JP2002018590A - ハンダ合金、ハンダボール及びハンダバンプを有する電子部材 - Google Patents

ハンダ合金、ハンダボール及びハンダバンプを有する電子部材

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JP2002018590A
JP2002018590A JP2000205656A JP2000205656A JP2002018590A JP 2002018590 A JP2002018590 A JP 2002018590A JP 2000205656 A JP2000205656 A JP 2000205656A JP 2000205656 A JP2000205656 A JP 2000205656A JP 2002018590 A JP2002018590 A JP 2002018590A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 無鉛ハンダ合金であって、適正な融点を有
し、極めて良好な耐熱疲労特性を有し、更にハンダリフ
ロー後の表面性状が優れていて光学的なバンプ形成評価
を行なうことができ、電子部材のハンダバンプ用として
使用することのできるハンダ合金、該組成のハンダボー
ル、該組成のハンダバンプを有する電子部材を提供す
る。 【解決手段】 Ag:2〜3質量%、Cu:0.3〜
1.5質量%、Bi:0.05〜1.5質量%、Sb:
0.2〜1.5質量%を含み、かつAg、Cu、Sb、
Biの合計含有量が5質量%以下であり、残部Sn及び
不可避不純物からなり、リフロー後の表面性状が滑らか
であることを特徴とする無鉛ハンダ合金、電子部材のハ
ンダバンプ用無鉛ハンダ合金、電子部材用無鉛ハンダボ
ール。ハンダバンプ、接合ハンダ電極の一部又は全部は
上記組成の無鉛ハンダ合金により形成してなることを特
徴とする電子部材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、リフロー後の表面
性状が滑らかな無鉛ハンダ合金に関するものであり、特
に半導体基板やプリント基板等の電子部材における電極
のハンダバンプに好適なハンダ合金及びハンダボールで
ある。更に該ハンダ合金を用いたハンダバンプを有する
電子部材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】最近の電子部品の小型化、高密度実装化
に伴い、プリント配線基板等に電子部品を実装する際に
は、BGA(ボールグリッドアレイ)、CSP(チップ
サイズパッケージ)技術が用いられるようになってい
る。また、これらの技術に採用される電極サイズも微細
化の一途をたどっている。
【0003】これらの接合においては、半導体基板、電
子部品、プリント基板等の上に配置された多数の電極に
まずハンダバンプを形成する。電子部材上の電極へのハ
ンダバンプ形成は、各電極にフラックスの粘着力を利用
してハンダボールを粘着させ、ついで該電子部材を高温
に熱してハンダボールをリフローさせることによって行
なう。このハンダバンプを介して半導体基板等とプリン
ト基板等との間を接合する。ここで、ハンダバンプと
は、銅あるいはアルミ電極の上に半球状に盛り上がって
形成されたハンダをいう。
【0004】上記実装技術によって半導体素子や電子部
品を基板上に実装した電子装置においては、当該装置を
作動させると半導体素子等自身の発熱によって温度が上
昇し、装置作動をオフとすると冷却して温度が低下する
という加熱・冷却を繰り返す熱サイクルにさらされる。
また、電子装置の使用環境によっては、装置全体が高温
と低温とを繰り返す環境にさらされる。半導体素子自身
が発熱する場合には半導体素子とプリント基板との間に
温度差が生じるため、半導体素子とプリント基板との接
合部には熱応力が発生する。また、装置全体が熱サイク
ルを受ける場合においても、半導体素子とプリント基板
との間に存在する熱膨張係数差により、同じく半導体素
