JP2002011501A - 亜鉛めっき鋼板の調質圧延方法 - Google Patents

亜鉛めっき鋼板の調質圧延方法

Info

Publication number
JP2002011501A
JP2002011501A JP2000196234A JP2000196234A JP2002011501A JP 2002011501 A JP2002011501 A JP 2002011501A JP 2000196234 A JP2000196234 A JP 2000196234A JP 2000196234 A JP2000196234 A JP 2000196234A JP 2002011501 A JP2002011501 A JP 2002011501A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
temper rolling
roll
water
peripheral surface
steel sheet
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000196234A
Other languages
English (en)
Inventor
Yukio Kimura
幸雄 木村
Masayasu Ueno
雅康 植野
Yasuhiro Sotani
保博 曽谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Engineering Corp
Original Assignee
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NKK Corp, Nippon Kokan Ltd filed Critical NKK Corp
Priority to JP2000196234A priority Critical patent/JP2002011501A/ja
Publication of JP2002011501A publication Critical patent/JP2002011501A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Metal Rolling (AREA)
  • Reduction Rolling/Reduction Stand/Operation Of Reduction Machine (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 表面粗度の大きなロールを使用して亜鉛めっ
き鋼板を調質圧延するにあたり、ロール周面への亜鉛の
凝着を抑制するとともに、ロール周面から凝着亜鉛を十
分に除去することができ、ロール寿命を延長させること
ができる亜鉛めっき鋼板の調質圧延方法を提供する。 【解決手段】 ロール周面の中心線平均粗さRaが2.
0〜6.0μmのワークロールを備えた調質圧延機を用
いて亜鉛めっき鋼板を調質圧延する方法であって、水溶
性成分が2〜15体積%濃度に水に希釈された調質圧延
液を5リットル/分以上の流量でワークロールおよび亜
鉛めっき鋼板のうち少なくとも一方に向けて供給し、ワ
ークロールの周面を覆うように前記調質圧延液の膜を形
成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高い表面粗度のワ
ークロールを用いた亜鉛めっき鋼板の調質圧延方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】近年、亜鉛めっき鋼板は自動車部材や建
築部材用の被プレス加工原板としてその需要が増加して
いる。このような用途に供される亜鉛めっき鋼板は、プ
レス加工において保油性の確保と型かじり防止のため
に、中心線平均粗さRaで1.0μm以上の表面粗度で
あることが必要とされている。
【0003】通常、亜鉛めっき鋼板への表面粗度の付与
は調質圧延によりなされている。亜鉛めっき鋼板にRa
値で1.0μm以上の表面粗度を付与するためには、R
a値で2.0〜6.0μm程度のより高いの表面粗度に
調整された圧延ロールが用いられる。このような圧延ロ
ールの周面は、ショットブラスト加工や放電加工、レー
ザー加工、電子ビーム加工等により表面加工されてい
る。
【0004】ところで、亜鉛めっき鋼板のめっき皮膜は
合金化溶融亜鉛めっき鋼板等の皮膜よりも柔らかく、か
つ融点が低いため、調質圧延時にワークロールと凝着を
起こしやすい。中心線平均粗さRaの値が2.0μm以
上の表面粗度の調質圧延ロールを用いた場合、凝着現象
はより生じやすくなる。
【0005】また、凝着により剥離した亜鉛粉はロール
