JP2002012670A - マイクロスフェアの製法 - Google Patents

マイクロスフェアの製法

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JP2002012670A JP2001124457A JP2001124457A JP2002012670A JP 2002012670 A JP2002012670 A JP 2002012670A JP 2001124457 A JP2001124457 A JP 2001124457A JP 2001124457 A JP2001124457 A JP 2001124457A JP 2002012670 A JP2002012670 A JP 2002012670A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 水混和性の有機溶媒を用いて、マイクロスフ
ェアを調製する方法を提供する。 【解決手段】 薬物、生体内分解性ポリマーおよび水と
混和する前記ポリマーの良溶媒(溶媒A)を含むポリマ
ー溶液を、溶媒Aと混和する前記ポリマーの貧溶媒(溶
媒B)と溶媒Aと混和しない前記ポリマーの貧溶媒(溶
媒C)を含む均一混合液中に添加して乳化することによ
りポリマー溶液が分散相、均一混合液が連続相を形成す
るエマルションを調製し、分散相から溶媒Aを除去する
ことにより、マイクロスフェアを得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水混和性有機溶媒
を用いたマイクロスフェアの製法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリ乳酸、乳酸−グリコール酸共重合体
等の水難溶性の生体内分解性ポリマー中に薬物を含有さ
せたマイクロスフェア製剤を、皮下、筋肉等の生体組織
内に投与することにより、1回の投与で長期間にわたる
薬物治療が可能となる。
【0003】かかるマイクロスフェア製剤は、例えば、
薬物をポリマーの有機溶媒溶液に溶解或いは分散し、こ
れを水相中に乳化後、水相中で有機溶媒を除去し、ポリ
マーを固化することにより調製されている(特開昭61
−63613、特開昭63−122620、特開平4−
46116など)。
【0004】この調製法では、従来、ポリマーを溶解
し、かつ、水非混和性である有機溶媒を使用することが
重要であると考えられており、ジクロロメタン、クロロ
ホルム等のハロゲン化脂肪族炭化水素系溶媒が一般に使
用されている。
【0005】しかし、これら溶媒は人体に対する毒性が
高く、マイクロスフェア中の残存量が厳しく規制される
ことになっている(日米EU医薬品規制整合化国際会議
(ICH)で合意され、1998年3月30日に公表さ
れた「医薬品の残留溶媒ガイドライン」)。また、ハロ
ゲン化脂肪族炭化水素系溶媒はオゾン層破壊、環境ホル
モンとして作用する危険性のため、製造装置から環境へ
の排出に対しても規制が設けられつつある(例えば、1
999年7月13日公布された特定化学物質の環境への
排出量の把握及び管理の改善の促進に関する法律、並び
に2000年3月29日公布されたその施行令)。
【0006】一方、日本特許第2564386号、ドラ
ッグ デベロプメント アンド インダストリアル フ
ァーマシー(Drug Development an
dIndustrial Pharmacy),24
(12),1113−1128,1998)には、人
体、環境への悪影響が少なく、水混和性であるアセトン
にポリマーを溶解させ、無機電解質などの溶質を高濃度
に含む水溶液をこのポリマー溶液に添加し、転相させて
O/Wエマルションを調製し、更に、このエマルション
に水を添加してアセトンを抽出してナノスフェアを製造
する方法が記載されている。
【0007】しかし、この方法では、ポリマー溶液を乳
化する際の溶媒としては水のみを使用しており、水に溶
解する溶質の具体例も塩析を生じさせるための無機塩基
に限られている。またこの方法は、脂溶性薬物にしか適
用できないとも記載されている。
【0008】なお、日本特許第2608242号には、
O/Wエマルションを糖類等を含む水溶液に分散させて
W/O/Wエマルションを調製後、水中乾燥することに
よりマイクロスフェアを製造する方法が記載されている
が、O/Wエマルションに用いる有機溶媒は、塩化メチ
レン等の水非混和性溶媒であり、糖類等は、内水相から
水溶性薬物が漏出するのを抑制するための浸透圧調節剤
として水に添加されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、水混和性の
有機溶媒を用い、水溶性薬物、脂溶性薬物の何れにも適
用可能なマイクロスフェアの製法を提供することにあ
り、特に、アセトンやテトラヒドロフランなど人体、環
境への悪影響が少ない水混和性有機溶媒を用いたマイク
ロスフェアの製法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の発明者らは、鋭
意研究の結果、次の(1)、(2)の媒体の組合せを使
用すれば、優れた特性を有するマイクロスフェアを効率
的に製造することができ、しかもこの製法が水溶性薬
物、脂溶性薬物の何れにも適用できることを見出して本
発明を完成した。 (1)生体内分解性ポリマーを溶解する水混和性の有機
溶媒(水と混和する生体内分解性ポリマーの良溶媒:溶
媒A)。 (2)溶媒Aと混和性の前記ポリマー非溶解性溶媒(溶
媒Aと混和する前記ポリマーの貧溶媒:溶媒B)及び溶
媒Aと非混和性の前記ポリマー非溶解性溶媒(溶媒Aと
混和しない前記ポリマーの貧溶媒:溶媒C)を含む均一
混合液。
【0011】すなわち本発明は、薬物、生体内分解性ポ
リマーおよび溶媒Aを含むポリマー溶液を、溶媒Bと溶
媒Cを含む均一混合液中に添加して乳化することによ
り、ポリマー溶液が分散相、均一混合液が連続相を形成
するエマルションを調製し、分散相から溶媒Aを除去す
ることを特徴とするマイクロスフェアの製法に関する。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明を実施するにあたっては、
まず、薬物、生体内分解性ポリマーおよび水と混和する
前記ポリマーの良溶媒(溶媒A)を含むポリマー溶液を
調製する。
【0013】薬物は、特に限定されず、水溶性、脂溶性
に関わらず、好適に実施可能である。
【0014】薬物の具体例としては、例えば、抗腫瘍
剤、生理活性ペプチド、抗生物質、解熱・鎮痛・消炎
剤、鎮咳去痰剤、鎮静剤、筋弛緩剤、抗てんかん剤、抗
潰瘍剤、抗うつ剤、抗アレルギー剤、強心剤、不整脈治
療剤、血管拡張剤、降圧利尿剤、糖尿病治療剤、抗脂血
症剤、抗凝血剤、止血剤、抗結核剤、ホルモン剤、麻薬
拮抗剤、骨吸収抑制剤、骨形成促進剤、血管新生抑制
剤、抗嘔吐剤、ビタミン剤などが挙げられる。
【0015】抗腫瘍剤としては、たとえばパクリタキセ
ル、ブレオマイシン、メトトレキセート、アクチノマイ
シンD、マイトマイシンC,硫酸ビンブラスチン、硫酸
ビンクリスチン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ネ
オカルチノスタチン、シトシンアラビノシド、フルオロ
ウラシル、テトラヒドロフリル−5−フルオロウラシ
ル、クレスチン、ピシバニール、レンチナン、タモキシ
フェン、レバミゾール、ベスタチン、アジメキソン、グ
リチルリチン、シスプラチン、カルボプラチン、塩酸イ
