JP2002020812A - 高炉改修用炉体リングブロックの吊換装置 - Google Patents

高炉改修用炉体リングブロックの吊換装置

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 吊換装置に配設したリフトアップジャッキ
を、高炉改修用の炉体リングブロックの吊り点の鉛直上
方に作業性よく移動させる。 【解決手段】 炉体リングブロックの吊換装置が備えた
平面四角形の4隅に配置した4本の支柱7に、その長ス
パン側頂部にそれぞれ平行に2本一組とする2組の長ス
パンビーム23を架設し、2本の長スパンビーム23の間で
昇降させる炉体リングブロック11の中心方向に向くよう
に、長スパンビーム23の長手方向に離間して一対のジャ
ッキ受梁24を配設する。ジャッキ受梁24に沿ってジャッ
キ受台25を移動自在に配設することでジャッキ受台25に
それぞれ搭載されたリフトアップジャッキを、炉体リン
グブロック11の吊り点に対応する鉛直上方位置に移動さ
せる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高炉の既存炉体を
解体し、また高炉炉体を再建する場合等に適用される高
炉炉体を炉頂部から炉底部に分割した複数の炉体リング
ブロックを炉体基礎上に搬入、搬出するため昇降させる
高炉改修用炉体リングブロックの吊換装置に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】従来、高炉炉体を構築するに当たって
は、小ブロックに分割した炉体鉄皮を現地で溶接組立
し、その後、炉体鉄皮内に400 〜600 枚のステーブを1
枚ずつ取り込み、炉体鉄皮内の所定の位置に取り付け、
炉内のれんが積みを行っていた。このため高炉改修に
は、100 〜130 日の作業期間を要していた。これに対し
ていわゆる炉体リング大ブロック工法では、炉体を鉄
皮、ステーブ、耐火物ごとリング状に解体し、組み立て
についても事前に鉄皮、ステーブ、耐火物を数個のリン
グ状に組み立て、リングブロック状で現地に搬送して組
み立てるので70日以下の短期改修が可能になる。
【0003】例えば、特公昭47-1846 号公報には、高炉
を炉口部、炉胸部、朝顔部、炉床部等の炉体リングブロ
ックに分割し、その分割した炉体リングブロックをそれ
ぞれ高炉周辺の組み立て高さとほぼ同じ高さの足場上で
構成し、各炉体リングブロック毎に移動用足場を用いて
順次横方向へ移動して高炉基礎上に積み重ね、全体を結
合して一体に構成する技術が開示されている。
【0004】また、特公昭53-39322号公報では、高炉の
基礎以外の場所で高炉を炉頂部から炉底部まで数個の炉
体リングブロックに分けて予め組み立てておき、炉体支
持柱の上に設けた高炉建設用の付設櫓を利用して、各炉
体リングブロックをリフトアップ工法により炉頂部から
炉底部まで順次組み立て、最後に炉底部を炉底盤ごとに
高炉の基礎上に固定する方法が提案されている。
【0005】一般に、高炉の炉体基礎部上端は高炉の規
模にかかわらず通常4〜7m程度のレベルになる。これ
は高炉出銑口から流出する溶銑を勾配を有する出銑樋を
介して、溶銑運搬用のトピードカーあるいは溶銑鍋等へ
上方から流し込むため高炉の設置レベルを高くしておく
必要があるからである。このため、炉体の各分割リング
ブロックは全て地上約7mの高さの架台上で組み立てる
必要があり、架台が高価となるばかりでなく、高所作業
を伴うので安全性の面から改善が要望されていた。
【0006】炉体リングブロック工法により4000〜5000
3 の高炉を解体または建設を行う際、地上約7mレベ
ルの炉体基礎部上を重さ1000〜2000t もある大重量の炉
体リングブロックを移動させるには、炉体リングブロッ
クを支持する高さ1〜2mの支持体が必要となる。高炉
解体の場合、解体した炉体リングブロックを約7mの炉
体基礎部上端レベルから高炉の基礎以外の場所に設けた
低レベルの炉体解体場まで搬送し、また建設の場合、炉
体地組場の低いレベルで新製作された炉体リングブロッ
クを地上約7mのレベルを維持して炉体基礎部上へ移動
させる必要があり、炉体リングブロックの昇降作業が不
可欠となる。
【0007】炉体リングブロックの搬送には、高さ約1.
