JP2002025579A - 高分子電解質型燃料電池 - Google Patents

高分子電解質型燃料電池

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JP2002025579A
JP2002025579A JP2000211049A JP2000211049A JP2002025579A JP 2002025579 A JP2002025579 A JP 2002025579A JP 2000211049 A JP2000211049 A JP 2000211049A JP 2000211049 A JP2000211049 A JP 2000211049A JP 2002025579 A JP2002025579 A JP 2002025579A
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JP2000211049A
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Satoru Fujii
覚 藤井
Kazuhito Hado
一仁 羽藤
Junji Niikura
順二 新倉
Hideo Obara
英夫 小原
Kazufumi Nishida
和史 西田
Teruhisa Kanbara
輝壽 神原
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 固体高分子型の燃料電池の構成要素であるセ
パレーター板は、従来、カーボン板を用い、この表面部
分を切削加工して、ガス流通路を形成していた。この方
法では、カーボン板の材料コストと共に、これを切削す
るためのコストを引き下げることが困難であった。これ
に替わり、金属板を用いる方法が考えられるが、金属板
を用いる方法では、金属板が高温で酸化性の雰囲気に曝
されるため、長期間使用すると、金属板の腐食や溶解が
起こり、電池の発電効率が次第に低下するという課題が
あった 【解決手段】 セパレータを構成する金属薄板と金属ホ
ウ化物である導電性化合物被膜の間に、拡散層あるいは
初期層を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポータブル電源、
電気自動車用電源、家庭内コージェネレーションシステ
ム等に使用する高分子電解質型燃料電池、特にその構成
要素である導電性セパレータの改良に関する。
【0002】
【従来の技術】高分子電解質を用いた燃料電池は、水素
を含有する燃料ガスと空気など酸素を含有する酸化剤ガ
スとを電気化学的に反応させることにより、電力と熱と
を同時に発生させるものである。この燃料電池は、基本
的には、水素イオンを選択的に輸送する高分子電解質
膜、および高分子電解質膜の両面に形成された一対の電
極、すなわちアノードとカソードで構成する。前記の電
極は、通常、貴金属触媒を担持したカーボン粉末を主成
分とし、高分子電解質膜の表面に形成した触媒層、およ
びこの触媒層の外面に形成した通気性と電子伝導性を併
せ持つ拡散層からなる。
【0003】さらに、電極に供給する燃料ガスと酸化剤
ガスが外にリークしたり、互いに混合しないように、電
極の周囲に高分子電解質膜を挟んでガスシール材やガス
ケットを配置する。これらのシール材やガスケットは、
電極及び高分子電解質膜と一体化し、あらかじめ組み立
てることが一般的である。これをMEA(電極電解質膜
接合体)と呼ぶ。
【0004】MEAの外側には、これを機械的に固定す
るとともに、隣接したMEAを互いに電気的に直列に、
場合によっては並列に、接続するための導電性のセパレ
ータ板を配置する。セパレータ板がMEAと接触する部
分には、電極面に反応ガスを供給し、生成ガスや余剰ガ
スを運び去るためのガス流路を形成する。ガス流路は、
セパレータ板と別に設けることもできるが、セパレータ
板の表面に溝を設けてガス流路とする方式が一般的であ
る。
【0005】これらの溝に燃料ガスおよび酸化剤ガスを
供給するためは、燃料ガスおよび酸化剤ガスをそれぞれ
供給する配管を、使用するセパレータ板の枚数に分岐
し、その分岐先を直接セパレータ板の溝につなぐ配管治
具が必要となる。この治具をマニホールドと呼び、上記
のような燃料ガスおよび酸化剤ガスの供給配管から直接
つなぎ込むタイプを外部マニホールドと呼ぶ。このマニ