リノテカンなどが挙げられる。
【0016】生理活性ペプチドとしては、インスリン、
ソマトスタチン、サンドスタチン、成長ホルモン、プロ
ラクチン、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、ACT
H誘導体、メラノサイト刺激ホルモン(MSH)、甲状
腺ホルモン放出ホルモン(TRH)およびその誘導体
(例えば、タルチレリンなど)、甲状腺刺激ホルモン
(TSH)、黄体形成ホルモン(LH)、黄体形成ホル
モン放出ホルモン(LHRH)およびその誘導体(例え
ば、酢酸リュープロレリンなど)、卵胞刺激ホルモン
(FSH)、バソプレッシン、デスモプレシン、オキシ
トシン、カルシトニン、エルカトニン、副甲状腺ホルモ
ン(PTH)、グルカゴン、ガストリン、セクレチン、
パンクレイオザイミン、コレシストキニン、アンジオテ
ンシン、ヒト胎盤ラクトーゲン、ヒト絨毛性ゴナドトロ
ピン(HCG)、エンケファリン、エンケファリン誘導
体、エンドルフィン、キョウトルフィン、インターフェ
ロン類(例えば、α、β、γ型等)、インターロイキン
類(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、1
0、11、12等)、タフトシン、サイモポイエチン、
サイモシン、サイモスチムリン、胸腺液性因子(TH
F)、血中胸腺因子(FTS)およびその誘導体、およ
びその他の胸腺因子、腫瘍壊死因子(TNF)、ケモカ
イン類およびその誘導体、ミニサイトカイン類およびそ
の誘導体、コロニー誘発因子(CSF、GCSF、GM
CSF、MCSF等)、モチリン、ダイノルフイン、ボ
ムベシン、ニューロテンシン、セルレイン、ブラジキ
ン、ウロキナーゼ、アスパラキナーゼ、カリクレイン、
サブスタンスP、インスリン様成長因子(IGF−I、
IGF−II)、神経成長因子(NGF)、細胞増殖因
子(EGF、TGF−α、TGF−β、PDGF、塩酸
FGF、塩基性FGF等)、骨形成因子(BMP)、神
経栄養因子(NT−3、NT−4、CNTF、GDN
F、BDNF等、血液凝固因子の第VIII因子、第I
X因子、塩化リゾチーム、ポリミキシンB、コリスチ
ン、グラミシジン、バシトラシン、エリスロポエチン
(EPO)、トロンボポエチン(TPO)等が挙げられ
る。
【0017】抗生物質としては、例えばゲンタマイシ
ン、ジベカシン、カネンドマイシン、リビドマイシン、
トブラマイシン、アミカシン、フラジオマイシン、シソ
マイシン、塩酸テトラサイクリン、塩酸オキシテトラサ
イクリン、ロリテトラサイクリン、塩酸ドキシサイクリ
ン、アンピシリン、ピペラシリン、チカルシリン、アス
ポキシシリン、セファロチン、セファロリジン、セフォ
チアム、セフスロジン、セフメノキシム、セフメタゾー
ル、セファゾリン、セフォタキシム、セフォペラゾン、
セフチゾキシム、モキサラクタム、チエナマイシン、ス
ルファゼシン、アズスレオナム等が挙げられる。
【0018】解熱・鎮痛・消炎剤としては、例えばサリ
チル酸、スルピリン、フルフェナム酸、ジクロフェナッ
ク、インドメタシン、モルヒネ、塩酸ペチジン、酒石酸
レボルファノール、オキシモルフォン等が挙げられる。
【0019】鎮咳去痰剤としては、例えば塩酸エフェド
リン、塩酸メチルエフェドリン、塩酸ノスカピン、リン
酸コデイン、リン酸ジヒドロコデイン、塩酸アロクラマ
イド、塩酸クロフェダノール、塩酸ピコペリダミン、ク
ロペラスチン、塩酸プロトキロール、塩酸イソプロテレ
ノール、硫酸サルブタモール、硫酸テレブタリン等が挙
げられる。
【0020】鎮静剤としては、例えばクロルプロマジ
ン、プロクロルペラジン、トリフロペラジン、硫酸アト
ロピン、臭化メチルスコポラミン等が挙げられる。
【0021】筋弛緩剤としては、例えばメタンスルホン
酸プリジノール、塩化ツボクラリン、臭化パンクロニウ
ム等が挙げられる。
【0022】抗てんかん剤としては、例えばフェニトイ
ン、エトサクシミド、アセタゾラミドナトリウム、クロ
ルジアゼポキシド等が挙げられる。
【0023】抗潰瘍剤としては、例えばメトクロプロミ
ド、塩酸ヒスチジン等が挙げられる。
【0024】抗うつ剤としては、例えばイミプラミン、
クロミプラミン、ノキシプチリン、硫酸フェネルジン等
が挙げられる。
【0025】抗アレルギー剤としては、例えば塩酸ジフ
ェンヒドラミン、マレイン酸クロルフェニラミン、塩酸
トリペレナミン、塩酸メトジラミン、塩酸クレミゾー
ル、塩酸ジフェニルペラリン、塩酸メトキシフェナミン
等が挙げられる。
【0026】強心剤としては、例えばトランスパイオキ
ソカンファー、テオフィロール、アミノフィリン、塩酸
エチレフリン等が挙げられる。
【0027】不整脈治療剤としては、例えばアジミライ
ド、プロプラノロール、アルプレノロール、ブフェトロ
ール、オキシプレノロール等が挙げられる。
【0028】血管拡張剤としては、例えば塩酸オキシフ
ェドリン、塩酸ジルチアゼム、塩酸トラゾリン、ヘキソ
ベンジン、硫酸バメタン等が挙げられる。
【0029】降圧利尿剤としては、例えばヘキサメトニ
ウムブロミド、ペントリニウム、塩酸メカミルアミン、
塩酸エカラジン、クロニジン等が挙げられる。
【0030】糖尿病治療剤としては、例えばグリミジン
ナトリウム、グリピザイド、塩酸フェンフォルミン、塩
酸ブフォルミン、メトフォルミン等が挙げられる。
【0031】抗脂血症剤としては、例えばメバロチン、
プラバスタチンナトリウム、シンバスタチン、クリノフ
ィブラート、クロフィブラート、シンフィブラート、ベ
ザフィブラート等が挙げられる。
【0032】抗凝血剤としては、例えばヘパリンナトリ
ウム等が挙げられる。
【0033】止血剤としては、例えばトロンボプラスチ
ン、トロンビン、メナジオン亜硫酸水素ナトリウム、ア
セトメナフトン、ε−アミノカプロン酸、トラネキサム
酸、カルバゾクロムスルホン酸ナトリウム、アドレノク
ロムモノアミノグアニジンメタンスルホン酸塩等が挙げ
られる。
【0034】抗結核剤としては、例えばイソニアジド、
エタンブトール、パラアミノサリチル酸等が挙げられ
る。
【0035】ホルモン剤としては、例えばプレドニゾロ
ン、リン酸ナトリウムプレドニゾリゾロン、デキサメタ
ゾン塩酸ナトリウム、リン酸ヘキセストロール、メチマ
ゾール、エストロン等が挙げられる。
【0036】麻薬拮抗剤としては、例えば酒石酸レバロ
ルファン、塩酸ナロルフィン、塩酸ナロキソン等が挙げ
られる。
【0037】骨吸収抑制剤としては、例えばイプリフラ
ボン等が挙げられる。
【0038】骨形成促進剤としては、例えばBMP、P
TH、TGF−β、IGF−Iなどのポリペプチド等が
挙げられる。
【0039】血管新生抑制剤としては、例えば血管新生
抑制ステロイド、フマギリン、フマギロール誘導体、ア
ンジオスタチン、エンドスタチン等が挙げられる。
【0040】抗嘔吐剤としては、オンダンセトロン、ト
ロピセトロンなどの5−ヒドロキシトリプタミンタイプ
3受容体拮抗薬、ニューロキニン1受容体拮抗薬等があ
げられる。ビタミン剤としては、ビタミンA,β−カロ
チン、ビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシン、ニコ
チン酸アミド、パントテン酸、パントテン酸カルシウ
ム、ビタミンB6、ビタミンB12、葉酸、イノシトー
ル、パラアミノ馬尿酸、ビオチン、ビタミンC、ビタミ
ンD、ビタミンE、ビタミンK等があげられる。
【0041】上記薬物は、遊離のものであっても、その
