JP2002034576A - 塩ストレスにより誘導される遺伝子hvd1 - Google Patents

塩ストレスにより誘導される遺伝子hvd1

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JP2002034576A
JP2002034576A JP2000228941A JP2000228941A JP2002034576A JP 2002034576 A JP2002034576 A JP 2002034576A JP 2000228941 A JP2000228941 A JP 2000228941A JP 2000228941 A JP2000228941 A JP 2000228941A JP 2002034576 A JP2002034576 A JP 2002034576A
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rna
salt stress
plant
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Atsushi Iba
厚 射場
Tetsuko Takabe
鉄子 高倍
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Kyushu University NUC
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    • C12N15/8261Phenotypically and genetically modified plants via recombinant DNA technology with agronomic (input) traits, e.g. crop yield
    • C12N15/8271Phenotypically and genetically modified plants via recombinant DNA technology with agronomic (input) traits, e.g. crop yield for stress resistance, e.g. heavy metal resistance
    • C12N15/8273Phenotypically and genetically modified plants via recombinant DNA technology with agronomic (input) traits, e.g. crop yield for stress resistance, e.g. heavy metal resistance for drought, cold, salt resistance

Abstract

(57)【要約】 【課題】 植物に塩ストレス耐性を付与することが可能
な、新規な遺伝子を採取して、その構造を決定する。 【解決手段】 本発明により、塩ストレスにより誘導さ
れる新規な遺伝子であるオオムギHVD1遺伝子が与えられ
た。本発明の遺伝子はRNA ヘリカーゼをコードする遺伝
子であり、RNA の構造を安定化させることにより、植物
に耐塩性を付与することができると考えられる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、塩ストレスにより
誘導される新規な遺伝子であるオオムギHVD1遺伝子、及
び当該遺伝子がコードする蛋白質に関する。
【0002】
【従来の技術】人工の増加や環境の変化より、将来の食
糧危機が予想されている。その問題に対応するべく、農
業において効率よく作物を生産するための技術開発が求
められている。農業において、種々の環境ストレスによ
り生産量が減少することは大きな問題であり、種々の環
境ストレスに強い植物を作出することが求められてい
る。
【0003】植物の環境ストレスに対する応答は生理的
・代謝的変化を呈し、これらの応答には様々なタンパク
質の増減を伴う。環境ストレス下での遺伝子発現の変化
はタンパク質構成の変化を調節する1つの要因である。
環境ストレス下で発現する遺伝子を解析することはスト
レス耐性機構を理解するうえで重要なことである。
【0004】これまでの研究において、浸透圧ストレス
や乾燥ストレスにより発現が誘導される遺伝子が様々な
植物から単離されている(Skriver,K.and Mundy,J.(199
0) Plant Cell 2:503-512) (Bray,E.A.(1993) Plant Ph
ysiol.103:1035-1040) (Ingram,J.and Bartels,D.(199
6) Plant Mol.Biol.47:377-403 )。これらの遺伝子の
中にlea 遺伝子と呼ばれる一群の遺伝子がある。lea 遺
伝子(late embryogenesis abundant genes )は種子形
成の後期に多量に発現する一群の遺伝子として単離され
たが、水分ストレスを受けた葉などにおいても発現して
いることが明らかとなった。LEA タンパク質はそのアミ
ノ酸配列から6つのグループに分類され、その機能はイ
オンの隔離、タンパク質や膜の保護、シャペロンのよう
にタンパク質の構造を保持することなどが推定されてい
る。
【0005】浸透圧調節に関わる遺伝子も単離され(Bo
hnert,H.J.,et al.(1995) Plant Cell 7:1099-1111)、
これらの遺伝子としては適合溶質の合成、イオンの取り
込み・隔離、水チャネルなどがある。その他にもプロテ
アーゼやユビキチンのようなタンパク質の分解に関わる
もの、それらと拮抗的に働くシャペロンやプロテアーゼ
インヒビター、シグナル伝達に関わるプロテインキナー
ゼや核タンパク質、RNA 結合タンパク質、転写因子など
が単離されている。また、機能のわからない遺伝子も数
多く単離され、解析が進められている。
【0006】一方、塩ストレスに対する耐性を向上させ
た植物の作製については、適合溶質であるプロリンやグ
リシンベタイン等について検討がなされてきた。しか
し、塩ストレス下でのRNA の安定性について考慮したも
のは、全く存在しなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明者らは、
塩ストレス下において発現が誘導されるという特徴を有
し、RNA の高次構造の安定性に関与する遺伝子を導入す
ることにより、これまでにない機構により植物に塩スト
レス耐性を付与する可能性を考えた。植物は塩ストレス
を受けると、細胞内の塩濃度が上昇する。すると、1本
鎖RNA は塩濃度が高くなると、2本鎖の二次構造を採り
