JP2002034601A

JP2002034601A - 軽量靴底用発泡体

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Publication number: JP2002034601A
Application number: JP2000227906A
Authority: JP
Inventors: Hitohiro Yabushita; 仁宏薮下; Kenichi Harano; 健一原野; Takuo Kamimura; 拓郎上村
Original assignee: Asics Corp
Current assignee: Asics Corp
Priority date: 2000-07-27
Filing date: 2000-07-27
Publication date: 2002-02-05
Anticipated expiration: 2020-07-27
Also published as: JP3391771B2

Abstract

(57)【要約】【課題】軽量で安定性、クッション性に優れ、か
つ靴の外底に要求される耐久性を備えた靴底用発泡体で
あって、また、優れた発泡性、接着性、加工性、ウェッ
トグリップ性を備えた靴底用発泡体を提供する。【解決手段】水素化ニトリルブタジエンゴム（Ｈ−Ｎ
ＢＲ）、エチレン性不飽和カルボン酸金属塩のポリマー
でグラフトされたＨ−ＮＢＲ（ＰＭＣＥ・Ｈ−ＮＢ
Ｒ）、及びエチレン−酢酸ビニル共重合体（ＥＶＡ）を
含有する組成物を発泡させて得られる軽量靴底用発泡
体。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は軽量で安定性、クッ
ション性に優れ、かつ靴の外底に要求される耐久性を備
えた靴底用発泡体に関するものである。ここで靴底とし
ては、発泡体からなるものであれば、構造に関わらず、
外底、中間底（ミッドソール）及びこの両者が一体とな
ったもの等を含み、靴底に部分的に使用される場合も含
まれる。

【０００２】

【従来の技術】スポーツ靴は、消費者からの軽量化要望
が高く、靴底材も軽量化の対象となっている。軽量化対
策として、従来より靴底材に発泡体が用いられてきた。
しかし、靴底に要求される耐久性を維持するためには、
軽量化に限界があり、発泡体の比重は０.４５を越える
必要があった。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】水素化ニトリルブタジ
エンゴム（以下Ｈ−ＮＢＲという）、及び、エチレン性
不飽和カルボン酸金属塩のポリマーでグラフトされたＨ
−ＮＢＲ（以下ＰＭＣＥ・Ｈ−ＮＢＲという）は、ジエ
ン系ゴムやエチレン−酢酸ビニル共重合体（以下ＥＶＡ
という）、シンジオタクチック１,２−ポリブタジエン
（ＲＢ）など靴底用発泡体に使われているポリマーと比
べ、非常に高強度で耐摩耗性に優れているが、粘度が高
く、硬度が低いという問題点があった。このため、靴底
材として十分な機能をもった高発泡な製品を得ることが
困難である。例えば、発泡靴底材としては、安定性、ク
ッション性、耐久性などの機能面を満足させるには発泡
体の表面硬度は６５〜７５度（ＪＩＳ−Ｃ硬度）が適当
であるが、Ｈ−ＮＢＲ、及び、ＰＭＣＥ・Ｈ−ＮＢＲを
比重０.４５以下の高発泡体とした場合、上記表面硬度
が６０度（ＪＩＳ−Ｃ硬度）以上の成型品を得ることは
困難である。

【０００４】さらに、Ｈ−ＮＢＲ、ＰＭＣＥ・Ｈ−ＮＢ
Ｒは、靴の成型に使用される接着剤との接着性が非常に
悪く、靴底成型・組み立て工程においても困難な問題が
ある。加えて粘度が高いため練り加工性、発泡性も非常
に悪く、発泡倍率を高くすることができない。また、ウ
ェットグリップ性すなわち水で濡れた路面やマンホール
など鉄板の上でのグリップ性が悪いという問題がある。

