JP2002029149A - インクジェット用記録紙、並びにその裁断方法 - Google Patents

インクジェット用記録紙、並びにその裁断方法

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JP2002029149A
JP2002029149A JP2000216917A JP2000216917A JP2002029149A JP 2002029149 A JP2002029149 A JP 2002029149A JP 2000216917 A JP2000216917 A JP 2000216917A JP 2000216917 A JP2000216917 A JP 2000216917A JP 2002029149 A JP2002029149 A JP 2002029149A
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JP2000216917A
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Yoshiharu Hashiguchi
芳春 橋口
Kazuhiro Ishii
和広 石井
Satoru Iwasa
哲 岩佐
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Harima Chemical Inc
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Harima Chemical Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 紙厚を厚くすることなく、簡便な手段でコッ
クリングを有効に防止できるインクジェット用記録紙を
開発する。 【解決手段】 繊維組成物の湿式抄造で得られた基紙に
塗工層を設けたインクジェット用記録紙において、矩形
の単票単位に裁断された記録紙の短辺が上記抄造処理の
流れ方向(MD方向)に沿い、記録紙の長辺が当該流れの
直交方向(CD方向)に沿うことを特徴とするインクジェ
ット用記録紙である。湿式抄造した紙を裁断する際に、
紙の長辺方向をMD方向から所定の勾配だけ傾けて裁断
すると、この勾配が増すほど紙の短辺方向の浸水伸度が
低下し、伸長が抑制されることから、印字方向である記
録紙の短辺方向をMD方向に合わせて裁断すると、通常
の厚みの記録紙であっても、コックリングを有効に防止
できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はインクジェット用記
録紙、並びにその裁断方法に関して、特に短辺である横
幅方向の寸法安定性に優れ、簡便な処理で印字による波
打ち(コックリング)を有効に防止できるものを提供す
る。
【0002】
【発明の背景】近年、記録の多色化或は写真画像の印字
に伴い、インクジェット用記録媒体に対してもより高度
の特性が要求されている。多色化或は写真画像の印字で
は、水性インクを多量に記録紙上に吸収させることか
ら、濃色の印字部はインク中の水分が基紙にまで浸透し
易く、パルプ繊維間の結合を部分的に弱めて伸長するの
に対して、非印字部は変化がないため、記録紙がノズル
ヘッドの走行方向に沿って(且つ、横断面視で上下に)波
打ち、一般にコックリングという現象を起こしてしま
う。コックリングが発生すると、記録紙の凹凸にノズル
ヘッドが接触して記録紙を汚損したり、インク乾燥後も
コックリングによる記録紙の凹凸が残って、画像品位や
商品価値が著しく低下してしまう。
【0003】
【従来の技術】上記コックリングの防止を目的にしたイ
ンクジェット用記録紙の従来技術としては、次のものな
どがある。 (1)従来技術1(特開昭62−95285号公報) 横方向の浸水伸度を抑制する比表面積の大きい無定形シ
リカを20%以上含む塗工層をキャストコート方式で製
造したインクジェット記録用紙が開示されている。
【0004】(2)従来技術2(特開平3−199081号
公報) MD方向(抄紙機の紙の流れ方向)の水中伸度を、CD方
向(抄紙機の流れの横幅方向)の水中伸度の1.3倍以下
に設定して、インク吸収速度を速く保持しながら、イン
ク吸収による寸法変化の偏在を低減するようにしたイン
クジェット用記録紙が開示されている。
【0005】(3)従来技術3(特開平4−91981号公
