JP2002033628A - 高周波電力増幅器 - Google Patents

高周波電力増幅器

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JP2002033628A
JP2002033628A JP2000218700A JP2000218700A JP2002033628A JP 2002033628 A JP2002033628 A JP 2002033628A JP 2000218700 A JP2000218700 A JP 2000218700A JP 2000218700 A JP2000218700 A JP 2000218700A JP 2002033628 A JP2002033628 A JP 2002033628A
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power amplifier
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low
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Masami Onishi
正已 大西
Akira Maeki
陽 前木
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Hitachi Ltd
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    • H03ELECTRONIC CIRCUITRY
    • H03FAMPLIFIERS
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    • H03F3/60Amplifiers in which coupling networks have distributed constants, e.g. with waveguide resonators
    • H03F3/605Distributed amplifiers
    • H03F3/607Distributed amplifiers using FET's
    • HELECTRICITY
    • H03ELECTRONIC CIRCUITRY
    • H03FAMPLIFIERS
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Abstract

(57)【要約】 【課題】電力合成回路を複数個使用しトーナメント接続
する場合に、合成される半導体素子間で構成される閉ル
ープにより起こる低周波でのループ発振を防止する。従
来、この対策は結合線路型合成回路を用いるか、閉ルー
プを構成させないための低周波阻止用コンデンサを各信
号線路中に挿入し別途バイアス回路を設ける。また、半
導体素子は入出力に付加されるインピーダンス値により
自己発振を起こすため、発振信号の減衰に必要な抵抗成
分を含んだ回路を設ける。このため、ループ発振と自己
発振をそれぞれ防止するために2つの回路が必要とな
る。 【解決手段】電力分配器により分配された各々の信号線
路に、ループ発振および自己発振の各周波数の通過を減
衰させる低周波阻止回路3a1〜3anを設ける。 【効果】進行波合成型増幅器のループ発振と自己発振の
防止に各々必要となる2つの回路を1つの低周波阻止回
路で構成でき、かつ、素子の破壊を防止できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は移動体通信用基地局
に使用される送信機の高周波電力増幅器に関し、特に、
進行波合成型電力増幅器のループ発振及び自己発振を抑
制する回路を設けた高周波電力増幅器に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、移動体通信用基地局に用いられる
送信電力増幅器には、数十から数百の加入者を一基地局
がサポートするために、その出力として数十から数百W
の平均送信電力が必要となる。
【0003】また、多様な通信サービスを実現するため
に、ディジタル通信方式が主流となっている。ディジタ
ル通信方式の場合の変調方式は位相・振幅変調であるた
め、送信電力増幅器には高い線形性が要求される。送信
電力増幅器を実現する半導体素子の非線型性を補償する
ために、同電力増幅器には平均送信電力の約10倍とな
る数百Wから数kWの飽和出力が要求されている。同電
力増幅器に用いられる半導体素子は、一素子で出力しう
