JP2002018946A - 易接着性二軸配向ポリエステルフィルム及びその製造方法 - Google Patents

易接着性二軸配向ポリエステルフィルム及びその製造方法

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JP2002018946A
JP2002018946A JP2000210019A JP2000210019A JP2002018946A JP 2002018946 A JP2002018946 A JP 2002018946A JP 2000210019 A JP2000210019 A JP 2000210019A JP 2000210019 A JP2000210019 A JP 2000210019A JP 2002018946 A JP2002018946 A JP 2002018946A
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polyester film
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Toshifumi Ishikawa
俊史 石川
Masayuki Fukuda
雅之 福田
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Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 写真感光材料との易接性を有し、透明性、巻
取りや搬送の作業性を同時に満足し、熱現像方式を用い
る写真感光材料に用いた場合、常に色ずれのない製版が
可能となる二軸配向ポリエステルフィルムを提供する。 【解決手段】 少なくとも片面に、二次転移点(Tg)
が−20℃以上50℃以下のアクリル系樹脂を主成分と
する塗膜を有する二軸配向されたフィルムを、1回以上
熱弛緩処理する易接性二軸配向ポリエステルフィルムの
製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は熱収縮率の小さい易
接性二軸配向ポリエステルフィルムおよびその製造方法
に関し、更に詳しくは熱現像方式用の写真感光材料の支
持体として用いた際に、写真感光材料との易接性を有
し、かつ重ね合わせ精度が高く、透明性、滑り性、巻取
り性に優れた易接性二軸配向ポリエステルフィルムおよ
びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエチレンテレフタレートフィルムに
代表されるポリエステルフィルムは、写真感光フィルム
のベースフィルムとして従来より広く使用されている。
近年、感光フィルムの現像には、従来の湿式現像に代わ
って、現像時間が短く操作が簡単な熱現像方式が多く用
いられるようになった。
【0003】ポリエステルフィルムを写真感光フィルム
のベースフィルムに使用する際には、その結晶配向性の
為、表面凝集力が高く、写真感光材料に対する接着性に
乏しく、この易接性改良が望まれている。
【0004】また、熱現像方式では感光フィルムが80
〜150℃で熱現像されることが多く、従来の湿式現像
方式に比べて感光材料が高温度の熱履歴を受ける。この
ため、感光材料の熱収縮等による寸法変化が従来の湿式
現像の場合に比べて大きく、実用上問題となっている。
この問題に対して、熱現像温度での感光材料の熱収縮率
を小さくして、赤、緑、青、黒のフィルムを重ねて現
像、製版するに際に、各フィルムのずれを小さくするこ
とにより、色ずれの無い画像を得る方法が種々提案され
ている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる従来
技術の問題点を解消し、写真感光材料との易接性を有
し、かつ常に重ね合わせ精度の良い、透明性、滑り性、
巻取り性に優れた写真感光材料用易接性二軸配向ポリエ
ステルフィルムおよびその製造方法を提供することを課
題とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、少なくとも片面
に、二次転移点(Tg)が−20℃以上50℃以下のア
クリル系樹脂を主成分とする塗膜を有する二軸配向され
たフィルムの熱収縮率が、特定の範囲にあるフィルムを
熱弛緩処理することで、写真感光材料との接着性を有
し、かつ常に重ね合わせ精度の良い写真感光材料用易接
性二軸配向ポリエステルフィルムを提供できることを見
出し、本発明を完成するに至った。
【0007】すなわち本発明は、少なくとも片面に、二
次転移点(Tg)がー20℃以上50℃以下のアクリル
系樹脂を主成分とする塗膜を有する二軸配向されたフィ
ルムを、1回以上熱弛緩処理する易接性二軸配向ポリエ
ステルフィルムの製造方法である。
【0008】また、本発明は上記二軸配向ポリエステル
フィルムの製造方法のより得られる、120℃で60秒
間熱処理した時の熱収縮率が下記式(1)〜式(2)を
同時に満足する易接性二軸配向ポリエステルフィルムで
ある。
【0009】
【数2】 0.001≦SMD≦0.2 …(1) −0.2≦STD≦0.2 …(2) (ここで、SMDはフィルム縦方向の熱収縮率(%)、S
TDはフィルム横方向の熱収縮率(%)である。)
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
(ポリエステル)本発明でポリエステルフィルムを構成
するポリエステルとは、ジカルボン酸成分とグリコール
成分を主成分とする熱可塑性ポリエステルであって、例
えばテレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレン
ジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸等の
芳香族ジカルボン酸成分と、例えばエチレングリコー
ル、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサン
ジメタノール、1,6−ヘキサンジオール等のグリコー
ル成分とから構成されるポリエステルが好ましく、特に
ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−
ナフタレートが好ましい。また、上記成分等の共重合ポ
リエステルであっても良い。
【0011】ポリエステルがポリエチレンテレフタレー
トの場合、固有粘度(オルトクロロフェノール溶液にて
35℃で測定:単位dl/g)は、下限が0.52であ
ることが好ましく、0.57であることが特に好まし
い。この固有粘度が0.52以上、特に0.57以上で
あると、ポリエステルフィルムの引裂き強度が良好とな
るため好ましい。一方、固有粘度の上限が1.50であ
ることが好ましく、1.00であることが特に好まし
い。この固有粘度が1.50以下、特に1.00以下で
あると、原料製造工程およびフィルム製膜工程における
生産性が良好となる。また、その繰返し構造単位が実質
的にエチレンテレフタレートのみの単独重合体であって
も良く、繰返し構造単位の数の10%以下、好ましくは
5%以下が他の成分であるポリエチレンテレフタレート
共重合体であっても良い。またポリエチレンテレフタレ
ートと他のポリエステルとの混合物であっても良い。
【0012】ポリエステルがポリエチレン−2,6−ナ
フタレートの場合、固有粘度は、下限が0.40である
ことが好ましく、0.50であることが特に好ましい。
この固有粘度が0.40以上、特に0.50以上である
と、ポリエステルフィルムを製膜する工程でフィルムの
切断等が少なくなるため好ましい。一方、固有粘度の上
限が0.90であることが好ましく、0.80であるこ
とが特に好ましい。この固有粘度が0.90以下、特に
0.80以下であると、原料製造工程およびフィルム製
膜工程における生産性が良好となる。また、その繰返し
構造単位が実質的にエチレン−2,6−ナフタレートの
みの単独重合体であっても良く、繰返し構造単位の数の
10%以下、好ましくは5%以下が他の成分であるポリ
エチレン−2,6−ナフタレート共重合体であっても良
い。またポリエチレン−2,6−ナフタレートと他のポ
リエステルとの混合物であっても良い。
【0013】上記のポリエチレンテレフタレートまたは
ポリエチレン−2,6−ナフタレートは、その製法によ
り限定されることはないが、例えばポリエチレンテレフ
タレートの場合、テレフタル酸とエチレングリコールと
をエステル化反応させ、次いで得られた反応生成物を目
的とする重合度になるまで重縮合反応させてポリエチレ
ンテレフタレートとする方法、あるいはテレフタル酸ジ
メチルエステルとエチレングリコールとをエステル交換
反応させ、次いで得られた反応生成物を目的とする重合
度になるまで重縮合反応させてポリエチレンテレフタレ
ートとする方法(以下『溶融重合』と略記することがあ
る)を用いることができる。また、上記の方法(溶融重
合)により得られたポリエチレンテレフタレート或いは
共重合ポリエチレンテレフタレートは、必要に応じて固
相状態での重合する方法(以下『固相重合』と略記する
ことがある)により、更に重合度の高いポリマーとする
ことができる。
【0014】ポリエチレン−2,6−ナフタレートも上
記の溶融重合により得ることができるが、このうち、前
述の酸成分のエステル形成性誘導体、例えば、2,6−
ナフタレンジカルボン酸の低級アルキルエステルとエチ
レングリコールを公知の方法でエステル交換反応させた
後、重縮合して製造されるものを好ましく使用できる。
【0015】上記エステル交換反応においては、2,6
−ナフタレンジカルボン酸の低級アルキルエステル或い
はテレフタル酸の低級アルキルエステルとエチレングリ
コールをエステル交換反応触媒の存在下で反応させる。
このエステル交換反応触媒としては、マンガン化合物を
好ましく用いることができる。マンガン化合物として
は、酸化物、塩化物、炭酸塩、カルボン酸塩等が挙げら
れる。これらの中、酢酸塩が好ましく用いられる。
【0016】前記重縮合反応に使用する触媒としては、
アンチモン化合物(Sb化合物)、チタン化合物(Ti
化合物)、ゲルマニウム化合物(Ge化合物)などを好
ましく挙げることができる。アンチモン化合物としては
三酸化アンチモンが特に好ましい。また、ゲルマニウム
化合物としては二酸化ゲルマニウムを用いるのが好まし
く、その中でも結晶形態を有していないいわゆる非晶性
ゲルマニウムを用いることがポリマー中に析出する粒子
を少なくすることができるため好ましい。
【0017】上記のエステル交換反応では、反応が実質
的に終了した時点でリン化合物を添加し、エステル交換
触媒を失活させることが好ましい。リン化合物として
は、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェー
ト、トリ−n−ブチルホスフェート及び正リン酸を使用
することができる。これらの中、トリメチルホスフェー
トが好ましい。
【0018】前記ポリエステルには、必要に応じて、酸
化防止剤、熱安定剤、粘度調整剤、可塑剤、色相改良
剤、滑剤、核剤などの添加剤を加えることができる。
【0019】(添加微粒子)本発明のポリエステルに
は、滑剤微粒子を添加してポリエステルフィルムの作業
性(滑り性)を良好なものとすることが好ましい。滑剤