【０００５】本発明の課題は軽量で安定性、クッション
性に優れ、かつ靴の外底に要求される耐久性を備えた靴
底用発泡体を提供することにある。また本発明の課題は
優れた発泡性、接着性、加工性、ウェットグリップ性を
備えた靴底用発泡体を提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は水素化ニトリル
ブタジエンゴム（Ｈ−ＮＢＲ）、エチレン性不飽和カル
ボン酸金属塩のポリマーでグラフトされたＨ−ＮＢＲ
（ＰＭＣＥ・Ｈ−ＮＢＲ）、及びエチレン−酢酸ビニル
共重合体（ＥＶＡ）を含有する組成物を発泡させて得ら
れる軽量靴底用発泡体に係る。本発明においては高強度
・高耐摩耗性であるＨ−ＮＢＲ、ＰＭＣＥ・Ｈ−ＮＢＲ
を主成分とした配合物にＥＶＡをブレンドすることで前
記課題を全て解決することができる。

【０００７】Ｈ−ＮＢＲ又はＰＭＣＥ・Ｈ−ＮＢＲの一
例であるＰＺｎＭＡ・Ｈ−ＮＢＲを用いた組成物として
は例えば特許第２９８２４８３号（特開平５−２７１４
７４号）にＨ−ＮＢＲ、シリコンゴム、メタアクリル酸
亜鉛、有機過酸化物を配合したゴム組成物が、自動車、
建設機械などのホース類等に用いられることが知られて
いるが、この特許にはＥＶＡを併用した場合に軽量、安
定性、クッション性、耐久性等に優れた靴底用発泡体が
得られることについては記載がない。

【０００８】また特開平９−２０８７９２号にはカルボ
ン酸エステルでグラフトされた水素化ニトリルブタジエ
ンエラストマーと、前記エラストマーの硬化剤と、充填
材、顔料、着色剤およびそれらの混合物からなる群より
選択される少なくとも１種の添加物とを含むブレンドか
らなることを特徴とする硬化組成物よりゴルフボールが
得られることが記載され、その他の用途として靴のソー
ルが製造できる旨の記載がある。しかしこの組成物を発
泡させることや、ＥＶＡと混合して発泡させた場合に上
記優れた靴底用発泡体が得られることについては記載が
ない。

【０００９】特開平１１−１４７４０２号にはＨ−ＮＢ
Ｒにメタクリル酸亜鉛を配合した組成物をビードトウ部
の少なくとも一部に配置した空気入りタイヤが記載され
ている。しかしこの組成物を発泡させることや靴底材に
用いることについては記載はなく、ましてＥＶＡと混合
して発泡させた場合に上記優れた靴底用発泡体が得られ
ることについては記載がない。

【００１０】本発明においては、Ｈ−ＮＢＲとＰＭＣＥ
・Ｈ−ＮＢＲを併用し、かつこれにＥＶＡを配合するこ
とにより、初めて本発明の目的を達成することができる
ものである。

【００１１】

【発明実施の形態】本発明において、Ｈ−ＮＢＲはニト
リルブタジエンゴム（ＮＢＲ）を公知の方法で部分的に
または完全に水素化して得られるものである。ＮＢＲは
公知のものを用いることができるが、例えばアクリロニ
トリル、メタクリロニトリル、その他の不飽和ニトリル
等のニトリル成分と、ブタジエン、ジメチルブタジエ
ン、イソプレン、ペンタジエン、その他の共役ジエン成
分を共重合して得られる共重合体、さらにこれらモノマ
ーに加えて共重合可能なエチレン性不飽和モノマーを共
重合して得られる共重合体などを例示できる。これは例
えば日本ゼオン（株）の市販品である、Ｚｅｔｐｏｌ
００２０、２０２１、１０１０、１０２０、１０２０
Ｓ、１０２０ＳＧ、１０２０Ｍ、１０２０Ｌ、２００
０、２０００Ｌ、２０１０、２０１０Ｈ、２０１０Ｌ、
２０１１、２０１１Ｌ、２０２０、２０２０Ｓ、２０２
０ＳＧ、２０２０Ｌ、２０３０Ｌなどとして入手可能で
ある。

