JP2002038169A - ビチューメン重質油ｏ／ｗ型エマルジョン燃料用燃料添加剤及び燃焼方法 - Google Patents

ビチューメン重質油ｏ／ｗ型エマルジョン燃料用燃料添加剤及び燃焼方法

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JP2002038169A JP2001084133A JP2001084133A JP2002038169A JP 2002038169 A JP2002038169 A JP 2002038169A JP 2001084133 A JP2001084133 A JP 2001084133A JP 2001084133 A JP2001084133 A JP 2001084133A JP 2002038169 A JP2002038169 A JP 2002038169A
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光雄 小野沢
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滋 中井
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ビチューメン重質油のＯ／Ｗ型エマルジョン
燃料に対して高添加量になってもＯ／Ｗ型エマルジョン
を破壊することなく分散安定性の向上に寄与することが
でき、しかもこの燃料の燃焼において、ボイラ等の高・
低温腐食及び燃焼障害を防止し、且つボイラ等の運転を
長期的に安定操業させることができるビチューメン重質
油のＯ／Ｗ型エマルジョン燃料用燃料添加剤及び燃焼方
法を提案する。 【解決手段】 構成成分として、 （１）粒径０．１〜１０μｍの水酸化マグネシウム３０
〜６０重量％、 （２）ポリカルボン酸及び／又はその塩０．１〜１重量
％、 （３）リン酸、ポリリン酸、ケイ酸、炭酸、硫酸、ホウ
酸、塩酸のＬｉ，Ｎａ，Ｋ，ＮＨ4塩の一種又は二種以
上よりなる分散解膠剤０〜１重量％、 （４）炭素数８〜２２の飽和及び／又は不飽和脂肪酸０
〜０．５重量％、 （５）水残量％ を含有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は、オリノコタールに
代表されるビチューメン重質油のＯ／Ｗ型エマルジョン
燃料に対して高添加量になっても分散安定性に悪影響を
与えることなく、むしろ安定性の向上に寄与することが
でき、しかもバナジウム分及び硫黄分、窒素分を多く含
有するこの燃料の燃焼において、ボイラ等の高・低温腐
食を防止すると同時に未燃カーボン、ＳＯ3、ＮＯxに起
因する障害を防止し、且つ伝熱面に対する熱吸収率を向
上させることにより、ボイラ等の運転を長期的に安定操
業させることができるビチューメン重質油のＯ／Ｗ型エ
マルジョン燃料用燃料添加剤及び燃焼方法に関する。
【０００２】
【従来の技術】オリノコタール、アサバスカビチューメ
ンに代表されるビチューメン重質油は４００℃以上の重
質留分を約６０〜７０％以上含有する水アメ状ないし半
固状の超重質油であってそのままでは流動しない。この
ようにビチューメン重質油は、その性状特性上の問題と
して、半固体状であるため、石油のように簡単に採掘で
きないという問題を有し、さらにはその成分特性の問題
として、重金属のバナジウム分や硫黄分、窒素分を多量
に含有するため、燃料として使用する際にはボイラの保
守メンテナンス面で充分な腐食対策及びスラッキング対
策が不可欠の上、燃焼排ガスに対しては従来以上の環境
対策を必要とするという問題を有していたため、その利
用、商業化が遅れていた。しかし近年、上記オリノコタ