ホールドには、構造をより簡単にした内部マニホールド
と呼ぶ形式のものがある。内部マニホールドとは、ガス
流路を形成したセパレータ板に、貫通した孔を設け、ガ
ス流路の出入り口をこの孔まで通し、この孔から直接燃
料ガスおよび酸化剤ガスを供給するものである。
【0006】燃料電池は、運転中に発熱するので、電池
を良好な温度状態に維持するために、冷却水等で冷却す
る必要がある。通常、1〜3セル毎に、冷却水を流す冷
却部を設ける。冷却部をセパレータ板とセパレータ板と
の間に挿入する形式と、セパレータ板の背面に冷却流路
を設ける形式とがあり、後者が多く利用される。
【0007】これらのMEAとセパレータ板、および冷
却部を交互に重ねて10〜200セル積層し、その積層
体を集電板と絶縁板を介して端板で挟み、締結ボルトで
両端から固定するのが一般的な積層電池の構造である。
このような高分子電解質型燃料電池では、セパレータ板
は導電性が高く、かつ燃料ガスおよび酸化剤ガスに対し
て気密性が高く、さらに水素/酸素を酸化還元する際の
反応に対して高い耐食性を持つ必要がある。このような
理由から、従来のセパレータ板は、通常グラッシーカー
ボンや膨張黒鉛などのカーボン材料で構成し、ガス流路
もその表面の切削や、膨張黒鉛の場合は型による成型に
より作製していた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従来のカーボン板の切
削による方法では、カーボン板の材料コストと共に、こ
れを切削するためのコストを引き下げることが困難であ
った。また、膨張黒鉛を用いた方法も材料コストが高
く、これが燃料電池の広い実用化のための障害と考えら
れている。近年、従来使用されたカーボン材料に代え
て、ステンレス鋼などの金属板を用いる試みが行われて
いる。
【0009】しかし、上述の金属板を用いる方法では、
金属板が90℃程度の高温で、pH2〜3程度の酸化性
の雰囲気に曝されるため、長期間使用すると、金属板の
腐食や溶解が起こっていた。金属板が腐食すると、腐食
部分の電気抵抗が増大し、電池の出力が低下する。ま
た、金属板が溶解すると、溶解した金属イオンが高分子
電解質膜に拡散し、これが高分子電解質膜のイオン交換
サイトにトラップされ、結果的に高分子電解質自身のイ
オン伝導性が低下する。これらの原因により、金属板を
そのままセパレータ板に使用し、電池を長期間運転する
と、発電効率が次第に低下するという課題があった。
【0010】本発明は、燃料電池に使用されるセパレー
タ板を改良して、加工の容易な金属を素材とし、そのガ
スに露出する表面を酸性雰囲気に曝されても化学的不活
性を維持するものとして、腐食と溶解が抑制されかつ良
好な導電性を有するセパレータ板を提供することを目的
とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】以上の課題を解決するた
め本発明の高分子電解質型燃料電池は、水素イオン伝導
性高分子電解質膜、前記水素イオン伝導性高分子電解質
膜を挟む位置に配置したアノードおよびカソード、前記
アノードに燃料ガスを供給するガス流路を形成したアノ
ード側導電性セパレータ、および前記カソードに酸化剤
ガスを供給するガス流路を形成したカソード側導電性セ
パレータを具備した高分子電解質型燃料電池であって、
前記アノード側または前記カソード側導電性セパレータ
の少なくとも一方は、Ti, Cr, Zr, Ta, V, Nb, Laおよ
びWからなる群より選ばれる金属のホウ化物部分を表面
の少なくとも一部に形成した金属板からなることを特徴
とする。
【0012】このとき、金属板と金属ホウ化物部分との
界面部分に、前記金属ホウ化物の拡散層または前記金属
ホウ化物の構成要素である金属を有する中間層を形成し
たことが有効である。
【0013】さらに、金属ホウ化物の拡散層を形成する
元素の構成比は、金属ホウ化物部分から金属板に向かっ
て連続的な変化を有することが望ましい。
【0014】また以上では、導電性セパレータの表面
で、金属ホウ化物部分を形成した以外の部分を、耐食性
被膜で被覆したことが望ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明の高分子電解質型燃料電池
に用いるセパレータ板は、基本的には、耐酸化性の導電
