JP2002029969A - 経皮吸収製剤 - Google Patents

経皮吸収製剤

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JP2002029969A
JP2002029969A JP2000215459A JP2000215459A JP2002029969A JP 2002029969 A JP2002029969 A JP 2002029969A JP 2000215459 A JP2000215459 A JP 2000215459A JP 2000215459 A JP2000215459 A JP 2000215459A JP 2002029969 A JP2002029969 A JP 2002029969A
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pressure
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absorption preparation
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Application number
JP2000215459A
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English (en)
Inventor
Mitsuhiko Hori
光彦 堀
Kensuke Matsuoka
賢介 松岡
Kenjiro Ajinomi
憲二郎 味呑
Yoshihisa Nakano
善久 仲野
Junichi Moriyama
順一 森山
Tetsunori Yamakawa
哲規 山川
Keiko Takakura
恵子 高倉
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyama Chemical Co Ltd
Nitto Denko Corp
Original Assignee
Toyama Chemical Co Ltd
Nitto Denko Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 1,2−エタンジオール誘導体を持続的に体
内に経皮吸収させて、所望の薬理効果を充分に発揮で
き、しかも皮膚刺激が抑制された経皮吸収製剤を提供す
る。 【解決手段】 支持体の少なくとも片面に、直接的また
は間接的に、放出制御層を含む粘着剤層を形成してなる
経皮吸収製剤であって、当該粘着剤層が、粘着剤と、活
性成分として下記一般式(I)に示される1,2−エタ
ンジオール誘導体を0.5〜60重量%の範囲内で含有
することを特徴とする経皮吸収製剤。 【化1】 [式中、各記号は明細書に記載の通りである。]

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、中枢神経系および
末梢神経系の変性による各種の疾患、例えばアルツハイ
マー型痴呆症、ハンチントン舞踏病、各種ニューロパシ
ー、リレイ・デイ症候群、外傷性神経障害、筋萎縮性側
索硬化症(ALS)などの治療薬としての薬理効果を有
する、1,2−エタンジオール誘導体、特に(R)−1
−(ベンゾ[b]チオフェン−5−イル)−2−[2−
(N,N−ジエチルアミノ)エトキシ]エタノールを活
性成分として含有し、持続的に生体内に活性成分を経皮
吸収させると共に、皮膚刺激が抑制された経皮吸収製剤
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】下記一般式(I)に示される1,2−エ
タンジオール誘導体、特に(R)−1−(ベンゾ[b]
チオフェン−5−イル)−2−[2−(N,N−ジエチ
ルアミノ)エトキシ]エタノール塩酸塩は、中枢神経系
および末梢神経系の変性による各種の疾患、例えば、ア
ルツハイマー型痴呆症、ハンチントン舞踏病、各種ニュ
ーロパシー、リレイ・デイ症候群、外傷性神経障害、筋
萎縮性側索硬化症(ALS)などの治療薬としての薬理
効果を期待されるものである。
【0003】
【化2】
【0004】[式中、R1は、置換されていてもよい複
素環基を示し;R2は、水素原子、低級アルキル基、低
級アルコキシ基または保護されていてもよいヒドロキシ
ル基を示し;R3は、水素原子または低級アルキル基を
示し;n個のR4およびR5は、同一または異なっていて
もよく、水素原子または低級アルキル基を示し;R
6は、置換されていてもよいアミノ基もしくは含窒素複
素環基、またはアンモニオ基を示し;かつ、nは0〜6
の整数を示す。]
【0005】近年、薬物を体内に投与する方法として、
投薬の簡便性や投薬制御の簡便性などの点で、粘着剤に
よって皮膚に貼着する貼付剤タイプの製剤、所謂、経皮
吸収製剤が多くの薬物において検討されている。
【0006】しかしながら、本来、皮膚は生体を外部環
境から守るための防御組織として機能し、外界からの異
物の侵入に対しては強固なバリア性を有しているので、
経皮投与する活性成分の薬理効果を充分に発現させるた
めには、このバリア機能に勝る皮膚透過性を発揮する経
皮吸収製剤を開発する必要がある。
【0007】このような皮膚透過性を向上させる方法と
しては、一般に経皮吸収促進剤を粘着剤中に配合する方
法;皮膚に通電してイオン化させた活性成分を経皮吸収
させるイオントフォレシス;超音波を用いたフォノフォ
レシスのような物理的に活性成分を経皮吸収させる方
法;等が検討されている。
【0008】しかしながら、用いる活性成分の中には、
経皮吸収する際に皮膚刺激を併発する化合物も多く報告
されている。上述のように、経皮吸収製剤は活性成分を
経皮的に体内に吸収させることを目的としているので、
このような皮膚刺激を併発し得る活性成分を経皮吸収さ
せるには、皮膚刺激を起こさないレベルで、活性成分を
充分に体内に経皮吸収させるという、相反する作用を兼
備させることが望まれている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは上記従来
