と
なっている。
【0046】各従動プーリ33a,33b及び無端ベル
ト34はいずれもガイド軸31bに近接して配置されて
おり、スライダ32bはブラケット32cを介して無端
ベルト34の中間部に連結されている。従って、無端ベ
ルト34の搬送によりスライダ32bを介して試薬・検
体トレー20の往復動作が付勢される。
【0047】減速プーリ37と従動プーリ33aとは同
一軸の両端部にそれぞれ支持されており連動する。主動
プーリ36は減速プーリ37よりも小径であり、これに
より減速プーリ37には回転速度が減速されて伝達され
る。
【0048】駆動モータ35は、自在に回転量の制御が
行うことが可能なサーボモータである。この回転量を制
御することで、Y方向における試薬・検体トレー20の
位置決めが行われる。
【0049】(温度維持機構)図2に示すように、温度
維持機構50は、基台11上においてY方向における手
前側(図2における下端部)に位置し且つ試薬・検体ト
レー20の往復移動領域における保持枠体28が装備さ
れた端部側(図2における右側)に隣接して基台11上
に配置されている。この温度維持機構50について図8
及び図9に基づいて説明する。図8は後述する蓋体56
を開いた状態の温度維持機構50の斜視図,図9はアッ
セイプレート及び保持枠体の移動領域Rと温度維持機構
50の筐体52の関係を示す斜視図である。
【0050】この温度維持機構50は、温度調節体とし
てのヒータ51とこのヒータ51を内蔵する筐体52と
を有している。ヒータ51は図示を省略した操作盤によ
り温度設定することができる。なお、温度調節体はヒー
タに限定しなくとも良く、例えばペルチェ素子を使用し
て加温だけでなく冷却も可能としても良い。
【0051】筐体52は、ヒータ51を保持する本体5
3と、基台11(図示略)上で本体53を支持する四本
の脚部54と、本体53の上面端部から立設された側壁
55の上端部に設けられた開閉自在の蓋体56とを備え
ている。
【0052】前述したヒータ51は本体53の上面部に
装備されている。そして、蓋体56は閉じた状態におい
てはアッセイプレートP及び保持枠体28の移動領域を
挟んでヒータ51と対向するように側壁55に装備され
ている。即ち、本体53と蓋体56とは、試薬・検体ト
レー20の移動により搬送されてくるアッセイプレート
P及び保持枠体28を介挿でき且つアッセイプレートP
の保持状態の保持枠体28の厚さ(高さ)にほど近い隙
間が設けられている。このため、アッセイプレートPを
本体53と蓋体56との間に介挿すると、ヒータ51は
アッセイプレートPの下面に近接して対向し、蓋体56
はアッセイプレートPの上面に近接して対向する。前述
したように保持枠体28の凹部28aには穴28cが設
けられているので、アッセイプレートPの下面とヒータ
51とは遮蔽する物がない状態で対向するので、ヒータ
51からの熱を効率良く伝達することができる。また、
アッセイプレートPの各ウェルP1の開口部には蓋体5
6が近接して存在するので各ウェルP1内の検体,試薬
等の過度の水分の蒸発を防止することが可能である。
【0053】図9は蓋体56を閉じた状態の筐体52を
示している。この図9において、符号Rは試薬・検体ト
レー20の移動に伴うアッセイプレートP及び保持枠体
28の移動領域を示している。この図に示すように、温
度維持機構50はアッセイプレート及び保持枠体の移動
領域Rの末端部において当該領域Rと重複した状態で基
台11上に配置されている。そして、筐体52のアッセ
イプレート及び保持枠体の移動領域Rとの重複する部位
は切り欠かれている。即ち、筐体52のY方向における
一端面とX方向における一端面にそれぞれ切り欠き52
a,52bが設けられ、アッセイプレートPと保持枠体
28とは試薬・検体トレー20の移動に伴って筐体52
の内部に案内されることが可能となっている。
【0054】(反応測定機構)図2に示すように、反応
測定機構70は、温度維持機構50のY方向における奥
側(図2における上方)に隣接し且つ試薬・検体トレー
20の往復移動領域における保持枠体28が装備された
端部側(図2における右側)に隣接して基台11上に配
置されている。この反応測定機構70について図10に
基づいて説明する。図10(A)は反応測定機構70の
正面図,図10(B)は側面図を示す。
【0055】この反応測定機構70は、光源であるハロ
ゲンランプ71aを備えその出射光をアッセイプレート
PのウェルP1に照射する照射部71と、受光センサと
してフォトダイオード72aを備えるセンサ保持体72
と、測定に応じた複数種のバンドパスフィルタ73aを
備えるフィルタ保持体73と、フィルタ保持体73を駆
動するフィルタ選択手段74と、照射部71,センサ保
持体72及びフィルタ保持体73を保持するブラケット
75と、基台11(図10では図示略)上に二本の脚7
6aで支持された台板76と、この台板76上に装備さ
れたガイド部材77と、このガイド部材77に沿って自
在に滑動するスライダ78と、このスライダ78に往復
移動を付勢する位置決め付勢手段79とを備えている。
【0056】上記照射部71は、ハロゲンランプ71a
とその出射光が通過する案内管71bと通過した出射光
をセンサ保持体72側に反射するミラー71cとを備え
ている。案内管71bはブラケット75からX方向に沿
って立設されており、案内管71bの基端部から先端部
に装備されたミラー71cまでの距離はアッセイプレー
トPのX方向幅(短い方の幅)よりも長く設定されてい
る。
【0057】さらに、ハロゲンランプ71aと案内管7
1bとの間には円板状のフィルタ保持体73が介挿され
ており、その同一円周上に各々通過帯域の異なる複数種
類(本実施形態では五種類)のバンドパスフィルタ73
aが保持されている。また、フィルタ保持体73の同一
円周上に一つだけバンドパスフィルタ73aが装備され
ていないただの貫通穴73bが形成されている。
【0058】フィルタ選択手段74は、上記フィルタ保
持体73を回転させるサーボモータ74aと、フィルタ
保持体73の外周に設けられた原位置突起74bと、原
位置突起74bを検出する原位置センサ74cとを備え
ている。かかる構成により、原位置突起74bを原位置
