JP2002012555A - インフルエンザ予防剤 - Google Patents

インフルエンザ予防剤

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JP2002012555A
JP2002012555A JP2001125659A JP2001125659A JP2002012555A JP 2002012555 A JP2002012555 A JP 2002012555A JP 2001125659 A JP2001125659 A JP 2001125659A JP 2001125659 A JP2001125659 A JP 2001125659A JP 2002012555 A JP2002012555 A JP 2002012555A
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誠 山下
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雄 本田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】シアリダーゼ阻害活性を有する化合物の薬理上
許容されるエステル誘導体を有効成分として含有するイ
ンフルエンザ予防剤を提供する。 【解決手段】シアリダーゼ阻害活性を有する化合物の薬
理上許容されるエステル誘導体を有効成分として含有
し、受容者の呼吸器へ投与されることを特徴とするイン
フルエンザの予防剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はシアリダーゼ阻害活
性を有する化合物の薬理上許容されるエステル誘導体を
有効成分として含有するインフルエンザの予防剤に関す
る。
【0002】
【従来の技術】インフルエンザはA型またはB型インフ
ルエンザウイルスの感染による流行性の急性呼吸器感染
症である。その臨床像は、上気道炎症状に加えて、突然
の高熱と全身倦怠感、頭痛、筋肉痛、関節痛などの全身
症状を特徴とし、数日の臥床を強いられるような重症感
を伴う。インフルエンザは毎年冬季に流行を繰り返し、
短期間に集中して数百万人規模で多数の患者が発生す
る。さらに65歳以上の高齢者、乳幼児、妊婦やさまざ
まな基礎疾患をもつハイリスク群がインフルエンザに罹
患すると、肺炎の合併や入院、死亡の危険が健康成人に
比べて数100倍も高くなる。したがってインフルエン
ザは、患者の健康被害の大きさとその流行規模から社会
・経済的にも大きな影響をもたらす重要な疾患として認
識されている。
【0003】インフルエンザの予防方法として従来より
インフルエンザワクチンが使用されている。しかし、ワ
クチン株と流行株とが異なったり、株が一致したとして
も不十分な生体防御惹起能であったり、必ずしもその予
防効果は満足いくものではない。さらに、ワクチン接種
者に発赤、腫脹、疼痛、発熱、頭痛、悪寒、倦怠感など
の副作用が起こることがある。また、卵アレルギーの人
には蕁麻疹、発疹、口腔のしびれ、アナフィラキシーシ
ョックなどの可能性もあり、ワクチンに安定剤として含
まれているゼラチンに対するゼラチンアレルギーも報告
されている。その他ギランバレー症候群、急性脳症、痙
攣、紫斑などの副作用報告もある。
【0004】また、アマンタジン、ザナミビル、オセル
タミビルのようなインフルエンザ治療剤として知られて
いる薬剤の予防投与も検討されているが、主な感染部位
である呼吸器(肺、気道、鼻腔及び口腔組織を含む)に
おいてウイルスの感染予防に充分な濃度が持続できない
ため、満足できる予防効果は得られていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】発明者らはインフルエ
ンザを予防する薬剤について長年にわたり鋭意検討を行
なった結果、シアリダーゼ阻害活性を有する化合物の薬
理上許容されるエステル誘導体は、受容者の呼吸器へ投
与されることにより、シアリダーゼ阻害活性を有する化
合物自体が同様に投与される場合と比較して、シアリダ
ーゼ阻害活性を有する化合物を受容者の呼吸器組織によ
り高濃度で長時間にわたり滞留させることができるた
め、インフルエンザの予防剤として極めて有効であるこ
とを見出し本発明を完成した。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、下記のインフ
ルエンザ予防剤及び予防方法である。 (1) シアリダーゼ阻害活性を有する化合物の薬理上
許容されるエステル誘導体を有効成分として含有し、受
容者の呼吸器へ投与されることを特徴とするインフルエ
ンザ予防剤。 (2) (1)において、シアリダーゼ阻害活性を有す
る化合物の薬理上許容されるエステル誘導体を受容者の
呼吸器へ投与されることによりシアリダーゼ阻害活性を
有する化合物を受容者の呼吸器組織に滞留させることを
特徴とするインフルエンザ予防剤。 (3) (1)または(2)から選ばれるいずれか1項
において、シアリダーゼ阻害活性を有する化合物が2−
デオキシ−2,3−ジデヒドロ−N−アセチルノイラミ
ン酸誘導体、シクロヘキセンカルボン酸誘導体、シクロ
ペンタンカルボン酸誘導体または、ピロリジン−2−カ
ルボン酸誘導体であるインフルエンザ予防剤。 (4) (1)または(2)から選ばれるいずれか1項
において、シアリダーゼ阻害活性を有する化合物が一般
【0007】
【化5】
【0008】[式中、Xはハロゲン原子、水酸基又は炭
素数1乃至4個のアルコキシ基を示す。]、一般式
【0009】
【化6】
【0010】[式中、Rb1はアミノまたはグアニジノ基
を示し、Rb2は炭素数1乃至12個のアルキル基を示
す。]、一般式
【0011】
【化7】
【0012】[式中、Rc1は水素原子または水酸基を示
し、Rc2は炭素数1乃至8個のアルキル基を示し、Rc3
はアミノまたはグアニジノ基を示す。]、または一般式
【0013】
【化8】
【0014】[式中、Rd1は炭素数2乃至5個のアルケ
ニル基を示し、Rd2及びRd3は炭素数1乃至6個のアル
キル基を示し、Rd4は炭素数1乃至3個のアルキル基を
示す。]で表される化合物であるインフルエンザ予防
剤。 (5) (1)乃至(4)から選ばれるいずれか1項に
おいて、薬理上許容されるエステル誘導体がシアリダー
ゼ阻害活性を有する化合物の水酸基における炭素数6乃
至20個のアルカノイルエステルまたはシアリダーゼ阻
害活性を有する化合物のカルボキシル基における炭素数
8乃至20個のアルキルエステルであるインフルエンザ
予防剤。 (6) シアリダーゼ阻害活性を有する化合物の薬理上
許容されるエステル誘導体を受容者の呼吸器へ投与する
ことを特徴とするインフルエンザ予防方法。 (7) (6)において、シアリダーゼ阻害活性を有す
る化合物の薬理上許容されるエステル誘導体を受容者の
呼吸器へ投与することにより、シアリダーゼ阻害活性を
有する化合物を受容者の呼吸器組織に滞留させることを
特徴とするインフルエンザ予防方法。
【0015】上記において、「シアリダーゼ阻害活性を
有する化合物」とは、インフルエンザウイルスが増殖す
るために必須の酵素であるシアリダーゼ(本酵素はノイ
ラミニダーゼとも呼ばれる)の機能を阻害する作用を有
する化合物をいい、例えば特表平5−507068号公
報、特開平10−330373号公報、PCT国際公開
WO97/06157号公報、WO98/11083号
公報等に記載された2−デオキシ−2,3−ジデヒドロ
−N−アセチルノイラミン酸誘導体;PCT国際公開W
O96/26933号公報等に記載されたシクロヘキセ
ンカルボン酸誘導体;PCT国際公開WO96/337
81号公報、WO97/47194号公報等に記載され
たシクロペンタンカルボン酸誘導体;PCT国際公開W
O99/54299号公報等に記載されたピロリジン−
2−カルボン酸誘導体を挙げることができる。これらの
うち好適には一般式(Ia)、(Ib)、(Ic)また
は(Id)で表される化合物である。
【0016】一般式(Ia)で表される化合物におい
て、Xの定義における「ハロゲン原子」としては、例え
ばフッ素、塩素、臭素またはヨウ素原子を挙げることが
でき、好適にはフッ素または塩素原子であり、もっとも
好適にはフッ素原子である。
【0017】Xの定義における「炭素数1乃至4個のア
ルコキシ基」としては、例えばメトキシ、エトキシ、プ
ロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、
s−ブトキシまたはt-ブトキシ基のような炭素数1乃
至4個の直鎖または分枝状アルコキシ基を挙げることが
でき、好適にはメトキシまたはエトキシ基であり、最も
好適にはメトキシ基である。
【0018】一般式(Ia)で表される化合物として好
適なものは、下記の(Ia−1)または(Ia−2)の
化合物である。 (Ia−1)Xが炭素数1乃至4個のアルコキシ基であ
る化合物。 (Ia−2)Xがメトキシ基である化合物。
【0019】一般式(Ib)で表される化合物におい
て、Rb1の定義において、好適にはアミノ基である。
【0020】Rb2の定義において、「炭素数1乃至12
個のアルキル基」としては、例えばメチル、エチル、プ
ロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチ
ル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、2−メチル
ブチル、ネオペンチル、1−エチルプロピル、ヘキシ
ル、イソヘキシル、4−メチルペンチル、3−メチルペ
ンチル、2−メチルペンチル、1−メチルペンチル、
3,3−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、
1,1−ジメチルブチル、1,2−ジメチルブチル、
1,3−ジメチルブチル、2,3−ジメチルブチル、2
−エチルブチル、ヘプチル、1−メチルヘキシル、2−
メチルヘキシル、3−メチルヘキシル、4−メチルヘキ
