JP2002038157A - 液晶配向制御剤、液晶組成物、光学異方性素子および液晶性分子の配向方法 - Google Patents

液晶配向制御剤、液晶組成物、光学異方性素子および液晶性分子の配向方法

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JP2002038157A
JP2002038157A JP2000220963A JP2000220963A JP2002038157A JP 2002038157 A JP2002038157 A JP 2002038157A JP 2000220963 A JP2000220963 A JP 2000220963A JP 2000220963 A JP2000220963 A JP 2000220963A JP 2002038157 A JP2002038157 A JP 2002038157A
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JP
Japan
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carbon atoms
fluorine
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JP2000220963A
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English (en)
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Hiroshi Takeuchi
寛 竹内
Ken Kawada
憲 河田
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 液晶性分子の配向方向を制御しながら、配向
膜が設けられていない側でも液晶性分子を均一に配向さ
せる。 【解決手段】 下記式(I)で表される化合物を液晶配
向制御剤として用いる。 (I)(Hb−)m L(−Ps)n 式中、Hbは、炭素原子数が1乃至40のフッ素置換ア
ルキル基、炭素原子数が6乃至40のフッ素置換アリー
ル基、炭素原子数が6乃至60のアルキル基および炭素
原子数が1乃至60のアルキル置換オリゴシロキサノキ
シ基からなる群より選ばれる疎水性基であり;Psは、
光エネルギーを吸収すると化学構造が変化する感光性基
であり;Lは、(m+n)価の連結基であり;そして、
mおよびnは、それぞれ独立に、1乃至12の整数であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液晶配向制御剤、
液晶組成物、光学異方性素子および液晶性分子の配向方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】透過型液晶表示装置は、液晶セルおよび
その両側に配置された二枚の偏光板からなる。反射型液
晶表示装置は、反射板、液晶セル、そして一枚の偏光板
が、この順序で積層されている。液晶セルは、棒状液晶
性分子、それを封入するための二枚の基板および棒状液
晶性分子に電圧を加えるための電極層からなる。棒状液
晶性分子は、二枚の基板に、それぞれ設けられている配
向膜(両面配向膜)によって配向させる。二枚の配向膜
の間隙に棒状液晶性分子が注入された状態であるため、
棒状液晶性分子の配向状態は、二枚の配向膜によって比
較的容易に制御することができる。
【0003】液晶表示装置の視野角拡大、あるいは着色
の解消を目的として、液晶セルと偏光板との間に、光学
補償シート(位相差板)を配置する場合が多い。光学補
償シートとしては、延伸複屈折フイルムが従来から使用
されている。最近では、延伸複屈折フイルムに代えて、
透明支持体上に液晶性分子から形成した光学的異方性層
を有する光学異方性素子を光学補償シートとして使用す
ることも提案されている。光学的異方性層は、液晶性分
子を配向させ、その配向状態を固定することにより形成
する。液晶性分子の配向状態は、透明支持体と光学的異
方性層との間に設けられる一枚の配向膜によって配向さ
せる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】一枚の配向膜では、液
晶性分子を配向膜界面から空気界面まで均一に配向(モ
ノドメイン配向)させることが難しい。液晶性分子が均
一に配向していないと、ディスクリネーションによる光
散乱が生じる。本発明の目的は、液晶性分子の配向制御
に有効な液晶配向制御剤を提供することである。また、
本発明の目的は、液晶性分子が容易に均一に配向する液
晶組成物を提供することでもある。さらに、本発明の目
的は、配向膜が設けられていない側でも、液晶性分子が
均一に配向している光学異方性素子を提供することでも
ある。さらにまた、本発明の目的は、液晶性分子の配向
方向を制御しながら液晶性分子を配向させることでもあ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、下記
(1)〜(6)の液晶配向制御剤、下記(7)、(8)
の液晶組成物、下記(9)、(10)の光学異方性素子
および下記(11)の液晶性分子の配向方法により達成
された。 (1)下記式(I)で表される化合物からなる液晶配向
制御剤: (I)(Hb−)m L(−Ps)n [式中、Hbは、炭素原子数が1乃至40のフッ素置換
アルキル基、炭素原子数が6乃至40のフッ素置換アリ
ール基、炭素原子数が6乃至60のアルキル基および炭
素原子数が1乃至60のアルキル置換オリゴシロキサノ
キシ基からなる群より選ばれる疎水性基であり;Ps
は、光エネルギーを吸収すると化学構造が変化する感光
性基であり;Lは、(m+n)価の連結基であり;そし
て、mおよびnは、それぞれ独立に、1乃至12の整数
である]。
【0006】(2)式(I)において、Hbが、炭素原
子数が1乃至40のフッ素置換アルキル基または炭素原
子数が6乃至40のフッ素置換アリール基である(1)
に記載の液晶配向制御剤。 (3)式(I)において、Psが、C=C、C=Nまた
はN=Nからなる二重結合を含む感光性基である(1)
に記載の液晶配向制御剤。 (4)式(I)において、Psが、芳香族アゾ基である
(3)に記載の液晶配向制御剤。 (5)式(I)において、mおよびnが、それぞれ独立
に、2乃至12の整数であり、Lが、環状構造を含む連
結基である(1)に記載の液晶配向制御剤。 (6)式(I)において、Lが、少なくとも三つの環状
構造を含む(4)に記載の液晶配向制御剤。
【0007】(7)液晶性分子および下記式(I)で表
される液晶配向制御剤を含み、液晶配向制御剤の量が液
晶性分子の量の0.01乃至20質量%の量であること
を特徴とする液晶組成物: (I)(Hb−)m L(−Ps)n [式中、Hbは、炭素原子数が1乃至40のフッ素置換
アルキル基、炭素原子数が6乃至40のフッ素置換アリ
ール基、炭素原子数が6乃至60のアルキル基および炭
素原子数が1乃至60のアルキル置換オリゴシロキサノ
キシ基からなる群より選ばれる疎水性基であり;Ps
は、光エネルギーを吸収すると化学構造が変化する感光
性基であり;Lは、(m+n)価の連結基であり;そし
て、mおよびnは、それぞれ独立に、1乃至12の整数
である]。 (8)液晶性分子が、ディスコティック液晶性分子であ
る(7)記載の液晶組成物。
【0008】(9)液晶性分子から形成された液晶層
と、液晶層の一方の側のみに配置された配向膜とを有す
る光学異方性素子であって、液晶層が、さらに下記式
(I)で表される液晶配向制御剤を0.005乃至0.