周面に形成された凹凸部のうち主として凹部に集中して
付着するので目詰まりを生じやすい。このような目詰ま
りしたロールを使用し続けると、ロールに付着した亜鉛
粉が再度鋼板に付着して鋼板表面にマークが生じ、外観
を損なう場合がある。
【0006】第152回塑性加工シンポジウムテキスト
の第23頁〜第32頁(芝原ら)によれば、亜鉛めっき
鋼板とワークロールとの凝着を抑制するために、ワーク
ロールや亜鉛めっき鋼板の表面に冷却水を吹き付ける水
潤滑を行ない、さらに、ワークロールに亜鉛が凝着した
場合、この凝着亜鉛を除去するために、金属ブラシを備
えたロールポリッシャーによってロール周面のクリーニ
ングを調質圧延の合間に行なっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
水潤滑やロールポリッシャーを用いてロール周面をクリ
ーニングする方法を行なうと以下のような問題を生じ
る。
【0008】表面粗度の大きなロールでは凹部の窪みが
深いため、ロールポリッシャーを用いてクリーニングし
たとしても、ロール周面の凸部が優先的に摩耗され、付
着した亜鉛粉を凹部から掻き出す除去効果は著しく低
い。また、凹部内の亜鉛粉を十分に除去しようとしてポ
リッシャーのブラシの押し付け圧を高めたとしても、ロ
ール周面の凸部の摩耗が著しくなりロールの表面粗度が
大幅に低下してしまう。
【0009】一方、水潤滑する方法は、無潤滑の場合に
比べて亜鉛の目詰まりをある程度は抑制できる。しかし
ながら、表面粗度の大きなロールを用いた調質圧延にお
いては、目詰まりの抑制効果が小さくなる上、一旦亜鉛
粉が凝着するとそれを除去する効果がほとんど得られな
い。例えば圧延長として1500m程度の亜鉛めっき鋼
帯を調質圧延した場合には、ロール周面の目詰まりによ
り中心線平均粗さRaの値が20%程も低下し、亜鉛め
っき鋼帯の表面に中心線平均粗さRaで1.0μm以上
の表面粗度を付与できない。
【0010】本発明は上記の問題を解決するためになさ
れたものであって、その目的とするところは、表面粗度
の大きなロールを使用して亜鉛めっき鋼板を調質圧延す
るにあたり、ロール周面への亜鉛の凝着を抑制するとと
もに、ロール周面から凝着亜鉛を十分に除去することが
でき、ロール寿命を延長させることができる亜鉛めっき
鋼板の調質圧延方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに本発明は以下に述べる手段を用いている。
【0012】本発明の第1の手段は、ロール周面の中心
線平均粗さRaが2.0〜6.0μmのワークロールを
備えた調質圧延機を用いて亜鉛めっき鋼板を調質圧延す
る方法であって、水溶性成分が2〜15体積%濃度に水
に希釈された調質圧延液を5リットル/分以上の流量で
ワークロールおよび亜鉛めっき鋼板のうち少なくとも一
方に向けて供給し、ワークロールの周面を覆うように前
記調質圧延液の膜を形成することを特徴とするものであ
る。
【0013】本発明の第2の手段は、ロール周面の中心
線平均粗さRaが2.0〜6.0μmのワークロールを
備えた調質圧延機を用いて亜鉛めっき鋼板を調質圧延す
る方法であって、圧力10〜100MPaの水をワーク
ロールの周面に吹き付けることを特徴とするものであ
る。
【0014】本発明の第3の手段は、ロール周面の中心
線平均粗さRaが2.0〜6.0μmのワークロールを
備えた調質圧延機を用いて亜鉛めっき鋼板を調質圧延す
る方法であって、調質圧延機の入側にて水溶性成分が2
〜15体積%濃度に水に希釈された調質圧延液を5リッ
トル/分以上の流量でワークロールおよび亜鉛めっき鋼
板のうち少なくとも一方に向けて供給し、ワークロール
の周面を覆うように前記調質圧延液の膜を形成するとと
もに、調質圧延機の出側にて圧力10〜100MPaの
水をワークロールの周面に吹き付けることを特徴とする
ものである。
【0015】上記の第1〜第3の手段において、中心線
平均粗さRaはJIS B 0610に規定され、カッ
トオフ0.8mmの値である。
【0016】上記の第1〜第3の手段では、亜鉛めっき
鋼板表面に中心線平均粗さRaで1.0μm以上の表面
粗さを付与するために、ロールの表面粗度を中心線平均
粗さRaで2.0μm以上としている。
【0017】通常、溶融亜鉛めっき鋼板の製造ラインに
おける調質圧延機では2.0μm未満の表面粗度の小さ
なロールが用いられている。この場合には、ロール周面
への亜鉛粉の凝着は顕著なものとはならず、従来の水潤
滑を行なえばロール周面の目詰まりを生じさせることは
ない。また、たとえ亜鉛粉がロール周面に付着したとし
ても凹部の窪みが浅いので前述したロールポリッシャー
を用いれば亜鉛粉を十分に除去できる。これに対して、
本発明では、従来用いられているロールとは表面粗度が