シル、5−メチルヘキシル、1−プロピルブチル、4,
4−ジメチルペンチル、オクチル、1−メチルヘプチ
ル、2−メチルヘプチル、3−メチルヘプチル、4−メ
チルヘプチル、5−メチルヘプチル、6−メチルヘプチ
ル、1−プロピルペンチル、2−エチルヘキシル、5,
5−ジメチルヘキシル、ノニル、3−メチルオクチル、
4−メチルオクチル、5−メチルオクチル、6−メチル
オクチル、1−プロピルヘキシル、2−エチルヘプチ
ル、6,6−ジメチルヘプチル、デシル、1−メチルノ
ニル、3−メチルノニル、8−メチルノニル、3−エチ
ルオクチル、3,7−ジメチルオクチル、7,7−ジメ
チルオクチル、ウンデシル、4,8−ジメチルノニル、
ドデシル基を挙げることができ、好適には1−エチルプ
ロピル基である。
【0021】一般式(Ib)で表される化合物として好
適なものは、下記の(Ib−1)または(Ib−2)の
化合物である。 (Ib−1)Rb1がアミノ基であり、Rb2が1−エチル
プロピル基である化合物。 (Ib−2)Rb1がグアニジノ基であり、Rb2が1−エ
チルプロピル基である化合物。
【0022】一般式(Ic)で表される化合物におい
て、Rc1の定義において、好適には水酸基である。
【0023】Rc2の定義において、「炭素数1乃至8個
のアルキル基」としては、例えばメチル、エチル、プロ
ピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチ
ル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、2−メチル
ブチル、ネオペンチル、1−エチルプロピル、ヘキシ
ル、イソヘキシル、4−メチルペンチル、3−メチルペ
ンチル、2−メチルペンチル、1−メチルペンチル、
3,3−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、
1,1−ジメチルブチル、1,2−ジメチルブチル、
1,3−ジメチルブチル、2,3−ジメチルブチル、2
−エチルブチル、ヘプチル、1−メチルヘキシル、2−
メチルヘキシル、3−メチルヘキシル、4−メチルヘキ
シル、5−メチルヘキシル、1−プロピルブチル、4,
4−ジメチルペンチル、オクチル、1−メチルヘプチ
ル、2−メチルヘプチル、3−メチルヘプチル、4−メ
チルヘプチル、5−メチルヘプチル、6−メチルヘプチ
ル、1−プロピルペンチル、2−エチルヘキシル、5,
5−ジメチルヘキシル基のような直鎖状若しくは分枝状
アルキル基またはシクロプロピル、シクロブチル、シク
ロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロ
オクチルのような炭素数3乃至8個の飽和環状アルキル
基を挙げることができ、好適には1−エチルプロピル基
である。
【0024】Rc3の定義において、好適にはグアニジノ
基である。
【0025】一般式(Ic)で表される化合物は、好適
には、Rc1が水酸基であり、Rc2が1−エチルプロピル
基であり、Rc3がグアニジノ基である化合物(Ic−
1)である。
【0026】一般式(Id)で表される化合物におい
て、Rd1の定義における「炭素数2乃至5個のアルケニ
ル基」としては、例えばビニル、1−プロペニル、イソ
ブテニル、イソプロペニル、1−メチル−1−プロペニ
ル、1,3−ジメチル−1−プロペニル、1−ブテニ
ル、2−メチル−1−ブテニル、2−ブテニル、1−エ
チル−1−プロペニル基を挙げることができ、好適には
シス−1−プロペニル、トランス−1−プロペニル、イ
ソブテニル、ビニル基であり、更に好適にはシス−1−
プロペニル、ビニル基であり、最も好適にはシス−1−
プロペニル基である。
【0027】Rd2及びRd3の定義における「炭素数1乃
至6個のアルキル基」としては、例えばメチル、エチ
ル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s
−ブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、2−
メチルブチル、ネオペンチル、1−エチルプロピル、ヘ
キシル、イソヘキシル、4−メチルペンチル、3−メチ
ルペンチル、2−メチルペンチル、1−メチルペンチ
ル、3,3−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチ
ル、1,1−ジメチルブチル、1,2−ジメチルブチ
ル、1,3−ジメチルブチル、2,3−ジメチルブチ
ル、2−エチルブチル基のような直鎖状若しくは分枝状
アルキル基を挙げることができ、好適にはメチル、エチ
ルまたはプロピル基である。
【0028】Rd4の定義における「炭素数1乃至3個の
アルキル基」としては、メチル、エチル、プロピル、イ
ソプロピル基を挙げることができ、最も好適にはメチル
基である。
【0029】一般式(Id)で表される化合物は、好適
には、Rd1がシス−1−プロペニル基であり、Rd2がメ
チル基であり、Rd3がプロピル基であり、Rd4がメチル
基である化合物(Id−1)である。化合物(Id−
1)において、Rd2及びRd3が結合する炭素原子の立体
配置がS配置である化合物はABT−675として知ら
れる。
【0030】「薬理上許容されるエステル誘導体」と
は、ヒトまたは動物体内で加水分解等の化学的若しくは
生物学的方法により開裂しシアリダーゼ阻害活性を有す
る化合物を生成するように該化合物の水酸基またはカル
ボキシル基が保護されたエステル誘導体(いわゆる「エ
ステル型プロドラッグ」)をいい、そのようなエステル
誘導体か否かは、ラットやマウスのような実験動物に経
口、点鼻、経鼻、経肺、静脈注射等により投与し、その
後の動物の体液を調べ、シアリダーゼ阻害活性を有する
化合物を検出できることにより決定できる。
【0031】そのような薬理上許容されるエステル誘導
体としては、水酸基が脂肪族又は芳香族アシル基で修飾
されたエステル誘導体及びカルボキシル基が保護された
エステル誘導体を挙げることができる。
【0032】脂肪族アシル基としては、例えば、アセチ
ル、プロピオニル、ブタノイル、2-メチルプロピオニ
ル、2,2−ジメチルプロピオニル(ピバロイル)、ペ
ンタノイル、イソペンタノイル、2−メチルブタノイ
ル、ネオペンタノイル、ヘキサノイル、イソヘキサノイ
ル、4−メチルペンタノイル、3−メチルペンタノイ
ル、2−メチルペンタノイル、3,3−ジメチルブタノ
イル、2,2−ジメチルブタノイル、2,3−ジメチル
ブタノイル、2−エチルブタノイル、ヘプタノイル、2
−メチルヘキサノイル、3−メチルヘキサノイル、4−
メチルヘキサノイル、5−メチルヘキサノイル、4,4
−ジメチルペンタノイル、オクタノイル、2−メチルヘ
プタノイル、3−メチルヘプタノイル、4−メチルヘプ
タノイル、5−メチルヘプタノイル、6−メチルヘプタ
ノイル、2−エチルヘキサノイル、5,5−ジメチルヘ
キサノイル、ノナノイル、3−メチルオクタノイル、4
−メチルオクタノイル、5−メチルオクタノイル、6−
メチルオクタノイル、2−エチルヘプタノイル、6,6
−ジメチルヘプタノイル、デカノイル、3−メチルノナ
ノイル、8−メチルノナノイル、3−エチルオクタノイ
ル、3,7−ジメチルオクタノイル、7,7−ジメチル
オクタノイル、ウンデカノイル、4,8−ジメチルノナ
ノイル、ドデカノイル、トリデカノイル、テトラデカノ
イル、ペンタデカノイル、3,7,11−トリメチルド
デカノイル、ヘキサデカノイル、4,8,12−トリメ
チルトリデカノイル、1−メチルペンタデカノイル、1
4−メチルペンタデカノイル、13,13−ジメチルテ
トラデカノイル、ヘプタデカノイル、15−メチルヘキ
サデカノイル、オクタデカノイル、1−メチルヘプタデ
カノイル、ノナデカノイルまたはアイコサノイル基のよ
うな炭素数2乃至20個のアルカノイル基;メトキシカ
ルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニ
ル、イソプロポキシカルボニル、ブチルオキシカルボニ
ル、イソブチルオキシカルボニル、s−ブチルオキシカ
ルボニル、t−ブチルオキシカルボニル、ペンチルオキ
シカルボニル、ヘキシルオキシカルボニル、ヘプチルオ
キシカルボニル、オクチルオキシカルボニル、ノニルオ
キシカルボニル、デシルオキシカルボニル、ウンデシル
オキシカルボニル、ドデシルオキシカルボニル、トリデ
シルオキシカルボニル、テトラデシルオキシカルボニ
ル、ペンタデシルオキシカルボニル、ヘキサデシルオキ
シカルボニル、ヘプタデシルオキシカルボニル、オクタ
デシルオキシカルボニルまたはノナデシルオキシカルボ
ニル基のような炭素数2乃至20個のアルコキシカルボ
ニル基を挙げることができる。これら脂肪族アシル基の
アルキル部分は、3乃至7員環状構造及び2又は3重結
合を有していてもよい。
【0033】芳香族アシル基としては、例えば、ベンゾ
イル、α−ナフトイル、β−ナフトイルのような炭素数
7乃至11個のアリールカルボニル基;2−フェニルア
セチル、3−フェニルプロピオニル、4−フェニルブチ
リル、5−フェニルペンタノイル、6−フェニルヘキサ
ノイル、7−フェニルヘプタノイル、8−フェニルオク
タノイル、9−フェニルノナノイル、10−フェニルデ
カノイル、10−ナフチルデカノイル基のような炭素数
8乃至20個のアラルキルカルボニル基を挙げることが
できる。これら芳香族アシル基のアリ−ル部分は、炭素
数1乃至4個のアルキル基、ハロゲン原子または炭素数
1乃至4個のアルコキシ基で置換されていてもよい。
【0034】カルボキシル基が保護されたエステル誘導
体のエステル残基としては、例えばメチル、エチル、プ
ロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチ
ル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、2−メチル
ブチル、ネオペンチル、1−エチルプロピル、ヘキシ
ル、イソヘキシル、4−メチルペンチル、3−メチルペ
