JP2002026432A - 高出力光発生装置及びその製造方法 - Google Patents

高出力光発生装置及びその製造方法

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JP2002026432A
JP2002026432A JP2000205095A JP2000205095A JP2002026432A JP 2002026432 A JP2002026432 A JP 2002026432A JP 2000205095 A JP2000205095 A JP 2000205095A JP 2000205095 A JP2000205095 A JP 2000205095A JP 2002026432 A JP2002026432 A JP 2002026432A
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inner tube
optical fiber
peripheral surface
stock solution
outer peripheral
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JP2000205095A
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English (en)
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実 ▲吉▼田
Minoru Yoshida
Norio Naka
典生 中
Yoshihito Hirano
嘉仁 平野
Yasuharu Koyada
康晴 小矢田
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Mitsubishi Cable Industries Ltd
Mitsubishi Electric Corp
Original Assignee
Mitsubishi Cable Industries Ltd
Mitsubishi Electric Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 集光性に優れ、且つダブルクラッドファイバ
により構成される高出力光発生装置よりも高出力光を得
ることができる高出力光発生装置を提供する。 【解決手段】 高出力光発生装置10を、同心状に間隔
をおいて配設された内管11及び外管12と、内管11
の外周面上に、ファイバ中心を長さ方向に延び且つ励起
光活性物質がドープされたコアとそのコアを覆うように
設けられたクラッドとを有する光ファイバ20を、隙間
なく螺旋状に且つ内管11の中心軸方向に往来させて多
層に巻き付けて形成された光ファイバ層13と、内管1
1と外管12との隙間に、光ファイバ層13が埋設状態
で設けられた樹脂層14とを備えるものとし、内管11
及び外管12並びに樹脂層14のそれぞれの屈折率を、
クラッドの屈折率と略同一とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高出力光発生装置
及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】高出力光発生装置として構成される光フ
ァイバとして、図9に示すような構造のダブルクラッド
ファイバaが知られている。このダブルクラッドファイ
バaは、ファイバ中心を長さ方向に延びる断面円形のコ
アbと、コアbを被覆するように設けられた断面矩形の
第1クラッドcと、第1クラッドcを被覆するように設
けられた樹脂製の第2クラッドdとからなり、コアbに
は希土類元素(Er等)等の励起光活性物質がドープさ
れていると共に第1クラッドcよりも僅かに屈折率が高
い構成となっている。そして、コアbにシングルモード
の信号光を伝播させると共に第1クラッドcにマルチモ
ードの励起光を入射させると、励起光が第1クラッドc
を全反射しながら進行する間にコアbを繰り返し横切
り、それによってコアbにドープされた励起光活性物質
が励起され、それが基底状態となるときに放出されるエ
ネルギーによってコアbを伝播する信号光が強められ、
高出力光が得られるというものである。ここで、第1ク
ラッドcを断面矩形としているのは、励起光がコアbを
横切る確率を高めるためである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、ダブルクラ
