JP2002030439A - ダイヤモンド膜合成装置及びダイヤモンド膜合成方法 - Google Patents

ダイヤモンド膜合成装置及びダイヤモンド膜合成方法

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JP2002030439A
JP2002030439A JP2000217342A JP2000217342A JP2002030439A JP 2002030439 A JP2002030439 A JP 2002030439A JP 2000217342 A JP2000217342 A JP 2000217342A JP 2000217342 A JP2000217342 A JP 2000217342A JP 2002030439 A JP2002030439 A JP 2002030439A
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temperature
diamond film
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hydrocarbon gas
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Takayasu Kawamura
貴保 川村
Junya Shimizu
順也 清水
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Meidensha Corp
Meidensha Electric Manufacturing Co Ltd
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Meidensha Corp
Meidensha Electric Manufacturing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ダイヤモンド膜の膜質の向上を図る。 【解決手段】 サセプタ31に棒状の金属基板32が挿
入される複数個の凹部33を設け、かつその凹部33の
深さを金属基板32の高さに応じて、金属基板32の上
部が凹部33から僅かに露出するように形成する。この
ようにサセプタ31の凹部33に金属基板32を挿入す
るようにすれば、金属基板32の高さが低い場合と等価
にできるようになるから、マイクロ波プラズマCVD法
ダイヤモンド成膜装置を用いて高さのある棒状の金属基
板32に理想的なダイヤモンド成膜が形成できるように
なる。なお、金属基板32の高さがさらに高くなる場合
には、サセプタ31に透孔34を穿設して、その透孔3
4に金属基板32aを挿入するようにしても良い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、マイクロ波プラ
ズマCVD法を用いて、炭化水素からダイヤモンドまた
はダイヤモンドライクカーボンを金属基板表面に合成す
るダイヤモンド膜合成装置及びその方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】硼素などをドープした導電性ダイヤモン
ドは、電気化学分野における電極材料として、(1)水
溶液中での電位窓が広い、(2)残余電流密度が非常に
小さい、(3)物理的・化学的安定性、耐久性に優れる
などの特徴があり(野津、八木、藤嶋「機能性ダイヤモ
ンド薄膜の電気化学的応用」電気化学、p389、67、No.
4(1999))、分析機器用電極やセンサとしての実用化が
期待されている。
【0003】また、ダイヤモンドは、負性電子親和力を
有することから、電子エミッタの材料としても注目を集
めている(八田、伊藤、平木「半導体ダイヤモンド薄膜
を用いた電子エミッタ」T.IEE Japan,p233,Vol.117-A,
No.(1997))。
【0004】ダイヤモンドを合成する方法としては、プ
ラズマCVD法が広く用いられている。この方法は、原
材料となる炭化水素ガスを水素で希釈し、これをマイク
ロ波や高周波を用い、減圧下でプラズマ化して基板上
(基板としては、一般にシリコンなどの半導体材料やモ
