JP2002030300A - コラーゲンと樹脂成分からなるハイブリッド粉末 - Google Patents

コラーゲンと樹脂成分からなるハイブリッド粉末

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 強靱で平滑な表面を有する皮革様成形品およ
び耐水性に優れた皮革様塗膜を得ることのできるコラー
ゲンと樹脂成分からなる微細なハイブリッド粉末を提供
すること。 【解決手段】 コラーゲン粗線維の側面を無触媒グラフ
ト共重合によって形成された樹脂成分で縫合するように
してコラーゲン線維束を形成し、このコラーゲン線維束
を乾燥後に粉砕することによってコラーゲンと樹脂成分
からなる微細なハイブリッド粉末を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はコラーゲンと樹脂成
分からなる皮革様成形品または皮革様塗膜用ハイブリッ
ド粉末に関し、特に、樹脂との親和性に優れたコラーゲ
ンと樹脂成分からなるハイブリッド粉末に関する。
【0002】
【従来の技術】皮革は、生物種ごとに特有の優美な外観
を呈する皮革表層を活かして古くから日用品の素材とし
て利用されており、コラーゲン線維束の交絡による柔軟
性と強靱性を併せもち、且つ耐久性と吸湿性と耐熱性と
耐寒性に優れているという特性を有している。
【0003】しかし、天然皮革は、天然繊維製品や合成
樹脂製品に比べた場合、生物から採取される皮革の部位
が異なると物性値が異なるという欠点を有し、皮革表面
に損傷があると商品価値を低下させるので、生物から採
取した皮革のすべての部分を必ずしも利用できるとは限
らないという不都合な点がある。従って、天然皮革製品
は他の素材(天然繊維製品や合成樹脂製品)に比べて高
コストの材料になる。また、天然皮革は精肉生産の過程
で産出される副産物であり、供給量に限界がある。そこ
で、天然皮革を粉末化し、この皮革粉末を樹脂材料と混
合することによって天然皮革に似せた皮革様成形品を提
供しようとする試みがある。
【0004】例えば、特開昭62−240400号公報
には、「50メッシュ(296μm)乃至250メッシ
ュ(59μm)の粒径の乾燥皮革粉と熱可塑性樹脂と顔
料とが混練加熱成形されてなる皮革様成形品において、
前記混入顔料が熱可塑性樹脂と共に成形材構成皮革粉に
結着されている皮革様成形品」が開示されている(以下
「公知技術1」という)。また、特開昭63−1131
1号公報には、「50メッシュ乃至250メッシュの粒
径の乾燥皮革粉が重量比60%以内で熱可塑性樹脂コン
パウンドに混合され、成形金属に注入されて型成形され
てなる皮革様成形品」が開示されている(以下「公知技
術2」という)。さらに、特開昭63−22864号公
報には、「50メッシュ乃至250メッシュの粒径の乾
燥皮革粉が熱可塑性樹脂コンパウンドに重量比60%以
内で混合され、押出型成形されている皮革様成形品」が
開示されている(以下「公知技術3」という)。しか
し、これらの各公報に記載された皮革様成形品は、皮革
粉末として比較的粗い(粒径の大きな)粉末が用いられ
ているので、熱可塑性樹脂に配合した場合の流動性に乏
しく、熱可塑性樹脂中に皮革粉を均一に分散させること
ができない。その結果、成形品としての強度が劣った
り、皮革様成形品に皮革特有の特性を付与することがで
きず、平滑な表面を有する成形品を得ることができな
い。
【0005】また、特開平3−195800号公報に
は、微細な皮革粉と樹脂からなる皮革様成形品を提供す
るために、「床皮から酵素の作用によって分子状コラー
ゲンを含む精製コラーゲン組織を得、このコラーゲン組
織を湿式粉砕し、湿式粉砕後のコラーゲン組織に無機物
の架橋剤を加えて架橋処理することによってコラーゲン
線維凝集体を作り、このコラーゲン線維凝集体を脱水乾
燥後に粉砕してコラーゲン粉末を得、このコラーゲン粉
末を熱可塑性樹脂と混合したものを成形することによっ