の技術に鑑み、活性成分の経皮吸収性を検討した結果、
本発明において用いる活性成分としての1,2−エタン
ジオール誘導体は、塩形態ではなく、フリー体とするこ
とによって経皮吸収性が向上することが判明した。しか
しながら、急激な経皮吸収は薬理効果の持続化につなが
らず、また、一般的に皮膚刺激を誘発するおそれがあ
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らは、
1,2−エタンジオール誘導体を持続的に体内に経皮吸
収させて、所望の薬理効果を充分に発揮でき、しかも皮
膚刺激が抑制された経皮吸収製剤を開発すべく鋭意研究
を重ねた結果、放出制御層を含む粘着剤層を支持体の少
なくとも片面に形成することによって、粘着剤層中の活
性成分の放出量や放出速度を制御し、薬理効果の発現に
充分な量の1,2−エタンジオール誘導体を持続的に経
皮吸収させることができると共に、皮膚刺激が抑制され
た経皮吸収製剤が得られることを見出し、本発明を完成
するに至った。
【0011】即ち、本発明は以下の通りである。 (1) 支持体の少なくとも片面に、直接的または間接的
に、放出制御層を含む粘着剤層を形成してなる経皮吸収
製剤であって、当該粘着剤層が、粘着剤と、活性成分と
して下記一般式(I)に示される1,2−エタンジオー
ル誘導体を0.5〜60重量%の範囲内で含有すること
を特徴とする経皮吸収製剤。
【0012】
【化3】
【0013】[式中、R1は、置換されていてもよい複
素環基を示し;R2は、水素原子、低級アルキル基、低
級アルコキシ基または保護されていてもよいヒドロキシ
ル基を示し;R3は、水素原子または低級アルキル基を
示し;n個のR4およびR5は、同一または異なっていて
もよく、水素原子または低級アルキル基を示し;R
6は、置換されていてもよいアミノ基もしくは含窒素複
素環基、またはアンモニオ基を示し;かつ、nは0〜6
の整数を示す。] (2) 粘着剤が、(メタ)アクリル酸C2〜18アルキルエ
ステルを重合成分として40重量%以上含む重合体を主
成分とするアクリル酸エステル系粘着剤;ポリイソブチ
レン、ポリイソプレンおよびスチレン−ジエン−スチレ
ン共重合体から選ばれる少なくとも一種を主成分とする
ゴム系粘着剤;および、ジメチルシロキサン単位を含む
ポリオルガノシロキサンを主成分とするシリコーン系粘
着剤からなる群より選ばれる少なくとも一種である、上
記(1)記載の経皮吸収製剤。 (3) 粘着剤層が、さらに、グリコール類、油脂類、脂
肪酸類、アルコール類および脂肪酸エステル類からなる
群より選ばれる少なくとも一種の有機液状成分を含有す
る、上記(1)記載の経皮吸収製剤。 (4) 粘着剤がポリイソブチレンを主成分とするゴム系
粘着剤であり、粘着剤層がさらに高級脂肪酸の低級アル
キルエステルを含有する、上記(1)記載の経皮吸収製
剤。 (5) 一般式(I)において、R1がベンゾ[b]チオフ
ェン−5−イル基、R2がヒドロキシル基、R3、R4
よびR5が水素原子、R6がジエチルアミノ基、かつnが
2である、上記(1)記載の経皮吸収製剤。 (6) 放出制御層がプラスチック多孔質膜である、上記
(1)記載の経皮吸収製剤。 (7) プラスチック多孔質膜が高分子量ポリエチレン多
孔質膜である、上記(6)記載の経皮吸収製剤。 (8) プラスチック多孔質膜の気孔率が20〜60%で
ある、上記(6)または(7)記載の経皮吸収製剤。 (9) 放出制御層を含む粘着剤層が、支持体側から順
に、粘着剤層A/放出制御層/粘着剤層Bの積層構造を
有する、上記(1)記載の経皮吸収製剤。 (10) 粘着剤層B中の活性成分の含有量が、200μg
/cm2以下である、上記(9)記載の経皮吸収製剤。 (11) 粘着剤層Bからの活性成分の放出速度が、180
μg/cm2/t1/2以下である、上記(10)記載の経皮吸
収製剤。 (12) 粘着剤層Aからの活性成分の放出速度が、120
μg/cm2/t1/2以下である、上記(9)または(10)記
載の経皮吸収製剤。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の経皮吸収製剤は、支持体
の少なくとも片面に、直接的または間接的に、放出制御
層を含む粘着剤層を形成してなるものであり、当該粘着
剤層は、粘着剤と、活性成分として上記一般式(I)に
示される1,2−エタンジオール誘導体を含有する。
【0015】上記一般式(I)において、特にことわら
ない限り、各用語は次の意味を有する。ハロゲン原子と
は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子
を意味する。低級アルキル基とは、例えば、メチル、エ
チル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソ
ブチル、tert−ブチル、ペンチルおよびヘキシルな
どのC1〜6アルキル基を意味する。低級アルケニル基と
は、例えば、ビニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニ
ルおよびヘキセニルなどのC2〜6アルケニル基を意味す
る。低級アルケニルオキシ基とは、C2〜6アルケニル−
O−基を意味する。シクロアルキル基とは、例えば、シ
クロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシ
クロヘキシルなどのC3〜6シクロアルキル基を意味す
る。低級アルコキシ基とは、C1〜6アルキル−O−基を
意味する。低級アルキルチオ基とは、C1〜6アルキル−
S−基を意味する。
【0016】アリール基とは、フェニル、ナフチル、イ
ンダニルおよびインデニルを意味する。アリールオキシ
基とは、アリール−O−基を意味する。アル低級アルキ
ル基とは、例えば、ベンジル、ジフェニルメチル、トリ
チルおよびフェネチルなどのアルC1〜4アルキル基を意
味する。アル低級アルケニル基とは、例えば、スチリ
ル、シンナミルなどのアルC2〜6アルケニル基を意味す