ールに水と界面活性剤とを加えて乳化し、Ｏ／Ｗ型エマ
ルジョン燃料とする技術が開発されたことにより、採掘
及び輸送が容易になり、可採埋蔵量が中東全体の原油埋
蔵量に匹敵するほどの莫大な量である点、石油輸出国機
構（ＯＰＥＣ）の制約を受けることなく安定供給が期待
できる点、価格的にも安い点、さらに従来の火力発電設
備の転用ができる点などから、新しい燃料として日本は
もちろんカナダ、イギリス、中国などで急速に使用され
るようになった。
【０００３】上記ビチューメン重質油のＯ／Ｗ型エマル
ジョン燃料を燃焼する場合、ボイラの炉内に燃焼灰が付
着・堆積して過熱器や再熱器などの高温水管部分を著し
く腐食するが、特に多量のバナジウム分を含有すること
からバナジウムアタックによる高温腐食が懸念される。
また、硫黄分や窒素分の含有量も多いので、従来以上の
環境対策を必要とし、加えて灰分も多いことなどから、
多量の付着灰の影響による炉内の熱吸収の低下や、炉内
温度及び排ガス温度の上昇をまねき、ボイラの長期連続
運転に支障を来す恐れがあった。一方、このような燃焼
上のトラブルに対しては、従来より、水酸化マグネシウ
ム、酢酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、水酸化カル
シウム、炭酸カルシウム、ドロマイト等のアルカリ土類
金属化合物や硫酸鉄、ｍＦｅＯ・ｎＦｅ2Ｏ3（但しｍ，
ｎは０以上の数値）で示される鉄化合物の微細粒子等を
油、水、エマルジョン（Ｏ／Ｗ，Ｗ／Ｏ）に分散させた
燃料添加剤を、単独或いは混合して燃料中へ添加、或い
は燃焼炉内に注入することにより、高温腐食や硫化腐食
を防止し、燃焼効率を向上し、燃焼により発生する有害
物質の生成を抑制する方法が知られていた。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従
来の燃料添加剤は、本発明の対象とするビチューメン重
質油のＯ／Ｗ型エマルジョン燃料とは本質に異なるＡ重
油、Ｂ重油、Ｃ重油、オイルコークス、アスファルト、
軽質油、副生油等のオイル型燃料を対象とするものであ
って、このような従来の燃料添加剤は、以下に詳述する
ようにＯ／Ｗ型エマルジョン燃料の安定性に強く影響を
与えるため、そのまま転用することができなかった。
【０００５】そもそもビチューメン重質油のＯ／Ｗ型エ
マルジョン燃料は、オイル型燃料とは異なり少量の水が
連続相であり、例えばオリノコタールのＯ／Ｗ型エマル
ジョン（オリマルジョンと呼ぶ）燃料の場合には、連続
相の水量は約３０重量％に過ぎず、このように少量の水
の中に、その２倍量以上のビチューメン重質油の微細粒
子が分散しているため、ビチューメン重質油粒子同士が
衝突、合体し易く不安定である。そのため、ビチューメ
ン重質油のＯ／Ｗ型エマルジョン燃料に対して燃料添加
剤を添加する場合、Ｏ／Ｗ型エマルジョン燃料の分散安
定性に悪影響を与えないことが最も重要視される因子で
ある。ところが、上記従来の燃料添加剤は、使用されて
いる界面活性剤類がＯ／Ｗ型エマルジョン燃料の活性剤
バランスを崩し、また単に水酸化マグネシウムを水に希
釈して添加してもＯ／Ｗ型エマルジョン燃料の分散安定
性に影響を与え、重質油粒子が凝集を起こして半固状重
質油と水に分離してしまう。そこで、本発明者らはビチ
ューメン重質油のＯ／Ｗ型エマルジョン燃料に対して添
加量が少ない場合（低添加量の場合）は勿論、多い場合
（高添加量の場合）も、Ｏ／Ｗ型エマルジョン燃料の分
散安定性に悪影響を与えず、むしろ安定性の向上に寄与
することができ、そのためＯ／Ｗ型エマルジョン燃料に
水酸化マグネシウムを均一に添加することが可能になる