る電力が一般に小さく、例えば現在の技術水準では2G
Hz帯で飽和出力が10−100W程度である。したが
って、半導体素子を使用した電力増幅器の設計を行う場
合、半導体素子を複数個用い、その出力を合成して大電
力化する必要がある。
【0004】このような移動体通信基地局用電力増幅器
に適用する電力合成回路の電力合成方法として、例え
ば、1997年度電子情報通信学会エレクトロニクスソ
サイエティ大会(C-2-27)で開示されたようなウイ
ルキンソン型、その変形型であるクラスター型合成方式
が知られている。
【0005】図2に、この回路構成を示す。この回路
は、ポート1から入力された高周波信号が分配器におい
て分配された後、入力側のマッチング回路を通り各半導
体素子のゲートに入力され、増幅された後、出力側のマ
ッチング回路を通過し合成回路に入り再度合成され、ポ
ート2から出力される構成である。
【0006】図2に示されるように、この従来例の合成
方式では、各半導体素子ごとにループを遮断して低周波
ループ発振を抑制するためのキャパシタと、合成を行う
各素子にバイアスを加えるためと各素子の自己発振を抑
制するための発振防止回路を兼ねたバイアス回路を設け
ている。
【0007】また、バイアスを各半導体素子ごとに供給
せずに、2つの半導体素子FET1とFET2の各ゲー
トと各ドレインをそれぞれ直列に接続する線路を設け、
図2の上部左の入力側バイアス回路にてゲートバイアス
Vgを印加し、上部右の出力側バイアス回路にてドレイ
ンバイアスVdを印加している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来技術の構成では、合成される半導体素子(或いは、電
力増幅器)ごとに閉ループにより起こる低周波でのルー
プ発振を防止する必要がある。このため、電力合成回路
に結合線路型合成回路を用いるか、或いは閉ループを構
成させないための低周波阻止用コンデンサを各信号線路
中に挿入しなければならない。従って、前者の対策では
λ/4結合線路を多数設ける必要があり、後者の対策で
は直流電流がカットされるので各増幅回路に個々にバイ
アス回路が必要となり、どちらの対策でも大きな面積を
占有する問題がある。
【0009】また、半導体素子は入出力に付加されるイ
ンピーダンス値により自己発振を起こすため、発振周波
数において抵抗成分を含むなど発振電力を減衰させる回
路を設けなければならず電力効率が低下する難点があ
る。
【0010】この従来例のようなバイアス構成の場合
は、直列接続したどちらか一方(図2の場合は、FET
1側)からバイアスVg及びVdを供給するため、増幅
周波数帯において、合成バランスが崩れ全体性能を下げ
てしまうなどの現象が起こる可能性もある。また、図2
にの構成で、大電力化のために更に複数の同様の増幅回
路を並列に構成した場合は、図中に示した破線矢印で示
した閉ループが複数個できるだけではなく、離れた別の
半導体素子を介した、より大きな閉ループも構成され、
これらのループ発振と自己発振とを防止する回路を設け
る必要がある。
【0011】このように従来、低周波でのループ発振と
半導体素子の自己発振とを防止するために2つの回路を
設けて対処していた。
【0012】そこで、本発明の目的は、進行波合成型高
周波増幅器のループ発振と各増幅器自身の自己発振とを
抑制する回路を設けた小型の高周波電力増幅器を提供す
ることにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明の高周波電力増幅
器は、上述した課題を解決するため、電力分配合成器に
より分配された信号線路にループ発振および自己発振の
各々の周波数を減衰させるような低周波発振阻止回路を
備える。前述したように、ループ発振、自己発振を防止
するのに従来は2つの回路が必要であったが、この低周
波発振阻止回路は1つの回路で構成することが出来るの
で小型にできる。
【0014】本発明の原理を、図6の(a),(b)を
用いて説明する。図6の(a)は、本発明を使用しない
場合における進行波合成型の高周波電力増幅器の通過信
号電力の周波数特性を示した図であり、同図(b)は、
後述する本発明の一実施例である図1に示した低周波発
振阻止回路すなわち低周波阻止フィルタ3a1〜3anを、図
5に示すキャパシタ31a1〜31anと、インダクタ31b1〜31
bnと、抵抗31c1〜31cnとで構成した場合の回路通過減衰
量の周波数特性である。
【0015】本発明を使用しない進行波合成型の高周波
電力増幅器の場合、図6の(a)に示すように通過信号
電力の周波数特性は、増幅帯域から下の周波数帯域にお
いて閉ループによるループ発振と半導体素子自身による