5 mの炉体用輸送台車を使用するが、炉体用輸送台車上
への荷重分散用のパッキングビームを炉体用輸送台車上
に上架しても炉体用輸送台車の高さは約3mにしかなら
ない。このため、炉体基礎部の高さ7mとのレベル差4
mを吸収する積み荷レベル調整架構を用いて高さを調整
する必要がある。この積み荷レベル調整架構は解体する
分割リングブロック数、新製作の炉体リングブロック数
だけ必要となると共に、その上を炉体リングブロックが
移動するため、全長にわたってその荷重に耐える剛性が
必要である。そのため、炉体リングブロック工法は短期
改修を可能とする工法ではあるが、積み荷レベル調整架
構の製作費用が高いという問題点があった。
【0008】このような問題点を解決するため、特開平
10-102778 号公報には、炉外の適当な場所に炉体リング
ブロックを昇降させる吊換装置を設置し、解体時には高
炉炉体基礎より高いレベルに合わせた積荷レベル調整用
架構をセットした炉体用輸送台車上に炉体リングブロッ
クを移して吊換装置まで輸送する。そして吊換装置によ
り炉体リングブロックをいったん吊り上げ、台車から積
荷レベル調整用架構を除去した後、炉体リングブロック
を下降して、炉体用輸送台車に直接載せ、炉体リングブ
ロックを解体場まで輸送する。一方、高炉の建設時には
新製作の炉体リングブロックを低いレベルで地組みし、
炉体リングブロックを炉体用輸送台車に載せて吊換装置
まで輸送する。吊換装置により炉体リングブロックを吊
り上げ、積荷レベル調整用架構をセットした炉体用輸送
台車に載せて炉体基礎部まで搬送し、高炉の炉体基礎部
上に移動する高炉炉体構築方法が開示されている。
【0009】前記特開平10-102778 号公報に開示された
高炉炉体構築方法では、図8の(A)、(B) に示す構造の
炉体用輸送台車を使用している。炉体用輸送台車1は、
上面が平坦な長方形の台車本体2を備え、台車本体2の
下部には空気を充填したタイヤ式の車輪3が多数配列さ
れており、地面上を走行する。車軸上には油圧式の昇降
シリンダ4が配設してあって台車本体2を昇降自在とな
し、また、各車輪3は水平旋回可能な構造を有してい
る。このため炉体用輸送台車1は、車輪3を昇降シリン
ダ4部分を中心にそれぞれ旋回することにより移動方向
を自由に変更できる。なお、符号5は昇降用支柱の支持
レバーを示す。
【0010】一方、図9の(A) 、(B) に示すように、吊
換装置6は、地上に固定設置した平面長方形の4隅に配
置された4本の支柱7と2本の水平ビーム8から構成さ
れ、2本の水平ビーム8は、支柱7のスパンの長い側の
頂部にさし渡すように架設されている。支柱7の高さ
は、後述する積荷レベル調整架構をセットした炉体用輸
送台車1上に炉体リングブロック11を載荷可能な高さま
でリフトアップするため20mを超える高さとなる。2本
の水平ビーム8の上には、それぞれ離間してリフトアッ
プジャッキ9が載荷荷重に応じて配設され、本例では2
個ずつ計4個配置されている。支柱7の長いスパン側の
水平距離は炉体リングブロック11の最大直径よりも大き
いスパンとして炉体用輸送台車1に載せた炉体リングブ
ロック11の搬入を可能にしている。スパンの短い側の支
柱7の間は連結部材26により連結してある。
【0011】新製作の炉体リングブロックを用いて高炉
炉体を構築する場合は、図10に示すように、所定の炉体
地組場で地上約3mの高さを有する置台10の上で地組み
し、炉体の炉口部から炉底部までを構成する複数の炉体
リングブロック11を待機させておく。図10では、(A) の
炉口部、(B) の炉胸部、(C) の朝顔部、(D) の炉床部の
4個に分割する場合を示す。高炉炉体は各位置により直
径が異なり、それぞれD1、D2、D3、D4となっており、各
炉体リングブロック11は荷重分散するように10箇所程度
に配置した置台10に支持される。なお、地組では炉体リ
ングブロック11の鉄皮に、ステーブ、炉体れんが、ステ
ーブ連結管、炉体に設置する計装設備まで予め一体化す
る。
【0012】図11に示すように、地組された炉体リング
ブロック11は支持点に並べた十数個の置台10により支持
してあるが、炉体リングブロック11を搬送するには、図
12に示すように置台10を減じて必要最小限の置台10と
し、例えば4箇所の置台10により支持させる。そして図