5g/m2 の範囲の量で含むことを特徴とする光学異方
性素子: (I)(Hb−)m L(−Ps)n [式中、Hbは、炭素原子数が1乃至40のフッ素置換
アルキル基、炭素原子数が6乃至40のフッ素置換アリ
ール基、炭素原子数が6乃至60のアルキル基および炭
素原子数が1乃至60のアルキル置換オリゴシロキサノ
キシ基からなる群より選ばれる疎水性基であり;Ps
は、光エネルギーを吸収すると化学構造が変化する感光
性基であり;Lは、(m+n)価の連結基であり;そし
て、mおよびnは、それぞれ独立に、1乃至12の整数
である]。 (10)液晶性分子が5乃至90度の範囲の平均傾斜角
で配向している(9)記載の光学異方性素子。
【0009】(11)支持体上に設けられた配向膜の上
に、下記式(I)で表される化合物からなる液晶配向制
御剤と液晶性分子とを含む液晶層を設ける工程;そし
て、単一方向から液晶層に光を照射して、液晶性分子の
配向方向を制御することを特徴とする液晶性分子の配向
方法: (I)(Hb−)m L(−Ps)n [式中、Hbは、炭素原子数が1乃至40のフッ素置換
アルキル基、炭素原子数が6乃至40のフッ素置換アリ
ール基、炭素原子数が6乃至60のアルキル基および炭
素原子数が1乃至60のアルキル置換オリゴシロキサノ
キシ基からなる群より選ばれる疎水性基であり;Ps
は、光エネルギーを吸収すると化学構造が変化する感光
性基であり;Lは、(m+n)価の連結基であり;そし
て、mおよびnは、それぞれ独立に、1乃至12の整数
である]。本明細書において、液晶性分子の平均傾斜角
は、ディスコティック液晶性分子の場合、ディスコティ
ック液晶性分子の円盤面と支持体の面(あるいは配向膜
の面)との平均角度を意味する。また、棒状液晶性分子
の場合、棒状液晶性分子の長軸方向と支持体の面(ある
いは配向膜の面)との平均角度を意味する。
【0010】
【発明の効果】液晶セルのように、二枚の配向膜の間に
液晶性分子を注入する場合は、液晶性分子に自由界面
(空気界面)は存在しない。この場合は、液晶性分子の
配向制御は、比較的容易である。しかし、一枚の配向膜
しか使用しない場合は、液晶性分子の自由界面に様々な
配向欠陥が生じる。自由界面には外部からの配向規制力
が無く、そのような状態で液晶性分子を配向欠陥がない
均一な配向状態とすることは非常に困難である。さら
に、自由界面では、塗布溶剤の蒸発速度ムラや乾燥風の
ような外部からの影響が液晶性分子に及ぶため、配向欠
陥が生じやすい。例えば、ディスコティック液晶性分子
を垂直(ホモジニアス)に配向させようとすると、自由
界面において、光軸の向きは同じで、円盤面が逆方向に
向き合う二種類の配向形態が混在する状態(デュアルド
メイン配向)が認められた。
【0011】本発明者の研究の結果、前記式(I)で定
義されるように疎水性基(Hb)と感光性基(Ps)と
を連結した化合物は、液晶性分子、特に一枚の配向膜を
用いた場合の空気界面側液晶性分子の配向状態を、光照
射により制御する機能を有することが判明した。式
(I)で表される化合物は、液晶と混合して塗布した後
に空気界面側に偏在することができる。空気界面側に偏
在するためには、液晶と不相溶であること、すなわち液
晶と相分離する必要がある。式(I)で表される化合物
では疎水性基(Hb)が機能して、液晶との相分離が起
こる。さらに、感光性基(Ps)が、光照射により液晶
の配向方向を制御する。すなわち、照射する光の方向に
よって、空気界面側での液晶性分子の配向方向を、液晶
性分子の種類に限定されることなく、任意に制御でき
る。従って、式(I)で表される化合物を液晶配向制御
剤として用いると、配向膜が設けられていない自由界面
においても、液晶性分子を均一に配向させることができ
る。
【0012】
【発明の実施の形態】[液晶配向制御剤]液晶配向制御
剤として、下記式(I)で表される化合物を用いる。 (I)(Hb−)m L(−Ps)n 式(I)において、Hbは、炭素原子数が1乃至40の
フッ素置換アルキル基、炭素原子数が6乃至40のフッ
素置換アリール基、炭素原子数が6乃至60のアルキル
基および炭素原子数が1乃至60のアルキル置換オリゴ
シロキサノキシ基からなる群より選ばれる疎水性基であ
る。炭素原子数が1乃至40のフッ素置換アルキル基お
よび炭素原子数が6乃至40のフッ素置換アリール基が
好ましく、炭素原子数が1乃至40のフッ素置換アルキ
ル基が特に好ましい。
【0013】フッ素置換アルキル基は、環状構造あるい
は分岐を有していてもよい。フッ素置換アルキル基の炭
素原子数は、1乃至40である。炭素原子数は、2乃至
30であることが好ましく、3乃至20であることがよ
り好ましく、4乃至15であることがさらに好ましく、
6乃至12であることが最も好ましい。フッ素原子がア
ルキル基の水素原子を置換している割合は、50乃至1
00%であることが好ましく、60乃至100%である
ことがより好ましく、70乃至100%であることがさ
らに好ましく、80乃至100%であることがさらにま
た好ましく、85乃至100%であることが最も好まし
い。フッ素置換アリール基の炭素原子数は、6乃至40
である。フッ素置換アリール基は、フッ素置換フェニル
であることが好ましい。フッ素原子がアリール基の水素
原子を置換している割合は、50乃至100%であるこ
とが好ましく、60乃至100%であることがより好ま
しく、70乃至100%であることがさらに好ましく、
80乃至100%であることがさらにまた好ましく、8
5乃至100%であることが最も好ましい。
【0014】炭素原子数が6乃至60のアルキル基は、
環状構造あるいは分岐を有していてもよい。アルキル基
の炭素原子数は、7乃至50であることが好ましく、8
乃至40であることがより好ましく、9乃至30である
ことがさらに好ましく、10乃至20であることが最も
好ましい。アルキル置換オリゴシロキサノキシ基の総炭
素原子数は、1乃至60である。アルキル置換オリゴシ
ロキサノキシ基は、下記式で表される基である。 R1 −(SiR2 2−O)q − 式中、R1 は、水素原子、ヒドロキシルまたはアルキル
基であり;R2 は、水素原子またはアルキル基であっ
て、複数のR2 の少なくとも一つはアルキル基であり;
そして、qは、2乃至12の整数である。R1 は、ヒド
ロキシルであることが特に好ましい。複数のR2 は、い
ずれもアルキル基であることが特に好ましい。qは、2
乃至8の整数であることが好ましく、3、4、5または
6であることがさらに好ましい。上記アルキル基は、環
状構造あるいは分岐を有していてもよい。アルキル基の
炭素原子数は、1乃至12であることが好ましく、1乃
至8であることがより好ましく、1乃至6であることが
さらに好ましく、1乃至4であることがさらにまた好ま
しく、1(メチル)または2(エチル)であることが最
も好ましい。以下に、疎水性基(Hb)の例を示す。
【0015】Hb1:n−C8 17− Hb2:H−C8 16− Hb3:テトラフルオロフェニル− Hb4:H−C6 12− Hb5:H−C4 8 − Hb6:HO−(Si(CH3 2 −O)4 − Hb7:n−C1225
【0016】式(I)において、Psは、光エネルギー
を吸収すると化学構造が変化する感光性基である。その
ような感光性基には、フォトクロミック性官能基、光二
量化反応性基(例、シンナモイル基)および光分解性官
能基(例、イミド基)が含まれる。フォトクロミック性
官能基は、一般に、アゾベンゼン構造、ヒドラゾノ−β
−ケトエステル構造、スチルベン構造あるいはスピロピ
ラン構造を有する。
【0017】C=C、C=NまたはN=Nからなる二重
結合構造を含む感光性基が特に好ましい。二重結合構造
は、シス型よりもトランス型が好ましい。二重結合構造
は、感光性基内に二つ以上存在していてもよい。複数の
二重結合構造は、共役の関係にあることが好ましい。二
重結合構造の一方の側には、(任意に連結基を介して)
環状構造が結合していることが好ましい。二重結合構造
と環状構造との間の連結基の例には、−NH−、−O
−、−CO−およびそれらの組み合わせが含まれる。た
だし、連結基がなく、二重結合構造と環状構造とが直結
していることが好ましい。環状構造の例には、芳香族環
(例、ベンゼン環、ナフタレン環)および含窒素複素環
(例、ピリジニウム環、ベンゾピリジニウム環)が含ま
れる。含窒素複素環の場合、環を構成する(窒素原子で
はなく)炭素原子が(1)の二重結合構造の炭素原子ま
たは窒素原子と結合することが好ましい。芳香族環がよ
り好ましく、ベンゼン環が特に好ましい。
【0018】環状構造は、置換基を有していてもよい。
置換基の例には、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原
子、臭素原子)、アルコキシ基(例、メトキシ、ヘキシ