薬理学的に許容される塩であってもよい。例えば、薬物
がアミノ基等の塩基性基を有する化合物である場合、無
機酸(例えば、塩酸、硫酸、硝酸等)または有機酸(例
えば、炭酸、コハク酸等)との塩の形で用いることもで
きる。また、薬物がカルボキシル基等の酸性基を有する
場合、無機塩基(例えば、ナトリウム、カリウム等のア
ルカリ金属)または有機塩基化合物(例えば、トリエチ
ルアミン等の有機アミン類、アルギニン等の塩基性アミ
ノ酸類)との塩の形で用いることもできる。
【0042】また、薬物が塩を形成しているためにマイ
クロスフェアへの取込率が低い場合には、遊離の形に変
換して用いてもよい。遊離の形に変換するには、酸付加
塩の場合には、塩基性水溶液(例えば、炭酸水素アルカ
リ金属水溶液、炭酸アルカリ金属水溶液、水酸化アルカ
リ金属、リン酸アルカリ金属、リン酸水素アルカリ金属
水溶液、弱塩基性緩衝液など)で処理した後、有機溶媒
で抽出すればよく、塩基付加塩の場合には、弱酸性水溶
液(例えば、塩化アンモニウム水溶液、弱酸性緩衝液な
ど)で処理したのち、有機溶媒で抽出すればよい。抽出
液からは、慣用の方法で溶媒を留去すれば遊離の形の薬
物を得ることができる。
【0043】ポリマー溶液中の薬物濃度は、0.001
〜90重量%、好ましくは、0.01〜50重量%であ
る。
【0044】ポリマー溶液中で薬物は、溶解状態であっ
ても、分散状態であってもよい。分散状態とする場合に
は、薬物は事前に微粒子化しておくことが好ましい。微
粒子化は、粉砕法、晶析法、スプレードライ法など、慣
用の微粒子化法を適宜使用すればよい。
【0045】粉砕法で行う場合には、ジェットミル、ハ
ンマーミル、回転ボールミル、振動ボールミル、ビーズ
ミル、シェーカーミル、ロッドミル、チューブミルなど
の粉砕機により、物理的に粉砕すればよい。
【0046】晶析法で行う場合には、薬物を一旦適当な
溶媒に溶解させた後、pH調製、温度変化、溶媒組成の
変更等を行って薬物を晶析させ、濾過、遠心分離などの
方法で回収すればよい。
【0047】スプレードライ法で行う場合には、薬物を
適当な溶媒に溶解させ、これをスプレーノズルを用いて
スプレードライヤーの乾燥室内に噴霧し、きわめて短時
間に噴霧液滴内の溶媒を揮発させればよい。
【0048】また、薬物としてポリペプチドを用いる場
合には、ポリペプチドおよびポリエチレングリコールの
混合水溶液を凍結乾燥し、得られた固形物に、ポリペプ
チドは溶解しえないがポリエチレングリコールは溶解し
うる有機溶媒を添加することによっても(特開平11−
302156)、微粒子化できる。
【0049】生体内分解性ポリマーとしては、製剤分野
で一般に使用される生体内分解性ポリマーをいずれも使
用することができるが、とりわけ、ヒドロキシ脂肪酸の
ポリエステルがとりわけ好ましい。該ヒドロキシ脂肪酸
のポリエステルの好ましい平均分子量は約2000〜約
800000の範囲内であり、より好ましくは約500
0〜約200000の範囲内である。
【0050】また、前記ヒドロキシ脂肪酸のポリエステ
ルのうち、更に好ましいのは、ポリ乳酸、乳酸−グリコ
ール酸共重合体、2−ヒドロキシ酪酸−グリコール酸共
重合体である。乳酸−グリコール酸共重合体における乳
酸/グリコール酸のモル比は、好ましくは90/10〜
30/70、より好ましくは80/20〜40/60で
ある。一方、2−ヒドロキシ酪酸−グリコール酸共重合
体における2−ヒドロキシ酪酸/グリコール酸のモル比
は、好ましくは90/10〜30/70、より好ましく
は80/20〜40/60である。
【0051】ポリマー溶液中の生体内分解性ポリマー濃
度は、ポリマーの種類、分子量などによって変動する
が、通常1〜80重量%、好ましくは、20〜60重量
%である。
【0052】水と混和する生体内分解性ポリマーの良溶
媒(溶媒A)としては、生体内分解性ポリマー1gを完
全に溶解するのに要する量が25g未満であり、水と完
全に混和する性質のものであれば特に限定されず、例え
ば、アセトン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、
ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジオキ
サン、ジグリム、エチレングリコールジメチルエーテル
などがあげられる。中でも、毒性の点から、アセトン、
テトラヒドロフランが好ましく、アセトンが最も好まし
い。これら溶媒は、1種のみならず、2種以上を混合し
て用いてもよい。
【0053】ポリマー溶液は、溶媒Aに生体内分解性ポ
リマーを溶解させ、薬物を溶解もしくは分散させて調製
すればよく、薬物、生体内分解性ポリマーの添加順序
は、特に限定されない。
【0054】また、ポリマー溶液中には、溶媒Aと混和
する生体内分解性ポリマーの貧溶媒(溶媒B)が少量含
まれていてもよい。
【0055】ポリマー溶液中に含まれる溶媒Bの量は、
生体内分解性ポリマーが析出してしまわない程度の量で
あることが好ましく、例えば、ポリマー溶液に対して
0.001〜50重量%、好ましくは0.01〜20重
量%である。
【0056】次いで、調製したポリマー溶液を、溶媒A
と混和する生体内分解性ポリマーの貧溶媒(溶媒B)と
溶媒Aと混和しない生体内分解性ポリマーの貧溶媒(溶
媒C)を含む均一混合液中に添加して乳化することによ
り、ポリマー溶液が分散相、均一混合液が連続相を形成
するエマルションを調製する。
【0057】溶媒Bとしては、生体内分解性ポリマー1
gを完全に溶解するのに25g以上要し、溶媒Aと完全
に混和するようなものであれば特に制限はなく、具体例
としては、水、炭素数1〜4の1価アルコールがあげら
れ、アルコールの具体例としては、メタノール、エタノ
ール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタ
ノール、i−ブタノール、sec−ブタノールまたはt
ert−ブタノールなどがあげられる。これらのうち、
水、エタノールが好ましく、とりわけ水が好ましい。
【0058】また、溶媒Cとしては、生体内分解性ポリ
マー1gを完全に溶解するのに25g以上要し、溶媒C
100重量部に混和する溶媒Aが25重量部以下であ
り、溶媒Bと完全に混和して均一な混合液を形成するよ
うなものであれば特に制限はなく、具体例としては、グ
リセリンがあげられる。
【0059】好ましい溶媒A、B、Cの組合せを非限定
的に例示するとすれば、溶媒Aとしてアセトン、溶媒B
として水、溶媒Cとしてグリセリンの組合せ、溶媒Aと
してアセトン、溶媒Bとしてエタノール、溶媒Cとして
グリセリンの組合せ、溶媒Aとしてテトラヒドロフラ
ン、溶媒Bとして水、溶媒Cとしてグリセリンの組合
せ、溶媒Aとしてアセトン、溶媒Bとして水−エタノー
ル混液、溶媒Cとしてグリセリンの組合せ、溶媒Aとし
てアセトン、溶媒Bとしてn−プロパノール、溶媒Cと
してグリセリンの組合せ、溶媒Aとしてアセトン、溶媒
Bとしてn−ブタノール、溶媒Cとしてグリセリンの組
合せ、溶媒Aとしてアセトン、溶媒Bとしてi−プロパ
ノール、溶媒Cとしてグリセリンの組合せ、などが考え
られる。中でも、溶媒Aとしてアセトン、溶媒Bとして
水、溶媒Cとしてグリセリンの組合せが最も好ましい。
【0060】均一混合液における溶媒Bと溶媒Cとの重
量比は、生体内分解性ポリマーの種類、選択する溶媒
A、B、Cの組合せにもよるが、5:95〜75:25
の範囲内であれば、好適にマイクロスフェアが得られ