ンチル、2−メチルペンチル、1−メチルペンチル、
3,3−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、
1,1−ジメチルブチル、1,2−ジメチルブチル、
1,3−ジメチルブチル、2,3−ジメチルブチル、2
−エチルブチル、ヘプチル、1−メチルヘキシル、2−
メチルヘキシル、3−メチルヘキシル、4−メチルヘキ
シル、5−メチルヘキシル、1−プロピルブチル、4,
4−ジメチルペンチル、オクチル、1−メチルヘプチ
ル、2−メチルヘプチル、3−メチルヘプチル、4−メ
チルヘプチル、5−メチルヘプチル、6−メチルヘプチ
ル、1−プロピルペンチル、2−エチルヘキシル、5,
5−ジメチルヘキシル、ノニル、3−メチルオクチル、
4−メチルオクチル、5−メチルオクチル、6−メチル
オクチル、1−プロピルヘキシル、2−エチルヘプチ
ル、6,6−ジメチルヘプチル、デシル、1−メチルノ
ニル、3−メチルノニル、8−メチルノニル、3−エチ
ルオクチル、3,7−ジメチルオクチル、7,7−ジメ
チルオクチル、ウンデシル、4,8−ジメチルノニル、
ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、
3,7,11−トリメチルドデシル、ヘキサデシル、
4,8,12−トリメチルトリデシル、1−メチルペン
タデシル、14−メチルペンタデシル、13,13−ジ
メチルテトラデシル、ヘプタデシル、15−メチルヘキ
サデシル、オクタデシル、1−メチルヘプタデシル、ノ
ナデシルまたはアイコシル基のような炭素数1乃至20
個のアルキル基;前記のアルキル基において1又は2個
の2重結合を有する炭素数2乃至20個のアルケニル
基;前記のアルキル基において1又は2個の3重結合を
有する炭素数2乃至20個のアルキニル基;ベンジル、
フェネチル、3−フェニルプロピル、4−フェニルブチ
ル、5−フェニルペンチル、6−フェニルヘキシル、8
−フェニルオクチル、10−フェニルデシルまたは10
−ナフチルデシル基のような炭素数7乃至20個のアラ
ルキル基;アセチルオキシメチル、プロピオニルオキシ
メチル、ブチリルオキシメチル、ペンタノイルオキシメ
チル、ヘキサノイルオキシメチル、オクタノイルオキシ
メチル、デカノイルオキシメチル、ドデカノイルオキシ
メチル、テトラデカノイルオキシメチル、ヘキサデカノ
イルオキシメチル、オクタデカノイルオキシメチル、1
−(アセチルオキシ)エチル、1−(プロピオニルオキ
シ)エチル、1−(ブチリルオキシ)エチル、1−(ペ
ンタノイルオキシ)エチル、1−(ヘキサノイルオキ
シ)エチル、1−(オクタノイルオキシ)エチル、1−
(デカノイルオキシ)エチル、1−(ドデカノイルオキ
シ)エチル、1−(テトラデカノイルオキシ)エチル、
1−(ヘキサデカノイルオキシ)エチル、1−(オクタ
デカノイルオキシ)エチル基のような1−(炭素数2乃
至20個のアルカノイルオキシ)炭素数1乃至3個のア
ルキル基;メトキシカルボニルオキシメチル、エトキシ
カルボニルオキシメチル、プロピルオキシカルボニルオ
キシメチル、イソプロピルオキシカルボニルオキシメチ
ル、ブチルオキシカルボニルオキシメチル、イソブチル
オキシカルボニルオキシメチル、s−ブチルオキシカル
ボニルオキシメチル、t−ブチルオキシカルボニルオキ
シメチル、ペンチルオキシカルボニルオキシメチル、2
−ペンチルオキシカルボニルオキシメチル、3−ペンチ
ルオキシカルボニルオキシメチル、イソペンチルオキシ
カルボニルオキシメチル、ネオペンチルオキシカルボニ
ルオキシメチル、シクロペンチルオキシカルボニルオキ
シメチル、ヘキシルオキシカルボニルオキシメチル、2
−ヘキシルオキシカルボニルオキシメチル、3−ヘキシ
ルオキシカルボニルオキシメチル、イソヘキシルオキシ
カルボニルオキシメチル、シクロヘキシルオキシカルボ
ニルオキシメチル、ヘプチルオキシカルボニルオキシメ
チル、オクチルオキシカルボニルオキシメチル、デシル
オキシカルボニルオキシメチル、ドデシルオキシカルボ
ニルオキシメチル、テトラデシルオキシカルボニルオキ
シメチル、ヘキサデシルオキシカルボニルオキシメチ
ル、オクタデシルオキシカルボニルオキシメチル、1−
(メトキシカルボニルオキシ)エチル、1−(エトキシ
カルボニルオキシ)エチル、1−(プロピルオキシカル
ボニルオキシ)エチル、1−(イソプロピルオキシカル
ボニルオキシ)エチル、1−(ブチルオキシカルボニル
オキシ)エチル、1−(イソブチルオキシカルボニルオ
キシ)エチル、1−(s−ブチルオキシカルボニルオキ
シ)エチル、1−(t−ブチルオキシカルボニルオキ
シ)エチル、1−(ペンチルオキシカルボニルオキシ)
エチル、1−(2−ペンチルオキシカルボニルオキシ)
エチル、1−(3−ペンチルオキシカルボニルオキシ)
エチル、1−(イソペンチルオキシカルボニルオキシ)
エチル、1−(ネオペンチルオキシカルボニルオキシ)
エチル、1−(シクロペンチルオキシカルボニルオキ
シ)エチル、1−(ヘキシルオキシカルボニルオキシ)
エチル、1−(2−ヘキシルオキシカルボニルオキシ)
エチル、1−(3−ヘキシルオキシカルボニルオキシ)
エチル、1−(イソヘキシルオキシカルボニルオキシ)
エチル、1−(シクロヘキシルオキシカルボニルオキ
シ)エチル、1−(ヘプチルオキシカルボニルオキシ)
エチル、1−(オクチルオキシカルボニルオキシ)エチ
ル、1−(デシルオキシカルボニルオキシ)エチル、1
−(ドデシルオキシカルボニルオキシ)エチル、1−
(テトラデシルオキシカルボニルオキシ)エチル、1−
(ヘキサデシルオキシカルボニルオキシ)エチル、1−
(オクタデシルオキシカルボニルオキシ)エチル基のよ
うな1−(炭素数1乃至20個のアルコキシカルボニル
オキシ)炭素数1乃至3個のアルキル基を挙げることが
できる。
【0035】水酸基におけるエステルは、好適には炭素
数6乃至20個のアルカノイル基であり、カルボキシル
基におけるエステルのうち好適なものは、炭素数8乃至
20個のアルキル基である。
【0036】「受容者の呼吸器へ投与される」とは、シ
アリダーゼ阻害作用を有する化合物の薬理上許容される
エステル誘導体を、例えば点鼻、経鼻、経肺または口腔
内投与等によって受容者の呼吸器組織(鼻腔、気道、
肺、口腔内等の組織)へ到達させることをいう。
【0037】受容者の呼吸器組織へ到達したシアリダー
ゼ阻害活性を有する化合物の薬理上許容されるエステル
誘導体は、例えば加水分解等の化学的若しくは生物学的
方法により速やかに分解され、シアリダーゼ阻害活性を
有する化合物に変換される。
【0038】「シアリダーゼ阻害活性を有する化合物を
受容者の呼吸器組織に滞留させる」とは、シアリダーゼ
阻害活性を有する化合物の薬理上許容されるエステル誘
導体を受容者の呼吸器へ投与したときの受容者の呼吸器
組織におけるシアリダーゼ阻害活性を有する化合物の濃
度が、シアリダーゼ阻害活性を有する化合物自体を同様
に投与したときの濃度と比較して、より高濃度で長時間
にわたり維持されることをいう。
【0039】シアリダーゼ阻害活性を有する化合物が一
般式(Ia)で表される場合、その薬理上許容されるエ
ステル誘導体は、好適には一般式(IIa)で表され
る。
【0040】一般式
【0041】
【化9】
【0042】[式中、R1及びR2は、同一又は異なっ
て、水素原子又は炭素数2乃至20個のアルカノイル基
を示し、X1はハロゲン原子、水酸基、炭素数1乃至4
個のアルコキシ基又は炭素数2乃至20個のアルカノイ
ルオキシ基を示し、R3は水素原子又は炭素数1乃至2
0個のアルキル基を示す。但し、R1及びR2が水素原子
であり、かつX1がハロゲン原子、水酸基又は炭素数1
乃至4個のアルコキシ基である場合、R3は炭素数8乃
至20個のアルキル基を示す。] 一般式(IIa)で表される化合物において、R1及び
2の定義における「炭素数2乃至20個のアルカノイ
ル基」およびX 1の定義における「炭素数2乃至20個
のアルカノイルオキシ基」のアルカノイル部分は、前述
の水酸基におけるエステルの定義におけるのと同様に、
炭素数2乃至20個の直鎖又は分枝鎖アルカノイル基で
あり、好適には炭素数6乃至20個のアルカノイル基で
あり、さらに好適には炭素数6乃至18個のアルカノイ
ル基であり、より更に好適にはヘキサノイル、オクタノ
イル、デカノイル、ドデカノイル、テトラデカノイル、
ヘキサデカノイルまたはオクタデカノイル基である。
【0043】X1の定義における「ハロゲン原子」及び
「炭素数1乃至4個のアルコキシ基」は前述のXの定義
におけるのと同意義である。
【0044】R3の定義における「炭素数1乃至20個
のアルキル基」は、前述のカルボキシル基におけるエス
テルの定義におけるのと同様に、炭素数1乃至20個の
直鎖又は分枝状アルキル基である。
【0045】上記のR3の「炭素数1乃至20個のアル
キル基」は、R1及びR2が水素原子であり、Xがハロゲ
ン原子、水酸基または炭素数1乃至4個のアルコキシ基
である場合、好適には炭素数8乃至20個のアルキル基
であり、更に好適には炭素数10乃至20個のアルキル
基であり、より更に好適にはデシル、ドデシル、テトラ
デシル、ヘキサデシルまたはオクタデシル基である。
【0046】また、R1またはR2が炭素数6乃至20個
のアルカノイル基である場合、R3は好適には水素原子
または炭素数1乃至4個のアルキル基であり、更に好適
には水素原子である。
【0047】一般式(IIa)で表される化合物として
好適なものは、下記の(IIa−A)または(IIa−
B)の化合物である。 (IIa−A)R1が炭素数6乃至20個のアルカノイ
ル基であり、R2が水素原子であり、X1がハロゲン原
子、水酸基または炭素数1乃至4個のアルコキシ基であ
り、R3が水素原子である化合物。 (IIa−B)R1及びR2が水素原子であり、X1がハ
ロゲン原子、水酸基または炭素数1乃至4個のアルコキ
シ基であり、R3が炭素数8乃至20個のアルキル基で
ある化合物。
【0048】上記の(IIa−A)の化合物において、