ルオキシ)、シアノ、アルキル基(例、メチル、ブチ
ル、ヘキシル、シクロヘキシル)およびアルキルアミノ
基(例、ジメチルアミノ)を挙げることができる。環状
構造がベンゼン環の場合、パラ位に置換基が結合するこ
とが好ましい。二重結合構造の他方の側は、(任意に連
結基を介して)式(I)のLと結合する。Lが環状構造
を含み、二重結合構造の他方の側とLの環状構造とが結
合することが好ましい。二重結合構造とLとの間の連結
基の例には、−NH−、−O−、−CO−およびそれら
の組み合わせが含まれる。ただし、連結基がなく、二重
結合構造とLとが直結していることが好ましい。二重結
合構造に含まれる炭素原子は、置換基を有していてもよ
い。置換基の例には、アリール基(例、フェニル)およ
びシアノが含まれる。ただし、二重結合構造の炭素原子
は、無置換(−CH=CH−または−CH=N−)であ
ることが好ましい。感光性基は、芳香族アゾ基であるこ
とが特に好ましい。以下に、感光性基(Ps)の例を示
す。
【0019】
【化1】
【0020】
【化2】
【0021】
【化3】
【0022】式(I)において、Lは、(m+n)価の
連結基である。式(I)において、mおよびnは、それ
ぞれ独立に、1乃至12の整数である。mおよびnは、
それぞれ独立に、2乃至12の整数であることが好まし
く、3乃至9の整数であることがさらに好ましい。式
(I)において、mおよびnが、それぞれ1である場
合、Lは、−アルキレン基−、−アリーレン基−、−O
−、−CO−、−NR−、−SO2 −およびそれらの組
み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基であるこ
とが好ましい。上記Rは、水素原子またはアルキル基で
ある。Lは、極性基(−アルキレン基−および−アリー
レン基−以外の基)を少なくとも一つ含むことが好まし
い。Lは、アリーレン基を含み、アリーレン基を介して
感光性基(Ps)と結合することが好ましい。上記アル
キレン基の炭素原子数は、1乃至40であることが好ま
しく、1乃至30であることがより好ましく、1乃至2
0であることがさらに好ましく、1乃至15であること
がさらにまた好ましく、1乃至12であることが最も好
ましい。上記アリーレン基は、フェニレンまたはナフチ
レンであることが好ましく、フェニレンであることがよ
り好ましく、m−フェニレンまたはp−フェニレンであ
ることがさらに好ましく、p−フェニレンであることが
最も好ましい。上記アルキル基の炭素原子数は、1乃至
40であることが好ましく、1乃至30であることがよ
り好ましく、1乃至20であることがさらに好ましく、
1乃至15であることがさらにまた好ましく、1乃至1
2であることが最も好ましい。
【0023】mが2以上の場合、複数の疎水性基(H
b)は、異なっていてもよい。nが2以上の場合、複数
の感光性基(Ps)は、異なっていてもよい。mまたは
nが2以上の場合、連結基(L)は鎖状構造または環状
構造を形成できる。連結基(L)が鎖状構造の場合、複
数の疎水性基(Hb)または複数の感光性基(Ps)
は、主鎖である連結基(L)に、側鎖として結合でき
る。連結基(L)が環状構造の場合、複数の疎水性基
(Hb)または複数の感光性基(Ps)は、環状構造の
連結基(L)に、置換基として結合できる。mおよびn
が、それぞれ独立に、2乃至12の整数である場合、L
は、環状構造を含む連結基であることが好ましい。L
が、少なくとも二つの環状構造を含むことがより好まし
く、少なくとも三つの環状構造を含むことがさらに好ま
しく、少なくとも四つの環状構造を含むことが最も好ま
しい。以下に、連結基(L)の例を示す。
【0024】
【化4】
【0025】
【化5】
【0026】
【化6】
【0027】
【化7】
【0028】
【化8】
【0029】
【化9】
【0030】
【化10】
【0031】
【化11】
【0032】
【化12】
【0033】
【化13】
【0034】
【化14】
【0035】
【化15】
【0036】
【化16】
【0037】
【化17】
【0038】
【化18】
【0039】液晶配向制御剤は、以上述べた疎水性基
(Hb)、感光性基(Ps)および連結基(L)を組み
合わせた化合物である。これらの組み合わせについて、
特に制限はない。以下に、式(I)で表される液晶配向
制御剤の具体例を示す。
【0040】 I−1:(Hb1)3 −L1−(Ps1)3 I−2:(Hb1)3 −L1−(Ps5)3 I−3:(Hb1)3 −L2−(Ps5)3 I−4:(Hb1)3 −L1−(Ps2)3 I−5:(Hb1)3 −L2−(Ps11)3 I−6:(Hb1)3 −L1−(Ps6)3 I−7:(Hb1)3 −L2−(Ps3)3 I−8:(Hb1)3 −L1−(Ps12)3 I−9:(Hb1)3 −L2−(Ps13)3
【0041】I−10:Hb1−L9−Ps1 I−11:Hb1−L11−Ps2 I−12:Hb1−L9−Ps3 I−13:Hb1−L9−Ps4 I−14:Hb1−L12−Ps5 I−15:Hb1−L9−Ps6 I−16:Hb1−L10−Ps3 I−17:Hb1−L12−Ps1 I−18:Hb1−L13−Ps2
【0042】I−19:Hb1−L15−Ps4 I−20:Hb1−L11−Ps7 I−21:Hb1−L14−Ps8 I−22:Hb1−L16−Ps9 I−23:Hb2−L19−Ps3 I−24:Hb3−L20−Ps1 I−25:Hb4−L21−Ps2 I−26:Hb5−L17−Ps4 I−27:Hb1−L22−Ps7
【0043】I−28:Hb1−L14−Ps10 I−29:Hb6−L23−Ps10 I−30:Hb7−L19−Ps3 I−31:(Hb1)3 −L3−(Ps2)3 I−32:(Hb1)3 −L4−(Ps2)3 I−33:(Hb1)3 −L5−(Ps1)3 I−34:(Hb1)4 −L6−(Ps1)4 I−35:(Hb1)4 −L7−(Ps2)4 I−36:(Hb1)2 −L8−Ps1 I−37:Hb5−L18−Ps2
【0044】[液晶組成物]液晶組成物は、液晶性分子
と液晶配向制御剤を含む。二種類以上の液晶性分子を併
用してもよい。また、二種類以上の液晶配向制御剤を併
用してもよい。液晶配向制御剤は、液晶性分子の量の
0.01乃至20質量%の量で使用する。使用量は、
0.05乃至5質量%の量であることが好ましい。液晶
性分子としては、ディスコティック液晶性分子または棒
状液晶性分子を用いることが好ましく、ディスコティッ
ク液晶性分子を用いることが特に好ましい。また、液晶
性分子は、重合性基を有することも好ましい。
【0045】ディスコティック液晶性分子は、様々な文
献(C. Destrade et al., Mol. Crysr. Liq. Cryst., v
ol. 71, page 111 (1981) ;日本化学会編、季刊化学総
説、No.22、液晶の化学、第5章、第10章第2節
(1994);B. Kohne et al., Angew. Chem. Soc. Chem. C
omm., page 1794 (1985);J. Zhang et al., J. Am.Che
m. Soc., vol. 116, page 2655 (1994))に記載されて
いる。ディスコティック液晶性分子の重合については、
特開平8−27284公報に記載がある。ディスコティ
ック液晶性分子を重合により固定するためには、ディス
コティック液晶性分子の円盤状コアに、置換基として重
合性基を結合させる必要がある。ただし、円盤状コアに
重合性基を直結させると、重合反応において配向状態を
保つことが困難になる。そこで、円盤状コアと重合性基
との間に、連結基を導入する。従って、重合性基を有す
るディスコティック液晶性分子は、下記式で表わされる
化合物であることが好ましい。
【0046】D(−L−Q)n 式中、Dは円盤状コアであり;Lは二価の連結基であ
り;Qは重合性基であり;そして、nは4乃至12の整
数である。上記式の円盤状コア(D)の例を以下に示
す。以下の各例において、LQ(またはQL)は、二価
の連結基(L)と重合性基(Q)との組み合わせを意味
する。トリフェニレン(D4)が特に好ましい。
【0047】
【化19】
【0048】
【化20】
【0049】
【化21】
【0050】
【化22】
【0051】
【化23】
【0052】
【化24】
【0053】
【化25】
【0054】
【化26】
【0055】
【化27】
【0056】前記式において、二価の連結基(L)は、
アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、−CO
−、−NH−、−O−、−S−およびそれらの組み合わ
せからなる群より選ばれる二価の連結基であることが好
ましい。二価の連結基(L)は、アルキレン基、アルケ