報) 鏡面ドライヤーでキャスト乾燥した基紙に、顔料と高分
子接着剤などからなる塗工層を設けたインクジェット用
記録紙が開示されている。
【0006】(4)従来技術4(特開平6−171203号
公報) 基紙とインク受容層から成る記録紙において、金属ロー
ルのカレンダー処理により、基紙の密度と、基紙の厚さ
方向における中心部の密度との比率を特定化して、印字
前・後の表面のうねりを抑制するようにしたインクジェ
ット用記録紙が開示されている。
【0007】(5)従来技術5(特開平6−171206号
公報) 基紙の一面にインク受容層を、他面にバックコート層を
設け、バックコート層に含まれる顔料の平均平衡水分値
を特定化したインクジェット用記録紙が開示されてい
る。
【0008】(6)従来技術6(特開平7−205543号
公報) マイクロカプセル中に低沸点溶剤を封入した熱膨張性マ
イクロカプセルなどのような、発泡性粒子を含むパルプ
スラリーから抄造した原紙を用いたものであって、加熱
発泡によって密度を特定化したインクジェット用記録紙
が開示されている。
【0009】(7)従来技術7(特開平7−329413号
公報) 基紙の裏面にその深さが塗工層にまで達しないような傷
又は穴を形成したインクジェット用記録紙が開示されて
いる。
【0010】(8)従来技術8(特開平9−300813号
公報) 記録層の塗工量、及び基紙の坪量を所定範囲に限定し、
相対湿度が上下変化した場合のCD方向の不可逆収縮率
を−0.05〜0.10%、相対湿度が低下した場合の同
方向の伸縮率を0.15〜0.25%としたインクジェッ
ト記録用紙が開示されている。
【0011】(9)従来技術9(特開平10−46498号
公報) ポリアミドエピクロルヒドリン樹脂などの耐水化剤、P
VA、デンプンなどの水溶性高分子、ロジンサイズ剤な
どによりセルロース繊維間結合部保護構造を形成して、
横目方向の浸水伸びを1.8%以下に抑制した電子写真
・インクジェット共用紙が開示されている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術1〜9で
は、基紙の仕上げに特定のカレンダー法又はキャストコ
ート法などを適用し、或は、塗膜の形成方法又は塗膜成
分を特定化するなどの方策によりコックリングを改善す
るようにしているため、工程が煩雑であり、コスト高で
もある。そのうえ、実際問題として、記録紙の坪量を1
40g/m2程度以上に増して紙厚を厚くし、いわば水
分が到達しにくい繊維層部分で補強しなければ、実用上
充分に満足できるレベルでコックリングを防止すること
ができない。
【0013】本発明は、紙厚を厚くすることなく、簡便
な手段でコックリングを有効に防止できるインクジェッ
ト用記録紙を開発することを技術的課題とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】一般に、単票単位のイン
クジェット用記録紙は、A3、A4、A5、B4、B5
などの種類に拘わらず、抄造時の流れ方向であるMD方
向に紙の長辺方向を合わせて裁断している。そして、こ
の記録紙を用いてインクジェット印字する際には、通
常、記録紙の長辺方向をプリンターに装填し、その短辺
方向にノズルヘッドを往復走行させて印字している。一
方、紙を湿式抄造する場合、抄紙機の流れ方向(MD方
向)には常に一定の張力が負荷され、且つ、パルプ繊維
も流れ方向への配向率が高い状態で抄造・乾燥されるた
め、このMD方向には水性液体を吸収した場合の伸縮が
抑制される。これに対して、抄造の幅方向(CD方向)に
は張力は負荷されておらず、繊維同士の絡合度合が低
く、乾燥後には幅方向に自由に収縮するため、水性液体
を吸収すると繊維が元に戻る力が働いてこのCD方向に
伸びてしまう。このように、インクジェット印字では、
記録紙の短辺方向に沿ってノズルヘッドが走行し、しか
も、この短辺方向は抄造時のCD方向に合致するため、
印字によって記録紙の片側に水性液体を吸収するとその
面が容易に伸びて波打ち、その結果、記録紙は短辺方向
に沿ってコックリング現象を起こしてしまう。
【0015】本発明者らは、上記抄造の流れ方向と繊維
の絡合強度との関係に着目したうえで、湿式抄造した紙
を裁断する際に、紙の長辺方向を抄造流れ方向から所定
の勾配だけ傾けて裁断することを着想してこれを試みた
結果(図1参照)、印字方向である紙の短辺方向の浸水伸