子とプリント基板との接合部に熱応力が発生する。半導
体素子とプリント基板との接合はハンダ電極によって行
われているので、ハンダ電極の強度及び耐熱疲労強度が
低いと、該ハンダ電極部が熱応力によって破壊されるこ
ととなる。そのため、このような接合に用いるハンダ合
金には優れた耐熱疲労特性が要求される。
【0005】一方、廃棄された電子装置を廃棄処理する
に際し、環境への影響を最少とするため、電子装置に使
用するハンダ合金についても無鉛ハンダ合金が要求され
るようになっている。
【0006】無鉛ハンダ合金としては、二元系ではSn
にAgを3.5%含有した組成が共晶組成となり、融点
は221℃と比較的低く、広く無鉛ハンダとして使用さ
れている。耐熱疲労特性もそれなりに良好である。
【0007】更に三元系では、特開昭63−13689
号公報に開示されているように、水道管の接合に用いる
ハンダ合金として、Ag:0.05〜3%(好ましくは
0.1〜2%)、Cu:0.7〜6%(好ましくは2〜
4%)、残部Snからなるハンダ合金が提案されてい
る。ここで提案されているハンダ合金の特徴は、広い範
囲で流動性が良く金属に対する濡れがよいことである。
また、耐熱疲労特性については特に言及されていない。
【0008】一方、電子部品に用いるハンダ合金につい
ては、上述のように優れた耐熱疲労特性を必要とする。
特開平5−50286号公報においては、電子機器用の
無鉛ハンダ合金として、Ag3.0〜5.0%、Cu
0.5〜3.0%、残部Snからなる耐熱疲労特性に優
れた高温ハンダが開示されている。Agの含有量につい
ては、Agは耐熱疲労特性改善に著しく効果があるが、
その添加量が3.0%以下であると耐熱疲労特性を改善
する効果が十分でないとしている。ここで提案されてい
るハンダ合金の融点は218℃前後である。Sn−Ag
−Cu系ハンダ合金では、Ag4.7%−Cu1.7%
で三元共晶組成となることが報告されており、3%以上
のAgを含有することによって共晶点近傍の組成として
融点を下げ、ハンダ合金としての使いやすさを実現して
いる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】近年、ノートパソコ
ン、ビデオカメラ、携帯電話等の超小型電子機器におい
ては、表面実装やBGA実装が進み、電極の数が増大す
るとともに基板電極パッドの面積の縮小が急速に進んで
いる。このため、個々の電極の面積も非常に小さくなっ
ている。
【0010】基板等の電極にハンダバンプを形成する工
程においては、ハンダのリフロー後に多数の電極のすべ
てにおいて良好なハンダバンプが形成されたことを確認
するための評価が必要である。通常は、ハンダリフロー
後の電極部に光をあて、その電極部をカメラで撮像し、
画像解析を行なう。正常なハンダバンプが形成された電
極においては、再溶融後凝固した半球状のハンダバンプ
は滑らかな表面性状を有し、反射光の像がバンプの頂上
中央部に集束して観察される。ハンダバンプが形成され
なかった電極は平面状であるため、集束した光の像が観
察されず、不良部として認識することができる。
【0011】電子部品に用いるハンダ合金として知られ
ている上記特開平5−50286号公報に開示されたも
のを微細ハンダバンプ形成のために使用すると、リフロ
ー後のハンダバンプの表面が滑らかではなくがさついて
いる。このため、上記画像処理による評価を行なうと、
反射光の像がバンプの頂上中央部に集束せず、バンプ全
体から散乱した光の像が得られる。これではバンプ形成
不良部と誤認されてしまい、正しい評価を行なうことが
できない。
【0012】電子部材の使用環境は、常温・高温環境の
みならず、寒冷地での使用も考慮する必要がある。寒冷
地での使用においては、氷点下を含む低温から高温まで
の加熱・冷却が繰り返される。従って、このような環境
で使用される電子部材に用いられるハンダ合金には、氷
点下を含む低温から高温までの厳しい加熱・冷却に耐え
られる優れた耐熱疲労特性が要求される。