ッドファイバaにより構成されるかかる高出力光発生装
置では、励起光を入射できる面積に制限があるため、ス
ポット径の大きな高出力の励起光源を直接使用すること
が難しく、また、それを使用するとしても別の光学系を
用いて集光するなどの工夫が必要となることから、集光
性に劣り、信号光を強めるのにも限界があるという問題
がある。
【0004】本発明は、かかる点に鑑みてなされたもの
であり、その目的とするところは、集光性に優れ、且つ
上記のようなダブルクラッドファイバにより構成される
高出力光発生装置よりも高出力光を得ることができる高
出力光発生装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、内管に光ファ
イバを巻き付けて光ファイバ層を形成し、さらにその光
ファイバ層を埋設する樹脂層を内管の外側に設けるよう
にしたものである。
【0006】具体的には、本出願の発明は高出力光発生
装置であって、内管と、上記内管の外周面上に、ファイ
バ中心を長さ方向に延び且つ励起光活性物質がドープさ
れたコアと該コアを覆うように設けられたクラッドとを
有する光ファイバを、隙間なく螺旋状に単層に巻き付け
て、又は隙間なく螺旋状に且つ該内管の中心軸方向に往
来させて多層に巻き付けて形成された光ファイバ層と、
上記光ファイバ層が埋設された状態で上記内管の外周面
を被覆し且つ露出面が鏡面に形成された樹脂層とを備
え、上記内管及び上記樹脂層のそれぞれの屈折率が、上
記クラッドの屈折率と略同一であることを特徴とする。
【0007】また、本出願の他の発明も高出力光発生装
置であって、同心状に間隔をおいて配設された内管及び
外管と、上記内管の外周面上に、ファイバ中心を長さ方
向に延び且つ励起光活性物質がドープされたコアと該コ
アを覆うように設けられたクラッドとを有する光ファイ
バを、隙間なく螺旋状に単層に巻き付けて、又は隙間な
く螺旋状に且つ該内管の中心軸方向に往来させて多層に
巻き付けて形成された光ファイバ層と、上記光ファイバ
層が埋設された状態で上記内管と上記外管との隙間に充
填状態に設けられた樹脂層とを備え、上記内管及び上記
外管並びに上記樹脂層のそれぞれの屈折率が、上記クラ
ッドの屈折率と略同一であることを特徴とする。
【0008】上記の各構成によれば、高出力光発生装置
の外周面側、内周面側及び端面側のいずれからもプリズ
ムを介する等により励起光を入射させることができるこ
とから集光性に優れ、また、スポット径の大きい高出力
光源であっても複数個を直接に使用することができるの
で、光ファイバのコアにドープされた励起光活性物質の
多数が励起されることとなり、それが基底状態となると
きに放出されるエネルギーによりコアを伝播する信号光
は著しく強められ、極めて高出力の光が得られることと
なる。また、出力制御は、内管に巻き付ける光ファイバ
の長さ(光ファイバ層の層数)を設定することによって
も達成することができる。
【0009】また、光ファイバのコア以外の屈折率が略
同一に構成されているので、励起光は無用な屈折及びそ
れに起因する散乱を生じることなく伝播することとな
り、励起効率が優れたものとなる。
【0010】さらに、内管の内側に励起光源を設けるこ
ともできるので、励起光源を含めた高出力光発生装置と
してコンパクト化を図ることもできる。
【0011】そして、光ファイバ層が樹脂層(及び外
管)によって保護されるので、光ファイバの損傷が防止
されることとなる。
【0012】ここで、励起光活性物質とは、ある波長の
光を受けることによって励起状態を呈する元素等を指
し、具体的には、Er等の希土類元素を挙げることがで
きる。
【0013】ところで、光ファイバとしてはダブルクラ
ッドファイバを用いてもよいが、その場合、第1クラッ
ドを形成するための母材を断面矩形に研磨加工する必要
があり、製造工程が複雑であるという問題や、第1クラ
ッドが断面矩形であるために、表面を被覆する第2クラ
ッドの肉厚に厚薄が生じ、その薄肉の部分に破損が生じ
やすい上、コア中心がファイバ軸からずれる偏肉を生じ
やすいという問題が生じる。従って、かかる問題を生じ
ることがない断面円形のコアとクラッドとが同心状に配
置された光ファイバを用いることが好ましい。
【0014】また、光ファイバは、クラッドの外側を樹
脂等で保護する被覆部が設けられているものであっても
よいが、その場合、被覆部の屈折率がクラッドの屈折率
