JP2002017292A - 濃縮豆腐を用いたマヨネーズ様食品、並びにその製造方法 - Google Patents

濃縮豆腐を用いたマヨネーズ様食品、並びにその製造方法

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JP2002017292A JP2000207730A JP2000207730A JP2002017292A JP 2002017292 A JP2002017292 A JP 2002017292A JP 2000207730 A JP2000207730 A JP 2000207730A JP 2000207730 A JP2000207730 A JP 2000207730A JP 2002017292 A JP2002017292 A JP 2002017292A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 豆腐を使用したマヨネーズ様食品において、
大豆特有の青臭さ、えぐみを抑制して、豊かな風味、滑
らかな食感を備えた乳化物を新規に開発する。 【解決手段】 豆腐、食酢、調味料、香辛料、乳化剤及
び植物性油脂を混合し、乳化した食用乳化物において、
上記豆腐が、濃度15以上の高濃度豆乳を凝固剤で凝固
した濃縮豆腐であるマヨネーズ様食品である。上記乳化
剤は、増粘性多糖類、オリゴ糖類、レシチン、脂肪酸モ
ノグリセリド、脂肪酸ポリグリセリド、ショ糖脂肪酸エ
ステル、ソルビタン脂肪酸エステルなどである。豆乳を
濃縮して凝固した濃縮豆腐を原料とするため、青臭さ、
えぐみなどの不快臭がなく、風味豊かで滑らかな食感の
マヨネーズ様食品が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は濃縮豆腐を用いたマ
ヨネーズ様食品、並びにその製造方法に関し、大豆特有
の青臭さ、えぐみがなく、豊かな風味と滑らかな喉ごし
を備えた低コレステロールの乳化物を提供する。
【0002】
【発明の背景】マヨネーズ、ドレッシングなどの食用乳
化物は、通常、卵黄を乳化剤として、食酢、食塩、砂
糖、香辛料などの水相とサラダ油などの油相を混合乳化
して製造されるが、卵黄に含まれるコレステロールや卵
アレルギーが問題になり、また、低脂肪、低カロリー化
などの要請が強いため、卵黄に代えて植物性蛋白質を使
用したマヨネーズ、ドレッシングの開発が試みられてき
た。
【0003】
【従来の技術】(1)従来技術1(特開昭63−32461
号公報) 常法で得られた豆腐、豆腐類又はこれを脱水したもの
に、食酢及び/又は果汁を添加し、植物性油脂0.5〜
10%、好ましくは1〜3%の大豆蛋白粉並びに糖類、
調味料、香辛料、安定剤、乳化剤などの少なくとも一種
を添加して、これらを均質、乳化した乳化食品が開示さ
れている。
【0004】(2)従来技術2(特開昭59−146555
号公報) 豆乳の乳化安定性は大豆タンパクの等電点付近において
最低となることから、大豆から豆乳を生成するにあた
り、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、
塩化カルシウムなどのような1価又は2価の塩類水溶液
を用いて抽出し、且つ有機酸にて弱酸性として加熱処理
するとともに、上記特定処理で得られた豆乳を水相部と
して油を乳化した乳化組成物が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】卵黄或は全卵を使用せ
ず、植物性蛋白質を用いたノンコレステロール、低脂肪
型のマヨネーズ、ドレッシング類は、主に、大豆蛋白質
の乳化機能を利用したものである。上記従来技術1で
は、植物性蛋白質として豆腐類を使用し、さらにキサン
タンガム、グアーガムなどの安定剤、或はレシチンなど
の乳化剤を添加している(実施例1〜3参照)。また、従
来技術2では、植物性蛋白質として特定処理を行った豆