センサ74cにより検出後、サーボモータ74aにより
フィルタ保持体73を所定角度回転させることにより、
所望のバンドパスフィルタ73aをハロゲンランプ71
aに位置決めし、所定波長の光波を照射部71から出射
することを実現する。
【0059】一方、センサ保持体72もまたブラケット
75からX方向に沿って立設されており、その基端部か
ら先端部に装備されたフォトダイオード72aまでの距
離は、案内管71bの基端部から先端部のミラー71c
までの距離に等しく設定されている。また、図10に示
すように、アッセイプレート及び保持枠体の移動領域R
が案内管71bとセンサ保持体72との間に位置するよ
うにこれらの高さ設定が成されており、試薬・検体トレ
ー20の移動により案内管71bとセンサ保持体72と
の間にアッセイプレートPが案内され,ウェルP1の通
過光をフォトダイオード72aで検出することでその吸
光度から測定結果を得ることができる。
【0060】スライダ78はブラケット75を保持して
おり、ガイド77はX方向に沿って台板76上に装備さ
れている。従って、スライダ78の滑動によりフォトダ
イオード72aによる検出位置をX方向に沿って変化さ
せることができる。スライダ78の移動を付勢する位置
決め付勢手段79は、主動プーリ79aと従動プーリ7
9bとによりX方向に沿って張設された無端ベルト79
cと主動プーリ79aを回転させるサーボモータ79d
とを備えている。スライダ78は無端ベルト79cの中
間部に小ブラケット78aを介して連結されており、サ
ーボモータ79dの回転によってスライダ78及びブラ
ケット75を介してフォトダイオード72aによるX方
向における検出位置の位置決めが行われる。即ち、アッ
セイプレートPのX方向に一列に並んだ各ウェルP1に
対してその配列間隔ごとにフォトダイオード72aの位
置決めを行い、その列の全てのウェルP1に対して吸光
度測定を行う。また、前述の如くアッセイプレートPは
試薬・検体トレー20の移動によりY方向に沿って搬送
自在であるため、かかる搬送動作とフォトダイオード7
2aのX方向の位置決め動作との協動によってアッセイ
プレートPの全てのウェルP1に対して吸光度測定を行
うことが可能である。
【0061】(洗浄機構)図2に示すように、洗浄機構
60は、反応測定機構70のY方向における奥側(図2
における上方)に隣接し且つ試薬・検体トレー20の往
復移動領域における保持枠体28が装備された端部側
(図2における右側)に隣接して基台11上に配置され
ている。この洗浄機構60について図11及び図12に
基づいて説明する。図11は洗浄機構60の正面図,図
12は一部省略した左側面図を示す。なお図12におい
て後述するノズルカバー65より奥に位置する構成につ
いては図示を省略している。
【0062】この洗浄機構60は、基台11(図11,
12では図示略)上に四本の足61aで支持されたシャ
ーシ本体61と、洗浄液吐出ノズル62aと吸引ノズル
62bとを八組備えた洗浄マニホールド62と、この洗
浄マニホールド62を保持するホルダ63と、このホル
ダ63を介して洗浄マニホールド62をシャーシ本体6
1に対して昇降させる昇降付勢部64と、洗浄マニホー
ルド62の各ノズル62a,62bからの液垂れを防止
するノズルカバー65と、図示を省略した洗浄液タン
ク,洗浄液圧送ポンプ及び吸引ポンプとを備えている。
【0063】上記洗浄マニホールド62は一方向が長く
設定された直方体形状を成し、その下面にはその長手方
向に沿って均一間隔で洗浄液吐出ノズル62aと吸引ノ
ズル62bの対が装備されている。この吸引ノズル62
bは洗浄液吐出ノズル62aよりも長く設定されてい
る。各ノズル対の間隔はアッセイプレートPのX方向の
ウェルP1の間隔と等しく設定されている。また、この
洗浄マニホールド62の上面には各洗浄液吐出ノズル6
2aに通じている液供給口62cと各吸引ノズル62b
に通じている吸引口62dとが設けられ、前者には洗浄
液圧送ポンプ及び洗浄液タンクがホースを介して接続さ
れ、後者には吸引ポンプがホースを介して接続されてい
る。
【0064】また符号62eはパーソナルコンピュータ
の指令により開閉制御自在のバルブである。各ポンプは
通常連続的に駆動しており、このバルブが開状態となっ
たときのみ洗浄液吐出ノズル62aから洗浄液が吐出す
るようになっている。
【0065】さらに洗浄マニホールド62の前面と背面
とにはホルダ63に対する位置決め用突起62f,62
gが設けられている。この位置決め用突起62f,62
gはホルダ63に設けられた切り欠きにはめ込まれて洗
浄マニホールド62のX方向における位置決めが成され
るようになっている。
【0066】シャーシ本体61は、昇降付勢機構64及
びホルダ63を介して洗浄マニホールドを保持したとき
に、洗浄マニホールド62の長手方向(ノズルの対が並
んだ方向)がX方向と平行になるように且つアッセイプ
レート及び保持枠体の移動領域Rを通過するアッセイプ
レートPのX方向に並んだ各ウェルP1の上方に各ノズ
ル対が位置するように基台11上に配備されている。よ
り正確には、各ノズル対の位置が対応するウェルP1の
X方向における中心位置となるようにシャーシ本体61
の配置設定が成されている。
【0067】昇降付勢機構64は、Z方向に沿ってシャ
ーシ本体61に固定装備されたガイド部材64aと、こ
のガイド部材64aに沿って滑動自在に支持されたスラ
イダ64bと、Z方向に沿ってシャーシ本体61に回転
自在に装備されたネジ軸64cと、このネジ軸64cを
回転させるサーボモータ64dとを備えている。
【0068】上記スライダ64bはホルダ63を固定支
持しており、このホルダ63を介して洗浄マニホールド
62に昇降動作を伝達する。また、スライダ64bは、
ネジ軸64cとボールネジ(図示略)を介して係合して
おり、ネジ軸64cの回転に応じて昇降動作が付勢され
る。
【0069】この昇降付勢機構64では、洗浄マニホー
ルド62の吸引ノズル62bがアッセイプレートPから
離間して上方に位置する高さ(図11,12の状態、退
避高さとする)と、洗浄マニホールド62の吸引ノズル
62bがアッセイプレートPのウェルP1の上部に接近