【００１２】本発明において、ＰＭＣＥ・Ｈ−ＮＢＲは
上記Ｈ−ＮＢＲにエチレン性不飽和カルボン酸金属塩の
ポリマーをグラフトすることにより得られる。エチレン
性不飽和カルボン酸金属塩としては、カルボキシル基を
有する炭素数５以下のエチレン性不飽和カルボン酸と金
属とがイオン結合した構造を持つものであればよい。エ
チレン性不飽和カルボン酸の例としては、アクリル酸、
メタクリル酸等のモノカルボン酸；マレイン酸、フマル
酸、イタコン酸等のジカルボン酸等が例示でき、マレイ
ン酸モノメチル、イタコン酸モノエチル等の不飽和カル
ボン酸の炭素数１〜８のアルキル基を有するモノエステ
ル化合物等を使用することもできる。金属としては、上
記エチレン性不飽和カルボン酸と塩を形成するものであ
れば特に制限されないが、通常、亜鉛、マグネシウム、
カルシウム、バリウム、チタン、クロム、鉄、コバル
ト、ニッケル、アルミニウム、錫、鉛等を使用でき、こ
れらの中でも強度特性の点から、亜鉛、マグネシウム、
カルシウム、アルミニウムが適しており、特に亜鉛が好
ましい。上記のエチレン性不飽和カルボン酸と金属との
モル比は、１／０.５〜１／３の範囲が好ましい。

【００１３】これらのうち代表例としてポリメタクリル
酸亜鉛でグラフトされたＨ−ＮＢＲを挙げることができ
る。これはＨ−ＮＢＲにポリメタクリル酸亜鉛をグラフ
トすることにより得られ、例えば日本ゼオン（株）の市
販品である、ＺＳＣ２２９５、ＺＳＣ２２９５Ｒ、ＺＳ
Ｃ２２９５Ｌ、ＺＳＣ２２９５Ｎ、ＺＳＣ２２５Ｎなど
として入手可能である。

【００１４】本発明において、ＥＶＡは公知のものを用
いることができる。これは例えば住友化学工業（株）の
市販品である、エバテートＤ２０１１、エバテートＨ２
０２１、東ソー（株）の市販品であるウルトラセン５４
０、ウルトラセン６３１などとして入手可能である。

【００１５】本発明においてはＨ−ＮＢＲとＰＭＣＥ・
Ｈ−ＮＢＲの合計が５０ｐｈｒ以上、ＥＶＡが３ｐｈｒ
以上とするのが好ましい。ここでｐｈｒとは、原材料
（Ｈ−ＮＢＲ、ＰＭＣＥ・Ｈ−ＮＢＲ及びその他のゴ
ム、樹脂）の総和を１００重量部とした場合の各材料の
配合量を示す。

【００１６】本発明においては特にＨ−ＮＢＲ及びＰＭ
ＣＥ・Ｈ−ＮＢＲの合計が５０〜９７ｐｈｒ、ＥＶＡが
３〜２５ｐｈｒ、その他のゴム、樹脂が０〜４７ｐｈｒ
の範囲で用いるのが好ましい。更にはＨ−ＮＢＲ及びＰ
ＭＣＥ・Ｈ−ＮＢＲの合計が６０〜９０ｐｈｒ、ＥＶＡ
が５〜１０ｐｈｒ、その他のゴム、樹脂が０〜３５ｐｈ
ｒの範囲で用いるのが好ましい。本発明においてはＨ−
ＮＢＲ及びＰＭＣＥ・Ｈ−ＮＢＲは、その両者の割合が
５〜９５／９５〜５、特に３０〜７０／７０〜３０（重
量比）となるように併用するのが好ましい。

【００１７】本発明においては、その他のゴム、樹脂と
しては、例えばＮＢＲやブタジエンゴム（ＢＲ）などの
ジエン系ゴム、シンジオタクチック１,２−ポリブタジ
エン（ＲＢ）やＰＥ等の樹脂などを例示できる。尚、本
発明においては発泡性を高め、発泡体の硬度を上げるた
めに、ポリエチレン（以下ＰＥという）をブレンドする
と一層効果的である。ただし、Ｈ−ＮＢＲ、ＰＭＣＥ・
Ｈ−ＮＢＲにＰＥをブレンドしただけでは、接着性の改
善ができないため、靴底材としては不適切である。