乳を使用し、さらにレシチンを添加している(実施例1
参照)。
【0006】そこで、上記従来技術で用いた豆腐類又は
豆乳の具体例を見ると、従来技術1の実施例1〜3で
は、常法で得られた絹こし豆腐、木綿豆腐を使用し、従
来技術2の実施例1では、食塩熱水溶液で抽出した大豆
固形分14%の豆乳を使用しているが、その一方で、豆
腐類や豆乳を使用してマヨネーズ様食品を製造すると、
卵黄又は全卵を使用した場合に比べて、大豆特有の青臭
さ、えぐみ、渋みなどがどうしても混入するため、食
感、風味の面で抵抗感があり、市場に供した場合でも、
一時的には売れても長続きしないという実情がある。
【0007】本発明は、豆腐を使用したマヨネーズ様食
品において、大豆特有の青臭さ、えぐみを抑制して、豊
かな風味、滑らかな食感を具備した乳化物を新規に開発
することを技術的課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、豆腐を使
用してマヨネーズ様食品を製造するに際して、前記従来
技術1で開示されたような常法で得られた絹こし豆腐や
木綿豆腐、つまり、通常濃度の豆乳から調製した豆腐で
はなく、例えば、Brix濃度25程度のきわめて高濃
度の豆乳から得られる濃縮豆腐を用いると、固形分濃度
が著しく高いにも拘わらず、大豆特有の青臭さやえぐみ
が抑制されることを見い出し、本発明を完成した。
【0009】即ち、本発明1は、豆腐、食酢、調味料、
香辛料、乳化剤及び植物性油脂を混合し、乳化した食用
乳化物において、上記豆腐が、濃度15以上の高濃度豆
乳を凝固剤で凝固した濃縮豆腐であることを特徴とする
濃縮豆腐を用いたマヨネーズ様食品である。
【0010】本発明2は、上記本発明1の乳化剤が、増
粘性多糖類、オリゴ糖類、レシチン、脂肪酸モノグリセ
リド、脂肪酸ポリグリセリド、ショ糖脂肪酸エステル、
ソルビタン脂肪酸エステルなどであることを特徴とする
濃縮豆腐を用いたマヨネーズ様食品である。
【0011】本発明3は、食酢、調味料、香辛料及び乳
化剤を混合して予備乳化し、これに濃度15以上の高濃
度豆乳を凝固剤で凝固した濃縮豆腐を混合し、さらに、
植物性油脂を混合し、乳化することを特徴とする濃縮豆
腐を用いたマヨネーズ様食品の製造方法である。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明のマヨネーズ様食品は、食
酢、調味料、香辛料及び乳化剤を混合し、或はさらに水
を加えて予備乳化し、これに濃度15以上の高濃度豆乳
を凝固剤で凝固した濃縮豆腐を混合し、さらに、植物性
油脂を加え、乳化して製造されたもので(本発明3参
照)、マヨネーズ、サラダドレッシング、フレンチドレ
ッシング、スプレッド、タルタルソースなどの半固体状
ドレッシング、或は乳化液状ドレッシングを包含する概
念であり、食品衛生法や日本農林規格などに拘束される
概念ではない。
【0013】上記濃縮豆腐は、常法により磨砕大豆を熱
水抽出して得られる豆乳を初め、大豆蛋白粉又は豆乳粉
末から調製した豆乳類似物を濃縮し、得られた高濃度豆
乳を塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸カルシウ
ム等の2価金属塩、或はグルコノデルタラクトン、乳
酸、リンゴ酸、クエン酸等の酸類などの公知の凝固剤で
凝固したものをいう。豆乳の濃縮は、減圧処理又は薄膜
処理により豆乳中の水分を除去するなど、公知の方法で
行う。例えば、700mmHg以下の減圧下、蒸気圧力
6kg/cm 2G、蒸気温度45℃の条件で濃縮し、さ
らに乳化粒子を均質化するために高圧ホモジナイズ処理
を併用するのが好ましい。上記豆乳類の濃度(Brix)
は、最終製品としてのマヨネーズ様食品に青臭さ、えぐ
みなどが混入するのを回避し、風味豊かな乳化物を製造
するため、一般に15以上、好ましくは20〜30、よ
り好ましくは25〜30である。また、濃縮豆腐の生地
をより滑らかにする見地から、塩化マグネシウムとグル