する高さ(吐出高さとする)と、洗浄マニホールド62
の吸引ノズル62b先端がウェルP1の底面に届く高さ
(吸引高さとする)の三段階に高さ調節される。従っ
て、各高さごとにスライダ64bを検出するセンサをシ
ャーシ本体61に設ければ、回転量制御の可能なサーボ
モータ64dではなく通常の駆動モータの使用も可能で
ある。
【0070】スライダ64bに支持されるホルダ63
は、洗浄マニホールド62の長手方向長さに近い長さで
X方向に沿うようにスライダ64bに支持されている。
またこのホルダ63は図12に示すように断面形状がコ
字状に形成されておりその開口部が上方に向けられてい
る。洗浄マニホールド62はホルダ63の断面形状にお
ける隙間部分に介挿される。このとき、ホルダの隙間部
分の幅は洗浄マニホールドの厚さより少し大きく設定さ
れており、洗浄マニホールド62を保持するとホルダ6
3の内部には若干の遊びを生ずることとなる。しかしな
がら、このホルダ63には、装着された洗浄マニホール
ド62を弾性を持って押圧するバネ部材63aが設けら
れているので、洗浄マニホールド62のY方向のがたつ
きは防止される。このように、ホルダ63は洗浄マニホ
ールド62を遊びと押圧力を持って保持することで、吸
引動作時において、吸引ノズル62bをウェルP1の内
部壁面に押圧力を持って当接させることが可能となり、
このようにすることでより効果的にウェルP1内の液体
を除去することが可能となる。
【0071】また、コ字状をなすホルダ63の互いに向
かい合う面には、前述した洗浄マニホールド62に設け
られた位置決め用突起62f,62gに対応する切り欠
き63b(もう一方の切り欠きは図示略)が形成されて
いる。この切り欠き63bにより洗浄マニホールド62
の各ノズル対はX方向について位置決めされ且つ固定さ
れる。
【0072】さらに、ホルダ63はその上部にノズルカ
バー65の回動を付勢するための当接ローラ63cを備
えている。この当接ローラ63cは、スライダ64bに
よる昇降動作と共に昇降を行う。
【0073】このノズルカバー65は、図12に示すよ
うに、シャーシ本体61の上面と相対する第一のアーム
部65aと、この第一のアーム部65aの一端部にその
基端部が連結された第二のアーム部65bと、この第二
のアーム部65bの先端部に装備された受け皿65cと
を備えている。第一のアーム部65aは、その一端部近
傍にてX方向に平行な支軸65dを介して回動自在にシ
ャーシ本体61と連結され、その他端部にはシャーシ本
体61の上面から離間する方向に押圧する押圧バネ65
eを備えている。
【0074】第二のアーム部65bは第一のアーム部6
5aにほぼ直角に連結されており、第一のアーム部65
aが水平方向を向いているときには第二のアーム部65
bの先端部は下方を向いている。かかる状態において、
受け皿65cは洗浄マニホールド62の各ノズル対の直
下に位置するように第二のアーム部65bの先端部から
図12における右側に幾分シフトして装備されている。
この受け皿65cは、洗浄マニホールド62のX方向の
長さにほぼ等しい長さに設定されており且つX方向と平
行に第二のアーム部65bに支持されている。さらに、
この受け皿65cはその底面がX方向における一端部
(図11における右端部)側が低くなるように傾斜して
おり、当該一端部には各ノズル62a,62bから垂れ
た残留液を集積して排出する排出口65fが形成されて
いる。この排出口65fの下方には図示を省略した廃液
集積容器が配設される。
【0075】ところで、洗浄マニホールド62及びホル
ダ63は前述したように、昇降付勢機構64によって、
退避高さと吐出高さと吸引高さの三段階に高さ調節され
る。ホルダ63に設けられた当接ローラ63cは、退避
高さのときにノズルカバー65の第一のアーム部65a
が水平となるように押圧バネ65eに抗して当接する配
置設定が成されている。従って、洗浄マニホールド62
及びホルダ63が吐出高さ又は吸引高さまで下降する
と、第一のアーム部65aは押圧バネ65eによって回
動を付勢され、これに伴い受け皿65cは各ノズル対の
直下位置から退避し、洗浄動作の妨げとはならない。
【0076】(分注機構)図2に示すように、分注機構
40は、洗浄機構60のY方向における奥側(図2にお
ける上方)に隣接して基台11上に配置されており、分
注機構40は、検体及び試薬の分注を行う分注部41
と、X方向に沿って分注部41を搬送する搬送部90と
を有している。図13はこの搬送部90の平面図を示
し、図14は分注部41の正面図を示している。これら
の図に基づいて分注機構40について説明する。
【0077】まず、搬送部90は、図13に示すよう
に、保持枠体28を含んだ試薬・検体トレー20全体の
移動領域をまたがって基板11上に配備された架設台9
1(図1,2参照)と、X方向に沿って架設台91上に
装備されたガイドレール92と、分注部41を保持しガ
イドレール92に沿って自在に滑動するスライダ93
と、二つの従動プーリ94a,94bによってX方向に
沿って張設された無端ベルト95と、この無端ベルト9
5の搬送の駆動源であるサーボモータ96と、サーボモ
ータ96の出力軸に装備された主動プーリ97と、従動
プーリ94aと同一軸で連結された減速プーリ98と、
主動プーリ97のトルクを減速プーリ98に伝える伝達
ベルト99とを備えている。
【0078】上記ガイドレール92は、X方向に沿った
状態で架設台91の手前側端部に装備されている。スラ
イダ93は、前述の如くガイドレール92に沿って滑動
自在であるため、分注部41をX方向のいずれの位置に
も移動させることができる。各従動プーリ94a,94
b及び無端ベルト95はいずれもガイドレール92に近
接して配置されており、スライダ93はブラケット93
aを介して無端ベルト95の中間部に連結されている。
従って、無端ベルト95の搬送によりスライダ93を介
して分注部41のX方向位置決め動作が付勢される。
【0079】減速プーリ98と従動プーリ94aとは同
一軸の両端部にそれぞれ支持されており連動する。主動
プーリ97は減速プーリ98よりも小径であり、これに
より減速プーリ98には回転速度が減速されて伝達され
る。サーボモータ96は、自在に回転量の制御が行うこ