下記の(IIa−A−1)乃至(IIa−A−6)の化
合物は更に好適である。 (IIa−A−1)上記の(IIa−A)の化合物にお
いて、R1が炭素数6乃至18個のアルカノイル基であ
る化合物。 (IIa−A−2)上記の(IIa−A)の化合物にお
いて、R1がヘキサノイル、オクタノイル、デカノイ
ル、ドデカノイル、テトラデカノイル、ヘキサデカノイ
ルまたはオクタデカノイル基である化合物。 (IIa−A−3)上記の(IIa−A)の化合物にお
いて、X1が炭素数1乃至4個のアルコキシ基である化
合物。 (IIa−A−4)上記の(IIa−A)の化合物にお
いて、X1がメトキシ基である化合物。 (IIa−A−5)上記の(IIa−A)の化合物にお
いて、R1が炭素数6乃至18個のアルカノイル基であ
り、X1が炭素数1乃至4個のアルコキシ基である化合
物。 (IIa−A−6)上記の(IIa−A)の化合物にお
いて、R1がヘキサノイル、オクタノイル、デカノイ
ル、ドデカノイル、テトラデカノイル、ヘキサデカノイ
ルまたはオクタデカノイル基であり、X1がメトキシ基
である化合物。
【0049】上記の(IIa−B)の化合物において、
下記の(IIa−B−1)乃至(IIa−B−6)の化
合物は更に好適である。 (IIa−B−1)上記の(IIa−B)の化合物にお
いて、R3が炭素数10乃至20個のアルキル基である
化合物。 (IIa−B−2)上記の(IIa−B)の化合物にお
いて、R3がデシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサ
デシルまたはオクタデシル基である化合物。 (IIa−B−3)上記の(IIa−B)の化合物にお
いて、X1が炭素数1乃至4個のアルコキシ基である化
合物。 (IIa−B−4)上記の(IIa−B)の化合物にお
いて、X1がメトキシ基である化合物。 (IIa−B−5)上記の(IIa−B)の化合物にお
いて、R3が炭素数10乃至20個のアルキル基であ
り、Xが炭素数1乃至4個のアルコキシ基である化合
物。 (IIa−B−6)上記の(IIa−B)の化合物にお
いて、R3がデシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサ
デシルまたはオクタデシル基であり、X1がメトキシ基
である化合物。
【0050】シアリダーゼ阻害活性を有する化合物が一
般式(Ib)で表される場合、その薬理上許容されるエ
ステル誘導体は、好適には一般式(IIb)で表され
る。
【0051】一般式
【0052】
【化10】
【0053】[式中、Rb1はアミノまたはグアニジノ基
を示し、Rb2は炭素数1乃至12個のアルキル基を示
し、R4は炭素数8乃至20個のアルキル基を示す。] Rb1及びRb2は、好適には前述の化合物(Ib)におけ
るのと同様である。
【0054】R4の炭素数8乃至20個のアルキル基
は、前述の化合物(IIa)のR3におけるのと同様で
あり、好適には炭素数10乃至20個のアルキル基であ
り、更に好適にはデシル、ドデシル、テトラデシル、ヘ
キサデシルまたはオクタデシル基である。
【0055】シアリダーゼ阻害活性を有する化合物が一
般式(Ic)で表される場合、その薬理上許容されるエ
ステル誘導体は、好適には一般式(IIc)で表され
る。
【0056】一般式
【0057】
【化11】
【0058】[式中、Rc1は水素原子または水酸基を示
し、Rc2は炭素数1乃至8個のアルキル基を示し、Rc3
はアミノまたはグアニジノ基を示し、R5は炭素数8乃
至20個のアルキル基を示す。] Rc1、Rc2及びRc3は、好適には前述の化合物(Ic)
におけるのと同様である。
【0059】R5の炭素数8乃至20個のアルキル基
は、前述の化合物(IIa)のR3におけるのと同様で
あり、好適には炭素数10乃至20個のアルキル基であ
り、更に好適にはデシル、ドデシル、テトラデシル、ヘ
キサデシルまたはオクタデシル基である。
【0060】シアリダーゼ阻害活性を有する化合物が一
般式(Id)で表される場合、その薬理上許容されるエ
ステル誘導体は、好適には一般式(IId)で表され
る。
【0061】一般式
【0062】
【化12】
【0063】[式中、Rd1は炭素数2乃至5個のアルケ
ニル基を示し、Rd2及びRd3は炭素数1乃至6個のアル
キル基を示し、Rd4は炭素数1乃至3個のアルキル基を
示し、R6は炭素数8乃至20個のアルキル基を示
す。] Rd1、Rd2、Rd3及びRd4は、好適には前述の化合物
(Id)におけるのと同様である。
【0064】R6の炭素数8乃至20個のアルキル基
は、前述の化合物(IIa)のR3におけるのと同様で
あり、好適には炭素数10乃至20個のアルキル基であ
り、更に好適にはデシル、ドデシル、テトラデシル、ヘ
キサデシルまたはオクタデシル基である。
【0065】一般式(IIa)、(IIb)、(II
c)及び(IId)で表される化合物は分子内にアミノ
基またはグアニジノ基を有し、また、一般式(IIa)
で表される化合物はR3が水素原子のときカルボキシル
基を有するので、薬理的に毒性を示さない酸又は塩基と
結合して薬理上許容される塩を形成することができる。
【0066】「薬理上許容される塩」としては、例えば
フッ化水素酸塩、塩化水素酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化
水素酸塩のようなハロゲン化水素酸塩;硝酸塩、過塩素
酸塩、硫酸塩、りん酸塩のような無機酸塩;メタンスル
ホン酸塩、エタンスルホン酸塩、トリフルオロメタンス
ルホン酸塩のようなアルカンスルホン酸塩;ベンゼンス
ルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩のようなアリー
ルスルホン酸塩;酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、クエン
酸塩、酒石酸塩、しゅう酸塩、マレイン酸塩のような有
機酸塩;グリシン塩、リジン塩、アルギニン塩、オルニ
チン塩、グルタミン酸塩、アスパラギン酸塩のようなア
ミノ酸塩;リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩のよ
うなアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩の
ようなアルカリ土類金属塩;アルミニウム塩、鉄塩、亜
鉛塩、銅塩、ニッケル塩、コバルト塩のような金属塩;
アンモニウム塩、t−オクチルアミン塩、ジベンジルア
ミン塩、モルホリン塩、グルコサミン塩、エチレンジア
ミン塩、グアニジン塩、ジエチルアミン塩、トリエチル
アミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、プロカイン塩、
エタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、ピペラジ
ン塩、テトラメチルアンモニウム塩のような有機アミン
若しくは有機アンモニウム塩等を挙げることができ、好
適にはリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩のような
アルカリ金属塩;酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩のような
有機酸塩;または塩酸塩、硫酸塩のような無機酸塩であ
る。
【0067】一般式(IIa)、(IIb)、(II
c)及び(IId)で表される化合物は、大気中に放置
したり、水又は有機溶媒と混和することによって水又は
溶媒と結合し、水和物又は溶媒和物を形成する場合があ
る。
【0068】これらの薬理上許容される塩、水和物及び
溶媒和物も本発明の予防剤の有効成分に含まれる。
【0069】
【発明の実施の形態】一般式(Ia)、(Ib)、(I
c)及び(Id)で表される化合物及び一般式(II
a)、(IIb)、(IIc)及び(IId)で表され
る化合物又はその薬理上許容される塩は、特表平5−5
07068号公報、特開平10−330373号公報、
PCT国際公開WO97/06157号公報、WO98
/11083号公報;PCT国際公開WO96/269
33号公報;PCT国際公開WO96/33781号公
報、WO97/47194号公報;PCT国際公開WO
99/54299号公報等に記載された方法或いはそれ
らに準ずる方法によって製造することができる。
【0070】シアリダーゼ阻害活性を有する化合物のエ
ステル誘導体をインフルエンザの予防剤として使用する
場合には、それ自体あるいは適宜の薬理学的に許容され
る、賦形剤、希釈剤等と混合し、錠剤、カプセル剤、顆
粒剤、散剤、シロップ剤、軟膏剤、液剤、懸濁剤、エア
ゾール剤、トローチ剤等によって投与することができ
る。
【0071】これらの製剤は、賦形剤(例えば、乳糖、
白糖、ブドウ糖、マンニット、ソルビットのような糖
類;トウモロコシデンプン、馬鈴薯デンプン、α−デン
プン、デキストリン、カルボキシメチルデンプンのよう
なデンプン誘導体;結晶セルロース、低置換度ヒドロキ
シプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセル
ロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチ
ルセルロースカルシウム、内部架橋カルボキシメチルセ
ルロースナトリウムのようなセルロース誘導体;アラビ
アゴム;デキストラン;プルラン;軽質無水珪酸、合成
珪酸アルミニウム、メタ珪酸アルミン酸マグネシウムの
ような珪酸塩類;リン酸カルシウムのようなリン酸塩
類;炭酸カルシウムのような炭酸塩類;硫酸カルシウム
のような硫酸塩類等)、結合剤(例えば、前記の賦形
剤;ゼラチン;ポリビニルピロリドン;マグロゴール
等)、崩壊剤(例えば、前記の賦形剤;クロスカルメロ
ースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウ
ム、架橋ポリビニルピロリドンのような化学修飾され