燃料添加剤を提案することを目的とする。
【０００６】また、特開平１０−５３７７８号公報、特
願平８−５３１３２５号のように、マグネシウム、鉄の
酢酸塩、硫酸、硝酸塩や水酸化物をＯ／Ｗ型エマルジョ
ン燃料製造時に直接添加する方法が提案されている。し
かしながら、オリノコタールの場合、硝酸マグネシウム
を予め含有していた時期もあったが、各国の種々の事情
や要望により最近ではマグネシウム化合物を全く含まな
いものも製造されるようになり、日本の場合はマグネシ
ウムが含まれないものが輸入されるようになった。従来
の水酸化マグネシウムの水スラリー系燃料添加剤の水酸
化マグネシウム濃度は最大３５重量部が一般的濃度であ
り、さらに高濃度にするためには粒子径を大きくする必
要があった。そこで、本発明者らは、粒径０．１〜１０
μｍ、好ましくは０．５〜５μｍの水酸化マグネシウム
を最大６０重量部という高濃度に作成でき、それにより
安価な燃料添加剤を提案する。
【０００７】
【課題を解決するための手段】本発明は、燃料添加剤と
して特定の構成成分を組み合わせたことにより、微細粒
子（粒径０．１〜１０μｍ）の水酸化マグネシウム含有
量を高濃度化することができ、且つビチューメン重質油
Ｏ／Ｗ型エマルジョン燃料と容易に混合、分散しやす
く、むしろＯ／Ｗ型エマルジョン燃料の安定性の向上に
寄与することができ、その結果、ボイラ等の高温腐食の
防止、燃焼ガスに起因する障害の防止、さらには伝熱面
に対する熱吸収率を向上させ、ボイラ等の運転を長期間
に亙って安定操業させることができる燃料添加剤を提案
するものである。より具体的には、本発明は、構成成分
として、 （１）粒径０．１〜１０μｍの水酸化マグネシウム３０
〜６０重量％、 （２）ポリカルボン酸及び／又はその塩０．１〜１重量
％、 （３）リン酸、ポリリン酸、ケイ酸、炭酸、硫酸、ホウ
酸、塩酸のＬｉ，Ｎａ，Ｋ，ＮＨ4塩の一種又は二種以
上よりなる分散解膠剤０〜１重量％、 （４）炭素数８〜２２の飽和及び／又は不飽和脂肪酸０
〜０．５重量％、 （５）水残量％ を含有することを特徴とするビチューメン重質油Ｏ／Ｗ
型エマルジョン燃料用燃料添加剤を提案する。また、さ
らに上述の構成成分に、 （６）粒径０．１〜１０μｍの鉄化合物１〜１０重量
％、 （７）増粘剤０．０１〜１重量％、 （８）炭化水素油０．１〜１０重量％ を適宜含有させるようにしても良い。さらに、本発明
は、前記燃料添加剤を、燃料中に添加して燃焼させる
か、直接燃焼雰囲気中に添加することを特徴とするビチ
ューメン重質油Ｏ／Ｗ型エマルジョン燃料の燃焼方法を
も提案する。
【０００８】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の燃料添加剤を構
成する成分の一つ一つについて説明する。
【０００９】まず、本発明の燃料添加剤中の（１）水酸
化マグネシウムは、後述する（６）鉄化合物と同様、ボ
イラの種々の障害を防止又は抑制する成分であり、この
粉体成分である（１）水酸化マグネシウム及び（６）鉄
化合物は、以下に説明するように粒子径０．１〜１０μ
ｍのものを使用する。硝酸マグネシウムや酢酸マグネシ
ウムのような水溶性マグネシウムは、均一な液体成分
（水溶液）として燃焼雰囲気に供給することができ、燃
焼により超微粒子（φ１０〜５０Å）酸化マグネシウム
（ＭｇＯ）を生成することが知られているが、生成する
微粒子が微細すぎるため、管表面でのＶ2Ｏ5粘着物との
初期接着性（歩留まり）が悪い。また、微粒子で粒径幅
が小さいため、横置管堆積物のスートブロワー除去性が
悪い（均一粒径微粒子の流動性不良）等の欠点を有す
る。また、粉体成分を分散させたスラリーを燃焼雰囲気