13の(A) 、(B) に示すように、置台10に干渉しないよう
に炉体リングブロック11の間隙内にパッキングビーム12
(荷重を台車全長に分散させるために必要)を載せた4
列の炉体用輸送台車1を引き込む。このとき、炉体用輸
送台車1の高さは置台10の高さより低くしてあるので、
昇降シリンダ4(図8参照)により台車本体2を上昇さ
せて炉体用輸送台車1の高さをアップすることにより、
パッキングビーム12を介して炉体リングブロック11を炉
体用輸送台車1に支持させ、炉体リングブロック11を支
持していた置台10と切り離した状態にする。
【0013】図14に示すように、炉体リングブロック11
をパッキングビーム12を介して載荷した炉体用輸送台車
1は、矢印方向への走行により支柱7の長いスパン側に
かけ渡された水平ビーム8の下方を通って吊換装置6の
設置位置で停止する。図15の(A) 、(B) に示すように、
炉体用輸送台車1上に載せた炉体リングブロック11の側
面下端部に取り付けた吊ブラケット13にリフトアップジ
ャッキ9から垂下された吊具21を連結する。
【0014】そして図16に示すように、リフトアップジ
ャッキ9の駆動により炉体リングブロック11を吊り上げ
て炉体用輸送台車1を矢印方向に退去させる。続いて図
17に示すように、下面が地面より7m以上の高さレベル
になった炉体リングブロック11の下方に、パッキングビ
ーム12を介して積荷レベル調整架構14をセットした炉体
用輸送台車1が引き込まれる。なお、積荷レベル調整架
構14は、調整架構本体14a と、調整架構本体14a の上に
配置されたレール16と、レール16の上に設けた支持ブロ
ック18を備えた移動台19とから形成される。
【0015】図18に示すように、リフトアップジャッキ
9の駆動により炉体リングブロック11をリフトダウンし
て炉体用輸送台車1に上架した積荷レベル調整架構14の
上に載荷する。図19に示すように、炉体用輸送台車1上
セットした積荷レベル調整架構14上の炉体リングブロッ
ク11を炉体基礎部15の近傍まで輸送し、積荷レベル調整
架構14の上面に設けたレール16と炉体基礎部15上のレー
ル17とを接続する。支持ブロック18を配設した移動台19
上の炉体リングブロック11は、駆動シリンダ20の駆動に
よる矢印方向への摺動によりレール16上を水平に移動す
る。駆動シリンダ20は取り付け位置を変更可能になって
おり、炉体リングブロック11の移動に追従して設置位置
を少しずつ前進させる。これにより炉体リングブロック
11がレール16上からレール17上に徐々に移動され、最終
的に炉体基礎部15の中心に位置させる。
【0016】引き続き、高炉の炉体支柱からのリフト設
備(図示せず)から垂下した吊具21により炉体リングブ
ロック11をリフトアップすると共に、レール17上の支持
ブロック18と共に移動台19を撤去する。次に搬送する炉
体リングブロック11が炉体基礎部15上に移動可能な高さ
まで炉体リングブロック11の下方にスペースをあける。
かくして先にリフトアップした炉体リングブロック11の
下側に次の炉体リングブロック11を移動させ、上下の炉
体リングブロック11を接続し、さらにリフトアップす
る。このような操作を新製作のブロック数だけ繰り返し
て高炉炉体基礎上で一体化して炉体を完成させる。
【0017】なお、高炉炉体を解体する場合は、積荷レ
ベル調整架構14を介する炉体用輸送台車1による解体し
た炉体リングブロック11の搬送および吊換装置6による
積荷レベル調整架構14や炉体リングブロック11の昇降作
業は前述の逆手順により行われる。これにより高炉炉体
基礎上より炉体リングブロックを解体場に配置した保管
用の置台上まで輸送される。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】図10に示すように、新
製作する炉体リングブロック11はその重量が最大約2000
t に達するため、炉体地組場の地面上に多数の置台10を
配置し、その上で組み立てられる。図17に示すように、
新製作した炉体リングブロック11は、積荷レベル調整架
構14をセットした炉体用輸送台車1上に載せるため吊換
装置6によって昇降される。図10(A) 〜(D) に示すよう
に、炉体リングブロック11は直径が異なるため、吊り上