と略同一であることが必要である。
【0015】さらに、光ファイバは、外径が可能な限り
小さく、被覆部が設けられる場合はそれが可能な限り薄
肉のものであることが望ましい。さらに、内管及び/又
は外管も可能な限り薄肉であることが望ましい。かかる
構成によれば、内管に励起光活性物質を含んだコアを持
つ光ファイバを巻き付けた状態、もしくは、その外側か
ら外管を同心状に配設した状態での全体積に対するコア
の占める比率を多くすることができ、同一励起光量を入
射させた場合における励起効率を高めることができるか
らである。
【0016】そして、光ファイバは、カットオフ波長が
信号光波長に近いものであることが望ましい。かかる構
成によれば、内管に光ファイバを巻き付ける際に生じる
曲げ変形に起因する信号光のマイクロベンド損失の拡大
を抑止することができるからである。
【0017】また、光ファイバは、カットオフ波長が比
較的長いもの、すなわち、光ファイバのコア径が大きく
構成されているものであることが好ましい。励起光を吸
収するコアの占める割合を多くすることができ、同一光
量を照射した場合における励起効率を高めることができ
るからである。
【0018】上記本出願の他の発明に係る高出力光発生
装置の製造方法としては、内管の外周面上に、光ファ
イバを隙間なく螺旋状に単層に巻き付けて、又は隙間な
く螺旋状に且つ内管の中心軸方向に往来させて多層に巻
き付けて光ファイバ層を形成する第1工程と、光ファ
イバを巻き付けた内管と同心状に外管を配設する第2工
程と、同心状に配設された内管と外管の隙間に未硬化
樹脂原液を注入充填し、その未硬化樹脂原液を硬化させ
ることにより樹脂層を形成する第3工程と、により構成
すればよい。
【0019】また、第1工程においては、光ファイバを
内管の外周面上に巻き付ける前に、光ファイバ表面及び
内管の外周面上に、第3工程で注入充填する未硬化樹脂
原液に対する親和性を付与する親和性付与処理を施すこ
とが好ましい。かかる構成によれば、第3工程で注入充
填する未硬化樹脂原液に対する光ファイバ及び内管の外
周面の濡れ性が良好となるため、第3工程で未硬化樹脂
原液を注入充填する際に、充填された未硬化樹脂原液が
光ファイバ間の間隙を含む内管と外管との隙間全体に隈
無く行き渡ることとなるからである。ここで、親和性付
与処理としては、特に限定されるものではないが、光フ
ァイバ及び内管の外周面に親和性付与剤を塗布する処理
等を挙げることができる。また、この親和性付与剤とし
ては、特に限定されるものではないが、光ファイバ層が
埋設された状態に形成される樹脂層の異物とならないよ
うに、その樹脂層を構成する未硬化樹脂原液を用いるこ
とが好ましい。
【0020】さらに、親和性付与処理を、光ファイバの
表面及び内管の外周面上に、第3工程で注入充填する未
硬化樹脂原液に対して親和性を有する親和性付与剤を塗
布する処理とした場合、親和性付与剤を塗布した光ファ
イバを、ガイド部材によって内管の外周面上における一
周前に巻き付けられた光ファイバの部分に押し付けなが
ら内管の外周面に巻き付けるようにしてもよい。かかる
構成によれば、ガイド部材を用いているので、内管の外
周面上に隙間を形成することなく光ファイバが巻き付け
られることとなると共に、光ファイバ表面をガイド部材
が摺動することにより生じる光ファイバの損傷が親和性
付与剤によって抑止されることとなる。
【0021】そして、第3工程においては、未硬化樹脂
原液を、その粘度が5.0×10-3〜1.0×10-2
a・sであるように選定することが好ましい。かかる構
成によれば、未硬化樹脂原液の粘度が適正であるので、
内管と外管の隙間に未硬化樹脂原液を容易に且つ適正に
充填することができる。すなわち、この粘度が5.0×
10-3Pa・sより低いと、一方の端から注入した未硬
化樹脂原液が他方の端から流出し易く、未硬化樹脂原液
の充填を円滑に進めることができず、また、1.0×1
-2Pa・sより高いと、樹脂層に空隙を形成してしま
い、それによって励起光が散乱することとなる。
【0022】また、同じく第3工程において、未硬化樹
脂原液を紫外線硬化型樹脂原液とし、その紫外線硬化型
樹脂原液を内管と外管との隙間に注入充填し、その充填
した紫外線硬化型樹脂原液に、内管及び外管の中心軸に
沿って一端側から他端側に向かって順に紫外線を照射し
てゆき、紫外線硬化型樹脂原液を硬化させて樹脂層を形
成することが好ましい。かかる構成によれば、内管と外
管の隙間に紫外線硬化型樹脂原液を注入充填し、外部か