コノデルタラクトンを組み合わせた凝固剤を用いるのが
良いが、にがりを使用する場合、豆乳温度を一旦冷却し
ておくのが好ましい。
【0014】得られた濃縮豆腐はミキサー、フードカッ
ター、ステファンカッターなどで粒が残る程度に軽く擂
潰し、豆腐ペーストにする。但し、後述の乳化工程で撹
拌処理するため、この擂潰処理を省略することもでき
る。
【0015】マヨネーズの製造においては、卵黄、食
酢、調味料、香辛料などを配合し、或はさらに水を加え
てよく混合し、これに植物性油脂と酢を交互に入れ、ミ
キサーで乳化し、さらにコロイドミルで油脂を水相部に
微細粒子として分散させて、水中油滴型エマルションを
形成するのが一般的である。本発明のマヨネーズ様食品
の乳化工程は、基本的に上記マヨネーズの製造工程中の
卵黄を濃縮豆腐又はその擂潰物に代替すれば良く、例え
ば、酢、調味料、香辛料、乳化剤などの水相部、或はさ
らに水を加えた水相部を連続ミキサーで混合撹拌し、上
記濃縮豆腐を混合し、さらに植物性油脂を3〜4回に分
けて混合した後、コロイドミルなどで撹拌し、加熱殺菌
してマヨネーズ様食品を得る。上記植物性油脂として
は、大豆油、綿実油、コーン油、ごま油、サフラワー
油、菜種油、オリーブ油、米油、紅花油、サラダ油など
が挙げられる。上記食酢としては、リンゴ酢などの果実
酢、米酢、アルコール酢、粕酢、黒酢、ワインビネガ
ー、バルサミコなどが挙げられる。上記調味料として
は、砂糖(グラニュー糖、上白糖、黒糖、中双、三温
等)、ブドウ糖、果糖、混合液糖、水あめなどの甘味
料、食塩、クエン酸などの酸味料、柑橘類の果汁、化学
調味料などが挙げられる。また、いちご、ブルーベリ
ー、アロエ、ピーチ、オレンジ、メロン、アセロラ、キ
ウイフルーツ、グレープフルーツなどの果実類、緑茶、
ごま、バター、チーズ、脱脂粉乳、全脂粉乳、練乳、バ
ニラ、或はこれらのフレーバーなどを調味料として添加
しても良い。上記香辛料としては、からし、コショウ、
パプリカなどが挙げられる。上記濃縮豆腐と食酢と植物
性油脂などの混合比率は、マヨネーズ様食品の食感、風
味、食味、或は乳化物の性状などに応じて適宜調整でき
るが、上記濃縮豆腐のマヨネーズ様食品に対する含有量
は一般に5〜60重量%、好ましくは10〜30重量%
である。
【0016】水相部と油相部の乳化は、ミキサー、コロ
イドミル、パドルミキサー、ホモジナイザー、アジテー
ター、その他公知の乳化手段で行うことができる。この
乳化に際して、大豆たんぱく質は卵黄に代替する乳化力
があるが、豆乳を凝固した豆腐の乳化力はこれより低下
するため、乳化剤を別途添加する必要がある。上記乳化
剤には、本発明2に示すように、増粘性多糖類、オリゴ
糖類、レシチン、脂肪酸モノグリセリド、脂肪酸ポリグ
リセリド、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エ
ステルなどを使用することができる。上記増粘性多糖類
としては、カラギーナン(イナゲル;伊那食品社製、カ
ラギニン;三栄源エフ・エフ・アイ社製)、キサンタン
ガム(エコーガム、モナードガム;大日本製薬社製)、タ
ラガントガム(同名;三栄薬品社製)、ジェランガム(ケ
ルコゲル;大日本製薬社製)、ペクチン(ゲニューペクチ
ン;三晶社製)、ローカストビーンガム(同名;三晶社
製)、グアーガム(ビストップ;三栄源エフ・エフ・アイ
社製)、タマリンドシードガム(グリロイド;大日本製薬
社製)、アラビアガム、寒天、アルギン酸ナトリウムな
どのアルギン酸塩、ファーセレラン(ネオソフトFR−
1;太陽化学社製)、デンプン、エーテル化デンプン、
エステル化デンプンなどの化工デンプン、デキストリン
類、グルコマンナンなどが挙げられる。 上記オリゴ糖
類は概ね単位重合度が2〜10程度の糖類を指し、具体
的には、イソマルトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、フラ
クトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、乳果オリゴ糖、ニゲロ
オリゴ糖、トレハロース、デキストロース、ラクチュロ
ース、ゲンチオビオース、ラフィノース、スタキオース
などが挙げられる。上記レシチンとしては、大豆レシチ
ン、卵黄レシチンなどが挙げられる。また、レシチンと
同じリン脂質に属するケファリンなどを使用することも
できる。上記乳化剤としては、レシチン、脂肪酸モノグ
リセリド、ショ糖脂肪酸エステル、キサンタンガム、ロ
ーカストビーンガム、グアーガム、タラガントガム、タ
マリンドシードガム、ペクチン、デンプン、イソマルト
オリゴ糖、フラクトオリゴ糖などが好ましい。尚、本発
明の乳化剤としては、乳化力に優れる見地から、コレス
テロールなどの問題は残るが、卵黄、全卵を排除するも
のではない。また、上記増粘性多糖類やオリゴ糖類に
は、製造時における濃縮豆腐からの離水防止機能が期待
できる。当該オリゴ糖類には甘味の調整作用があり、前
記甘味料の役割を兼備できる。
【0017】上記乳化剤のマヨネーズ様食品に対する含
有量は、乳化物の性状などに応じて適宜調整されるが、
一般に0.01〜5.0重量%、好ましくは0.1〜3.0
重量%である。また、本発明のマヨネーズ様食品の製造
では、乳化工程で得られた乳化物は加熱殺菌し、冷却さ
れる。加熱殺菌の条件は65〜85℃、40〜60分程
度である。
【0018】
【作用】一般に、豆乳特有の青臭さ、えぐみ、渋みなど
の不快臭は、大豆に含有される生物活性物質であるリポ
キシゲナーゼが、大豆油に含まれる多価不飽和脂肪酸或
はそのエステルに触媒的に作用し、これらの酸化によっ
て発生するn−ヘキサノール、n−ヘキサナール、1−
オクテン−3−オール、イソペンタノールなどの揮発性
物質が主な原因であるとされる。本発明では、豆乳をB
rix濃度15以上に濃縮するため、この濃縮工程によ
ってn−ヘキサノール、n−ヘキサナールなどの揮発性
物質を大幅に減少させることができる(後述の試験例参
照)。この結果、高濃度豆乳を凝固剤で凝固した濃縮豆
腐には、大豆特有の青臭さ、えぐみなどがほとんどな
く、濃縮豆腐を原料とする本発明のマヨネーズ様食品に
は、大豆特有の臭気を排除して豊かな風味、喉ごしの良
い食感を具備させることができる。
【0019】
【発明の効果】豆乳を濃縮して凝固した濃縮豆腐を原料
とするため、青臭さ、えぐみ、渋みなどの不快臭がな
く、本発明のマヨネーズ様食品に豊かな風味と滑らかな
食感を付与できる。このため、味覚、食感などの点で抵
抗なく食することができるうえ、卵黄、全卵を使用して
いないことから、卵アレルギー、コレステロール、カロ
リー性などの点でも問題がなく、消費者ニーズに適合し
た豆腐活用の乳化物を新たに市場に供給できる。
【0020】
【実施例】以下、本発明のマヨネーズ様食品の製造実施
例を順次述べるとともに、当該マヨネーズ様食品の試食
試験例、並びに豆乳の濃縮処理の前後における青臭さな
どの臭気度合の測定試験例を併記する。尚、本発明は下
記の実施例、試験例に拘束されるものではなく、本発明
の技術的思想の範囲内で任意の変形をなし得ることは勿
論である。
【0021】下記に示す豆腐ペーストの製造実施例1〜
4において、実施例1は乳化剤にキサンタンガムを使用
した例、実施例2は実施例1の配合組成を変化させ、キ
サンタンガムの使用量を変えた例、実施例3は乳化剤に
ショ糖脂肪酸エステルとオリゴ糖を併用した例、実施例
4は濃縮豆腐と油脂の割合を変化させ、乳化剤に卵黄を
使用した例である。また、比較例1は濃縮豆腐に替え
て、通常濃度の豆乳から得られた絹こし豆腐を原料とし
てマヨネーズ様食品を製造した例である。
【0022】《製造実施例1》常法により大豆を熱水抽
出し、Brix濃度12程度の豆乳を調製した後、70
0mmHg以下の減圧下、蒸気圧力6kg/cm2G、
蒸発温度45℃の条件で減圧濃縮処理を行い、100〜