げる4点の吊り位置が、各炉体リングブロック11毎にD1
〜D4のように全て異なった直径上に配置されている。一
方、図9の(A) 、(B) に示すように、2本の水平ビーム
8上のリフトアップジャッキ9の位置は固定されている
ため、炉体リングブロック11の吊点の鉛直上にリフトア
ップジャッキ9を配置できない場合が多い。
【0019】炉体リングブロック11を精度よく設置する
には、炉体リングブロック11の水平を保つ必要がある
が、水平調整には時間がかかる。そこで、図20に示すよ
うに、4個のリフトアップジャッキ9からそれぞれ垂下
した吊具21の下端に十字形状の吊ビーム29を取り付ける
ことが考えられた。すなわち、吊ビーム29の吊り位置31
は可動とし、吊ビーム29をリフトアップジャッキ9で吊
る位置32を固定とするのである。このような吊ビーム29
を利用すると、炉体リングブロック11の水平調整は容易
になる。しかしながら、吊り荷重は2000t程度、吊りス
パンも15m程度必要で製作費用は多大である。しかも、
炉体リングブロック11の吊り位置が変わると、その都度
調整のために吊ビーム29を昇降させて、位置調整する必
要があり、やはり多くの人手、作業場所の確保や長時間
の作業が必要であり、煩雑である。
【0020】本発明は、前記従来の技術の問題点を解決
するため、吊換装置に配設するリフトアップジャッキの
位置を自在に移動可能な構造にして、各炉体リングブロ
ックの吊り位置の鉛直上にリフトアップジャッキを配置
させることにより吊ビームを不要として安価な設備によ
り、高炉炉体を炉頂部から炉底部に複数の炉体リングブ
ロックを昇降可能として、分割して炉体の解体、組み立
てを能率よく行うことができる高炉改修用炉体リングブ
ロックの吊換装置を提供することを目的とするものであ
る。
【0021】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
の請求項1記載の本発明は、高炉炉体を炉頂部から炉底
部に分割した複数の炉体リングブロックを炉体基礎上に
搬入、搬出するため昇降させる高炉改修用炉体リングブ
ロックの吊換装置であって、平面四角形の4隅に配置さ
れた4本の支柱と、該支柱の一方側スパン頂部にそれぞ
れ架設された平行な2本を一組とする2組の一方側スパ
ンビームと、他方側スパンの支柱間にそれぞれ平行して
差し渡された一対の連結部材と、前記一方側スパンビー
ムの長手方向中央から両側に対称に離間する位置で炉体
リングブロックの中心に向くように前記一方側スパンビ
ームの間に平行に差し渡された2本を一組とする2組の
ジャッキ受梁と、該ジャッキ受梁の各々に沿って前記炉
体リングブロックの吊り点に対応する鉛直上方位置に移
動自在に設置されたジャッキ台と、該ジャッキ台にそれ
ぞれ搭載されたリフトアップジャッキとを具備したこと
を特徴とする高炉改修用炉体リングブロックの吊換装置
である。
【0022】請求項2記載の本発明は、高炉炉体を炉頂
部から炉底部に分割した複数の炉体リングブロックを炉
体基礎上に搬入、搬出するため昇降させる高炉改修用炉
体リングブロックの吊換装置であって、平面四角形の4
隅に配置された4本の支柱と、該支柱の他方側スパン頂
部にそれぞれ架設された他方側スパンビームと、該他方
側スパンビームの両端部でそれぞれ長手方向に沿って摺
動自在で、かつ前記支柱の一方側スパン頂部に架設され
た平行な2本を一組とする2組の一方側スパンビーム
と、該一方側スパンビームの長手方向中央から両側に対
称に離間する位置で該一方側スパンビームの長手方向に
直角に配設され前記炉体リングブロックの吊り点に対応
する鉛直上方位置に該一方側スパンビームの各々に沿い
移動自在に設置された一対のジャッキ台と、該ジャッキ
台にそれぞれ搭載されたリフトアップジャッキとを具備
したことを特徴とする高炉改修用炉体リングブロックの
吊換装置である。
【0023】
【発明の実施の形態】本発明で使用する炉体リングブロ
ック11を搬送する炉体用輸送台車1は、前記図8の(A)
、(B) により説明したものを使用する。すなわち、長
方形の細長い台車本体2を備え、台車本体2の下部に多
数配列された空気を充填したタイヤ式の車輪3により路
面の凹凸に追従して地面上を走行する。また、台車本体
2が昇降自在でかつ進行方向を調節自在とすると共に、