に供給する場合であっても、粉体成分が１０μｍ以上の
粗大粒子である場合、粒子比表面積があまりにも小さく
なるため、腐食性成分（Ｖ2Ｏ5，ＳＯ3）等との反応性
が低下するばかりでなく、スラリーとしての燃料添加剤
自身の安定性も悪くなる。したがって、本発明燃料添加
剤中に使用する粉体成分である（１）水酸化マグネシウ
ム及び（６）鉄化合物の粒子径は０．１〜１０μｍが良
く、特に０．５〜５μｍが好ましい。
【００１０】本発明の燃料添加剤中の（２）ポリカルボ
ン酸及び／又はその塩は、後述する（３）分散解膠剤、
（４）飽和、不飽和脂肪酸と同様に、前述の粉体成分で
ある（１）水酸化マグネシウム及び（６）鉄化合物を、
分散させるための分散剤として作用する成分であり、
（メタ）アクリル酸、（無水）イタコン酸、（無水）マ
レイン酸などのそれぞれの単独重合体、共重合体、又は
他の共重合可能なモノマーとの共重合体、或いはその塩
であり、塩としてはＮａ，Ｋ，Ｌｉ，ＮＨ4塩が適当で
あり、その分子量としては３０００〜５００００が良好
である。それらの例としては、アクリル酸、メタアクリ
ル酸の重合体、及び無水マレイン酸、無水イタコン酸又
はマレイン酸、イタコン酸とアクリル酸、メタアクリル
酸、メチルビニルエーテル、他の共重合可能なモノマー
（ビニル化合物）との共重合体、アクリル酸とアルキル
メタクリレートの共重合体、メタアクリル酸とポリブタ
ジエンのマレイン化物、及びスチレン・ブタジエン共重
合体のマレイン化物等の重合体の酸タイプ、及び塩など
を用いることができる。
【００１１】本発明の燃料添加剤中の（３）分散解膠剤
は、リン酸、ポリリン酸、ケイ酸、炭酸、硫酸、ホウ
酸、塩酸のＬｉ，Ｎａ，Ｋ，ＮＨ4塩の一種又は二種以
上よりなり、それらの例としては、Ｎａ3ＰＯ4等の第３
リン酸塩、（ＫＰＯ3）n等のメタリン酸塩、Ｎａ4Ｐ2Ｏ
7等のピロリン酸塩（二リン酸塩）、Ｎａ5Ｐ3Ｏ10等の
トリポリリン酸塩（三リン酸塩）、（ＮａＰＯ3）6等の
ヘキサメタリン酸塩、ケイ酸リチウム塩、ケイ酸ナトリ
ウム塩（１、２、３号 水ガラス）、炭酸塩、硫酸塩、
ＮａＢＯ2等のメタホウ酸塩、Ｎａ2Ｂ4Ｏ7等の四ホウ酸
塩、塩化ナトリウム、塩化アンモニウム、及びこれらの
水和物等を用いることができる。
【００１２】本発明の燃料添加剤中の（４）飽和及び／
又は不飽和脂肪酸は、炭素数８〜２２のものであり、そ
れらの例としては、２−エチルヘキサン酸（炭素数
８）、イソステアリン酸（炭素数１８）のような分枝飽
和脂肪酸、ラウリン酸（炭素数１２）、ステアリン酸
（炭素数１８）、ベヘン酸（炭素数２２）のような飽和
脂肪酸、オレイン酸（炭素数１８）、リノール酸（炭素
数１８）、リノレン酸（炭素数１８）、エルカ酸（炭素
数２２）のような不飽和脂肪酸、及びこれらの混合物等
を用いることができる。
【００１３】本発明の燃料添加剤に必要に応じて添加さ
れる成分（その１）である（６）鉄化合物は、前述の
（１）水酸化マグネシウムと同様、ボイラの種々の障害
を防止又は抑制する成分であり、この粉体成分である
（６）鉄化合物は粒子径０．１〜１０μｍのものを使用
する。この例としては、Ｆｅ2Ｏ3（弁柄）、Ｆｅ2Ｏ3・
Ｈ 2Ｏ（ＦｅＯＯＨ、ゲーサイト、黄色酸化鉄）、Ｆｅ3
Ｏ4（四三酸化鉄、マグネタイト）等の微粉体を用いる
ことができる。
【００１４】本発明の燃料添加剤に必要に応じて添加さ
れる成分（その２）である（７）増粘剤は、燃料添加剤
の分散安定性を向上させるために粘度（２０℃）を５０
０〜１５００［ｍＰａ・ｓ］に保つ目的で粘度を調整す
る成分である。この例としては、セピオライト、ベント
ナイト等の無機系増粘剤、カルボキシセルロース（ＣＭ