とが可能であり、この回転量を制御することで、X方向
における分注部41の位置決めが行われる。
【0080】分注部41は、分注ノズル45とこの分注
ノズル45をZ方向に沿って昇降させる昇降手段とから
なる。この昇降手段は、搬送部90のスライダ93に保
持された筐体42と、Z方向に沿って筐体42に固定装
備されたガイド部材43と、このガイド部材43に沿っ
て滑動自在に支持され自らは分注ノズル45を保持する
スライダ44と、Z方向に沿って筐体42に回転自在に
装備されたネジ軸46と、このネジ軸46を回転させる
サーボモータ47とを備えている。
【0081】上記筐体42は一方向に長い直方体形状で
あり、その長手方向がZ軸方向に平行となるように搬送
部90のスライダ93に保持されている。分注部41の
スライダ44は、ネジ軸46とボールネジを介して係合
しており、ネジ軸46の回転に応じて昇降動作が付勢さ
れる。サーボモータ47は回転量の制御が可能であるた
め、これによりスライダ44を介して分注ノズル45の
Z方向における位置決めを可能としている。
【0082】分注ノズル45はZ方向に沿ってスライダ
44に支持された管状部材であり、その基端部(上端
部)はホースを介して吸入と吐出を付勢する図示しない
分注ポンプに接続されている。この分注ポンプは、吸引
量及び吐出量の制御が可能なものが使用される。また、
分注ノズル45の先端部(下端部)は検体用チップT
1,希釈用チップT2又は試薬用チップT3の装着部4
5aとなっている。
【0083】この装着部45aは、内径の小さな検体用
チップT1及び希釈用チップT2と内径の大きな試薬用
チップT3のいずれもが装着できるように、その外径が
小さな小径部45bと外径が大きな大径部45cとを備
えている。即ち、検体用チップT1又は希釈用チップT
2については図15(A)に示すように小径部45bに
装着され、試薬用チップT3については図15(B)に
示すように大径部45cに装着される。
【0084】さらにまた、分注ノズル45は、スライダ
44に対してZ方向に沿って摺動自在に保持されてお
り、なお且つコイルバネ45dによって常時下方に押圧
荷重を受けている。かかる構造は、上述した各チップT
1,T2,T3の装着作業に起因する。即ち、各チップ
T1,T2,T3の装着作業は、取付端部を上方に向け
て各々のホルダ23,24,25に保持されている各チ
ップT1,T2,T3に対して分注ノズル45を下降さ
せると共に装着部45aを取付端部に挿入することで行
われる。このとき、挿入時の摩擦により分注ノズル45
は上方に反力を受けてコイルバネ45dは圧縮され、当
該分注ノズル45はスライダ44に対して上方に移動す
る。この上方への移動量を図示しないセンサにより検出
し、各チップT1,T2,T3の装着に際しては予め決
められた規定の移動量となるまでスライダ44を下降さ
せて分注ノズル45の下方移動量を制御することによ
り、チップT1,T2,T3の装着状態を均一化するこ
とが可能となる。即ち、これにより、各チップT1,T
2,T3はきつ過ぎもなくゆる過ぎもない好適な状態で
保持されることとなるため、不慮の脱落や抜脱時に抜け
なくなるような不都合を防止することが可能となる。
【0085】(チップ廃棄部)図2に示すように、分注
機構40の搬送部90による分注部41の搬送範囲であ
って、その最端部(図2における右端部)にはチップ廃
棄部13が配設されている。このチップ廃棄部13につ
いて図16に基づいて説明する。図16(A)はチップ
廃棄部の斜視図であり、図16(B)は正面図である。
【0086】このチップ廃棄部13は、廃棄される各チ
ップT1,T2,T3の回収容器13aと、この回収容
器13aの上端部に装備されたチップの係止爪部材13
bとから構成されている。この係止爪部材13bはその
上端部が屈曲して分注部41側(図2における左側)を
向いており、その屈曲部のさらに先端部には、その幅が
二段階で変化している切り欠き13cが形成されてい
る。
【0087】この切り欠き13cは、搬送部90により
搬送される分注ノズル45の通過線上に位置している。
そして、この切り欠き13cの幅狭部13dの幅は、前
述した分注ノズル45の小径部45bの外径よりも大き
く且つチップT1,T2の取付端部の外径よりも小さく
設定されており、幅広部13eの幅は、前述した分注ノ
ズル45の大径部45cの外径よりも大きくチップT3
の取付端部の外径よりも小さく設定されている。
【0088】チップ廃棄部13による検体用チップT1
の抜脱動作を説明する。まず、検体用チップT1を装着
した状態の分注ノズル45をチップ廃棄部13に向けて
搬送する。搬送先に係止爪部材13bの切り欠き13c
が位置しているので、予め分注ノズル45の小径部45
bであって検体用チップT1に覆われていない部位(小
径部45bであって大径部45cとの境界近傍の部位)
が切り欠き13cに挿入されるように高さ調節を行う。
分注ノズル45の小径部45bが切り欠き13cの幅狭
部13dに嵌合するまで分注ノズル45を搬送する。そ
して、分注ノズル45を上方に移動することにより検体
用チップT1のみが係止爪部材13bに引っかかり、分
注ノズル45の装着部45aから脱落して回収容器13
a内に回収される。
【0089】希釈用チップT2の抜脱の際にも全く同様
の動作を行えば良い。試薬用チップT3の場合には、分
注ノズル45の大径部45cの上端部近傍を切り欠き1
3cの高さに調節し、切り欠き13cの幅広部13eに
分注ノズル45の大径部45cが勘合するまで分注ノズ
ル45の搬送を行い、しかる後に分注ノズル45を上方
に移動させればよい。
【0090】(プレートカバー)図2に示すように、保
持枠体28に保持されたアッセイプレートPの上面を覆
うプレートカバー12は、試薬・検体トレー20の移動
に伴うアッセイプレートPの移動領域のほぼ全域に渡っ
て形成されている。図17はプレートカバー12と保持
枠体28に保持されたアッセイプレートPとの位置関係
を説明する説明図であり、図18はプレートカバー12
の斜視図である。これらの図17,18に基づいてプレ
ートカバー12について説明する。
【0091】このプレートカバー12は、一方向に長い