炉体用輸送台車1を連結することにより長さ並びに前後
進を可能な自走式であり、並列に並べて使用することに
より幅の広いものにも対応可能である。また、炉体用輸
送台車1にセットした積荷レベル調整架構14の構造も従
来と同構造のものを使用する(図17参照) 。
【0024】一方、本発明では、図1〜図3に示すよう
に、リフトアップジャッキ9の位置を自在に移動可能な
構造にして、各炉体リングブロック11の吊り位置の鉛直
上にリフトアップジャッキ9を配することのできる吊換
装置22を採用して、高炉改修用の炉体リングブロック11
を昇降する。これにより、従来不可欠であった吊ビーム
を不要として安価な設備により、高炉炉体を炉頂部から
炉底部に複数の炉体リングブロック11に分割して炉体の
解体や組み上げを行う。
【0025】本発明の吊換装置22には、平面四角形の4
隅に4本の支柱が配置されており、支柱7の一方側スパ
ン頂部、図示例では長スパン側頂部に平行な2本を一組
とする2組の一方側スパンビーム23がそれぞれ架設され
ている。他方側スパン、図示例では短スパン側の支柱7
の間は、それぞれ平行して差し渡した一対の連結部材26
により連結一体化されている。各支柱7は円柱形状とし
た例を示す。4本の支柱が形成する平面四角形の一方側
スパン、図示では長辺側のスパン距離は、炉体用輸送台
車1に載せた炉体リングブロック11を吊換装置22の下を
通過させることができるスパン長さとし、他方側スパ
ン、図示では短辺側のスパン距離、すなわち平行な2本
を一組とする2組の一方側スパンビーム(以下、長スパ
ンビームという。)23相互の距離は、複数の炉体リング
ブロック11の4点の吊り位置のバランスを考慮したスパ
ン長さを選択し、連結部材26で連結一体化している。
【0026】平行な2本の長スパンビーム23の間には、
長スパンビーム23の長手方向中央から両側に対称に離間
する位置で互いに昇降させる炉体リングブロックの中心
に向くように2本を一組とする2組のジャッキ受梁24を
差し渡し状態で配設する。このため長スパンビーム23の
間に平面上でジャッキ受梁24が斜めに掛け渡す状態にな
り、平行な2本のジャッキ受梁24の中心線上に炉体リン
グブロック11の中心が存在する。ジャッキ受梁24の各々
には、1個ずつのジャッキ台25が、ジャッキ受梁24に沿
って移動自在に配設してある。移動構造は、例えば、ジ
ャッキ台25の下面に下向きに2本のガイド溝37を平行に
間隔をおいて形成し、2本のガイド溝37を2本一組のジ
ャッキ受梁24に上方から嵌め込む形で摺動自在とする。
このようにして設置された合計4個のジャッキ台25に
は、それぞれリフトアップジャッキ9が1台ずつ合計4
台が配設される。
【0027】2本の長スパンビーム23の一方(図面では
内側の方)には、その上面に各ジャッキ台25の前面中央
部に対向する位置にシリンダ支持ブラケット33が配置し
てあり、シリンダ支持ブラケット33の側面に固定された
油圧式の伸縮シリンダ34がジャッキ台25の前面中央部に
連結してある。伸縮シリンダ34を伸縮することによりジ
ャッキ台25が、2本のガイド溝37を介して2本一組のジ
ャッキ受梁24に沿って摺動され、炉体リングブロック11
の中心側や反中心側に移動される。伸縮シリンダ34は、
炉体リングブロック11の最大吊り位置直径と最小吊り位
置直径との差をカバーするに十分なストロークとしてあ
る。なお、ジャッキ台25を前後に移動させる手段は油圧
式の伸縮シリンダでなくてもよく、スクリュー機構やラ
ックピニオン機構などジャッキ台25を前後に移動できる
公知手段を適宜に使用することができる。また、ジャッ
キ台25内にコロを多数配して移動する構造としてもよ
い。
【0028】図5に示すように、炉体地組場の地面上に
配置した多数の置台10上で炉体の炉口部(A) 、炉胸部
(B) 、朝顔部(C) 、炉床部(D) を形成する4個の炉体リ
ングブロック11が組み立てられる。炉体リングブロック
11は、炉口部(A) から順次に炉体用輸送台車1上に載せ
た状態で吊換装置22の場所まで移動され、吊換装置22を
用いて炉体リングブロック11を昇降させる。
【0029】炉口部から炉底部までを形成する4個の炉
体リングブロック11を吊り上げる4点の吊り位置が、各
炉体リングブロック11毎にD1〜D4のように異なった直径