自己発振の2つの発振が起こる。これらの発振では、発
振信号電力が安定していることは殆どなく、使用してい
る半導体素子の限界、つまり半導体素子が破壊するまで
発振信号電力が増加することが多い。
【0016】この2つの発振を起こさないようにする為
に、先ず、キャパシタ31a1〜31anとインダクタ31b1〜31
bnにより並列共振させる。この時の並列共振周波数を、
電力増幅器すなわち電力増幅用の各半導体素子の増幅帯
域よりも低いループ発振周波数となるように設計してお
けば、ループ発振周波数においてインピーダンスは無限
大となり、進行波合成型の高周波電力増幅器に閉ループ
がなくなる。したがってループ発振は起こらない。
【0017】また、半導体素子の自己発振に関しては、
キャパシタ31a1〜31anとインダクタ31b1〜31bnによる並
列共振が生じない状態では、半導体素子からは抵抗31c1
〜31cn、すなわち純抵抗もしくは純抵抗に近い抵抗が見
えてくる為、自己発振を起こさない。これにより、図6
の(a)に示したループ発振周波数と自己発振周波数に
対応する図6の(b)の各周波数において、通過減衰量
が増加して2つの谷状を有する減衰特性を形成している
ことがわかる。なお、増幅周波数帯域以下の周波数をカ
ットするような通常のハイパスフィルタ特性のフィルタ
すなわち自己発振帯域を減衰させた場合には、フィルタ
のインピーダンスは、スミスチャート上で、ショート、
オープン等の極めて外周側に沿ったインピーダンスとな
る。これはデバイスが自己発振を起こしやすい領域であ
り、自己発振防止には有効とはならない。したがって、
自己発振防止のために、スミスチャート上の中心部に近
づくインピーダンスに増幅器の入出力側のインピーダン
スを設計して、発振を防止できる図6の(b)に示すよ
うな特性がよい。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る高周波電力増
幅器の好適な実施形態について、添付図面を参照しなが
ら実施例を用いて詳細に説明する。
【0019】<実施例1>図1は、本発明の一実施例で
ある進行波合成型すなわち進行波合成分配回路を使用し
た高周波電力増幅器の構成を示すブロック図である。同
ブロック図は、n個(nは、2以上の自然数)の電力増幅
器を構成要素に含む場合の実施例に関し、入力端子11に
入った信号は、入力伝送線路1a1を介し伝送線路2a1と1a
2からなる第1の分配回路の第1出力が、第1番目の低
周波発振阻止回路すなわち低周波阻止フィルタ3a1を通
過して電力増幅器13a1の入力信号となる。
【0020】更に、第1の分配回路の第2出力が伝送線
路2a2と1a3からなる第2の分配回路に入力され、第2の
分配回路の第1出力が第2番目の低周波阻止フィルタ3a
2を通過して電力増幅器13a2の入力信号となる。また更
に、第2の分配回路の第2出力が伝送線路2a3と1a4から
なる第3の分配回路に入力され、第3の分配回路の第1
出力が第3番目の低周波阻止フィルタ3a3を通過して電
力増幅器13a3の入力信号となる。
【0021】同様の構造を繰り返し第(n−1)の分配回
路の第1出力が第(n−1)番目の低周波阻止フィルタ3a
(n-1)を通過して電力増幅器13a(n-1)の入力信号とな
り、更に第(n−1)の分配回路の第2出力が伝送線路1a
nと2anを介して第n番目の低周波阻止フィルタ3anを通
過し電力増幅器13anに入力される。
【0022】また、出力側回路では、第1番目の電力増
幅器13a1の出力信号が14a1,15a1,14a2からなる第1の合
成回路の第1入力となり、第2番目の電力増幅器13a2の
出力信号が第1の合成回路の第2入力となる。第1の合
成回路の出力が15a2,14a3からなる第2の合成回路の第
1入力となり、第3番目の電力増幅器13a3の出力信号が
第2の合成回路の第2入力となる。第2の合成回路の出
力が15a3,14a4からなる第3の合成回路の第1入力とな
り、第4番目の電力増幅器13a4の出力信号が第3の合成
回路の第2入力となる。第3の合成回路の出力が15a4,1
4a5からなる第4の合成回路の第1入力となり、同様の
構造を繰り返し、更に第n番目の電力増幅器13anの出力
信号が第(n−1)の合成回路の第2入力となり出力伝送
線路15anに至り、出力伝送線路15anの他の一端が出力端
子21と結合される。
【0023】ここでは、各電力増幅器13a1〜13anの入力
側には、ループ発振および自己発振を防止するためのn
個の低周波阻止フィルタ3a1〜3anを持つ構造であり、更
に進行波合成回路を形成するために伝送線路1a2〜1anま