微粒子としては任意のものを選べるが、例えば無機系滑
剤として、シリカ、アルミナ、二酸化チタン、炭酸カル
シウム、硫酸バリウム等を挙げることができる。また、
有機系滑剤として、例えばシリコーン樹脂粒子、架橋ポ
リスチレン粒子等を挙げることができる。これらの中
で、一次粒子の凝集粒子である多孔質シリカ粒子が、フ
ィルムの延伸時に粒子周辺にボイドが発生しにくく、フ
ィルムの透明性を向上させることができるため特に好ま
しい。
【0020】この多孔質シリカ粒子を構成する一次粒子
の平均粒径は、0.001〜0.1μmの範囲にあるこ
とが好ましい。一次粒子の平均粒径が0.001μm未
満ではスラリー段階で解砕により極微細粒子が生成し、
これが凝集体を形成して、透明性低下の原困となること
がある。一方、一次粒子の平均粒径が0.1μmを超え
ると、粒子の多孔性が失われ、その結果、ボイド発生が
少ない特徴が失われることがある。
【0021】多孔質シリカ粒子またはその他の滑剤粒子
は、通常、ポリエステルを製造するための反応時、例え
ばエステル交換法による場合のエステル交換反応中ない
し重縮合反応中の任意の時期、または直接重合法による
場合の任意の時期に、反応系中に添加(好ましくはグリ
コール中のスラリーとして)することができる。特に、
重縮合反応の初期、例えば固有粘度が約0.3に至るま
での間に多孔質シリカ粒子を反応系中に添加するのが好
ましい。
【0022】(ポリエステルフィルム)本発明のポリエ
ステルフィルムは、少なくとも片面に、二次転移点(T
g)が−20℃以上50℃以下のアクリル系樹脂を主成
分とする塗膜を有する二軸配向されたフィルムを、1回
以上熱弛緩処理することにより得ることができ、得られ
た熱弛緩処理後のフィルムは120℃60秒間処理した
時の熱収縮率が前記式(1)〜式(2)を同時に満足す
る易接性二軸配向ポリエステルフィルムである。ポリエ
ステルフィルムを写真感光フィルムのベースフィルムと
して用いる際に、現像を熱現像方式で行なった場合、現
像温度は120℃前後であることが一般的に多く、この
温度でフィルムの寸法が安定していることが肝要であ
る。
【0023】本発明のポリエステルフィルムは、二次転
移点(Tg)がー20℃以上50℃以下のアクリル系樹
脂を主成分とする塗膜を有する易接性二軸配向ポリエス
テルフィルムである。
【0024】アクリル系樹脂を主成分とする塗膜の二次
転移点(Tg)は、−20℃以上50℃以下、好ましく
はー10℃以上40℃以下である。ガラス転移点が上記
範囲であることにより、本発明の易接性二軸配向ポリエ
ステルフィルムは、写真感光材料との易接性に優れると
共に透明性が維持され得る。
【0025】上記アクリル系樹脂としては、メタクリル
酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アク
リル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、N−メチロー
ルアクリルアミド、グリシジルメタクリレート、アクリ
ロニトリル、β−ヒドロキシエチルアクリレート、アク
リル酸アンモニウムなどのアクリル系モノマーの重合体
あるいは共重合体、さらには、上記のモノマーとスチレ
ンで例示される少量割合のビニルモノマーとの共重合体
を挙げることができる。また、上記成分の他に本発明の
目的の達成を阻害しない範囲で他の樹脂、界面活性剤、
帯電防止剤、滑り性付与剤および紫外線吸収剤を含むこ
とができる。
【0026】このアクリル系樹脂は、プライマー塗液を
水性塗液として調製することの容易さから、水溶性もし
くは水分散性であることが好ましい。塗膜の厚みは0.
01μm以上0.5μm以下であることが好ましい。厚
みが0.01μm以下の場合、熱現像時に写真感光材料
との易接性が悪くなるので好ましくない。また、0.5
μm以上では、ブロッキング性が悪化するので好ましく
ない。
【0027】ポリエステルフィルムに塗膜を設けるに
は、通常アクリル系樹脂が溶解あるいは分散した水性分
散液(塗液)をポリエステルフィルムの片面または両面
に塗布し、乾燥することにより行なうことができる。塗
布前のポリエステルフィルムは未配向フィルム、一軸配
向フィルム、二軸配向フィルムいずれでもよいが、一軸
配向フィルムに塗布し、乾燥後あるいは乾燥しつつさら
に延伸、熱処理して二軸配向フィルムとする方法が好ま
しい。塗布法はロールコーティングなどそれ自体公知の
任意の方法を用いることができる。
【0028】本発明の易接性二軸配向ポリエステルフィ
ルムは、120℃で60秒間熱処理した時の縦方向の熱
収縮率が0.001%以上0.2%以下のものである。
この縦方向の熱収縮率が0.2%を超えると製版時に色
ずれや画像の歪みが生ずることがある。また、縦方向の
熱収縮率が0.001%未満とすることは実現が困難で
あり、無理に実現を図ると皺が発生するなど平面性が劣
るようになる。
【0029】本発明の二軸配向ポリエステルフィルム
は、120℃で60秒間熱処理した時の横方向の熱収縮
率が−0.2%以上0.2%以下のものである。横
(幅)方向の熱収縮率がこの範囲外では、製版時に色ず
れや画像の歪み等の不具合が生ずる。
【0030】本発明の二軸配向ポリエステルフィルム
は、これらの要件を、同時に満足することが必要であ
り、一つでも不満足であってはならない。
【0031】(製膜法)本発明において、熱弛緩処理に
用いる二軸配向したポリエステルフィルムは、従来から
知られている方法で製造できる。例えば、滑剤微粒子を
含むポリエステルを乾燥し、溶融押出し、二軸延伸した
後熱固定する方法で製造できる。この方法では、例えば