上に配置されている。そこで、伸縮シリンダ34の作動に
よりジャッキ台25をジャッキ受梁24に沿って移動させ、
ジャッキ台25に搭載されたリフトアップジャッキ9を、
まず、炉口部(A) を形成する炉体リングブロック11に配
設した吊り点となる吊ブラケット13の直径D1に対応する
鉛直上方に位置させる。この状態を図4の(A)とする。
なお、炉口部(A) を形成する炉体リングブロック11に吊
ブラケット13を配置したのは、炉口部(A) の上端部は直
径が小さいためで、吊ブラケット13を配置することで安
定な吊り上げを可能とする。また、炉体リングブロック
11の吊り位置最大直径と吊り位置最小直径の差が少さく
なり、それ分だけ伸縮シリンダ34のストーロクを短くで
きる。他の部分(B) 、(C) 、(D) は、上端面に吊点を溶
接等で設けることにより、吊り上げが可能となる。
【0030】次に、図4の(B) に示すように、吊り点の
直径D2が小さい炉胸部(B) を形成する炉体リングブロッ
ク11に対しては、伸縮シリンダ34の作動によりジャッキ
台25をジャッキ受梁24に沿う摺動により炉体リングブロ
ック11の中心側に移動させる。また、図4の(C) に示す
ように、吊り点の直径D3が大きい朝顔部(C) を形成する
炉体リングブロック11に対しては、伸縮シリンダ34の作
動によりジャッキ台25をジャッキ受梁24に沿って摺動に
より炉体リングブロック11の反中心側に移動させる。こ
れによってジャッキ台25に搭載されたリフトアップジャ
ッキ9を、炉体リングブロック11の吊り点に対応する鉛
直上方に位置させる。伸縮シリンダ34によるジャッキ台
25の移動は、炉体リングブロック11を昇降する前に行う
ので、伸縮シリンダ34の駆動力は比較的小さくて済む。
このようにしてリフトアップジャッキ9は、各炉体リン
グブロック11に対する吊り点の鉛直上方に配置させるこ
とが可能になり、前記図20に示す従来の吊ビーム29は不
必要となる。
【0031】図1および図2に示すように、炉体用輸送
台車1上の炉口部を形成する直径D1の炉体リングブロッ
ク11には、側面下端部に取り付けた吊ブラケット13にリ
フトアップジャッキ9から垂下された吊具21が連結され
る。次に、リフトアップジャッキ9の作動により炉体リ
ングブロック11を昇降操作し、積荷レベル調整架構14を
セットした炉体用輸送台車1(図17参照) 上に炉体リン
グブロック11を積み替え、炉体基礎部15上に搬送するの
は、従来と同様であるので説明を省略する。
【0032】次に、本発明の他の実施態様を図6および
図7に従って説明する。他の実施態様に係る吊換装置30
は、平面四角形の4隅に円形の支柱7が配置されてお
り、支柱7の他方側スパン、図示例では短スパン側頂部
に差し渡して他方側スパンビーム( 以下、短スパンビー
ムという。)27 がそれぞれ架設されている。また、支柱
7の長スパン側頂部に差し渡された平行な2本を一組と
する2組の長スパンビーム28は、短スパンビーム27の両
端部上でその長手方向に沿って移動自在に架設してあ
る。移動構造として例えば、平行に架設された長スパン
ビーム28の両端部に下向きに形成したガイド溝37を、短
スパンビーム27上に差し渡して上方から嵌め込み、長ス
パンビーム28をガイド溝37を介して短スパンビーム27の
長手方向に沿って摺動して移動自在とする。
【0033】さらに、2本一組とする2組の長スパンビ
ーム28の上にそれぞれ2つのジャッキ台25が、長スパン
ビーム28の長手方向中央から両側に対称に離間する位置
で長手方向に直角に配設してある。各ジャッキ台25は長
スパンビーム28の長手方向に移動自在であり、ジャッキ
台25を長スパンビーム28に沿って摺動させることによ
り、リフトアップジャッキ9が炉体リングブロック11の
吊り点に対応する鉛直上方位置に移動される。
【0034】リフトアップジャッキ9の移動構造として
例えば、ジャッキ台25に下向きに平行に形成した2本の
ガイド溝37を2本一組の長スパンビーム28に上側から嵌
め込む形で前後方向に摺動して移動する。2本一組の長
スパンビーム28の中間部に離間して配置した2つの連結
部38には、その上面に各ジャッキ台25の前面中央部に対
向する位置にシリンダ支持ブラケット33を配置する。シ