た、デンプンまたはセルロース誘導体等)、滑沢剤(例
えば、タルク;ステアリン酸;ステアリン酸カルシウ
ム、ステアリン酸マグネシウムのようなステアリン酸金
属塩;コロイドシリカ;ビーガム;ビーズワックス、ゲ
イロウのようなワックス類;硼酸;グリコール;フマル
酸、アジピン酸のようなカルボン酸類;安息香酸ナトリ
ウムのようなカルボン酸ナトリウム塩;硫酸ナトリウム
のような硫酸類塩;ロイシン;ラウリル硫酸ナトリウ
ム、ラウリル硫酸マグネシウムのようなラウリル硫酸
塩;無水珪酸、珪酸水和物のような珪酸類;前記の賦形
剤におけるデンプン誘導体等)、安定剤(例えば、メチ
ルパラベン、プロピルパラベンのようなパラヒドロキシ
安息香酸エステル類;クロロブタノール、ベンジルアル
コール、フェニルエチルアルコールのようなアルコール
類;塩化ベンザルコニウム;フェノール、クレゾールの
ようなフェノール類;チメロサール;無水酢酸;ソルビ
ン酸等)、矯味矯臭剤(例えば、通常使用される、甘味
料、酸味料、香料等)、懸濁化剤(例えば、ポリソルベ
ート80、カルボキシメチルセルロースナトリウム
等)、希釈剤、製剤用溶剤(例えば、水、エタノール、
グリセリン等)等の添加物を用いて周知の方法で製造さ
れる。
【0072】本発明のインフルエンザ予防剤は、経口的
または非経口的に投与することができるが、シアリダー
ゼ阻害活性を有する化合物のエステル誘導体がインフル
エンザウイルスの主たる感染経路である受容者の呼吸器
組織(口腔、鼻腔、気道、肺の組織)へ送達され得る投
与方法、例えば点鼻、経鼻、経肺、口腔内投与等によっ
て投与することが好ましい。一般に、化合物は溶液また
は懸濁液の形あるいは乾燥粉末として投与しうる。溶液
および懸濁液は水性であり、例えば、水のみ(例えば、
無菌または発熱物質非含有水)、あるいは水および生理
学的に許容される補助溶媒(例えば、エタノール、プロ
ピレングリコール、ポリエチレングリコール、例えばP
EG 400)から一般に製造される。そのような溶液
または懸濁液は他の賦形剤、例えば防腐剤(例えば、塩
化ベンザルコニウム)、ポリソルベートのような可溶化
剤/表面活性剤(例えば、Tween 80、Span
80、塩化ベンザルコニウム)、緩衝剤、等張性調節剤
(例えば、塩化ナトリウム)、吸収促進剤および増粘剤
をさらに含有していてもよい。懸濁液は懸濁化剤(例え
ば、微結晶質セルロース、カルボキシメチルセルロース
ナトリウム)をさらに含有していてもよい。液剤または
懸濁剤は一般的な手段、例えばスポイト、ピペットまた
は噴霧器で鼻腔または口腔に直接施す。配合物は一回の
みの投与量または多数回投与量の形で提供しうる。後者
の場合、投与量計量手段を設けるのが望ましい。スポイ
トまたはピペットの場合、これは患者が適切な所定容量
の液剤または懸濁剤を投与することによってなしうる。
噴霧器の場合、これは、例えば、計量噴霧スプレーポン
プの手段によってなしうる。気道または肺への投与は、
化合物をクロロフルオロカーボン(CFC)、例えばジ
クロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタンま
たはジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素または
他の適当なガスのような適当な噴射剤と共に加圧パック
の形にされたエアゾール配合物によってなしうる。エア
ゾールはまたレシチンのような表面活性剤を含有してい
ると好都合である。薬剤の投与量は、計量バルブを備え
ることによって制御しうる。あるいは、化合物は、乾燥
粉末、例えば、ラクトース、デンプン、デンプン誘導体
(例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース)、およ
びポリビニルピロリジン(PVP)のような適当な粉末
基剤に化合物を混合した粉末混合物の形で提供してもよ
い。粉末担体が鼻腔内でゲルを形成すると好都合であ
る。粉末組成物は、例えばゼラチンでできた、カプセル
もしくはカートリッジ、またはブリスターパック(粉末
を吸入器によってこれらから投与しうる)のような単位
投与量形態で提供しうる。鼻内配合物を含めた気道また
は肺へ投与するための配合物では、化合物の粒子サイズ
は一般に小さく、例えば5ミクロン以下である。そのよ
うな粒子サイズは、超微粉化によるような当業界で公知
の方法によって得られる。望ましいときには、活性成分
を持続放出するようにしてある配合物を用いてもよい。
【0073】シアリダーゼ阻害活性を有する化合物のエ
ステル誘導体は、他の治療薬、例えばアマンタジン、リ
マンタジン、リバビリンのような抗インフルエンザ薬と
組み合わせて使用することもできる。そのような組み合
わせの個々の成分は、別々のまたは一緒にした医薬配合
物の形で、順次または同時に投与しうる。本発明の化合
物を、同じウイルスに対して活性な第二治療剤と共に用
いるとき、各化合物の投与量は、各化合物を単独で使用
するときに用いる投与量と同じでも異なっていてもよ
い。
【0074】本発明のインフルエンザ予防剤の投与は、
インフルエンザ流行シーズンに開始し、1週間に1乃至
7回、必要に応じて増減しながら行うことができる。即
ち、流行が身近に迫った場合や、集団生活を行っている
場、あるいは、不特定多数が集合する場、例えば保育
園、幼稚園、学校、会社、病院、老人ホーム、映画館、
図書館、コンサート会場、スポーツ観戦会場など、で生
活をし、働いたり、あるいは行ったりする場合には、投
与頻度を上げたり、事前に投与することが可能である。
投与頻度をあげるとは、例えば投与を1日1回にしたり
することであり、事前投与とは、感染の可能性のある行
動の前あるいは行動の後、インフルエンザ発症の前に投
与することである。
【0075】その使用量は使用される予防剤の種類、イ
ンフルエンザの流行の程度、投与される者の体重・年齢
等の状態により異なるが、例えば、化合物(II)を使
用する場合、1回当たり下限0.1mg(好適には1m
g)、上限1000mg(好適には、500mg)を成
人に対して、1週当り1乃至7回投与することが望まし
い。
【0076】本発明のインフルエンザ予防剤によるウイ
ルス感染予防効果は次のような方法で評価することがで
きる。
【0077】例えば、本発明の有効成分を、溶液、懸濁
液または粉末状態でヒト、マウス、ラット、フェレッ
ト、ブタ、トリなどの脊椎動物の呼吸器へ点鼻、経鼻、
経肺、吸入等の投与方法によって適量を投与する。その
直後から1ヶ月後の適当な時期に1回、インフルエンザ
ウイルスを吸入あるいは鼻への滴下により感染させる。
その後、インフルエンザ症状、例えば発熱、頭痛、全身
倦怠感、関節痛、筋肉痛、せき、痰などの呼吸器症状
や、咽喉ぬぐい液、鼻汁、肺洗浄液などに含まれるウイ
ルス量や、あるいは生死などを観察あるいは測定し、本
発明のインフルエンザ予防剤の予防効果を知ることがで
きる。
【0078】あるいは、インフルエンザ流行地域で、ヒ
トに本発明の有効成分を経口、直腸、鼻、局所(口内お
よび舌下を含む)、膣もしくは非経口(筋肉内、皮下お
よび静脈内を含む)または吸入により気道(鼻を通過す
ることを含む)へ適量を投与する群を作成する。一方で
本発明の化合物を投与しない一群を作成する。一定期間
後に、両群でのインフルエンザに感染しその症状を発症
した割合を統計学的に検証し、本発明のインフルエンザ
予防剤の予防効果を知ることもできる。
【0079】マウスを使い予防効果を検証する場合に
は、生理食塩水に溶解した本発明の有効成分を鼻腔内に
適量滴下することで、経鼻的に投与し、その直後から1
ヶ月後の適当な時期にインフルエンザウイルスを同様の
方法で経鼻的に感染させる。感染後、マウスの肺を取り
出し肺中のウイルス量を測定することにより、予防効果
を知ることができる。使用するインフルエンザウイルス
がマウスに対し致死的感染を起こす場合には、マウスの
生死を観察することにより予防効果を知ることができ
る。
【0080】なお、予防効果を評価する方法はここに記
したことに限定されない。
【0081】
【実施例】以下に製造例、製剤例及び試験例を示し、本
発明を更に詳細に説明する。 (製造例1) 5−アセタミド−4−グアニジノ−9−O−オクタノイ
ル−2、3、4、5−テトラデオキシ−7−O−メチル
−D−グリセロ−D−ガラクト−ノン−2−エノピラソ
ン酸水和物結晶
【0082】
【化13】
【0083】(1)特開平10−330373号公報の
実施例35(i)の化合物、5−アセタミド−4−
(N,N’−ビス−t−ブチロキシカルボニル)グアニ
ジノ-9-O-オクタノイル-2,3,4,5−テトラデオ
キシ−7−O−メチル−D−グリセロ−D−ガラクト−
ノン−2−エノピラノソン酸ジフェニルメチル(3.4
6g、4.1mmol)を塩化メチレン(27ml)、
トリフルオロ酢酸(14ml)に溶解し、室温で終夜攪
拌した。反応液を減圧下濃縮乾固した後、トルエン(5
ml)で3回共沸乾固した。得られた油状物を酢酸エチ
ル(10ml)に溶解した。一方、本溶液を飽和重曹水
(50ml)に注加し、20%炭酸ナトリウム水溶液を
加えpH8.5にした。室温で3時間攪拌した後、塩酸
(3ml)でpH5.0に調整し、室温で1時間攪拌し
た。更に氷冷下1時間撹拌後、結晶を吸引ろ過し、外温
50℃にて10時間真空乾燥した。空気中で1日間放置
し、標記目的化合物を結晶として得た。(0.97g、
51%) 赤外線吸収スペクトル(KBr)νmax cm-1: 3412, 2929, 2
856, 1676, 1401, 1320, 1285, 1205, 1137, 722.1 H核磁気共鳴スペクトル(400MHz, CD3OD)δppm: 5.88
(1H, d, J=2.5 Hz), 4.45 (3H, m), 4.27 (1H, dd, J=1
0.0 Hz, 10.0 Hz), 4.15 (1H, m), 3.47 (2H, m), 3.42
(3H, s), 2.37 (2H, t, J=7.4 Hz), 2.10 (3H, s), 1.