性化合物を形成した金属板で構成する。そして、この金
属板に、プレス加工などによりガス流路となるリブ部ま
たは溝を形成する。このとき、導電性化合物を形成する
ためのベースとなる金属板には、ステンレス鋼やアルミ
ニウムなど導電性に優れ、かつプレス加工などでガス流
通路となるリブまたは溝を、容易に形成することができ
る金属板を用いる。
【0016】このとき、金属板の表面には、Ti、C
r、Zr、Ta、V,Nb、LaおよびWから選択する
金属のホウ化物部分を形成する。この金属ホウ化物は酸
性雰囲気に対して耐食性を有する導電性化合物である。
金属ホウ化物を形成するには、rfスパッタ法を用いる
ことができる。しかし、化学蒸着法やめっき法などによ
って形成することもできる。具体的には、ホウ化物を構
成する金属をターゲットとしてジボランガス等のホウ素
を含む雰囲気下でのスパッタ法、あるいはホウ化物をタ
ーゲットとしたスパッタ法で作成することができる。こ
れらの導電性化合物を形成した後、前記の拡散層を形成
するには、非酸化性雰囲気、具体的にはアルゴン、窒素
または真空(0.1Pa以下)雰囲気下において250
〜400℃で5分〜2時間熱処理するのが好ましい。
【0017】また、金属板と金属ホウ化物部分との界面
部分に、前記金属ホウ化物の拡散層または前記金属ホウ
化物の構成要素である金属を有する中間層を形成するこ
とが有効である。この中間層は、金属基板と金属ホウ化
物部分との密着力を向上させるとともに、ピンホールの
発生を防止することができる。この中間層を形成する方
法は上記のrfスパッタ法を用いることができる。
【0018】また、金属ホウ化物部分の金属元素の含有
率が、金属ホウ化物部分からセパレータに向かうに従っ
て減少するように傾斜を設けると、セパレータ板と金属
ホウ化物部分との密着力を向上させるとともに、被膜の
残留応力を緩和し、さらにピンホールを防止することが
できる。
【0019】上記の金属ホウ化物および中間層は、金属
板の表面に島状に形成することも有効である。この場
合、金属板の金属ホウ化物が形成されていない部分に
は、耐食性被膜を形成することが好ましい。このとき、
島状に被覆する部分の個々の面積は、少なくとも50オ
ングストローム×50オングストロームであり、その被
覆部分全体の占める割合は、面積比で30%以上である
ことが好ましい。
【0020】金属ホウ化物部分の金属原子の含有率を制
御する方法としては、後述の実施例に示したように、ジ
ボラン等のホウ素原子を含む雰囲気中で、金属をスパッ
タして金属ホウ化物を生成させる際、スパッタガス中の
ホウ素原子含有ガスの流量比を制御する方法や、rfパ
ワーを制御する方法を用いるのが好ましい。また、有機
金属CVD法により金属ホウ化物を生成させる際、反応
ガスを制御する方法が用いられる。
【0021】前記のような金属ホウ化物部分やその中間
層を形成した金属板は、熱処理することにより、さらに
耐食性が向上する。このとき好ましい熱処理の条件は、
非酸化性雰囲気、具体的にはアルゴン、窒素または真空
(0.1Pa以下)雰囲気下で、200〜500℃、よ
り好ましくは250〜400℃で、30分〜2時間熱処
理することである。この熱処理により、前記中間層の金
属元素が金属基板に拡散した拡散層を形成する事ができ
る。
【0022】
【実施例】以下、本発明の実施例を図1〜図3を参照し
て説明する。ここに用いられた構造図は理解を容易にす
るためのものであって、各要素の相対的大きさや位置関
係は必ずしも正確ではない。
【0023】(実施例1)図1は本実施例の高分子電解
質型燃料電池の単位セルを示す断面図であり、図2は本
実施例で用いた金属セパレータの斜視図、図3は単位セ
ルを複数積層させた燃料電池スタックの斜視図である。
【0024】図1で、11は高分子電解質膜、12およ
び13はそれぞれアノードとカソードであり、11と1
2と13とを合わせて電極電解質膜接合体(MEA)と
いう。このMEAの外側には、アノード側導電性セパレ
ータ板21及びカソード側導電性セパレータ板31と、
集電板22および32を配置する。これを単電池として
複数個直列に接続し積層したものが、図3に示した燃料
電池スタックである。
【0025】導電性セパレータ板21の表面に形成した
溝を、MEA10に圧接したとき生じる空隙部41に水
素などの燃料ガスを流通させる。同様に、導電性セパレ