る。アル低級アルコキシ基とは、アルC1〜4アルキル−
O−基を意味する。アル低級アルキルチオ基とは、アル
1〜4アルキル−S−基を意味する。低級アルキレンジ
オキシ基とは、例えば、メチレンジオキシおよびエチレ
ンジオキシなどのC1〜4アルキレンジオキシ基を意味す
る。
【0017】低級アシル基とは、例えば、ホルミル、ア
セチルおよびブチリルなどのC1〜6アルキル−CO−基
を意味する。アロイル基とは、アリール−CO−基を意
味する。低級アルキルスルホニル基とは、C1〜6アルキ
ル−SO2−基を意味する。アル低級アルキルスルホニ
ル基とは、アルC1〜6アルキル−SO2−基を意味す
る。アリールスルホニル基とは、アリール−SO2−基
を意味する。低級アルキルスルホニルオキシ基とは、C
1〜6アルキル−SO2−O−基を意味する。アリールス
ルホニルオキシ基とは、アリール−SO2−O−基を意
味する。アリールスルホニルアミノ基とは、アリール−
SO2NH−基を意味する。低級アルキルスルホニルア
ミノ基とは、C1〜6アルキル−SO2NH−基を意味す
る。ジ低級アルキルアミノ基とは、ジC1〜6アルキルア
ミノ基を意味する。アンモニオ基とは、例えば、トリメ
チルアンモニオおよびトリエチルアンモニオなどのトリ
1〜6アルキルアンモニオ基を意味する。
【0018】含窒素複素環基とは、例えば、ピロリル、
ピロリジニル、ピペリジル、ピペラジニル、イミダゾリ
ル、ピラゾリル、ピリジル、テトラヒドロピリジル、ピ
リミジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、キノリ
ル、キノリジニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒ
ドロイソキノリニル、キヌクリジニル、チアゾリル、テ
トラゾリル、チアジアゾリル、ピロリニル、イミダゾリ
ニル、イミダゾリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニ
ル、プリニルおよびインダゾリルなどの、該環を形成す
る異項原子として1つ以上の窒素原子を含み、さらに1
つ以上の酸素原子または硫黄原子を含んでいてもよい、
5員もしくは6員環、縮合環または架橋環の複素環基を
意味する。
【0019】複素環基とは、上記した含窒素複素環基、
並びに、例えば、フリル、チエニル、ベンゾフリル、ベ
ンゾチエニル、イソベンゾフラニル、ピラニル、クロメ
ニル、クロマニル、ベンゾピラニル、キサンチニル、チ
オピラニル、チアントレニル、フェノキサンチニルなど
の、該環を形成する異項原子として1つ以上の酸素原子
および/または硫黄原子を含む5員もしくは6員環、縮
合環または架橋環の複素環基を意味する。複素環カルボ
ニル基とは、複素環−CO−基を意味する。
【0020】一般式(I)のR1における「置換されて
いてもよい複素環基」の置換基としては、例えば、ハロ
ゲン原子;置換されていてもよい、アミノ基、低級アル
キル基、アリール基、アル低級アルキル基、低級アルコ
キシ基、アル低級アルコキシ基、アリールオキシ基、カ
ルバモイルオキシ基、低級アルキルチオ基、低級アルケ
ニル基、低級アルケニルオキシ基、アル低級アルキルチ
オ基、アル低級アルキルスルホニル基、アリールスルホ
ニル基、低級アルキルスルホニルアミノ基、アリールス
ルホニルアミノ基および複素環基;保護されたアミノ
基;保護されていてもよいヒドロキシル基;ニトロ基;
オキソ基;および低級アルキレンジオキシ基などが挙げ
られ、これら一種以上の置換基で置換されていてもよ
い。
【0021】一般式(I)の、R1の「置換されていて
もよい複素環基」の置換基としての「置換されていても
よい、低級アルキル基、アリール基、アル低級アルキル
基、低級アルコキシ基、アル低級アルコキシ基、アリー
ルオキシ基、カルバモイルオキシ基、低級アルキルチオ
基、低級アルケニル基、低級アルケニルオキシ基、アル
低級アルキルチオ基、アル低級アルキルスルホニル基、
アリールスルホニル基、低級アルキルスルホニルアミノ
基、アリールスルホニルアミノ基および複素環基」の置
換基、並びに、R6における「置換されていてもよい含
窒素複素環基」の置換基としては、ハロゲン原子、保護
されていてもよいヒドロキシル基、保護されたカルボキ
シル基、保護されていてもよいアミノ基、保護されてい
てもよいヒドロキシル基で置換されていてもよい低級ア
ルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアリー
ル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアロイル
基、低級アルコキシ基で置換されていてもよい低級アル
コキシ基、低級アシル基、アル低級アルキル基、アル低
級アルケニル基、複素環基、複素環カルボニル基、オキ
ソ基、低級アルキルスルホニル基およびアリールスルホ
ニル基が挙げられ、これら一種以上の置換基で置換され
ていてもよい。
【0022】また、一般式(I)の、R1における「置
換されていてもよい複素環基」の置換基としての「置換
されていてもよいアミノ基」の置換基、およびR6にお
ける「置換されていてもよいアミノ基」の置換基として
は、保護されていてもよいヒドロキシル基、保護されて
いてもよいヒドロキシル基および/または保護されたカ
ルボキシル基で置換されていてもよい低級アルキル基、
シクロアルキル基、アリール基、低級アシル基、アル低
級アルキル基、複素環基、オキソ基で置換されていても
よい複素環カルボニル基、アダマンチル基、低級アルキ
ルスルホニル基、並びにアリールスルホニル基が挙げら
れ、これら一種以上の置換基で置換されていてもよい。
【0023】また、一般式(I)の、R2における保護
されていてもよいヒドロキシル基、R1における「置換
されていてもよい複素環基」の置換基としての「保護さ
れたアミノ基」および「保護されていてもよいヒドロキ
シル基」、並びにR6における「置換されていてもよい
アミノ基もしくは含窒素複素環基」の置換基としての
「保護されていてもよいヒドロキシル基」、「保護され