リブデン、タングステンなどの金属材料が用いられる)
に析出させる方法である(特開昭58−110494号
公報)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】図9は、一般に用いら
れているマイクロ波プラズマCVD法ダイヤモンド成膜
装置の概略構成図で、この装置を用いて基板にダイヤモ
ンドを成膜する方法を以下に説明する。図9において、
周波数2.45GHzのマイクロ波発振器20からの出力電力
を導波管21、マイクロ波整合装置19および導波管2
2を経由して反応室1に導く。反応室1と導波管22
は、マイクロ波導入窓10により仕切られており、反応
室1には、ガス導入口11、12から水素ガスおよびダ
イヤモンドの原料となる炭化水素ガスがストップバルブ
13、14およびマスフローコントローラ15、16を
介して導入される。なお、反応室1の内部圧力は一定圧
力に保持するために、真空排気装置18により一定流量
で排気される。
【0006】反応室1に導入されたガスは、マイクロ波
によりプラズマ化7され、サセプタ支持台2に設けられ
たサセプタ3の上面に載せた基板4の表面にダイヤモン
ド膜が形成される。ダイヤモンド膜は、基板4の温度が
600℃〜1200℃で形成されるが、形成されたダイヤモン
ドの膜質は、成膜時の基板4の温度に大きく左右され
る。基板4の温度は、加熱又は冷却制御部17により制
御される。なお、図中、5は加熱ヒータ部又は冷却水通
路部、6は熱電対、8は反応室覗き窓、9は赤外線温度
計である。
【0007】次に、上記マイクロ波プラズマCVD法に
よるダイヤモンド成膜手順のフローチャートを図10に
より述べる。図10において、基板4を反応室1内のサ
セプタ3にセット(S1)した後、反応室1を真空排気
装置18により真空排気(S2)し、水素ガスを流し
(S3)、反応室1内の真空度が数百Pa程度になるよう
に設定する。
【0008】ここで、マイクロ波の電源を投入し(S
4)、プラズマが着火するようサセプタ3の位置を調整
したマイクロ波整合装置19のチューニングを行う(S
5、S6)。プラズマを安定な状態で高密度化する目的
で、少しずつ水素ガス流量を増加(真空度を低下)(S
7)させて、マイクロ波出力を上昇させ(S8)、チュ
ーニングを繰り返し行い(S9)、目的とする真空度
(数千Pa〜数万Pa),マイクロ波出力(数kW)に到達さ
せる(S10)。
【0009】その後、炭化水素ガスを導入(S11)し
てダイヤモンドの成膜を開始し、最終的なチューニング
(S12)を行い、ヒータまたは冷却水により成膜温度
の調整を実施する(S13)。
【0010】上記のようなダイヤモンド成膜手順を行う
と、基板温度はマイクロ波出力の上昇とともに、徐々に
上昇してくるが、炭化水素ガスを導入し、炭素プラズマ
が発生した時点で急激な温度上昇が伴う。炭素プラズマ
発生時が、ダイヤモンドの成膜が開始される時であり、
成膜が開始されてから温度調整に入るまでの期間は、膜
質の悪いダイヤモンド膜が形成される可能性がある。こ
の基板表面に最初に成膜される膜質は、後から上に形成
される膜質にも影響を及ぼすため、再現性よくダイヤモ
ンド膜を得ることは困難であった。
【0011】図11は上記ダイヤモンド成膜装置を用い
て成膜したダイヤモンド膜のレーザラマンススペクトル
で、(a)は成膜温度が800℃のときのスペクトル、
(b)は成膜温度が1000℃のときのスペクトルである。
【0012】上記図11の(b)に示す成膜温度1000℃
の場合には、結晶性のダイヤモンド特有のsp3に関する
ピーク(1330cm-1)を示すが、成膜温度800℃の場合に
は、より低い領域にブロードの波形が現れ、アモルファ
ス状になっていることが分かる。
【0013】また、成膜されたダイヤモンドを電子顕微
鏡で観察すると、成膜温度1000℃のダイヤモンド膜は、
結晶粒径10μm程度の大きさで基板表面全面に均一に形
成されているが、成膜温度1200℃を越えると結晶粒径が
粗大化し、局部的にしかダイヤモンド膜が形成されな
い。従って、電気化学の電極用として要求される、均質
な結晶性ダイヤモンド膜が、成膜できる温度範囲は、95
0℃〜1050℃の範囲内に限定される。
【0014】マイクロ波プラズマCVD法を用いたダイ