て皮革様成形品を得る方法。」が記載されている(以下
「公知技術4」という)。しかし、分子状コラーゲンを
含むコラーゲン組織を無機物の架橋剤で架橋させてコラ
ーゲン線維凝集体を得ているため耐水性に劣り、このコ
ラーゲン粉末と熱可塑性樹脂とを混合するとき、水系溶
剤中においてコラーゲン粉末が膨潤を起こしやすいの
で、皮革様塗料として用いるのに適していないという欠
点がある。
【0006】また、なめし革を加熱水蒸気により加熱、
膨潤してコラーゲン線維を膠着させて固定し、脱水乾燥
後にそのなめし革を粉砕してコラーゲン粉末を得る方法
(以下「公知技術5」という)も提案されているが、皮
革を加熱水蒸気で処理するときにコラーゲン線維のかな
りの部分がゼラチン質に変性するので、この方法で得ら
れたコラーゲン粉末と熱可塑性樹脂から皮革様水系塗料
を得られたとしても、塗料の粘度が高くなってうまく塗
布できなかったり、塗装被膜がベタツキ、塗装被膜の耐
水性が劣るという欠点がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】一般的に皮革(なめし
加工されていないものを「皮」といい、なめし加工され
ているものを「革」という)を、微細な径のものに粉砕
することは困難であって、公知技術1〜3に記載されて
いるように、従来の皮革様成形品では、比較的粗い径の
皮革粉しか得ることができなかったので、熱可塑性樹脂
中にその皮革粉を均一に分散させることができず、成形
品の強度が劣ったり、平滑な表面を有する成形品を得る
ことができなかった。また、公知技術4、5に記載され
たコラーゲン粉末から得た皮革様塗膜は耐水性に劣ると
いう欠点がある。
【0008】本発明は従来の技術の有するこのような問
題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、強靱
で平滑な表面を有する皮革様成形品および耐水性に優れ
た皮革様塗膜を得ることのできるコラーゲンと樹脂成分
からなる微細なハイブリッド粉末を提供することにあ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明は、コラーゲン粗線維の側面を無触媒グラフト
共重合によって形成された樹脂成分で縫合するようにし
てコラーゲン線維束を形成し、このコラーゲン線維束を
乾燥後に粉砕することによってコラーゲンと樹脂成分か
らなる微細なハイブリッド粉末を得ることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】すなわち、本発明は、コラーゲン
線維成分と、重量比で該コラーゲン線維成分に対して5
0〜200重量%の樹脂成分とを有するものをグラフト
共重合することによって得た重合体を乾燥後に粉砕する
ことによって得ることのできるコラーゲンと樹脂成分か
らなるハイブリッド粉末を第一の発明とし、上記第一の
発明において、ハイブリッド粉末は、40μm以下の粒
径のものが90重量%以上であって、その平均粒径が5
〜20μmであるハイブリッド粉末を第二の発明とす
る。
【0011】第一の発明によれば、コラーゲン線維をグ
ラフト共重合によって形成された樹脂成分で縫合するよ
うにしてコラーゲン線維束を形成することができるの
で、コラーゲン線維同士の絡みつきがなく、乾燥後に汎
用粉砕機で粉砕することによって、コラーゲンと樹脂成
分からなる微細なハイブリッド粉末を得ることができ
る。このハイブリッド粉末と熱可塑性樹脂および必要に
応じて添加する添加剤とを混練すると、微細なハイブリ
ッド粉末は混練物中に均一に分散し、この混練物を常法
により成形して強靱で平滑な表面を有する皮革様成形品
を得ることができる。また、上記ハイブリッド粉末と熱
可塑性樹脂または熱硬化性樹脂および必要に応じて添加
する添加剤とを混練したものを皮革上に塗布すると、耐
水性に優れた塗膜を形成することができる。
【0012】コラーゲン線維成分に対する樹脂成分の比
