JP2002034552A - 細胞付細胞培養器の製造方法 - Google Patents

細胞付細胞培養器の製造方法

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JP2002034552A JP2000217144A JP2000217144A JP2002034552A JP 2002034552 A JP2002034552 A JP 2002034552A JP 2000217144 A JP2000217144 A JP 2000217144A JP 2000217144 A JP2000217144 A JP 2000217144A JP 2002034552 A JP2002034552 A JP 2002034552A
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Kanehisa Yokoyama
兼久 横山
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 解凍後直ちに目的とする細胞を用いた実験に
使用でき、解凍時、細胞が剥離することがない、凍結さ
れた足場依存性の動物細胞が付与された細胞培養容器を
提供する。 【解決手段】 足場依存性動物細胞を培養器培養表面上
で培養した後、0〜10℃の範囲内まで冷却し、冷却の
温度を保ったまま凍結保護材を含有する凍結用培地に交
換し放置した後、凍結用培地を除去し、さらに冷却して
細胞を凍結する方法により、足場依存性動物細胞が培養
面に接着し凍結されている細胞付細胞培養器を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、細胞を用いた実験
や細胞毒性評価などに使用される、足場依存性動物細胞
が付与された細胞培養容器の製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来、足場依存性動物細胞の使用は、ア
ンプルなどの容器中に細胞浮遊液の形で凍結されたもの
や、細胞培養用のフラスコの培養面に細胞を培養し、培
地をフラスコに満たし、フラスコの蓋で密封された状態
で行われている。いずれも、そのまま細胞を実験や評価
に使用するのではなく、一旦細胞を増殖させ、再び細胞
を実験および評価に適した細胞培養容器に細胞を播種し
直し、細胞をある程度増殖させたのち、目的とする実験
や評価に使用することになる。このように細胞の入手か
ら評価および実験に使用できるまで、かなりの時間と手
間を要する。
【0003】このように、足場依存性動物細胞を用いた
実験や評価を行うには、実際の実験作業の他に、細胞の
準備に時間と手間を必要とする。これらの時間と手間を
削減するという目的で、培養表面上に足場依存性動物細
胞を培養させた状態で細胞と培地を培養器ごとを凍結さ
せれば良いとの考え方があり、実験に用いる状態になる
までの培養の時間を削減できる方法として、培養基質上
に培養された状態で、凍結用培地と共に培養基質ごと凍
結されている足場依存性動物細胞が特開平1−1658
1号公報に開示されているが、足場依存性動物細胞を培
養した状態で凍結しようとすると、上記公報に開示され
ている通り、培地への凍結保護剤の添加は必要であり、
再び培養を再開する際に凍結用培地を除去し培養用培地
を加える作業が必要となる。
【0004】また、従来の方法では凍結及び解凍におい
て細胞は剥離する。そのため、培地交換の際に凍結用培
地と共に細胞を吸い込んでしまったり、培地を分注する
時に細胞が剥離してしまうという問題があった。その対
策として、予め培養容器に細胞接着促進物をコーティン
グする方法が提案され、ゼラチン、セルタック、ファイ
ブロネクチン、マトリゲルなどをコーティングすること
が有効であると上記公報に開示されている。これら細胞
接着促進物質は高価な試薬であり工業的に見た場合、コ
ストが高くなる。
【0005】またこれら細胞接着促進物質は、細胞の接
着を促進するだけでなく、細胞の分化や機能の発現に深
くかかわっており、コーティングの状態などにより、細
胞の状態がばらつく恐れもある。またいわゆるコンフル
エントな状態(個々の細胞が相互に密着し、細胞間の間
隙がほぼなくなる程度の状態)で凍結すれば細胞の剥離
が抑えられると記載されているが、コンフルエントな状
態になった細胞は、増殖性が低下するため、適用できる
試験および実験の内容が制限される場合がある。
【0006】また、他の方法として、解凍時の培地交換
における細胞の剥離を防止するための物理的な押さえを