易くなり、蛋白質合成の阻害やヌクレアーゼによる分解
の阻害という弊害をもたらす。そこで、RNA ヘリカーゼ
を用いてRNA の高次構造の安定性を高めることにより、
植物に耐塩性を付与できるのではないかと考えた。その
様な機構による耐塩性を付与する目的に使用できる新規
の遺伝子を探索し、その塩基配列を決定することが、本
発明の課題である。
【0008】
【課題を解決するための手段】RNA ヘリカーゼは、二本
鎖RNA を巻き戻すことにより、RNA の二次構造や三次構
造を修飾する作用を有する、RNA 結合蛋白質である。RN
A 分子の活性はステム/ループなどの二次構造を形成し
たり、逆にそれを巻き戻すことにより巧妙に調節される
ことからRNA の働きにおいて重要であると思われる。本
発明者らはその様な性質を有するRNA ヘリカーゼに注目
し、塩ストレスにより誘導されるヘリカーゼを探索した
ところ、オオムギHVD1遺伝子を得た。当該遺伝子はオオ
ムギのRNA ヘリカーゼをコードする遺伝子であり、根で
は発現せず、葉緑組織において発現し、その発現は塩ス
トレス誘導性であった。この様な特徴を有するオオムギ
HVD1遺伝子は、RNA の高次構造を安定化する作用を有
し、塩ストレス下で損傷を受けたRNA の高次構造を修復
することにより、塩ストレス耐性を付与することができ
ると考えられる。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明者らは DEAD ボックスタン
パク質として知られているATP 依存性RNA ヘリカーゼを
コードする塩ストレス応答遺伝子について着目し、塩ス
トレス下で誘導される DEAD ボックスタンパク質につき
解析を行った。DEADボックスファミリーはLinderら(Li
nder,P et al.(1989) Nature 337:121-122)により定義
されたATP 依存性RNA ヘリカーゼである。LinderらはRN
A ヘリカーゼ活性を持つ翻訳開始因子eIF-4Aと、いくつ
かの機能不明のタンパク質との間に明らかなアミノ酸配
列の類似性があることを見出し、大腸菌からヒトにいた
るまで多くの生物で高度に保存されているアミノ酸配列
が存在することを発見した。保存されている配列の1つ
にAsp - Glu - Ala - Asp (一文字表記でDEAD)という
モチーフが存在することから、DEADボックスファミリー
と名付けられた。
【0010】DEAD ボックスファミリーを構成するタン
パク質はそのほとんどがATP 依存性RNA ヘリカーゼであ
り、その活性はRNA の二次構造や三次構造を修飾する。
RNA分子の活性はステム/ループなどの二次構造を形成
したり、逆にそれを巻き戻すことにより巧妙に調節され
ることから、RNA ヘリカーゼは重要であると考えられ
る。DEADボックスタンパク質には特によく保存された8
つのコンセンサス配列(Schmid,S.R. and Linder,P (19
92) Mol.Microbiol.6:283-292 )があり、その保存性の
高さからRNA ヘリカーゼ活性に直接関連する重要な機能
を受け持つと考えられる。各モチーフの機能は、他のタ
ンパク質のアミノ酸配列との類似性から推測したり、部
位特異的な突然変異を導入した変異タンパク質の機能上
の欠損を調べて同定された。図1に、DEADボックスファ
ミリーに保存されたモチーフと、それらの機能を図示す
る。
【0011】DEADボックスタンパク質は細胞伸長、細胞
分裂、生殖細胞形成など様々な場面に登場する。DEADボ
ックスタンパク質の中で最も早くから研究され、RNA ヘ
リカーゼとしての生化学的な解析が進んでいるのは、翻
訳開始因子のeIF-4Aである。eIF-4Aは、mRNAの5'キャッ
プ構造を認識して結合するタンパク質複合体(eIF-4F)
のサブユニットとして、5'端近傍のRNA 二次構造を巻き
戻してリボソームがmRNAと結合しやすくする働きをも
つ。その他にもDEADボックスタンパク質はRNA スプライ
シング、リボソーム生合成など多くの遺伝子発現の段階
に登場し、RNA の機能しているところには必ずRNA ヘリ
カーゼが関与している。
【0012】現在、植物から単離されているDEADボック
ス遺伝子はそのほとんどが翻訳開始因子eIF-4Aである。
Owttrim らは酵母のeIF-4Aをプローブにしてタバコ(Ni
cotiana plumbaginifolia )からeIF-4A cDNA (NeIF-4
A )を単離し、小遺伝子ファミリーが存在することを明
らかにした(Owttrim,G.W.et al.(1991) Nucl.AcidsRe
s.19:5491-5496)。その後、ファミリーの遺伝子群を単
離して2つのグループがあることを確認し、さらにその
発現について詳細に解析した(Owttrim,G.W. et al.(19
94) Plant Mol.Biol.26:1747-1757 )。
【0013】eIF-4Aはタバコ以外にもイネ(Nishi,R.,e
t al.(1993) Biochem.Biophys.Acta1174:293-294 )や
コムギ(Metz,A.M.and Browning,K.S.(1993) Gene 131:
299-300 )からも単離された。またタバコ(Nicotiana
tabacum )からは花粉に特異的に発現するeIF-4Aが単離
されている(Brander,K.A.and Kuhlemeier,C.(1995)Pla
nt Mol.Biol.27:637-649 )。 eIF-4A 以外のDEADボッ
クス遺伝子はタバコ(Nicotiana sylvestris)から単離
されているのみである。Itadani ら(1994)は保存され
たモチーフの配列からプライマーを作製し(Itadani,H.e
t al.(1994) Plant Mol.Biol.24:249-252)、PCR により
9つのクローンを得た。このうちDB10について全長をク
ローニングし、塩基配列を決定したところ、ヒト由来の
DEADボックスファミリーであるp68 との相同性がみられ
た。p68 はrRNA合成の場である核小体の形成に関係して
いることから、DB10も同様の働きを持つことが予想され
る。
【0014】ところで、ある特定の状況下で発現する遺
伝子を単離する方法として、2次元電気泳動によるタン
パク質の同定、ディファレンシャルスクリーニング、サ
ブトラクション法などが従来用いられていたが、近年新
しい方法が開発された。Liang とPardee(1992)が考案
したディファレンシャルディスプレイ法は、真核生物mR
NAの3'端にアンカーするためのプライマーA と任意の配
