JP2002030379A - 高歪負荷状態での耐延性破壊特性に優れた鋼材およびその製造方法 - Google Patents

高歪負荷状態での耐延性破壊特性に優れた鋼材およびその製造方法

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JP2002030379A
JP2002030379A JP2000273788A JP2000273788A JP2002030379A JP 2002030379 A JP2002030379 A JP 2002030379A JP 2000273788 A JP2000273788 A JP 2000273788A JP 2000273788 A JP2000273788 A JP 2000273788A JP 2002030379 A JP2002030379 A JP 2002030379A
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steel
steel material
fracture resistance
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ductile fracture
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English (en)
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博幸 ▲角▼
Hiroyuki Sumi
Masayoshi Kurihara
正好 栗原
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JFE Engineering Corp
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NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 この発明は、大地震等、高歪負荷状態での耐
延性破壊特性に優れた鋼材およびその製造方法を提供す
る。 【解決手段】 鋼組成として、質量%で、C:0.03
〜0.25%、Si:0.01〜1.0%、Mn:0.
5〜2.0%、Cu,Ni,Cr,Mo,V,Nb,T
iの一種または二種以上を含有し、残部がFe及び不可
避不純物からなる鋼を、熱間圧延後、2相域より加速冷
却し、面積分率で20〜90%のフェライトを有する金
属組織で、公称応力ー公称歪み曲線における降伏後の降
伏棚が1%以上、且つ公称応力が最大となる公称歪み
(εu)から求めた加工硬化指数(n)を0.15以上
とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、建築土木分野に
おける各種構造物に用いられる鋼材に関し、特に、大規
模な地震で発生する大変形、すなわち負荷歪みが4%を
超えるような高歪み負荷状態での耐延性破壊特性に優れ
た鋼材およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】1995年の阪神大震災では、鉄骨建築
物を始め多くの鋼構造物が崩壊し、甚大な被害がもたら
された。被災建造物の中には、鉄骨建築物の柱梁接合部
や門型橋梁の隅角部等の形状不連続部(応力集中部)に
おいて、延性亀裂が発生・進展した後に脆性破壊が生じ
た例が報告されている。
【0003】このような破壊は、地震による繰り返し変
形の結果、延性亀裂が発生し、脆性破壊をもたらしたも
のであり、繰り返し変形下での累積歪み量は最大で十数
%程度となっていることが詳細な調査の結果、明らかと
なった。
【0004】このような破壊形態が認められたことよ
り、構造物の耐震性に必要な鋼材特性として、繰り返し
変形を受けた後の塑性変形能や延性亀裂発生・進展挙動
が注目されるようになり、特開平10−265844号
公報では繰り返し変形を受けても硬化せず、低YRを維
持する鋼材が、特開平10−204570号公報等で
は、繰り返し変形下で応力集中部から発生した延性亀裂
の進展抵抗が高い鋼材が提案されている。
【0005】これらの先行技術では、繰り返し引張圧縮
負荷変形の歪み範囲をΔε=±2%、±1%として、繰
り返し変形下での耐破壊性能の向上を提案している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、最近の