リンダ支持ブラケット33の側面に水平状態で固定された
油圧式の伸縮シリンダ36は、ジャッキ台25の前面中央部
に連結される。伸縮シリンダ36を伸縮することにより、
ジャッキ台25が2本のガイド溝37を介して2本一組の長
スパンビーム28に沿って左右方向に移動自在である。
【0035】図5の(A) 〜(D) に示すように、4個の炉
体リングブロック11は4点の吊り位置が、D1〜D4のよう
に異なった直径上に配置されているので、炉体リングブ
ロック11の吊り点直径に対応して2本一組の長スパンビ
ーム28を伸縮シリンダ35の作動によりそれぞれ短スパン
ビーム27上に沿って摺動により移動させると共に、ジャ
ッキ台25を伸縮シリンダ36の作動によりそれぞれ長スパ
ンビーム28に沿って摺動により移動させる。このような
2本一組の長スパンビーム28並びにジャッキ台25の摺動
による移動を組み合わせることにより各ジャッキ台25に
搭載したリフトアップジャッキ9が、炉体リングブロッ
ク11が備えた吊り点の鉛直上方に配置することが可能に
なる。このようにしてリフトアップジャッキ9は、炉体
リングブロック11の吊り点にマッチした位置に自在に調
節できる。
【0036】前述の本発明の実施態様では、吊換装置2
2、30を所定の場所に固定設置する場合について説明し
たが、本発明では吊換装置を必要な場所に移動可能な構
造とする移動式の吊換装置にも適用可能である。
【0037】
【発明の効果】以上、説明したように本発明は、複数の
炉体リングブロックを炉体基礎上に搬入、搬出するため
に昇降させる高炉改修用炉体リングブロックの吊換装置
におけるリフトアップジャッキを、昇降させる炉体リン
グブロックの吊り点に対応する鉛直上方位置に摺動によ
って移動自在とした。このため、斜め吊りの心配がな
く、吊り下げ時の水平出し作業が省略できるばかりでな
く高価な吊りビームが不要となり、炉体リングブロック
吊り下げ位置調整に必要な時間を短縮できる。かくして
炉体リングブロックの昇降に必要な作業時間が大幅に短
縮され、高炉改修の工期短縮に寄与するところ多大であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施態様に係る吊換装置を示す正面図
である。
【図2】本発明に係る吊換装置を示す平面図である。
【図3】図2のA部を示す部分拡大斜視図である。
【図4】本発明に係る炉体リングブロックの直径に対応
する吊り点の鉛直上方にジャッキ台に設置したリフトア
ップジャッキを位置させる状況を示す説明図であり、
(A) は炉口部を形成する直径D1の炉体リングブロックの
吊り点上方にリフトアップジャッキを位置させる場合、
(B) は炉胸部を形成する径の小さい直径D2の炉体リング
ブロックの吊り点上方にリフトアップジャッキを位置さ
せる場合、(C) は朝顔部を形成する径の大きい直径D3
炉体リングブロックの吊り点上方にリフトアップジャッ
キを位置させる場合である。
【図5】本発明に係る炉体地組場に配置した4分割した
炉体リングブロックを順次に炉体用輸送台車上に載せた
状態で吊換装置の場所まで移動させて吊換装置により炉
体リングブロック11を昇降させる状況を示す説明図であ
る。
【図6】本発明の他の実施態様に係る吊換装置を示す正
面図である。
【図7】本発明の他の実施態様に係る吊換装置を示す平
面図である。
【図8】従来の炉体用輸送台車を示し、(A) は側面図で
あり、(B) は正面図である。
【図9】従来の吊換装置を示し、(A) は斜視図であり、
(B) は平面図である。
【図10】従来の炉体地組場の置台上に新しい炉体リング
ブロックを載置して配列した状況を示す正面図である。
【図11】従来の新しい炉体リングブロックを炉体地組場
に荷重分散するのに必要な個数の置台に支持させて載置
した状況を示す正面図である。
【図12】従来の新しい炉体リングブロックを最小限の置
台に支持させて載置した状況を示す正面図である。
【図13】従来の新しい炉体リングブロックを支持する最
小限の置台に干渉しないように炉体用輸送台車を引き込
んだ状況を示し、(A) は正面図であり、(B) は平面図で
ある。
【図14】従来の新しい炉体リングブロックを炉体輸送台
車上に載荷して吊換装置の方に搬送する状況を示す側面
図ある。
【図15】従来の新しい炉体リングブロックを炉体輸送台