導入する方法も報告されている。押さえとしては、繊維
よりできたフィルター状のものが使用されているが、こ
れらは透明ではなく、位相差顕微鏡での観察に支障をき
たしたり、96穴のプレートの場合プレートリーダーに
よる吸光度などの測定がなされるが、プレートのウェル
の中に透明性の悪い押さえが存在するため、そのままの
状態では測定が困難であり、別の96穴のプレートなど
に反応液を移して測定を行わなければならない。さらに
製造コスト面から観ると、96穴プレートのように多数
の小さなウェル中にこのような押さえを導入しようとし
た場合、多大な労力と時間を要することになる。以上の
ような理由から、足場依存性動物細胞を接着した培養状
態のまま凍結し、幅広い細胞実験の用途に応えられる細
胞を付与した細胞培養器を供給することは困難であっ
た。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、培養
表面に足場依存性動物細胞が培養面に伸展している培養
された状態で培養器とともに凍結されていて、解凍後直
ちに目的とする細胞を用いた実験に使用でき、解凍時に
細胞が剥離することなく、光学的な測定での妨げとなる
細胞剥離防止のための物理的な押さえが必要ないため、
幅広い実験に使用できる、足場依存性動物細胞が付与さ
れた細胞培養器を安価に提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は上記のような従
来の問題点を解決するため、細胞基質に接着した状態で
凍結し解凍した際の細胞の培養基質表面の剥離の要因を
検討した結果、細胞の凍結の際添加される凍結保護剤の
存在が大きく関わっていること、さらに凍結保護剤を含
有する培地類に細胞が接しているときの温度が高いと細
胞が培養表面から剥離することが促進されること、また
さらに、凍結用培地が解凍の際存在すると細胞の剥離が
促進されることを見出し、氷冷に近い温度で凍結保護剤
を含有した培地と細胞をなじませた後、培地を除去すれ
ば、細胞の剥離を抑えられること、さらにこのとき凍結
解凍による細胞の損傷が少ないことを見い出し、本発明
を完成するに至った。
【0009】即ち、本は発明は、(1)足場依存性動物
細胞を培養器培養表面上で培養、(2)培地の除去、
(3)0〜10℃の範囲内までの冷却、(4)冷却の温
度を保ったまま凍結保護剤を含有する凍結用培地に交換
と放置、(5)凍結用培地を除去、(6)さらに冷却し
て細胞を凍結する、工程から少なくとも構成されること
を特徴とする細胞付細胞培養器の製造方法である。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明に用いることができる足場依存性動物細胞
は、上皮系や繊維芽細胞系の株化細胞および初代培養さ
れた血管内皮細胞など、培養面に接着し伸展する細胞で
ある。これらの代表例として、HeLa、Hep G2、A-431、V
79、Veroなどがあげられる。
【0011】本発明の培養器に使用する培養器の形態に
は特に制限はない。形態としてはシャーレ、細胞培養用
フラスコ、複数の培養分画をもった細胞培養用のプレー
ト、または、カバースリップと呼ばれる細胞培養用のフ
ィルム状の小片にも応用は可能である。中でも本発明の
適用において最も有用なのは96穴プレートなどのプレ
ート類である。培養器の培養表面であるが、一般の培養
器は足場依存性動物細胞用に培養表面に親水化処理が施
されている、一般の培養面の親水化処理の度合いは接触
角で60度程度である。
【0012】剥離しやすい細胞の場合は解凍後の細胞の
伸展状態をより良好に保つために培養面をさらに親水化
しておくのが好ましく、親水化処理の度合いは接触角で
40度以下にすると効果的である。本発明では、従来必
要であった培養表面へのファイブロネクチンやゼラチン
などの細胞接着因子をコーティングをしなくとも解凍時
の細胞の接着状態を良好に保つことができる。
【0013】本発明の培養器の凍結手順について説明す
る。まず目的とする培養器を準備し細胞を播種し、さら
に培養を行い細胞を増殖させる。細胞培養器の凍結の際
の細胞の密度は、使用される実験の目的にもよるが、培
養表面の約50%が細胞により覆われる程度の細胞密度
で凍結されるのが望ましい。いわゆるコンフルエントな
状態(個々の細胞が相互に密着し、細胞間の間隙がほぼ
なくなる状態)になると、細胞は増殖性が低下すること
があるため、実験の目的によって使用が制限されること
もあるからである。
【0014】まず培養していた培養器を0〜10℃まで