たカルボキシル基」、「保護されていてもよいアミノ
基」、「保護されていてもよいヒドロキシル基で置換さ
れていてもよい低級アルキル基」の「保護されていても
よいヒドロキシル基」、および「保護されたカルボキシ
ル基で置換されていてもよい低級アルキル基」の「保護
されたカルボキシル基」の保護基としては、プロテクテ
ィブ・グループス・イン・オーガニック・シンセシス
(Protective Groups in Organic Synthesis)、[セオ
ドラ・ダブリュー・グリーン(Theodra W. Green)(19
91年)、ジョン・ウィリー・アンド・サンズ・インコ
ーポレイテッド(John Wiley & Sons.Inc.) ]に記載さ
れた通常のヒドロキシル基、カルボキシル基およびアミ
ノ基の保護基が挙げられ、特に、ヒドロキシル基の保護
基としては、例えば、低級アルキル基、低級アシル基お
よび2−テトラヒドロピラニル基、並びに置換されてい
てもよいベンジルのようなアル低級アルキル基などが挙
げられる。
【0024】上記一般式(I)に示される1,2−エタ
ンジオール誘導体には、各種異性体、例えば、立体異性
体(幾何異性体、鏡像異性体、ジアステレオ異性体
等)、構造異性体(位置異性体等)も含まれ、さらに、
溶媒和物(水和物等)も含まれる。
【0025】上記1,2−エタンジオール誘導体は、中
枢神経系および末梢神経系の変性による各種の疾患、例
えば、アルツハイマー型痴呆症、ハンチントン舞踏病、
各種ニューロパシー、リレイ・デイ症候群、外傷性神経
障害、筋萎縮性側索硬化症(ALS)などの治療薬とし
ての薬理効果を有するものである。上記一般式(I)の
1,2−エタンジオール誘導体の中でも、一般式(I)
中のR1がベンゾ[b]チオフェン−5−イル基、R2
ヒドロキシル基、R3、R4およびR5が水素原子、R6
ジエチルアミノ基、かつnが2である、1−(ベンゾ
[b]チオフェン−5−イル)−2−[2−(N,N−
ジエチルアミノ)エトキシ]エタノール、特に(R)−
1−(ベンゾ[b]チオフェン−5−イル)−2−[2
−(N,N−ジエチルアミノ)エトキシ]エタノールが
好適に使用されるが、これに特に限定されるものではな
い。
【0026】また、本発明においては、活性成分とし
て、上記1,2−エタンジオール誘導体の代わりに、上
記1,2−エタンジオール誘導体の塩、例えば、塩酸、
臭化水素酸、硫酸およびリン酸などの鉱酸との塩;ギ
酸、酢酸、シュウ酸、コハク酸、フマル酸、マレイン
酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸およびアスパラギン酸など
のカルボン酸との塩;メタンスルホン酸、ベンゼンスル
ホン酸、p−トルエンスルホン酸およびナフタレンスル
ホン酸などのスルホン酸との塩などの医薬上許容され得
る塩と共に、当該塩のフリー化剤を配合し、粘着剤層中
で当該塩をフリー化して、上記1,2−エタンジオール
誘導体としてもよい。粘着剤層中に含有させる活性成分
の経皮吸収性は、上記1,2−エタンジオール誘導体>
上述のようにフリー化された1,2−エタンジオール誘
導体>上記1,2−エタンジオール誘導体の医薬上許容
され得る塩、の順となる。
【0027】上記フリー化剤としては、水酸化ナトリウ
ムや水酸化カリウム、トリエチルアミン、テトラエチル
アンモニウム、アンモニア、カプリル酸ナトリウムなど
の塩基が挙げられる。
【0028】上記1,2−エタンジオール誘導体は、粘
着剤層中、0.5〜60重量%、好ましくは1〜30重
量%の範囲で含有される。当該含有量が0.5重量%未
満の場合には、薬理効果を発揮するために充分な薬物量
を吸収させることが難しい。逆に、60重量%を超える
場合には、粘着剤層の皮膚接着性が低下して皮膚面に確
実に接着させることが困難となると共に、薬理効果の点
で増量効果があまり期待できないので、経済的に不利と
なる。
【0029】本発明において、粘着剤層に含有される粘
着剤は、皮膚面に粘着貼付し、かつ粘着剤層中に含有さ
れる上記活性成分を皮膚面から経皮投与できるものであ
り、常温で粘着性を有する粘着膏体である。
【0030】このような粘着剤としては、皮膚面に接し
た際に皮膚刺激などを生じないような、従来から使用さ
れている、アクリル系粘着剤、天然ゴム系粘着剤、合成
ゴム系粘着剤(合成イソプレンゴム、ポリイソブチレン
ゴム、スチレン/ブタジエンゴム、スチレン/イソプレ
ン/スチレンゴム、スチレン/ブタジエン/スチレンゴ
ムなどの合成ゴム成分を主成分として含有)、シリコー
ン系粘着剤、ビニルエステル系粘着剤、ビニルエーテル
系粘着剤などの医療用の粘着剤が好ましい。
【0031】上記粘着剤のうち、品質の安定性や粘着特
性の調整のしやすさの点から、(メタ)アクリル酸C
2〜18アルキルエステルを重合成分として40重量%以
上含む重合体を主成分とするアクリル酸エステル系粘着
剤;ポリイソブチレン、ポリイソプレンおよびスチレン
−ジエン−スチレン共重合体から選ばれる少なくとも一
種を主成分とするゴム系粘着剤;および、ジメチルシロ
キサン単位を含むポリオルガノシロキサンを主成分とす
るシリコーン系粘着剤からなる群より選ばれる少なくと
も一種の粘着剤が好ましい。これらの中でも、活性成分
の含量安定性などの点から、ポリイソブチレンを主成分
とするゴム系粘着剤が特に好ましい。
【0032】上記アクリル酸アルキルエステル系粘着剤
としては、上記組成からなるものであれば限定されない
が、粘着特性の変更の容易さなどの点から、一種もしく
は二種以上の(メタ)アクリル酸C2〜18アルキルエス
テル50〜98重量%と、一種もしくは二種以上の共重
合可能な単量体2〜50重量%を共重合して得られる共
重合体が好ましい。
【0033】上記の(メタ)アクリル酸C2〜18アルキ
ルエステルとは、アルキル基の炭素数が2〜18、好ま
しくは4〜12の一級〜三級アルコールと、アクリル酸
もしくはメタクリル酸とから得られるエステルである。
【0034】上記の共重合可能な単量体としては、共重
合反応に関与する不飽和二重結合を分子内に少なくとも