度はこの勾配に影響されること、より具体的には、この
勾配が増すほど紙の短辺方向の浸水伸度が低下し、伸長
度合が抑制されることを突き止め、本発明を完成した。
【0016】即ち、本発明1は、繊維組成物の湿式抄造
で得られた基紙に塗工層を設けたインクジェット用記録
紙において、矩形の単票単位に裁断された記録紙の短辺
が上記抄造処理の流れ方向に沿い、記録紙の長辺が当該
流れの直交方向に沿うことを特徴とするインクジェット
用記録紙である。
【0017】本発明2は、上記本発明1において、塗工
層が親水性ポリマー、表面サイズ剤、カチオン性ポリマ
ーの少なくとも一種からなることを特徴とするインクジ
ェット用記録紙である。
【0018】本発明3は、上記本発明1において、塗工
層が顔料と親水性ポリマーからなることを特徴とする請
求項1に記載のインクジェット用記録紙である。
【0019】本発明4は、上記本発明1〜2のいずれか
において、基紙の坪量が60〜140g/m2であるこ
とを特徴とするインクジェット用記録紙である。
【0020】本発明5は、繊維組成物を湿式抄造して長
尺状の基紙を連続的に製造し、基紙上に塗工層を設け、
長尺状の記録紙を矩形の単票単位に裁断するか、或は、
長尺状の基紙を矩形の単票単位に裁断して塗工層を設け
るインクジェット用記録紙の製造方法において、記録紙
又は基紙の短辺方向を上記抄造工程の流れ方向に合わせ
て裁断し、記録紙又は基紙の長辺方向を当該抄造流れの
直交方向に合わせて裁断することを特徴とするインクジ
ェット用記録紙の裁断方法である。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明は、第一に、湿式抄造した
基紙上に塗工層を設けたインクジェット用記録紙におい
て、印字方向である記録紙の短辺方向を抄造流れの方向
(MD方向)に合わせて裁断した記録紙であり、第二に、
その裁断方法である。本発明5の裁断方法では、塗工工
程と裁断工程の順列は問わず、長尺状の基紙に塗工して
から裁断しても、その逆に、裁断した基紙に塗工しても
良い。また、抄紙機での製造工程では、抄紙と塗工を連
続して行うオンマシン塗工、両者を別工程で行うオフマ
シン塗工のいずれで実施しても差し支えない。上記抄紙
機には、長網抄紙機、円網抄紙機、短網抄紙機、サクシ
ョンホーマー、その他一般の機械漉き用の装置が適用で
きることはいうまでもない。
【0022】本発明のインクジェット用記録紙は基紙に
塗工層を設けたコート紙であり、塗工層を設けないノン
コート紙は基本的に排除される。上記記録紙の基紙は、
一般に、化学パルプ、機械パルプ、古紙パルプなどの木
材パルプ又は脱墨パルプ、麻、バガス、ケナフなどの非
木材パルプ、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミ
ドなどの合成繊維、或は再生・半合成繊維などの繊維組
成物を湿式抄造した酸性紙、中性紙、合成紙などであ
り、不透明性の付与やインク吸収性の調整などの見地か
ら、無機、有機填料を任意に含有させることができる。
また、基紙の強度調整、或はインク吸収性や塗工液吸収
性の調整のために、ポリアクリルアミドやデンプン系の
紙力増強剤と共に、ロジン系、アルキルケテンダイマー
系、アルケニルコハク酸無水物系、カチオン性高分子系
などの各種サイズ剤を併用することが望ましい。
【0023】さらに、基紙の製造においては、通常の上
質紙やコート原紙のように、澱粉、ポリビニルアルコー
ルやポリアクリルアミド系表面紙力剤などと共に、アニ
オン性、ノニオン性、カチオン性ポリマーなどの表面サ
イズ剤をサイズプレスやゲートロールコーターなどの塗
工機によって予め塗工し、表面強度やサイズ度を調整し
ておくこともできる。
【0024】基紙表面に設ける塗工層は、基本的にイン
クジェット用の水性インクを吸収する機能を果す層であ
り、従って、本発明3のように、顔料と親水性ポリマー
からなるインク受容層を初めとして、本発明2のよう
に、親水性ポリマー、表面サイズ剤、カチオン性ポリマ
ーの少なくとも一種からなる層であっても良い。本発明
3は高品位インクジェット用専用紙、本発明2はPPC
・インクジェット共用紙を想定したもので、後者の共用
紙の塗工層としては、澱粉等及び表面サイズ剤の混合物
に親水性ポリマーを併用し、或はカチオン性ポリマーに
親水性ポリマーを併用したものが挙げられる。本発明2