冷却する、この際、培地が入ったまま行っても良いが、
培地を除去したあと冷却した方が早く冷却できる。冷却
の方法は、冷蔵庫中に入れても良いし、氷上に置いても
良い。次に冷却された培養器に凍結保護剤を添加した培
地を0〜10℃に冷却して加え、この冷却温度を保った
まま放置する。細胞培養の分野では細胞凍結の際、細胞
のダメージを抑える目的で凍結保護剤が添加される。
【0015】凍結保護剤として種々のものが用いられて
いるが、安価で凍結保護剤としての効果が高いのはDMSO
(ジメチルスルフォキシド)であり、培地に約10%の
濃度でDMSOを添加し凍結用培地として用いるのが好まし
い。上記低温での凍結用培地を加えて放置することによ
り細胞は凍結および解凍への耐性を獲得する。この放置
において培地の温度が10℃を超えると細胞は剥離して
くるが、0〜10℃を保つことにより、ここでの細胞の
剥離を防止することができる。この放置時間は10分〜
1時間程度が適当である。
【0016】その後、凍結用の培地を除去するが、除去
の度合いは培地の表面張力により培養面が濡れている程
度が望ましい。培地層が厚く残っていると解凍した際、
細胞の剥離が生じてくる。しかし、過度の強制除去によ
り培養表面を乾燥させないように注意する。凍結用培地
の除去も0〜10℃の温度に保ちながらおこない、最後
にプログラムフリーザーなどにより徐冷凍結する。
【0017】本発明では、凍結用培地を除去しているた
め、長期にわたり凍結保存を行う際は、培地が乾燥する
可能性がある。よって長期にわたり保存する場合は、培
養面の乾燥防止策を施したほうがよい。例えば、シャー
レのように培養面の広い培養器の場合は培養表面に乾燥
防止用に水蒸気透過性の低いフィルムなどを培養表面に
密着させたり、96穴プレートなどの培養面の面積の小
さいプレートの場合は、培養器の容器部分の開口部淵に
水蒸気透過性の低いフィルムなどを密着させ容器部分を
密閉状態にすることなどにより、培養用表面の乾燥を防
ぐことができる。上記のように製造された本発明の細胞
付培養器は、−80℃以下で保存され輸送、供給され
る。
【0018】
【実施例】以下実施例により本発明について、具体的に
説明する。 (実施例1)住友ベークライト社製細胞培養用96穴マ
ルチウェルプレート(品番MS-3096F)にHeLa細胞を播種
した。培地は5%子牛血清を添加したMEM培地を用い
た。1ウェルあたり約1万個細胞を播種し、炭酸ガスイ
ンキュベーター中で培養をおこなった。顕微鏡観察によ
り細胞密度が培養面の50%程度に達したところで細胞
とともに培養器ごと凍結した。凍結の手順は次の通り行
った。
【0019】培養してきた培地を除去し、培養面の乾燥
を防ぐために蓋をして冷蔵庫中(4℃)で1時間放置し
た。同時にDMSOを10%の濃度で上記培養用の培地に添
加し凍結用培地として調製し氷冷した。この氷冷した凍
結用培地を冷蔵庫中で冷却したプレートの各ウェルに1
00μl分注し、再び冷蔵庫中で30分間放置した。そ
の後、ウェル内の凍結用培地を除去し、ディープフリー
ザー中で1分間あたり1℃の割合で−80℃まで冷却し
プレートごと凍結した。−80℃で保存し下記に示す確
認試験に供した。
【0020】(比較例1)住友ベークライト社製細胞培養
用96穴マルチウェルプレート(品番MS-3096F)にHeLa
細胞を播種した。培地は5%子牛血清を添加したMEM培
地を用いた。1ウェルあたり約1万個細胞を播種し、炭
酸ガスインキュベーター中で培養をおこなった。顕微鏡
観察により細胞密度が培養面の50%程度に達したとこ
ろで細胞とともに培養器ごと凍結した。凍結の手順は次
の通り行った。培養してきた培地を除去し、DMSOを10
%の濃度で上記培養用の培地に添加し凍結用培地を各ウ
ェルに100μl分注し、直ちにディープフリーザー中
で1分間あたり1℃の割合で−80℃まで冷却しプレー
トごと凍結した。−80℃で保存し下記に示す確認試験
に供した。
【0021】(実施例2)Hep G2細胞について、培地と
して10%牛胎児血清を添加したダルベッコ変法MEM培
地を用いた。以下実施例1と同様の条件で 細胞付細胞
培養器を製作および保存をおこなった。
【0022】(比較例2)Hep G2細胞について、培地とし
て10%牛胎児血清を添加したダルベッコ変法MEM培地
を用い、比較例1と同様の条件で細胞付細胞培養器を製
作および保存をおこなった。
【0023】(実施例3)住友ベークライト社製細胞培
養用60mmシャーレ(品番MS-10600)にHeLa細胞を播