31 (2H, m), 1.20-1.40 (8H, m), 0.85-0.95 (3H, m).13 C核磁気共鳴スペクトル(100MHz, CD3OD)δppm: 176.
5, 173.7, 164.7, 158.9, 146.7, 108.7, 80.1, 78.0,
69.3, 66.8, 61.4, 52.4, 35.1, 32.8, 30.2,30.1, 26.
0, 23.7, 22.8, 14.4. (2)標記化合物は次の方法によっても得られた。
【0084】特開平10−330373号公報の実施例
35(ii)の化合物、5−アセタミド−4−グアニジ
ノ−9−O−オクタノイル−2、3、4、5−テトラデ
オキシ−7−O−メチル−D−グリセロ−D−ガラクト
−ノン−2−エノピラソン酸トリフルオロ酢酸塩(3.
0g、5.1mmol)を逆相カラムクロマトグラフィ
ー(ナカライテスク社製コスモシル75C18PREP、100
g)に付し、メタノール−水(0:1、1:1、2:
1)を用いてメタノール含量を上げながら溶出させた。
目的物を含む分画を減圧下濃縮し、析出した結晶を吸引
ろ過し、減圧下乾燥した。空気中で1日間放置し、標記
目的化合物を結晶として得た(1.2g、49%)。な
お、得られた化合物の物性データは上記(1)で得られ
たものと完全に一致した。 (製造例2) (3R,4R,5S)−4−アセタミド−5−アミノ−
3−(1−エチルプロポキシ)−1−シクロヘキセン−
1−カルボン酸テトラデカン
【0085】
【化14】
【0086】(1)(3R,4R,5S)−4−アセタ
ミド−5−N−t−ブトキシカルボニルアミノ−3−
(1−エチルプロポキシ)−1−シクロヘキセン−1−
カルボン酸エチル (3R,4R,5S)−4−アセタミド−5−アミノ−
3−(1−エチルプロポキシ)−1−シクロヘキセン−
1−カルボン酸エチル(GS4104)(WO96/2
6933号公報に記載された化合物)(600mg、
1.92mmol)を、ジメチルホルムアミド(3m
L)に溶解し、窒素雰囲気下、ジ−t−ブチルジカーボ
ネート(440mg、2.02mmol)を加え、氷冷
下、トリエチルアミン(294μL、2.11mmo
l)を加え、0℃で1時間攪拌した。
【0087】反応液に酢酸エチル(30mL)を加え、
さらに飽和塩化アンモニウム水(10mL)を加えて分
液した。得られた有機相を分離し、飽和食塩水(10m
L)、次いで水道水(10mLX2)で洗浄し、無水硫
酸ナトリウムで乾燥した後、減圧下、溶剤を留去して標
記目的化合物(800mg、収率99%)を白色アモル
ファスとして得た。
【0088】赤外線吸収スペクトル(CHCl3)νmax: 369
2, 3607, 3434, 2981, 2938, 2878,1811, 1750, 1705,
1602, 1511, 1505, 1458, 1393, 1369, 1321 cm-1;1 H核磁気共鳴スペクトル(400 MHz, CDCl3)δppm: 0.8
8 (3H, t, J = 7.3 Hz), 0.90 (3H, t, J = 7.3 Hz),
1.29 (3H, t, J = 7.3 Hz), 1.42 (9H, s), 1.46-1.56
(4H, m), 1.98 (3H, s), 2.25-2.33 (1H, m), 2.75 (1
H, dd, J = 17.6,5.9 Hz), 3.33-3.38 (1H, m), 3.76-
3.84 (1H, m), 3.94-3.97 (1H, m), 4.04-4.11 (1H,
m), 4.17-4.25 (2H, m), 5.10 (1H, d, J = 9.8 Hz),
5.76 (1H, d,J = 9.8 Hz), 6.79 (1H, s); 質量分析スペクトル(FAB)m/e: 413 ([M+H]+). (2)(3R,4R,5S)−4−アセタミド−5−N
−t−ブトキシカルボニルアミノ−3−(1−エチルプ
ロポキシ)−1−シクロヘキセン−1−カルボン酸カリ
ウム塩 製造例2(1)で製造した(3R,4R,5S)−4−
アセタミド−5−N−t−ブトキシカルボニルアミノ−
3−(1−エチルプロポキシ)−1−シクロヘキセン−
1−カルボン酸エチル(790mg、1.92mmo
l)をメタノール(5mL)に溶解し、水酸化カリウム
水溶液(6N、0.5mL、3mmol)を加え、40
℃で1時間攪拌した。
【0089】減圧下、溶剤を留去して、粗製の標記目的
化合物を得た。これを以下の反応に用いた。
【0090】1H核磁気共鳴スペクトル(400 MHz, D2O)
δppm: 0.71 (3H, t, J = 7.3 Hz),0.77 (3H, t, J =
7.3 Hz), 1.30 (9H, s), 1.26-1.37 (2H, m), 1.38-1.4
8 (2H, m), 1.89 (3H, s), 2.10-2.18 (1H, m), 2.75
(1H, dd, J = 17.6, 4.9 Hz),3.37-3.42 (1H, m), 3.55
-3.62 (1H, m), 3.63-3.70 (1H, m), 4.10-4.15 (1H,
m), 6.29 (1H, s). (3)(3R,4R,5S)−4−アセタミド−5−N
−t−ブトキシカルボニルアミノ−3−(1−エチルプ
ロポキシ)−1−シクロヘキセン−1−カルボン酸テト
ラデカン 製造例2(2)で製造した(3R,4R,5S)−4−
アセタミド−5−N−t−ブトキシカルボニルアミノ−
3−(1−エチルプロポキシ)−1−シクロヘキセン−
1−カルボン酸カリウム塩(400mg、0.946m
mol)をジメチルホルムアミド(3mL)に溶解し、
1−ブロモテトラデカン(1.12mL、3.70mm
ol)を加え、50℃で3時間攪拌した。
【0091】減圧下、溶剤を留去して、粗製の標記目的
化合物を得た。
【0092】得られた粗製の標記目的化合物をシリカゲ
ルカラムクロマトグラフィ−(ヘキサン:酢酸エチル、
4:1−2:1、v/v)を用いて精製し、標記目的化
合物(430mg、収率78%)を白色オイルとして得
た。
【0093】赤外線吸収スペクトル(CHCl3) νmax: 34
34, 2963, 2928, 2872, 2855, 1705, 1525, 1511, 150
3, 1465, 1438, 1393, 1368, 1322 cm-1;1 H核磁気共鳴スペクトル(400 MHz, CDCl3)δppm: 0.8
8 (3H, t, J = 7.3 Hz), 0.90 (3H, t, J = 7.3 Hz),
1.25-1.38 (25H, m), 1.42 (9H, s), 1.46-1.56(4H,
m), 1.60-1.68 (2H, m), 1.98 (3H, s), 2.25-2.33 (1
H, m), 2.75 (1H,dd, J = 17.6, 5.9 Hz), 3.33-3.38
(1H, m), 3.76-3.84 (1H, m), 3.94-3.97 (1H, m), 4.0
4-4.11 (1H, m), 4.17-4.25 (2H, m), 5.10 (1H, d, J
= 9.8 Hz),5.76 (1H, d, J = 9.8 Hz), 6.79 (1H, s); 質量分析スペクトル(FAB) m/e: 581 ([M+H]+); 高分解能質量分析スペクトル(FAB) Calcd for C33H61O6
N2 : 581.4530; found581.4526 ([M+H]+). (4)(3R,4R,5S)−4−アセタミド−5−ア
ミノ−3−(1−エチルプロポキシ)−1−シクロヘキ
セン−1−カルボン酸テトラデカントリフルオロ酢酸塩 製造例2(3)で製造した(3R,4R,5S)−4−
アセタミド−5−N−t−ブトキシカルボニルアミノ−
3−(1−エチルプロポキシ)−1−シクロヘキセン−
1−カルボン酸テトラデカン(430mg、0.740
mmol)を塩化メチレン(6mL)に溶解し、トリフ
ルオロ酢酸(2mL)を加え、2時間室温で攪拌した。
【0094】減圧下、溶剤を留去して、粗製の標記目的
化合物を得た。
【0095】得られた粗製の標記目的化合物を逆相クロ
マトグラフィー(コスモシル、水:メタノール、1:0
−1:1−1:8、v/v)を用いて精製し、標記目的
化合物(376mg、収率85%)を白色アモルファス
として得た。
【0096】赤外線吸収スペクトル(KBr) νmax: 327
9, 3060, 2960, 2926, 2874, 2854,2094, 1715, 1667,
1554, 1466, 1434, 1375, 1349, 1331, 1301 cm-1;1 H核磁気共鳴スペクトル(400 MHz, CD3OD) δppm: 0.