での電気長の和が概略波長となり、伝送線路1a2〜1an各
々の電気長は、概略波長の1/nとなっている。
【0024】なお、各低周波阻止フィルタは、図6の
(b)に示したように増幅帯域よりも低いループ発振お
よび自己発振の各周波数領域で通過減衰量が大となる特
性を有するものである。以下の実施例においても同様で
ある。
【0025】本実施例によれば、ループ発振及び自己発
振を低周波阻止フィルタ3a1〜3anによって防止できるの
で、発振による半導体素子の破壊を防止させる効果があ
る。
【0026】<実施例2>図3は本発明の他の実施例と
なる進行波合成型の高周波電力増幅器の構成を示すブロ
ック図である。図1に示した低周波阻止フィルタ3a1〜3
anを、本実施例では各電力増幅器13a1〜13anの出力側に
構成している点が前記実施例と異なる。
【0027】本実施例においても、前記実施例と同様
に、ループ発振を低周波阻止フィルタ3a1〜3anにより防
止できるので、発振による半導体素子の破壊を防止する
効果がある。
【0028】<実施例3>図4は、本発明の他の実施例
となる進行波合成型の高周波電力増幅器の構成を示すブ
ロック図である。本実施例では、図1及び図3の実施例
に示した低周波阻止フィルタ3a1〜3anを、各電力増幅器
13a1〜13anの入力側および出力側の双方に設けている
点、すなわち、入力側低周波阻止フィルタ4a1〜4anと出
力側低周波阻止フィルタ5a1〜5anを設けている点が前述
した実施例と異なる。
【0029】本実施例によれば、ループ発振及び自己発
振を入力側低周波阻止フィルタ4a1〜4anと出力側低周波
阻止フィルタ5a1〜5anにより防止できる。したがって、
発振による半導体素子の破壊を防止する効果がある。
【0030】入力側と出力側の双方に低周波阻止フィル
タを設けることにより、前述した図1及び図3の実施例
と比べて、入力側と出力側でそれぞれ自己発振とループ
発振を阻止するので、より確実に発振を防止できる利点
がある。
【0031】<実施例4>図5は、本発明の他の実施例
となる進行波合成型の高周波電力増幅器の構成を示すブ
ロック図である。図1に示した低周波阻止フィルタ3a1
〜3anを、本実施例ではキャパシタ31a1〜31an、インダ
クタ31b1〜31bn、抵抗31c1〜31cnで構成している点が前
記実施例と異なる。
【0032】本実施例によれば、ループ発振をキャパシ
タ31a1〜31anとインダクタ31b1〜31bnの並列共振により
阻止し、自己発振を抵抗31c1〜31cnにより防止できる。
すなわち、並列共振周波数をループ発振周波数となるよ
うに設定し、増幅帯域外の並列共振しない状態では、半
導体素子からは抵抗31c1〜31cnが見えてくるので、自己
発振を起こさなくできる。したがって、本実施例の構成
により発振による半導体素子の破壊を防止させる効果が
ある。
【0033】また、低周波阻止フィルタは、デバイスの
内部整合回路と兼用することもできる。すなわち、低周
波阻止フィルタ内のキャパシタを内部整合回路のキャパ
シタと兼用可能である。図12に示すように、デバイス
内部の入力整合回路をインダクタ(またはマイクロスト
リップライン)91と低周波阻止フィルタ90内のキャ
パシタC1により構成し、キャパシタC1を入力整合す
るような容量値に設定する。この値のキャパシタC1と
インダクタID1によりループ発振周波数で並列共振す
るように設定すれば良い。
【0034】例えば、携帯電話などで使用される1.5
GHz帯では、入力インピーダンスが50Ωの入力整合
用のキャパシタの値は通常数pF〜数10pF程度であ
る。したがって、キャパシタC1を10pFにして入力
整合するように設定した場合、10nH程度のインダク
タID1でループ発振や自己発振の生じる500MHz
以下の周波数において並列共振するようにできる。な
お、図12において、参照符号92はインダクタ(また
はマイクロストリップライン)、TRSは半導体トラン
ジスタ、93はインダクタIDa,IDbおよびキャパ
シタCoからなる出力整合回路である。勿論、出力整合
回路の構成を入力整合回路と同じ構成にして、出力側に
も低周波阻止フィルタを設けて入力側と同じように出力
整合回路のキャパシタと兼用しても良い。
【0035】<実施例5>図7は、本発明の他の実施例
となる進行波合成型の高周波電力増幅器の構成を示すブ
ロック図である。本実施例では、キャパシタ31a1〜31an
とインダクタ31b1〜31bnと抵抗31c1〜31cnで構成される
低周波阻止フィルタを、電力増幅器13a1〜13anの出力側
に設けている点が図5に示した実施例と異なる。