一個有すると共に、カルボキシル基(例えば、(メタ)
アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸
など);ヒドロキシル基(例えば、(メタ)アクリル酸
ヒドロキシエチルエステル、(メタ)アクリル酸ヒドロ
キシプロピルエステルなど);スルホ基(例えば、スチ
レンスルホン酸、アリルスルホン酸、(メタ)アクリル
酸スルホプロピルエステル、(メタ)アクリロイルオキ
シナフタレンスルホン酸、アクリルアミドメチルプロパ
ンスルホン酸など);アミノ基(例えば、(メタ)アク
リル酸アミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸ジメ
チルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸ter
t−ブチルアミノエチルエステルなど);アミド基(例
えば、(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アク
リルアミド、N−ブチルアクリルアミド、N−メチロー
ル(メタ)アクリルアミド、N−メチロールプロパン
(メタ)アクリルアミドなど);アルコキシル基(例え
ば、(メタ)アクリル酸メトキシエチルエステル、(メ
タ)アクリル酸エトキシエチルエステル、(メタ)アク
リル酸メトキシエチレングリコールエステル、(メタ)
アクリル酸メトキシジエチレングリコールエステル、
(メタ)アクリル酸メトキシポリエチレングリコールエ
ステル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリルエ
ステルなど)などの官能基を側鎖に有する単量体が挙げ
られる。
【0035】これら以外の共重合可能な単量体として
は、例えば、(メタ)アクリロニトリル、酢酸ビニル、
プロピオン酸ビニル、N−ビニル−2−ピロリドン、メ
チルビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルピペリ
ドン、ビニルピリミジン、ビニルピペラジン、ビニルピ
ラジン、ビニルピロール、ビニルイミダゾール、ビニル
カプロラクタム、ビニルオキサゾール、ビニルモルホリ
ンなどが挙げられる。
【0036】具体的なアクリル系粘着剤としては、2−
エチルヘキシルアクリレートとアクリル酸とからなる共
重合体、2−エチルヘキシルアクリレートと2−ヒドロ
キシエチルアクリレートとからなる共重合体、2−エチ
ルヘキシルアクリレートと2−メトキシエチルアクリレ
ートと酢酸ビニルとからなる共重合体、2−エチルヘキ
シルアクリレートとビニルピロリドンとからなる共重合
体、2−エチルヘキシルアクリレートとビニルピロリド
ンとアクリル酸とからなる共重合体などが挙げられる。
【0037】上記の共重合可能な単量体は、一種もしく
は二種以上を使用することができるが、粘着特性として
の接着性や凝集性、粘着剤層中に含有される1,2−エ
タンジオール誘導体の放出性などの点から、カルボキシ
ル基含有単量体やヒドロキシル基含有単量体の少なくと
も一種を1〜50重量%、好ましくは3〜20重量%の
範囲で共重合し、必要に応じて、上記に例示の他の共重
合可能な単量体、例えば、酢酸ビニルやN−ビニル−2
−ピロリドンのようなビニル系単量体を40重量%以
下、好ましくは30重量%以下の範囲で共重合すること
が好ましい。
【0038】本発明においては、粘着剤層は、さらに、
グリコール類、油脂類、脂肪酸類、アルコール類および
脂肪酸エステル類からなる群より選ばれる少なくとも一
種の有機液状成分を含有することが好ましい。粘着剤層
が当該有機液体成分を含有することにより、皮膚接着性
や活性成分の皮膚透過性の向上、皮膚刺激性の低減など
の効果をさらに向上させることができる。つまり、活性
成分の皮膚透過性を向上させることができると共に、有
機液状成分が粘着剤と相溶して粘着剤層を可塑化するの
で、皮膚面に貼付した際に皮膚に対してソフト感を与え
ることができ、さらに架橋処理を施すことにより適度な
凝集力を付与し、使用後の剥離除去時に皮膚刺激を低減
することができる。
【0039】上記グリコール類としては、エチレングリ
コール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコー
ル、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、
ポリプロピレングリコールなどが挙げられる。ポリエチ
レングリコールやポリプロピレングリコールなどの高分
子量のものは、200〜1000の重量平均分子量のも
のが好ましい。
【0040】上記油脂類としては、オリーブ油、ひまし
油、スクワレン、スクワラン、オレンジオイル、ミネラ
ルオイルなどが挙げられる。
【0041】上記脂肪酸類としては、モノカプリン酸、
オレイン酸、カプリル酸、ラウリン酸、ウンデシレン
酸、イソステアリン酸、リノール酸などの炭素数が6〜
20のものが挙げられる。
【0042】上記アルコール類としては、上記グリコー
ル類以外のアルコール類であって、炭素数1〜20のア
ルコールをいい、エタノールやメタノール、オクチルア
ルコール、エトキシ化ステアリルアルコール、1,3−
ブタンジオール、デシルアルコール、シネオール、オレ
イルアルコールなどの炭素数1〜20のものが挙げられ
る。
【0043】上記脂肪酸エステルとしては、ミリスチン
酸イソプロピル、セバシン酸ジエチル、オレイン酸エチ
ル、フタル酸ジエチル、アジピン酸ジイソプロピル、プ
ロピレングリコール脂肪酸エステル、ニコチン酸ラウリ
ル、ピロリドンカルボン酸ラウリルなどの総炭素数が6
〜20のものが挙げられる。
【0044】上記有機液状成分の含有量は、粘着剤10
0重量部に対して、3〜200重量部、好ましくは10
〜180重量部、特に好ましくは20〜100重量部で
ある。有機液状成分の含有量が少なすぎると、添加する
ことによる効果が期待できないおそれがあり、逆に、多
すぎると、粘着剤層が可塑化されすぎて凝集力が低下
し、架橋処理を施しても皮膚面に糊残り現象を生じて剥