ヤモンド成膜温度は、プラズマからの加熱とヒータ(ま
たは冷却水)などによる外部からの加熱(または冷却)
で決定される。このうちプラズマによる加熱は、(a)
マイクロ波出力、(b)ガス種、(c)基板、サセプタ
形状、(d)プラズマ−基板間の距離などにより変化す
るため、成膜温度に影響を与える因子が多く、再現性の
ある成膜を行うことは難しかった。
【0015】特に、電気化学の電極用途など棒状の金属
基板にダイヤモンド膜を成膜する場合には、図12に示
すフラットサセプタ3に棒状の金属基板4を図示のよう
に配設するために、金属基板4の高さが高いほど、言い
換えれば、サセプタ3の表面から離れる程、金属基板4
の先端部でプラズマの集中を起こし易い。例えば、図1
3(b)に示す棒状の金属基板の厚みtが厚くなる従っ
て同一成膜条件下においても、同図(a)に示すように
急激な温度上昇が起こるため、棒状の金属基板に理想的
なダイヤモンド膜を得ることが困難であった。
【0016】この発明は上記の事情に鑑みてなされたも
ので、ダイヤモンド膜の膜質の向上を図るとともに、設
定した温度勾配で徐冷してダイヤモンド膜の密着を良好
にできるダイヤモンド膜合成装置及びその方法を提供す
ることを課題とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】この発明は、上記の課題
を達成するために、第1発明は、反応室内に配設された
サセプタに基板を保持させ、前記反応室を真空排気して
水素ガスを導入し、導入された水素ガスをマイクロ波に
よりプラズマ化してプラズマを安定な状態に保持してか
ら炭化水素ガスを導入して前記基板にダイヤモンド膜を
形成するマイクロ波プラズマCVD法を用いたダイヤモ
ンド膜合成装置において、ダイヤモンド膜が形成される
前記基板形状に応じて、前記サセプタに凹部又は孔を設
け、その部位にて基板を保持する際に、サセプタから基
板が露出する部分を少なくしてプラズマの集中を抑制し
て基板にダイヤモンド膜を形成することを特徴とするも
のである。
【0018】第2発明は、反応室内に配設されたサセプ
タに基板を保持させて、前記反応室を真空排気した後、
前記反応室に水素ガスを導入し、しかる後に導入された
水素ガスをマイクロ波によりプラズマ化してプラズマを
安定な状態に保持した後、前記反応室内に炭化水素ガス
を導入して前記基板にダイヤモンド膜の成膜を開始する
マイクロ波プラズマCVD法を用いたダイヤモンド膜合
成方法において、前記反応室内に炭化水素ガスを導入す
る前に、前記基板のダイヤモンド成膜温度を調整する手
順を行ったことを特徴とするものである。
【0019】第3発明は、前記ダイヤモンド成膜温度調
整手順が、炭化水素ガス導入後の基板温度を予め予測
し、その予測温度が目標成膜温度に等しくなった後に、
炭化水素ガスを反応室内に導入し、しかる後に再び基板
温度を計測し、計測温度が目標成膜温度に等しくなった
ならダイヤモンド成膜を終了するようにしたことを特徴
とするものである。
【0020】第4発明は、ダイヤモンド成膜終了後に炭
化水素ガス供給停止による基板温度の低下を予測すると
ともに、マイクロ波出力電力停止による基板温度の低下
を予測し、前記予測による基板温度の冷却速度が設定値
と等しくなるような制御手順を用いたことを特徴とする
ものである。
【0021】第5発明は、前記基板温度の冷却速度が、
600℃/Hr以下であることを特徴とするものである。
【0022】
【発明の実施の形態】以下この発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。図1(a)、(b)はこの発明の
実施の第1形態を示す概略構成図で、図1(a)は、サ
セプタ31である。このサセプタ31に棒状の金属基板
32が挿入される複数個の凹部33を設け、かつその凹
部33の深さを金属基板32の高さに応じて、金属基板
32の上部が凹部33から僅かに露出するように形成す
る。このようにサセプタ31の凹部33に金属基板32
を挿入するようにすれば、金属基板32の高さが低い場
合と等価にできるようになるから、図9に示すマイクロ
波プラズマCVD法ダイヤモンド成膜装置を用いて図1
0に示す手順により高さのある金属基板32に理想的な