【００１８】本発明において上記以外に、例えばシリカ
等の充填剤、ステアリン酸などの加工助剤、酸化防止
剤、オゾン劣化防止剤などの老化防止剤、ナフテン系オ
イルなどの可塑剤、ジクミルパーオキサイドやジブチル
パーオキサイド等の過酸化物系架橋剤、アゾジカルボン
アミドやジニトロソペンタメチレンテトラアミンなどの
発泡剤などを配合することができる。本発明で得られる
靴底用発泡体の比重は０.４５以下、特に０.３５以下が
好ましく、用途によっては比重０.２５以下が好ましい
場合もある。

【００１９】本発明の靴底の成型方法としては一般的な
靴底成型方法（加熱加圧成型法）を適用することができ
る。この方法は、底意匠のついた金型を使用する成型方
法で靴底発泡体の多くはこの成型方法で作製される。し
かし、この成型方法で高発泡な成型品を得る場合には、
成型品に歪みが生じることがある。これは、意匠凹凸形
状の差により発泡度が異なる為である。

【００２０】上記を考慮すると、より良好な成型品を得
るためには、２次加熱成型加工法により行なう方が良
い。２次加熱成型加工とは、一度、加熱加圧成型法によ
り架橋発泡させた材料を再度加熱し軟化させ、適宜圧縮
させた後、冷却する成型加工方法をいう。この２次加熱
成型加工の際には、中間底（ミッドソール）と呼ばれる
クッション部材やシャンク部材などの他部材との接着・
成型を同時に行なうことも可能である。これにより、商
品価値の向上やデザインの自由度が広がるほか、成型工
程を簡略化できる。

【００２１】

【実施例】以下に本発明の実施例を例示するが、本発明
はこれら実施例により何ら限定されるものではない。

【００２２】実施例１〜７及び比較例１〜６表１〜２に示す材料をニーダー密閉式混練機で１０分程
度混練し、混練物を縦×横×厚さ＝１５０ｍｍ×１５０
ｍｍ×１０ｍｍのサイズの金型に入れて、１６０℃で加
熱加圧成型する。プレス時間は、比重が０.３５以下に
なるように配合によって調整した。この発泡体を３０％
の圧縮率で２次加熱成型（加熱プレス７分、冷却１５
分）を実施して熱成型試料を作製した。表３〜４に性能
評価結果を示す。

【００２３】

【表１】

【００２４】

【表２】

【００２５】表３〜４に、加工性、比重、表面硬度（Ｊ
ＩＳ−Ｃ硬度）、耐摩耗性、接着性、ウェットグリップ
性の性能評価結果を記載した。表３〜４において、○は
目標を満足するもの、×は目標を満足しないものであ
る。尚、硬度の目標値は６０〜７５度、耐摩耗性は０.
４５ｃｍ^３以下、接着強度は５５Ｎ／ｉｎｃｈ以上、グ
リップ性は０.６０以上である。加工性において、○は
生産上問題のない状態であり、×は生産が困難なレベル
であることを示す。耐摩耗性は、アクロン摩耗試験法
（Ｂritish Ｓtandard ９０３規格に準じる）により測
定した１０００回転あたりの摩耗体積の絶対値である。
接着性は、Ｔ型剥離試験法（ＪＩＳＫ６８５４に準じ
る）により測定した。接着処方は、実際のシューズ成型
時と同様であり、接着剤にはウレタン系またはクロロプ
レン系のゴムのりを使用した。表３〜４中に記載してい
る剥離状態は、○は試料の材料破壊を示し、×は試料界
面剥離を示す。グリップ性は、濡れた鉄板の上に試料を
載置し、試料の上に８０ｋｇｆの錘を載せ、該錘を引っ
張って移動させた際に、ロードセルが示した初期ピーク
値より最大静止摩擦係数を求めた。