離時に皮膚刺激性を増大させてしまうおそれがある。
【0045】上述したように、本発明においては、活性
成分の含量安定性の点から、粘着剤としてポリイソブチ
レンを主成分とするゴム系粘着剤を用いることが好まし
いが、この場合、上記有機液状成分として、高級脂肪酸
の低級アルキルエステルを含有することが好ましい。
【0046】具体的には、ポリイソブチレンとしては、
粘度平均分子量(Mv)が90万〜210万の高分子量
のポリイソブチレンと、Mvが1万〜20万の中分子量
のポリイソブチレンと、Mvが500〜4000の低分
子量のポリイソブチレンを適宜組み合わせて用いること
が、皮膚面に貼付する際の粘着特性のバランス(接着
力、凝集力、タックなど)の点から好ましい。
【0047】上記各ポリイソブチレンの配合割合は、高
分子量のポリイソブチレンを10〜80重量%、特に2
0〜70重量%の範囲とし、中分子量のポリイソブチレ
ンを0〜90重量%、特に10〜80重量%の範囲と
し、低分子量のポリイソブチレンを0〜80重量%、特
に0〜60重量%の範囲とすることが好ましい。このよ
うな範囲で各ポリイソブチレンを配合することによっ
て、得られるポリイソブチレン系の粘着剤は粘着特性の
バランスに優れたものとなり、本発明における活性成分
の経皮吸収性を効果的に発揮できる。
【0048】一方、有機液状成分としての高級脂肪酸の
低級アルキルエステルとしては、具体的には、ミリスチ
ン酸イソプロピルやセバシン酸ジエチルなどの炭素数が
10〜14の高級脂肪酸と、炭素数が1〜3の低級アル
コールとのエステル化物が挙げられる。これらの有機液
状成分の配合量は、ポリイソブチレンを主成分とするゴ
ム系粘着剤100重量部に対して、3〜80重量部、特
に10〜40重量部が好ましい。この範囲の配合量であ
れば、貼付する皮膚面に対する皮膚刺激が低減すると共
に、活性成分の経皮吸収性を向上させることができる。
【0049】また、本発明においては、粘着剤層は、必
要に応じて、さらに、抗酸化剤や顔料、充填剤、経皮吸
収促進剤、薬物安定化剤、薬物溶解性向上剤、薬物溶解
性抑制剤などの添加剤を含有してもよい。一般的には、
これらの添加剤は、粘着剤層中、0.1〜50重量%、
好ましくは1〜10重量%程度の量で含有される。
【0050】本発明においては、粘着剤層は放出制御層
を含んでいる。当該放出制御層は、粘着剤層に含有され
る活性成分である上記一般式(I)の1,2−エタンジ
オール誘導体が、拡散移動によって粘着剤層表面から貼
付された皮膚面に放出される際の、その放出量および放
出速度を制御するための層であり、自由拡散に対するバ
リア機能を発揮するものである。
【0051】本発明における、放出制御層を含んだ粘着
剤層の具体的な構造としては、支持体側から順に、例え
ば、粘着剤層A/放出制御層/粘着剤層Bの積層構造が
挙げられる。
【0052】上記の各放出制御層としては、紙、不織
布、織布、無孔プラスチック膜、有孔プラスチック膜な
どが挙げられ、上記一般式(I)の1,2−エタンジオ
ール誘導体が溶け込むような材質からなるものであれ
ば、無孔プラスチック膜(例えば、高密度ポリエチレン
膜、エチレン/酢酸ビニル共重合体膜等)であってもよ
い。しかしながら、無孔プラスチック膜を用いた場合に
は、1,2−エタンジオール誘導体の粘着剤層Aからの
放出速度が低下して、粘着剤層A中の1,2−エタンジ
オール誘導体の有効利用率が低下するおそれがあり、ま
た、液体成分により膨潤してしわが発生するおそれがあ
る。従って、好ましくは、有孔プラスチック膜、特にプ
ラスチック多孔質膜を用いることがよい。また、プラス
チック多孔質膜の厚みは特に限定されないが、皮膚面へ
の貼付時の違和感、所謂、ゴワゴワ感を少なくするため
には、100μm以下の範囲の厚みのものを用いること
が好ましい。
【0053】本発明で使用できるプラスチック多孔質膜
としては、具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン、ポリテトラフルオロエチレン、エチレン/酢酸ビニ
ル共重合体、酢酸ビニル/塩化ビニル共重合体、可塑性
塩化ビニル、ポリウレタン、ポリ塩化ビニリデン、ポリ
エステルなどの材質からなるものが挙げられる。これら
のうち、上記有機液状成分に対して充分な耐性(例え
ば、非膨潤性など)を有するものとして、高分子量ポリ
エチレンや、超高分子量ポリエチレンなどが好適に使用
される。
【0054】また、上記プラスチック多孔質膜は、1,
2−エタンジオール誘導体の放出制御性の点から、気孔
率が20〜60%、特に25〜55%程度であるものを
使用するのが好ましい。また、その孔径が50μm以
下、特に20〜35μmの範囲のものを使用するのが好
ましい。
【0055】本発明においては、粘着剤層を放出制御層
を含む構成とすることによって、本発明の目的ある放出
量の制御および放出速度の制御を行ない、1,2−エタ
ンジオール誘導体を持続的に体内に経皮吸収させると共
に、皮膚刺激が抑制されるように制御するものである。
具体的な制御基準は、粘着剤層B(皮膚接触面側)中の
活性成分の含有量を、200μg/cm2以下、特に7
5〜150μg/cm2の範囲とし、かつ、粘着剤層A
(支持体側)からの活性成分の放出速度を、120μg
/cm2/t1/2以下、特に70〜120μg/cm2
1/2程度の範囲に調整することが好ましい。
【0056】即ち、粘着剤層Bは皮膚接触面側に位置す
るものであるので、粘着剤層B中に存在する活性成分は
皮膚面への貼付後、すぐに皮膚面へ放出しはじめる。従
って、粘着剤層B中の活性成分の含有量があまりにも多
すぎると、皮膚面への放出量の制御をしにくくなるの
で、本発明においては、粘着剤層B中の活性成分の含有
量を200μg/cm2以下に設定することが好まし
い。加えて、粘着剤層Bからの活性成分の放出速度を1
80μg/cm2/t1/2以下、特に10〜150μg/
cm2/t1/2に制御することがより好ましい。この放出
速度の制御は、粘着剤層の厚み、組成、薬物の総含有量
および濃度、液体成分の含有量を調整することにより行