ニレン基、アリーレン基、−CO−、−NH−、−O−
および−S−からなる群より選ばれる二価の基を少なく
とも二つ組み合わせた基であることがさらに好ましい。
二価の連結基(L)は、アルキレン基、アルケニレン
基、アリーレン基、−CO−および−O−からなる群よ
り選ばれる二価の基を少なくとも二つ組み合わせた基で
あることが最も好ましい。アルキレン基の炭素原子数
は、1乃至12であることが好ましい。アルケニレン基
の炭素原子数は、2乃至12であることが好ましい。ア
リーレン基の炭素原子数は、6乃至10であることが好
ましい。アルキレン基、アルケニレン基およびアリーレ
ン基は、置換基(例、アルキル基、ハロゲン原子、シア
ノ、アルコキシ基、アシルオキシ基)を有していてもよ
い。二価の連結基(L)の例を以下に示す。左側が円盤
状コア(D)に結合し、右側が重合性基(Q)に結合す
る。ALはアルキレン基またはアルケニレン基を意味
し、ARはアリーレン基を意味する。
【0057】L1:−AL−CO−O−AL− L2:−AL−CO−O−AL−O− L3:−AL−CO−O−AL−O−AL− L4:−AL−CO−O−AL−O−CO− L5:−CO−AR−O−AL− L6:−CO−AR−O−AL−O− L7:−CO−AR−O−AL−O−CO− L8:−CO−NH−AL− L9:−NH−AL−O− L10:−NH−AL−O−CO− L11:−O−AL− L12:−O−AL−O− L13:−O−AL−O−CO−
【0058】 L14:−O−AL−O−CO−NH−AL− L15:−O−AL−S−AL− L16:−O−CO−AL−AR−O−AL−O−CO− L17:−O−CO−AR−O−AL−CO− L18:−O−CO−AR−O−AL−O−CO− L19:−O−CO−AR−O−AL−O−AL−O−C
O− L20:−O−CO−AR−O−AL−O−AL−O−A
L−O−CO− L21:−S−AL− L22:−S−AL−O− L23:−S−AL−O−CO− L24:−S−AL−S−AL− L25:−S−AR−AL−
【0059】AL(アルキレン基またはアルケニレン
基)に、不斉炭素原子を導入すると、ディスコティック
液晶性分子を螺旋状にねじれ配向させることができる。
不斉炭素原子を含むAL*の例を以下に挙げる。左側が
円盤状コア(D)側であり、右側が重合性基(Q)側で
ある。*印を付けた炭素原子(C)が不斉炭素原子であ
る。光学活性は、SとRのいずれでもよい。
【0060】AL*1:−CH2 CH2 −C*HCH3
−CH2 CH2 CH2 − AL*2:−CH2 CH2 CH2 −C*HCH3 −CH
2 CH2 − AL*3:−CH2 −C*HCH3 −CH2 CH2 CH
2 CH2 − AL*4:−C*HCH3 −CH2 CH2 CH2 CH2
CH2 − AL*5:−CH2 CH2 CH2 CH2 −C*HCH3
−CH2 − AL*6:−CH2 CH2 CH2 CH2 CH2 −C*H
CH3 − AL*7:−C*HCH3 −CH2 CH2 CH2 CH2
− AL*8:−CH2 −C*HCH3 −CH2 CH2 CH
2 − AL*9:−CH2 CH2 −C*HCH3 −CH2 CH
2 − AL*10:−CH2 CH2 CH2 −C*HCH3 −CH
2 − AL*11:−CH2 CH2 CH2 CH2 −C*HCH3
− AL*12:−C*HCH3 −CH2 CH2 CH2 − AL*13:−CH2 −C*HCH3 −CH2 CH2 − AL*14:−CH2 CH2 −C*HCH3 −CH2 − AL*15:−CH2 CH2 CH2 −C*HCH3
【0061】AL*16:−CH2 −C*HCH3 − AL*17:−C*HCH3 −CH2 − AL*18:−C*HCH3 −CH2 CH2 CH2 CH2
CH2 CH2 − AL*19:−CH2 −C*HCH3 −CH2 CH2 CH
2 CH2 CH2 − AL*20:−CH2 CH2 −C*HCH3 −CH2 CH
2 CH2 CH2 − AL*21:−CH2 CH2 CH2 −C*HCH3 −CH
2 CH2 CH2 − AL*22:−C*HCH3 −CH2 CH2 CH2 CH2
CH2 CH2 CH2 − AL*23:−CH2 −C*HCH3 −CH2 CH2 CH
2 CH2 CH2 CH2 − AL*24:−CH2 CH2 −C*HCH3 −CH2 CH
2 CH2 CH2 CH2 − AL*25:−CH2 CH2 CH2 −C*HCH3 −CH
2 CH2 CH2 CH2 − AL*26:−C*HCH3 −(CH2 8 − AL*27:−CH2 −C*HCH3 −(CH2 8 − AL*28:−CH2 −C*HCH2CH3 − AL*29:−CH2 −C*HCH2CH3 −CH2 − AL*30:−CH2 −C*HCH2CH3 −CH2 CH
2
【0062】AL*31:−CH2 −C*HCH2CH3
−CH2 CH2 CH2 CH2 − AL*32:−CH2 −C*H(n−C3 7 )−CH2
CH2 − AL*33:−CH2 −C*H(n−C3 7 )−CH2
CH2 CH2 CH2 − AL*34:−CH2 −C*H(OCOCH3 )−CH2
CH2 − AL*35:−CH2 −C*H(OCOCH3 )−CH2
CH2 CH2 CH2 − AL*36:−CH2 −C*HF−CH2 CH2 − AL*37:−CH2 −C*HF−CH2 CH2 CH2
2 − AL*38:−CH2 −C*HCl−CH2 CH2 − AL*39:−CH2 −C*HCl−CH2 CH2 CH2
CH2 − AL*40:−CH2 −C*HOCH3 −CH2 CH2 − AL*41:−CH2 −C*HOCH3 −CH2 CH2
2 CH2 − AL*42:−CH2 −C*HCN−CH2 CH2 − AL*43:−CH2 −C*HCN−CH2 CH2 CH2
CH2 − AL*44:−CH2 −C*HCF3 −CH2 CH2 − AL*45:−CH2 −C*HCF3 −CH2 CH2 CH
2 CH2
【0063】前記式の重合性基(Q)は、重合反応の種
類に応じて決定する。重合性基(Q)の例を以下に示
す。
【0064】
【化28】
【0065】重合性基(Q)は、不飽和重合性基(Q1
〜Q7)、エポキシ基(Q8)またはアジリジニル基
(Q9)であることが好ましく、不飽和重合性基である
ことがさらに好ましく、エチレン性不飽和重合性基(Q
1〜Q6)であることが最も好ましい。前記式におい
て、nは4乃至12の整数である。具体的な数字は、デ
ィスコティックコア(D)の種類に応じて決定される。
なお、複数のLとQの組み合わせは、異なっていてもよ
いが、同一であることが好ましい。二種類以上のディス
コティック液晶性分子を併用してもよい。例えば、二価
の連結基に不斉炭素原子を有する分子と有していない分
子を併用することができる。また、重合性基(Q)を有
する分子と有していない分子(前記式(I)においてQ
の代わりに水素原子またはアルキル基を有する分子)を
併用してもよい。不斉炭素原子を有し重合性基を有して
いない分子と、重合性基を有し不斉炭素原子を有してい
ない分子を併用することが特に好ましい。不斉炭素原子
を有し重合性基を有していない分子は、実質的には、デ
ィスコティック液晶性分子としてよりもカイラル剤とし
て機能する。
【0066】ディスコティック液晶性分子の二価の連結
基(L)に不斉炭素原子を導入する代わりに、不斉炭素
原子を含む光学活性を示す化合物(カイラル剤)を光学
的異方性層に添加しても、ディスコティック液晶性分子
を螺旋状にねじれ配向させることができる。不斉炭素原
子を含む化合物としては、様々な天然または合成化合物
が使用できる。不斉炭素原子を含む化合物中には、ディ
スコティック液晶性分子と同じまたは類似の重合性基を
導入してもよい。重合性基を導入すると、ディスコティ
ック液晶性分子を実質的に垂直(ホモジニアス)配向さ
せた後に、固定するのと同時に、同じまたは類似の重合
反応により不斉炭素原子を含む化合物も光学的異方性層
内で固定することができる。
【0067】棒状液晶性分子としては、アゾメチン類、
アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエス
テル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン
酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン
類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換
フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン
類およびアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が
好ましく用いられる。棒状液晶性分子を実質的に垂直に
配向させた液晶セルとしては、VA(Vertically Align
ed)モードの液晶セルが代表的である。VAモードの液
晶セルを用いた液晶表示装置については、日経マイクロ
デバイスNo.136、147頁(1996)、特開平
2−176625号公報および特許番号第286637
2号公報に記載がある。棒状液晶性分子の複屈折率は、
0.001乃至0.7であることが好ましい。棒状液晶
性分子も、重合性基を有することが好ましい。重合性基
の例は、ディスコティック液晶性分子の重合性基(Q)
の例と同様である。棒状液晶性分子は、短軸方向に対し
てほぼ対称となる分子構造を有することが好ましい。そ
のためには、棒状分子構造の両端に重合性基を有するこ
とが好ましい。
【0068】液晶組成物は、液晶性分子および液晶配向
制御剤に加えて、必要に応じて溶媒、不斉炭素原子を含
む化合物、あるいは重合性開始剤(後述)や他の添加剤
(例えば、セルロースエステル)を含むことができる。
液晶組成物の溶媒としては、有機溶媒が好ましく用いら
れる。有機溶媒の例には、アミド(例、N,N−ジメチ
ルホルムアミド)、スルホキシド(例、ジメチルスルホ
キシド)、ヘテロ環化合物(例、ピリジン)、炭化水素
(例、ベンゼン、ヘキサン)、アルキルハライド(例、
クロロホルム、ジクロロメタン)、エステル(例、酢酸
メチル、酢酸ブチル)、ケトン(例、アセトン、メチル
エチルケトン)、エーテル(例、テトラヒドロフラン、
1,2−ジメトキシエタン)が含まれる。アルキルハラ
イドおよびケトンが好ましい。二種類以上の有機溶媒を
併用してもよい。
【0069】[光学異方性素子]光学異方性素子は、液
晶組成物を配向膜の上に塗布し、液晶層を形成すること
により作製できる。液晶組成物の塗布は、公知の方法
(例、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコ
ーティング法、リバースグラビアコーティング法、ダイ
コーティング法、バーコーティング法)により実施でき
る。配向膜上に形成した液晶層を加熱することにより、
液晶性分子を配向させることが好ましい。液晶性分子の
配向後、単一方向から液晶層に光を照射して、液晶性分
子の配向方向を制御することができる。照射する光は、
X線、電子線、紫外線、可視光線または赤外線(熱線)
が用いられる。紫外線を用いることが特に好ましい。紫
外線は、光重合反応(後述)における光重合開始剤の感
光波長とは異なる波長であることが好ましい。そのため
に、光重合開始剤の感光波長の光を吸収するフィルター
を用いてもよい。光源としては、低圧水銀ランプ(殺菌
ランプ、蛍光ケミカルランプ、ブラックライト)、高圧
放電ランプ(高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ)
あるいはショートアーク放電ランプ(超高圧水銀ラン
プ、キセノンランプ、水銀キセノンランプ)が好ましく
用いられる。
【0070】光は、可能な限り単一方向に揃えて液晶層
に照射する。この単一方向とは、液晶層平面(光の方向
を平面に投影した向き)において単一の方向であること
を意味し、平面に対して水平または垂直の方向も含む。
露光量は、50乃至6000mJ/cm2 であることが
好ましく、100乃至2000mJ/cm2 であること
がさらに好ましい。短時間で配向を制御するためには、
加熱しながら光を照射することが好ましい。加熱温度
は、40乃至250℃であることが好ましい。
【0071】液晶性分子は、配向状態を維持して固定す
ることが好ましい。固定化は、液晶性分子に導入した重
合性基(Q)の重合反応により実施することが好まし
い。重合反応には、熱重合開始剤を用いる熱重合反応と
光重合開始剤を用いる光重合反応とが含まれる。光重合
反応が好ましい。光重合開始剤の例には、α−カルボニ
ル化合物(米国特許2367661号、同236767
0号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許
2448828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香
族アシロイン化合物(米国特許2722512号明細書
記載)、多核キノン化合物(米国特許3046127
号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリー
ルイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンと
の組み合わせ(米国特許3549367号明細書記
載)、アクリジンおよびフェナジン化合物(特開昭60
−105667号公報、米国特許4239850号明細
書記載)およびオキサジアゾール化合物(米国特許42
12970号明細書記載)が含まれる。
【0072】光重合開始剤の使用量は、塗布液の固形分
の0.01乃至20質量%であることが好ましく、0.
5乃至5質量%であることがさらに好ましい。ディスコ
ティック液晶性分子の重合のための光照射は、紫外線を
用いることが好ましい。照射エネルギーは、20mJ/
cm2 乃至50J/cm2 であることが好ましく、10
0乃至800mJ/cm2 であることがさらに好まし
い。光重合反応を促進するため、加熱条件下で光照射を
実施してもよい。液晶層の厚さは、0.1乃至50μm
であることが好ましく、1乃至30μmであることがさ
らに好ましく、5乃至20μmであることが最も好まし
い。液晶層中の液晶配向制御剤の塗布量は、0.005
乃至0.5g/m2 であることが好ましく、0.01乃
至0.45g/m2 であることがより好ましく、0.0
2乃至0.4g/m2 であることがさらに好ましく、
0.03乃至0.35g/m2 であることが最も好まし
い。
【0073】[配向膜]配向膜は、有機化合物(好まし
くはポリマー)のラビング処理、無機化合物の斜方蒸
着、マイクログルーブを有する層の形成、あるいはラン
グミュア・ブロジェット法(LB膜)による有機化合物
(例、ω−トリコサン酸、ジオクタデシルメチルアンモ
ニウムクロライド、ステアリル酸メチル)の累積のよう
な手段で、設けることができる。さらに、電場の付与、
磁場の付与あるいは光照射により、配向機能が生じる配
向膜も知られている。ポリマーのラビング処理により形
成する配向膜が特に好ましい。ラビング処理は、ポリマ
ー層の表面を、紙や布で一定方向に、数回こすることに
より実施する。配向膜に使用するポリマーの種類は、液
晶性分子の配向(特に平均傾斜角)に応じて決定する。
液晶性分子を水平(平均傾斜角:0乃至50゜)に配向
させるためには、配向膜の表面エネルギーを低下させな
いポリマー(通常の配向膜用ポリマー)を用いる。液晶
性分子を垂直(平均傾斜角:50乃至90゜)に配向さ
せるためには、配向膜の表面エネルギーを低下させるポ
リマーを用いる。配向膜の表面エネルギーを低下させる
ためには、ポリマーの側鎖に炭素原子数が10乃至10
0の炭化水素基を導入することが好ましい。
【0074】具体的なポリマーの種類については、様々
な表示モードに対応する液晶性分子を用いた光学補償シ
ートについての文献に記載がある。配向膜の厚さは、
0.01乃至5μmであることが好ましく、0.05乃
至1μmであることがさらに好ましい。なお、配向膜を
用いて、液晶層の液晶性分子を配向させてから、液晶層
を透明支持体上に転写してもよい。配向状態で固定され
た液晶性分子は、配向膜がなくても配向状態を維持する
ことができる。また、平均傾斜角が5゜未満の配向の場
合は、ラビング処理をする必要はなく、配向膜も不要で
ある。ただし、液晶性分子と透明支持体との密着性を改
善する目的で、界面で液晶性分子と化学結合を形成する
配向膜(特開平9−152509号公報記載)を用いて
もよい。密着性改善の目的で配向膜を使用する場合は、
ラビング処理を実施しなくてもよい。二種類の液晶層を
透明支持体の同じ側に設ける場合、透明支持体上に形成
した液晶層を、その上に設ける液晶層の配向膜として機
能させることも可能である。
【0075】ラビング処理によって配向機能が付与され
る配向膜に代えて、単一方向からの光照射によって配向
機能が付与される配向膜を用いてもよい。光照射による
配向膜は、フォトクロミック化合物または感光性ポリマ
ーを用いて形成する。フォトクロミック化合物は、光の
作用で化学構造に変化が生じ、それにより光に対する挙
動(例えば色調)も変化する化合物である。一般に、そ
れらの変化は可逆的である。液晶セルについて従来提案
されたフォトクロミック化合物には、アゾベンゼン化合
物(K. Ichimura et al., Langmuir, vol. 4, page 121