150kg/cm2の条件で高圧ホモジナイザーにかけ
て、Brix濃度25程度の高濃度豆乳を得た。この高
濃度豆乳を一旦22℃程度に冷却し、下記の割合で凝固
剤を添加した後、92℃で50分加熱して濃縮豆腐を製
造し、冷却し、ステファンカッターを用いて粒が残る程
度に軽く擂潰した。 濃縮豆乳 60kg 塩化マグネシウム 110g グルコノデルタラクトン 110g 水 4.8L
【0023】次いで、食酢、調味料、乳化剤、香辛料を
ミキサーに混合し、30秒〜1分かけて撹拌し、上記濃
縮豆腐の擂潰物を混合して1分間撹拌し、さらに植物性
油脂を約30秒間に3〜4回に分けて混合し、30秒〜
1分間ほど均質に撹拌した後、包装容器に充填して65
℃、60分間加熱殺菌し、冷却してマヨネーズ様食品を
得た。上記濃縮豆腐、食酢、調味料、乳化剤、香辛料、
植物性油脂などの配合組成は下記の通りである。 濃縮豆腐 100g リンゴ酢 80g マスタードパウダー 0.5g 化学調味料 2g ブドウ糖・果糖液糖 48g 食塩 9g 菜種油 180g キサンタンガム 0.5g 水 80g 合計 500g 上記キサンタンガムは大日本製薬社製のエコーガムSF
を使用した。
【0024】《製造実施例2》上記実施例1を基本とし
ながら、菜種油180gをごま油30gとコーン油15
0gに、リンゴ酢80gを73gに、食塩9gを10g
に、キサンタンガム0.5gをグアーガム0.5gに、水
80gを100gに各々変更し、すり胡麻8.5gを新
たに加えたうえで、マスタードパウダーと化学調味料は
省略して、マヨネーズ様食品を製造した。
【0025】《製造実施例3》上記実施例1を基本とし
ながら、キサンタンガム0.5gをショ糖脂肪酸エステ
ル2gに、ブドウ糖・果糖液糖48gを30gに各々変
更し、イソマルトオリゴ糖16.5gを追加混合して、
マヨネーズ様食品を製造した。上記ショ糖脂肪酸エステ
ルは第一工業製薬社製のDKエステルを使用し、イソマ
ルトオリゴ糖は林原社製のパノラップを使用した。
【0026】《製造実施例4》濃縮豆腐、食酢、調味
料、乳化剤、香辛料、植物性油脂などを下記の組成で配
合した。 濃縮豆腐 40g ワインビネガー 34g マスタードパウダー 1g 化学調味料 2g ブドウ糖・果糖液糖 8g 食塩 5g オリーブ油 240g 卵黄 12g 全脂粉乳 18g 水 40g 合計 400g 濃縮豆腐の製造条件、乳化条件などは前記実施例1に基
づいた。
【0027】《比較例1》上記実施例1で得られたBr
ix濃度12程度の豆乳をそのまま凝固して通常の絹こ
し豆腐を得て、実施例1の濃縮豆腐に替えてこの絹こし
豆腐を原料として、実施例1と同様の条件でマヨネーズ
様食品を製造した。
【0028】《マヨネーズ様食品の試食試験例》そこ
で、上記実施例群から本発明のマヨネーズ様食品の代表
例として実施例1を選び出し、これを比較例1と対比し
たうえで試食試験した。即ち、実施例1と比較例1の各
マヨネーズ様食品を10人のパネラーの試食に供して、
風味、食感の官能試験を実施するとともに、総合評価を
行った。また、豆腐を使用せず、卵黄を使用した市販の
マヨネーズを基準例とした。上記パネラー10人の内訳
は、22〜59歳の男性5人と19〜53歳の女性5人
である。各パネラーは下記の評価基準に従って風味、食
感を○〜×で判定し、○は5点、△は3点、×は1点に
割り振り、風味、食感の項目ごとに10人全体の平均値
を算出した。総合評価は風味と食感の判定値をさらに平
均化したものである。風味の評価基準は次の通りであ
る。 ○:不快臭は全く感じられず、風味が豊かであった。 △:青臭さが感じられた。 ×:青臭さ、えぐみが強かった。 また、食感の評価基準は次の通りである。 ○:マイルドな喉ごしであった。 △:若干のくせがあり、喉ごしの滑らかさが不充分であ
った。 ×:喉ごし不良であった。
【0029】下表はその試験結果を示す。 上記結果を見ると、実施例1のマヨネーズ様食品は青臭
さ、えぐみなどは全く感じられず、風味豊かなうえ、マ