のカチオン性ポリマーは、カチオンサイズ剤などとも重
複する概念であり、カチオン性デンプン、カチオン性ポ
リビニルアルコール、カチオン性アクリレート類、カチ
オン性ポリアクリルアミド類、カチオン性ウレタン類、
ポリアミンエピクロルヒドリン樹脂などのカチオン性水
溶性樹脂、或はカチオン性エマルションなどが挙げられ
る。本発明3の塗工層(即ち、インク受容層)に使用する
顔料としては、微粒シリカ、微粒アルミナなどを初め、
炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、タル
ク、サチンホワイト、リトポン、ゼオライト、硫酸カル
シウム、硫酸バリウム、酸化チタン、酸化亜鉛、炭酸亜
鉛、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マ
グネシウム、ケイソウ土、水酸化マグネシウムなどの
外、インクジェット用記録紙のインク受容層に用いられ
る各種顔料が挙げられる。また、顔料と配合して用いる
バインダ用の親水性ポリマーとしては、ポリビニルアル
コール、カチオン変性ポリビニルアルコール、シリル変
性ポリビニルアルコール等のポリビニルアルコール類、
酸化デンプン、エーテル化デンプン等の変性デンプン
類、ポリビニルピロリドン、カゼイン、カルボキシメチ
ルセルロース、メチルセルロース等のセルロース誘導体
などが挙げられる。親水性調整のために、スチレン・ブ
タジエン共重合体エマルション、アクリル系共重合体エ
マルション、エチレン・酢酸ビニル共重合体エマルショ
ンなどを併用しても良い。上記インク受容層には、顔料
と親水性ポリマーの他に、印字耐水性のためにカチオン
性化合物を配合することもできる。さらに、インク受容
層を含む本発明の塗工層には、必要に応じて、顔料分散
剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、発泡剤、浸透剤、
蛍光増白剤、紫外線吸収剤、防腐剤などの各種添加剤を
配合できる。
【0025】インク受容層を含む塗工層は、前述したよ
うに、オンマシン、オフマシン方式のいずれで塗工して
も良く、通常のブレードコーター、エアーナイフコータ
ー、カーテンコーター、ダイコーターなどを用いて塗工
される他、キャストコートなどの強光沢処理を行っても
差し支えない。
【0026】本発明のインクジェット用記録紙は、矩形
状記録紙の長辺方向を抄造時の紙幅方向(CD方向)に合
わせ、印字方向である記録紙の短辺方向を抄造流れの方
向(抄紙機の搬送方向;MD方向)に合わせて裁断した記
録紙である。この場合、前述したように、塗工工程と裁
断工程の順列は問わず、長尺状基紙に塗工した後に単票
単位に裁断しても、逆に、裁断した単票単位の基紙に塗
工しても良い。従って、本発明1〜4の記録紙は、塗工
後に裁断した記録紙、裁断した後に塗工した記録紙の両
方を含む概念である。本発明4に示すように、記録紙の
坪量は60〜140g/m2が好ましい。坪量が小さ過
ぎると、裁断方向を特定化しても薄い紙厚のために水性
インクの浸透で繊維同士の結合が弱くなってコックリン
グを生じ易くなる。坪量が大きくなり過ぎると、記録紙
の使い勝手が低下するうえ、前述したように、その厚み
自体の強度でコックリングを防止することができ、本発
明の意義が低下する。また、記録紙の製造工程として
は、オンマシン、或はオフマシンコートした長尺状の記
録紙を単票単位に裁断するのが一般的であり、抄紙機の
ワインダーパートの次に裁断手段が設置される。従っ
て、本発明5の裁断方法では、記録紙の短辺方向を抄造
工程の流れ方向に合わせて裁断し、長辺方向を当該抄造
流れの直交方向に合わせて裁断して、長尺記録紙から単
票単位の矩形記録紙を製造する場合が多い。但し、既述
のように、基紙の短辺方向をMD方向に、基紙の長辺方
向をCD方向に合わせて裁断して、長尺基紙から単票単
位の矩形状基紙を製造した後に、塗工を施して記録紙を
製造する方式も本発明5の裁断方法には含まれる。
【0027】
【作用】図1に示すように、抄造の流れ方向(MD方向)
に対して長辺方向の角度を変えて複数の記録紙試料を矩
形状に裁断した場合、後述の試験例から、試料の角度が
0度から90度に増大するほど(つまり、試料の短辺方
向がMD方向に沿うようになるほど)、当該試料の短辺
方向の浸水伸度は、繊維の絡合強度が強まるために低下
して、伸長が抑制されることが窺える。従って、インク