率がコラーゲン線維成分の50重量%未満であると、コ
ラーゲン粗線維表面はグラフト共重合されているが線維
内部はグラフト共重合されていない、いわば生コラーゲ
ン線維が存在し、この生コラーゲン線維は粉砕が困難で
あって、しかも分級困難な糸状のコラーゲンを発生させ
るという欠点がある。一方、コラーゲン線維成分に対す
る樹脂成分の比率がコラーゲン線維成分の200重量%
を超えると、すなわち、ハイブリッド粉末中のコラーゲ
ン成分の比率が低下すると、ハイブリッド粉末の重要な
特性である吸放湿能力の低下につながるという欠点があ
る。そこで、コラーゲン線維成分に対する樹脂成分の比
率は、コラーゲン線維成分の50〜200重量%とする
のが好ましい。係る樹脂成分としては、メタクリル酸メ
チルおよびメタクリル酸グリシジルモノマーとの共重合
によるグラフトポリマー、あるいはメタクリル酸メチル
およびメタクリル酸グリシジルモノマーとその他のモノ
マー、例えば、スチレン、酢酸ビニル、アクリロニトリ
ル、メタクリロニトリル、メタクリル酸ハイドロキシエ
ステル等メタクリル酸メチルと共重合しうるビニルモノ
マーとの共重合によるグラフトポリマーを使用すること
ができる。
【0013】熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチ
レン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリスチレ
ン、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリカーボネート、
スチレン−ブタジエンブロックコポリマー等の公知のも
のを使用することができる。
【0014】熱硬化性樹脂としては、例えば、ポリウレ
タン樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂等の塗料用に適し
た公知のものを使用することができる。
【0015】添加剤としては、可塑剤、安定剤、充填
剤、着色剤、溶剤、分散剤など各種のものを使用するこ
とができる。
【0016】また、ハイブリッド粉末は、40μm以下
の粒径のものが90重量%以上であれば、成形品の表面
をより平滑にしうるので好ましい。さらに、ハイブリッ
ド粉末の平均粒径が5μm未満の場合、粉砕コストが高
くなるばかりでなく、粉砕時間の増加とともにコラーゲ
ン成分の変性、着色が起こるという欠点があり、20μ
mを超えると、皮革様被膜形成において、被膜を薄膜化
することと被膜に光沢を付与することが困難になるとい
う欠点がある。そこで、ハイブリッド粉末の平均粒径
は、5〜20μmとするのが好ましい。
【0017】
【実施例】以下、本発明の各実施例を工程順に説明す
る。 1.ハイブリッド粉末の製造 (a)コラーゲン粗繊維の製造 生体皮を通常の皮革製造における石灰漬、脱毛、脱脂、
脱灰等の工程を経て、裸皮から表皮および皮下組織を除
いた真皮部分(いわゆる床皮)を直径2mmのスクリーン
を付けたミートチョッパーで粗砕した皮を1.5〜2.
5重量%の水分含有率まで乾燥し、この粗砕乾燥皮を固
定刃および回転刃から構成されるウィリー型粉砕機に投
入し、直径1mmのスクリーンを通過したコラーゲン粗線
維を得た。このコラーゲン粗線維の粒度分布は以下のと
おりである。 150メッシュを通過したもの =0% 50メッシュ超〜150メッシュ未満を通過したもの=
23重量% 50メッシュを通過したもの =77重量% (b)重合処理 そして、攪拌装置付き重合反応容器(図示せず、内容積
1600リットル)に、水1000重量部、酢酸17重
量部、上記コラーゲン粗繊維100重量部、プロピレン
オキシド5重量部およびメタクリル酸グリシジル0.4
重量部を添加して攪拌しながら35℃で24時間保持し
た。ついで、同反応容器にメタクリル酸メチル100重
量部を添加し、窒素ガスを同反応容器内に通入して重合
母液から酸素を除去した。そして、同反応容器内に窒素