ダイヤモンド成膜が形成できるようになる。
【0023】なお、金属基板32の高さがさらに高くな
る場合には、図1(b)に示すようにサセプタ31に透
孔34を穿設して、その透孔34に金属基板32aを挿
入するようにしても良い。
【0024】図2はこの発明の実施の第2形態の手順を
示すフローチャートで、図10に示すフローチャートと
同一部分には同一ステップの符号を付して示す。図2に
示す第2形態は、ステップS1からステップS10まで
の手順は図10と同じで、ステップS10までの手順を
行うと、基板温度がマイクロ波出力ととともに徐々に上
昇して来て、このときに、炭化水素ガスを導入すると炭
素プラズマが発生した時点で基板温度が急激な温度上昇
を伴って膜質の悪いダイヤモンド膜が成膜されるのを防
止するようにしたものである。これには、予め炭化水素
ガスを導入することによる基板温度の温度上昇を見込ん
でステップS21で図3に示す成膜温度調整プログラム
(成膜温度調整手順)を作動させる。
【0025】図3の成膜温度調整プログラムを作動させ
ると、まず炭化水素ガス導入前の基板温度をステップS
22で、赤外線温度計を用いて計測する。このとき、炭
化水素ガスを導入する前に、予めヒータまたは冷却水に
より基板温度の温度調整を実施する。その後、ステップ
S23で、炭化水素ガス導入後の基板温度(T1)を予
測する。この予測温度(T1)は、データベース成膜条
件と炭化水素ガス導入後の温度上昇である。前記予測温
度(T1)が目標成膜温度(T)とほぼ等しいかをステ
ップS24で判断し、等しくないとき(NO)はステッ
プS25を介してステップS22の処理に戻る。ステッ
プS24で、予測温度(T1)が目標成膜温度(T)と
ほぼ等しいと判断したとき(YES)には、成膜開始の
ために、炭化水素ガスを導入し(ステップS11)、ス
テップS12でチューニングを行う。
【0026】その後、基板温度(T2)を赤外線温度計
によりステップS26で計測し、目標成膜温度(T)が
基板温度(T2)とほぼ等しいかをステップS27で判
断し、等しくない(NO)ときには、ステップS28を
介してステップS26の処理に戻る。一方、ステップS
26で、基板温度(T2)が目標成膜温度(T)とほぼ
等しいと判断したとき(YES)には、成膜時間終了を
ステップS29で判断させ、YESなら成膜温度調整プ
ログラムを終了し、NOならステップS26の処理に戻
る。
【0027】上記のように、炭化水素ガスを導入する前
に、ヒータまたは冷却水により基板の温度調整を行っ
て、基板予測温度が目標成膜温度とほぼ等しかったなら
炭化水素ガス導入後、チューニングを行って基板温度が
目標成膜温度になったなら直ちに成膜する。
【0028】次に第2形態における具体的な成膜手順を
述べる。まず、炭化水素ガス導入前後の基板温度の時間
的変化を記録し、この記録データを基に成膜開始時より
最適な成膜温度が保持できるように、ヒータの電力また
は冷却水の流量を自動調整する機構を設ける。例えば、
マイクロ波の出力電力が1kW程度であれば、炭化水素ガ
ス導入後も基板温度は最適成膜温度以下となるため、ヒ
ータを作動させて成膜温度を最適値に速く近づける。
【0029】逆にマイクロ波の出力電力が5kW以上にな
る場合には、炭化水素ガス導入前より基板温度は上昇し
ているので、冷却水を流して、炭化水素ガス導入時の温
度上昇を抑制して成膜温度を最適値に近づける。もちろ
ん、ヒータの電力などに対する基板温度の応答速度を考
慮して、電力を制御するプログラムを組めばより速い応
答が期待できる。
【0030】また、炭化水素ガスを導入してダイヤモン
ド成膜を開始し、基板温度が一定になった後は、赤外線
温度計を用いて、基板温度を計測し、ヒータ電力などに
フィードバックする機構を作動させてもよい。
【0031】図4は、上記第2形態を用いてMo基板に
ダイヤモンド膜を約1μm成膜したサンプルのレーザラ
マンスペクトルで、図4(a)は従来法により成膜した
サンプルには、アモルファス成分(1200cm-1付近に現れ
るブロードのピーク)やカーボン成分(1550cm-1に現れ
るsp2に関するピーク)が混在している。しかし、第2
形態により成膜した場合には、成膜初期から結晶性ダイ