ジェット用記録紙の印字方向である短辺方向を繊維同士
の絡合強度が増大するMD方向に沿わせて裁断すると、
多色印字に際して水性インクを多く吸収してもほとんど
伸長しないことが推定できる。このため、上記裁断方式
を長尺状のインクジェット用記録紙に適用すると、坪量
60〜140g/m2程度の通常の厚みにおいても、従
来起こっていた印字幅方向のコックリング現象を有効に
抑制することができる。また、印字に際して、記録紙の
CD方向つまり長辺方向には伸びがあるものの、この方
向への各色インクの印字中の移動幅は短いため、先のイ
ンク印字後から最後の色のインク印字までの伸びによる
印字のずれは起こらない。
【0028】
【発明の効果】湿式抄造した長尺状のインクジェット用
記録紙を矩形状の単票単位に裁断する際に、印字方向、
つまりノズルヘッドの走行方向である短辺方向を繊維同
士の絡合強度が強まる抄造の流れ方向(MD方向)に合わ
せ、長辺方向を当該流れの直交方向(CD方向)に合わせ
て裁断するため、記録紙を厚く補強せずに、通常の厚み
であっても、簡便な操作によってコックリングを有効に
防止することができる。
【0029】
【実施例】以下、インクジェット用記録紙の製造実施
例、長辺を抄造流れへの角度を変えて裁断した際の各種
記録紙の浸水伸度試験例、並びに記録紙のコックリング
試験例を順次説明する。また、実施例、試験例中に示さ
れた「部」及び浸水伸度以外の「%」は、全て重量基準
である。尚、本発明は下記の実施例、試験例に拘束され
るものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意の
変形をなし得ることは勿論である。
【0030】《インクジェット用記録紙の製造実施例》
下記の実施例1は湿式抄造した基紙に親水性ポリマーと
表面サイズ剤をオンマシン塗工し、裁断したPPC・イ
ンクジェット共用紙の準拠例、実施例2は湿式抄造して
裁断した基紙に、顔料、バインダ用親水性ポリマー及び
耐水化剤を塗工したインクジェット専用紙の準拠例であ
る。また、比較例1〜4は上記実施例1の抄造及び塗工
条件に基づき、比較例5〜6は上記実施例2の抄造及び
塗工条件に基づいた例である(従って、比較例1〜4は
実施例1のグループに属し、比較例5〜6は実施例2の
グループに属する)。図1に示すように、実施例1のグ
ループは、記録紙の長辺の裁断方向をMD方向に対して
0〜90度の勾配θに変化させた例であり、比較例1は
勾配θ=0度、比較例2は勾配θ=30度、比較例3は
勾配θ=45度、比較例4は勾配θ=60度、実施例1
は勾配θ=90度の例である。また、実施例2のグルー
プも同様に勾配を変化させたもので、比較例5は勾配θ
=0度、比較例6は勾配θ=45度、実施例2は勾配θ
=90度の例である。
【0031】(1)実施例1 LBKP:NBKP=8:2 CFS=420
ml 上記叩解済みのパルプ100部に、填料として軽質炭酸
カルシウム5部とカオリン5部を添加して、オントップ
多筒型抄紙機で抄造した後、酸化澱粉(濃度4%)とスチ
レン・アクリル酸塩型表面サイズ(濃度0.2%)の混合
液を30g/m 2の条件にて塗工機(シムサイザー)でオ
ンマシン塗工し、乾燥して、坪量65g/m2、ステキ
ヒトサイズ度25秒のインクジェット用記録紙を連続製
造した。次いで、図1cに示すように、上記ロール状記
録紙を、記録紙の短辺が抄造の流れ方向(MD方向)に沿
い、その長辺が抄造流れの直交方向(CD方向)に沿う条
件でA4サイズに裁断し、単票単位のインクジェット用
記録紙を得た。
【0032】(2)比較例1 上記実施例1に基づいて製造したロール状の記録紙を、
図1aに示すように、記録紙の長辺がMD方向に、ま
た、短辺がCD方向に夫々沿う条件でA4サイズに裁断
し、インクジェット用記録紙を得た。
【0033】(3)比較例2 上記実施例1に基づいて製造したロール状の記録紙を、
記録紙の長辺がMD方向に対して30度傾いた角度に、
また、短辺がCD方向に対して30度傾いた角度に夫々
沿う条件で(即ち、図1bの勾配θ=30度に設定して)
A4サイズに裁断し、インクジェット用記録紙を得た。
【0034】(4)比較例3 上記実施例1に基づいて製造したロール状の記録紙を、
記録紙の長辺がMD方向に対して45度傾いた角度に、
また、短辺がCD方向に対して45度傾いた角度に夫々
沿う条件で(即ち、図1bの勾配θ=45度に設定して)