ータ板31の表面に形成した溝を、MEA10に圧接し
たとき生じる空隙部42に空気などの酸化剤ガスを流通
させる。
【0026】この例では、アノード側導電性セパレータ
板およびカソード側導電性セパレータ板は各々独立に作
製したが、アノード側導電性セパレータ板およびカソー
ド側導電性セパレータ板を1枚のセパレータ板で構成
し、その表面側をアノード側導電性セパレータとし、裏
面をカソード側導電性セパレータとすることもできる。
【0027】つぎに、MEAの作成方法を具体的に説明
する。アセチレンブラックに白金粒子を担持した電極触
媒と、パーフルオロカーボンスルホン酸の混合物を、カ
ーボン不織布に塗布することにより、同じ構成のアノー
ドおよびカソードを作製した。
【0028】これらの電極を、電極より一回り大きい面
積を有するプロトン伝導性高分子電解質膜(デュポン社
製ナフィオン膜)の中心部の両面に、カソードおよびア
ノードの触媒層が電解質膜側に接するようにホットプレ
スによって接合することでMEAを作製した。また、触
媒層に混合されたパーフルオロカーボンスルホン酸は、
旭硝子社製のフレミオンを用いた。
【0029】次に、導電性セパレータ板の作製方法を示
す。図2に示したように、ステンレス鋼SUS316板
をプレス加工によって波状に加工した。次いで、この表
面にTiB2をrfマグネトロンスパッタ法により、
0.2μmの厚さに形成した。ターゲットには、TiB
2の焼結体を用いた。作成条件は、1Paのアルゴン雰
囲気、rfパワー300W、作成時間は85分、基板温
度は200℃とした。なお、基板は、前記の作成前に逆
スパッタ法によりクリーニングして表面の自然酸化膜を
除去した(以下の実施例においても同じ)。
【0030】同様にして各種のホウ化物からなる導電性
化合物部分を形成した。これらの導電性化合物の作成条
件をそれぞれ表1に示す。
【0031】
【表1】
【0032】続いて、前記の導電性化合物部分を形成し
た導電性セパレータ板を熱処理することにより、導電性
化合物が金属基板に拡散した拡散層を形成した。熱処理
は、真空(0.1Pa以下)雰囲気下において加熱温度
300℃で1時間実施した。熱処理後における抵抗率
は、5〜20%程度増加したが、燃料電池の特性への大
きな影響は見られなかった。しかし、導電性化合物部分
とセパレータ板との間に中間層を形成することによっ
て、耐薬品性に大きな向上が見られた。
【0033】すなわち、ステンレス鋼SUS基板に導電
性化合物のみを形成したサンプル、および導電性化合物
と中間層を形成した同じステンレス鋼基板を、80℃の
0.01Nの硫酸水溶液に500時間浸漬させて、腐食
状態を目視により観察した結果、導電性化合物だけを形
成したサンプルでは、被膜のピンホールに起因すると推
定される腐食が認められた。しかしながら、中間層を設
けたサンプルには腐食は認められなかった。以上より、
中間層を形成することにより、拡散層自体の耐薬品性、
ならびに導電性化合物被膜のピンホールの減少を図れる
ことを見いだした。
【0034】これらのセパレータ板を上記のMEAに組
み合わせて50セルを積層し、この積層セルを集電板と
絶縁板を介し、ステンレス鋼製の端板と締結ロッドで、
20kgf/cm2の圧力で締結した。この締結圧力
は、小さすぎるとガスがリークし、導電性部材同士の接
触抵抗も大きくなるので電池性能が低くなる。また、締
結圧力が大きすぎると電極が破損したり、セパレータ板
が変形したりするので、ガス流通溝の設計に応じて締結
圧を変えることが重要である。
【0035】なお、セパレータとMEA、セパレータ板
とセパレータ板などのガスシールが必要な部分は、シリ
コーングリースを薄く塗布することによってあまり導電
性を低下させずにシール性を確保した。
【0036】比較例として、TiB2による導電性化合
物部分を形成したが、中間層を形成しないセパレータ板
を用いた燃料電池を比較例1、表面処理をしないステン
レス鋼SUS316板で作成したセパレータ板を用いた
燃料電池を比較例2とする。
【0037】TiB2による導電性化合物を形成し、さ
らに中間層を形成したセパレータ板を用いた本実施例の
燃料電池と、比較例1および比較例2の燃料電池を、8
0〜90℃に保持し、アノード側に75〜85℃の露点
となるよう加湿・加温した水素ガスを、またカソード側
に70〜80℃の露点となるように加湿・加温した空気