【0013】無鉛ハンダ合金においても、バンプ形成時
におけるリフロー温度を低下させるためには、その融点
は低いほど好ましい。
【0014】本発明は、無鉛ハンダ合金であって、適正
な融点を有し、寒冷地での使用にも耐えられる良好な耐
熱疲労特性を有し、更にハンダリフロー後の表面性状が
優れていて光学的なバンプ形成評価を行なうことがで
き、電子部材のハンダバンプ用として使用することので
きるハンダ合金、該組成のハンダボール、該組成のハン
ダバンプを有する電子部材を提供することを目的とす
る。
【0015】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明の要旨とす
るところは以下のとおりである。 (1)Ag:2〜3質量%、Cu:0.3〜1.5質量
%、Bi:0.05〜1.5質量%、Sb:0.2〜
1.5質量%を含み、かつAg、Cu、Sb、Biの合
計含有量が5質量%以下であり、残部Sn及び不可避不
純物からなり、リフロー後の表面性状が滑らかであるこ
とを特徴とする無鉛ハンダ合金。 (2)Ag:2〜3質量%、Cu:0.3〜1.5質量
%、Bi:0.05〜1.5質量%、Sb:0.2〜
1.5質量%を含み、かつAg、Cu、Sb、Biの合
計含有量が5質量%以下であり、残部Sn及び不可避不
純物からなることを特徴とする電子部材のハンダバンプ
用無鉛ハンダ合金。 (3)Ag:2〜3質量%、Cu:0.3〜1.5質量
%、Bi:0.05〜1.5質量%、Sb:0.2〜
1.5質量%を含み、かつAg、Cu、Sb、Biの合
計含有量が5質量%以下であり、残部Sn及び不可避不
純物からなることを特徴とする電子部材用無鉛ハンダボ
ール。 (4)ハンダバンプを有する電子部材であって、該ハン
ダバンプの一部又は全部はAg:2〜3質量%、Cu:
0.3〜1.5質量%、Bi:0.05〜1.5質量
%、Sb:0.2〜1.5質量%を含み、かつAg、C
u、Sb、Biの合計含有量が5質量%以下であり、残
部Sn及び不可避不純物からなる無鉛ハンダ合金により
形成してなることを特徴とする電子部材。 (5)複数の電子部品間をハンダ電極によって接合した
電子部材であって、該ハンダ電極の一部又は全部はA
g:2〜3質量%、Cu:0.3〜1.5質量%、B
i:0.05〜1.5質量%、Sb:0.2〜1.5質
量%を含み、かつAg、Cu、Sb、Biの合計含有量
が5質量%以下であり、残部Sn及び不可避不純物から
なる無鉛ハンダ合金により形成してなることを特徴とす
る電子部材。
【0016】本発明者らの研究の結果、特開平5−50
286号公報に開示された電子部品用ハンダ合金を用い
た場合にバンプ表面にがさつきが生じる原因は、凝固後
の組織内部のデンドライトが大きく成長し、その影響が
表面にも現れ、バンプ表面にβ−Snデンドライトが顕
著になり、荒れたがさがさの表面性状となるためである
ことが明らかになった。そして、表面性状を良好にする
ためにはAgの含有量が重要であり、Agの含有量を3
質量%以下とすることによってがさつきが解消し、リフ
ロー後の優れた表面性状が得られることを見出した。
【0017】本発明は上記知見に基づいてなされたもの
であり、Ag:2〜3質量%、Cu:0.3〜1.5質
量%を含有するSn系ハンダ合金組成を適用することに
より、融点の適正化、良好な耐熱疲労特性の確保を図り
つつ、リフロー後の表面性状の確保を同時に実現するこ
とを可能にした。
【0018】従来、電子部品用の無鉛ハンダ合金として
は、Agの含有量は3%以上必要であるとされていた。
特開昭63−13689号公報に開示された水道管の接
合に用いられていたハンダ合金は、Cuを好ましくは2
〜4%含むことにより、電子部品用接点材として不可欠
な延性が低く、硬く脆い性質を有する理由で電子部品用
には使えないと考えられていた。本発明においては、C
u含有量を1.5質量%以下と限定することにより、ハ
ンダ合金の延性を低下させることなく耐疲労性を確保
し、Ag含有量3質量%以下であっても、Cuを同時添
加することにより電子部品用として必要とされる融点を