ガスを通入しながら攪拌し、35〜40℃で48時間保
持した。そして、窒素ガスの通入を停止して重合を終了
させた後、硫酸アルミニウム15重量部と適量の水酸化
ナトリウム水溶液を同反応容器内に添加し、重合母液の
pHを7〜8に調整し、さらに24時間保持した。 (c)脱水処理 上記グラフト共重合処理で得られた重合体の水分含有率
を下げて後記する乾燥処理の時間を短縮するために、遠
心分離機を用いて水分含有率が75重量%になるまで脱
水した。この水分含有率は後記する乾燥時間を短縮する
ために80重量%以下とするのが好ましい。脱水のため
に使用する機器としては、遠心分離機以外に、フィルタ
ープレス、スクリュープレス等の公知の脱水機器を使用
することができる。 (d)乾燥処理 遠心分離機で水分含有率を下げてチップ状となったグラ
フト共重合体の水分含有率をさらに下げて後記する粉砕
処理を容易にするために、風通しのよい日陰の場所に脱
水されたグラフト共重合体を広げて水分含有率20重量
%程度まで風乾し、次いで、50℃の熱風乾燥機を用い
て、水分含有率3重量%まで乾燥させた。この水分含有
率は後記する粉砕処理を容易にするために10重量%以
下とするのが好ましい。 (e)粉砕処理 乾燥処理されたチップ状グラフト共重合体を振動ミルを
用いて粉砕し、以下の表1に示すような粒度分布を有す
るコラーゲンと樹脂からなるハイブリッド粉末を得た。
粉砕条件は、下記の通りである。 粉砕筒材質=ステンレス鋼 粉砕筒全容積=3.6リットル 粉砕方式=バッチ式 粉砕媒体=一般炭素鋼ロッド(直径19mm) 振動数=1200サイクル/min. 処理量=1.0kg/Hr 粉砕機としては、振動ミル以外に、ハンマーミル、ジェ
ットミル、ボールミル等の粉砕機を使用することができ
る。ハイブリッド粉末の平均粒径を5μm未満にしよう
とすると、著しく粉砕時間が長くなり、粉体の熱変性お
よび着色が誘起される。そのため、粉砕コストを抑制
し、粉体の熱変性および着色を誘起させないようにする
ために、ハイブリッド粉末の平均粒径を5μm以上にす
るのが好ましい。皮革様被膜を薄膜化しやすくなる点と
被膜に光沢を与えやすくするという理由により、ハイブ
リッド粉末の最大径は50μm以下にするのが好まし
く、20μm以下にするのがより好ましい。
【0018】
【表1】
【0019】表1のものの平均粒径は、8μmであっ
た。 2.皮革様成形品の製造および皮革様塗膜の形成 (1)実施例1、2と比較例1、2 〔実施例1〕表1の粒径分布を有するハイブリッド粉末
50重量部とフタール酸ジオクチル30重量部と安定剤
3重量部とポリ塩化ビニル100重量部を混練機(図示
せず)を用いて160℃で混練し、その後、熱プレスし
て0.5mm厚のシートを得た。そのシートは、表面が平
滑で光沢のある天然の皮革の風合いを有するものであっ
た。 〔実施例2〕また、表1の粒径分布を有するハイブリッ
ド粉末30重量部とフタール酸ジオクチル30重量部と
安定剤3重量部とポリ塩化ビニル100重量部を同混練
機を用いて160℃で混練し、その後、熱プレスして
0.5mm厚のシートを得た。そのシートは、表面が平滑
で光沢のある天然の皮革の風合いを有するものであっ
た。
【0020】上記実施例1、2の成形シートの機械的特
性を表2に示し、吸放湿特性を表3に示す。
【0021】
【表2】
【0022】なお、摩擦係数の測定は、表面性試験機
「HEIDON−14R」を用いて、常法により静摩擦
係数と動摩擦係数を測定した。試験条件は、以下のとお
りである。
【0023】圧子=3cm×3cm平面圧子 圧子移動速度=1000mm/分 荷重=100g(11g/cm2
【0024】
【表3】
【0025】なお、吸放湿特性に関する表3(および下
記の表5)に示す各特性値は、以下のようにして測定し
た。
【0026】表面が外気に曝されるように透湿カップに
セットした試料を、予め80℃で1晩乾燥させた後、3
5℃で相対湿度85%の環境下に移し、経時による重量