4 (1988);K. Aokiet al., Langmuir, vol. 8, page 10
07 (1992);Y. Suzuki et al., Langmuir,vol. 8, page
2601 (1992);K. Ichimura et al., Appl. Phys. Let
t., vol. 63, No. 4, page 449 (1993);N. Ishizuki,
Langmuir, vol. 9, page 3298 (1993) ;N. Ishizuki,
Langmuir, vol. 9, page 857 (1993))、ヒドラゾノ−
β−ケトエステル化合物(S. Yamamura et al., Liquid
Crystals, vol. 13, No. 2, page 189 (1993))、スチ
ルベン化合物(市村國宏他、高分子論文集、第47巻、
10号、771頁(1990))およびスピロピラン化合物
(K. Ichimura et al., Chemistry Letters, page 1063
(1992) ;K. Ichimura et al., Thin Solid Films, vo
l. 235, page 101 (1993) )が含まれる。
【0076】C=C、C=NまたはN=Nからなる二重
結合構造を含むフォトクロミック化合物が、特に好まし
い。二重結合構造を有するフォトクロミック化合物は、
下記(1)および(2)の必須要素と、下記(3)〜
(5)の任意要素からなる。 (1)C=C、C=NまたはN=Nからなる二重結合構
造 (2)上記(1)の結合の両側に(直結しなくてもよ
く)存在する環状構造 (3)任意の(1)と(2)との間の連結基 (4)任意の(1)の炭素原子の置換基 (5)任意の(2)の環状構造の置換基 上記(1)の二重結合構造は、シス型よりもトランス型
が好ましい。二重結合構造は、分子内に二つ以上存在し
ていてもよい。複数の二重結合構造は、共役の関係にあ
ることが好ましい。上記(2)の環状構造の例には、ベ
ンゼン環、ナフタレン環および含窒素複素環(例、ピリ
ジニウム環、ベンゾピリジニウム環)が含まれる。含窒
素複素環の場合、環を構成する(窒素原子ではなく)炭
素原子が(1)の二重結合構造の炭素原子または窒素原
子と結合することが好ましい。ベンゼン環が特に好まし
い。
【0077】上記(3)の連結基の例には、−NH−お
よび−CO−が含まれる。ただし、(3)の連結基がな
く、(1)と(2)とが直結していることが好ましい。
上記(4)の置換基の例には、アリール基(例、フェニ
ル)およびシアノが含まれる。ただし、(4)の置換基
がなく、二重結合構造に含まれる炭素原子が、(2)と
の結合以外は無置換(−CH=CH−または−CH=N
−)であることが好ましい。上記(5)の置換基の例に
は、アルコキシ基(例、メトキシ、ヘキシルオキシ)、
シアノ、アルキル基(例、ブチル、ヘキシル)およびア
ルキルアミノ基(例、ジメチルアミノ)を挙げることが
できる。(2)の環状構造がベンゼン環の場合、パラ位
に置換基が結合することが好ましい。なお、後述するよ
うに、フォトクロミック化合物をポリマーに化学的結合
させて使用する場合は、ポリマーに化学的結合させるた
めの官能基を、(5)の置換基としてフォトクロミック
化合物に導入する。
【0078】フォトクロミック化合物は、何らかの手段
を用いて支持体表面に対して固定して使用する必要があ
る。フォトクロミック化合物をポリマーに化学的結合し
て、固定することが特に好ましい。フォトクロミック化
合物と化学的結合させるポリマーは、親水性ポリマー
(例、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリ(メタ)
アクリレート)であることが好ましい。ポリビニルアル
コールが特に好ましく用いられる。フォトクロミック化
合物とポリマーとの反応は、ポリマーの種類(特に官能
基の種類)に応じて決定する。ポリビニルアルコールの
ような水酸基を有するポリマーの場合は、酸ハライドと
水酸基との反応を利用することができる。
【0079】配向膜に使用するポリマーは、さらに液晶
性分子を実質的に垂直(ディスコティック液晶性分子で
はホモジニアス、棒状液晶性分子ではホメオトロピッ
ク)に配向させる機能を有する基を有することが好まし
い。液晶性分子を実質的に垂直に配向させるためには、
配向膜の表面エネルギーを低下させることが重要であ
る。具体的には、ポリマーの官能基により配向膜の表面
エネルギーを低下させ、これにより液晶性分子を立てた
状態にする。配向膜の表面エネルギーを低下させる官能
基としては、炭素原子数が10以上の炭化水素基が有効
である。炭化水素基を配向膜の表面に存在させるため
に、ポリマーの主鎖よりも側鎖に炭化水素基を導入する
ことが好ましい。炭化水素基は、脂肪族基、芳香族基ま
たはそれらの組み合わせである。脂肪族基は、環状、分
岐状あるいは直鎖状のいずれでもよい。脂肪族基は、ア
ルキル基(シクロアルキル基であってもよい)またはア
ルケニル基(シクロアルケニル基であってもよい)であ
ることが好ましい。炭化水素基は、ハロゲン原子のよう
な強い親水性を示さない置換基を有していてもよい。炭
化水素基の炭素原子数は、10乃至100であることが
好ましく、10乃至60であることがさらに好ましく、
10乃至40であることが最も好ましい。ポリマーの主
鎖は、ポリビニルアルコール構造を有することが好まし
い。
【0080】炭素原子数が10以上の炭化水素基を有す
る変性ポリビニルアルコールは、ディスコティック液晶
性分子を実質的に垂直(ホモジニアス)に配向させるこ
とができる。炭化水素基は、脂肪族基、芳香族基または
それらの組み合わせである。脂肪族基は、環状、分岐状
あるいは直鎖状のいずれでもよい。脂肪族基は、アルキ
ル基(シクロアルキル基であってもよい)またはアルケ
ニル基(シクロアルケニル基であってもよい)であるこ
とが好ましい。炭化水素基は、ハロゲン原子のような強
い親水性を示さない置換基を有していてもよい。炭化水
素基の炭素原子数は、10乃至100であることが好ま
しく、10乃至60であることがさらに好ましく、10
乃至40であることが最も好ましい。炭化水素基を有す
る変性ポリビニルアルコールは、炭素原子数が10以上
の炭化水素基を有する繰り返し単位を2乃至80モル%
の範囲で含むことが好ましく、3乃至70モル%含むこ
とがさらに好ましい。
【0081】好ましい変性ポリビニルアルコールを、下
記式(PV)で表す。 (PV) −(VAl)x−(HyC)y−(VAc)z−(P
c)q− 式中、VAlは、ビニルアルコール繰り返し単位であ
り;HyCは、炭素原子数が10以上の炭化水素基を有
する繰り返し単位であり;VAcは酢酸ビニル繰り返し
単位であり;Pcは、フォトクロミック化合物を化学的
結合させた繰り返し単位であり;xは、20乃至95モ
ル%(好ましくは25乃至90モル%)であり;yは、
0乃至80モル%(好ましくは2乃至70モル%)であ
り;zは0乃至30モル%(好ましくは2乃至20モル
%)であり;そして、qは、0乃至30モル%(好まし
くは2乃至20モル%)である。好ましい炭素原子数が
10以上の炭化水素基を有する繰り返し単位(HyC)
を、下記式(HyC−I)および(HyC−II)で表
す。
【0082】
【化29】
【0083】式中、L1 は、−O−、−CO−、−SO
2 −、−NH−、アルキレン基、アリーレン基およびそ
れらの組み合わせから選ばれる二価の連結基であり;L
2 は、単結合あるいは−O−、−CO−、−SO2 −、
−NH−、アルキレン基、アリーレン基およびそれらの
組み合わせから選ばれる二価の連結基であり;そしてR
1 およびR2 は、それぞれ、炭素原子数が10以上の炭
化水素基である。上記の組み合わせにより形成される二
価の連結基の例を、以下に示す。
【0084】L1:−O−CO− L2:−O−CO−アルキレン基−O− L3:−O−CO−アルキレン基−CO−NH− L4:−O−CO−アルキレン基−NH−SO2 −アリ
ーレン基−O− L5:−アリーレン基−NH−CO− L6:−アリーレン基−CO−O− L7:−アリーレン基−CO−NH− L8:−アリーレン基−O− L9:−O−CO−NH−アリーレン基−NH−CO−
【0085】好ましいフォトクロミック化合物を化学的
結合させた繰り返し単位(Pc)を、下記式(Pc−
I)および(Pc−II)で表す。
【0086】
【化30】
【0087】式中、L1 は、−O−、−CO−、−SO
2 −、−NH−、アルキレン基、アリーレン基およびそ
れらの組み合わせから選ばれる二価の連結基であり;L
2 は、単結合あるいは−O−、−CO−、−SO2 −、
−NH−、アルキレン基、アリーレン基およびそれらの
組み合わせから選ばれる二価の連結基であり;そしてZ