Ｃ）、メチルセルロース（ＭＣ）等の有機系増粘剤が挙
げられる。セピオライトとは、含水マグネシウムシリケ
ートであり、化学構造式はＳｉ12Ｍｇ8Ｏ30(ＯＨ)4(Ｏ
Ｈ2)4・８Ｈ2Ｏで示され、従来より各種分野でそのチク
ソトロピー性による増粘、沈降防止、タレ防止等の目的
に用いられている。また、ベントナイトも組成はセピオ
ライトとは異なるが、基本的な特性はセピオライトと類
似しており、塗料、インキ、その他の液状組成物の増粘
剤として用いられている。メチルセルロースは、セルロ
ースエステルのメチル化によって得られ、カルボキシメ
チルセルロース（ＣＭＣ）はその誘導体ともいえ、これ
らは従来より糊剤を主として多くの用途に用いられてい
る。
【００１５】本発明の燃料添加剤に必要に応じて添加さ
れる成分（その３）である（８）炭化水素油は、燃料添
加剤自体の低粘度化、流動性の改善及び水酸化マグネシ
ウム等の添加剤成分をビチューメン懸濁粒子へ、より接
触させる働きを有する。この例としては灯油、軽油、Ａ
重油、Ｂ重油、Ｃ重油等の鉱油が使用できる。
【００１６】これらの各成分からなる本発明の燃料添加
剤においては、ボイラの種々の障害を防止又は抑制する
粉体成分〔（１）水酸化マグネシウム〕と、それを分散
させるための分散剤〔（２）ポリカルボン酸及び／又は
その塩、（３）分解解膠剤、（４）飽和及び／又は不飽
和脂肪酸〕、及び必要に応じて添加される（６）鉄化合
物（粉体成分）、（７）増粘剤、（８）炭化水素油とか
らなる。そして、粉体成分である（１）水酸化マグネシ
ウムと（６）鉄化合物の成分割合及びその添加量につい
ては、運転状況、ボイラ型式等の因子によりトラブルも
異なるため、その主たる目的に応じて決定するべきであ
る。また、分散剤〔（２），（３），（４）〕の適正な
成分割合は、上記粉体成分〔（１），（６）〕の量（濃
度）により変化し、一般に粉体成分の量（濃度）が高い
ほど分散剤〔（２），（３），（４）〕が多量必要で、
特に（２）、（３）の何れか一方又は両方を増量する必
要がある。さらに（７）増粘剤の適正な成分割合は、前
記粉体成分〔（１），（６）〕の量（濃度）や粒径の分
布割合によっても微妙に変化し、一般に粉体成分の量
（濃度）が小さいほど（７）増粘剤が多量必要である
が、（２）及び（３）の量によっても変化し、粘度が低
いほど（７）増粘剤が多量必要である。
【００１７】前述の各成分の配合割合の範囲は、粉体成
分〔（１），（６）〕については、燃焼に関わるトラブ
ルを解決するために好適な範囲を示す。この範囲内にお
いて、前述のように運転状況、ボイラ型式等の因子、ト
ラブル等に応じて適宜に粉体成分の配合割合を決定する
ことにより、燃焼時に未燃カーボン、ＳＯ3、ＮＯxに起
因する障害を防止し、且つ伝熱面に対する熱吸収率を向
上させることにより、ボイラ等の運転を長期的に安定操
業させることができる。その範囲外では燃焼に関わるト
ラブルが解決できない。分散剤〔（２），（３），
（４）〕については、粉体成分〔（１），（６）〕を
（５）水中に安定に分散させるために好適な範囲である
ことは勿論、ビチューメン重質油Ｏ／Ｗ型エマルジョン
燃料と混合した場合の安定性が確保される範囲を示して
いる。この範囲内において、燃料添加剤のスラリーとし
ての安定性が維持され、さらに予めこの燃料添加剤をビ
チューメン重質油Ｏ／Ｗ型エマルジョン燃料と混合する
場合においても、特に高添加量の場合であってもビチュ
ーメン重質油Ｏ／Ｗ型エマルジョン燃料の分散安定性に
悪影響を与えず、むしろ安定性の向上に寄与することが
でき、粉体成分が分離等を生ずることなく、均一な混合
状態が得られ、前述の粉体成分の効果を有効に発揮する
ことができる。その範囲外では燃料添加剤自身の安定性