89 (3H, t, J = 7.3 Hz), 0.93 (3H, t, J = 7.3 Hz),
1.24-1.43 (25H, m), 1.46-1.60 (4H, m), 1.64-1.72
(2H, m), 2.03 (3H, s), 2.40-2.48 (1H, m), 2.92 (1
H, dd, J = 17.6,5.9 Hz), 3.40-3.46 (1H, m), 3.48-
3.55 (1H, m), 3.96 (1H, dd, J = 11.7,8.8 Hz), 4.13
-4.25 (3H, m), 6.85 (1H, s); 質量分析スペクトル(FAB) m/e: 481 ([M+H]+); 高分解能質量分析スペクトル(FAB) Calcd for C28H53O4
N2: 481.4006; found481.3990 ([M+H]+). (製造例3) (3R,4R,5S)−4−アセタミド−5−アミノ−
3−(1−エチルプロポキシ)−1−シクロヘキセン−
1−カルボン酸オクタデカン
【0097】
【化15】
【0098】(1)(3R,4R,5S)−4−アセタ
ミド−5−N−t−ブトキシカルボニルアミノ−3−
(1−エチルプロポキシ)−1−シクロヘキセン−1−
カルボン酸オクタデカン 製造例2(2)で製造した(3R,4R,5S)−4−
アセタミド−5−N−t−ブトキシカルボニルアミノ−
3−(1−エチルプロポキシ)−1−シクロヘキセン−
1−カルボン酸カリウム塩(400mg、0.946m
mol)をジメチルホルムアミド(3mL)に溶解し、
1−ブロモオクタデカン(1.26mL、3.70mm
ol)を加え、50℃で3時間攪拌した。
【0099】減圧下、溶剤を留去して、粗製の標記目的
化合物を得た。
【0100】得られた粗製の標記目的化合物をシリカゲ
ルカラムクロマトグラフィ−(ヘキサン:酢酸エチル、
4:1−2:1、v/v)を用いて精製し、標記目的化
合物(335mg、収率55%)を白色オイルとして得
た。
【0101】赤外線吸収スペクトル(CHCl3) νmax: 36
91, 3607, 3434, 2961, 2927, 2855, 1705, 1602, 151
1, 1505, 1465, 1438, 1393, 1368, 1322 cm-1;1 H核磁気共鳴スペクトル (400 MHz, CDCl3) δ0.88 (3
H, t, J = 7.3 Hz), 0.90 (3H, t, J = 7.3 Hz), 1.25-
1.38 (33H, m), 1.42 (9H, s), 1.46-1.56 (4H, m), 1.
60-1.68 (2H, m), 1.98 (3H, s), 2.25-2.33 (1H, m),
2.74 (1H, dd,J = 17.6, 5.9 Hz), 3.32-3.37 (1H, m),
3.75-3.83 (1H, m), 3.93-3.97 (1H,m), 4.04-4.11 (1
H, m), 4.10-4.18 (2H, m), 5.04 (1H, d, J = 8.8 H
z), 5.69(1H, d, J = 8.8 Hz), 6.79 (1H, s); 質量分析スペクトル(FAB) m/e: 637 ([M+H]+); 高分解能質量分析スペクトル(FAB) Calcd for C37H69O6
N2 : 637.5155; found637.5154 ([M+H]+). (2)(3R,4R,5S)−4−アセタミド−5−ア
ミノ−3−(1−エチルプロポキシ)−1−シクロヘキ
セン−1−カルボン酸オクタデカントリフルオロ酢酸塩 実施例3(1)で製造した(3R,4R,5S)−4−
アセタミド−5−N−t−ブトキシカルボニルアミノ−
3−(1−エチルプロポキシ)−1−シクロヘキセン−
1−カルボン酸オクタデカン(330mg、0.518
mmol)を塩化メチレン(6mL)に溶解し、トリフ
ルオロ酢酸(2mL)を加え、2時間室温で攪拌した。
【0102】減圧下、溶剤を留去して、粗製の標記目的
化合物を得た。
【0103】得られた粗製の標記目的化合物を逆相クロ
マトグラフィー(コスモシル、水:メタノール、1:0
−1:1−1:10、v/v)を用いて精製し、標記目
的化合物(246mg、収率73%)を白色アモルファ
スとして得た。
【0104】赤外線吸収スペクトル (KBr) νmax: 327
8, 3055, 2959, 2925, 2854, 1715,1668, 1556, 1466,
1434, 1375, 1350, 1331, 1301 cm-1;1 H核磁気共鳴スペクトル(400 MHz, CD3OD) δppm: 0.
89 (3H, t, J = 7.3 Hz), 0.93 (3H, t, J = 7.3 Hz),
1.24-1.43 (33H, m), 1.46-1.60 (4H, m), 1.64-1.72
(2H, m), 2.03 (3H, s), 2.39-2.48 (1H, m), 2.92 (1
H, dd, J = 17.6,5.2 Hz), 3.40-3.46 (1H, m), 3.48-
3.55 (1H, m), 3.96 (1H, dd, J = 11.7,8.8 Hz), 4.12
-4.25 (3H, m), 6.85 (1H, s); 質量分析スペクトル(FAB) m/e 537 ([M+H]+); 高分解能質量分析スペクトル(FAB) Calcd for C32H61O4
N2 : 537.4632; found537.4625 ([M+H]+). (製剤例1)液剤1 製造例1の化合物が10%(W/W)、塩化ベンザルコニ
ウムが0.04%(W/W)、フェネチルアルコールが
0.40%(W/W)、精製水が89.56%(W/W)とな
るように液剤を調整する。 (製剤例2)液剤2 製造例1の化合物が10%(W/W)、塩化ベンザルコニ
ウムが0.04%(W/W)、ポリエチレングリコール4
00が10%(W/W)、プロピレングリコールが30%
(W/W)、精製水が39.96%(W/W)となるように液
剤を調整する。 (製剤例3)散剤 製造例1の化合物が40%(W/W)、ラクトースが60
%(W/W)となるように散剤を調整する。 (製剤例4)エアゾール剤 製造例1の化合物が10%(W/W)、レシチンが0.5
%(W/W)、フロン11が34.5%(W/W)、フロン1
2が55%(W/W)となるようにエアゾール剤を調整す
る。 (試験例1) 5-アセタミド-4-グアニジノ-9-O-オクタノイル-
2、3、4、5-テトラデオキシ-7-メトキシ-D-グリ
セロ-D-ガラクト-ノン-2-エノピラソン酸(化合物
A)のインフルエンザ予防効果 5−6週令のBalb/Cマウス(メス)をクロロホル
ム/エーテル(1:1)で充満した麻酔瓶の中にいれ、
麻酔をかけた。麻酔マウスに生理食塩水に溶解した化合
物A(エステル誘導体)の溶液50μLを投与量が0.
3μmol/kgとなるよう鼻腔内に滴下投与した。そ
の投与から10日あるいは7日あるいは5日あるいは3
日あるいは4時間後に同様に麻酔したマウスにインフル
エンザウイルスA/PR/8/34株(1,500 plaque f
ormation units)を感染させた。感染後20日までマウ
スの生死を観察した。
【0105】図1はその結果を示したもので、横軸に感
染後の日数、縦軸に生存率を示した。黒四角は本発明化
合物の非投与マウスの生存率プロットを示し、黒三角は
10日前、黒丸は7日前、白三角は5日前、白四角は3日
前、白丸は4時間前にそれぞれ本発明の化合物Aを投与
したマウスの生存率プロットを示す。
【0106】結果として、非投与マウスが感染後6日ま
でに全数が死亡するのに対し、10日前投与マウス、7日
前投与マウスは全数が死亡するのに、それぞれ8日、11
日を要した。5日前、3日前、4時間前投与マウスは感染
後20日の時点でも生存マウスがおり、その時点での生存
率はそれぞれ、50%、83%、100%であった。こ
れらの結果は、化合物A(水酸基におけるエステル誘導
体)が予防的投与において優れた効果を示すことを証明
している。 (試験例2) 5-アセタミド-4-グアニジノ-9-O-オクタノイル-
2、3、4、5-テトラデオキシ-7-メトキシ-D-グリ
セロ-D-ガラクト-ノン-2-エノピラソン酸(化合物
A)を投与したマウスの肺組織における5-アセタミド-
4-グアニジノ-2、3、4、5-テトラデオキシ-7-メ
トキシ-D-グリセロ-D-ガラクト-ノン-2-エノピラソ
ン酸(化合物B)の濃度の持続効果 5−6週令のBalb/Cマウス(メス)をクロロホル
ム/エーテル(1:1)で充満した麻酔瓶の中にいれ、
麻酔をかけた。麻酔マウスに生理食塩水に溶解した化合
物A(エステル誘導体)の14C標識体を0.3μmol
/kgおよび1μmol/kg、あるいは化合物B(活
性体)の14C標識体を4μmol/kgとなるように各
々鼻腔内に滴下投与した。投与後マウスの肺組織および
上気道部を摘出し、液体シンチレーションカウンターお
よび薄層クロマトグラフィーを用いて、72時間までの化
合物Aおよび化合物Bの濃度を測定した。なお、化合物
A及び化合物Bの化学構造式は下記の通りであり、化合
物Aはシアリダーゼ阻害活性を有する化合物Bの9位水
酸基におけるエステル誘導体である。
【0107】図2及び図3はその結果を示したもので、
横軸に投与後の時間、縦軸に化合物濃度を示した。図2
において、黒四角は化合物A(エステル誘導体)を0.