Tダイから押出された溶融ポリエステルを冷却ドラム上
で急冷固化し、未延伸フィルムとし、この未延伸フィル
ムを70℃〜130℃で2.5〜4倍に縦延伸した後、
80〜130℃で3〜6倍に横延伸し、190〜240
℃で熱固定してポリエステルフィルムを得ることができ
る。また、上記工程中の縦延伸後にフィルムの片面また
は両面に、易接性水分散性の塗剤を塗布し、易接着性塗
膜を形成させることができる。
【0032】製膜条件は特定されないが、フィルム両端
部の異方性を軽減し、かつ極力低熱収縮率であり、その
上平面性の良い条件を選ぶことが望ましい。これらを全
て満足することは困難であるが、比較的望ましい条件は
次の通りである。
【0033】縦延伸倍率は2.5〜4.0倍であること
が好ましい。縦延伸倍率の下限は、3.0倍であること
が更に好ましく、上限は3.6倍であることが更に好ま
しい。縦延伸倍率が2.5倍未満では厚み斑が悪くなる
ことがある。また、4.0倍を超えると、縦軸方向の配
向が強くなり、縦方向の残留応力が強く、熱処理工程で
の加熱により、フィルムが軟化したとき、両端部は把持
具で把持されているためフィルム相互には動かないが、
中央部は上流側へ移動し、両端部の異方性が強くなる。
縦横逐次二軸延伸ではこの現象は防止できないが、比較
的横配向にすることで、幾分軽減できる。
【0034】横延伸倍率は3〜6倍であることが好まし
い。横延伸倍率の下限は3.6であることが更に好まし
く、上限は5.0倍であることが更に好ましい。横延伸
倍率が3.0倍未満では厚み斑が悪い。6.0倍以上に
は延伸時に切断が多発する。
【0035】熱処理温度はTg+100℃以上Tg+1
40℃以下が好ましい。熱処理温度がTg+100℃未
満では寸法変化率が大きく、前期式(1)〜(2)の範
囲を超えてしまうと同時に、オリゴマーが析出して白化
し易く、また、熱弛緩処理時に皺などが発生して平面性
が悪化する。熱処理温度がTg+140℃を超えると、
上記両端部の異方性が増大し、フィルムが不透明になり
やすく、厚み斑が増加する。
【0036】熱処理工程で把持具の案内レールを先狭め
にして、弛緩処理することは熱収縮率(特に横方向)の
低下に有効である。この幅弛緩率は0.5〜5%が好ま
しい。0.5%未満では効果が少なく、5%以上では平
面性が悪化する。通常、該把持具はフィルム温度が10
0℃以下になってからフィルムを解放するが、150〜
120℃で解放し、引き取り張力を低めにすると縦方向
の熱収縮率の低下に有効である。この温度が150℃を
超えると平面性が悪化し、120℃未満では効果が少な
い。把持具からの解放は、例えば把持具近傍でナイフ、
剃刀等の刃を入れて切り離してもよい。
【0037】(熱弛緩処理)本発明の二軸配向フィルム
は、前記のように注意して製膜し、熱収縮率が前記式
(1)〜(2)の範囲にあるフィルムに更に1回以上熱
弛緩処理を施すことによって得ることができる。熱弛緩
処理の方法は特定するものではないが、懸垂式の弛緩熱
処理法が特に好ましい。懸垂式の弛緩熱処理法は、処理
するフィルムの送り出し側の張力をニップローラーで遮
断した後、平面性を確保するために予熱しながら上方に
設置したローラーを経て下方に自重で垂下させ、その途
中で加熱した後、下方のローラーでほぼ水平方向に向き
を変え、フィルムを冷却して平面性を維持しつつ、ニッ
プローラーで巻取り張力を遮断した上で巻き取る。上下
ローラー間の張力は、該処理区間にテンションピックア
ップを設置し、送り出し、巻取り側の各ニップローラー
のモーターを調整することで達成できる。
【0038】弛緩熱処理時の張力としては、1kPa以
上500kPa以下が好ましい。この弛緩熱処理時の張
力の下限は、10kPaであることが更に好ましく、2
0kPaであることが特に好ましい。また、弛緩熱処理
時の張力の上限は450kPaであることが更に好まし
く、400kPaであることが特に好ましい。弛緩熱処
理時の張力が上記の下限未満では平面性が悪くなり、ま
た、フィルム搬送中に蛇行しやすくなるため生産性が悪
くなり、好ましくない。また弛緩熱処理時の張力が上記
の上限を超えると、寸法変化が大きくなりやすく、好ま
しくない。
【0039】熱弛緩処理時の垂下距離は、1m以上10
m以下が好ましい。垂下距離が1m未満では加熱範囲が
短いので処理速度が遅く生産性が悪くなり、好ましくな
い。また10mを超えると、搬送時にフィルムが蛇行し
やすくなり、また、平面性も悪くなり、好ましくない。
【0040】熱弛緩処理の回数は、所望の寸法安定性を
得るため、1回以上必要であり、2回以上実施すること
がより好ましい。この回数は、所望の寸法安定性を確保
するまで、何回でも実施できる。2回以上実施する際の
方法としては、該熱弛緩処理工程中に、懸垂状態で熱弛
緩処理をするゾーンを連続して2つ以上設けるか、また
は、一度熱弛緩処理されたフィルムを、再度同じ工程で
先の処理とはフィルムの表裏を逆になるようにして熱弛
緩熱処理することによって実施される。この時、フィル
ムの表裏を逆にするのは、熱弛緩処理工程処理時の幅方
向における寸法安定性の不均一化を防ぐ為である。
【0041】この熱弛緩処理に際しては、これらを克服
する対策があれば特に制限はない。加熱方式には制約は
無いが、赤外線加熱が即時に加熱できて好ましい。
【0042】熱弛緩処理の温度は、Tg以上Tg+14
0℃以下が好ましい。熱弛緩処理の温度の下限は、Tg
+10℃であることが更に好ましく、Tg+20℃であ
ることが特に好ましい。また、熱弛緩処理の温度の上限
はTg+120℃であることが更に好ましく、Tg+1
10℃であることが特に好ましい。熱弛緩処理の温度が