【0036】本実施例においても、低周波阻止フィルタ
はループ発振をキャパシタ31a1〜31anとインダクタ31b1
〜31bnの並列共振により阻止し、自己発振を抵抗31c1〜
31cnにより防止できる。したがって、発振による半導体
素子の破壊を防止する効果がある。また、前記実施例同
様に、低周波阻止フィルタと整合回路とを兼用すること
も可能である。
【0037】<実施例6>図8は、本発明の他の実施例
となる進行波合成型の高周波電力増幅器の構成を示すブ
ロック図である。本実施例では、電力増幅器13a1〜13an
に使用される半導体素子の入力側に低周波阻止フィルタ
をモノリシックに一体化して設けた構成としている点
が、図5の実施例と異なる。
【0038】すなわち、一例として電力増幅器13a1の構
成を矢印で示したボックス内に示したように、半導体素
子23a1の入力側にキャパシタ31a3、2個のインダクタ31
b11,31b12、抵抗31c3から構成される低周波阻止フィル
タをモノリシックに設けている。図示していないが、電
力増幅器13a2〜13anも電力増幅器13a1と同様の構成であ
る。ここで、インダクタを2個にしているのは、メタル
層をスパイラル形状のパターンにしたインダクタを、半
導体基板上で形成する場合、1個で大きなインダクタを
形成すると、占有する面積が大きくなることや、インダ
クタ自身の寄生抵抗やメタル層間の寄生容量が大きくな
ることにより自己発振が生じやすくなるため、これを防
ぐと共に有効にチップ上の占有面積を小さくしたいから
である。
【0039】本実施例によれば、半導体素子23a1〜23an
とモノリシックに構成した低周波阻止フィルタ回路は、
図5及び図7の実施例と同様にループ発振をキャパシタ
31a1〜31anとインダクタ31b1〜31bnの並列共振により阻
止し、自己発振を抵抗31c1〜31cnにより防止する。な
お、インダクタ自身の寄生抵抗や寄生容量による自己発
振が起こらない範囲内で、低周波阻止フィルタのインダ
クタを前述した各実施例と同様に1個で形成しても発振
を防止する効果があることは言うまでも無い。
【0040】<実施例7>図9は、移動体通信用基地局
の構成を示す説明図である。図9において、参照符号5
0は基地局を示し、この基地局50において、先ずベー
スバンド信号処理装置(不図示)から供給される信号を
変復調装置51により電波として空間を伝播できる周波
数(搬送周波数)に変換される。送受信信号増幅装置5
2は、移動体端末(例えば、携帯電話)に電波を到達さ
せるため(送信側)、あるいは端末から送られてくる微
弱な信号を抽出するため(受信側)、送受信信号の電力
を増幅する。なお、送受信信号増幅装置52では、送信
電力の増幅は送受信信号電力増幅器装置52内の線形補
償電力増幅器52aでなされ、受信信号は低雑音増幅器
52bにより増幅される。電力増幅された送信信号は、
高周波ケーブル53を経由してアンテナ54から電波と
なって出て行く。
【0041】図10に送受信信号増幅装置52で用いる
代表的な線形補償電力増幅器52aとして、フィードフ
ォワード型電力増幅器の構成例を示す。主電力増幅回路
80で増幅された後、分配回路71で分配された主信号
と、分配回路61で分配され、主電力増幅回路80での
信号遅延量に相当する遅延線62を介した増幅前の主信
号とが、合成回路72により合成される。
【0042】これにより、主信号の増幅により生じた誤
差信号(歪信号)が抽出される(誤差信号抽出回路)。
抽出された誤差信号は、可変位相器64を介して誤差電
力増幅回路81により増幅され、増幅された誤差信号は
誤差電力増幅回路での遅延量に相当する遅延線65を介
した主信号と合成回路73で合成されることにより、増
幅された主信号から歪が消去される(歪み除去回路)。
フィードフォワード制御回路82は、電力をモニタし、
歪の消去を最適化すべく可変位相器63,64を制御す
る。ここで、参照符号c1,c2は制御信号、s1,s
2.s3は検出信号である。
【0043】一般に、現状の電力増幅器の線形性が十分
でないため、線形補償電力増幅器52aの中に大出力の
主電力増幅回路80をはめ込み、システムに要求される
電力増幅の線形性を確保する。前述したように、電力増
幅器に用いられる半導体素子は、1個の素子で出力し得
る電力は小さく、半導体素子による増幅器を複数用いて
その出力を合成している。
【0044】したがって、上記基地局50において、送
受信信号電力増幅装置52内の線形補償電力増幅器52
aを構成する主電力増幅回路80として、低周波阻止フ
ィルタを有する前述した実施例1〜6のいずれかの本発