うことができる。
【0057】一方、粘着剤層Aに含有される活性成分
は、皮膚面へ放出されるには放出制御層を透過する必要
があり、このことは持続的放出に関与する。従って、あ
まりに放出制御層の透過速度が大きすぎると、短時間に
皮膚面に多量の活性成分が放出されて持続的な放出がで
きなくなるので、粘着剤層Aからの活性成分の放出速度
を、120μg/cm2/t1/2以下、特に70〜120
μg/cm2/t1/2に制御することが好ましい。この放
出速度の制御は、粘着剤層の組成、放出制御層の材質お
よび厚みを調整することにより行うことができる。
【0058】本発明において使用される支持体として
は、粘着剤層を保持して、貼付操作性を向上できるもの
であれば特に限定されず、例えば、ポリエステル、ポリ
エチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化
ビニリデン、エチレン/酢酸ビニル共重合体、酢酸セル
ロース、エチルセルロース、酢酸ビニル/塩化ビニル共
重合体、ポリウレタンなどの材料からなるプラスチック
フィルムや、紙、織布、不織布およびこれらの積層体、
並びにこれらと金属箔との積層体などが挙げられる。
【0059】上記の支持体の厚みは、皮膚面に本発明の
経皮吸収製剤を貼着したときに違和感が生じず、かつ皮
膚面から剥離除去する際にちぎれない程度の機械的強度
を付与できる厚みであり、通常1〜50μm程度であ
り、好ましくは1〜30μmである。
【0060】本発明においては、取扱性や皮膚に対する
密着性、密封包帯療法による経皮吸収性向上などの点か
ら、上記の放出制御層を含む粘着剤層は、直接的にまた
は投錨性向上のための下塗り剤などを介して間接的に、
支持体の少なくとも片面に形成されることが好ましい。
【0061】本発明の経皮吸収製剤の形態は特に限定さ
れないが、操作性の点からテープ状とすることが好まし
い。
【0062】
【実施例】以下に本発明の実施例を示し、さらに具体的
に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではな
く、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の応
用が可能である。なお、以下の文中で部および%とある
のは、重量部および重量%を示す。
【0063】実施例1〜9および比較例1、2 表1に示す配合にて経皮吸収製剤を作製した。なお、放
出制御層の両側に位置する粘着剤層Aおよび粘着剤層B
は同一組成のものを放出制御層の両側に貼り合わせ、こ
れを支持体の片面に積層することにより、支持体/粘着
剤層A/放出制御層/粘着剤層Bの層構成を有する経皮
吸収製剤を作製した。当該製剤中の活性成分の含有量は
表2に示す通りである。
【0064】
【表1】
【0065】なお、表中の各用語は以下の通りである。 粘着剤の厚み:粘着剤層Aの厚み/粘着剤層Bの厚み ポリイソブチレン系粘着剤の組成:粘度平均分子量14
0万ポリイソブチレン100部と粘度平均分子量6万ポ
リイソブチレン100部の混合物 化合物A:(R)−1−(ベンゾ[b]チオフェン−5
−イル)−2−[2−(N,N−ジエチルアミノ)エト
キシ]エタノール 超高分子量PE多孔質膜:日東電工(株)製ポリエチレ
ン膜、商品名燦マップ、サンマップHPまたはサンマッ
プLC 高分子量PE多孔質膜:日東電工(株)製ポリエチレン
膜,商品名ブレスロン、BRN−500または600に
使用の多孔質膜 高密度PE膜:日東電工(株)製高密度ポリエチレン膜 EVA膜:エチレン/酢酸ビニル共重合体膜
【0066】試験例1(放出性試験) 上記各実施例および比較例にて得た経皮吸収製剤を10
cm2の円形に打ち抜き、日本薬局方溶出試験第2法
(パドル法)に準じて水中放出試験を行なった。その結
果を図1に示した。図1の結果から、放出制御層を粘着
剤層中に介在させることによって、1,2−エタンジオ
ール誘導体の放出パターンを任意に制御することが明ら
かである。なお、粘着剤層Bからの活性成分の放出速度
について、表2に示した。
【0067】試験例2(皮膚刺激性試験) 上記各実施例および比較例にて得た経皮吸収製剤を10
cm2の円形に打ち抜き、これを予め背部を刈毛、剃毛
および垢取りをしたウィスター系ラット(8週齢)の背
部の皮膚面に貼付した。貼付後18時間経過後に、製剤
を剥離除去し、貼付部位の皮膚面の刺激の有無を、ドレ
イズらの基準に準じて判定した。結果を表2に示した。
なお、判定基準は以下の通りである。
【0068】<皮膚刺激性> 〇:皮膚刺激が認められない。 △:弱い皮膚刺激が認められる。 ×:中程度以上の皮膚刺激が認められる。
【0069】試験例3(保存安定性試験) 上記各実施例および比較例にて得た経皮吸収製剤を10
cm2の正方形に打ち抜き、25℃で1ヶ月間保存し、
保存開始前と保存1ヶ月経過後における製剤の外観を比
較した。結果を表2に示した。なお、判定基準は以下の
通りである。
【0070】<外観変化> 〇:外観の変化なし △:放出制御層に若干の皺が認められた。 ×:放出制御層の皺および製剤の変形が認められた。
【0071】試験例4(皮膚透過性試験) 上記各実施例および比較例にて得た経皮吸収製剤を10
cm2の正方形に打ち抜き、これを予め背部を刈毛、剃
毛および垢取りをしたウィスター系ラット(8週齢)の
背部の皮膚面に貼付した。貼付後18時間経過後に、製
剤を剥離除去し、製剤中に残存する活性成分の量を測定
した。皮膚移行量は貼付前の製剤中の活性成分の含有量
と、18時間貼付後の残存する活性成分の含有量との差
から算出した。結果を表2に示した。
【0072】
【表2】
【0073】上記表2の結果から明らかなように、実施
例1−9の製剤は、ほとんど皮膚刺激性を有さず、活性
成分の皮膚透過性、保存下での外観変化の点でも実用上
問題ないものであった。一方、放出制御層を有さない比
較例1−2の製剤は、皮膚刺激性や皮膚透過性の点で実
用的に満足できるものではなかった。
【0074】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明に