Tg未満では120℃での寸法変化率を小さくすること
が難しい。また、Tg+140℃を超えると平面性が悪
化し易く、オリゴマーが析出してフィルムが白くなるこ
とがある。この白化は圧力履歴に左右され、例えば吊り
ベルトをフィルムロールのフィルム部分に架けて運搬す
ると、Tg+140℃以下であっても、ベルトと接触し
た部分が白化し易いので注意を要する。なお、フィルム
温度は、非接触の赤外線式温度計(例えばバーンズ式輻
射温度計)を用いて測定することが望ましい。この懸垂
式弛緩熱処理法によれば、製膜時の両端部近辺のフィル
ムでも、寸法変化率を本発明の範囲に収めることができ
る。
【0043】これ以外にも、本発明の二軸配向ポリエス
テルフィルムを作成する方法はあるが、欠点がより多
く、欠点が回避できる場合は採用することができる。以
下例示する。
【0044】(1)斜め配向の部分を他の用途に転用で
きる場合 製膜幅の中央部のみを、任意の熱弛緩処理法で処理す
る。処理原反の特性にも依るが、50〜80%が活用で
きる。
【0045】(2)把持具を持つ横延伸機で入口幅と出
口幅をほぼ等しくできる装置を有する場合 前記、製膜法で述べた熱処理工程で、処理温度をより低
くし、中央部の移動量を通常の半分程度にして製膜す
る。移動量は横延伸機に入る前のフィルムに、墨縄等で
横(幅)方向に直線を描き、横延伸機から出た後の直線
が円弧状に曲がる量で求める。このフィルムを、把持具
を持つ横延伸機で入口幅と出口幅をほぼ等しくできる装
置に通して200〜245℃で熱処理する。このとき、
製膜時と該熱処理時とは走行方向が逆になるように処理
することが肝要であり、前記円弧状の線がほぼ直線状に
戻るように条件設定する。この処理により、両端部の異
方性は矯正され、斜め方向の熱収縮率が大きくなること
は無くせる。
【0046】このフィルムを任意の方法で熱弛緩処理す
ることで本発明の易接性二軸配向ポリエステルフィルム
を製造することができる。しかし、生産性の減少や把持
具部分の廃棄による歩留まりの低下が避けられず、不利
益もある。設備対応できる場合に限り、採用できる方法
である。
【0047】(3)浮上走行式熱弛緩 空気流を下方及び上方から交互にフィルムに吹き付け、
フィルムを正弦曲線状に浮上させながら水平方向に移動
させ、その間に加熱し、熱弛緩する。塗膜の塗工乾燥に
は、ローラーがフィルムに接触しない利点があるが、熱
弛緩用には低張力を保つことが意外に難しく、本発明の
低熱収縮が実現できないことがある。
【0048】(4)ローラー間熱弛緩 ニップローラーを持つ2本のローラー間でフィルムを低
張力にし、その部分で加熱して熱弛緩を行なう方法であ
る。フィルムが蛇行し易く、安定走行が難しい。また、
加熱に先立ちニップローラーで加圧することは前記した
ように白化を招き易く、好ましくない。これらを解決し
た上で用いることができる。
【0049】(フィルム厚み)本発明のポリエステルフ
ィルムの厚みは50μm以上、200μm以下であるこ
とが好ましい。厚みが200μmを超えると透明性が低
下する上に不経済であるので好ましくない。厚みが50
μm未満では強度、特に腰が不足し、製版作業性が低下
する。また、懸垂式弛緩熱処理に際し、気流の影響で走
行が不安定になり易い。
【0050】(ヘーズ値)本発明の二軸配向ポリエステ
ルフィルムのヘーズ値は4%以下が好ましく、2%〜
0.3%が更に好ましい。ヘーズ値が4%を超えると画
像の鮮明性が劣り、好ましくない。また、0.3%未満
にすることは困難である。
【0051】(表面粗さRa)本発明の二軸配向ポリエ
ステルフィルムの表面粗さRaは5〜20nmであるこ
とが好ましい。5nm未満であると摩擦係数が過大にな
り、作業性が悪く、傷が付き易いので好ましくない。2
0nmを超えると、ヘーズ値が大きくなり、画像の鮮明
性が低下する。
【0052】(摩擦係数)本発明の二軸配向ポリエステ
ルフィルムの摩擦係数は0.5以下が好ましく、0.4
以下が更に好ましい。また摩擦係数の下限は0に近づく
ほど好ましいが、0.2であることが特に好ましい。摩
擦係数が0.5を超えると、搬送性、作業性、巻取り性
に支障があり好ましくない。摩擦係数が小さいこと自体
は好適であるが、0.2未満にするためには表面粗さを
大きくしなければならず、その結果ヘーズ値が大きくな
る。
【0053】(湾曲量)フィルムを細幅にスリットして
平面上に皺のないように、張力をかけないよう静置する
と、製膜時の幅方向の中央付近から採取したフィルムは
ほぼ直線状になり、両端に近いフィルムほど湾曲する。
長さ1m当たりの直線からのずれを湾曲量とするとき、
フィルムの湾曲量は1mあたり10mm以下、特に5m
m以下であることが好ましい。湾曲量が5mm、特に1
0mmを超えると、写真フィルム用の感光剤を塗工する
時フィルムが蛇行し、不良品となる場合が有る。
【0054】
【実施例】以下、実施例をあげて本発明をさらに説明す
る。なお、本発明における種々の物性値および特性は、
以下の如く測定されたものであり、かつ定義される。
【0055】(1)粒子の平均粒径 (株)島津製作所製CP−50型セントリフィグル パ
ーティクルサイズ アナライザー(Centrifug
al Particle Analyzer)を用いて
測定した。得られた遼心沈降曲線を基に算出した各粒径
の粒子とその残存量との積算曲線から、50マスパーセ
ントに相当する粒径を読み取り、この値を上記平均粒径
とした(「粒度測定技術」日刊工業新聞社発行、197
5年、頁242〜247参照)。
【0056】(2)不活性粒子が凝集粒子の場合の平均
粒径 添加した滑剤としての不活性微粒子が1次粒子の凝集に