をそれぞれ供給した。その結果、電流を外部に出力しな
い無負荷時には、50Vの開路電圧を示した。これらの
電池を燃料利用率80%、酸素利用率40%、電流密度
0.5A/cm2の条件で連続発電試験を行い、出力特
性の時間変化を図4に示した。その結果、比較例2の電
池は時間の経過と共に出力が低下するのに対し、比較例
1および実施例1の電池は、8000時間以上にわたっ
て約1000W(22V−45A)の電池出力を維持し
た。実施例1の電池は、セパレータ板の金属基板が導電
性化合物との間に中間層が形成されていることにより、
長駆動時間における出力低下量は減少した。駆動時間3
000時間以降、本実施例の電池の出力は、比較例1の
電池の出力を上回った。これは、中間層の形成により、
セパレータ板の金属基板の耐腐食性が向上したためと考
えられる。
【0038】上記と同様の運転条件において、他の導電
性化合物被膜を有する金属セパレータ板を用いた電池に
ついて、初期(運転開始10時間後)および運転時間が
8000時間経過したときの電池出力を調べた。その結
果を表2に示す。
【0039】
【表2】
【0040】また、本実施例においては、セパレータ板
の金属基板として、SUS316を用いたが、他のステ
ンレス鋼やAl、Tiなども用いることができる。
【0041】(実施例2)本実施例では、セパレータ板
の金属基板上に、導電性化合物を島状に形成した。島状
に形成した導電性化合物の作製プロセスの断面図を図5
に示した。図5(a)に示したように、成膜時間を2〜
6分とした点を除いては、実施例1と同様の条件で、島
状の導電性化合物52を金属基板51上に作製した。続
いて図5(b)に示したように、実施例1と同様にし
て、島状の導電性化合物52の下に中間層53を形成し
た。すなわち、0.1Paの圧力雰囲気下、加熱温度3
00℃、20分の条件で熱処理を行った。島状に形成し
た導電性化合物の、セパレータ表面に占める面積の割合
は50%であった。
【0042】つぎに、このセパレータを空気中において
250℃で1時間熱処理を行った。その結果、島状の導
電性化合物に覆われていない部分は、金属酸化物からな
る耐食性被膜54が成長した。例えば、Alを金属基板
とした場合には酸化アルミニウム被膜が、Tiを金属基
板とした場合には酸化チタン被膜がそれぞれ耐食性被膜
として成長する。また、ステンレス鋼を金属基板として
用いた場合には、硝酸などの化学処理を行うことにより
酸化クロム被膜が耐食性被膜として成長する。これらの
耐食性被膜は、実施例1と同じ耐蝕試験により、耐薬品
性が大幅に向上することを確認した。
【0043】上記のように表面処理した金属基板をセパ
レータ板に用いて、実施例1と同じ条件で燃料電池を組
み立て、実施例1と同じ条件で連続発電試験を行った。
金属基板、導電性化合物被膜、および耐食性被膜の種類
と、初期(運転開始10時間後)および運転時間が80
00時間経過したときの電池出力の関係を表3に示し
た。この結果、中間層および耐食性被膜を導入すること
により、出力電圧の経時変化を小さくすることが可能と
なった。
【0044】
【表3】
【0045】(実施例3)本実施例では図6(a)に示
したように、セパレータ板の金属基板61上に中間層6
5を、rf−マグネトロンスパッタ法により形成した。
次いで図6(b)に示したように、実施例1と同様にし
て導電性化合物被膜66を形成した。中間層65の作製
条件を表4に示した。ここに用いた金属基板は、ステン
レス鋼SUS316である。中間層を形成した目的は、
金属基板と導電性化合物被膜の密着力を向上させるとと
もに、ピンホールを防止することにある。中間層は、導
電性化合物被膜を構成する金属元素の薄膜により形成し
た。即ち、TiB系の導電性化合物被膜ではTiを、Z
rB導電性化合物被膜ではZrをそれぞれ中間層として
形成した。
【0046】
【表4】
【0047】上記のようにして導電性化合物と中間層と
を形成した導電性金属セパレータ板を用いて、実施例1
と同様の燃料電池を組み立て、実施例1と同条件で連続
発電試験を行った。初期(運転開始10時間後)および
運転時間が8000時間経過したときの電池出力を表5
に示した。
【0048】表5において、中間層を導入することによ
り、出力電圧の経時変化を小さくすることができること
を見いだした。また、上記の中間層および導電性化合物