1 およびZ2 は、それぞれ、、フォトクロミック化合物
から誘導される一価の感光性基である。上記の組み合わ
せにより形成される二価の連結基の例は、式(HyC−
I)および(HyC−II)と同様である。フォトクロミ
ック化合物から誘導される一価の感光性基(Z)の例を
以下に示す。
【0088】
【化31】
【0089】
【化32】
【0090】
【化33】
【0091】光照射による配向膜に用いるポリマーの重
合度は、200乃至5000であることが好ましく、3
00乃至3000であることが好ましい。ポリマーの分
子量は、9000乃至200000であることが好まし
く、13000乃至130000であることがさらに好
ましい。二種類以上のポリマーを併用してもよい。液晶
性分子を含む層を加熱しながら傾斜した平行光を照射す
ると、配向膜の配向機能を活性化すると同時に、液晶配
向制御剤の機能も活性化して、液晶性分子を均一に配向
させることができる。すなわち、配向膜側と空気界面側
とが同じ傾きの光照射で配向機能が活性化されるため、
中間の液晶性分子を同じ傾斜角で均一に傾けることがで
きる。
【0092】[透明支持体]光学異方性素子は、透明支
持体を有していてもい。透明支持体として、ガラス板ま
たはポリマーフイルム、好ましくはポリマーフイルムが
用いられる。支持体が透明であるとは、光透過率が80
%以上であることを意味する。透明支持体として、一般
には、光学等方性のポリマーフイルムが用いられてい
る。光学等方性とは、具体的には、面内レターデーショ
ン(Re)が10nm未満であることが好ましく、5n
m未満であることがさらに好ましい。また、光学等方性
透明支持体では、厚み方向のレターデーション(Rth)
も、10nm未満であることが好ましく、5nm未満で
あることがさらに好ましい。透明支持体の面内レターデ
ーション(Re)と厚み方向のレターデーション(Rt
h)は、それぞれ下記式で定義される。 Re=(nx−ny)×d Rth=[{(nx+ny)/2}−nz]×d 式中、nxおよびnyは、透明支持体の面内屈折率であ
り、nzは透明支持体の厚み方向の屈折率であり、そし
てdは透明支持体の厚さである。
【0093】透明支持体として光学異方性のポリマーフ
イルムが用いられる場合もある。そのような場合、透明
支持体は、光学的一軸性または光学的二軸性を有するこ
とが好ましい。光学的一軸性支持体の場合、光学的に正
(光軸方向の屈折率が光軸に垂直な方向の屈折率よりも
大)であっても負(光軸方向の屈折率が光軸に垂直な方
向の屈折率よりも小)であってもよい。光学的二軸性支
持体の場合、前記式の屈折率nx、nyおよびnzは、
全て異なる値(nx≠ny≠nz)になる。光学異方性
透明支持体の面内レターデーション(Re)は、10乃
至1000nmであることが好ましく、15乃至300
nmであることがさらに好ましく、20乃至200nm
であることが最も好ましい。光学異方性透明支持体の厚
み方向のレターデーション(Rth)は、10乃至100
0nmであることが好ましく、15乃至300nmであ
ることがより好ましく、20乃至200nmであること
がさらに好ましい。
【0094】透明支持体を形成する材料は、光学等方性
支持体とするか、光学異方性支持体とするかに応じて決
定する。光学等方性支持体の場合は、一般にガラスまた
はセルロースエステルが用いられる。光学異方性支持体
の場合は、一般に合成ポリマー(例、ポリカーボネー
ト、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアクリ
レート、ポリメタクリレート、ノルボルネン樹脂)が用
いられる。ただし、欧州特許0911656A2号明細
書に記載されている(1)レターデーション上昇剤の使
用、(2)セルロースアセテートの酢化度の低下、ある
いは(3)冷却溶解法によるフイルムの製造により、光
学異方性の(レターデーションが高い)セルロースエス
テルフイルムを製造することもできる。ポリマーフイル
ムからなる透明支持体は、ソルベントキャスト法により
形成することが好ましい。
【0095】光学異方性透明支持体を得るためには、ポ
リマーフイルムに延伸処理を実施することが好ましい。
光学的一軸性支持体を製造する場合は、通常の一軸延伸
処理または二軸延伸処理を実施すればよい。光学的二軸
性支持体を製造する場合は、アンバランス二軸延伸処理
を実施することが好ましい。アンバランス二軸延伸で
は、ポリマーフイルムをある方向に一定倍率(例えば3
乃至100%、好ましくは5乃至30%)延伸し、それ
と垂直な方向にそれ以上の倍率(例えば6乃至200
%、好ましくは10乃至90%)延伸する。二方向の延
伸処理は、同時に実施してもよい。延伸方向(アンバラ
ンス二軸延伸では延伸倍率の高い方向)と延伸後のフイ
ルムの面内の遅相軸とは、実質的に同じ方向になること
が好ましい。延伸方向と遅相軸との角度は、10゜未満
であることが好ましく、5゜未満であることがさらに好
ましく、3゜未満であることが最も好ましい。
【0096】透明支持体の厚さは、10乃至500μm
であることが好ましく、50乃至200μmであること
がさらに好ましい。透明支持体とその上に設けられる層
(接着層、配向膜あるいは光学異方性層)との接着を改
善するため、透明支持体に表面処理(例、グロー放電処
理、コロナ放電処理、紫外線(UV)処理、火炎処理)
を実施してもよい。透明支持体に紫外線吸収剤を添加し
てもよい。透明支持体の上に、接着層(下塗り層)を設
けてもよい。接着層については、特開平7−33343
3号公報に記載がある。接着層の厚さは、0.1乃至2
μmであることが好ましく、0.2乃至1μmであるこ
とがさらに好ましい。
【0097】[光学異方性素子の用途]光学異方性素子
は、様々な表示モードの液晶セルの光学補償シートとし
て利用できる。液晶性分子を用いた光学補償シートは、
TN(Twisted Nematic)、IPS(In-Plane Switchin
g)、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)、OC
B(Optically Compensatory Bend)、STN(Supper
Twisted Nematic)、VA(Vertically Aligned)、E
CB(Electrically Controlled Birefringence)およ
びHAN(Hybrid Aligned Nematic)モードの液晶セル
に対応するものが既に提案されている。本発明に従う光
学異方性素子は、それらの光学補償シートとして利用可
能である。
【0098】
【実施例】[実施例1] (光学異方性素子の作製)厚さ100μm、サイズ27
0mm×100mmのトリアセチルセルロースフイルム
(フジタック、富士写真フイルム(株)製)を透明支持
体として用いた。下記のポリイミドを、N−メチル−2
−ピロリドンおよび2−ブタノンの混合溶媒に溶解して
5質量%溶液を調製した。得られた溶液を、バーコータ
ーを用いて透明支持体の上に塗布した。塗布層を、80
℃の温風で10分間乾燥し、表面をラビング処理して、
配向膜を形成した。
【0099】
【化34】
【0100】配向膜の上に、以下の組成の塗布液をエク
ストルージョン法により塗布し、130℃に加熱して、
ディスコティック液晶性分子を配向させた。
【0101】 ──────────────────────────────────── 液晶層塗布液 ──────────────────────────────────── 下記のディスコティック液晶性分子 100質量部 液晶配向制御剤(I−1) 5.0質量部 光重合開始剤(イルガキュア907、日本チバガイギー(株)製) 0.2質量部 2−ブタノン 185質量部 ────────────────────────────────────
【0102】
【化35】
【0103】130℃に加熱した状態で500Wの超高
圧水銀灯から365nmの平行光(非偏光)を、入射角
は透明支持体の面に対し60度で、方位角はラビング方
向に平行にして1分間照射した。次に、光源をメタルハ
ライドランプに代えて、10秒間紫外線を照射し、ディ
スコティック液晶性化合物の末端ビニル基を重合させ、
配向状態を固定した。このようにして、光学異方性素子
を作製した。光学異方性素子の面内レターデーションを
測定し、その角度依存性からディスコティック液晶性分
子の平均傾斜角を求めたところ、70゜であった。ま
た、ディスコティック液晶性分子の配向状態を偏光顕微
鏡で確認したところ、全ての分子が均一に配向(モノド
メイン配向)しており、配向欠陥は全く認められなかっ
た。以上の実験をさらに2回繰り返したところ、ディス
コティック液晶性分子の平均傾斜角に若干の変動(70
±2゜程度)があったが、ディスコティック液晶性分子