研究によれば、阪神大震災を超える規模の大規模地震も
想定され、一回の負荷過程で歪み量が4%を超える非常
に大きな変形を受ける高歪み大変形負荷が鋼構造物に付
与される可能性の高いことが指摘されるようになった。
【0007】上述したように、特開平10−26584
4号公報、特開平10−204570号公報に開示され
ている鋼材は、累積歪み量はある大きさとなるものの各
繰り返し負荷過程における歪み量はそれほど大きいもの
ではない。また、歪み量が4%を超える高歪み大変形負
荷における破壊形態は、脆性破壊よりも終局的破壊であ
る延性破壊によるものとされている。
【0008】そこで、本発明は、大規模な地震等の場合
で想定される大変形状態下、すなわち、負荷歪みが4%
を超えるような高歪み負荷状態での耐延性破壊特性に優
れた鋼およびその製造方法を提供することを目的とす
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、欠陥を有
する鋼材が高歪み引張負荷を受ける場合の終局的破壊特
性について鋭意研究を重ねた。その結果、欠陥を有する
鋼材の終局的破壊特性は引張試験で得られる公称応力ー
公称歪み曲線と密接な関係があり、引張強さが等しい場
合でも、降伏棚が大きく且つ加工硬化指数(n)の大き
いものは、両者の複合効果として終局破壊までの限界負
荷歪みが大きく、大変形状態での耐延性破壊特性に優れ
ていること、および更に、金属組織としてフェライトの
面積分率を一定範囲内に規制した場合、そのような特性
が得られることを見出した。
【0010】本発明はこれらの知見を基に更に検討を加
えてなされたものである。
【0011】すなわち、本発明は、 1.公称応力ー公称歪み曲線における降伏後の降伏棚が
1%以上で、且つ公称応力が最大となる公称歪み(ε
u)から求めた加工硬化指数(n)が0.15以上であ
ることを特徴とする高歪負荷状態での耐延性破壊特性に
優れた鋼材。
【0012】但し、n=ln(1+εu)とする。
【0013】2.質量%で、C:0.03〜0.25
%、Si:0.01〜1.0%、Mn:0.5〜2.0
%を含有し、残部が実質的にFe及び不可避不純物から
なり、金属組織が面積分率で20〜90%のフェライト
を有することを特徴とする1記載の高歪負荷状態での耐
延性破壊特性に優れた鋼材。
【0014】3.鋼組成として、更に、Cu:0.05
〜0.5%、Ni:0.05〜0.5%、Cr:0.0
5〜0.5%、Mo:0.05〜0.5%、の一種また
は二種以上を含有する2記載の高歪負荷状態での耐延性
破壊特性に優れた鋼材。
【0015】4.鋼組成として、更に、V:0.005
〜0.1%、Nb:0.005〜0.1%、Ti:0.
005〜0.1%の一種または二種以上を含有する2ま
たは3記載の高歪負荷状態での耐延性破壊特性に優れた
鋼材。
【0016】5.2乃至4に記載の組成を有する鋼を、
1000〜1200℃に加熱し、熱間圧延後、2℃/s
未満の冷却速度で冷却することを特徴とする高歪負荷状
態での耐延性破壊特性に優れた鋼材の製造方法。
【0017】6.2乃至4に記載の組成を有する鋼を、
1000〜1200℃に加熱後、熱間圧延し、放冷後、
(Ar3−50)〜(Ar3−150)℃より、30℃/
s未満の冷却速度で冷却することを特徴とする高歪負荷
状態での耐延性破壊特性に優れた鋼材の製造方法。
【0018】7.2乃至4に記載の組成を有する鋼を、
1000〜1200℃に加熱後、熱間圧延し、2相域に
再加熱後、50℃/s未満の冷却速度で冷却することを
特徴とする高歪負荷状態での耐延性破壊特性に優れた鋼
材の製造方法。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明では、引張試験により求め
た公称応力ー公称歪み曲線における降伏後の降伏棚が1
%以上で、且つ公称応力が最大となる公称歪み(εu)
から求めた加工硬化指数(n)が0.15以上である鋼
材を高歪負荷状態での優れた耐延性破壊特性が要求され
る鋼材に用いることを特徴とする。
【0020】公称応力ー公称歪み曲線における降伏後の
降伏棚が1%未満の場合、鋼材の変形が開始する歪み量
が小さく、十分な延性を確保することが困難となるた
め、降伏後の降伏棚は1%以上とする。
【0021】また、公称応力が最大となる公称歪み(ε
u)から求めた加工硬化指数(n)が0.15未満の場
合、欠陥近傍での歪み集中が大きくなり、変形が欠陥を
有する断面で、局在化し、延性破壊が発生しやすくなる
ため、加工硬化指数は0.15以上とする。