平板状を呈しており、図18に示すように、その長手方
向がアッセイプレートPの搬送方向(Y方向)に平行な
状態で温度維持機構50と電源14との間に架設されて
いる。さらに、このプレートカバー12は、図17に示
すようにX方向における幅がアッセイプレートPの幅よ
りも若干広めに設定され、プレートカバー12の下方に
おいてアッセイプレートPの加振機構80による撹拌動
作を可能にならしめている。また、プレートカバー12
のX方向の両端部はアッセイプレートP側に向かって屈
曲している。さらに、プレートカバー12の平板面は、
保持枠体28に保持されたアッセイプレートPの上面と
平行且つ近接した状態で温度維持機構50と電源14と
に支持されている。アッセイプレートPの上面からプレ
ートカバー12までの距離は接近しているほど望まし
く、せいぜい50[mm]以下、望ましくは10[mm]以下に設定
される。この酵素免疫反応測定装置10では、その間隔
は3[mm]に設定されている。
【0092】一方、アッセイプレートPに対しては、そ
の移動領域の途中の各部において、ウェルP1内の反応
測定、各ウェルP1の洗浄、各ウェルP1に対する検体
・試薬の分注が行われる。これらの各作業はいずれもア
ッセイプレートPの上方から行われるため、プレートカ
バー12には、各作業用の開口部が形成されている。即
ち、反応測定機構70の配設箇所には開口部12aが設
けられ、洗浄機構60の配設箇所には開口部12bが設
けられ、分注機構40の配設箇所には開口部12cが設
けられている。各開口部12a,12b,12cはいず
れもプレートカバー12のX方向幅のほぼ全域に渡って
形成されている。また、各開口部12a,12b,12
cのY方向の幅については少なくともアッセイプレート
PのウェルP1の開口部の直径よりも大きく(例えば直
径の1〜2倍程度)設定されている。
【0093】従って、プレートカバー12は、これら各
作業の妨げとなることはなく、なおかつ、搬送中のアッ
セイプレートPの全てのウェルP1について或いは各作
業時において作業の順番待ちとなる他のウェルP1につ
いては、その開口した上部がプレートカバー12に覆わ
れた状態となるので、ウェルP1内の検体又は試薬中の
水分の蒸発を有効に抑制することが可能である。
【0094】特に酵素免疫反応測定装置10では、装置
カバー15にファン16が装備されているため、装置カ
バー15内で空気の対流が発生しており、保持枠体28
上のアッセイプレートPの各ウェルP1がかかる対流空
気に曝気されると、ウェルP1内の水分が蒸発し乾燥を
生じやすいが、プレートカバー12によりアッセイプレ
ートPの各ウェルP1の開口部は覆われているため、こ
のような水分蒸発及び乾燥を有効に回避することが可能
である。
【0095】ここで、各開口部12a,12b,12c
にはそれぞれ開閉自在の蓋部材を装備しても良い。例え
ば、蓋部材をプレートカバー12の平板面に沿ってスラ
イド自在に装備された板状部材とし、その開閉を付勢す
る開閉機構を併設する構成とすることが望ましい。この
場合、開閉機構は、蓋部材にスライド方向に沿って装備
したラックと、プレートカバー12側に装備したラック
と係合するピニオンギアと、ピニオンギアを駆動する駆
動モータと、搬送されてくるアッセイプレートPを検出
するセンサとから構成すると、センサによるアッセイプ
レートPの検出時に駆動モータを駆動して蓋部材をスラ
イドさせて開口部を開口させる制御を行うことにより、
アッセイプレートPの搬送時にのみ開口部を開くことが
できる。
【0096】また、開閉機構はセンサを構成から除い
て、前述した酵素免疫反応測定装置10の動作制御を行
うパーソナルコンピュータに従って開閉動作を行うよう
に構成しても良い。即ち、洗浄機構60,反応測定機構
70又は分注機構40の動作を行うタイミングに同調し
て対応するいずれかの開口部12a,12b,12cの
蓋部材を開かせる動作制御を行うことにより、各機構の
40,60又は70の作動時にのみ開口部は開口するの
で、よりアッセイプレートPの各ウェルP1内の乾燥化
を防止することが可能となる。
【0097】(酵素免疫反応測定装置の動作説明)図2
及び図19に基づいて酵素免疫反応測定装置10の動作
を説明する。図19は酵素免疫反応測定装置10の動作
の順番を示すフローチャートである。なお、ここで、動
作説明の便宜のため、図2における上方向を送り方向と
称し、下方向を戻り方向と称し、図2における左方向を
そのまま左方向と称し、図2における右方向をそのまま
右方向と称することとする。
【0098】以下に述べる酵素免疫反応測定装置10の
動作は、前述したパーソナルコンピュータ内で実行され
るプログラムに従って酵素免疫反応測定装置10の動作
が制御され実現されるものである。
【0099】酵素免疫反応測定の前準備として、まず保
持枠体28上の凹部28aにアッセイプレートPを載置
し、凹部28bに希釈用プレートUを載置する。なお、
アッセイプレートPの載置に際しては、温度保持機構5
0内部に保持枠体28を搬送した状態で温度保持機構5
0を介して行う。
【0100】また、測定に使用する試薬の試薬瓶S及び
希釈液瓶を試薬・検体トレー20の試薬ストッカ21
に,試薬用チップT3を試薬用チップストッカ25にセ
ットする。さらに、検体用チップT1を保持した検体用
チップストッカ23,希釈用チップT2を保持した希釈
用チップストッカ24,検体容器Kを保持した検体スト
ッカ22をそれぞれ試薬・検体トレー20上にセットす
る。
【0101】前準備が完了したら、酵素免疫反応測定装
置10の作動を開始する。まず、最初の工程では検体の
希釈が行われる。この希釈に際しては、まず希釈用プレ
ートUの各ウェルU1に希釈液の分注が行われる(ステ
ップS1)。かかる希釈液の分注には試薬用チップT3
が使用されるので、ステージ機構30と分注機構40の
搬送部90との協動により、分注ノズル45が試薬用チ
ップストッカ25のチップ位置に位置決めし、昇降手段
により分注ノズル45を下降させて試薬用チップT3を
装着する。
【0102】次に、分注ノズル45を試薬ストッカ21
に保持された希釈液瓶に位置決めし、分注ノズル45を
下降させてしかる後に分注ポンプを駆動させ試薬用チッ