の配向状態には、いずれも配向欠陥が全く認められなか
った。
【0104】[比較例1]液晶配向制御剤(I−1)を
添加しなかった以外は、実施例1と同様に光学異方性素
子を作製した。光学異方性素子の面内レターデーション
を測定し、その角度依存性からディスコティック液晶性
分子の平均傾斜角を求めたところ、78゜であった。ま
た、ディスコティック液晶性分子の配向状態を偏光顕微
鏡で確認したところ、海島模様の微細な配向欠陥が無数
に存在していることが認められた。
【0105】[実施例2]市販のポリイミド配向膜(S
E−150、日産化学(株)製)を用いた以外は、実施
例1と同様に光学異方性素子を作製した。光学異方性素
子の面内レターデーションを測定し、その角度依存性か
らディスコティック液晶性分子の平均傾斜角を求めたと
ころ、40゜であった。また、ディスコティック液晶性
分子の配向状態を偏光顕微鏡で確認したところ、全ての
分子が均一に配向しており、配向欠陥は全く認められな
かった。
【0106】[比較例2]液晶配向制御剤(I−1)を
添加しなかった以外は、実施例2と同様に光学異方性素
子を作製した。光学異方性素子の面内レターデーション
を測定し、その角度依存性からディスコティック液晶性
分子の平均傾斜角を求めたところ、20゜であった。ま
た、ディスコティック液晶性分子の配向状態を偏光顕微
鏡で確認したところ、全ての分子が均一に配向してお
り、配向欠陥は全く認められなかった。
【0107】[実施例3]重合度500の完全ケン化ポ
リビニルアルコールと、4−(4−ヘキシルフェニルア
ゾ)フェノキシアセチルクロリドをジメチルホルムアミ
ド/ベンゼン混合溶媒中で5時間加熱し、16重量%の
アゾベンゼン単位が導入された下記の変性ポリビニルア
ルコールを合成した。
【0108】
【化36】
【0109】変性ポリビニルアルコールを用いてラビン
グ処理を実施せずに配向膜を形成し、高圧水銀灯による
光照射時間を3分間に変更した以外は、実施例1と同様
にして光学異方性素子を作製した。得られた光学異方性
素子の面内レターデーションを測定し、その角度依存性
からディスコティック液晶化合物の平均傾斜角を求めた
ところ、58度であった。また、液晶化合物の配向状態
を偏光顕微鏡で観察したところ、配向欠陥がなく、均一
に配向していることが確認された。
【0110】[実施例4]実施例3の光学異方性素子の
作製において、130℃に加熱した状態で高圧水銀灯か
ら光を照射する際に、光の入射画を透明支持体面から6
0度で、方位角を45度に調節して、3分間光を照射し
た。以上の光照射以外は、実施例3と同様にして光学異
方性素子を作製した。得られた光学異方性素子の面内レ
ターデーションを測定し、その角度依存性からディスコ
ティック液晶化合物の平均傾斜角を求めたところ、58
度であった。また、液晶化合物の配向状態を偏光顕微鏡
で観察したところ、配向欠陥がなく、均一に配向してい
ることが確認された。さらに、支持体の長軸方向と直交
偏光子の軸が一致したときに最も明るく、逆に支持体の
長尺方向が直交偏光子に対し45度の角度のときに光を
通さなかった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08K 5/43 C08K 5/43 5/47 5/47 5/5415 5/5415 C08L 101/12 C08L 101/12 G02F 1/133 500 G02F 1/133 500 1/13363 1/13363 1/1337 1/1337 Fターム(参考) 2H089 QA16 RA10 TA04 TA14 2H090 HB07Y LA06 MA01 MA06 2H091 FA11X FA11Z FB02 GA06 LA17 4H027 BA08 BD12 CA03 CA04 DG03 DG04 DH03 DJ03 DJ04 DM03 4J002 AA031 EP006 EQ016 ET006 EU006 EV266 EV326 EX036

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記式(I)で表される化合物からなる
    液晶配向制御剤: (I)(Hb−)m L(−Ps)n [式中、Hbは、炭素原子数が1乃至40のフッ素置換
    アルキル基、炭素原子数が6乃至40のフッ素置換アリ
    ール基、炭素原子数が6乃至60のアルキル基および炭
    素原子数が1乃至60のアルキル置換オリゴシロキサノ
    キシ基からなる群より選ばれる疎水性基であり;Ps
    は、光エネルギーを吸収すると化学構造が変化する感光
    性基であり;Lは、(m+n)価の連結基であり;そし
    て、mおよびnは、それぞれ独立に、1乃至12の整数
    である]。
  2. 【請求項2】 式(I)において、Hbが、炭素原子数
    が1乃至40のフッ素置換アルキル基または炭素原子数
    が6乃至40のフッ素置換アリール基である請求項1に
    記載の液晶配向制御剤。
  3. 【請求項3】 式(I)において、Psが、C=C、C
    =NまたはN=Nからなる二重結合を含む感光性基であ
    る請求項1に記載の液晶配向制御剤。
  4. 【請求項4】 式(I)において、Psが、芳香族アゾ
    基である請求項3に記載の液晶配向制御剤。
  5. 【請求項5】 式(I)において、mおよびnが、それ
    ぞれ独立に、2乃至12の整数であり、Lが、環状構造
    を含む連結基である請求項1に記載の液晶配向制御剤。
  6. 【請求項6】 式(I)において、Lが、少なくとも三
    つの環状構造を含む請求項4に記載の液晶配向制御剤。
  7. 【請求項7】 液晶性分子および下記式(I)で表され
    る液晶配向制御剤を含み、液晶配向制御剤の量が液晶性
    分子の量の0.01乃至20質量%の量であることを特
    徴とする液晶組成物: (I)(Hb−)m L(−Ps)n [式中、Hbは、炭素原子数が1乃至40のフッ素置換
    アルキル基、炭素原子数が6乃至40のフッ素置換アリ
    ール基、炭素原子数が6乃至60のアルキル基および炭
    素原子数が1乃至60のアルキル置換オリゴシロキサノ
    キシ基からなる群より選ばれる疎水性基であり;Ps
    は、光エネルギーを吸収すると化学構造が変化する感光
    性基であり;Lは、(m+n)価の連結基であり;そし
    て、mおよびnは、それぞれ独立に、1乃至12の整数
    である]。
  8. 【請求項8】 液晶性分子が、ディスコティック液晶性
    分子である請求項7記載の液晶組成物。
  9. 【請求項9】 液晶性分子から形成された液晶層と、液
    晶層の一方の側のみに配置された配向膜とを有する光学
    異方性素子であって、液晶層が、さらに下記式(I)で
    表される液晶配向制御剤を0.005乃至0.5g/m
    2 の範囲の量で含むことを特徴とする光学異方性素子: (I)(Hb−)m L(−Ps)n [式中、Hbは、炭素原子数が1乃至40のフッ素置換
    アルキル基、炭素原子数が6乃至40のフッ素置換アリ
    ール基、炭素原子数が6乃至60のアルキル基および炭
    素原子数が1乃至60のアルキル置換オリゴシロキサノ
    キシ基からなる群より選ばれる疎水性基であり;Ps
    は、光エネルギーを吸収すると化学構造が変化する感光
    性基であり;Lは、(m+n)価の連結基であり;そし
    て、mおよびnは、それぞれ独立に、1乃至12の整数
    である]。
  10. 【請求項10】 液晶性分子が5乃至90度の範囲の平
    均傾斜角で配向している請求項9記載の光学異方性素
    子。
  11. 【請求項11】 支持体上に設けられた配向膜の上に、
    下記式(I)で表される化合物からなる液晶配向制御剤
    と液晶性分子とを含む液晶層を設ける工程;そして、単
    一方向から液晶層に光を照射して、液晶性分子の配向方
    向を制御することを特徴とする液晶性分子の配向方法: (I)(Hb−)m L(−Ps)n [式中、Hbは、炭素原子数が1乃至40のフッ素置換
    アルキル基、炭素原子数が6乃至40のフッ素置換アリ
    ール基、炭素原子数が6乃至60のアルキル基および炭
    素原子数が1乃至60のアルキル置換オリゴシロキサノ
    キシ基からなる群より選ばれる疎水性基であり;Ps
    は、光エネルギーを吸収すると化学構造が変化する感光
    性基であり;Lは、(m+n)価の連結基であり;そし
    て、mおよびnは、それぞれ独立に、1乃至12の整数
    である]。
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