異なり、Ra値で2.0μm以上の表面粗度の大きなロ
ールを用いる。一方、亜鉛めっき鋼板に必要な表面粗度
の上限はRa値で2.0μm程度であるため、これに応
じてロールの表面粗度を6.0μm以下に規定してい
る。
【0018】以下、まず本発明の第1の手段について説
明する。
【0019】第1の手段において、調質圧延液は、水溶
性成分が水に希釈されたものである。水溶性成分は防錆
剤と界面活性剤とを含有する。このような水溶性成分と
しては、市販の無機系または有機系のものを用いること
ができる。ここで、無機系の水溶性成分中には発癌性の
おそれがある物質が生成されていることが最近指摘され
ていることから、有機系の水溶性成分を用いることが好
ましい。
【0020】上記の防錆剤としては、1−ヒドロキシベ
ンゾトリアゾール、脂肪族ジカルボン酸または芳香族カ
ルボン酸等の塩(例えば水酸化ナトリウムとの塩)や有
機アミンの塩を例示できる。また、これらのうち2種以
上を組み合わせることもできる。上記の界面活性剤とし
ては、非イオン系界面活性剤であることが好ましく、ポ
リオキシエチレングリコールエーテルやポリオキシエチ
レングリコールアルキルフェノール等のポリオキシエチ
レン誘導体を例示できる。界面活性剤の含有量は、防錆
剤に対して0.2〜5質量%であることが好ましい。
【0021】上述した調質圧延液をワークロールおよび
亜鉛めっき鋼板にうち少なくとも一方に向けて供給し、
ロール周面を調質圧延液の膜で覆うことにより、亜鉛粉
の凝着を防ぐ保護膜として液膜が有効に働くことを本発
明者らは見出した。すなわち、調質圧延液は、界面活性
剤により濡れ性が向上されているので、ロール周面に披
着されるとロール周面を被覆する液膜が容易に形成され
る。このとき、液膜中の防錆剤の分子のロール周面への
吸着量が増加し、ロール周面が防錆剤により覆われる。
これにより亜鉛のロール周面への凝着を防ぐことができ
る。
【0022】ここで、調質圧延液の液膜をロール周面上
に形成させるにあたり、調質圧延液中の水溶性成分の濃
度と調質圧延液の供給流量との組み合わせがロール周面
への亜鉛の凝着性に大きな影響を及ぼすことが判明し
た。本発明者らが検討した結果、水溶性成分の濃度を2
〜15体積%とし、かつ調質圧延液の供給流量を5リッ
トル/分以上とすることによりロール周面への亜鉛凝着
を有効に防止できる液膜をロール周面上に形成できるこ
とが判明した。
【0023】第1の手段において、水溶性成分の濃度を
2体積%以上に規定した理由は、2体積%未満の濃度に
するとロール周面上への防錆剤の吸着がロールの全表面
に亘って十分になされず、局所的にロール周面を保護す
る効果が薄れるため、目詰まりを起こすおそれがあるか
らである。一方、15体積%を超える濃度にしても、目
詰まりの防止効果は飽和して頭打ちになる。このため、
このような高い濃度にすることは経済的に好ましいもの
ではない。
【0024】調質圧延液の供給流量を5リットル/分以
上に規定した理由は、この供給流量未満にするとロール
周面への液膜の形成が不十分となり、亜鉛の凝着に対し
てロール周面を保護できないおそれがあるからである。
一方、調質圧延液を過剰に供給することは、必要以上の
調質圧延液を消費することになり、経済的でないため、
調質圧延液の供給流量は50リットル/分以下であるこ
とが好ましい。
【0025】次に、本発明の第2の手段について説明す
る。
【0026】第2の手段では、水を圧力10〜100M
Paでワークロールの周面に吹き付ける。このような圧
力の水をロール周面に直接吹き付けることにより、ロー
ル周面の凹部に付着した亜鉛粉を剥離させて十分に除去
することができる。このとき、水圧を10MPa未満に
すると、ロール周面に凝着した亜鉛粉の除去効果が小さ
くなるおそれがある。一方、水圧が100MPaを超え
ると、ロール周面の凝着亜鉛を十分に除去できるもの
の、ロール周面の凸部が削り取られてロール周面の表面
粗度を低下させるおそれがある。
【0027】第2の手段において、ワークロール周面に
吹き付けられた水の一部はワークロールの回転に伴って
ロールバイトに巻き込まれるので、ロールと亜鉛めっき
鋼板との間の潤滑水として働く。これにより亜鉛めっき
鋼板とワークロールとの潤滑性をより高めることがで
き、亜鉛粉のロールへの凝着を抑制できる。
【0028】なお、一旦ワークロールに付着した亜鉛粉
は、ワークロールとともに転動するバックアップロール
の周面に付着し得る。バックアップロール周面に付着し
た亜鉛粉はそのまま付着している限り、亜鉛めっき鋼板
に悪影響を及ぼすことはない。しかし、圧延状態の変化
によってワークロール周面に再付着した場合、亜鉛めっ
き鋼板表面に押し込み疵を生じさせるおそれがある。こ