確保でき、更にリフロー後の表面性状にも優れた品質を
確保できることを見出した。
【0019】本発明においては更に、ハンダ合金にBi
を添加すると、リフロー後の表面性状を良好に維持しつ
つ融点を低下させることが可能であることを見出した。
融点の低下とともにリフロー温度を低下させることがで
きる。Biを0.1質量%添加することにより融点を約
1℃低下させ、1.5質量%添加すると融点を20℃低
下させることができる。
【0020】本発明はSn基ハンダ合金である。Snは
13.2℃で変態する特性を有している。SnにAgや
Cuを本発明の範囲内で含有しても、変態温度を多少は
下げることができるが、マイナス10℃以下まで変態温
度を下げることはできない。Sn基ハンダ合金の場合、
低温における上記Sn変態時において破断が著しく進行
しやすく、その結果としてハンダ電極接合部の破壊に到
る。ハンダ電極接合部の耐熱疲労特性評価のために用い
られるTCTテスト(例えば−40℃〜125℃の加熱
冷却サイクルの繰り返し)においては、低温にさらした
際にハンダ電極接合部の破断が進展し、ついには破壊に
到る。SnにAgとCuのみを本発明の範囲内で含有し
たハンダ合金においては、従来のSn−3.5%Ag合
金なみの耐熱疲労特性は実現しているものの、寒冷地向
けに用いられる電子部材においてはより一層の耐熱疲労
特性の向上が求められている。
【0021】本発明は、上記Ag:2〜3質量%、C
u:0.3〜1.5質量%、Bi:0.05〜1.5質
量%を含有するSn系ハンダ合金に更にSb:0.2〜
1.5質量%を含有させることにより、低温におけるS
n変態を抑制することができ、寒冷地条件においても十
分に耐えることのできる耐熱疲労特性を実現できること
を見出し、本発明に到った。本発明により、ハンダ合金
の融点は215℃以下となり、リフロー作業性に優れ
る。
【0022】
【発明の実施の形態】Agの含有量が少なすぎるとハン
ダ合金の固相線温度(融点)が上昇し、220℃近傍で
活用できるハンダとしての機能が失われる。Agの含有
量が2質量%以上であれば、適切な融点を有し、220
℃近傍で活用することができる。また、Agの含有量が
3質量%以下であれば、リフロー後のβ−デンドライト
の成長を抑え、がさつきのない良好な表面性状のハンダ
バンプを実現することができる。Agの含有量は3.0
質量%以下であればより好ましい。
【0023】Sn−Ag系のハンダ合金にCuを添加す
ると、Cu含有量1.5質量%までは固相線温度(融
点)が低下するが、それを超えると急激に固相線温度が
上昇する。そのため、本発明ではCu含有量上限を1.
5質量%とする。
【0024】Sn−Ag系合金においては、凝固組織の
中にAg3Sn金属間化合物のネットワークが生成し、
ハンダの強度や疲労特性を向上させる。Sn−Agのみ
の合金においてはAg3Sn金属間化合物のネットワー
クが相互に十分に連結されないが、Sn−Ag系のハン
ダ合金にCuを0.3質量%以上添加すると、内部のA
3Sn金属間化合物のリング状ネットワークが密にな
り、ハンダバンプの強度、疲労特性を向上し、電子部品
用として必要な強度や耐熱疲労特性を確保することが可
能になる。そのため、本発明ではCu含有量下限を0.
3質量%とする。
【0025】Bi含有量が0.05質量%未満ではBi
による融点低下効果が十分ではないので、下限を0.0
5質量%とする。また、Bi含有量が増えると、ハンダ
合金の機械的強度が増大するが、一方でハンダ合金の延
性が低下する。また、Bi含有量が高すぎると、リフロ
ー後のハンダ表面に針状のBi結晶が析出し、表面性状
が劣化することが明らかになった。Bi含有量が1.5
質量%以下であれば、ハンダ合金の延性は良好であり、
かつリフロー後のハンダ表面性状も良好であるので、上
限を1.5質量%とした。Bi含有量は1.0質量%以
下であればより好ましい。
【0026】Sb含有量は、0.2質量%未満ではSn
の低温変態の抑制効果が十分ではないので、下限を0.