3μmol/kg、黒三角は化合物A(エステル誘導
体)を1μmol/kg、白丸は化合物B(活性体)を
4μmol/kg、各々投与した後の肺組織中に検出さ
れる化合物B(活性体)の濃度推移を示す。図3におい
て、白四角は化合物A(エステル誘導体)を0.3μm
ol/kg、白三角は化合物A(エステル誘導体)を1
μmol/kg、各々投与した後の肺組織中に検出され
る化合物A(エステル誘導体)の濃度推移を示す。
【0108】結果として、化合物B(活性体:シアリダ
ーゼ活性を有する化合物)自体を投与すると、該化合物
Bは速やかに肺組織から消失した。これに対して、化合
物A(エステル誘導体)を投与すると、化合物A(エス
テル誘導体)は化合物B(活性体)へ速やかに変換され
るとともに、化合物B(活性体)の肺組織における濃度
が長期にわたり持続した。 (試験例3) インフルエンザ予防効果 5−6週令のBalb/Cマウス(メス)をクロロホル
ム/エーテル(1:1)で充満した麻酔瓶の中にいれ、
麻酔をかけた。麻酔マウスに生理食塩水に溶解した被検
化合物(化合物A乃至J)の溶液50μLを投与量が
1.0μmol/kgとなるよう鼻腔内に滴下投与し
た。その投与から7日後に同様に麻酔したマウスにイン
フルエンザウイルスA/PR/8/34株(500 plaque
formation units)を感染させた。感染後20日までマ
ウスの生死を観察した。
【0109】結果として、化合物B、G及びJ(活性
体)を投与したマウスは、それぞれ、11日目、13日
目、8日目に全例が死亡した。また、化合物I(エチル
エステル)を投与したマウスは9日目に全例が死亡し
た。これに対して、化合物A、C、D、E,F及びH
(長鎖エステル誘導体)を投与したマウスは感染後20日
の時点で、それぞれ、63%、25%、75%、50
%、50%、50%のマウスが生存した。これらの結果
は、カルボキシル基における長鎖エステル誘導体が予防
的投与において優れた効果を示すことを証明している。
【0110】
【化16】
【0111】
【発明の効果】シアリダーゼ阻害活性を有する化合物の
薬理上許容されるエステル誘導体は、受容者の呼吸器へ
投与されることにより、シアリダーゼ阻害活性を有する
化合物自体が同様に投与された場合と比較して、シアリ
ダーゼ阻害活性を有する化合物を受容者の呼吸器組織に
より高濃度で長時間にわたり滞留させることができるた
め、インフルエンザの予防剤として極めて有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は5-アセタミド-4-グアニジノ-9-O-オ
クタノイル-2、3、4、5-テトラデオキシ-7-メトキ
シ-D-グリセロ-D-ガラクト-ノン-2-エノピラソン酸
(化合物A)のマウスにおけるインフルエンザ予防効果
を示したものである。横軸はインフルエンザウイルス感
染後の日数を示し、縦軸は生存率を示す。黒四角は化合
物A(エステル誘導体)の非投与マウスの生存率プロッ
トを示し、黒三角は感染の10日前、黒丸は7日前、白三
角は5日前、白四角は3日前、白丸は4時間前にそれぞれ
化合物A(エステル誘導体)を投与したマウスの生存率
プロットを示す。
【図2】図2は5-アセタミド-4-グアニジノ-9-O-オ
クタノイル-2、3、4、5-テトラデオキシ-7-メトキ
シ-D-グリセロ-D-ガラクト-ノン-2-エノピラソン酸
(化合物A)を投与したマウスの肺組織における5-ア
セタミド-4-グアニジノ-2、3、4、5-テトラデオキ
シ-7-メトキシ-D-グリセロ-D-ガラクト-ノン-2-エ
ノピラソン酸(化合物B)の濃度の持続効果を示したも
のである。横軸に投与後の時間、縦軸に化合物濃度を示
した。黒四角は化合物A(エステル誘導体)を0.3μ
mol/kg、黒三角は化合物A(エステル誘導体)を
1μmol/kg、白丸は化合物B(活性体)を4μm
ol/kg、各々投与した後の肺組織中の化合物B(活
性体)の濃度推移を示す。
【図3】図3は5-アセタミド-4-グアニジノ-9-O-オ
クタノイル-2、3、4、5-テトラデオキシ-7-メトキ
シ-D-グリセロ-D-ガラクト-ノン-2-エノピラソン酸
(化合物A)を投与したマウスの肺組織における該化合
物Aの濃度推移を示したものである。横軸に投与後の時
間、縦軸に化合物濃度を示した。白四角は化合物A(エ
ステル誘導体)を0.3μmol/kg、白三角は化合
物A(エステル誘導体)を1μmol/kg、各々投与
した後の肺組織中の化合物A(エステル誘導体)の濃度
推移を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C07D 207/16 C07D 207/16 309/28 309/28 (72)発明者 小林 信博 東京都品川区広町1丁目2番58号 三共株 式会社内 Fターム(参考) 4C062 BB09 4C069 AA20 BB02 BB16 BB38 BD03 4C084 AA17 NA14 ZA592 ZB332 ZC412 ZC542 4C086 AA01 AA02 BA07 BC07 MA01 MA04 MA10 MA56 NA05 NA12 ZB33 ZC41 ZC54 4C206 AA01 AA02 GA02 GA36 HA31 KA01 MA01 MA04 MA13 MA14 MA76 NA12 ZB33 ZC41 ZC54

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】シアリダーゼ阻害活性を有する化合物の薬
    理上許容されるエステル誘導体を有効成分として含有
    し、受容者の呼吸器へ投与されることを特徴とするイン
    フルエンザ予防剤。
  2. 【請求項2】請求項1において、シアリダーゼ阻害活性
    を有する化合物の薬理上許容されるエステル誘導体を受
    容者の呼吸器へ投与されることにより、シアリダーゼ阻
    害活性を有する化合物を受容者の呼吸器組織に滞留させ
    ることを特徴とするインフルエンザ予防剤。
  3. 【請求項3】請求項1又は2から選ばれるいずれか1項
    において、シアリダーゼ阻害活性を有する化合物が2−
    デオキシ−2,3−ジデヒドロ−N−アセチルノイラミ
    ン酸誘導体、シクロヘキセンカルボン酸誘導体、シクロ
    ペンタンカルボン酸誘導体またはピロリジン−2−カル
    ボン酸誘導体であるインフルエンザ予防剤。
  4. 【請求項4】請求項1又は2から選ばれるいずれか1項
    において、シアリダーゼ阻害活性を有する化合物が一般
    式 【化1】 [式中、Xはハロゲン原子、水酸基又は炭素数1乃至4
    個のアルコキシ基を示す。]、 一般式 【化2】 [式中、Rb1はアミノまたはグアニジノ基を示し、Rb2
    は炭素数1乃至12個のアルキル基を示す。]、 一般式 【化3】 [式中、Rc1は水素原子または水酸基を示し、Rc2は炭
    素数1乃至8個のアルキル基を示し、Rc3はアミノまた
    はグアニジノ基を示す。]、 または一般式 【化4】 [式中、Rd1は炭素数2乃至5個のアルケニル基を示
    し、Rd2及びRd3は炭素数1乃至6個のアルキル基また
    は炭素数2乃至6個のアルケニル基を示し、Rd4は炭素
    数1乃至3個のアルキル基またはアリル基を示す。]で
    表される化合物であるインフルエンザ予防剤。
  5. 【請求項5】請求項1乃至4から選ばれるいずれか1項
    において、薬理上許容されるエステル誘導体がシアリダ
    ーゼ阻害活性を有する化合物の水酸基における炭素数6
    乃至20個のアルカノイルエステルまたはシアリダーゼ
    阻害活性を有する化合物のカルボキシル基における炭素
    数8乃至20個のアルキルエステルであるインフルエン
    ザ予防剤。
  6. 【請求項6】シアリダーゼ阻害活性を有する化合物の薬
    理上許容されるエステル誘導体を受容者の呼吸器へ投与
    することを特徴とするインフルエンザ予防方法。
  7. 【請求項7】請求項6において、シアリダーゼ阻害活性
    を有する化合物の薬理上許容されるエステル誘導体を受
    容者の呼吸器へ投与することにより、シアリダーゼ阻害
    活性を有する化合物を受容者の呼吸器組織に滞留させる
    ことを特徴とするインフルエンザ予防方法。
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