を形成した導電性金属セパレータ板を0.1Paの雰囲
気下で、300℃で60分間熱処理をして、中間層の金
属原子が金属板に拡散した拡散層を形成した場合、運転
時間8000時間経過後の出力は、表5より約20%程
度%向上することも見いだした。
【0049】
【表5】
【0050】(実施例4)本実施例では 図7(a)に
示したように、セパレータ板の金属基板71上に、実施
例3と同様にして、rf−マグネトロンスパッタ法によ
り厚さ約0.03μmの中間層77を形成した。その
後、図7の(b)に示したように、中間層77上に、多
層構造の導電性化合物78形成した。導電性化合物78
中の金属原子の含有率は、中間層77との界面から導電
性化合物の上面方向に行くに従って減少させた。
【0051】このような導電性化合物中の金属原子の含
有率を制御する方法としては、スパッタガス中のB26
流量比を制御する方法と、rfパワーを制御する方法を
用いた。表6にスパッタガス中のB2H6流量比を制御
する方法の成膜条件を、表7にrfパワーを制御する方
法の成膜条件をそれぞれ示した。スパッタガス中のB2
H6流量比を制御する方法ではn=6、すなわち6層
を、rfパワーを制御する方法ではn=4、すなわち4
層をそれぞれ積層した。なお、成膜パラメーターを連続
的に変化させて導電性化合物被膜中の金属原子の含有率
を連続的に変化させることも可能であり、本発明におい
て効果的であることは明らかである。
【0052】
【表6】
【0053】
【表7】
【0054】導電性化合物被膜中の金属元素の含有率に
傾斜を設けた目的は、金属セパレータ板と導電性化合物
被膜の密着力を向上させるともに、被膜の残留応力を緩
和し、さらにピンホールを防止することにある。その結
果、燃料電池の安定性が大きく向上した。中間層として
は、導電性化合物被膜を構成する金属元素の薄膜を用い
た。即ち、TiB系の導電性化合物被膜ではTiを、Z
rB系導電性化合物被膜ではZrをそれぞれ中間層とし
て形成した。
【0055】中間層を形成し、かつ導電性化合物被膜の
金属元素の含有率に傾斜を設けた導電性金属セパレータ
板を用いて実施例1と同様に燃料電池を組み立て、実施
例1と同じ条件で連続発電試験を行った。初期(運転開
始10時間後)および運転時間が8000時間経過した
時の電池出力を表8に示した。中間層を導入し、かつ導
電性化合物被膜の金属元素の含有率に傾斜を設ける構成
により、出力電圧の経時変化を小さくすることが可能と
なった。また、上記の中間層および導電性化合物被膜を
形成した導電性金属セパレータ板を真空(0.1Pa)
雰囲気下において300℃で60分間熱処理をして、中
間層の金属元素が金属板に拡散した拡散層を形成した場
合、運転時間8000時間経過後の出力は、表8より1
0〜30%向上した。
【0056】
【表8】
【0057】(実施例5)セパレータ板の金属基板1上
あるいは、実施例3の中間層と同様にして形成した金属
被膜上にホウ素被膜を形成した。ホウ素被膜は、Bター
ゲットを用いたスパッタ法、あるいはB2H6ガス(ア
ルゴンガス中濃度1%)を熱分解することにより形成し
た。ホウ素被膜の膜厚は0.2〜0.05μmとした。
【0058】続いて、導電性セパレータ板を熱処理する
ことにより、ホウ素が導電性化合物被膜材料あるいは金
属基板に拡散して金属ホウ化物を形成した。熱処理は、
真空(0.1Pa以下)雰囲気下において加熱温度45
0℃で1時間実施した。金属ホウ化物を形成することに
よって、耐薬品性に大きな向上が見られた。実際、金属
被膜が形成されていないステンレス鋼SUS基板におい
ても、ホウ素が反応することによりホウ化クロム化合物
が形成された。
【0059】金属被膜のみを形成したサンプル、および
ホウ素被膜形成後に拡散処理を行ったサンプルを80℃
の0.01N硫酸に500時間浸漬させて腐食状態を目
視により観察した。その結果、金属被膜だけを形成した
サンプルでは、被膜のピンホールに起因すると推定され
る腐食が認められた。しかしながら、金属ホウ化物を形
成したサンプルに腐食は認められなかった。以上より、
ホウ素被膜を形成、熱拡散処理して金属ホウ化物を形成
することにより、セパレータの耐薬品性、ならびに被膜
のピンホールの減少を図れることがわかる。
【0060】実施例1と同様に燃料電池を組み立て、実
施例1と同じ条件で連続発電試験を行った。初期(運転