ら紫外線を照射するだけでよいので、容易に樹脂層を形
成させることができる。しかも、紫外線の照射を内管及
び外管の中心軸方向に沿って一端側から他端側に順に樹
脂の硬化が生じるので、硬化の際の樹脂の収縮分を未硬
化部分によって埋め合わせることができる。
【0023】
【発明の効果】以上説明したように、本出願の発明及び
本出願の他の発明によれば、高出力光発生装置の外周面
側、内周面側及び端面側のいずれからもプリズムを介し
て励起光を入射させることができることから集光性に優
れ、また、スポット径の大きい高出力光源であっても複
数個を直接に使用することができるので、光ファイバの
コアにドープされた励起光活性物質の多数が励起される
こととなり、それが基底状態となるときに放出されるエ
ネルギーによりコアを伝播する信号光は著しく強めら
れ、極めて高出力の光を得ることができる。また、光フ
ァイバのコア以外の屈折率が略同一に構成されているの
で、励起光は無用な屈折及びそれに起因する散乱を生じ
ることなく伝播することとなり、励起効率を優れたもの
とすることができる。さらに、内管の内側に励起光源を
設けることもできるので、励起光源を含めた高出力光発
生装置としてコンパクト化を図ることもできる。そし
て、光ファイバ層が樹脂層(及び外管)によって保護さ
れるので、光ファイバの損傷を防止することができる。
【0024】また、第1工程において、光ファイバを内
管の外周面上に巻き付ける前に、光ファイバ表面及び内
管の外周面上に第3工程で注入充填する未硬化樹脂原液
に対する親和性を付与する親和性付与処理を施すことに
より、第3工程で注入充填する未硬化樹脂原液に対する
光ファイバ及び内管の外周面の濡れ性が良好となり、第
3工程で未硬化樹脂原液を注入充填する際に、充填され
た未硬化樹脂原液を光ファイバ間の間隙を含む内管と外
管との隙間全体に隈無く行き渡らせることができる。
【0025】また、親和性付与処理を、光ファイバの表
面及び内管の外周面上に、第3工程で注入充填する未硬
化樹脂原液に対して親和性を有する親和性付与剤を塗布
する処理とした場合、親和性付与剤を塗布した光ファイ
バを、ガイド部材によって内管の外周面上における一周
前に巻き付けられた光ファイバの部分に押し付けながら
内管の外周面に巻き付けるようにすることにより、内管
の外周面上に隙間を形成することなく光ファイバが巻き
付けることができると共に、光ファイバ表面をガイド部
材が摺動することにより生じる光ファイバの損傷を親和
性付与剤によって抑止することができる。
【0026】また、第3工程において、未硬化樹脂原液
を、その粘度が5.0×10-3〜1.0×10-2Pa・
sであるように選定するようにすれば、未硬化樹脂原液
の粘度が適正であるので、内管と外管の隙間に未硬化樹
脂原液を容易に且つ適正に充填することができる。
【0027】また、第3工程において、未硬化樹脂原液
を紫外線硬化型樹脂原液とし、その紫外線硬化型樹脂原
液を内管と外管との隙間に注入充填し、その充填した紫
外線硬化型樹脂原液に、内管及び外管の中心軸に沿って
一端側から他端側に向かって順に紫外線を照射してゆ
き、紫外線硬化型樹脂原液を硬化させて樹脂層を形成す
るようにすれば、内管と外管の隙間に紫外線硬化型樹脂
原液を注入充填し、外部から紫外線を照射するだけでよ
いので、容易に樹脂層を形成させることができ、しか
も、紫外線の照射を内管及び外管の中心軸方向に沿って
一端側から他端側に順に樹脂の硬化が生じるので、硬化
の際の樹脂の収縮分を未硬化部分によって埋め合わせる
ことができる。
【0028】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に
基づいて詳細に説明する。 <高出力光発生装置の構成>図1は、本発明の実施形態
に係る高出力光発生装置10を示す。
【0029】この高出力光発生装置10は、同心状に間
隔をおいて配設されたSiO2製の内管11及び外管1
2と、内管11の外周面上に光ファイバ20を隙間なく
螺旋状に且つ内管11の中心軸方向に往復させて2層に
巻き付けて形成された光ファイバ層13と、内管11と
外管12との隙間に光ファイバ層13が埋設された状態
で設けられたアクリル系紫外線硬化型樹脂製の樹脂層1
4とからなる。そして、内管11に巻き付けられた光フ
ァイバ20の両端部分が装置10の端部から延びて入力
部及び出力部を構成している。
【0030】内管11の外周面上に巻き付けられた光フ