る。とりわけ、凝集物の形成を防止し、薬物取込率を向
上させる上で、10:90〜50:50の範囲内が好ま
しく、20:80〜40:60の範囲内が最も好まし
い。
【0061】また、該均一混合液には、乳化安定剤を含
んでいてもよく、乳化安定化剤としては、例えば、ポリ
ビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセル
ロース、ヒドロキシプロピルセルロース、アラビアゴ
ム、キトサン、ゼラチン、血清アルブミン、界面活性剤
などがあげられ、中でも、ポリビニルアルコール、ポリ
ビニルピロリドン、メチルセルロース、ヒドロキシプロ
ピルセルロースが好ましい。乳化安定剤の混合液中の濃
度は、0.001〜10重量%、好ましくは0.01〜
2重量%である。
【0062】溶媒Aは、溶媒Bと溶媒Cを含む均一混合
液と部分的に混和するが、混和する速度が制限されてい
るため、薬物、生体内分解性ポリマー及び溶媒Aを含む
ポリマー溶液が分散相、均一混合液が連続相を形成する
エマルションを形成することができる。そして、エマル
ション形成と同時に、もしくはエマルション形成と平行
して、溶媒Aが、ポリマー溶液から均一混合液へ徐々に
除去され、マイクロスフェア形成も開始される。
【0063】ポリマー溶液中の溶媒Aの均一混合液への
混和速度は、均一混合液における溶媒Bと溶媒Cの重量
比を変えることにより調節でき、溶媒Cの比率を高くす
るほど混和速度は遅くなり、低くするほど速くなる。
【0064】また、均一混合液中に予め少量の溶媒Aを
含有させておくことによっても、ポリマー溶液中の溶媒
Aの均一混合液への混和速度を遅くすることが可能であ
り、均一混合液中に含有させる溶媒Aの量としては、均
一混合液中に均一に混和する量であれば特に制限はない
が、好ましくは30重量%以下、特に好ましくは20重
量%以下である。
【0065】ポリマー溶液と均一混合液との重量比は、
均一混合液における溶媒Bと溶媒Cの重量比等により変
動するが、1:1〜1:1000の範囲内、好ましくは
1:2〜1:200の範囲内、とりわけ好ましくは1:
3〜1:75の範囲内である。
【0066】さらに、乳化後、分散相からの溶媒A除去
効率の面からは、ポリマー溶液中の溶媒Aの量が、均一
混合液と混和可能な最大量以下、とりわけ、最大量の1
〜80重量%程度であるのが好ましい。
【0067】乳化時の温度は特に限定されないが、薬物
が熱に対して不安定な場合は、より低温で行うことが好
ましい。乳化を低温下(とりわけ0℃以下)で行う場合
には、エマルション形成より先に生体内分解性ポリマー
が析出してしまうことを避けるため、ポリマー溶液に対
する均一混合液の重量比を前記の範囲内で低くするか、
或いは均一混合液中に溶媒Aを予め少量添加しておくこ
とが好ましい。とりわけ、均一混合液中に溶媒Aを予め
少量添加しておくことが好ましく、溶媒Aの添加量は前
記の範囲内とすればよい。
【0068】ポリマー溶液の均一混合液への乳化は、プ
ロペラ式攪拌機、タービン型乳化機、高圧乳化機、超音
波分散装置、スタティックミキサーなどの既知の乳化装
置による攪拌下、ポリマー溶液を均一混合液中に添加す
ることにより容易に実施可能である。乳化に要する時間
は、用いる乳化装置、液量などによって異なるが、1〜
10分間程度である。
【0069】また、乳化は、膜乳化、噴霧などの方法に
よっても好適に実施することが出来る。
【0070】膜乳化により乳化を行うには、ポリマー溶
液と均一混合液との間に多孔質膜を設け、ポリマー溶液
を加圧して多孔質膜の細孔からポリマー溶液を均一混合
液中に押出せばよく、必要に応じ、均一混合液を攪拌し
てもよい。多孔質膜の形状としては、平板状、チューブ
状、球状などに成型したもの使用することができ、例え
ばチューブ状多孔質膜を使用する場合には、(i)チュ
ーブ状多孔質膜の内側空洞部分に導通したポリマー溶液
を、チューブ状多孔質膜の外側の均一混合液に押出す方
法、及び(ii)チューブ状多孔質膜の外側のポリマー
溶液を、チューブ状多孔質膜の内側空洞部分に導通した
均一混合液に押出す方法(例えば、ジャーナル オブ
マイクロエンカプスレーション(Journal of
Microencapsulation),11
(2),171−178,1994記載の方法)のいず
れも使用することができる。
【0071】多孔質膜としては、多孔質セラミックス、
多孔質ガラスなどを好適に使用することができ、多孔質
セラミックスとしては、アルミナ、ジルコニア、ゼオラ
イトなどがあげられ、多孔質ガラスとしては、米国特許
第2106744号、米国特許第2215039号記載
の多孔質シリカガラス、米国特許第4657875号記
載のシラス多孔質ガラスなどがあげられる。これらのう
ち、多孔質ガラスを用いることが特に好ましい。
【0072】多孔質膜は、表面化学修飾により、表面を
親水化したり疎水化したり、種々の官能基が導入されて
いてもよく、具体的には、オクタデシルトリクロロシラ
ンおよびトリメチルシランによって疎水化された多孔質
ガラスなどがあげられる。
【0073】多孔質膜の細孔径は、0.2〜300μm
のものから選択すればよく、とりわけ、4〜50μmの
ものから選択することが好ましい。
【0074】均一混合液中へのポリマー溶液の押出速度
は、ポリマー溶液中の生体内分解性ポリマーの種類およ
び濃度、均一混合液の組成、多孔質膜の細孔径などによ
っても変動するが、あえて例示するとすれば、多孔質膜
1mにおけるポリマー溶液の押出量が、1時間あたり
5〜500mlとなるようにすることが好ましい。
【0075】また、噴霧により乳化を行う場合には、既
知の噴霧装置を用い、ポリマー溶液を、均一混合液に噴
霧すればよい。この際、必要に応じ、均一混合液を攪拌
してもよい。噴霧装置としては、例えば、空気ノズル、
圧力ノズル、超音波ノズル、ロータリーアトマイザーな
どがあげられる。
【0076】本発明の方法では、ポリマー溶液を均一混
合液に添加して乳化するため、均一混合液をポリマー溶
液に添加して転相させる場合と比べて、マイクロスフェ
アの生成率が高いだけでなく、マイクロスフェア製造時
の薬物取込率を向上させ、また、生成するマイクロスフ
ェアからの初期バーストを抑制することができる。
【0077】乳化後、得られたエマルションを適当な方
法で流動させ、分散相より残りの溶媒Aを除去する。こ
れにより、分散相の溶媒Aが連続相へ除去され、分散相
の生体内分解性ポリマーが完全に固化し、マイクロスフ
ェアが得られる。
【0078】流動の方法は、循環または攪拌によって行
うことができる。循環は、ポンプを用いて、エマルショ
ンの下部よりエマルションの一部を吸引し、パイプを通
してこれをエマルションの上部に戻すことにより行うこ
とが出来る。また、攪拌は、攪拌翼、マグネチックスタ
ーラーなどの通常の攪拌手段により行うことができる。
【0079】また、乳化後、一旦形成されたエマルショ
ンの連続相を増量すれば、分散相からの溶媒Aの除去を
促進でき、また、増量により、乳化中に連続相へ除去さ
れた溶媒Aを希釈できるため、連続相中の溶媒Aが形成
段階のマイクロスフェアに悪影響を及ぼすことも防止で
きる。
【0080】連続相の増量は、エマルションを別途用意
した増量用溶媒と混合することによって行うことができ
る。
【0081】増量用溶媒としては、溶媒B又は溶媒Bと
溶媒Cの混合液を用いることができ、増量用溶媒に用い
られる溶媒B、溶媒Cの種類は、均一混合液に使用可能
なものであれば特に限定されず、必ずしも、均一混合液