【0022】図1に公称応力ー公称歪み曲線を模式的に
示す。尚、引張試験の試験方法については、特に限定し
ないが、JISZ2241による金属材料の引張試験方
法により、試験片採取方向を、部材とした場合に作用す
る負荷方向と一致させることが望ましい。また、加工硬
化指数はn=ln(1+εu)により求める。
【0023】公称応力ー公称歪み曲線における降伏棚お
よび加工硬化指数が上述した規定を満足する鋼材を用
い、図2に示す表面切欠き付き試験体を作製し、引張試
験により耐延性破壊特性を評価した。
【0024】試験体は平行部の板幅が140mm,板厚
が15mmで、表面切欠きとして長さ40mm,深さ5
mmの半楕円形状のものを付与した。引張試験は常温で
行ない、破壊時の荷重およびマクロ作用歪みを測定し
た。マクロ作用歪みは切欠き部より十分に離れたP点に
添付した塑性歪みゲージにより計測した。
【0025】図3にその結果を示す。終局破壊発生時の
マクロ作用歪みは4%以上が得られ、両者の複合効果に
よる優れた耐延性破壊特性が得られた。
【0026】本発明では、上述した規定を満足する公称
応力ー公称歪み曲線の得られる鋼材であれば、その目的
とする作用効果が得られるが、以下に述べる鋼組成且つ
金属組織とした場合、特に好ましい特性が得られる。
【0027】C Cは鋼材の強度を確保するため添加する。0.03%未
満では強度が不足し、0.25%を超えると溶接性を損
ねるので、0.03〜0.25%(0.03%以上、
0.25%以下)とする。
【0028】Si Siは、鋼材の強度を確保し、製鋼過程における脱酸剤
として添加する。0.01%未満ではその効果が十分で
なく、1.0%を超えると溶接部の靭性が劣化するた
め、0.01〜1.0%とする。
【0029】Mn Mnは、鋼材の強度を確保するため添加する。0.5%
未満では強度が不足し、2.0%を超えて添加すると母
材と溶接部の靭性を劣化させ、溶接性を損ねるので、
0.5〜2.0%とする。
【0030】Cu,Ni,Cr,Moの一種または二種
以上 Cu,Ni,Cr,Moは、強度を更に向上させる場
合、一種または二種以上を添加する。各元素は添加量が
0.05%未満ではその効果が得られず、0.5%を超
えると溶接性を損ねるため、0.05%以上、0.5%
以下とする。
【0031】V,Nb,Tiの一種または二種以上 V,Nb,Tiは靭性および強度を向上させる場合、一
種または二種以上を添加する。各元素は添加量が0.0
05%未満ではその効果が十分でなく、0.1%を超え
ると溶接部の靭性劣化を招くので、0.005%以上、
0.1%以下とする。
【0032】尚、本発明では、P,S,脱酸剤として含
有されるAlを不純物として扱い、その含有量は、建
築、土木などで用いられる構造用鋼の一般的水準に規制
する。
【0033】フェライトの面積分率:20〜90% 金属組織はフェライトと他の組織からなる複合組織とす
る。フェライトを含有しない組織の場合、例えば、ベイ
ナイト単相、マルテンサイト単相組織では公称応力ー公
称歪み曲線における加工硬化指数(n)は小さく、降伏
棚も殆ど得られず、大変形状態での耐延性破壊特性が劣
化するため、フェライトを含有した複合組織とする。
【0034】フェライトの面積分率が20%未満、また
は90%を超える場合は大変形状態での耐延性破壊特性
が劣化するため、20〜90%とする。複合組織では、
フェライト以外の残部の組織として、ベイナイト、マル
テンサイト、パーライトがあるが、本発明では特に規定
せず、これらが混合した組織、また単相組織であっても
良い。
【0035】尚、上述した金属組織を得る製造方法とし
て以下の製造方法が好ましい。
【0036】1.1000〜1200℃に加熱し、熱間
圧延後、2℃/s未満の冷却速度で徐冷する。
【0037】2.1000〜1200℃に加熱後、熱間
圧延し、放冷後、(Ar3−50)〜(Ar3−150)
℃より、30℃/s未満の冷却速度で冷却する。
【0038】3.1000〜1200℃に加熱後、熱間
圧延し、2相域に再加熱後、50℃/s未満の冷却速度
で冷却する。
【0039】
【実施例】表1に示した成分の鋼を熱間圧延により、板
厚20mmの鋼板とし、鋼板の圧延方向と平行に引張試
験片を採取した。引張試験により、公称応力ー公称歪み
曲線を測定し、加工硬化指数(n値)と降伏棚を求め
た。
【0040】表2に鋼板の製造条件および引張、表面切
欠き付き引張試験の結果を示す。鋼板の製造条件とし
て、圧延後の加速冷却の場合、鋼組成によっては、降伏