車上から吊換装置によりリフトアップする状況を示し、
(A) は正面図であり、(B) は平面図である。
【図16】従来の新しい炉体リングブロックを吊換装置に
よりリフトアップして炉体輸送台車を移動させる状況を
示す側面図である。
【図17】従来の新しい炉体リングブロックを吊換装置に
よりリフトアップして積荷レベル調整架構を載置した炉
体輸送台車を吊換装置の位置に移動させる状況を示す側
面図である。
【図18】従来の新しい炉体リングブロックを吊換装置の
位置に搬送して炉体輸送台車の積荷レベル調整架構上に
載荷した状況を示す側面図である。
【図19】従来の炉体輸送台車の積荷レベル調整架構上に
載荷した新しい炉体リングブロックを高炉炉体基礎上に
移動させる状況を示す側面図である。
【図20】従来の吊りビームを備えた吊換装置の構造を示
す斜視図である。
【符号の説明】
1 炉体用輸送台車 2 台車本体 3 車輪 4 昇降シリンダ 5 支持レバー 6、22、30 吊換装置 7 支柱 8 水平ビーム 9 リフトアップジャッキ 10 置台 11 炉体リングブロック 12 パッキングビーム 13 吊ブラケット 14 積荷レベル調整架構 14a 調整架構本体 15 炉体基礎部 16、17 レール 18 支持ブロック 19 移動台 20 駆動シリンダ 22、30 吊換装置 21 吊具 23、28 一方側スパンビーム(長スパンビーム) 24 ジャッキ受梁 25 ジャッキ台 26 連結部材 27 他方側スパンビーム(短スパンビーム) 29 吊りビーム 31 吊り位置 32 吊る位置 33 シリンダ支持ブラケット 34、35、36 伸縮シリンダ 37 ガイド溝 38 連結部
フロントページの続き (72)発明者 小島 啓孝 岡山県倉敷市水島川崎通1丁目(番地な し) 川崎製鉄株式会社水島製鉄所内 (72)発明者 亀岡 克史 岡山県倉敷市水島川崎通1丁目(番地な し) 川鉄マシナリー株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高炉炉体を炉頂部から炉底部に分割した
    複数の炉体リングブロックを炉体基礎上に搬入、搬出す
    るため昇降させる高炉改修用炉体リングブロックの吊換
    装置であって、平面四角形の4隅に配置された4本の支
    柱と、該支柱の一方側スパン頂部にそれぞれ架設された
    平行な2本を一組とする2組の一方側スパンビームと、
    他方側スパンの支柱間にそれぞれ平行して差し渡された
    一対の連結部材と、前記一方側スパンビームの長手方向
    中央から両側に対称に離間する位置で炉体リングブロッ
    クの中心に向くように前記一方側スパンビームの間に平
    行に差し渡された2本を一組とする2組のジャッキ受梁
    と、該ジャッキ受梁の各々に沿って前記炉体リングブロ
    ックの吊り点に対応する鉛直上方位置に移動自在に設置
    されたジャッキ台と、該ジャッキ台にそれぞれ搭載され
    たリフトアップジャッキとを具備したことを特徴とする
    高炉改修用炉体リングブロックの吊換装置。
  2. 【請求項2】 高炉炉体を炉頂部から炉底部に分割した
    複数の炉体リングブロックを炉体基礎上に搬入、搬出す
    るため昇降させる高炉改修用炉体リングブロックの吊換
    装置であって、平面四角形の4隅に配置された4本の支
    柱と、該支柱の他方側スパン頂部にそれぞれ架設された
    他方側スパンビームと、該他方側スパンビームの両端部
    でそれぞれ長手方向に沿って摺動自在で、かつ前記支柱
    の一方側スパン頂部に架設された平行な2本を一組とす
    る2組の一方側スパンビームと、該一方側スパンビーム
    の長手方向中央から両側に対称に離間する位置で該一方
    側スパンビームの長手方向に直角に配設され前記炉体リ
    ングブロックの吊り点に対応する鉛直上方位置に該一方
    側スパンビームの各々に沿い移動自在に設置された一対
    のジャッキ台と、該ジャッキ台にそれぞれ搭載されたリ
    フトアップジャッキとを具備したことを特徴とする高炉
    改修用炉体リングブロックの吊換装置。
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