2質量%とする。また、1.5質量%を超えるとリフロ
ー後のハンダ表面がさつきが抑えられず、かつ耐熱疲労
特性改善効果も減少するので、上限を1.5質量%とす
る。
【0027】Ag、Cu、Sb、Biの合計含有量が5
質量%を超えると、ボール表面での合金元素の析出、酸
化等により、リフロー後の表面ががさがさとなり良好な
表面性状が得られない。従って、Ag、Cu、Sb、B
iの合計含有量の上限を5質量%とした。
【0028】以上のように、本発明においては、無鉛ハ
ンダ合金としてAg:2〜3質量%、Cu:0.3〜
1.5質量%、Bi:0.05〜1.5質量%、Sb:
0.2〜1.5質量%を含み、かつAg、Cu、Sb、
Biの合計含有量が5質量%以下であり、残部Sn及び
不可避不純物からなるハンダ合金の組成を適用すること
により、融点の適正化を図りつつ、耐熱疲労特性を著し
く向上し、かつリフロー後の表面性状の確保を同時に実
現することを可能にした。これにより、このハンダ合金
を電子部材のハンダバンプ用として使用したときに、光
学的な手段でバンプ形成評価を行なうことができる。ま
た、このハンダ合金を使用した電子部材を寒冷地におい
て使用しても十分な耐熱疲労特性が得られる。
【0029】上記組成のハンダボールは、ハンダバンプ
を形成するためのハンダボールとして好適である。特に
直径が300μm以下の微細ハンダボールにおいては、
従来の組成では形成したハンダバンプの評価を光学的手
段で行なうことは困難であるが、本発明のハンダボール
を用いた場合にはリフロー後のハンダバンプの表面性状
が滑らかで優れているために光学的手段によるハンダバ
ンプの評価を行なうことができる。
【0030】更に、上記組成のハンダバンプを有する電
子部材は、微細かつ多数のハンダバンプを形成する場合
においても、ハンダバンプの良否を的確に評価すること
ができ、良好な品質の電子部材とすることができる。特
に、ハンダバンプの1辺の長さが0.2mm以下の微小
ハンダバンプにおいて、従来組成のハンダバンプでは実
現することのできない良好な成績を得ることができる。
上記組成のハンダ電極によって複数の電子部品間を接合
した電子部材は、製造工程においてハンダバンプの良好
性を的確に評価されているためにハンダ電極の品質が良
好であり、さらに該ハンダ電極は極めて良好な耐熱疲労
特性を有しているという優れた特徴を有するものであ
る。
【0031】
【実施例】(実施例1)表1に示す組成のハンダ合金を
用いて直径300μmのハンダボールを作成し、このハ
ンダボールを基板上の電極にフラックスの粘着力を用い
て付着させた上、リフロー炉にて加熱して、リフロー後
のハンダバンプの表面性状を観察した。基板の上方の光
源から光をあて、基板上の電極を撮像し、ハンダバンプ
で反射する光の像を比較した。光の像が半球状のバンプ
の頂部のみに集束している場合には合格、光の像が電極
の全体に散乱している場合にはバンプ形成不良と判断さ
れる。
【0032】
【表1】
【0033】本発明例1〜4は本発明の組成のハンダ合
金、比較例1はAg、Cu、Sb、Biの合計質量が5
質量%を超える含有量、比較例2はBi無添加かつSb
が本発明の上限を超える成分、比較例3はSn−Ag
系、比較例4はSn−Ag−Bi−Cu系、比較例5は
Pb−Sn系の有鉛ハンダである。各実施例のリフロー
後におけるハンダバンプの表面性状を撮影して表面光沢
を評価した。本発明例1〜4及び比較例5(有鉛ハン
ダ)については、光の像がバンプの頂部にのみ集束し、
良好な評価結果が得られた。リフロー後の表面性状が良
好であったためである。比較例1〜4については、光の
像がバンプ表面全体に広がり、バンプとしては不合格の
評価結果となった。リフロー後にがさつきのある表面性
状となり、光が乱反射したためである。
【0034】(実施例2)実施例1と同じ表1に示す成
分のハンダ合金を用い、直径300μmのハンダボール
を作成した。このハンダボールを用いて、シリコンチッ
プ部品とプリント基板との間をフリップチップ接続し、
これを試験片として温度サイクル熱衝撃試験を行なっ
た。
【0035】シリコンチップ部品は、シリコンチップ上
に直径200μmの電極ランドをチップ周辺に64個配
置し、電極のピッチ間隔は0.3mmとした。プリント
基板は片面配線のガラスエポキシ樹脂基板であり、シリ
コンチップ上の電極ランドと対応する位置に同じく電極
ランドを配置している。まず、シリコンチップ部品とプ
リント基板の双方の電極ランドに上記ハンダボールを付
着させ、リフロー炉で加熱してリフローしてハンダバン
プを形成した。次に該ハンダバンプを有するシリコンチ
ップ部品とプリント基板とを該ハンダバンプ部において