に用いられた溶媒B、溶媒Cと同一種である必要はな
い。増量用溶媒に用いる溶媒B、Cを非限定的に例示す
るとすれば、溶媒Bとして、エタノールなどの炭素数1
〜4の1価アルコール、水などがあげられ、溶媒Cとし
ては、グリセリンなどがあげられる。薬物が熱に対して
不安定な場合には、増量用溶媒に用いる溶媒Bとして、
エタノールなどの炭素数1〜4の1価アルコールを用い
れば、低温下(例えば0℃以下)でも効率的に溶媒Aの
除去が可能である。
【0082】増量の方法としては、別途用意した増量用
溶媒をエマルションに添加して行ってもよく、逆に、別
途用意した増量用溶媒にエマルションを添加して行って
もよい。
【0083】また、増量は1回で行っても、複数回に分
けて行ってもよく、更に、連続的に徐々に増量すること
もできる。
【0084】増量による分散相からの溶媒Aの除去促進
効果を増大させるためには、増量後のエマルションの連
続相における溶媒Bの割合が、増量前のエマルションに
おける溶媒Bの割合よりも大きくなるように増量するの
が好ましく、増量前の割合よりも0〜70%大きくする
のがとりわけ好ましい。また、増量後の連続相の体積が
増量前の2〜100倍となるようにするのが好ましい。
【0085】乳化後、溶媒Aの除去に要する時間は、1
2時間以内であり、エマルションの連続相を増量すれ
ば、時間を短縮することも可能である。
【0086】また、エマルションの分散相から残った溶
媒Aを除去する際、加温、減圧等を行えば、溶媒Aの除
去を更に促進することができる。加温はエマルションの
温度を30〜70℃とすればよく、温度は一定である必
要はなく、例えば、徐々に昇温することも、段階的に昇
温することもできる。また、減圧は適当な減圧装置を用
いて、5〜80kPaとなるまでエマルションを減圧す
ればよい。
【0087】本発明のマイクロスフェア製法は、エマル
ションの分散相に含まれる溶媒Aが連続相に除去される
ため、(a)分散相から連続相に除去された溶媒Aがマ
イクロスフェア製造装置外へ蒸散可能な開放系、(b)
マイクロスフェア製造装置外への蒸散できない密閉系の
何れでも行うこともできるが、溶媒Aの環境への悪影響
を防止し、溶媒Aを回収・再利用しやすい点で、密閉系
で溶媒Aの除去を行うのが好ましい。
【0088】密閉系でマイクロスフェアを製造する場合
には、連続相から留去される溶媒Aをトラップして回収
するのが好ましく、溶媒Aの回収は、溶媒Aを含む気体
を冷却して液化するか、又は多孔性粒子に導通して溶媒
Aを吸着させるなどの方法によって容易に行うことがで
きる。
【0089】得られたマイクロスフェアは遠心分離また
はフィルターによる濾取などの方法により分取し、必要
に応じ水などで洗浄を行い、風乾、真空乾燥、凍結乾燥
などの乾燥手段により水分を除去し、回収することがで
きる。
【0090】また、マイクロスフェア中に残存する溶媒
Aの量を極力低減させたい場合(例えばマイクロスフェ
ア重量に対して5000ppm以下まで)には、分取し
たマイクロスフェアを水中に再分散させて3分〜12時
間、好ましくは5分〜5時間攪拌し、その後、再度マイ
クロスフェアを分取し、必要に応じ洗浄を行い、乾燥さ
せればよい。
【0091】剤形によっては、洗浄後のマイクロスフェ
アを適当な溶液に懸濁し、凍結乾燥により最終製剤の形
に調製する。
【0092】以上の方法で得られるマイクロスフェアの
粒子径は、平均粒子径として1〜1000μmである。
とりわけ、粒子径20〜150μmのマイクロスフェア
が70%以上を占めるマイクロスフェアが容易に得られ
る。
【0093】このようにして得られたマイクロスフェア
は、薬物の種類に関わらず、取り込み率が高く、また、
実施例にも示すように溶出パターンは零次放出型とする
ことができる。
【0094】本発明の方法により得られたマイクロスフ
ェアは、そのまま筋肉内、皮下、血管、臓器、あるいは
関節腔、腹腔、腫瘍などの病巣に容易に注射剤、埋め込
み剤として投与することができる。また、種々の製剤を
製造する際の原料としても用いることができ、そのよう
な製剤としては、例えば、注射剤、経口投与剤、経皮投
与剤、坐剤、経鼻投与剤、経肺投与剤、口腔投与剤、眼
内投与剤などがあげられる。
【0095】以下に実施例、比較例により、更に本発明
を詳細に説明する。
【0096】
【実施例】実施例1 乳酸−グリコール酸コポリマー(乳酸とグリコール酸の
モル比が50:50、分子量2万、和光純薬製)(以
下、PLGA5020と略す)487.5mg、予めジ
ェットミル(セイシン企業製)で粉砕したビタミンB1
2 12.5mgにアセトン800mgを加え、ポリマ
ー溶液(ビタミンB12は分散状態)を調製した。室温
において攪拌下(プロペラ式攪拌機、スリーワンモータ
ーBL3000、ヘイドン社製、回転数:1500rp
m)、ポリビニルアルコール(1.0重量%)を含有さ
せたグリセリン−水混合液(グリセリンと水の重量比が
70:30)4gにパスツールピペットを用いてポリマ
ー溶液を添加して3分間乳化し、ポリマー溶液を分散
相、グリセリン−水混合液を連続相とするエマルション
を得た。このエマルションをグリセリン−水混合液(グ
リセリンと水の重量比が70:30)14g中に添加し
て密栓を施した後、マグネチックスターラーにて3時間
撹拌を行い、アセトンをエマルションの分散相から除去
し、マイクロスフェアの分散液を得た。この分散液を1
50μmのフィルターで濾過し、さらに20μmのフィ
ルターでマイクロスフェアを濾取した後、凍結乾燥を行
い、マイクロスフェアを回収した。マイクロスフェアの
回収率(仕込んだポリマーと薬物量に対する回収したマ
イクロスフェア量の割合)は、79.5%であった。
【0097】得られたマイクロスフェアの平均粒子径
は、47.0μmであり、薬物取込率は、81.0%で
あった(ビタミンB12の定量は、分光光度計(SHI
MADZU UV−2500PC)にて行った)。
【0098】このマイクロスフェアについてin vi
tro溶出試験を行ったところ(溶出液:9.6mMリ
ン酸緩衝化生理食塩水(pH7.4)、溶出試験機:タ
イテック製回転培養機RT50(攪拌強度:25rp
m)、37℃)、21日間にわたってビタミンB12が
一定の速度で放出された。また、初期バースト率(試験
開始1時間後における溶出率)は、わずか5.2%であ
った(図1)。
【0099】比較例1 実施例1と同様の操作を行ってポリマー溶液を得た。室
温において攪拌下(プロペラ式攪拌機、スリーワンモー
ターBL3000、ヘイドン社製、回転数:1500r
pm)、ポリマー溶液中に、ポリビニルアルコール
(1.0重量%)を含有させたグリセリン−水混合液
(グリセリンと水の重量比が70:30)4gをパスツ
ールピペットを用いて添加して3分間乳化した。エマル
ションの転相が生じ、最終的には、ポリマー溶液を分散
相、グリセリン−水混合液を連続相とするエマルション
を得た。このエマルションをグリセリン−水混合液(グ
リセリンと水の重量比が70:30)14g中に添加し
て密栓を施した後、マグネチックスターラーにて3時間
撹拌を行い、アセトンをエマルションの分散相から除去
し、マイクロスフェアの分散液を得た。この分散液を1
50μmのフィルターで濾過し、さらに20μmのフィ
ルターでマイクロスフェアを濾取した後、凍結乾燥を行
い、マイクロスフェアを回収した。
【0100】得られたマイクロスフェアの平均粒子径
は、37.7μmであり、薬物取込率は、わずか27.