A4サイズに裁断し、インクジェット用記録紙を得た。
【0035】(5)比較例4 上記実施例1に基づいて製造したロール状の記録紙を、
記録紙の長辺がMD方向に対して60度傾いた角度に、
また、短辺がCD方向に対して60度傾いた角度に夫々
沿う条件で(即ち、図1bの勾配θ=60度に設定して)
A4サイズに裁断し、インクジェット用記録紙を得た。
【0036】(6)実施例2 LBKP:NBKP=8:2 CFS=420m
l 上記叩解済みのパルプ100部に、填料として軽質炭酸
カルシウム10部を添加し、実施例1と同様のオントッ
プ多筒型抄紙機で抄造して、坪量84g/m2、ステキ
ヒトサイズ度5秒のインクジェット記録紙用の基紙を得
た。次いで、図1cに示すように、基紙の短辺がMD方
向、また、長辺がCD方向に夫々沿う条件でA4サイズ
に裁断し、塗工原紙とした。そして、微細シリカ100
部、PVA60部、カチオン性耐水化剤20部を混合
し、濃度13%とした塗工液を上記原紙の片面に固形分
4g/m2の条件にて塗工した。乾燥後線圧30kg/
cmでカレンダー処理し、単票単位のインクジェット用
記録紙を得た。
【0037】(7)比較例5 上記実施例2に基づいて製造したロール状の基紙を、図
1aに示すように、基紙の長辺がMD方向に、また、短
辺がCD方向に夫々沿う条件でA4サイズに裁断した
後、同実施例2の条件で塗工し、インクジェット用記録
紙を得た。
【0038】(8)比較例6 上記実施例2に基づいて製造したロール状の基紙を、基
紙の長辺がMD方向に対して45度傾いた角度に、ま
た、短辺がCD方向に対して45度傾いた角度に夫々沿
う条件で(即ち、図1bの勾配θ=45度に設定して)A
4サイズに裁断した後、同実施例2の条件で塗工し、イ
ンクジェット用記録紙を得た。
【0039】《インクジェット用記録紙の浸水伸度試験
例》実施例1〜2及び比較例1〜6の各インクジェット
用記録紙について、J.TAPPI紙パルプ試験方法N
o.27のA法に従い、各記録紙からその短辺方向、長
辺方向に沿って夫々長さ250mm、幅50mmの試験
紙を切り取り、試験紙の中央部に200mmの間隔に切
れ目を入れ、水中に15分間浸漬した。次いで、浸漬後
に伸びた切れ目の長さを元の長さで除して、浸水伸度を
算出した。尚、図1a〜図1cの各P部は、短辺方向用
に切り取られるべき試験紙を表しており、この切れ目が
短辺方向に合致することになる。
【0040】下表はその試験結果を示す。 長辺のMD方向 短辺方向 長辺方向 からの傾き角度 浸水伸度(%) 浸水伸度(%) 比較例1 0 2.5 0.1 比較例2 30 1.8 −− 比較例3 45 1.0 −− 比較例4 60 0.7 −− 実施例1 90 0.1 2.5 比較例5 0 2.0 0.0 比較例6 45 0.9 −− 実施例2 90 0.0 2.0 尚、裁断した各記録紙の短辺のCD方向からの傾き角度
は、上記長辺のMD方向からの傾き角度に等しい。
【0041】上記試験結果によると、MD方向に対して
長辺方向の角度を変化させて裁断した複数の試験紙試料
においては、試料の角度が0度から90度に増大するほ
ど、つまり、実施例1のグループでいえば、比較例1→
比較例2→比較例3→比較例4→実施例1に移行するほ
ど、当該試料の印字方向でもある短辺方向の浸水伸度が
低下することが明らかになった。そして、この角度の増
大に伴って浸水伸度が低下する関係は、実施例1のグル
ープと実施例2のグループとの対比でも判るように、塗
工成分を変えても、或は、裁断と塗工の順序を変えても
共通し、同じ結果をもたらす。従って、本試験結果によ
ると、インクジェット用記録紙の印字方向である短辺方
向を繊維同士の絡合強度が増大するMD方向に沿わせて
裁断すると、インクジェット印字に際して水性インクを
多く吸収しても伸長に対して強い抵抗力を示すことが推
測される。
【0042】そこで、上記実施例1及び2の各グループ
の中から、切り取られた試験紙試料の短辺方向の浸水伸
度が最も異なる一対を選び出す基準により、実施例1と
比較例1、並びに実施例2と比較例5を抽出して、これ
らの各試料に実際のインクジェット印字をを実施して、
コックリングの発生状況を調べた。 《インクジェット用記録紙のコックリング試験例》即
ち、種類の異なる市販のインクジェットプリンターA
(BJF−600;キヤノン社製)、及び同プリンターB
(PM−750C;エプソン社製)の2台を用意し、実施