相互に接触させ、再度リフロー炉で加熱して双方の電極
部を接合することによりシリコンチップ部品とプリント
基板とをフリップチップ接続し、試験片とした。
【0036】形成した試験片について、−40℃(30
分)と+125℃(30分)を繰り返す温度サイクル条
件で加熱と冷却を繰り返した。温度サイクル繰り返し回
数(TCTサイクル数)を100サイクル〜1100サ
イクルの間で100サイクル間隔で行ない、ハンダ電極
の破断発生率との関係を調査した。各TCTサイクル数
毎の破断発生率(%)の評価結果を表2に示す。本発明
例1〜4のハンダ合金を用いた試験片では破断発生率が
極めて低く、耐熱疲労特性が特に優れていることが明ら
かである。比較例2(Sb上限外れ)、比較例3(Sn
−Ag系)の耐熱疲労特性は本発明例とほぼ同等の成績
である。比較例1、比較例4(Sn−Ag−Cu−Bi
系)は耐熱疲労特性がそれなりに良好ではあるが、本発
明例と比較すると破断発生率が高くなっている。比較例
5(有鉛ハンダ)は高い破断発生率となった。
【0037】
【表2】
【0038】実施例1及び2の結果から、本発明の組成
を有するハンダ合金を用いた場合、リフロー後の表面性
状及び耐熱疲労特性の両方において優秀な成績を得るこ
とができた。
【0039】
【発明の効果】本発明の組成を有するハンダ合金を用い
ることにより、リフロー後のハンダバンプの表面性状が
良好となり、バンプ形成の良否判断を光学的手段で的確
に行なうことが可能になった。同時に、好適な融点を有
し、更に極めて優れた耐熱疲労特性を実現することがで
きた。本発明の組成を有するハンダボールを用いてハン
ダバンプを形成することができる。また、本発明の組成
のハンダバンプを形成した電子部材、本発明の組成のハ
ンダ電極で電子部品間を接合した電子部材は、不良が混
在しない品質の高い電極を形成し、かつ電極の耐熱疲労
特性が優れているという効果を有するものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H05K 3/34 512 H01L 21/92 603B (72)発明者 巽 宏平 富津市新富20−1 新日本製鐵株式会社技 術開発本部内 Fターム(参考) 5E319 AA03 AB05 AC01 BB01 BB04 CC33 CD26 CD53 GG03 GG15

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Ag:2〜3質量%、Cu:0.3〜
    1.5質量%、Bi:0.05〜1.5質量%、Sb:
    0.2〜1.5質量%を含み、且つAg、Cu、Sb、
    Biの合計含有量が5質量%以下であり、残部Sn及び
    不可避不純物からなり、リフロー後の表面性状が滑らか
    であることを特徴とする無鉛ハンダ合金。
  2. 【請求項2】 Ag:2〜3質量%、Cu:0.3〜
    1.5質量%、Bi:0.05〜1.5質量%、Sb:
    0.2〜1.5質量%を含み、且つAg、Cu、Sb、
    Biの合計含有量が5質量%以下であり、残部Sn及び
    不可避不純物からなることを特徴とする電子部材のハン
    ダバンプ用無鉛ハンダ合金。
  3. 【請求項3】 Ag:2〜3質量%、Cu:0.3〜
    1.5質量%、Bi:0.05〜1.5質量%、Sb:
    0.2〜1.5質量%を含み、且つAg、Cu、Sb、
    Biの合計含有量が5質量%以下であり、残部Sn及び
    不可避不純物からなることを特徴とする電子部材用無鉛
    ハンダボール。
  4. 【請求項4】 ハンダバンプを有する電子部材であっ
    て、該ハンダバンプの一部または全部は、Ag:2〜3
    質量%、Cu:0.3〜1.5質量%、Bi:0.05
    〜1.5質量%、Sb:0.2〜1.5質量%を含み、
    且つAg、Cu、Sb、Biの合計含有量が5質量%以
    下であり、残部Sn及び不可避不純物からなる無鉛ハン
    ダ合金により形成してなることを特徴とする電子部材。
  5. 【請求項5】 複数の電子部品間をハンダ電極によって
    接合した電子部材であって、該ハンダ電極の一部または
    全部は、Ag:2〜3質量%、Cu:0.3〜1.5質
    量%、Bi:0.05〜1.5質量%、Sb:0.2〜
    1.5質量%を含み、且つAg、Cu、Sb、Biの合
    計含有量が5質量%以下であり、残部Sn及び不可避不
    純物からなる無鉛ハンダ合金により形成してなることを
    特徴とする電子部材。
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