ヤモンド固有のsp3に関するピークのみから成ってお
り、良質のダイヤモンド薄膜が得られる。これは、第2
形態では、ダイヤモンド成膜初期の温度制御が可能にな
るためである。
【0032】ダイヤモンド成膜を終了する場合には、図
5に示す制御手順を取る。図5において、ステップS3
1で炭化水素ガスの供給を停止する。その後、ステップ
S32でマイクロ波出力をオフしてから、ステップS3
3で温度調節器をオフすると、基板温度が急激に低下し
始め、基板冷却が終了する(ステップS34)。
【0033】特に、基板材料として金属などを用いた場
合には、成膜したダイヤモンド膜との熱膨張係数の差が
大きくなるため、冷却過程で成膜されたダイヤモンドと
の界面に熱歪みが発生し、結果としてダイヤモンド膜の
基板への密着強度を低下させたり、ひどい場合には、成
膜したダイヤモンド膜が剥離するという問題が起こる恐
れがある。これを解決するために、炭化水素ガスを止め
た後、基板温度を徐冷できるよう、ヒータの電力や冷却
水流量を調整するようにすればよい。以下この調整方法
の実施の形態を述べる。
【0034】図6はこの発明の実施の第3形態の制御手
順を示すフローチャートで、この第3形態は、炭化水素
ガスの供給を停止することによる温度低下とマイクロ波
電源をオフにすることによる温度低下の両方を、ヒータ
の電力や冷却水流量の調整により設定した冷却速度で徐
冷する方法である。図6において、ステップS41で炭
化水素ガスの供給を停止する。この停止による基板温度
低下を補償するためのヒータ電力(冷却水流量)を算出
してステップS42で基板温度低下を補償する。その
後、基板温度をステップS43で計測する(温度T3
時刻t3)。この計測の結果からステップS44でヒー
タ電力を小さく、冷却水流量を大きくし、しかる後、ス
テップS45で再び、基板温度を計測する(温度T4
時刻t4)。
【0035】基板温度計測後、冷却速度(|(T3-T4)/(t
3-t4)|)が設定値とほぼ等しいかをステップS46で
判断し、冷却速度が設定値と等しい(YES)ならステ
ップS47で温度T4がマイクロ波出力のみによる到達
基板温度T5より大きいかを判断する。ステップS47
の判断の結果T4<T5なら(NO)、ステップS48で
マイクロ波電源をオフする。
【0036】マイクロ波電源オフによる温度低下を補償
するためのヒータ電力を算出してステップS49で基板
温度低下を補償する。その後、ステップS50で基板温
度計測(温度T6、時刻t6)を行い、ステップS51で
ヒータ電力を小さくし、冷却水流量を大きくして、ステ
ップS52で再び基板温度を計測する(温度T7、時刻
7)。
【0037】基板温度計測後、ステップS53で冷却速
度(|(T6-T7)/(t6-t7)|)が設定値とほぼ等しいかを
判断し、冷却速度が設定値と等しい(YES)ならステ
ップS54で温度T7が徐冷終了温度T8より大きいかを
判断する。この判断の結果(NO)ならステップS55
でヒータ電源をオフし、冷却水の供給を停止して基板冷
却を終了する。
【0038】ステップS54の判断の結果(YES)な
らステップS56を介してステップS51の処理から始
める。また、ステップS53の判断の結果(NO)なら
ステップS57、S58を介してステップS52の処理
から始める。なお、ステップS57の処理は、|(T6-
T7)/(t6-t7)|>設定値ならヒータ電力を大きくし、冷
却水流量を小さくするとともに、|(T6-T7)/(t6-t7)|
<設定値ならヒータ電力を小さくし、冷却水流量を大き
くするもので、この処理のちステップS58で温度T6
=T7,時刻t6=t7になったときに、ステップS52
の処理から再び始める。
【0039】また、ステップS46の処理で(NO)な
らステップS59、S60を介してステップS45の処
理に戻る。ここでステップS59の処理は、|(T3-T4)/
(t3-t4)|>設定値ならヒータ電力を大きくし、冷却水
流量を小さくするとともに、|(T3-T4)/(t3-t4)|<設
定値ならヒータ電力を小さくし、冷却水流量を大きくす
るもので、この処理のちステップS60で温度T3
4,時刻t3=t4になったときに、ステップS45の
処理に戻る。さらに、ステップS47の処理で(YE