明の高周波電力増幅器を用いることでループ発振や自己
発振を防止して、大電力で線形性の良好な、小型・高効
率の送信電力増幅器を実現することができる。また、本
発明の高周波電力増幅器を用いることで、負荷変動によ
る発振等が発生しないため、高周波電力増幅器の出力端
に用いられるアイソレータ等を使用しなくてすむ。この
ため、基地局全体の高効率化にも有効である。
【0045】以上、本発明の好適な実施例について説明
したが、本発明は上記実施例に限定されるものではな
く、本発明の精神を逸脱しない範囲内において、種々の
設計変更をなし得ることは勿論である。
【0046】例えば、図5、図7及び図12の低周波阻
止フィルタでは、キャパシタと抵抗とインダクタを各1
個で構成した回路を示したが、その場合、図11の
(a)に配置だけを模式的に示したように、チップキャ
パシタCCP、チップインダクタCID、チップ抵抗CRSを用
いて伝送線路TL1,TL2間に接続する。しかし、図8の実
施例のように、低周波阻止フィルタをキャパシタと抵抗
と2個のインダクタで構成してもよい。その場合、図1
1の(b)に配置だけを模式的に示したように、チップ
部品を縦と横すなわちX,Y方向のみに揃えて配置接続
が可能になるため、発振防止の効果の他に、自動半田付
け装置の使用が可能になり、製造面においてコスト低減
に効果がある。
【0047】
【発明の効果】前述した実施例から明らかなように、本
発明によれば、高周波電力増幅器において、電力合成回
路を複数個使用してトーナメント接続する場合に、合成
される半導体素子間で構成される閉ループにより起こる
低周波でのループ発振、半導体素子の入出力に付加され
るインピーダンス値により起こる自己発振の問題を、大
きな占有面積を必要とせずに解決できる。したがって、
進行波合成型の高周波電力増幅器に用いられる半導体素
子の破壊を防止する効果がある。
【0048】また、本発明に係る高周波電力増幅器を移
動体通信用基地局に用いれば、ディジタル通信方式に好
適な線形性が良好な、小型・高効率の送信電力増幅器を
実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る進行波合成型の高周波電力増幅器
の一実施例を示すブロック図である。
【図2】従来技術の電力合成回路を示すブロック図であ
る。
【図3】本発明に係る進行波合成型の高周波電力増幅器
の別の実施例を示すブロック図である。
【図4】本発明に係る進行波合成型の高周波電力増幅器
のまた別の実施例を示すブロック図である。
【図5】本発明に係る進行波合成型の高周波電力増幅器
のまた別の実施例を示すブロック図である。
【図6】本発明の高周波電力増幅器で用いる低周波阻止
フィルタの特性を説明する図である。
【図7】本発明に係る進行波合成型の高周波電力増幅器
のまた別の実施例を示すブロック図である。
【図8】本発明に係る進行波合成型の高周波電力増幅器
のまた別の実施例を示すブロック図である。
【図9】本発明に係る進行波合成型の高周波電力増幅器
を適用する移動体通信用の基地局の構成を示す説明図で
ある。
【図10】図9に示した基地局の送受信信号増幅装置で
用いるフィードフォワード型電力増幅器の構成例を示す
ブロック回路図である。
【図11】低周波阻止フィルタを構成するチップ部品を
模式的に示す配置図である
【図12】低周波阻止フィルタを入力整合回路と兼用す
る場合を示す回路図である。
【符号の説明】
11…入力端子、21…出力端子、1a1,1a2,〜1an…入力伝
送線路、13a1,13a2,〜13an…電力増幅器、2a1,2a2,〜2a
n…伝送線路、3a1,3a2,〜3an,4a1,4a2,〜4an,5a1,5a2,
〜5an…低周波阻止フィルタ、14a1,14a2,〜14an…伝送
線路、15a1,15a2,〜15a(n-1),15an…出力伝送線路、23a
1…半導体素子、31a1,31a2,〜31an…キャパシタ、31b1,
31b2,〜31bn…インダクタ、31b11,31b12…インダクタ、
31c1,31c2,〜31cn…抵抗、50…基地局、51…変復調装
置、52…送受信信号増幅装置、52a…線形補償電力増幅
器、52b…低雑音増幅器、53…高周波ケーブル、54…ア
ンテナ、61,71…分配回路、62,65…遅延線、63,64…可
変位相器、72,73…合成回路、80…主電力増幅回路、81
…誤差電力増幅回路、82…フィードフォワード制御回
路、90…低周波阻止フィルタ、91,92…インダクタ(ま
たは、マイクロストリップライン)、93…出力整合回