が損なわれたり、ビチューメン重質油Ｏ／Ｗ型燃料と混
合した場合の安定性が悪くなり、特に高添加量の場合に
は重質油粒子が凝集を起こして半固状重質油と水に分離
してしまうことがある。
【００１８】
【実施例】以下、本発明の実施例を示す。
【００１９】実施例１ 〔燃料添加剤の調製〕表１に示す配合割合にて、（１）
水酸化マグネシウム、（６）鉄化合物、（２）ポリカル
ボン酸又はその塩、（３）分散解膠剤、（４）飽和又は
不飽和脂肪酸、（７）増粘剤、（８）炭化水素油、及び
（５）水を合計量３００ｇになるように所定量秤量し、
ディスパー撹拌機で回転数３０００ｒ．ｐ．ｍ．で３０
分間撹拌し、安定な水スラリー状燃料添加剤を調製し
た。尚、比較例１，２は、（２）ポリカルボン酸又はそ
の塩、（３）分散解膠剤、（４）飽和又は不飽和脂肪
酸、（７）増粘剤、（８）炭化水素油を含まない組成と
した。
【表１】
【００２０】〔燃料添加剤の性状、静置安定性、及び混
合安定性〕配合例１〜１０、及び比較例１，２の燃料添
加剤の性状（比重、粘度）を測定すると共に、以下の方
法で静置安定性及び混合安定性を調べ、その結果を表２
に示した。 ・ 静置安定性；燃料添加剤自身の静置安定性 表２中の結果は以下の判定基準による。燃料添加剤を１
ヶ月間静置して、その安定性を評価した。 ◎・・・水スラリーの安定性が良好で数％程度分離によ
る上澄み液が存在する。 ○・・・上部１０％程度分離による上澄み液が存在す
る。 △・・・上部２０〜３０％分離による上澄み液が存在す
る。 ×・・・５０％以上分離し、さらに分離した粉体が固化
している。 ・ 混合安定性；ビチューメン重質油Ｏ／Ｗ型エマルジ
ョン燃料との混合安定性表２中の結果は以下の判定基準
による。ビチューメン重質油Ｏ／Ｗ型エマルジョン燃料
（性状を表３に示す）２０ｇと燃料添加剤２ｇとをシャ
ーレに採取し、ガラス棒にて１分間撹拌した。 ◎・・・混合物に変化が起こらない。 ○・・・部分的に重質油の小さな凝集が見られる。 ×・・・エマルジョンが完全に破壊されており、重質油
の大きな凝集が見られる。
【表２】
【表３】
【００２１】実施例２ 配合例３，５，７の各燃料添加剤をプランジャーポンプ
を使用してビチューメン重質油のＯ／Ｗ型エマルジョン
燃料の５００分の１の割合でボイラの燃料配管に強制的
に混入して燃料と共にボイラの火炎中に噴射させ、ボイ
ラのエアヒータ出口で発生する窒素酸化物（ＮＯx）、
ＳＯ2，煤塵の量を測定し、エコノマイザー出口でＳＯ3
を測定し、またスーパーヒーター（ＪＩＳ Ｇ３４６２
材質ＳＴＢＡ−２４）及びエアヒーターにてテストピー
ス（ＪＩＳ Ｇ３１０１材質ＳＳ−４１）をつり下げ、
腐食量を測定してそれぞれ無添加と比較した。その結果
を表４に示す。
【表４】
【００２２】以上本発明を実施例に基づいて説明した
が、本発明は前記した実施例に限定されるものではな
く、特許請求の範囲に記載した構成を変更しない限りど
のようにでも実施することができる。
【００２３】
【発明の効果】以上説明したように本発明の燃料添加剤
は、ビチューメン重質油のＯ／Ｗ型エマルジョン燃料に
対して高添加量になっても分散安定性を損なうことな
く、むしろ安定性の向上に寄与することができるもので
ある。したがって、この燃料添加剤を用いたビチューメ
ン重質油Ｏ／Ｗ型エマルジョン燃料の燃焼において、ボ
イラ等の高・低温腐食及び燃焼障害を防止し、且つボイ