列を持つ短いプライマーB を用いてRT - PCRを行い、放
射性同位元素でラベルした後、シークエンスゲルで分離
・比較する方法である(Liang,P.and Pardee,A.B.(1992)
Science 257:967-971) 。プライマーA として5- T11VN
(V= A, G, C ; N= A, T, G, C)の12通りを、プライマ
ーB として任意の10 merをそれぞれ用意してRT - PCRを
行うものである。
【0015】ディファレンシャルディスプレイ法は、従
来のディファレンシャルスクリーニングやサブトラクシ
ョン法と比較して高感度であり、細胞あたり30コピー程
度しか存在しないチミジンキナーゼ遺伝子の転写産物を
検出することができる。本発明者らは、上記のLiang と
Pardee(1992)の原報をもとに改良されたディファレン
シャルディスプレイ法(Yoshida,K.T. et al.(1994) Pl
ant Cell Physiol.35:1003-1009 )により、塩ストレス
で発現が増加する新規遺伝子の単離を試みた。即ち、PC
R に用いるプライマーを1反応につき1種のRAPD検出用
プライマーとし、mRNAの5'領域および3'領域のどちら側
からも同じプライマーで増幅されるPCR産物の解析を行
った。また、この方法では検出にシークエンスゲルの代
わりにアガロースゲルを用いるので、クローニングが容
易であるという利点がある。
【0016】本発明者らは、1種のプライマーでディフ
ァレンシャルディスプレイを行い、オオムギの塩ストレ
ス応答遺伝子のクローンを2つ得た(BD1 及びBD2 )。
そのうち、塩ストレスで発現量が増加する事が確認でき
たクローンであるBD1 について塩基配列を決定し、推定
アミノ酸配列を得たところ、当該アミノ酸配列はATP依
存性RNA ヘリカーゼとの相同性がみられた。当該クロー
ンがコードする蛋白質にはDEADボックスで保存されてい
る8つのモチーフが全て存在し、オオムギのDEADボック
ス蛋白質であると考えられ、HVD1(Hordeum vulgare DE
AD protein)と名付けた。
【0017】これまで植物では、ストレスにより特異的
に発現するDEADボックス遺伝子は単離されていない。本
発明のHVD1遺伝子は、塩ストレスで発現量が増加すると
いう特性を有しているために、eIF-4Aとは異なる、これ
までに単離されていない新しいタイプのDEADボックス遺
伝子である。そこで本発明者らは当該遺伝子を単離し、
その解析を行った。HVD1蛋白質はRNA ヘリカーゼであ
り、本発明のHVD1遺伝子と植物に導入することにより、
RNA の高次構造を安定化してRNA の活性が調節され、こ
れまでにない新規な機構により、植物に耐塩性を付与す
ることができると考えられる。
【0018】本発明は、配列表の配列番号2に示す、塩
基番号1−2799で示される塩基配列からなることを
特徴とする、オオムギ由来のHVD1遺伝子である。HVD1遺
伝子は上述したように、RNA の安定性に関与するATP 依
存性RNA ヘリカーゼである。本発明のHVD1遺伝子は、RN
A の高次構造の安定化を介して植物の耐塩性に関与する
遺伝子であり、塩ストレスにより発現が誘導されるとい
う性質を有する。
【0019】遺伝子組み換え技術によれば、基本となる
DNA の特定の部位に、当該DNA の基本的な特性を変化さ
せることなく、あるいはその特性を改善する様に、人為
的に変異を起こすことができる。本発明により提供され
る天然の塩基配列を有する遺伝子、あるいは天然のもの
とは異なる塩基配列を有する遺伝子に関しても、同様に
人為的に挿入、欠失、置換を行う事により、天然の遺伝
子と同等のあるいは改善された特性を有するものとする
ことが可能であり、本発明はそのような変異遺伝子を含
むものである。即ち、配列表の配列番号2に示す遺伝子
の一部が欠失、置換若しくは付加された遺伝子とは、配
列番号2に示す塩基配列において20個以下、好ましく
は10個以下、更に好ましくは5個以下の塩基が欠失、
置換若しくは付加された配列を有する遺伝子である。ま
た、その様な遺伝子は、配列表の配列番号2に示す遺伝
子と70%以上、好ましくは80%以上、更に好ましく
は90%以上の相同性を有する。また、その様な遺伝子
は、ストリンジェントな条件下で、配列表の配列番号2
に示す遺伝子とハイブリッドを形成する。その様な遺伝
子も、塩ストレスにより誘導されるというHVD1遺伝子の
特徴を有する限り、本発明の範囲内である。
【0020】更に本発明は、配列表の配列番号1に示
す、アミノ酸番号1−764で示されるアミノ酸配列か
らなることを特徴とする、オオムギ由来のHVD1ポリペプ
チドである。当該ポリペプチドは、配列表の配列番号2
記載の塩基配列のオープンリーディングフレーム部分に
よりコードされるポリペプチドである。配列番号1に示
すポリペプチドの一部が欠失、置換若しくは付加された
ポリペプチドとは、配列番号1に示すアミノ酸配列にお
いて20個以下、好ましくは10個以下、更に好ましく
は5個以下のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加された
配列を有するポリペプチドである。また、その様なポリ
ペプチドは、配列表の配列番号1に示すポリペプチドと
70%以上、好ましくは80%以上、更に好ましくは9
0%以上の相同性を有する。その様なポリペプチドも、
塩ストレスにより誘導される遺伝子によりコードされる
というHVD1ポリペプチドの特徴を有する限り、本発明の
範囲内である。
【0021】オオムギ由来のHVD1遺伝子を植物に導入し
て形質転換を行う方法、当該HVD1遺伝子を導入して得た
形質転換した植物もまた、本発明の範囲内である。本発
明のHVD1遺伝子は、塩ストレスにより誘導される遺伝子
であり、植物の自己防御に関与している。そのために、
当該遺伝子を植物に導入する事により、塩ストレスに対
する耐性を付与する事ができる。本発明の塩ストレス誘
導遺伝子を導入する植物の例としては、イネ、ユリ、ト
ウモロコシ、アスパラガス、コムギ等の単子葉植物、ま
たホウレンソウ、ニンジン、ダイズ、トマト、ジャガイ
モ等の双子葉植物が挙げられる。
【0022】形質転換体の作製方法としては、本技術分
野において知られている通常の方法を用いる事ができ
る。本発明において使用可能なベクターはプラスミドベ
クターであり、例えばpBI121及びpBI221等が挙げられる
が、それらに限定されるものではない。そのようなベク
ターを、例えばアグロバクテリウム菌に導入して、カル
ス又は幼植物に感染させることにより、形質転換植物を
作製する事が可能であり、更に、そのような形質転換植
物に由来する種子を得る事が可能である。本発明の植物