プT3内に一定量の希釈液を吸入する。
【0103】一方、希釈用プレートUはステージ機構3
0により分注ノズル45の移動範囲に搬送される。この
とき、希釈用プレートUは送り方向の最前列のウェルU
1が分注ノズル45の移動範囲に位置決めされる。そし
て、搬送部90により分注ノズル45を希釈用プレート
Uの最前列の一番右のウェルU1に位置決めし、分注高
さまで下降させてから希釈液を吐出する。そして、ウェ
ルU1のX方向における配列間隔ごとに左方向に分注ノ
ズル45を搬送し同様に分注を行う。さらに最前列の分
注が済むと、以下の列についてはステージ機構30によ
りウェルU1のY方向における配列間隔ごとに送り方向
に希釈用プレートUを搬送し同様に分注を行う。
【0104】かかる希釈作業において、希釈倍率により
予めウェルU1ごとの希釈液の吐出量は分かっているの
で、試薬用チップT3内の希釈液がウェル何個分に相当
するかは予め計算できる。従って、必要に応じて、希釈
用プレートUへの希釈液分注の途中で希釈液を補充させ
るように補充動作を行っても良い。
【0105】全てのウェルU1に希釈液が分注される
と、分注ノズル45はチップ廃棄部13に搬送されて試
薬用チップT3が廃棄される。
【0106】次に各ウェルU1に検体の分注を行う。ま
ず、分注ノズル45は、ステージ機構30と搬送部90
との協動により検体用チップホルダ26に搬送され、い
ずれかのチップ位置で検体用チップT1の装着が行われ
る。チップ装着後、分注ノズル45は検体ストッカ22
に搬送され、いずれかの検体容器Kに位置決めされて検
体を所定量吸引する。このとき検体用チップT1及び検
体容器Kについても、送り方向最前列の右から順に選択
するようにしても良い。
【0107】検体吸引後、分注ノズル45は希釈用プレ
ートUに検体の吐出を行う。このときも、希釈用プレー
トUの送り方向最前列右側のウェルU1に対して検体の
吐出を行い、吐出後検体用チップT1はチップ廃棄部1
3にて廃棄される。そして、各検体ごとに同様の手順で
対応するウェルU1に吐出される。
【0108】希釈用プレートUの各ウェルU1への各検
体の吐出が完了すると、加振機構80が一定時間作動
し、各ウェルU1内の撹拌が行われる(ステップS
2)。
【0109】一方、アッセイプレートPの各ウェルP1
には、所定量の希釈液の分注が行われる(ステップS
3)。このときの希釈液の分注動作は、ステップS1の
場合と同様である。即ち、分注ノズル45に試薬用チッ
プT3が装着され、希釈液が吸引されると共に各ウェル
P1に分注ノズル45を位置決めして希釈液を吐出し、
試薬用チップT3が廃棄される。
【0110】次に、希釈用プレートUの各ウェルU1内
の希釈された検体がアッセイプレートPの対応するウェ
ルP1に移送される(ステップS4)。すなわち、アッ
セイプレートP及び希釈用プレートUの各送り方向最前
列のウェル列は分注ノズル45の搬送領域に位置決めさ
れる。このとき、アッセイプレートPのウェル列はプレ
ートカバー12の開口部12cから覗く位置に位置決め
される。
【0111】さらに、分注ノズル45に希釈用チップT
2が装着され、ウェルU1内の所定量の検体が吸引さ
れ、分注ノズル45が搬送されて対応するアッセイプレ
ートPのウェルP1へ検体が吐出され、使用済みチップ
が廃棄される。そして、かかる動作が各ウェルU1ごと
に繰り返し行われる。これにより、各検体はさらに希釈
される。
【0112】次に、アッセイプレートPはステージ機構
30により温度維持機構50内に搬送される。この温度
維持機構50においてアッセイプレートPはヒータ51
により好適な温度に保温される。さらに、アッセイプレ
ートPに予め塗布された試薬と各検体との反応の均一化
或いは反応促進のため加振機構80によりアッセイプレ
ートPの撹拌が行われる。この撹拌に際しては、ステー
ジ機構30により温度維持機構50の外部に移動させて
から行っても良い(ステップS5)。
【0113】所定時間温度維持機構50で保温される
と、アッセイプレートPの各ウェルP1は洗浄される
(ステップS6)。まず洗浄に際しては、ステージ機構
30の搬送により保持枠体28上に設けられた洗浄槽2
9が洗浄機構60の各ノズル対の列の真下に位置決めさ
れる。このとき、洗浄槽29はプレートカバー12の開
口部12bから覗く位置に位置決めされる。
【0114】そして、洗浄マニホールド62を退避高さ
から吸引高さまで一気に下降させ、洗浄液吐出ノズル6
2aを作動中の洗浄液圧送ポンプと接続し吸引ノズル6
2bを作動中の吸引ポンプと接続する。これにより、洗
浄槽29内に洗浄液が吐出されて吸引ノズル62bの先
端部が洗浄されると共に洗浄液が吸引される。そして、
一定時間経過後、まず洗浄液吐出ノズル62aとポンプ
との接続が断たれ、しかる後に吸引ノズル62bとポン
プとの接続が断たれる。これにより、洗浄槽29内の洗
浄液は全て吸引される。そして、洗浄マニホールド62
は退避高さまでもどされる。
【0115】次に、アッセイプレートPはステージ機構
30により洗浄機構60に対応する位置に搬送される。
このとき、アッセイプレートPのウェルP1の送り方向
の最前列が洗浄機構60の各ノズル対の列の真下に位置
決めされ、ウェル列はプレートカバー12の開口部12
bから覗く位置に位置決めされる。そして、洗浄マニホ
ールド62が退避高さから吸引高さまで降ろされ、吸引
ノズル62bが開口部12bを介して各ウェルP1内に
侵入する。かかる状態で吸引ノズル62bを作動中の吸
引ポンプと接続することで最前列のウェルP1の検体が
吸引される。そして、洗浄マニホールド62を吐出高さ
に引き上げて洗浄液吐出ノズル62aから洗浄液を吐出
する。さらに洗浄マニホールド62を吸引高さに下降さ
せ、ウェルP1内の洗浄液を吸引する。この洗浄液の吐
出と吸引とを設定回数繰り返し行うと、洗浄マニホール
ド62は退避高さに戻され、さらにステージ機構30に
よりアッセイプレートPを次の列まで送り、同様の洗浄
を行う。この洗浄動作を全ての列について行うことによ
りアッセイプレートPの全てのウェルP1について洗浄
が行われる。
【0116】ここで、上記洗浄により各ウェルP1内の