ァイバ20は、図2に示すように、ファイバ中心を長さ
方向に延び且つ励起光活性物質(Er等の希土類元素)
及びGeがドープされたSiO2組成物製のコア21
と、そのコア21を覆うように設けられたSiO2製の
クラッド22と、その外周面を被覆する紫外線硬化型樹
脂製の被覆部23とからなる。
【0031】そして、内管11及び外管12はSiO2
製であり、従って、クラッド22と略同一の屈折率を有
し(屈折率1.4585)、また、樹脂層14(屈折率
1.459〜1.460)及び光ファイバ20の被覆部
23(屈折率1.459〜1.460)のそれぞれもま
た、クラッド22と略同一の屈折率を有する。
【0032】次に、本発明の実施形態に係る高出力光発
生装置10の使用方法について説明する。図3及び4
は、この高出力光発生装置10の使用状態を示す。
【0033】図3に示すように、高出力光発生装置10
から延びる一対の光ファイバ20端部の一方からコヒー
レントな信号光を入射する。そして、プリズムを介する
などして、高出力光発生装置10へ励起光を入射させ
る。励起光の入射は、図4に示すように、高出力光発生
装置10の外周面側、内周面側及び端面側のいずれから
でも可能であり、これらのうち少なくとも一箇所から励
起光を入射させる。このとき、内管11、外管12、及
び樹脂層13並びに光ファイバの被覆部23はすべて屈
折率が略同一であり、そのため高出力光発生装置10断
面における屈折率分布は、図5に示すように、光ファイ
バ20のコア21部分とそれ以外の部分の2つに分かれ
ることとなる。そして、入射させた励起光は、光ファイ
バ20のコア21にドープされた励起光活性物質を励起
状態にし、それが基底状態になる際に放出されるエネル
ギーがコア21を伝播する信号光に付与されることとな
り、高出力光が光ファイバ20の他端から出力されるこ
ととなる。
【0034】上記構成の高出力光発生装置10によれ
ば、高出力光発生装置10の外周面側、内周面側及び端
面側のいずれからも励起光を入射させることができるこ
とから集光性に優れ、また、スポット径の大きい高出力
光源であっても複数個を直接に使用することができるの
で、光ファイバ20のコア21にドープされた励起光活
性物質の多数が励起されることとなり、それが基底状態
となるときに放出されるエネルギーによりコア21を伝
播する信号光は著しく強められ、極めて高出力の光が得
られることとなる。
【0035】また、光ファイバ20のコア21以外の屈
折率が略同一に構成されているので、励起光は無用な屈
折及びそれに起因する散乱を生じることなく伝播するこ
ととなり、励起効率が優れたものとなる。
【0036】さらに、内管11の内側に励起光源を設け
ることもできるので、励起光源を含めた高出力光発生装
置10としてコンパクト化を図ることもできる。
【0037】そして、光ファイバ層13が樹脂層14及
び外管12によって保護されるので、光ファイバ20の
損傷が防止されることとなる。 <高出力光発生装置の製造方法>続いて上記高出力光発
生装置10の製造方法について説明する。 −材料準備工程− SiO2製の内管11及び外管12と、励起光活性物質
(Er等の希土類元素他)及びGeがドープされたSi
2組成物製のコア21とSiO2製のクラッド22と外
周面を被覆する紫外線硬化型樹脂製の被覆部23とから
なる光ファイバ20と、粘度が5.0×10-3〜1.0
×10-2Pa・sであるアクリル系紫外線硬化型樹脂原
液とを準備した。光ファイバ20の被覆部23及び紫外
線硬化型樹脂原液が硬化してなる樹脂のそれぞれは、光
ファイバ20のクラッド22と屈折率が略同一である。
【0038】ここで、光ファイバ20は、可能な限り外
径が小さく、被覆部23が薄肉のものを選定するのがよ
い。また、内管11及び/又は外管12も可能な限り薄
肉であることが望ましい。全体積に対するコア21の占
める比率を多くすることができ、同一励起光量を入射さ
せた場合における励起効率を高めることができるからで
ある。
【0039】また、光ファイバ20は、カットオフ波長
が信号光波長に近くなるものを選定するのがよい。内管
11に光ファイバ20を巻き付ける際に生じる曲げ変形
に起因する信号光のマイクロベンド損失の拡大を抑止す
ることができるからである。但し、光ファイバ20を内
管11に巻き付けると、カットオフ波長が短波長側へシ
フトするので、巻き付けによるシフト分を考慮してカッ
トオフ波長を設定する(例えば、エルビウム・ドープ・
ファイバの場合、信号光波長が1.55μmであるた