遺伝子を植物に導入する形質転換法は、アグロバクテリ
ウム法に限定されるものではなく、パーティクルガン
法、電気穿孔法等の方法を用いる事も可能である。
【0023】
【実施例】(材料と方法) (植物材料)オオムギ(Hordeum vuglare L.cv.Harunan
ijyo)を材料として用いた。また、塩ストレス処理を、
播種後1カ月目の水耕培地に50mM NaCl を添加すること
により開始した。2日目には、最終濃度が100mM に、以
降2日毎に100mM づつ塩濃度を上げて、最終的には300m
M になるように、段階的に NaCl を添加していった。30
0mM NaClを含む水耕培地で生育させてから2日目にオオ
ムギの緑葉および根を収穫し、以後の実験に供した。
【0024】(菌株)プラスミドの作製における形質転
換に用いた大腸菌(Escherichia coli)の株は DH5α
を、cDNAライブラリーを作製する際にはXL1-Blue MRF'S
OIR をそれぞれ用いた。大腸菌は、適宜培地で 30-37℃
で培養した。
【0025】(酵素、試薬類、その他)植物細胞の全RN
A の調製、ノーザンブロット解析、PCR 産物のクローニ
ング、塩基配列の決定、プローブDNA の標識、植物ゲノ
ムDNA の調製、サザンブロット解析などは、常法に準じ
て行った。
【0026】(ポリ(A) + RNA の調製)ストレスを与え
ていないオオムギおよび塩ストレスを与えたオオムギ緑
葉の全RNA からのポリ(A) + RNA の調製はオリゴ(dT)
カラムを用いて行った。全DNA(7mg:4mg/ml)の溶液を
2X結合用緩衝液(1M NaCl,10mM Tris-HCl pH7.5,5mME
DTA,0.5%SDS)で1/2希釈した。このRNA 溶液を70℃
で5分間加熱処理した後氷冷し、流速が10ml/hになるよ
うに調製して、結合用緩衝液(0.5M NaCl, 10mMTris-HC
l pH7.5, 5mM EDTA, 0.5% SDS)で洗浄したオリゴ(d
T)カラム(oligo(dT)cellulose[Pharmacia Biotech]30
0mgを使用)に通した。5倍容の結合用緩衝液でカラム
を2回洗った後、抽出用緩衝液(10mM Tris-HCl pH7.5,
5mM EDTA )に切り変えてRNA を抽出し回収した。この
回収した溶液に、1/10量の3M酢酸ナトリウムと2倍
容のエタノールを加えて、-20 ℃に一晩放置してRNA を
沈殿させた。15,000rpm で30分間遠心した後、得られた
沈殿を70% エタノールで洗浄して乾燥させた。これを50
μl の滅菌蒸留水に溶解させ、ポリ(A) + RNA とした。
この条件下で、全RNA の約1%が回収できた。
【0027】(ディファレンシャルディスプレイ:ファ
ーストストランドcDNAの合成)ポリ(A) + RNA から逆転
写によりファーストストランドcDNAを合成した。まず5
μg のポリ(A) + RNA に1nmol のランダムヘキサマーを
加え、滅菌水で50μlとした。これを70℃で10分放置し
た後、氷冷した。試薬・酵素を加えて逆転写反応液(1X
逆転写緩衝液[酵素に添付]、500 μM dNTP mix、10μ
M ランダムヘキサマー、10mM DTT、10U/μl SuperScrip
t IITMRNase H Reverse Transcriptase[GIBCO BRL]) 1
00μl を作製し、37℃で1時間反応させた。この条件に
より、ポリ(A) + RNA の約10% にあたる600ng のファー
ストストランドcDNAを得た。
【0028】(PCR )PCR およびPCR 産物の解析は、Yo
shida らの方法(Yoshida,K,T et al.(1994)Plant Cell
Physiol.35:1003-1009 )に従った。PCR には1つの特
定配列を持つ12塩基のプライマー(RAPD検出用プライマ
ー)を用いた。プライマーの配列および反応液組成、反
応条件は以下の通りである。 5'-ATCAGCGCACCA-3'(Common's primer,A(X):BEX) 反応液組成:1ng ファーストストランドcDNA,1XPCR緩衝
液(酵素に添付),200μM dNTP mix,1μM プライマー,
0.025U/μl AmpliTaq DNAポリメラーゼ(PERKIN ELME
R) 反応条件:95℃[2分](X1), 95℃[1分],35℃
[1分],72℃[2分](X40 ),72 ℃[5分](X1) なお、PCR の反応は、GeneAmp PCR System 9600 (PERK
IN ELMER)を用いて行った。
【0029】(PCR 産物の比較)PCR 反応液は、1.5%ア
ガロースゲル電気泳動により分画し、エチジイムブロマ
イド染色で検出した。塩ストレスのあるなしで差の見ら
れるPCR 産物を1.5%低融点アガロースゲル電気泳動で分
離、精製した。
【0030】(塩基配列およびアミノ酸配列の相同性検
索)塩基配列およびアミノ酸配列の相同性検索は電子メ
ールを使い、Genebank、EMBLなどのデータベースを、ブ
ラストプログラムを用いて検索した。
【0031】(cDNAライブラリーの作製)cDNAライブラ
リーは、GublerとHoffman の方法(Gubler,U. and Hoff
man,B.J.(1983) Gene 25:263)に従って作製した。上記
の方法でファーストストランドcDNAを合成した後、反応
溶液(20μl )に酵素・試薬(92.3μl 滅菌蒸留水、32
μl 5Xセカンドストランド合成反応緩衝液[94mM Tris-
HCl pH9.6, 453mM KCl,23mM MgCl2, 750μM β−NAD, 5
0mM(NH4)2SO4, 3μl 10mM dNTP mix, 6μl 0.1MDTT,
2 μl DNA ligase[7.5U/μl ], 4μl DNA ポリメラー
ゼ[10U/ μl ], 0.7μl RNaseH[2U/μl ] )を順番に加
え、セカンドストランド合成反応を行った。反応溶液を
16℃でさらに5分間保温した。ファーストストランドcD
NA 1μg あたり10 unitsになるようにT4 DNAポリメラー
ゼを加え、16℃でさらに5分間保温した。0.5M EDTA を
10μl 加えて反応を停止させた後、反応溶液に1/10
量の3M酢酸ナトリウムと2倍容のエタノールを加えて、
-20 ℃に一晩放置した。
【0032】15,000rpm で30分間遠心した後、得られた
沈殿を70% エタノールで洗浄して乾燥させた。これを20
μl のTE緩衝液に溶解させた。この溶液に2.5 μl のEc