S)ならステップS61の処理を介してステップS44
の処理に戻る。
【0040】上記のように第3形態は、炭化水素ガスの
導入を停止することによる温度低下とマイクロ波電源を
オフにすることによる温度低下の両方を、ヒータの電力
や冷却水流量の調整により設定した冷却速度で基板を徐
冷する方法である。
【0041】図7はこの発明の実施の第4形態の制御手
順を示すフローチャートで、この第4形態の処理と第3
形態の処理と同一処理には同一符号を付して説明する。
図7において、ステップS41からステップS47の処
理は第3形態と同一処理であり、ステップS47の判断
結果が(NO)ならステップS50の処理で基板温度の
計測を行う。その後、ステップS62でマイクロ波出力
を低減し、ステップS63でチューニングを行ってステ
ップS52で基板温度を計測処理する。
【0042】基板温度計測後、基板温度の冷却速度が設
定値とほぼ等しいかをステップS53で判断し、(YE
S)なら基板温度が徐冷終了温度T8より大きいかをス
テップS54で判断し、(NO)ならステップS48で
マイクロ波電源をオフし、しかる後、ステップS55で
ヒータ電源をオフして、冷却水の供給を停止し、基板冷
却を終了する。
【0043】上記のように第4形態は、炭化水素ガスの
導入を停止することによる温度低下に対して、ヒータの
電力や冷却水量の調整で冷却速度を設定値に合わせ、そ
の後は、マイクロ波の出力を徐々に低減して基板を徐冷
する方法である。
【0044】図8は、上記第3形態と第4形態を用いて
直径2mmφのMo基板に1000℃でダイヤモンドを約10μm
成膜し、その後ほぼ一定の冷却速度で冷却したサンプル
に対して、テープによる引き剥がしテストを実施した結
果を示す特性図である。この特性図から冷却速度が600
℃/Hr以上と高い場合には、ダイヤモンドの剥離が著し
くなって密着不良率も高くなるが、600℃/Hr以下の冷
却速度では密着不良率は20%以下、300℃/Hr以下では5
%以下に改善できる。特に、テープによる密着強度試験
の結果300℃/Hr以下の冷却速度が好ましいことが判明
した。
【0045】これは、ダイヤモンド膜を成膜した後、設
定した温度勾配で徐冷するようにしたために、ダイヤモ
ンドと熱膨張係数の差が大きい金属基板に対しても密着
度が良好になったためである。
【0046】なお、第3形態と第4形態とを比較する
と、第3形態の方が全てヒータの電力制御(または冷却
水流量の制御)になるため、制御方法は簡単になるが、
ヒータの温度制御範囲が大きくなり、大容量のヒータが
必要になる。また、第4形態では、昇温時のマイクロ波
による温度上昇分は降温時にマイクロ波出力を下げるこ
とで対応できヒータ容量は小さくて良くなる。従って、
装置容量に応じて、第3、第4形態の有利な方式を採用
することが好ましい。
【0047】
【発明の効果】以上述べたように、この発明によれば、
棒状の基板にダイヤモンドを成膜する際のプラズマの集
中を抑制し、成膜時の基板温度の制御を容易にしてダイ
ヤモンド膜を電極として使用する際の電極歩留まりやダ
イヤモンド膜の膜質の向上を図ることができるようにし
た。
【0048】また、ダイヤモンド成膜初期の温度制御が
可能になるため、良質のダイヤモンド膜を得ることがで
き、さらにダイヤモンド成膜後、設定した温度勾配で徐
冷することができるようになるため、ダイヤモンドとの
熱膨張係数の差が大きい金属基板に対しても密着度の良
好なダイヤモンド膜が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の第1形態を示す概略構成図。
【図2】この発明の実施の第2形態の手順を示すフロー
チャート。
【図3】第2形態の成膜温度調整手順の詳細を示すフロ
ーチャート。
【図4】Mo基板にダイヤモンド膜を成膜したサンプル
のレーザラマンスペクトルで、(a)は従来法によるサ
ンプル、(b)は第2形態による方法のサンプル。
【図5】ダイヤモンド成膜の終了方法のフローチャー
ト。
【図6】この発明の実施の第3形態の制御手順を示すフ
ローチャート。
【図7】この発明の実施の第4形態の制御手順を示すフ
ローチャート。
【図8】ダイヤモンド成膜後の冷却速度と密着不良率と