増加量を60分後(または10分後)に測定した(吸湿
性試験)。そして、その後直ちに35℃で相対湿度30
%の環境下に移して1時間後に重量減少量を測定した
(放湿性試験)。
【0027】なお、表面吸湿量と表面放湿量は、次式に
より算出した。
【0028】表面吸湿量=((60分後又は10分後の
試料重量)−(乾燥時の試料重量))/(試料面積) 表面放湿量=((放湿試験開始時の試料重量)−(1時
間後の試料重量))/(試料面積) また、表面吸水度は、重量既知の試料の表面のみを水に
2分間浸らせた後、水滴状に試料に付着している水をぬ
ぐい去った後、その試料の重量増加量を測定し、その重
量増加量を試料面積で除したものを表面吸水度とした。
【0029】吸汗度は、皮表角層水分測定装置である、
商品名「Model Skicon−200」 のものを用いて、予め腕
の内側部分の皮膚表面水分量を測定した。次いで、その
腕の内側部分に試料を2分間押しつけ、再度、皮膚表面
水分量を測定し、次式を用いて吸汗度を算出した。表3
と表5に示す数値は、5回の測定値の平均である。吸汗
度は、数値が小さいほど吸汗性に優れていることを示
す。
【0030】吸汗度=(試料を押しつけた後の皮膚表面
水分量)×100/(押しつけ前の皮膚表面水分量) 〔比較例1〕また、比較例1として、粒径分布が100
〜0.3μmの範囲にわたり、平均粒径が40μmであ
る乾燥皮革粉30重量部とフタール酸ジオクチル30重
量部と安定剤3重量部とポリ塩化ビニル100重量部を
同混練機を用いて160℃で混練し、その後、熱プレス
して0.5mm厚のシートを得た。そのシートは、表面が
やや粗く、天然の皮革の風合いを有しているとは言えな
かった。 〔比較例2〕また、比較例2として、粒径分布が100
〜2μmの範囲にわたり、平均粒径が18μmである乾
燥皮革粉30重量部とフタール酸ジオクチル30重量部
と安定剤3重量部とポリ塩化ビニル100重量部を同混
練機を用いて160℃で混練し、その後、熱プレスして
0.5mm厚のシートを得た。そのシートは、表面がやや
粗く、天然の皮革の風合いを有しているとは言えなかっ
た。
【0031】比較例1、2の成形シートの機械的特性を
表4に示し、吸放湿特性を表5に示す。
【0032】
【表4】
【0033】
【表5】
【0034】表2〜5より、以下の点が明らかである。 実施例1、2のシートは、比較例1、2のシートよ
り強度が高い。 実施例1、2のシートの表面は平滑であるから、静
摩擦係数および動摩擦係数ともに比較例1、2のシート
のものより低い。 実施例1、2のシートの表面吸湿量、表面放湿量お
よび表面吸水度の数値は、いずれも比較例1、2のシー
トの数値より十分に高く、一方、吸汗度の数値は、比較
例1、2のシートの数値より十分に低い。このように、
本発明のハイブリッド粉末を原料とする成形品の吸放湿
特性は極めて優れていることが分かる。 (2)実施例3 3本ペイントローラ上で一液型ポリウレタン樹脂溶液
(固形分33重量%)100重量部にN、Nジメチルホ
ルムアミド20重量部とメチルエチルケトン10重量部
と上記ハイブリッド粉末20重量部を添加し、同混練機
を用いて混練し、ペースト状物を得た。次いで、床革上
に上記ペーストをロールコーターによって一定の厚さに
塗布した。そして、この床革を水中に浸漬し、塗膜が十
分に硬化した後水中より取り出し、この床革をネット張
り乾燥機に張り付けて風乾し、静水圧プレスにて90℃
で皮革様の型押し加工を施すと、光沢のある天然の皮革
の風合いを有する皮革様成形品を得ることができた。 (3)実施例4、5と比較例3 〔実施例4〕アクリル酸エステル樹脂をエマルジョン化
した下塗り用バインダー200重量部と上記ハイブリッ
ド粉末25重量部と水200重量部と水性顔料100重
量部の混合物をホモジナイザー(図示せず)を用いてエ
マルジョン化した。次いで、床革上に上記エマルジョン
をロールコーターによって一定の厚さに塗装した。そし