7%であった。
【0101】このマイクロスフェアについてin vi
tro溶出試験を行ったところ、わずか1時間でほとん
どの薬物が放出され、初期バースト率は、74.1%に
も達した(図1)。
【0102】以上より、乳化に際し、ポリマー溶液中に
グリセリン−水混合液を添加すると、薬物取込率が低下
し、初期バースト率も増大することが判明した。
【0103】比較例2 実施例1と同様の操作を行ってポリマー溶液を得た。室
温において攪拌下(プロペラ式攪拌機、スリーワンモー
ターBL3000、ヘイドン社製、回転数:1500r
pm)、ポリビニルアルコール(1.0重量%)を含有
させた飽和ショ糖水溶液(ショ糖濃度:約65重量%)
4gにパスツールピペットを用いてポリマー溶液を添加
して3分間乳化し、ポリマー溶液を分散相、飽和ショ糖
水溶液を連続相とするエマルションを得た。このエマル
ションをグリセリン−水混合液(グリセリンと水の重量
比が50:50)14g中に添加して密栓を施した後、
マグネチックスターラーにて3時間撹拌を行い、アセト
ンをエマルションの分散相から除去し、微粒子の分散液
を得た。この分散液を150μmのフィルターで濾過
し、さらに20μmのフィルターで微粒子を濾取した
後、凍結乾燥を行い、微粒子を回収した。
【0104】しかしながら、この微粒子は繊維状で、球
状のマイクロスフェアではなく、回収率も僅か3.5%
に過ぎなかった。
【0105】したがって、ポリマー溶液を飽和糖(ショ
糖)水溶液中に乳化しても、マイクロスフェアは得られ
ないことが判明した。
【0106】比較例3 比較例2において、ポリビニルアルコール(1.0重量
%)を含有させた飽和ショ糖水溶液(ショ糖濃度:約6
5重量%)にかえて、ポリビニルアルコール(1.0重
量%)を含有させた飽和グルコース水溶液(グルコース
濃度:約50重量%)を用いた以外は同様の操作を行
い、微粒子を得た。
【0107】しかしながら、この微粒子は繊維状で、球
状のマイクロスフェアではなく、回収率も僅か5.1%
に過ぎなかった。
【0108】したがって、ポリマー溶液を飽和糖(グル
コース)水溶液中に乳化しても、マイクロスフェアは得
られないことが判明した。
【0109】比較例4 比較例2において、ポリビニルアルコール(1.0重量
%)を含有させた飽和ショ糖水溶液(ショ糖濃度:約6
5重量%)にかえて、ポリビニルアルコール(1.0重
量%)を含有させた飽和マンニトール水溶液(マンニト
ール濃度:約15重量%)を用いた以外は同様の操作を
行い、微粒子を得た。
【0110】しかしながら、この微粒子は繊維状で、球
状のマイクロスフェアではなく、回収率も僅か0.7%
に過ぎなかった。
【0111】したがって、ポリマー溶液を飽和糖(マン
ニトール)水溶液中に乳化しても、マイクロスフェアは
得られないことが判明した。
【0112】実施例2 PLGA5020 487.5mg、予めジェットミル
(セイシン企業製)で粉砕したビタミンB12 12.
5mgにアセトン800mgを加え、ポリマー溶液(ビ
タミンB12は分散状態)を調製した。15℃において
攪拌下(乳化機、商品名:ポリトロン、キネマティカ・
アーゲー・リタウ社製、回転数:2500rpm)、ポ
リビニルアルコール(0.3重量%)を含有させたグリ
セリン−水混合液(グリセリンと水の重量比が70:3
0)6gにパスツールピペットを用いてポリマー溶液を
添加して3分間乳化し、ポリマー溶液を分散相、グリセ
リン−水混合液を連続相とするエマルションを得た。こ
のエマルションをグリセリン−水混合液(グリセリンと
水の重量比が50:50)14g中に添加してマグネチ
ックスターラーにて2.5時間撹拌し、さらに水10m
lを添加して0.5時間攪拌を行い、アセトンをエマル
ションの分散相から除去し、マイクロスフェアの分散液
を得た。この分散液を150μmのフィルターで濾過
し、さらに20μmのフィルターでマイクロスフェアを
濾取した後、凍結乾燥を行い、マイクロスフェアを回収
した。
【0113】得られたマイクロスフェアの平均粒子径6
2.7μmであり、薬物取込率は、61.3%であっ
た。
【0114】このマイクロスフェアについてin vi
tro溶出試験(溶出液:9.6mMリン酸緩衝化生理
食塩水(pH7.4)、37℃)を行ったところ、14
日間にわたってビタミンB12を放出した(図2)。
【0115】実施例3 特開平11−302156記載の方法に従い、ウシ血清
アルブミン(シグマ社製、以下BSAと略す)1g、ポ
リエチレングリコール6000(和光純薬製)2gを水
100mlに溶解した溶液を凍結乾燥し、得られた固形
物を、アセトン−塩化メチレン混液(アセトンと塩化メ
チレンの体積比が3:1)で洗浄してポリエチレングリ
コールを除去した後、1時間減圧乾燥して平均粒子径1
μmのBSA微粒子を得た。
【0116】予め粉砕したビタミンB12にかえて上記
微粒子化したBSAを用いてポリマー溶液(BSAは分
散状態)を調製し、20μmのフィルターでマイクロス
フェアを濾取する代わりに遠心分離(2000rpm、
5分間)を2回繰返してマイクロスフェアを集めた以外
は実施例2と同様の操作を行い、マイクロスフェアを得
た。
【0117】得られたマイクロスフェアの平均粒子径
は、14.3μmであり、薬物取り込み率は、74.8
%であった(BSAの定量は、ミクロBCAタンパク定
量キット(PIERCE)にて測定した)。
【0118】実施例4 予め粉砕したビタミンB12にかえてエストロンを用い
てポリマー溶液(エストロンは溶解状態)を調製し、2
0μmのフィルターでマイクロスフェアを濾取する代わ
りに遠心分離(2000rpm、5分間)を2回繰返し
てマイクロスフェアを集めた以外は実施例2と同様の操
作を行い、マイクロスフェアを得た。
【0119】得られたマイクロスフェアの平均粒子径
は、22.4μm、薬物取り込み率は、ぼぼ100%で
あった(エストロンの定量は、HPLC法にて測定し
た)。
【0120】実施例5 ポリビニルアルコール(0.3重量%)を含有させたグ
リセリン−水混合液(グリセリンと水の重量比が70:
30)にかえてヒドロキシプロピルセルロース(HPC
−L、日本曹達製)(1重量%)を含有させたグリセリ
ン−エタノール混合液(グリセリンとエタノールの重量
比が80:20)用い、ポリトロンの回転数を4000
rpmとした以外は実施例2と同様の操作を行い、平均
粒子径50.8μmのマイクロスフェアを得た。
【0121】実施例6 アセトンにかえてテトラヒドロフランを用いてポリマー
溶液(ビタミンB12は分散状態)を調製し、20μm
のフィルターでマイクロスフェアを濾取する代わりに遠
心分離(2000rpm、5分間)を2回繰返してマイ
クロスフェアを集めた以外は実施例2と同様の操作を行
い、平均粒子径13.8μmのマイクロスフェアを得
た。
【0122】実施例7 PLGA5020にかえてポリ乳酸(分子量:2000
0、和光純薬製)、ビタミンB12にかえて特開平11
−302156記載の方法により微粒子化したBSAを
用いてポリマー溶液(BSAは分散状態)を調製し、ポ
リトロンにかえてプロペラ式攪拌機(スリーワンモータ
ーBL3000、ヘイドン社製、回転数:1500rp
m)を用いた以外は実施例2と同様の操作を行い、マイ
クロスフェアを得た。
【0123】得られたマイクロスフェアの平均粒子径
は、76.1μmであり、薬物取込率は、78.9%で
あった。
【0124】また、このマイクロスフェアのin vi
tro溶出試験の結果を図3に示した。
【0125】実施例8 PLGA5020 487.5mg、タルチレリン水和
物12.5mgにアセトン700mg、水100mgを
加え、ポリマー溶液(タルチレリン水和物は溶解状態)
を調製した。室温において攪拌下(プロペラ式攪拌機、
スリーワンモーターBL3000、ヘイドン社製、回転
数:1500rpm)、ポリビニルアルコール(1.0
重量%)を含有させたグリセリン−水混合液(グリセリ
ンと水の重量比が70:30)4gにパスツールピペッ
トを用いてポリマー溶液を添加して3分間乳化し、ポリ
マー溶液を分散相、グリセリン−水混合液を連続相とす
るエマルションを得た。このエマルションをグリセリン
−水混合液(グリセリンと水の重量比が70:30)1
4g中に添加し、マグネチックスターラーにて3時間撹
拌を行い、アセトンをエマルションの分散相から除去
し、マイクロスフェアの分散液を得た。この分散液を1
50μmのフィルターで濾過し、さらに20μmのフィ
ルターでマイクロスフェアを濾取した後、凍結乾燥を行
い、マイクロスフェアを回収した。
【0126】得られたマイクロスフェアの平均粒子径
は、76.0μm、薬物取込率は、46.1%であった
(タルチレリンの定量は、HPLCにて行った)。
【0127】このマイクロスフェアについてin vi
tro溶出試験の結果を図4に示した。
【0128】実施例9 PLGA5020 487.5mg、予めジェットミル
(セイシン企業製)で粉砕したビタミンB12 12.