検体は洗い流されてしまうが、予めウェルP1内に塗布
された試薬中に各検体は浸透し反応は既に行われている
状態にあるので、後の工程で行われる測定結果には影響
を及ぼすことはない。
【0117】次に、アッセイプレートPの各ウェルP1
に第1の試薬(酵素標識抗体液)の分注が行われる(ス
テップS7)。この第1の試薬の分注動作は、ステップ
S3の希釈液の分注動作とほぼ同様に行われる。即ち、
アッセイプレートPのウェル列P1がプレートカバー1
2の開口部12cに位置決めされ、分注ノズル45に試
薬用チップT3が装着され、第1の試薬が吸引されると
共に各ウェルP1に分注ノズル45を位置決めして第1
の試薬を吐出し、その後試薬用チップT3が廃棄され
る。
【0118】第1の試薬分注後のアッセイプレートP
は、ステップS5と同様の動作により撹拌と保温が行わ
れる(ステップS8)。そして、所定時間の保温後には
ステップS6と同様の動作により各ウェルP1内の洗浄
が行われる(ステップS9)。
【0119】さらに、第1の試薬の洗浄後には、ステッ
プS7とほぼ同様の動作により第2の試薬(発色基質
液)の分注が行われ(ステップS10)、続いてステッ
プS8と同様の動作により撹拌と保温が行われる(ステ
ップS11)。
【0120】所定時間の保温後には、アッセイプレート
Pの各ウェルP1には第3の試薬(停止液)がステップ
S7と同様の動作により分注される(ステップS1
2)。
【0121】そして、この第3の試薬が分注されると、
酵素免疫反応測定のために各ウェルP1の吸光度測定が
行われる(ステップS13)。この吸光度測定は反応測
定機構70にて行われる。この反応測定機構70では測
定の前準備として、照射部71とセンサ保持体72との
間に何も無い状態でなお且つフィルタ選択手段74では
貫通穴73bを選択した状態でハロゲンランプ71aの
照射光をフォトダイオード72aで受光する。パーソナ
ルコンピュータではこのときのセンサ出力を、後の測定
データの補正用のブランクデータとして記憶する。
【0122】次に、アッセイプレートPの送り方向のウ
ェルP1の最前列がステージ機構30により照射部71
とセンサ保持体72との間に位置決めされる。このと
き、ウェル列はプレートカバー12の開口部12aから
覗く位置に位置決めされる。また、フィルタ選択手段7
4では測定に応じたバンドパスフィルタ73aを選択
し、位置決め付勢手段79は、フォトダイオード72a
が最も右側に位置するウェルP1の真下となるようにス
ライダ78の位置決めを行う。
【0123】そして、ハロゲンランプ71aを点灯して
開口部12aを介してウェルP1に照射を行い、フォト
ダイオード72aによりウェルP1の透過光を検出する
ことで吸光度が測定される。そして、位置決め付勢手段
79によりスライダ78をウェルP1の一間隔分左に移
動させるごとに各ウェルP1の吸光度測定を行い、一列
分のウェルP1に対する測定が済むと、ステージ機構3
0により次の列まで搬送し、これらを繰り返すことでア
ッセイプレートP上の全てのウェルP1についての吸光
度測定が行われる。
【0124】上記測定結果は全てパーソナルコンピュー
タに記憶され、前述したブランクデータによる補正を行
うことで正式な測定結果を得ることができる。
【0125】以上のように、酵素免疫反応測定装置10
は、試薬・検体トレー20と、その搬送を行うステージ
機構30と、検体又は試薬の分注を行う分注機構40と
アッセイプレートPの温度維持機構50と、ウェルP1
の洗浄機構60と、反応測定機構70と、アッセイプレ
ートPの加振機構80とを全て一台に備えたことによ
り、従来より困難視されていたアッセイプレートPに対
する複数の検体の分注作業、試薬の分注作業及びアッセ
イプレートPの保温作業、洗浄作業、撹拌作業及び反応
測定の一連の作業の自動化を図ることが可能でとなっ
た。
【0126】また、上述の分注機構40の分注部41が
試薬・検体トレー20の往復移動領域に交差して往復自
在であり、試薬・検体トレー20の端部に保持枠体28
を設けると共に試薬・検体トレー20の移動領域であっ
て保持枠体28の装着部側に隣接して温度維持機構5
0,洗浄機構60及び反応測定機構70を配置している
ため、ステージ機構30によりアッセイプレートPを分
注機構40,温度維持機構50,洗浄機構60及び反応
測定機構70のいずれにも搬送することが可能である。
従って、試薬・検体トレー20の搬送とアッセイプレー
トPの搬送についてそれぞれ独立した搬送機構を設ける
必要が無く、部品点数の低減による生産性の向上並びに
装置の小型化及び軽量化を図ることが可能である。
【0127】また、分注機構40の搬送部80が分注部
41を試薬・検体トレー20の往復移動方向に直交する
方向に沿って搬送するので、試薬・検体トレー20及び
アッセイプレートPに対する分注ノズル45の位置決め
が直交座標系の演算により求めることができ、演算処理
を容易に行うことが可能となる。
【0128】さらに、保持枠体28を試薬・検体トレー
20の端部から突出させ、温度維持機構50の筐体52
におけるアッセイプレート及び保持枠体の移動領域Rと
の重複する部位を切り欠いた構造としているので、試薬
・検体トレー20の移動によりアッセイプレートP及び
保持枠体28を温度維持機構50の筐体52内部に搬送
することが可能である。従って、温度維持作業に際し、
温度維持機構50に対するアッセイプレートPの収容と
取り出しとを行うための独立した機構を設ける必要が無
く、部品点数の低減によるさらなる生産性の向上並びに
装置の小型化及び軽量化を図ることが可能である。
【0129】また、酵素免疫反応測定装置10では、保
持枠体28を介してアッセイプレートPを振動させる加
振機構80を試薬・検体トレー20上に設けたので、当
該加振機構80にアッセイプレートPを搬送する独立し
た搬送手段を設ける必要が無く、部品点数の低減による
さらなる生産性の向上並びに装置の小型化及び軽量化を
図ることが可能である。
【0130】さらに、保持枠体28にはにアッセイプレ
ートPと希釈用プレートUの各々配置領域である凹部2
8a,28bを設けたので、希釈用プレートUで予め希
釈を行いさらにアッセイプレートPで希釈を行うことに