め、光ファイバ20を巻き付けた時点でカットオフ波長
が1.5μmとなるようシフト分を考慮して、カットオ
フ波長を約1.6μmなどとする)。
【0040】さらに、光ファイバ20は、カットオフ波
長が比較的長いもの、すなわち、光ファイバ20のコア
径の大きいものを選定するのがよい。励起光を吸収する
コア21の占める割合を多くすることができ、同一励起
光量を照射した場合における励起効率を高めることがで
きるからである。 −第1工程− まず、図6に示すように、光ファイバ巻き付け装置60
のステンレス製のシャフト61に内管11を通すと共
に、シャフト61に挿通された樹脂製の内管把持具6
2,62で内管11を両端から挟持し、さらに、固定具
63をシャフト61に締め込むことにより、内管11を
光ファイバ巻き付け装置60に固定する。ここで、予め
親和性付与剤塗布装置69によって、光ファイバ巻き付
け装置60に固定された内管11の外周面上に、第3工
程で用いる紫外線硬化型樹脂原液を塗布する。
【0041】次に、図7に示すように、シャフト61が
結合された回転モータ64を回転させることにより、ボ
ビン65から引き出した光ファイバ20を内管11に巻
き付ける。このとき、光ファイバ20を内管11の外周
面上に巻き付ける前に、光ファイバ20表面の静電気を
イオナイザ66により除去すると共に、親和性付与剤塗
布部67で光ファイバ20表面に第3工程で用いる紫外
線硬化型樹脂原液を塗布する。そして、図6に示すよう
に、光ファイバ20の内管11の外周面上への巻き付け
は、光ファイバ20の巻き付けようとする部分をガイド
部材68により光ファイバ20の一周前に巻き付けた部
分に押し付けるようにして行う。この間、既に巻き付け
られた光ファイバ20表面及び内管11の外周面へは、
親和性付与剤塗布装置69により、第3工程で用いる紫
外線硬化型樹脂原液を引き続き塗布し、既に巻き付けら
れた光ファイバ20表面及び内管11外周面における紫
外線硬化型樹脂原液の欠乏を防ぐ。
【0042】この光ファイバ20の巻き付けは、内管1
1の一方の端部から始め、内管11の中心軸方向に往復
することにより光ファイバ層13が2層に形成されるよ
うに行う。 −第2工程− 図8(a)に示すように、光ファイバ20を巻き付けた
内管11に外管12を被せ、内管11と外管12とを同
心状に配設する。 −第3工程− 図8(b)に示すように、内管11及び外管12を樹脂
シート81の上に立てた状態とし、同心状に配設された
内管11と外管12の隙間に樹脂注入部82から紫外線
硬化型樹脂原液を注入充填する。このとき、注入した紫
外線硬化型樹脂原液が隙間の下端から若干漏れるが、そ
の漏れた部分が隙間の下端を塞ぐ機能を果たし、紫外線
硬化型樹脂原液の流出防止が図られる。
【0043】そして、図8(c)に示すように、充填し
た紫外線硬化型樹脂原液に、内管11及び外管12の中
心軸に沿って一端側から他端側に向かって順にUV照射
器83で紫外線を照射してゆくことによって紫外線硬化
型樹脂原液を硬化させ、樹脂層14を形成する。
【0044】上記の高出力光発生装置10の製造方法に
よれば、第1工程において、光ファイバ20を内管11
の外周面上に巻き付ける前に、光ファイバ20表面及び
内管11の外周面上に第3工程で注入充填する紫外線硬
化型樹脂原液を塗布する親和性付与処理を施しているの
で、第3工程で注入充填する紫外線硬化型樹脂原液に対
する光ファイバ20及び内管11の外周面の濡れ性が良
好となり、第3工程で紫外線硬化型樹脂原液を注入充填
する際に、充填された紫外線硬化型樹脂原液が光ファイ
バ20間の間隙を含む内管11と外管12との隙間全体
に隈無く行き渡ることとなる。
【0045】また、紫外線硬化型樹脂原液を表面に塗布
した光ファイバ20を、ガイド部材68によって内管1
1の外周面上における一周前に巻き付けられた光ファイ
バ20の部分に押し付けながら内管11の外周面に巻き
付けるようにしているので、内管11の外周面上に隙間
を形成することなく光ファイバ20が巻き付けられるこ
ととなると共に、光ファイバ20表面をガイド部材68
が摺動することにより生じる光ファイバ20の損傷が親
和性付与剤によって抑止されることとなる。
【0046】さらに、第3工程において、未硬化樹脂原
液を、その粘度が5.0×10-3〜1.0×10-2Pa
・sであるように選定しているので、内管11と外管1
2の隙間に紫外線硬化型樹脂原液を容易に且つ空孔が形