棚、加工硬化指数に関する本発明の規定を満足しない場
合もあり(実施例A−3、E−1が比較例,B−2が本
発明例)、好ましくない。
【0041】同様に、実施例C−2、D−2の製造条件
である焼入れー焼戻しも、降伏棚、加工硬化指数に関す
る本発明の規定を満足せず、好ましくない。
【0042】上述した図2に示す表面切欠き付き試験体
による引張試験の結果では、表2に示すように、降伏棚
と加工硬化指数が本発明範囲内となる実施例では、比較
例に対し、優れたマクロ作用歪みが得られた。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】
【発明の効果】本発明によれば、大規模な地震等による
大変形状態、負荷歪みが4%を超えるような高歪み負荷
状態での破壊特性に優れ、耐震性が要求される鉄骨構造
物や橋梁などの鋼構造物に適した鋼材およびその製造方
法が提供され、産業上、極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】公称応力ー公称歪曲線を模式的に示す図。
【図2】表面切欠き付き試験体の形状を示す図。
【図3】表面切欠き付き引張試験結果に及ぼす降伏棚と
加工硬化指数(n)の影響を示す図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4K032 AA04 AA05 AA11 AA15 AA16 AA19 AA22 AA23 AA31 AA35 AA36 BA01 CA02 CD02 CD03 CF02

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 公称応力ー公称歪み曲線における降伏後
    の降伏棚が1%以上で、且つ公称応力が最大となる公称
    歪み(εu)から求めた加工硬化指数(n)が0.15
    以上であることを特徴とする高歪負荷状態での耐延性破
    壊特性に優れた鋼材。但し、n=ln(1+εu)とす
    る。
  2. 【請求項2】 質量%で、C:0.03〜0.25%、
    Si:0.01〜1.0%、Mn:0.5〜2.0%を
    含有し、残部が実質的にFe及び不可避不純物からな
    り、金属組織が面積分率で20〜90%のフェライトを
    有することを特徴とする請求項1記載の高歪負荷状態で
    の耐延性破壊特性に優れた鋼材。
  3. 【請求項3】 鋼組成として、更に、Cu:0.05〜
    0.5%、Ni:0.05〜0.5%、Cr:0.05
    〜0.5%、Mo:0.05〜0.5%の一種または二
    種以上を含有する請求項2記載の高歪負荷状態での耐延
    性破壊特性に優れた鋼材。
  4. 【請求項4】 鋼組成として、更に、V:0.005〜
    0.1%、Nb:0.005〜0.1%、Ti:0.0
    05〜0.1%の一種または二種以上を含有する請求項
    2または3記載の高歪負荷状態での耐延性破壊特性に優
    れた鋼材。
  5. 【請求項5】 請求項2乃至4のいずれかに記載の組成
    を有する鋼を、1000〜1200℃に加熱し、熱間圧
    延後、2℃/s未満の冷却速度で冷却することを特徴と
    する高歪負荷状態での耐延性破壊特性に優れた鋼材の製
    造方法。
  6. 【請求項6】 請求項2乃至4のいずれかに記載の組成
    を有する鋼を、1000〜1200℃に加熱後、熱間圧
    延し、放冷後、(Ar3−50)〜(Ar3−150)℃
    より、30℃/s未満の冷却速度で冷却することを特徴
    とする高歪負荷状態での耐延性破壊特性に優れた鋼材の
    製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項2乃至4のいずれかに記載の組成
    を有する鋼を、1000〜1200℃に加熱後、熱間圧
    延し、2相域に再加熱後、50℃/s未満の冷却速度で
    冷却することを特徴とする高歪負荷状態での耐延性破壊
    特性に優れた鋼材の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2013082964A (ja) * 2011-10-07 2013-05-09 Jfe Steel Corp 耐延性亀裂進展特性に優れた溶接継手用鋼材およびその製造方法

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