よれば、活性成分としての特定の1,2−エタンジオー
ル誘導体を持続的に経皮吸収させて、所望の薬理効果を
長時間にわたって発揮できると共に、皮膚刺激が抑制さ
れた、経皮吸収性と低皮膚刺激性が両立した経皮吸収製
剤を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 試験例1における水中放出試験の結果を示す
グラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 47/32 A61K 47/32 47/34 47/34 47/46 47/46 A61P 25/00 A61P 25/00 25/14 25/14 25/28 25/28 (72)発明者 松岡 賢介 大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号 日東 電工株式会社内 (72)発明者 味呑 憲二郎 大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号 日東 電工株式会社内 (72)発明者 仲野 善久 大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号 日東 電工株式会社内 (72)発明者 森山 順一 大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号 日東 電工株式会社内 (72)発明者 山川 哲規 富山県富山市清水町4−3−13 (72)発明者 高倉 恵子 富山県富山市大町26−2 Fターム(参考) 4C076 AA72 BB31 CC01 DD37 DD38 DD41 DD45 EE04 EE10 EE27 FF31 FF32 FF34 FF68 4C086 AA01 AA02 BB03 MA03 MA05 MA32 MA63 NA10 NA12 ZA01 ZA02 ZA16 ZA22

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体の少なくとも片面に、直接的また
    は間接的に、放出制御層を含む粘着剤層を形成してなる
    経皮吸収製剤であって、当該粘着剤層が、粘着剤と、活
    性成分として下記一般式(I)に示される1,2−エタ
    ンジオール誘導体を0.5〜60重量%の範囲内で含有
    することを特徴とする経皮吸収製剤。 【化1】 [式中、R1は、置換されていてもよい複素環基を示
    し;R2は、水素原子、低級アルキル基、低級アルコキ
    シ基または保護されていてもよいヒドロキシル基を示
    し;R3は、水素原子または低級アルキル基を示し;n
    個のR4およびR5は、同一または異なっていてもよく、
    水素原子または低級アルキル基を示し;R6は、置換さ
    れていてもよいアミノ基もしくは含窒素複素環基、また
    はアンモニオ基を示し;かつ、nは0〜6の整数を示
    す。]
  2. 【請求項2】 粘着剤が、(メタ)アクリル酸C2〜18
    アルキルエステルを重合成分として40重量%以上含む
    重合体を主成分とするアクリル酸エステル系粘着剤;ポ
    リイソブチレン、ポリイソプレンおよびスチレン−ジエ
    ン−スチレン共重合体から選ばれる少なくとも一種を主
    成分とするゴム系粘着剤;および、ジメチルシロキサン
    単位を含むポリオルガノシロキサンを主成分とするシリ
    コーン系粘着剤からなる群より選ばれる少なくとも一種
    である、請求項1記載の経皮吸収製剤。
  3. 【請求項3】 粘着剤層が、さらに、グリコール類、油
    脂類、脂肪酸類、アルコール類および脂肪酸エステル類
    からなる群より選ばれる少なくとも一種の有機液状成分
    を含有する、請求項1記載の経皮吸収製剤。
  4. 【請求項4】 粘着剤がポリイソブチレンを主成分とす
    るゴム系粘着剤であり、粘着剤層がさらに高級脂肪酸の
    低級アルキルエステルを含有する、請求項1記載の経皮
    吸収製剤。
  5. 【請求項5】 一般式(I)において、R1がベンゾ
    [b]チオフェン−5−イル基、R2がヒドロキシル
    基、R3、R4およびR5が水素原子、R6がジエチルアミ
    ノ基、かつnが2である、請求項1記載の経皮吸収製
    剤。
  6. 【請求項6】 放出制御層がプラスチック多孔質膜であ
    る、請求項1記載の経皮吸収製剤。
  7. 【請求項7】 プラスチック多孔質膜が高分子量ポリエ
    チレン多孔質膜である、請求項6記載の経皮吸収製剤。
  8. 【請求項8】 プラスチック多孔質膜の気孔率が20〜
    60%である、請求項6または7記載の経皮吸収製剤。
  9. 【請求項9】 放出制御層を含む粘着剤層が、支持体側
    から順に、粘着剤層A/放出制御層/粘着剤層Bの積層
    構造を有する、請求項1記載の経皮吸収製剤。
  10. 【請求項10】 粘着剤層B中の活性成分の含有量が、
    200μg/cm2以下である、請求項9記載の経皮吸
    収製剤。
  11. 【請求項11】 粘着剤層Bからの活性成分の放出速度
    が、180μg/cm2/t1/2以下である、請求項10
    記載の経皮吸収製剤。
  12. 【請求項12】 粘着剤層Aからの活性成分の放出速度
    が、120μg/cm2/t1/2以下である、請求項9ま
    たは10記載の経皮吸収製剤。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO1997039740A1 (fr) * 1996-04-22 1997-10-30 Toyama Chemical Co., Ltd. Timbre contenant des derives du 1,2-ethanediol ou leurs sels

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