ラ等の運転を長期的に安定操業させることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 ＦＩ テーマコート゛(参考） Ｃ０８Ｋ 3/38 Ｃ０８Ｋ 3/38 5/09 5/09 Ｃ０８Ｌ 1/08 Ｃ０８Ｌ 1/08 33/02 33/02 91/00 91/00 Ｃ１０Ｌ 10/02 Ｃ１０Ｌ 10/02 10/04 10/04 Ｆターム(参考） 4H013 DC01 DC06 DC08 4H015 AA22 AA25 AA27 AB07 BA05 4J002 AB03X AE05Y BG01W BH00W DE076 DE119 DE187 DE227 DG047 DH047 DH057 DJ007 DJ009 DK007 EF048 EF058 FD33X GT00

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】 構成成分として、 （１）粒径０．１〜１０μｍの水酸化マグネシウム３０
    〜６０重量％、 （２）ポリカルボン酸及び／又はその塩０．１〜１重量
    ％、 （３）リン酸、ポリリン酸、ケイ酸、炭酸、硫酸、ホウ
    酸、塩酸のＬｉ，Ｎａ，Ｋ，ＮＨ4塩の一種又は二種以
    上よりなる分散解膠剤０〜１重量％、 （４）炭素数８〜２２の飽和及び／又は不飽和脂肪酸０
    〜０．５重量％、 （５）水残量％ を含有することを特徴とするビチューメン重質油Ｏ／Ｗ
    型エマルジョン燃料用燃料添加剤。
  2. 【請求項２】 構成成分として、 （６）粒径０．１〜１０μｍの鉄化合物１〜１０重量％
    を含有することを特徴とする請求項１に記載のビチュー
    メン重質油Ｏ／Ｗ型エマルジョン燃料用燃料添加剤。
  3. 【請求項３】 鉄化合物がＦｅ2Ｏ3，ＦｅＯＯＨ，Ｆｅ
    3Ｏ4の一種以上であることを特徴とする請求項２に記載
    のビチューメン重質油Ｏ／Ｗ型エマルジョン燃料用燃料
    添加剤。
  4. 【請求項４】 ポリカルボン酸及び／又はその塩が（メ
    タ）アクリル酸、（無水）イタコン酸、（無水）マレイ
    ン酸の一種以上よりなる分子量３０００〜５００００の
    単独単量体、それらの共重合体、その他の共重合可能な
    モノマーとの共重合体であり、その塩がＬｉ，Ｎａ，
    Ｋ，ＮＨ4であることを特徴とする請求項１〜３の何れ
    か一項に記載のビチューメン重質油Ｏ／Ｗ型エマルジョ
    ン燃料用燃料添加剤。
  5. 【請求項５】 構成成分として、 （７）増粘剤０．０１〜１重量％を含有することを特徴
    とする請求項１〜４の何れか一項に記載のビチューメン
    重質油Ｏ／Ｗ型エマルジョン燃料用燃料添加剤。
  6. 【請求項６】 増粘剤がセピオライト、ベントナイト、
    カルボキシメチルセルロース、メチルセルロースの一種
    又は二種以上であることを特徴とする請求項１〜５の何
    れか一項に記載のビチューメン重質油Ｏ／Ｗ型エマルジ
    ョン燃料用燃料添加剤。
  7. 【請求項７】 構成成分として、 （８）炭化水素油０．１〜１０重量％を含有することを
    特徴とする請求項１〜６の何れか一項に記載のビチュー
    メン重質油Ｏ／Ｗ型エマルジョン燃料用燃料添加剤。
  8. 【請求項８】 炭化水素油が、灯油、軽油、Ａ重油、Ｂ
    重油の一種又は二種以上であることを特徴とする請求項
    １〜７の何れか一項に記載のビチューメン重質油Ｏ／Ｗ
    型エマルジョン燃料用燃料添加剤。
  9. 【請求項９】 請求項１〜８に記載の燃料添加剤を燃料
    中に添加して燃焼させるか、直接燃焼雰囲気中に添加す
    ることを特徴とするビチューメン重質油Ｏ／Ｗ型エマル
    ジョン燃料の燃焼方法。
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