例1〜2、比較例1及び5の各インクジェット用記録紙
を各プリンターに塗工面が印字側に臨んだ状態で長辺方
向に沿わせて装填し、ノズルヘッドを短辺方向に往復走
行させて、上余白1.5cm、左・右の各余白1.5cm
を空けた状態で、茶色にて12cm×8cmのベタ印字
を行って、各記録紙のコックリングの有無を目視観察し
た。コックリングの評価基準は次の通りである。○:記
録紙に波打ち現象が認められず、コックリングは発生せ
ず。×:記録紙の波打ちが目立ち、コックリングが発生
した。
【0043】下表はその試験結果を示す。 上記試験結果によると、従来の裁断方式と同様に、長辺
方向を抄造の流れ方向(MD方向)に合わせ、短辺方向を
当該流れの直交方向(CD方向)に合わせて裁断した比較
例1又は5の記録紙は、コックリングが発生したのに対
して、短辺をMD方向に、また、長辺をCD方向に夫々
合わせた実施例1又は2の記録紙は、インクジェットプ
リンターの種類を問わず、いずれもコックリングを有効
に防止できることが明らかになった。ちなみに、前記試
験例では、MD方向への傾き角度が増大すると浸水伸度
が低下する(つまり、繊維同士の絡合強度が増大する)関
係が明らかになったが、この関係性によって上記コック
リング試験の結果はより良く裏付けられる。以上のよう
に、本試験例によれば、インクジェット用記録紙に本発
明の裁断方式を適用すると、通常の厚みの記録紙であっ
ても、インク乾燥後の波打ち現象がほとんど見られない
記録紙を簡便な処理で製造できることが判明した。
【図面の簡単な説明】
【図1】抄造の流れ方向(MD方向)に対して長辺方向を
勾配θだけ傾けた状態の記録紙試料の裁断原理図であ
り、図1aはθ=0度での裁断図、図1bは0〜90度
の中間値での裁断図、図1cはθ=90度での裁断図で
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岩佐 哲 兵庫県加古川市野口町水足671番地の4 ハリマ化成株式会社内 Fターム(参考) 2C056 FC06 2H086 BA02 BA21 BA33 BA35 BA37

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維組成物の湿式抄造で得られた基紙に
    塗工層を設けたインクジェット用記録紙において、 矩形の単票単位に裁断された記録紙の短辺が上記抄造処
    理の流れ方向に沿い、記録紙の長辺が当該流れの直交方
    向に沿うことを特徴とするインクジェット用記録紙。
  2. 【請求項2】 塗工層が親水性ポリマー、表面サイズ
    剤、カチオン性ポリマーの少なくとも一種からなること
    を特徴とする請求項1に記載のインクジェット用記録
    紙。
  3. 【請求項3】 塗工層が顔料と親水性ポリマーからなる
    ことを特徴とする請求項1に記載のインクジェット用記
    録紙。
  4. 【請求項4】 基紙の坪量が60〜140g/m2であ
    ることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載
    のインクジェット用記録紙。
  5. 【請求項5】 繊維組成物を湿式抄造して長尺状の基紙
    を連続的に製造し、基紙上に塗工層を設け、長尺状の記
    録紙を矩形の単票単位に裁断するか、或は、長尺状の基
    紙を矩形の単票単位に裁断して塗工層を設けるインクジ
    ェット用記録紙の製造方法において、 記録紙又は基紙の短辺方向を上記抄造工程の流れ方向に
    合わせて裁断し、記録紙又は基紙の長辺方向を当該抄造
    流れの直交方向に合わせて裁断することを特徴とするイ
    ンクジェット用記録紙の裁断方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007107171A (ja) * 2005-09-14 2007-04-26 Nippon Paper Industries Co Ltd 浸透抑制方法およびそれを用いた印刷用塗工原紙並びに印刷用塗工紙
JP2021075058A (ja) * 2021-01-13 2021-05-20 カシオ計算機株式会社 熱膨張性シート及び熱膨張性シートの製造方法

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