5mgにアセトン800mgを加え、ポリマー溶液(ビ
タミンB12は分散状態)を調製した。室温において攪
拌下(ラモンドスターラーST02型、EST環境科学
工業製、回転数:500rpm)、ポリビニルアルコー
ル(0.5重量%)を含有させたグリセリン−水混合液
(グリセリンと水の重量比が70:30)4gにパスツ
ールピペットを用いてポリマー溶液を添加して3分間乳
化し、ポリマー溶液を分散相、グリセリン−水混合液を
連続相とするエマルションを得た。このエマルションを
グリセリン−水混合液(グリセリンと水の重量比が5
0:50)14g中に添加してマグネチックスターラー
にて0.5時間撹拌し、さらに50℃に加温して2.5
時間攪拌を行い、アセトンをエマルションの分散相から
除去し、マイクロスフェアの分散液を得た。この分散液
を150μmのフィルターで濾過し、さらに20μmの
フィルターでマイクロスフェアを濾取した後、凍結乾燥
を行い、マイクロスフェアを回収した。
【0129】得られたマイクロスフェアの平均粒子径
は、55.1μm、薬物取込率は、77.4%であっ
た。
【0130】このマイクロスフェアについてin vi
tro溶出試験の結果を図5に示した。
【0131】実施例10 BSA1g、PEG6000(ポリエチレングリコール
6000、片山化学製)3gを水200mlに溶解した
溶液を−20℃で凍結させ、得られた凍結物にアセトン
500mlを添加し、プロペラ式撹拌機(スリーワンモ
ーターBL3000、ヘイドン社製、回転数:500r
pm)を用いて撹拌を行い、PEG6000および氷を
アセトン中に溶解させ、BSA微粒子分散液を得た。遠
心分離(2000rpm、5分間)を行い上清を除去
し、アセトン50mlでBSA微粒子を2回洗浄した
後、一晩減圧乾燥し、平均粒子径3.72μmのBSA
微粒子を得た。
【0132】得られたBSA微粒子25mg、Reso
merRG503H(乳酸−グリコール酸コポリマー、
乳酸とグリコール酸のモル比が50:50、分子量3万
3千、ベーリンガー社製)475mg、アセトン150
0mgを加え、ポリマー溶液(BSAは分散状態)を調
製した。−20℃において攪拌下(プロペラ式攪拌機、
スリーワンモーターBL3000、ヘイドン社製、回転
数:500rpm)、ポリビニルアルコール(0.5重
量%)を含有させたグリセリン−水混合液(グリセリン
と水の重量比が70:30)8gとアセトン1gとの混
合液にパスツールピペットを用いてポリマー溶液を添加
して3分間乳化し、ポリマー溶液を分散相、グリセリン
−水混合液を連続相とするエマルションを得た。このエ
マルションを−20℃のエタノール30ml中に添加し
て密栓を施した後、マグネチックスターラーにて3時間
撹拌を行い、アセトンをエマルションの分散相から除去
し、マイクロスフェアの分散液を得た。この分散液を1
50μmのフィルターで濾過し、さらに20μmのフィ
ルターでマイクロスフェアを濾取し、水で洗浄後、凍結
乾燥を行い、マイクロスフェアを回収した。マイクロス
フェアの回収率は、74.5%であった。
【0133】得られたマイクロスフェアの薬物取り込み
率は、68.6%であった。
【0134】実施例11 実施例10と同様の操作を行い得られたマイクロスフェ
ア分散液を、150μmのフィルターで濾過し、さらに
20μmのフィルターでマイクロスフェアを濾取した
後、水10ml中に再分散し、室温にて密閉下、2.5
時間攪拌した。攪拌終了後、再度20μmのフィルター
でマイクロスフェアを濾取し、凍結乾燥を行い、マイク
ロスフェアを回収した。
【0135】得られたマイクロスフェアをジオキサンに
溶解し、ガスクロマトグラフィーにてマイクロスフェア
中に残存していたアセトン量を測定したところ、500
ppm以下であった。
【0136】実施例12 BSA2g、PEG20000(ポリエチレングリコー
ル20000、片山化学製)6gを水200mlに溶解
した溶液を−80℃で凍結させ、得られた凍結物にアセ
トン500mlを添加し、プロペラ式撹拌機(スリーワ
ンモーターBL3000、ヘイドン社製、回転数:50
0rpm)を用いて撹拌を行い、PEG2000および
氷をアセトン中に溶解させ、BSA微粒子分散液を得
た。遠心分離(2000rpm、5分間)を行い上清を
除去し、アセトン50mlでBSA微粒子を2回洗浄し
た後、一晩減圧乾燥し、平均粒子径2.04μmのBS
A微粒子を得た。
【0137】得られたBSA微粒子12.5mg、PL
GA5020 487.5mg、アセトン800mgを
加え、ポリマー溶液(BSAは分散状態)を調製した。
−20℃において攪拌下(プロペラ式攪拌機、スリーワ
ンモーターBL3000、ヘイドン社製、回転数:50
0rpm)、ポリビニルアルコール(0.5重量%)を
含有させたグリセリン−水混合液(グリセリンと水の重
量比が70:30)4gとアセトン0.5gとの混合液
にパスツールピペットを用いてポリマー溶液を添加して
3分間乳化し、ポリマー溶液を分散相、グリセリン−水
混合液を連続相とするエマルションを得た。このエマル
ションを−20℃のエタノール7.5ml中に添加して
密栓を施した後、マグネチックスターラーにて15分撹
拌を行い、アセトンをエマルションの分散相から除去
し、マイクロスフェアの分散液を得た。この分散液を1
50μmのフィルターで濾過し、さらに20μmのフィ
ルターでマイクロスフェアを濾取した後、水10ml中
に再分散し、室温にて密閉下、1時間攪拌した。攪拌終
了後、再度20μmのフィルターでマイクロスフェアを
濾取し、凍結乾燥を行い、マイクロスフェアを回収し
た。
【0138】実施例13 実施例12において、ポリビニルアルコール(0.5重
量%)を含有させたグリセリン−水混合液(グリセリン
と水の重量比が70:30)4gとアセトン0.5gと
の混合液にかえて、ポリビニルアルコール(0.5重量
%)を含有させたグリセリン−水混合液(グリセリンと
水の重量比が70:30)4gとテトラヒドロフラン
0.5gとの混合液を用いた以外は同様の操作を行い、
マイクロスフェアを得た。
【0139】実施例14 実施例12において、ポリビニルアルコール(0.5重
量%)を含有させたグリセリン−水混合液(グリセリン
と水の重量比が70:30)4gとアセトン0.5gと
の混合液にかえて、ポリビニルアルコール(0.5重量
%)を含有させたグリセリン−水混合液(グリセリンと
水の重量比が70:30)4gとアセトニトリル0.5
gとの混合液を用いた以外は同様の操作を行い、マイク
ロスフェアを得た。
【0140】実施例15 実施例12と同様の操作を行い得られたマイクロスフェ
ア分散液を、150μmのフィルターで濾過し、さらに
20μmのフィルターでマイクロスフェアを濾取した
後、水1ml中に再分散し、4℃にて密閉下、1時間攪
拌した。攪拌終了後、凍結乾燥を行い、マイクロスフェ
アを回収した。
【0141】
【発明の効果】本発明の方法によれば、水混和性の有機
溶媒、特に、人体、環境への悪影響が少ないアセトンや
テトラヒドロフランなどを用いてマイクロスフェアを調
製することができる。
【0142】また、本方法によれば、水溶性薬物、脂溶
性薬物の何れであっても、高い取込率でマイクロスフェ
ア中に包含することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 均一混合液中にポリマー溶液を添加した場合