oRI-NotI-BamHIアダプター(100pmol/μl 宝酒造)とDN
A ライゲーションキット(宝酒造)のA 液(80μl )と
B 液(10μl )を加えて16℃で4時間ライゲーション反
応を行った。エタノール沈殿後、沈殿を20μl のTE緩衝
液に溶解させ、Sepharose CL-4B を充填したカラムに重
層し、抽出緩衝液(TE pH7.6, 0.1M NaCl )で溶出さ
せ、cDNAのサイズ分画を行った。アダプターをリン酸化
処理するために、回収した画分(800 μl )に80μl 10
XL/K緩衝液(50mM Tris-HCl pH8.0, 10mMMgCl2, 5mM DT
T, 100 μM ATP )と 8μl T4 ポリヌクレオチドキナ
ーゼ(10units/μl )を加えて穏やかに混和した後、37
℃で1時間保温した。
【0033】反応溶液を、フェノール/クロロホルム抽
出、エタノール沈殿処理を行った後、生じた沈殿を10μ
l のライゲーション溶液A に溶解させた。これにEcoRI
で切断したラムダファージベクターLambda ZAP II (Pr
edigested Lambda II/EcoRIクローニングキット:スト
ラタジーン)1μl (1μg )と10μl のライゲーショ
ン溶液B を十分に混和した後、16℃で一晩ライゲーショ
ン反応を行った。反応溶液をエタノール沈殿させた後、
得られた沈殿を 5μl のTE緩衝液に溶解した。
【0034】(ベクターへのサブクローニング)ラムダ
ファージベクターLambda ZAP II にクローン化されたDN
A は、ヘルパーファージを感染させることによって切り
出して再閉環し、pBluescript SKにクローニングされた
状態にした(in vivo excision)。
【0035】200 μl のファージ液(>1X105ファージ粒
子)に200 μl の新鮮な宿主大腸菌XLI-Blue MRF'(OD
600=1.0)と1μl のExAssistヘルパーファージを加えて
混和した後、37℃で15分間保温した。この溶液を5ml の
2X YT 培地(1.6%ポリペプトン、1%酵母エキス、0.5% N
aCl )に加えて37℃で3時間振盪培養した。培養液を70
℃で20分間処理した後、6,000rpmで5分間遠心し、得ら
れた上清を 4℃に保存した。上清の一部(10-20 μl )
に200 μl の宿主大腸菌SOIR(OD600=1.0) を加えて、37
℃で15分間振盪した。これをLB/Ampプレート(1.0%ポリ
ペプトン, 0.5%酵母エキス, 1.0% NaCl, 100μg/ml ア
ンピシリンナトリウム)上に均一に広げて、37℃で一晩
培養してコロニーを形成させた。
【0036】(塩ストレスで発現が誘導される遺伝子の
検出)耐塩性のメカニズムを分子レベルで理解するため
に、塩ストレス下でその発現量が増加する遺伝子の単離
・解析を行った。塩ストレス応答遺伝子の検出にはディ
ファレンシャルディスプレイ法を用いた。本発明で用い
たディファレンシャルディスプレイ法の概要を、図2に
示す。ストレスを与えていないオオムギおよび塩ストレ
スを与えたオオムギの葉からそれぞれポリ(A) + RNA を
調製し、逆転写によりファーストストランドcDNAを合成
した。このファーストストランドcDNAを鋳型としてPCR
を行った。1つのRAPD検出用プライマーを使ってPCR を
行ったところ、塩ストレスを与えたオオムギの方でより
多く増幅するPCR 産物が2つ検出された。ディファレン
シャルディスプレイ法により、オオムギ塩ストレス応答
遺伝子の検出を行った結果を、図3に示す。図3におい
て、右側がコントロールの葉における結果を、左側に塩
ストレスを与えた葉における結果を示す。また、塩スト
レスを与えた葉で増幅量が多いPCR 産物(約1.1bp と約
0.5bp )を矢印で示す。
【0037】(PCR 産物の発現解析)約1.1kbpのPCR 産
物(BDI )と約0.5kbpのPCR 産物(BD2 )をそれぞれプ
ローブに用いてノーザンブロット解析を行った。BD1 を
プローブに用いた結果、葉において約3.2kb のmRNAが検
出された。図4に、BD1 の塩ストレスによる発現誘導
を、ノーザンブロットで確認した結果を示す。図4にお
いて、塩ストレスを与えないオオムギ(NaCl- )および
塩ストレスを与えたオオムギ(NaCl+ )の、緑葉(Lea
f)と根(Root)の全RNA を使用して検討を行った。葉
ではストレスがないときにも発現がみられるが、塩スト
レスによりその発現は約8倍に増加した。また、根にお
いては葉に比べて発現量が少ないものの、ストレスのな
いときにも発現がみられ、塩ストレスにより約3倍に増
加した。BD2 は発現量が低いためか、ノーザンブロット
解析では検出することができなかった。塩ストレスで発
現が上昇することが確認できたBD1 をクローニングし、
以降の解析に用いた。
【0038】(PCR 産物の同定)クローニングしたBD1
の塩基配列を決定した。決定した塩基配列から推定され
るアミノ酸配列をデータベースに照合したところ、ATP
依存性RNA ヘリカーゼと相同性が高いことが判明した。
ATP 依存性RNA ヘリカーゼはDEADボックスファミリーを
構成していて、このファミリーでは8つの保存されたモ
チーフが存在する(図1)。PCR 産物には8つのモチー
フのうち、第7、8モチーフを含んでいた。
【0039】(全長のクローングと配列の特徴)BD1 を
含むcDNAの全長をクローニングするために、塩ストレス
を与えたオオムギの葉のmRNAからcDNAライブラリーを作
製した。BD1 をプローブに用いて約2万の独立したクロ
ーンをスクリーニングし、2つの陽性クローンを得た。
2つのクローンは同じ遺伝子に由来していて、このうち
長い方のクローンについて解析を進めた。
【0040】全塩基配列を決定したところ、HVD1 cDNA
は2,799bp で22bpのポリA を持っていた。図5に、HVD1
のcDNAの全塩基配列と、その推定アミノ酸配列を示す。
図5において、黄色で囲った部分はDEADボックスファミ
リーで保存されたモチーフ(I-VIII)を、緑色で囲った
部分はRGG モチーフを、青色で囲った部分はRSSSモチー
フを、それぞれ示す。矢印は、ディファレンシャルディ
スプレイの際、RAPD検出用プライマーの認識した配列を
示す。ポリA 付加シグナル様配列はあるが、典型的なポ
リA 付加シグナル(AATAAA)はみられなかった。HVD1cD
NAには764 アミノ酸からなる1つのオープンリーディン
グフレームが存在し、このアミノ酸配列から推定される
分子量は81.8kDa 、等電点は7.67であった。図6に、Ky