よる2次粒子である場合は(1)に示す方法での平均粒
径測定で得られた粒径は実際の平均粒径より小さくなる
場合があるため、下記方法を採用した。
【0057】粒子を含有したフィルムを断面方向に厚さ
100nmの超薄切片とし、透過電子顕微鏡(例えば日
本電子製JEM−1200EX)を用いて、1万倍程度
の倍率で粒子を観察し、凝集粒子(2次粒子)を観察し
た。この写真を用いて個々の粒子について円面積相当の
直径を画像解析装置等を用いて粒子1000個について
測定し、数平均した粒子径を平均2次粒径とした。な
お、粒子種の同定はSEM−XMA、ICPによる金属
元素の定量分析などを使用して行なうことができる。平
均1次粒径は透過電子顕微鏡の倍率を10万〜100万
倍にて撮影するほかは平均2次粒径粒径測定の方法に準
じて測定した。
【0058】(3)写真感光材料の易接着性 易接性塗膜を有するポリエステルフィルム上に、感光材
料として、エスレックKS−1(積水化学工業製ポリビ
ニルブチラール樹脂)を乾燥後の膜厚が7μmとなるよ
うに塗布し乾燥する。その後、5mm間隔で縦横6本の
切り目をナイフで入れ、5×5のます目をつくる。その
上から、セロテープ(登録商標)をローラーで圧着し、
強剥離する。剥れたます目の数が0〜5を○、5〜10
を△、11以上を×とする。この評価方法で、○のみが
写真感光材料との易接性を有すると判断する。
【0059】(4)熱弛緩処理後熱収縮率 120℃に設定された恒温室の中にあらかじめ正確な長
さを測定したフィルムを無緊張状態で入れ、60秒保持
処理した後取り出し、室温に戻してからその寸法の変化
を読み取る。熱処理前の長さR0と熱処理後の長さRよ
り、次式により熱収縮率を求める。
【0060】
【数3】熱収縮率=(R0−R)×100/R0(%) 試料は横方向を0°、縦方向を90°として採取する。
また、製膜時の幅方向の端部に近い部分から採取した。
【0061】(5)フィルム厚み 外付マイクロメータで100点測定し、平均値を求めて
フィルムの厚みとした。
【0062】(6)ヘーズ値 JIS K−6714の方法に従い、市販のヘーズメー
タでフィルム一枚当たりの全ヘーズ値を測定する。測定
数n=5として、その平均値を測定値とする。
【0063】(7) 表面粗さ(中心線表面粗さRa) フィルムの表裏両画を表面粗さ計(東京精密(株)サー
フコム111A)で測定し平均値を算出して表面粗さと
する。
【0064】(8)摩擦係数 ASTM D1894−63に準じ、スリッパリー測定
器(東洋テスター製)を用い、硝子板をスレッド板と
し、荷重1kgで動摩擦係数(μd)を測定した。
【0065】(9)湾曲量 フィルムロールから長さ20mのフィルムを採取し、そ
れを歪みのない水平な床面上に密着させる。次いでフィ
ルム幅方向片側端の起点部と終点部を直線で結び、この
直線に対する長手方向中間点(10m地点)でのフィル
ム幅方向端ずれ量を求め、これをフィルム長さ10mあ
たりの湾曲量とする。この値をフィルム長さ1mあたり
の値に換算し湾曲量とする。
【0066】(10)熱現像後の寸法ずれ 実際の感光材料としての加工はしないで、二軸配向ポリ
エステルフィルムを用いた模擬試験を実施した。感材加
工時に過度の張力をかけることなく、本発明の二軸配向
ポリエステルフィルムの特性を維持すれば、実際の熱現
像に際し、この試験と同様の好結果が期待できる。
【0067】フィルム製膜時の幅方向の中央部、及び両
端部から60(縦)×55cmの試料を採取する。これ
を25℃60%RH下24hrs調湿し、四隅に上下左
右50cm間隔のレジスターマーク(トンボ)代用の印
を付け、120℃30秒と115℃30秒加熱(模擬熱
現像)後25℃60%RH下24hrs調湿し、3枚1
組みのフィルムを重ね合わせ、レジスターマークの最大
ずれを拡大鏡で測長した。このずれが60μmを超える
と、製版時に色ずれが肉眼でも認知されるので、不可と
した。 ○:レジスターマークの最大ずれが中央部、両端部とも
60μm以下である。 △:レジスターマークの最大ずれが中央部、両端部のど
ちらかが60μm以下。 ×:レジスターマークの最大ずれが中央部、両端部とも
60μmを超える。
【0068】(11)画像の鮮明性 フィルムに像形成層を設け、熱現像により像を形成さ
せ、n数10枚とし視覚により像の鮮明さ、コントラス
トを判定した。 ◎:非常に良好(本発明の目的範囲内であり特に好まし
い) ○:良好(本発明の目的範囲内であり好ましい) △:やや不良(本発明の目的に達しない) ×:不良(本発明の目的に大きく達しない)
【0069】(12)総合評価フィルムの易接着性・湾
曲量・熱現像後の寸法ズレ・画像の鮮明性・摩擦係数に
ついて結果を総合的に評価した。 ○:良好(上記の結果がすべて良好) △:やや不良(上記の結果のいずれかにやや不満足な部
分がある) ×:不良(上記の結果のいずれかに致命的な欠陥があ
る)
【0070】(13)二次転移点(Tg) DSC(デュポン社製・V4.OB2000型器)を用
いて20℃/分の昇温速度でサンプル(10mg)を昇
温させてガラス転移温度を測定する。
【0071】[実施例1〜2]ジメチルテレフタレート
とエチレングリコールとを、エステル交換触煤として酢
酸マンガンを、重合触媒として三酸化アンチモンを、安
定剤として亜燐酸を、さらに滑剤として凝集粒子である
平均粒径1.7μmの多孔質シリカ粒子をポリマーに対
して0.007重量%になるように添加して常法により
重合し、固有粘度(オルソクロロフェノール、35℃)
0.65のポリエチレンテレフタレート(Tg:78
℃)を得た。ポリエチレンテレフタレートは溶融温度2
95℃で溶融し、線径13μmのステンレス細線よりな