(実施例1)とポリマー溶液中に均一混合液を添加した
場合(比較例1)の、得られたビタミンB12含有マイ
クロスフェアの溶出特性の比較を示すグラフである。
【図2】 ビタミンB12含有マイクロフェア(実施例
2)のin vitro溶出試験結果を示すグラフであ
る。
【図3】 ウシ血清アルブミン含有マイクロスフェア
(実施例7)のinvitro溶出試験結果を示すグラ
フである。
【図4】 タルチレリン含有マイクロスフェア(実施例
8)のin vitro溶出試験結果を示すグラフであ
る。
【図5】 ビタミンB12含有マイクロフェア(実施例
9)のin vitro溶出試験結果を示すグラフであ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 101/16 ZBP C08L 101/16 ZBP // B01J 13/02 B01J 13/02 Z Fターム(参考) 4C076 AA67 EE24 FF21 FF31 GG07 GG26 4F070 AA47 AA71 AB12 AC31 AE00 DA31 DC16 FA04 FA05 FB10 4G005 AA01 BA14 BB06 BB08 DA09W DB21X DB22X DB24X DC11W DC15W DC18W DD27Z DD57Z DD58Z EA03 4J002 AA001 CF181 CF191 FD206

Claims (26)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 薬物、生体内分解性ポリマーおよび水と
    混和する前記ポリマーの良溶媒(溶媒A)を含むポリマ
    ー溶液を、溶媒Aと混和する前記ポリマーの貧溶媒(溶
    媒B)と溶媒Aと混和しない前記ポリマーの貧溶媒(溶
    媒C)を含む均一混合液中に添加して乳化することによ
    りポリマー溶液が分散相、均一混合液が連続相を形成す
    るエマルションを調製し、分散相から溶媒Aを除去する
    ことを特徴とするマイクロスフェアの製法。
  2. 【請求項2】 生体内分解性ポリマーが、ヒドロキシ脂
    肪酸のポリエステルである請求項1記載の製法。
  3. 【請求項3】 生体内分解性ポリマーが、ポリ乳酸、乳
    酸−グリコール酸共重合体および2−ヒドロキシ酪酸−
    グリコール酸共重合体から選択される1種または2種以
    上である請求項1記載の製法。
  4. 【請求項4】 溶媒Aが、アセトン、テトラヒドロフラ
    ン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチル
    スルホキシド、ジオキサン、ジグリムおよびエチレング
    リコールジメチルエーテルからなる群より選択される1
    種または2種以上であり、溶媒Bが、水および炭素数1
    〜4の1価アルコールからなる群より選択される1種ま
    たは2種以上であり、溶媒Cが、グリセリンである請求
    項1〜3のいずれか1項記載の製法。
  5. 【請求項5】 炭素数1〜4の1価アルコールが、メタ
    ノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノ
    ール、n−ブタノール、i−ブタノール、sec−ブタ
    ノールまたはtert−ブタノールである請求項4記載
    の製法。
  6. 【請求項6】 溶媒Aがアセトン、溶媒Bが水、溶媒C
    がグリセリンである請求項4項記載の製法。
  7. 【請求項7】 均一混合液の溶媒Bと溶媒Cの重量比
    が、5:95〜75:25の範囲内である請求項1〜6
    のいずれか1項記載の製法。
  8. 【請求項8】 溶媒Aの量が、溶媒Bと溶媒Cとの均一
    混合液に混和可能な溶媒Aの最大量以下である請求項1
    〜7のいずれか1項記載の製法。
  9. 【請求項9】 ポリマー溶液が、溶媒Bを含有する請求
    項1〜8のいずれか1項記載の製法。
  10. 【請求項10】 ポリマー溶液における溶媒Bの含有率
    が、0.001〜50重量%である請求項9記載の製
    法。
  11. 【請求項11】 均一混合液が、乳化安定剤を含有する
    請求項1〜10のいずれか1項記載の製法。
  12. 【請求項12】 均一混合液が、溶媒Aを含有する請求
    項1〜11のいずれか1項記載の製法。
  13. 【請求項13】 乳化が0℃以下で行われる請求項12
    記載の製法。
  14. 【請求項14】 ポリマー溶液と均一混合液との重量比
    が、1:1〜1:1000の範囲内である請求項1〜1
    3のいずれか1項記載の製法。
  15. 【請求項15】 乳化後、得られたエマルションと別途
    用意した増量用溶媒とを混合することにより連続相を増
    量し、溶媒Aを除去する請求項1〜14のいずれか1項
    記載の製法。
  16. 【請求項16】 増量用溶媒が、溶媒B又は溶媒Bと溶
    媒Cの混合液である請求項15記載の製法。
  17. 【請求項17】 増量用溶媒に用いる溶媒Bが、水およ
    び炭素数1〜4の1価アルコールからなる群より選択さ
    れる1種または2種以上であり、増量用溶媒に用いる溶
    媒Cがグリセリンである請求項16記載の製法。
  18. 【請求項18】 増量用溶媒に用いる溶媒Bが、炭素数
    1〜4の1価アルコールであり、溶媒Aの除去が0℃以
    下で行われる請求項16記載の製法。
  19. 【請求項19】 増量後のエマルションの連続相におけ
    る溶媒Bの割合が、増量前と同一または増量前よりも大
    きい請求項15〜18のいずれか1項記載の製法。
  20. 【請求項20】 増量後の連続相の体積が増量前の2〜
    100倍である請求項15〜19のいずれか1項記載の
    製法。
  21. 【請求項21】 エマルションを加温し、溶媒Aを除去
    する請求項1〜12、14〜17、19、20のいずれ
    か1項記載の製法。
  22. 【請求項22】 加温条件が30〜70℃の範囲内であ
    る請求項21記載の製法。
  23. 【請求項23】 エマルションを減圧し、溶媒Aを除去
    する請求項1〜22のいずれか1項記載の製法。
  24. 【請求項24】 減圧後の圧力が5〜80kPaの範囲
    内である請求項23記載の製法。
  25. 【請求項25】 溶媒Aの除去が、密閉下に行われる請
    求項1〜24のいずれか1項記載の製法。
  26. 【請求項26】 請求項1〜25のいずれか1項記載の
    製法より得られたマイクロスフェアを水中に再分散して
    攪拌することを特徴とするマイクロスフェア中に残存す
    る溶媒Aの除去方法。
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WO2024119376A1 (zh) * 2022-12-06 2024-06-13 苏州大学 一种注射用阿哌沙班长效微球及其制备方法

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