te&Doolittleのパラメーター値を使用して、HVD1蛋白質
の疎水性・親水性プロットを行った結果を示す。疎水性
・親水性プロットの結果、膜貫通領域のような疎水性部
分はみられなかったが、カルボキシル基端領域に親水性
の高い領域があった(図6)。
【0041】図7に、HVD1とこれまでにクローニングさ
れているATP 依存性RNA ヘリカーゼのアミノ酸配列の比
較を示した。図7において、黄色で囲った部分はDEADボ
ックス蛋白質で保存されているモチーフを、緑色で囲っ
た部分はDEADボックス蛋白質で保存されているアミノ酸
を、青色で囲った部分は6つの蛋白質で保存されている
アミノ酸を、それぞれ示す。即ち、オオムギ由来のHVD
1、酵母由来のDBP1、大腸菌由来のCsdA、ヒト由来のp68
、ショウジョウバエ由来のRM62のアミノ酸配列を比較
し、図7に示した。HVD1はDEADボックスファミリーで保
存されている8つのモチーフすべてを保持していた。8
つのモチーフを含む領域はHVD1を含めてDEADボックスフ
ァミリーで相同性が高いが、アミノ基端側やカルボキシ
ル基端側ではHVD1と相同性の高い蛋白質はこれまでにク
ローニングされていない。またHVD1はこれまでにクロー
ニングされているATP 依存性RNA ヘリカーゼの中で最も
長いカルボキシル基端を持っていた。前述した親水性領
域であるこの領域には、RGG配列が5回繰りかえされて
いた。このモチーフは、RNA 結合蛋白質にみられるRNA
結合モチーフである。さらにこの領域には、機能は不明
だが、RSSSという配列が4回繰り返されていた。
【0042】(HVD1の特徴)HVD1は、8つのモチーフを
含む領域ではコンセンサス配列以外にも、保存されてい
るアミノ酸がいくつかある。しかし、この領域について
も相同性の高いATP依存性RNA ヘリカーゼは、これまで
に単離されていない。同様に、アミノ基末端側やカルボ
キシル基末端側においては、相同性のある蛋白質は皆無
であった。HVD1は特にカルボキシル基末端側が長く、こ
れまでに単離されているDEADボックス蛋白質で最も長
い。このカルボキシル基末端領域は親水性に富み、RGG
モチーフが存在する。RGG モチーフはRNA 結合蛋白質で
みられるRNA 結合モチーフの1つであることから、HVD1
のカルボキシル末端は非特異的なRNA 結合領域であると
考えられる。
【0043】ヒトやネズミ、ショウジョウバエ、酵母な
どから単離されたDEADボックス蛋白質の中にも、RGG モ
チーフを持つものがある。このうち分裂酵母のSte13 蛋
白質(Maekawa,H. et al.(1994) Mol.Gen.Genet.244:456
-464) はHVD1と同じようにカルボキシル基末端領域にRG
G モチーフを持つ。Ste13 遺伝子は、窒素源飢餓におい
た時に接合や減数分裂ができないSte13 変異株から単離
され、遺伝子の発現を転写後の段階で制御しているので
はないかと考えられた。Ste13 蛋白質からRGGモチーフ
を欠失させると、RNA 結合能が著しく低下することが観
察される(Shimoda,C. et al.(1994) The Second UK-Ja
pan Cell Cycle Workshop )ことから、カルボキシル基
末端領域がRNA 結合領域であると推定された。
【0044】HVD1のRNA 結合領域であると推定される領
域には、機能の不明なRSSS配列が4回繰り返されている
モチーフがあるが、RNA 分子の特異性に関与している可
能性も考えられる。DEADボックス蛋白質のコンセンサス
配列がもつRNA 結合能は弱いので、RNA 分子と安定に結
合するためには、HVD1やSte13 のように他のRNA 結合ド
メインの助けが必要である可能性が考えられる。コンセ
ンサス配列以外にRNA結合領域をもっている蛋白質は単
独でRNA ヘリカーゼ活性を示すのに対し、elF-4Aのよう
に、それをもたない蛋白質はRNA 結合ドメインをもった
他の蛋白質との複合体を形成して、はじめて活性を示す
と考えられる。
【0045】(HVD1のゲノム中のコピー数)オオムギゲ
ノム中のHVD1遺伝子のコピー数をサザンブロット解析に
より確認した。図8に、オオムギゲノム中のHVD1遺伝子
およびDEADボックス遺伝子の検出を行った結果を示す。
即ち、HVD1遺伝子特異的領域をプローブに用いてゲノム
中のコピー数を確認し、HVD1のDEADボックス遺伝子で保
存されている領域をプローブに用いてファミリー遺伝子
の検出を行った。HVD1 cDNA の3’側の遺伝子特異的領
域をプローブに用いた結果(図8右側)、1本のバンド
が検出され、オオムギゲノム中にHVD1遺伝子はハプロイ
ドあたり1コピー存在することが明らかとなった。一
方、HVD1 cDNA の8つのモチーフを含む保存領域をプロ
ーブとして用いると(図8左側)、複数のバンドが検出
され、オオムギにDEADボックス遺伝子ファミリーが存在
することを伺わせる結果が得られた。
【0046】(他の植物におけるHVD1遺伝子)オオムギ
以外の植物に、HVD1類似遺伝子が存在するかどうかを解
析した。図9に、ホウレンソウ、イネ(2種類)、オオ
ムギのゲノムDNA を使用し、サザンブロッティングによ
りHVD1類似遺伝子の検出を行った結果を示す。HVD1 cDN
A の遺伝子特異的領域をプローブに用いてサザンブロッ
ト解析を行った結果、双子葉植物のホウレンソウ、単子
葉植物のイネにおいてシグナルが検出された。ホウレン
ソウやイネにもHVD1類似遺伝子が存在するものと考えら
れる。
【0047】(HVD1の機能)HVD1は塩ストレス下で発現
していることから、その活性は塩によって阻害されない
ことが予想される。ヒトから単離されたDEADボックス蛋
白質であるp68 は、塩(100mM NaCl) によりその活性が
促進される。さらにp68 は耐塩性が高く、250mM 以上の
塩の存在下でもRNA に結合することができる。HVD1もp6
8 のように高い耐塩性をもっていることが予想される。
【0048】既に述べたように、塩ストレスにより植物
細胞内の塩濃度が上昇すると、1本鎖RNA は、1本鎖や
ステム/ループなどの二次構造をとりやすくなる(Jacob
son,A.B.(1976) Proc.Natl.Acad.Sci.USA 73:307-311)
(Herbeck,R.et al.(1976) Biochem.Biophys.Acta 418:5
2-62) 。そして、上記の様なRNA の二次構造化は、蛋白
質合成の阻害(Baglioni,C.et al.(1978) Eur.J.Bioche
m. 92:15-163)やヌクレアーゼによる分解の阻害(Edy,V.