て、この床革をネット張り乾燥機に張り付けて風乾し、
表面温度が90℃に設定されたアイロンによってアイロ
ン掛けを行うと、光沢のある天然の皮革の風合いを有す
る皮革様成形品を得ることができた。 〔実施例5〕ブタジエンポリマーをエマルジョン化した
下塗り用バインダー200重量部と上記ハイブリッド粉
末35重量部と水200重量部と水性顔料100重量部
の混合物を同ホモジナイザーを用いてエマルジョン化し
た。次いで、床革上に上記エマルジョンをロールコータ
ーによって一定の厚さに塗装した。そして、この床革を
ネット張り乾燥機に張り付けて風乾し、表面温度が90
℃に設定されたアイロンによってアイロン掛けを行う
と、光沢のある天然の皮革の風合いを有する皮革様成形
品を得ることができた。 〔比較例3〕比較例3として、実施例4、5において、
本発明のハイブリッド粉末に代えて公知技術4に記載さ
れた方法で得たコラーゲン粉末を用いた以外は実施例
4、5と同じ方法で皮革様成形品を得ようとしたが、上
記下塗りバインダーにそのコラーゲン粉末を配合すると
きにゲル化現象を起こし、目的とする皮革様塗膜形成用
エマルジョンを得ることはできなかった。 (4)実施例6、7と比較例4、5 〔実施例6〕アクリル樹脂系タイトコート剤A(ローム
&ハース社製の商品名「LT−87」)150重量部
と、アクリル樹脂系タイトコート剤B(ローム&ハース
社製の商品名「プライマル892」)120重量部と水
550重量部と浸透剤(ローム&ハース社製の商品名
「L−219」)120重量部と上記ハイブリッド粉末
60重量部を同ホモジナイザーを用いてエマルジョン化
し、吹き付け塗装機によって上記エマルジョンを床革上
に吹き付け塗装し、表面温度が90℃に設定されたアイ
ロンによってアイロン掛けを行うと、光沢のある天然の
皮革の風合いを有する皮革様成形品を得ることができ
た。 〔実施例7〕アクリル樹脂、ウレタン樹脂および無機充
填剤からなる塗料(TFL社製の商品名「ロダベースT
AM」)140重量部とウレタン樹脂バインダー(TF
L社製の商品名「デクタネWBO」)70重量部とアク
リル樹脂バインダー(TFL社製の商品名 「ロダクリ
ル155」)280重量部と顔料(ローム&ハース社製
の商品名「デアカラー」)130重量部と水300重量
部と浸透剤(ローム&ハース社製の商品名「L−21
9」)30重量部と上記ハイブリッド粉末50重量部を
同ホモジナイザーを用いてエマルジョン化し、表面温度
が90℃に設定されたアイロンによって床革にアイロン
掛けを行った後、吹き付け塗装機によって上記エマルジ
ョンをこの床革上に吹き付け塗装すると、光沢のある天
然の皮革の風合いを有する皮革様成形品を得ることがで
きた。 〔比較例4〕比較例4として、実施例6、7において、
本発明のハイブリッド粉末に代えて公知技術4に記載さ
れた方法で得たコラーゲン粉末を用いた以外は実施例
6、7と同じ方法で皮革様成形品を得ようとした。その
結果、前者(実施例6に対応するプロセス)の場合に
は、床革上にエマルジョンを吹き付け塗装することはで
きたが、後者(実施例7に対応するプロセス)の場合に
は、ホモジナイザー内の液にコラーゲン粉末が均一に分
散したエマルジョンを得ることはできず、ペースト化し
たので、床革にエマルジョンを吹き付け塗装することは
できなかった。 〔比較例5〕比較例5として、実施例6、7において、
本発明のハイブリッド粉末に代えて、通常のクロムなめ
しを施した皮革屑を裁断後、加熱水蒸気によりオートク
レーブ内で加熱、膨潤した後、乾燥・粉砕したコラーゲ
ン粉末(公知技術5に相当するもの)を用いた以外は実
施例6、7と同じ方法で皮革様成形品を得ようとした。
その結果、前者(実施例6に対応するプロセス)の場合
には、ホモジナイザー内の液に皮革粉が均一に分散した
エマルジョンを得ることはできず、ゲル化したので、床
革にエマルジョンを吹き付け塗装することはできなかっ
た。なお、後者(実施例7に対応するプロセス)の場合