イルドな喉ごしを具備しており、基準例である市販のマ
ヨネーズより総合評価は高かった。これに対して、比較
例1は青臭さ、えぐみなどが強く感じられ、喉ごしも不
良であった。このように、濃縮豆腐を使用したマヨネー
ズ様食品は、通常濃度の豆乳から得られた絹こし豆腐を
使用したものに比べて、風味、食感などの味覚の点で顕
著な優位性があることが明らかになった。
【0030】前述したように、青臭さ、えぐみ、青大豆
臭などの不快臭の主な原因は、n−ヘキサナール、n−
ヘキサノール、1−オクテン−3−オールなどの揮発性
物質にある。そこで、実施例1で使用した高濃度豆乳と
比較例1の通常濃度の豆乳をガスクロマトグラフィーに
かけて、上記揮発性物質の検出度合を確認したところ、
下表の結果を得た。尚、当該ガスクロマトグラフィーに
おいては、島津製作所社製のガスクロマトグラフを用い
て下記の条件で測定した。 カラム:シリコングリース(100〜120メッシュのセライ
トに15%含有)、SE−30(ガスクロムPに1%含有)
及びエチレングリコールのコハク酸エステルS−X(ガ
スクロムPに8%含有) 昇温条件:100〜190℃ 流速条件:3kg/cm2 また、下表での各物質の検出濃度は、便宜上、実施例1
と比較例1でのガスクロマトグラムにおける各検出ピー
ク面積の相対値として表し、比較例1の検出量を100
とした。 実施例1 比較例1 n−ヘキサノール 17 100 n−ヘキサナール 16 100 1−オクテン−3−オール 12 100 上記結果によると、比較例1の通常濃度の豆乳に比べ
て、実施例1の高濃度豆乳では上記揮発性物質が大幅に
減少していることが判る。このように、濃縮豆腐を用い
た本発明のマヨネーズ様食品が通常濃度の豆乳を凝固し
た豆腐を用いた場合より、風味、食感などの点で勝ると
いう前記官能試験結果は、本試験例によっても強く裏付
けられることが判明した。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中島 弘策 兵庫県伊丹市池尻7丁目139番地 但馬屋 食品株式会社内 (72)発明者 高辻 征夫 兵庫県伊丹市池尻7丁目139番地 但馬屋 食品株式会社内 (72)発明者 大内 美代子 兵庫県伊丹市池尻7丁目139番地 但馬屋 食品株式会社内 (72)発明者 井田 陽子 兵庫県伊丹市池尻7丁目139番地 但馬屋 食品株式会社内 Fターム(参考) 4B020 LB27 LC05 LG06 LK05 LK12 LK20 LP15 4B047 LB09 LG08 LG11 LG26 LG40 LG43 LG62 LG64 LP03

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 豆腐、食酢、調味料、香辛料及び乳化
    剤、植物性油脂を混合し、乳化した食用乳化物におい
    て、 上記豆腐が、濃度15以上の高濃度豆乳を凝固剤で凝固
    した濃縮豆腐であることを特徴とする濃縮豆腐を用いた
    マヨネーズ様食品。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の乳化剤が、増粘性多糖
    類、オリゴ糖類、レシチン、脂肪酸モノグリセリド、脂
    肪酸ポリグリセリド、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタ
    ン脂肪酸エステルなどであることを特徴とする濃縮豆腐
    を用いたマヨネーズ様食品。
  3. 【請求項3】 食酢、調味料、香辛料及び乳化剤を混合
    して予備乳化し、これに濃度15以上の高濃度豆乳を凝
    固剤で凝固した濃縮豆腐を混合し、さらに、植物性油脂
    を混合し、乳化することを特徴とする濃縮豆腐を用いた
    マヨネーズ様食品の製造方法。
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