る平均目開き24μmの不織布型フィルターで濾過し、
Tダイから押出し、表面仕上げ0.3s程度、表面温度
20℃の回転冷却ドラム上に押出し、未延伸フィルムを
得た。
【0072】このようにして得られた未延伸フィルムを
75℃に予熱し、低速ローラーと高速ローラーの間で1
5mm上方より800℃の表面温度の赤外線ヒーター1
本にて加熱して3.1倍に延伸し、急冷した後、メタク
リル酸メチル−アクリル酸エチル−アクリル酸−メタク
リルアミド−N−メチロールアクリルアミド共重合体
(Tg=25℃)のアクリル系樹脂水分散体4%濃度水
性液(塗液)を上記フィルムの片面にロールコーターで
塗布した。続いてステンターに供給し、120℃にて横
方向に3.9倍に延伸した。得られた二軸配向フィルム
を235℃の温度で5秒間熱固定し、この間に1.5%
幅弛緩し、さらにフィルム温度が100℃近辺に低下し
たところで把持具から切り離して二軸配向ポリエステル
フィルムを得た。塗膜の膜厚は0.05μmであった。
このフィルムの特性を表1に示す。また、フィルムを懸
垂式熱弛緩装置を用いて、表1に示す条件で弛緩熱処理
して最終製品とした。このフィルムの特性を評価した結
果を表1に示す。
【0073】[実施例3]実施例1において、塗液を、
メタクリル酸メチル−アクリル酸エチル−アクリル酸−
メタクリルアミド−N−メチロールアクリルアミド共重
合体(Tg=5℃)90重量部、ポリオキシエチレンア
ルキルエーテル10重量部のアクリル系樹脂水分散体4
%濃度水性液)に変更する以外は、実施例1と同様にし
て易接性二軸配向ポリエステルフィルムを得た。このフ
ィルムの特性を評価した結果を表1に示す。
【0074】[実施例4]2,6−ナフタレンジカルボ
ン酸ジメチルとエチレングリコールの混合物に酢酸マン
ガン4水塩を添加し、150℃から240℃に徐々に昇
温しながらエステル交換反応を行なった。途中反応温度
が170℃に達した時点で三酸化アンチモンを添加し、
さらに平均粒径が1.7μmの多孔質シリカ粒子0.0
7重量部を添加し、引続いてエステル交換反応を行な
い、エステル交換反応終了後、リン酸トリメチルを添加
した。その後反応生成物を重合反応器に移し、290℃
まで昇温させ、0.2mmHg以下の高真空下にて重縮
合反応を行なって25℃のο−クロロフェノール中で測
定した固有粘度が0.62のポリエチレン−2,6−ナ
フタレート(PEN、Tg:121℃)ポリマーを得
た。
【0075】このPENポリマーを、押出機にて300
℃で溶融し、Tダイからシート状に溶融押出し、30℃
の水冷キャスティングドラムに密着させて冷却固化し、
未延伸シートを得た。この未延伸フィルムを、赤外線加
熱併用ロール延伸により縦方向(機械軸方向)に3.0
倍延伸し、急冷した後、メタクリル酸メチル−アクリル
酸エチル−アクリル酸−メタクリルアミド−N−メチロ
ールアクリルアミド共重合体S(Tg=25℃)のアク
リル系樹脂水分散体4%濃度水性液(塗液)を上記フィ
ルムの片面にロールコーターで塗布した。
【0076】その後、横方向(幅方向)に140℃で
4.0倍逐次二軸延伸して240℃で5秒間熱処理しな
がら幅方向に1.2%弛緩処理を行ないい、フィルム温
度が130℃近辺まで低下したところで把持具から切り
離し、易接性二軸配向ポリエステルフィルムを得た。ま
た、フィルムを懸垂式熱弛緩装置を用いて、表1に示す
条件で弛緩熱処理して最終製品とした。このフィルムの
特性を評価した結果を表1に示す。
【0077】[実施例5]実施例1において、懸垂式熱
弛緩に代えて、浮上走行式熱弛緩を表1に示す条件で実
施した以外は、実施例1と同様にして易接性二軸配向ポ
リエステルフィルムを得た。このフィルムの特性を評価
した結果を表1に示す。
【0078】[実施例6]実施例1において、多孔質シ
リカに代えて平均粒径0.9μmのカオリンクレーをポ
リマーに対し、0.25重量%になるように添加した。
これ以外は、実施例1と同様にして易接性二軸配向ポリ
エステルフィルムを得た。このフィルムの特性を評価し
た結果を表1に示す。
【0079】[比較例1〜2]ジメチルテレフタレート
とエチレングリコールとを、エステル交換触煤として酢
酸マンガンを、重合触媒として三酸化アンチモンを、安
定剤として亜燐酸を、さらに滑剤として凝集粒子である
平均粒径1.7μmの多孔質シリカ粒子をポリマーに対
して0.007重量%になるように添加して常法により
重合し、固有粘度(オルソクロロフェノール、35℃)
0.65のポリエチレンテレフタレート(Tg:78
℃)を得た。ポリエチレンテレフタレートは溶融温度2
95℃で溶融し、線径13μmのステンレス細線よりな
る平均目開き24μmの不織布型フィルターで濾過し、
Tダイから押出し、表面仕上げ0.3s程度、表面温度
20℃の回転冷却ドラム上に押出し、未延伸フィルムを
得た。
【0080】このようにして得られた未延伸フィルムを
75℃に予熱し、低速ローラーと高速ローラーの間で1
5mm上方より800℃の表面温度の赤外線ヒーター1
本にて加熱して3.6倍に延伸し、急冷し、続いてステ
ンターに供給し、120℃にて横方向に3.7倍に延伸
した。得られた二軸配向フィルムを235℃の温度で5
秒間熱固定して二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
また、フィルムを懸垂式熱弛緩装置を用いて、表1に示
す条件で弛緩熱処理して最終製品とした。このフィルム
の特性を評価した結果を表1に示す。
【0081】
【表1】
【0082】表1に示す結果から明らかなように、本発
明の易接性二軸配向ポリエステルフィルムは写真感光材