の特性図。
【図9】マイクロ波CVD法によるダイヤモンド成膜装
置の概略構成図。
【図10】一般的なマイクロ波プラズマCVD法による
ダイヤモンド成膜手順のフローチャート。
【図11】(a),(b)は800℃および1000℃で成膜
したダイヤモンド膜のレーザラマンスペクトル。
【図12】フラットサセプタを示す概略構成図。
【図13】棒状基板の高さとダイヤモンド成膜温度の関
係を示す特性図。
【符号の説明】
1…反応室 4…基板 5…加熱ヒータ部又は冷却水通路部 6…熱電対 7…プラズマ 8…反応室覗き窓 9…赤外線温度計 10…マイクロ波導入窓 11…キャリアガス(水素)導入口 12…原料ガス(炭化水素)導入口 17…加熱又は冷却制御部 18…真空排気装置 19…マイクロ波整合装置 20…マイクロ波発振器 3、31…サセプタ 32、32a…棒状の基板 33…凹部 34…透孔
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4G077 AA03 BA03 DB19 ED06 EG03 HA05 HA20 4K030 AA09 AA17 BA28 FA01 JA10 JA12 KA26

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 反応室内に配設されたサセプタに基板を
    保持させ、前記反応室を真空排気して水素ガスを導入
    し、導入された水素ガスをマイクロ波によりプラズマ化
    してプラズマを安定な状態に保持してから炭化水素ガス
    を導入して前記基板にダイヤモンド膜を形成するマイク
    ロ波プラズマCVD法を用いたダイヤモンド膜合成装置
    において、 ダイヤモンド膜が形成される前記基板形状に応じて、前
    記サセプタに凹部又は孔を設け、その部位にて基板を保
    持する際に、サセプタから基板が露出する部分を少なく
    してプラズマの集中を抑制して基板にダイヤモンド膜を
    形成することを特徴とするダイヤモンド膜合成装置。
  2. 【請求項2】 反応室内に配設されたサセプタに基板を
    保持させて、前記反応室を真空排気した後、前記反応室
    に水素ガスを導入し、しかる後に導入された水素ガスを
    マイクロ波によりプラズマ化してプラズマを安定な状態
    に保持した後、前記反応室内に炭化水素ガスを導入して
    前記基板にダイヤモンド膜の成膜を開始するマイクロ波
    プラズマCVD法を用いたダイヤモンド膜合成方法にお
    いて、 前記反応室内に炭化水素ガスを導入する前に、前記基板
    のダイヤモンド成膜温度を調整する手順を行ったことを
    特徴とするダイヤモンド膜合成方法。
  3. 【請求項3】 前記ダイヤモンド成膜温度調整手順は、
    炭化水素ガス導入後の基板温度を予め予測し、その予測
    温度が目標成膜温度に等しくなった後に、炭化水素ガス
    を反応室内に導入し、しかる後に再び基板温度を計測
    し、計測温度が目標成膜温度に等しくなったならダイヤ
    モンド成膜を終了するようにしたことを特徴とする請求
    項2記載のダイヤモンド膜合成方法。
  4. 【請求項4】 ダイヤモンド成膜終了後に炭化水素ガス
    供給停止による基板温度の低下を予測するとともに、マ
    イクロ波出力電力停止による基板温度の低下を予測し、
    前記予測による基板温度の冷却速度が設定値と等しくな
    るような制御手順を用いたことを特徴とする請求項2、
    3記載のダイヤモンド膜合成方法。
  5. 【請求項5】 前記基板温度の冷却速度が、600℃/Hr
    以下であることを特徴とする請求項4記載のダイヤモン
    ド膜合成方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2007102444A1 (en) * 2006-03-07 2007-09-13 Ebara Corporation Method for production of diamond electrodes

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