より、より低い濃度まで希釈を行うことが可能になる。
さらに、保持枠体28を介してアッセイプレートP並び
に希釈用プレートUに対して同時に撹拌作業を行うこと
ができるので、作業時間の短縮化を図ることが可能とな
ると共に、希釈用プレートUのために独立した加振機構
を設ける必要が無く、部品点数の低減によるさらなる生
産性の向上並びに装置の小型化及び軽量化を図ることが
可能である。
【0131】
【発明の効果】本発明では、マイクロプレートの搬送領
域に渡って上面を覆うプレートカバーを設けたので、作
業時を除き各ウェル内の検体又は試薬の水分蒸発が抑制
され、乾燥化が回避されるので、検体試験において安定
した試験結果を得ることが可能である。
【0132】また、マイクロプレートの搬送領域の途中
に配置した機構の配置個所に対応する位置に開口部を設
けた場合、作業時においても開口部から覗くウェル以外
はその上方がプレートカバーに覆われ、搬送時,作業時
共に有効に水分の蒸発が抑制され、より安定した試験結
果を得ることが可能となる。
【0133】さらに、開口部に蓋部材を装備した場合に
は、必要に応じて開閉蓋を閉じておくことにより、各ウ
ェル内の水分の蒸発をより有効に抑制し、試験結果のさ
らなる安定化を図ることが可能となる。
【0134】以上のように構成され機能するので、本発
明によれば、従来にない優れた検体試験装置を提供する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は実施形態たる酵素免疫反応測定装置の各
部の配置を概略的に示す斜視図である。
【図2】図2は酵素免疫反応測定装置の各部の配置を概
略的に示す平面図である。
【図3】酵素免疫反応測定装置で使用するアッセイプレ
ートを示す図であり、図3(A)はアッセイプレートの
平面図であり、図3(B)はアッセイプレートを正面方
向からみた断面図である。
【図4】図4は試験時における試薬・検体トレーの斜視
図である。
【図5】図5(A)は保持枠体の平面図,図5(B)は
図5(A)におけるW−W線に沿った断面図である。
【図6】図6は加振機構の分解斜視図である。
【図7】図7はステージ装置の平面図である。
【図8】図8は蓋体を開いた状態の筐体を示す斜視図で
ある。
【図9】図9はアッセイプレート及び保持枠体の移動領
域と温度維持機構の筐体の切り欠きの関係を示す斜視図
である。
【図10】図10(A)は反応測定機構の正面図,図1
0(B)は側面図である。
【図11】図11は洗浄機構の正面図である。
【図12】図12は洗浄機構の一部省略した左側面図で
ある。
【図13】図13は分注機構の搬送部の平面図である。
【図14】図14は分注機構の分注部の正面図である。
【図15】分注部の先端部のチップの取付を示す説明図
であり、図15(A)は検体用チップを装着した状態を
示し、図15(B)は試薬用チップを装着した状態を示
す。
【図16】図16(A)はチップ廃棄部の斜視図であ
り、図16(B)は正面図である。
【図17】図17はプレートカバーと保持枠体に保持さ
れたアッセイプレートとの位置関係を説明する説明図で
ある。
【図18】図18はプレートカバーの斜視図である。
【図19】図19は酵素免疫反応測定装置の動作の順番
を示すフローチャートである。
【符号の説明】
10 酵素免疫反応測定装置(検体試験装置) 12 プレートカバー 12a,12b,12c 開口部 20 試薬・検体トレー 30 ステージ機構(マイクロプレート搬送機構) 40 分注機構 50 温度維持機構 60 洗浄機構 70 反応測定機構 P アッセイプレート(マイクロプレート) P1 ウェル(反応用凹部)

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 検体と試薬との反応が行われる複数の反
    応用凹部を有するマイクロプレートによる検体の反応試
    験を行う検体試験装置であって、 前記試薬と前記検体とがそれぞれ個別に入った複数の容
    器を載置する試薬・検体トレーと、前記マイクロプレー
    トを一定の領域に渡って搬送するマイクロプレート搬送
    機構と、このマイクロプレート搬送機構により搬送され
    る前記マイクロプレートの各反応用凹部に検体又は試薬
    の分注を行う分注機構と、前記搬送されるマイクロプレ
    ートを所定の温度に維持する温度維持機構と、を備え、 前記マイクロプレート搬送機構による前記マイクロプレ
    ートの搬送領域に渡って当該マイクロプレートの上面に
    近接して覆うプレートカバーを設けたことを特徴とする
    検体試験装置。
  2. 【請求項2】 前記分注機構を,前記マイクロプレート
    搬送機構の搬送領域の途中に配置し、前記プレートカバ
    ーの,前記分注機構に対応する箇所に開口部を設けたこ
    とを特徴とする請求項1記載の検体試験装置。
  3. 【請求項3】 前記搬送されるマイクロプレートの各反
    応用凹部内の洗浄を行う洗浄機構を備え、 前記分注機構と前記洗浄機構のいずれか一方或いは双方
    を前記マイクロプレート搬送機構の搬送領域の途中に配
    置し、 前記プレートカバーの,前記搬送領域の途中に配置した
    いずれか一方又は双方の機構に対応する箇所に開口部を
    設けたことを特徴とする請求項1記載の検体試験装置。
  4. 【請求項4】 前記搬送されるマイクロプレートの各反
    応用凹部内の洗浄を行う洗浄機構と、前記搬送されるマ
    イクロプレートの各反応用凹部内の反応を測定する反応
    測定機構とを備え、 前記分注機構と前記洗浄機構と前記反応測定機構の三つ
    の内の一乃至三つの機構を,前記マイクロプレート搬送
    機構の搬送領域の途中に配置し、 前記プレートカバーの,前記搬送領域の途中に配置した
    一乃至三つの機構に対応する箇所に開口部を設けたこと
    を特徴とする請求項1記載の検体試験装置。
  5. 【請求項5】 前記開口部に、開閉自在の蓋部材を装備
    したことを特徴とする請求項2,3又は4記載の検体試
    験装置。
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