には、床革上にエマルジョンを吹き付け塗装することは
できた。 (5)床革仕上げ剤への配合テスト 本発明のハイブリッド粉末10重量部を、以下に示す1
0品目の各床革仕上げ剤100重量部へ添加すると、い
ずれの床革仕上げ剤の場合でも、本発明のハイブリッド
粉末は良好に分散してエマルジョン化し、ゲル化するこ
とはなかった。
【0035】しかし、公知技術4、5に記載された方法
で得たコラーゲン粉末の場合には、いずれも9品目の仕
上げ剤(以下のNo. 2〜No. 10のもの)において
ゲル化し、これらの仕上げ剤を用いた場合、皮革様塗料
として用いることはできないと判断された。 10品目の床革仕上げ剤(以下のNo.1〜No. 10
のもの) No. 1=スタ−ルフィニシュ社製の商品名「1761
−A」(アクリル系水溶性樹脂) No. 2=スタ−ルフィニシュ社製の商品名「RA−2
353」(アクリル系水溶性樹脂) No. 3=ローム&ハース社製の商品名「LT−76」
(アクリル共重合エマルジョン) No. 4=ローム&ハース社製の商品名「ハイドラック
PC」(アクリルトップコート) No. 5=ローム&ハース社製の商品名「プライマルH
PB−980」(アクリルエマルジョンバインダー) No. 6=ローム&ハース社製の商品名「プライマルE
863」(アクリルエマルジョンバインダー No. 7=ローム&ハース社製の商品名「ST−84」
(熱可塑性アクリル共重合エマルジョンバインダー) No. 8=ローム&ハース社製の商品名「SB150」
(アクリルバインダー) No. 9=ローム&ハース社製の商品名「SB」(耐屈
曲性ベースバインダー) No. 10=ローム&ハース社製の商品名「プライマル
S−1」(アクリル共重合エマルジョン) (6)耐水試験 実施例6で得た皮革様成形品と、比較例4で得た皮革様
成形品(実施例6に対応するプロセスによるもの)と、
比較例5で得た皮革様成形品(実施例7に対応するプロ
セスによるもの)について、耐水試験を行った結果を以
下の表6に示す。
【0036】
【表6】
【0037】表6に明らかなように、実施例6で得た皮
革様成形品は、比較例4および5による皮革様成形品に
比べて、極めて優れた耐水性を有することが分かる。
【0038】
【発明の効果】本発明は上記のように構成されているの
で、以下の効果を有する。 (1)本発明のハイブリッド粉末を用いることにより、
強靱で平滑な表面を有する、天然の皮革の風合いを有す
る皮革様成形品を得ることができる。 (2)本発明のハイブリッド粉末を用いることにより、
耐水性に優れた皮革様塗膜を形成することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F055 AA01 AA11 BA03 DA16 FA08 FA35 GA20 4F056 AA01 BB20 CC07 CC46 DD12 DD46 EE03 FF16 FF20

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コラーゲン線維成分と、重量比で該コラ
    ーゲン線維成分に対して50〜200重量%の樹脂成分
    とを有するものをグラフト共重合することによって得た
    重合体を乾燥後に粉砕することによって得ることのでき
    るコラーゲンと樹脂成分からなるハイブリッド粉末。
  2. 【請求項2】 ハイブリッド粉末は、40μm以下の粒
    径のものが90重量%以上であって、その平均粒径が5
    〜20μmである請求項1記載のハイブリッド粉末。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN103215392A (zh) * 2013-05-04 2013-07-24 西南大学 一种动物皮的超声乳化脱脂方法

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