G.et al.(1976) Eur.J.Biochem.61:563-572) などの弊
害をもたらす。
【0049】蛋白質合成に関わるDEADボックス蛋白質に
は、翻訳開始因子であるelF-4Aがあるが、ストレスなど
で発現が誘導されるものは、これまで報告された例はな
く、本発明のHVD1蛋白質が最初である。HVD1の機能は、
塩による蛋白質の合成やRNAの分解の阻害を抑える事で
あるか、あるいは塩ストレス下でのRNA の安定性に寄与
する事であると考えられる。本発明のHVD1遺伝子は、こ
れまでにはなかった機構により植物の塩ストレス耐性に
関与しており、多くの応用が可能であると考えられる。
【0050】
【発明の効果】本発明により、塩ストレスにより誘導さ
れる新規な遺伝子であるオオムギHVD1遺伝子が与えられ
た。本発明の遺伝子はRNA ヘリカーゼをコードする遺伝
子であり、RNA の構造を安定化させることにより、植物
に耐塩性を付与することができると考えられる。
【0051】
【配列表】 <110>出願人氏名:九州大学長 <120>発明の名称:塩ストレスにより誘導される遺伝子HVD1 <160>配列の数:2 <210>配列番号:1 <211>配列の長さ:764 <212>配列の型:アミノ酸 <213>起源:Hordeum vulgare L.cv.Harunanijyo <400>配列 MASLLTLPSL SLSSPSGGLA PALRLRAAFR CWALGRRWAG AAAAIASPNS VLSEHAFKRL 60 GLGAGSDDED EDGYGSDQEG PAAVEGDKDE LAISRLGLPA QLVATLEKRG ITHLFPIQRA 120 VLIPALEGRD LIARAKTGTG KTLAFGIPMI KQIIEQDEGR TPGRGRIPRA LVLAPTRELA 180 KQVEKEIMES APKLSTVCVY GGVSYNTQQN ALSRGVDVVV GTPGRLIDLI NGGSLQLGEV 240 RYLVLDEADQ MLAVGFEEDV ETILQQLPAE RQSMLFSATM PSWVKKLSRR YLNNPLTIDL 300 VGDQDEKLAE GIKLFAIPLT TTSKRTILSD LITVYAKGGK TIVFTRTKRD ADEVSLALTT 360 SIASEALHGD ISQHQRERTL NGFRQGKFTV LVATDVASRG LDIPNVDLII HYELPNDPET 420 FVHRSGRTGR AGKAGNAILM FTTNQRRTVK SLERDVGCKF EFIGPPTMEE VLDSSAEHVI 480 ATLRGVHPES IQYFVPAAER LSQELGPTAL ASALAHLSGF SQPPSSRSLI SHEQGSVTLQ 540 LTRDPEYARG FFSPRSVTGF LSDVSPSAAD AVGKIYLIAD ERVQGAVFDL PEEIAKDLLT 600 MELPPGNTLS KVTKLPVLQD DGPATDSYGR FSNSDRGSRN RRGSSRGGMG GGSRGRGGWD 660 SDEGFRRGGR SSSRPDNDIW SDDDFSGGGA RRSNRSSSPS GGRSSYGGRG GSSSFGDRSS 720 SFGERSSSYG GRGGSSFGSR DRSFSGACFT CGQSGHRASD CPNK 764 <210>配列番号:2 <211>配列の長さ:2799 <212>配列の型:核酸 <213>起源:Hordeum vulgare L.cv.Harunanijyo <400>配列 CGCCCGGGCA GGTATTTCTT ATCGCTTCCC CCCTTCCTCC CCCCATGGCT TCCCTCCTCA 60 CGCTCCCGTC CCTCTCCCTC TCCAGCCCCA GCGGCGGCCT CGCGCCCGCG CTCCGGCTCC 120 GCGCCGCCTT CCGCTGCTGG GCGCTCGGCC GCAGGTGGGC GGGCGCCGCC GCGGCCATCG 180 CGTCGCCCAA CTCCGTGCTC AGCGAGCACG CCTTCAAGCG CCTCGGGCTC GGCGCCGGCA 240 GCGACGACGA GGATGAGGAC GGGTACGGGA GCGACCAGGA GGGGCCCGCC GCCGTGGAGG 300 GGGACAAGGA TGAGCTCGCC ATTTCCAGGC TCGGCCTCCC CGCCCAGCTC GTCGCCACCC 360 TCGAGAAGCG CGGAATTACC CACCTCTTCC CCATCCAGAG GGCTGTATTG ATTCCAGCAC 420 TTGAGGGCCG TGACCTGATT GCAAGAGCAA AGACTGGAAC TGGAAAGACG CTAGCCTTTG 480 GTATACCCAT GATCAAGCAA ATAATCGAGC AGGACGAAGG GCGGACTCCC GGGCGAGGTC 540 GTATTCCGAG AGCTTTGGTC CTTGCACCCA CTAGAGAGTT GGCTAAACAA GTTGAGAAAG 600 AAATTATGGA ATCAGCGCCA AAGCTTAGTA CAGTGTGTGT TTATGGTGGT GTATCATATA 660 ATACCCAGCA GAATGCACTC TCCCGTGGTG TTGATGTTGT CGTAGGAACT CCAGGTCGCC 720 TAATTGATTT GATAAACGGT GGAAGTCTTC AGTTGGGAGA AGTAAGGTAT CTGGTCCTTG 780 ATGAGGCTGA CCAGATGCTT GCAGTTGGAT TTGAAGAAGA TGTGGAAACA ATATTGCAAC 840 AGCTGCCAGC TGAACGACAA AGCATGCTTT TCTCTGCGAC CATGCCTAGT TGGGTGAAGA 900 AATTGTCTAG GCGGTACTTG AATAATCCTT TGACAATTGA TTTGGTTGGC GATCAAGATG 960 AAAAATTAGC TGAAGGAATC AAACTCTTTG CTATTCCACT CACAACGACT TCAAAGCGCA 1020 CCATTCTTAG TGATCTCATT ACGGTATATG CAAAGGGTGG GAAAACTATT GTTTTCACTC 1080 GGACAAAACG GGATGCAGAC GAGGTATCAT TAGCATTGAC AACCAGTATT GCGTCTGAGG 1140 CGCTTCATGG TGATATTTCA CAACATCAGC GTGAGAGGAC ATTAAATGGT TTCCGCCAAG 1200 GGAAATTTAC TGTGCTTGTG GCCACTGATG TTGCTTCTCG TGGTCTTGAT ATACCCAATG 1260 TTGATTTGAT TATTCATTAT GAGTTGCCAA ATGACCCCGA GACTTTTGTT CATCGTTCTG 1320 GACGCACTGG ACGAGCAGGG AAAGCAGGAA ATGCAATCTT AATGTTTACA ACCAATCAGC 1380 GAAGGACAGT TAAATCACTT