成されることなく適正に充填することができる。
【0047】そして、第3工程において、紫外線硬化型
樹脂原液を内管11と外管12との隙間に注入充填し、
その充填した紫外線硬化型樹脂原液に、内管11及び外
管12の中心軸に沿って一端側から他端側に向かって順
に紫外線を照射してゆき、紫外線硬化型樹脂原液を硬化
させて樹脂層14を形成するようにしているので、容易
に樹脂層14を形成させることができ、しかも、紫外線
の照射を内管11及び外管12の中心軸方向に沿って一
端側から他端側に順に樹脂の硬化が生じることとなり、
硬化の際の樹脂の収縮分を未硬化部分によって埋め合わ
せることができる。 (その他の実施形態)上記実施形態では、外管12を設
けたが、特にこれに限定されるものではなく、内管11
の外周面上に光ファイバ20を巻き付け、その光ファイ
バ20を埋設した状態で内管11表面を樹脂層14で被
覆し、その樹脂層14外周面を鏡面に仕上げた構成であ
ってもよい。
【0048】また、上記実施形態では、コヒレントな信
号光を光ファイバ20のコア21に入射し、これを増幅
して高出力化した増幅器的な用い方をしたが、特にこれ
に限定されるものではなく、光ファイバレーザ装置とし
て使用してもよい。すなわち、高出力光発生装置10に
励起光を照射し、それによって光ファイバ20のコア2
1にドープしたErを励起させ、それが基底状態となる
ときにその誘導放射を出力させるようにしてもよい。
【0049】また、上記実施形態では、内管11と外管
12との隙間に紫外線硬化型樹脂原液を充填し、紫外線
を照射することにより硬化させて樹脂層14を形成した
が、特にこれに限定されるものではなく、上記隙間に熱
硬化型樹脂原液を充填し、加熱により硬化させてクラッ
ドの屈折率と略等しい屈折率を有する樹脂層を形成して
もよい。なお、熱硬化性樹脂を適用する場合において
も、熱硬化性樹脂原液の粘度及び硬化時の挙動等の特性
は、上記実施形態において用いた紫外線硬化型樹脂のも
のと同等であることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る高出力光発生装置の斜
視図である。
【図2】本発明の実施形態に係る高出力光発生装置に使
用される光ファイバの断面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る高出力光発生装置の使
用状態を示す説明図である。
【図4】本発明の実施形態に係る高出力光発生装置への
励起光入射可能範囲を示す部分縦断面図及び端面図であ
る。
【図5】本発明の実施形態に係る高出力光発生装置の縦
断面における屈折率分布を示す説明図である。
【図6】本発明の実施形態に係る高出力光発生装置の製
造工程における第1工程で使用する光ファイバ巻き付け
装置の概略構成図である。
【図7】本発明の実施形態に係る高出力光発生装置の製
造工程における第1工程を示す説明図である。
【図8】本発明の実施形態に係る高出力光発生装置の製
造工程における第2及び第3工程を示す説明図である。
【図9】ダブルクラッドファイバの横断面図である。
【符号の説明】
10 高出力光発生装置 11 内管 12 外管 13 光ファイバ層 14 樹脂層 20 光ファイバ 21 コア 22 クラッド 23 被覆部 60 光ファイバ巻き付け装置 61 シャフト 62 内管把持具 63 固定具 64 回転モータ 65 ボビン 66 イオナイザ 67 親和性付与剤塗布部 68 ガイド部材 69 親和性付与剤塗布装置 81 樹脂シート 82 樹脂注入部 83 UV照射器 a ダブルクラッドファイバ b コア c 第1クラッド d 第2クラッド
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中 典生 兵庫県伊丹市池尻4丁目3番地 三菱電線 工業株式会社伊丹製作所内 (72)発明者 平野 嘉仁 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内 (72)発明者 小矢田 康晴 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内 Fターム(参考) 2H038 CA34 CA37 5F072 AB09 AK06 FF09 JJ04

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内管と、上記内管の外周面上に、ファイ
    バ中心を長さ方向に延び且つ励起光活性物質がドープさ