種した。培地は5%子牛血清を添加したMEM培地を用い
た。シャーレあたり約50万個細胞を播種し、炭酸ガス
インキュベーター中で培養をおこなった。顕微鏡観察に
より細胞密度が培養面の50%程度に達したところで細
胞とともに培養器ごと凍結した。凍結の手順は次の通り
行った。
【0024】培養してきた培地を除去し、ふたをしなが
ら冷蔵庫中(4℃)で1時間放置した。同時にDMSOを1
0%の濃度で上記培養用の培地に添加し凍結用培地とし
て調製し氷冷した。この氷冷した凍結用培地を冷蔵庫中
で冷却したプレートの各シャーレに5ml分注し、再び
冷蔵庫中で30分間放置した。その後、ウェル内の凍結
用培地を除去し、ディープフリーザー中で1分間あたり
1℃の割合で―80℃まで冷却しプレートごと凍結し
た。−80℃で保存し下記に示す確認試験に供した。
【0025】(比較例3)住友ベークライト社製細胞培養
用60mmシャーレ(品番MS-10600)にHeLa細胞を播種
した。培地は5%子牛血清を添加したMEM培地を用い
た。1シャーレあたり約50万個細胞を播種し、炭酸ガ
スインキュベーター中で培養をおこなった。顕微鏡観察
により細胞密度が培養面の50%程度に達したところで
細胞とともに培養器ごと凍結した。凍結の手順は次の通
り行った。
【0026】培養してきた培地を除去し、DMSOを10%
の濃度で上記培養用の培地に添加し凍結用培地を、各ウ
ェルに5ml分注し、、ディープフリーザー中で1分間
あたり1℃の割合で−80℃まで冷却しプレートごと凍
結した。−80℃で保存し下記に示す確認試験に供し
た。
【0027】(実施例4)Hep G2細胞について、培地と
して10%牛胎児血清を添加したダルベッコ変法MEM培
地を用いて、実施例3と同様の条件で 細胞付細胞培養
器を製作および保存をおこなった。
【0028】(比較例4)Hep G2細胞について、培地とし
て10%牛胎児血清を添加したダルベッコ変法MEM培地
を用い、比較例3と同様の条件で 細胞付細胞培養器を
製作および保存をおこなった。
【0029】(96穴プレートでのウェル内の生細胞数
のばらつきの比較)実施例1、2および比較例1、2を
用いた。培養器の底面部分を37℃の温水中に浸漬し速
やかに解凍した。実施例1と2は、各々の細胞用の培養
用の培地を各ウェル100μlを加えた。比較例1と2
においては、解凍後凍結用培地をディスペンサーにより
除去し、培養用の培地を各ウェル100μl加え1日培
養した。ディスペンサーでの操作はディスペンサーのチ
ップの先端を各ウェルの底面端に合わせ行った。
【0030】その後WST−8((株)同仁化学研究所
製)を各ウェルに10μl加え、生細胞数に応じて生成
されるホルマザン量をプレートリーダーにより、波長4
50nmでの吸光度を測定した。プレート1枚96個のウ
ェルの各々の吸光度より、プレート内生細胞数のばらつ
きを算出した。ばらつきは、(最大値−最小値)をプレ
ート全体の平均値で除したものおよび変動係数(cv
値)で比較した。結果を表1および2に示す。
【0031】(解凍時の細胞生存率の比較)実施例3と4
比較例3と4を用いた。培養器の底面部分を37℃の温
水中に浸漬し速やかに解凍した。実施例3と4は、各々
の細胞用の培養用の培地をシャーレあたり5mlを加え
た3時間培養し、培養用の培地をシャーレから回収し培
地中に浮遊している細胞を回収した(細胞浮遊液A)。
シャーレにはトリプシン処理を行い、培養面に接着して
いた細胞を剥離させ回収し、遠心によりトリプシンを除
去し、細胞浮遊液を調整した(細胞浮遊液B)。
【0032】比較例3と4においては、解凍後凍結用培
地を除去し、この培地を回収し遠心によりDMSOを取り除
き、細胞浮遊液を調整した(細胞浮遊液C)。培養器に
は各々の培養用の培地をシャーレあたり5ml加え3時
間培養した。その後培養用の培地をシャーレから回収し
培地中に浮遊している細胞を回収した(細胞浮遊液
D)。シャーレにはトリプシン処理を行い、培養面に接
着していた細胞を剥離させ回収し、遠心によりトリプシ
ンを除去し、細胞浮遊液を調整した(細胞浮遊液E)。
各細胞浮遊液についてトリパンブルー排除法により細胞
数および生細胞数を測定し、生細胞率を測定した。結果
を表3に示す。
【0033】(解凍時の細胞の剥離のし易さの比較)実施
例3と4比較例3と4を用いた。培養器の底面部分を3
7℃の温水中に浸漬し速やかに解凍した。実施例3と4
は、各々の細胞用の培養用の培地をシャーレあたり5m
lを加え、ストローク5cmで1分間1回のサイクルで
30秒間水平方向に振とうしたのち、培養用の培地をシ