開始10時間後)および運転時間が8000時間経過し
たときの電池出力を表9に示した。
【0061】
【表9】
【0062】なお、ホウ素粉末を金属セパレータに分散
圧着させた後に、真空雰囲気下で熱処理を行っても同様
の効果が得られた。
【0063】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、セパレー
タ板として従来のカーボン板の切削工法に替わり、ステ
ンレス鋼などの金属材料を切削加工しないで用いること
ができるので、量産時に大幅なコスト低減が図れる。ま
た、セパレータ板を一層薄くできるので、積層電池のコ
ンパクト化に寄与する。さらに、セパレータ板の金属基
板と導電性化合物被膜の間に中間層を形成することによ
り、金属基板の耐食性が向上するために、燃料電池の長
期駆動における出力安定性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例における燃料電池の単位セルを
表す断面図
【図2】同燃料電池の金属セパレータの斜視図
【図3】同燃料電池スタックを表す斜視図
【図4】本発明の実施例、および比較例の燃料電池の出
力特性を示した図
【図5】本発明の他の実施例におけるセパレータ板に用
いる金属基板の表面処理のプロセスを示す断面図
【図6】本発明のさらに他の実施例における金属基板の
表面処理のプロセスを示す断面図
【図7】本発明の他の実施例における金属基板の表面処
理のプロセスを示す断面図
【符号の説明】
1 金属板 2,6,8−1,8−2,8−n 導電性化合物被膜 3 拡散層 4 耐食性被膜 5,7 中間層 10 MEA 11 固体電解質膜 12 アノード 13 カソード 21 アノード側セパレータ板 22,32 集電板 31 カソード側セパレータ板 41,42 空隙部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 新倉 順二 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 小原 英夫 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 西田 和史 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 神原 輝壽 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 5H026 AA06 CC05 CX04 EE02 EE11 HH05

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水素イオン伝導性高分子電解質膜、前記
    水素イオン伝導性高分子電解質膜を挟む位置に配置した
    アノードおよびカソード、前記アノードに燃料ガスを供
    給排出するガス流路を形成したアノード側導電性セパレ
    ータ、および前記カソードに酸化剤ガスを供給排出する
    ガス流路を形成したカソード側導電性セパレータを具備
    した高分子電解質型燃料電池であって、前記アノード側
    または前記カソード側導電性セパレータの少なくとも一
    方は、Ti、Cr、Zr、Ta、V、Nb、La及びW
    から選ばれる少なくとも1種の金属のホウ化物部分を、
    表面の少なくとも一部に形成した金属板からなることを
    特徴とする高分子電解質型燃料電池。
  2. 【請求項2】 金属板と金属ホウ化物部分との界面部分
    に、前記金属ホウ化物の拡散層または前記金属ホウ化物
    の構成元素である金属を有する中間層を形成したことを
    特徴とする請求項1記載の高分子電解質型燃料電池。
  3. 【請求項3】 金属ホウ化物の拡散層を形成する元素の
    構成比は、金属ホウ化物部分から金属板に向かって連続
    的な変化を有することを特徴とする請求項2記載の高分
    子電解質型燃料電池。
  4. 【請求項4】 導電性セパレータの表面で、金属ホウ化
    物部分を形成した以外の部分を、耐食性被膜で被覆した
    ことを特徴とする請求項1、2または3記載の高分子電
    解質型燃料電池。
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