    れたコアと該コアを覆うように設けられたクラッドとを
    有する光ファイバを、隙間なく螺旋状に単層に巻き付け
    て、又は隙間なく螺旋状に且つ該内管の中心軸方向に往
    来させて多層に巻き付けて形成された光ファイバ層と、 上記光ファイバ層が埋設された状態で上記内管の外周面
    を被覆し且つ露出面が鏡面に形成された樹脂層とを備
    え、 上記内管及び上記樹脂層のそれぞれの屈折率が、上記ク
    ラッドの屈折率と略同一であることを特徴とする高出力
    光発生装置。
  2. 【請求項2】 同心状に間隔をおいて配設された内管及
    び外管と、 上記内管の外周面上に、ファイバ中心を長さ方向に延び
    且つ励起光活性物質がドープされたコアと該コアを覆う
    ように設けられたクラッドとを有する光ファイバを、隙
    間なく螺旋状に単層に巻き付けて、又は隙間なく螺旋状
    に且つ該内管の中心軸方向に往来させて多層に巻き付け
    て形成された光ファイバ層と、 上記光ファイバ層が埋設された状態で上記内管と上記外
    管との隙間に充填状態に設けられた樹脂層とを備え、 上記内管及び上記外管並びに上記樹脂層のそれぞれの屈
    折率が、上記クラッドの屈折率と略同一であることを特
    徴とする高出力光発生装置。
  3. 【請求項3】 同心状に間隔をおいて配設された内管及
    び外管と、 上記内管の外周面上に、ファイバ中心を長さ方向に延び
    且つ励起光活性物質がドープされたコアと該コアを覆う
    ように設けられたクラッドとを有する光ファイバが巻き
    付けられて形成された光ファイバ層と、 上記光ファイバ層が埋設された状態で上記内管と上記外
    管との隙間に充填状態に設けられた樹脂層とを備え、 上記内管及び上記外管並びに上記樹脂層のそれぞれの屈
    折率が、上記クラッドの屈折率と略同一である高出力光
    発生装置の製造方法であって、 上記内管の外周面上に、上記光ファイバを隙間なく螺旋
    状に単層に巻き付けて、又は隙間なく螺旋状に且つ該内
    管の中心軸方向に往来させて多層に巻き付けて上記光フ
    ァイバ層を形成する第1工程と、 上記光ファイバを巻き付けた内管と同心状に上記外管を
    配設する第2工程と、 上記同心状に配設された内管と外管の隙間に未硬化樹脂
    原液を注入充填し、該未硬化樹脂原液を硬化させること
    により上記樹脂層を形成する第3工程と、を備えている
    ことを特徴とする高出力光発生装置の製造方法。
  4. 【請求項4】 上記第1工程において、 上記光ファイバを上記内管の外周面上に巻き付ける前
    に、該光ファイバの表面及び該内管の外周面上に、上記
    第3工程で注入充填する未硬化樹脂原液に対する親和性
    を付与する親和性付与処理を施すことを特徴とする請求
    項3に記載の高出力光発生装置の製造方法。
  5. 【請求項5】 上記親和性付与処理を、上記光ファイバ
    の表面及び上記内管の外周面上に、上記第3工程で注入
    充填する未硬化樹脂原液に対して親和性を有する親和性
    付与剤を塗布する処理とし、 上記親和性付与剤を塗布した光ファイバを、ガイド部材
    によって上記内管の外周面上における一周前に巻き付け
    られた光ファイバの部分に押し付けながら該内管の外周
    面に巻き付けることを特徴とする請求項4に記載の高出
    力光発生装置の製造方法。
  6. 【請求項6】 上記第3工程において、 上記未硬化樹脂原液を、該未硬化樹脂原液の粘度が5.
    0×10-3〜1.0×10-2Pa・sであるように選定
    することを特徴とする請求項3乃至5のいずれか一に記
    載の高出力光発生装置の製造方法。
  7. 【請求項7】 上記第3工程において、 上記未硬化樹脂原液を紫外線硬化型樹脂原液とし、該紫
    外線硬化型樹脂原液を上記内管と外管との隙間に注入充
    填し、 上記充填した紫外線硬化型樹脂原液に、上記内管及び外
    管の中心軸に沿って一端側から他端側に向かって順に紫
    外線を照射してゆき、該紫外線硬化型樹脂原液を硬化さ
    せて上記樹脂層を形成することを特徴とする請求項3乃
    至6のいずれか一に記載の高出力光発生装置の製造方
    法。
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