料との易接性、透明性、滑り性、巻取り性に優れ、写真
感光材料の支持体として優れたものである。
【0083】
【発明の効果】本発明によれば、写真感光材料との易接
性を有し、透明性、巻取りや搬送の作業性を同時に満足
し、熱現像方式を用いる写真感光材料に用いた場合、常
に色ずれのない製版が可能となる二軸配向ポリエステル
フィルムを提供する。また、トレーシングフィルム、マ
イクロフィルム、OHPシートなど、高い寸法安定性を
要求する用途に広く活用でき、その工業的価値は高い。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G03C 1/795 G03C 1/795 // B29K 67:00 B29K 67:00 B29L 7:00 B29L 7:00 C08L 67:02 C08L 67:02 Fターム(参考) 2H023 FA01 FA12 FA13 2H123 BA00 BA32 BA38 BA40 CB00 CB03 4F073 AA29 BA23 BA24 BB01 GA01 4F100 AA20H AK25 AK25A AK25C AK25J AK26 AK26J AK41B AK42B AL01 AL05A AL05C BA02 BA03 BA06 BA07 BA10A BA10C EH17 EH172 EH46 EH462 EJ38 EJ38A EJ38C EJ383 EJ41 EJ413 GB90 JA05A JA05C JK14 JL13 JM02A JM02C JN01 YY00A YY00C 4F210 AA21 AA24 AA26 AH73 AM32 AP11 AR12 QA02 QC06 QC20 QD08 QD36 QG01 QG15 QG18 QL02 QL17 QM03 QM11 QM13 QW07 QW11 QW15

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも片面に、二次転移点(Tg)
    が−20℃以上50℃以下のアクリル系樹脂を主成分と
    する塗膜を有する二軸配向されたフィルムを、1回以上
    熱弛緩処理する易接性二軸配向ポリエステルフィルムの
    製造方法。
  2. 【請求項2】 フィルムを懸垂された状態で熱弛緩処理
    する、請求項1に記載の易接性二軸配向ポリエステルフ
    ィルムの製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の易接性二軸配向ポリエ
    ステルフィルムの製造方法により得られる、120℃で
    60秒間熱処理した時の熱収縮率が下記式(1)〜式
    (2)を同時に満足する易接性二軸配向ポリエステルフ
    ィルム。 【数1】 0.001≦SMD≦0.2 …(1) −0.2≦STD≦0.2 …(2) (ここで、SMDはフィルム縦方向の熱収縮率(%)、S
    TDはフィルム横方向の熱収縮率(%)である。)
  4. 【請求項4】 懸垂された状態で熱弛緩処理する際の搬
    送張力が1kPa以上500kPa以下の範囲にある請
    求項2記載の易接性二軸配向ポリエステルフィルムの製
    造方法。
  5. 【請求項5】 懸垂された状態で熱弛緩処理する際の温
    度がポリエステルのTg以上Tg+140℃以下である
    請求項2記載の易接性二軸配向ポリエステルフィルムの
    製造方法。
  6. 【請求項6】 フィルムを構成するポリエステルがポリ
    エチレンテレフタレートである請求項3に記載の易接性
    二軸配向ポリエステルフィルム。
  7. 【請求項7】 フィルムを構成するポリエステルがポリ
    エチレン−2,6−ナフタレートである請求項3に記載
    の易接性二軸配向ポリエステルフィルム。
  8. 【請求項8】 フィルムの厚みが50μm以上200μ
    m以下である請求項3に記載の易接性二軸配向ポリエス
    テルフィルム。
  9. 【請求項9】 フィルムのへーズ値が4.0%以下であ
    る請求項3に記載の易接性二軸配向ポリエステルフィル
    ム。
  10. 【請求項10】 フィルムの少なくとも片面の表面粗さ
    Raが5nm以上20nm以下である請求項3に記載の
    易接性二軸配向ポリエステルフィルム。
  11. 【請求項11】 フィルムの少なくとも片面の摩擦係数
    が0.5以下である請求項3に記載の易接性二軸配向ポ
    リエステルフィルム。
  12. 【請求項12】 フィルムの湾曲量がフィルム長さ1m
    あたり0mm以上5mm以下である請求項3に記載の易
    接性二軸配向ポリエステルフィルム。
  13. 【請求項13】 写真感光材料の支持体として使用され
    る請求項3に記載の易接性二軸配向ポリエステルフィル
    ム。
  14. 【請求項14】 写真感光材料の現像方式が熱現像方式
    である請求項13に記載の易接性二軸配向ポリエステル
    フィルム。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2007111098A1 (ja) 2006-03-24 2007-10-04 Konica Minolta Medical & Graphic, Inc. 透明バリア性シート及びその製造方法
JP2010274430A (ja) * 2009-05-26 2010-12-09 Systec Co Ltd 二軸延伸ポリエステルフィルムの熱処理方法

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