ャーレから除去し、培地中に浮遊している細胞を回収し
た(細胞浮遊液a)。シャーレにはトリプシン処理を行
い、培養面に接着していた細胞を剥離させ回収し、遠心
によりトリプシンを除去し、細胞浮遊液を調整した(細
胞浮遊液b)。
【0034】比較例3と4においては、解凍後凍結用培
地を除去し、この培地を回収し遠心によりDMSOを取り除
き、細胞浮遊液を調整した(細胞浮遊液c)。各々の細
胞用の培養用の培地をシャーレあたり5mlを加え、ス
トローク5cmで1秒間1回のサイクルで30秒間水平
方向に振とうしたのち、培養用の培地をシャーレから除
去し、培地中に浮遊している細胞を回収した(細胞浮遊
液d)。シャーレにはトリプシン処理を行い、培養面に
接着していた細胞を剥離させ回収し、遠心によりトリプ
シンを除去し、細胞浮遊液を調製した(細胞浮遊液
e)。各細胞浮遊液についてトリパンブルー排除法によ
り生細胞数のみを測定し、振とう後シャーレ中に接着し
残っていた生細胞数を全体の生細胞数で除し、接着残存
率を算出し、細胞の剥がれ度合いの指標とした。結果を
表4に示す。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】
【表3】
【0038】
【表4】
【0039】
【発明の効果】本発明の細胞付細胞培養器では、細胞解
凍時、細胞の剥離がなく、かつ培地交換を必要としない
ため細胞のロスがなく、96ウェルプレートにおいては
ウェル間の細胞数のバラツキが小さく、さらに細胞の生
存率も高く、足場依存性動物細胞付の細胞培養器として
有用である。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成13年10月9日(2001.10.
9)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正内容】
【0006】また、他の方法として、細胞の剥離を防止
するための物理的な押さえを導入する方法も報告されて
いる。押さえの導入は位相差顕微鏡での観察に支障をき
たす。又さらに96穴のプレートの場合プレートリーダ
ーによる吸光度などの測定がなされるが、プレートのウ
ェルに押さえが存在すると、そのままの状態では測定が
困難となる。さらに製造コスト面から観ると、96穴プ
レートのように多数の小さなウェルにこのような押さえ
を導入しようとした場合、多大な労力と時間を要するこ
とになる。以上のような理由から、足場依存性動物細胞
を接着した培養状態のまま凍結し、幅広い細胞実験の用
途に応えられる細胞を付与した細胞培養器を供給するこ
とは困難であった。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正内容】
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、培養
表面に足場依存性動物細胞が培養面に伸展している培養
された状態で培養器とともに凍結されていて、解凍後直
ちに目的とする細胞を用いた実験に使用でき、解凍時に
細胞が剥離することなく、光学的な測定での妨げとなる
押さえがないため、幅広い実験に使用できる足場依存性
動物細胞が付与された細胞培養器を安価に提供すること
にある。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (1)足場依存性動物細胞を培養器培養
    表面上で培養、(2)培地の除去、(3)0〜10℃の
    範囲内までの冷却、(4)冷却の温度を保ったまま凍結
    保護剤を含有する凍結用培地に交換と放置、(5)凍結
    用培地を除去、(6)さらに冷却して細胞を凍結する工
    程から少なくとも構成されることを特徴とする細胞付細
    胞培養器の製造方法。
  2. 【請求項2】 凍結保護剤がジメチルスルホキシドであ
    る請求項1記載の細胞付細胞培養器の製造方法。
  3. 【請求項3】 培養表面が水滴での接触角が40度以下
    に親水化処理されている請求項1又は2記載の細胞付細
    胞培養器の製造方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2019528764A (ja) * 2016-10-04 2019-10-17 トランスウェル バイオテック カンパニー リミテッド 細胞生存率を維持するための組成物および方法

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