【００２６】

【表３】

【００２７】

【表４】

【００２８】実施例１〜７とも加工性、比重、硬度、耐
摩耗性、グリップ性の目標値をクリアし、接着性も良好
である。

【００２９】比較例１は、Ｈ−ＮＢＲとＰＭＣＥ・Ｈ−
ＮＢＲによる配合であるが、加工性が非常に悪い。よっ
て、機能面評価は実施しなかった。比較例２は、Ｈ−Ｎ
ＢＲとＰＭＣＥ・Ｈ−ＮＢＲを主成分とする配合にＰＥ
を添加している。高発泡体にしても硬度は問題ないが、
接着性、ウェットグリップ性が劣る。比較例３は、Ｈ−
ＮＢＲとＰＭＣＥ・Ｈ−ＮＢＲを主成分とする配合にＰ
Ｅを添加し、さらにＥＶＡを２重量部添加している。Ｅ
ＶＡの添加量が少ないため、接着性が悪くウェットグリ
ップ性の改善効果が小さい。

【００３０】比較例４は、Ｈ−ＮＢＲとＰＭＣＥ・Ｈ−
ＮＢＲを主成分とする配合にＥＶＡを３０重量部添加し
ている。ＥＶＡの添加量が多くなると耐摩耗性が低下す
る。比較例５は、Ｈ−ＮＢＲにＥＶＡを添加した配合で
あるが、硬度が低く耐摩耗性が悪い。比較例６は、ＰＭ
ＣＥ・Ｈ−ＮＢＲにＥＶＡを添加した配合であるが、耐
摩耗性が悪い。

【００３１】

【発明の効果】本発明の発泡体は、高発泡で軽量であ
り、高強度、安定性、クッション性、グリップ性に優
れ、比重０.４５以下、特に比重０.３５以下でも靴底材
としての十分な機能性を有している。本発明の発泡体
は、軽量スポーツ靴の靴底用発泡体として極めて有効で
ある。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者上村拓郎兵庫県神戸市中央区港島中町７丁目１番１株式会社アシックス内Ｆターム(参考） 4F050 AA01 BA33 BA43 BA56 HA53 HA58 HA73 HA82 JA01 4F074 AA05 AA12A AA12D AA22A AA97 BA13 BA16 CA24 CA30 CC22X DA02 DA45 4J002 AA00Z AC00Z AC11W BB06Y BF03Y BN13X GC00

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】水素化ニトリルブタジエンゴム（Ｈ−Ｎ
ＢＲ）、エチレン性不飽和カルボン酸金属塩のポリマー
でグラフトされたＨ−ＮＢＲ（ＰＭＣＥ・Ｈ−ＮＢ
Ｒ）、及びエチレン−酢酸ビニル共重合体（ＥＶＡ）を
含有する組成物を発泡させて得られる軽量靴底用発泡
体。
【請求項２】Ｈ−ＮＢＲ及びＰＭＣＥ・Ｈ−ＮＢＲの
合計が５０ｐｈｒ以上、ＥＶＡが３ｐｈｒ以上である請
求項１に記載の軽量靴底用発泡体。
【請求項３】Ｈ−ＮＢＲ及びＰＭＣＥ・Ｈ−ＮＢＲの
合計が５０〜９７ｐｈｒ、ＥＶＡが３〜２５ｐｈｒ、そ
の他のゴム、樹脂が０〜４７ｐｈｒである請求項２に記
載の軽量靴底用発泡体。
【請求項４】Ｈ−ＮＢＲとＰＭＣＥ・Ｈ−ＮＢＲの割
合が５〜９５／９５〜５（重量比）である請求項１に記
載の軽量靴底用発泡体。
【請求項５】ＥＶＡが３〜２０ｐｈｒで、かつ比重が
０.４５以下である請求項１に記載の軽量靴底用発泡
体。
【請求項６】ＰＭＣＥ・Ｈ−ＮＢＲがポリメタクリル
酸亜鉛でグラフトされたＨ−ＮＢＲ（ＰＺｎＭＡ・Ｈ−
ＮＢＲ）である請求項１記載の軽量靴底用発泡体。
【請求項７】２次加熱成型加工法により得られること
を特徴とする請求項１〜６のいずれかに記載の軽量靴底
用発泡体。