路。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H03F 3/68 H03F 3/68 B Fターム(参考) 5J067 AA21 AA35 AA41 CA21 CA36 CA54 CA57 CA92 FA20 HA09 HA25 HA29 KA00 KA12 KA13 KA15 KA16 KA29 KA46 KA53 KA55 KA68 KS01 KS11 KS21 LS12 MA14 QA04 SA14 TA01 TA03 5J069 AA01 AA21 AA41 CA21 CA36 CA54 CA57 CA92 FA20 HA09 HA25 HA29 HA33 KA00 KA12 KA13 KA15 KA16 KA29 KA46 KA53 KA55 KA68 KC03 KC06 KC07 MA14 QA04 SA14 TA01 TA03 5J090 AA01 AA21 AA41 CA21 CA36 CA54 CA57 CA92 FA20 GN01 GN07 HA09 HA25 HA29 HA33 KA00 KA12 KA13 KA15 KA16 KA29 KA46 KA53 KA55 KA68 MA14 QA04 SA14 TA01 TA03 5J091 AA01 AA21 AA41 CA21 CA36 CA54 CA57 CA92 FA20 HA09 HA25 HA29 HA33 KA00 KA12 KA13 KA15 KA16 KA29 KA46 KA53 KA55 KA68 MA14 QA04 SA14 TA01 TA03 5J092 AA01 AA21 AA41 CA21 CA36 CA54 CA57 CA92 FA20 HA09 HA25 HA29 HA33 KA00 KA12 KA13 KA15 KA16 KA29 KA46 KA53 KA55 KA68 MA14 QA04 SA14 TA01 TA03

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】進行波合成分配回路を使用した高周波電力
    増幅器において、前記進行波合成分配回路を介して構成
    される全ての閉ループに対し、ループ発振及び自己発振
    の阻止機能を有する発振阻止回路を少なくとも1個設け
    たことを特徴とする高周波電力増幅器。
  2. 【請求項2】前記発振阻止回路は、ループ発振周波数と
    自己発振周波数において通過減衰量がそれぞれ大となる
    2つの谷状の通過減衰特性を有する低周波阻止フィルタ
    からなる請求項1記載の高周波電力増幅器。
  3. 【請求項3】前記低周波阻止フィルタは、進行波分配回
    路を使用し分割された高周波信号線路の各々に直列に挿
    入したコンデンサと、該コンデンサと並列にインダクタ
    と抵抗の直列回路とを接続してなる請求項2記載の高周
    波電力増幅器。
  4. 【請求項4】前記低周波阻止フィルタは、進行波分配回
    路を使用し分割された高周波信号線路の各々に直列に挿
    入したコンデンサと、該コンデンサと並列にインダクタ
    と抵抗とインダクタの直列回路とを接続してなる請求項
    2記載の高周波電力増幅器。
  5. 【請求項5】前記低周波阻止フィルタを構成するコンデ
    ンサとインダクタによる並列共振周波数を、前記進行波
    合成分配回路を介して構成される閉ループのループ発振
    が起こりうる周波数に設定し、且つコンデンサと並列に
    設けられたインダクタと抵抗との直列回路インピーダン
    スが純抵抗に近づくように設定してなる請求項3または
    請求項4に記載の高周波電力増幅器。
  6. 【請求項6】請求項3乃至5のいずれか1項に記載の低
    周波阻止フィルタをデバイスの内部整合回路と兼用した
    ことを特徴とする高周波電力増幅器。
  7. 【請求項7】ベースバンド信号処理装置から供給される
    信号を搬送周波数に変換する変復調装置と、送信電力の
    増幅を行う線形補償電力増幅器及び受信信号を増幅する
    低雑音増幅器を有する送受信信号増幅装置と、電力増幅
    され高周波ケーブルを介して送られてきた送信信号を電
    波として発射するアンテナとからなる移動体通信用基地
    局において、前記線形補償電力増幅器をフィードフォワ
    ード型電力増幅器で構成し、該フィードフォワード型電
    力増幅器内の主電力増幅回路に前記請求項1〜6のいず
    れか1項に記載の高周波電力増幅器を用いたことを特徴
    とする移動体通信用基地局。
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