GAACGTGATG TTGGGTGCAA ATTTGAGTTT ATTGGCCCAC 1440 CTACAATGGA AGAAGTACTG GATTCATCTG CAGAGCATGT CATTGCTACT CTGCGAGGTG 1500 TGCACCCCGA GTCGATTCAA TACTTTGTTC CAGCGGCTGA GAGACTAAGC CAAGAACTAG 1560 GACCTACTGC TCTTGCTTCT GCATTGGCAC ATCTGAGTGG ATTTTCTCAG CCACCTTCTT 1620 CACGTTCCCT GATTAGCCAT GAGCAGGGAT CGGTGACACT ACAACTAACC AGGGATCCAG 1680 AATATGCAAG AGGCTTCTTT TCTCCTAGAT CTGTCACCGG TTTTCTGTCT GATGTCTCTC 1740 CATCTGCTGC TGATGCAGTT GGAAAAATAT ACCTAATAGC AGATGAGAGG GTCCAAGGAG 1800 CAGTCTTTGA TTTACCCGAG GAGATTGCAA AGGATCTGCT TACCATGGAA CTGCCCCCAG 1860 GAAACACCTT GAGCAAAGTA ACAAAGCTGC CGGTGTTGCA AGATGATGGC CCTGCTACTG 1920 ATTCTTACGG CCGATTCTCA AACTCAGACC GGGGTTCTAG GAACCGGCGG GGGTCGTCCA 1980 GGGGCGGTAT GGGTGGCGGC TCAAGAGGAC GTGGTGGTTG GGACTCTGAT GAAGGATTCC 2040 GTCGTGGTGG CAGGAGCTCC AGCAGACCTG ACAACGACAT TTGGTCAGAT GATGACTTTT 2100 CAGGTGGTGG TGCGAGAAGA TCAAACCGTT CGTCATCCCC CAGCGGTGGC CGCTCGTCCT 2160 ATGGTGGGCG TGGTGGCTCG TCATCCTTCG GTGACAGATC CTCCTCCTTT GGTGAACGCT 2220 CATCGTCATA CGGTGGTCGC GGTGGCTCGT CCTTTGGCAG CAGGGACAGA AGCTTCAGTG 2280 GCGCGTGCTT CACATGCGGG CAATCAGGGC ACAGAGCATC AGACTGCCCG AACAAGTAGA 2340 CGGCGCATAC GAAGTGCTGC TTGCCTGCCG CGCTGCTCCG TTCGGGCCTC ATCAGCTTCC 2400 GACAAGCGGC TGGACAAAGC TGAACACAAC GCCAAGGAAC ATCGCAAGGC CGGCCTCCCT 2460 TGTGTGTCGA TCTGTGATCT GCATATGCCC GATGAACGGC TGGCTGTGCT AGATACTACT 2520 ACAGTTTTGT GTGGTCGTCG TTTCACAGAG GAGATGATTT TTCTGGCACG CTGCTGACAC 2580 GCCGAAGGAG AGCCTGGCCT TCCGCTGAAT TATTCGTGTA ATATCTAGGG GTTTTACAGG 2640 AACGTTGCTT GTTTTAATTT TTTTTGGTTT GCCGCTTGTC GGAGTTGGTG ATAGAATGTT 2700 AACAACAGCT ACTACTACAT GGGCCCTGTA AAGTTCTATA GAACCAAGAA AGCATTCAGA 2760 ACTGTTACAC GTCGATTAAA AAAAAAAAAA AAAAAAAAA 2799
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、DEADボックスファミリーに保存され
たモチーフとその機能を示した図である。
【図2】 図2は、ディファレンシャルディスプレイ法
の概要を示した図である。
【図3】 図3は、オオムギの塩ストレス応答遺伝子
を、ディファレンシャルディスプレイ法により検出を行
った写真である。
【図4】 図4は、塩ストレスによるBD1 の発現誘導を
示す、ノーザンブロット解析の写真である。
【図5】 図5は、HVD1のcDNAの全塩基配列とその推定
アミノ酸配列を示す図である。
【図6】 図6は、HVD1蛋白質の疎水性・親水性プロッ
トを示す図である。
【図7】 図7は、既知のDEADボックス蛋白質のアミノ
酸配列と、HVD1の推定アミノ酸配列の比較を行った図で
ある。
【図8】 図8は、オオムギゲノム中のHVD1遺伝子及び
DEADボックス遺伝子の検出を行った、サザンブロット解
析の写真である。
【図9】 図9は、ホウレンソウ、イネ、オオムギにお
いてHVD1類似遺伝子の検出を行った、サザンブロット解
析の写真である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2B030 AA02 AB03 AD04 CA06 CA17 CA19 CB03 CD02 CD07 CD09 4B024 AA08 BA80 CA04 DA01 EA04 GA11 4B065 AA88X AA88Y AB01 AC08 BA02 CA53 4H045 AA10 BA10 CA32 EA05

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 以下の(a)または(b)に示すアミノ
    酸配列からなることを特徴とする、ポリペプチド。 (a)配列表の配列番号1に示す、アミノ酸番号1−7
    64で示されるアミノ酸配列からなることを特徴とす
    る、ポリペプチド。 (b)塩ストレスにより発現が誘導される遺伝子により
    コードされ、(a)のアミノ酸の一部が欠失、置換若し
    くは付加された、ポリペプチド。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のポリペプチドをコードす
    る、遺伝子。
  3. 【請求項3】 以下の(c)または(d)に示す塩基配
    列からなることを特徴とする、遺伝子。 (c)配列表の配列番号2に示す、塩基番号1−279
    9で示される塩基配列からなることを特徴とする、遺伝
    子。 (d)塩ストレスにより発現が誘導され、(c)の塩基
    配列の一部が欠失、置換若しくは付加された、遺伝子。
  4. 【請求項4】 請求項2又は請求項3記載の遺伝子を植
    物に導入することにより、植物に塩ストレスに対する耐
    性を付与する方法。
  5. 【請求項5】 請求項2又は請求項3記載の遺伝子を植
    物に導入することにより、植物に塩ストレスに対する耐
    性を付与した、形質転換植物。
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US09/902,627 US20020081730A1 (en) 2000-07-28 2001-07-12 HVD1 gene induced by salt stress
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