のため、バックアップロールの周面にも高圧水を吹き付
けることが好ましい。
【0029】次に本発明の第3の手段について説明す
る。
【0030】第3の手段は、前述の第1の手段と第2の
手段とを組み合わせたものである。この第3の手段で
は、調質圧延液をワークロールおよび亜鉛めっき鋼板の
うち少なくとも一方に向けて供給するとともに、高圧水
を調質圧延機の出側にてワークロール周面に吹き付け
る。ここで、高圧水のロール周面への吹き付けと調質圧
延液の供給とをともに同じ側で行なうと、ロール周面上
に調質圧延液の膜が形成されたとしても直ちに高圧水に
より液膜が吹き飛ばされてしまう。また、調質圧延機の
入側で高圧水を吹き付け、かつ出側にて調質圧延液を供
給する場合には、出側でロール面上に調質圧延液の膜が
形成されるものの、ロールが回転して液膜形成面が入側
に位置すると高圧水が吹き付けられ、形成された液膜が
吹き飛ばされてしまう。これらの理由から、調質圧延液
の供給を調質圧延機の入側で行ない、かつ高圧水の吹き
付けを調質圧延機の出側で行なう。これにより、ロール
はその周面上に調質圧延液の液膜が形成された状態で亜
鉛めっき鋼板と接触させることができ、かつワークロー
ルと亜鉛めっき鋼板が接触して亜鉛粉が凝着したとして
も、出側での高圧水の吹き付けにより直ちに凝着亜鉛を
除去できる。
【0031】なお、上記の水溶性調質圧延液としては、
前述の第1の手段で説明したのと同様のものを用いるこ
とができる。また、上記の水溶性調質圧延液の濃度、調
質圧延液の流量、水の圧力を規定した理由については、
前述の第1の手段および第2の手段で説明したのと同様
である。
【0032】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る好ましい実施
形態について添付の図面を参照して説明する。
【0033】図1は第1〜第3の手段を実施するための
調質圧延機の一例を示す概略図である。この図1に示す
調質圧延機は4段式の圧延機11を備えている。圧延機
11は一対のワークロール1a,1bと、一対のバック
アップロール2a,2bとから構成されている。ワーク
ロール1a,1bの周面は中心線平均粗さRaの値が
2.0〜6.0μmの範囲内で所要の表面粗度に調整さ
れている。
【0034】調質圧延機は、圧延機11の入側に調質圧
延液の調質圧延液を供給するための液供給系統12を備
えている。液供給系統12には一対のノズル3a,3b
が設けられている。ノズル3a,3bは亜鉛めっき鋼板
10の上方および下方にそれぞれ配置され、これらのノ
ズル3a,3bの噴射口がそれぞれロールバイト8を向
いて開口している。ノズル3a,3bはライン23を介
してタンク20に連通している。タンク20には調質圧
延液が貯蔵されている。この調質圧延液は水溶性成分が
2〜15体積%の範囲内の所要濃度となるように水希釈
されている。ライン23にはタンク20側から順にポン
プ21、流量調整弁22が設けられている。
【0035】また、この調質圧延機は圧延機11の出側
に高圧水スプレー系統13を備えている。高圧水スプレ
ー系統13にはスプレーノズル4a,4b,4c,4d
が設けられている。スプレーノズル4a,4bはワーク
ロール1c,1dとそれぞれ対向して配置され、各噴射
口はそれぞれワークロール1a,1bを向くように開口
されている。一方、スプレーノズル4c,4dはバック
アップロール2c,2dとそれぞれ対向して配置され、
各噴射口はそれぞれバックアップロール2c,2dを向
くように開口されている。ここで、スプレーノズル4
a,4bの各噴射口はワークロール1c,1dの各ロー
ル周面から50〜500mm程度離れた距離となるよう
に配置されることが好ましい。また、これと同様に、ス
プレーノズル4c,4dの各噴射口もバックアップロー
ル2c,2dの各ロール周面から50〜500mm程度
離れた距離となるように配置されることが好ましい。
【0036】スプレーノズル4a〜4dはそれぞれ配管
31a〜31dを介してヘッダー31に連通しており、
配管31a〜31dにはそれぞれバルブ5a〜5dが設
けられている。ヘッダー31は高圧水生成装置30を介
して給水タンク32に連通している。
【0037】次に、図1に示す調質圧延機を用いた亜鉛
めっき鋼板の調質圧延方法について説明する。
【0038】(第1の実施形態)第1の実施形態では、
図1の調質圧延機において、高圧水スプレー系統13は
使用せず、液供給系統12だけを用いて亜鉛めっき鋼板
10を調質圧延する。
【0039】タンク20内の調質圧延液は、ポンプ21
によりポンプ圧送され、ライン23を通ってノズル3
a,3bに供給される。ノズル3aに供給された調質圧
延液はノズル3aの噴射口からワークロール1aのロー
ルバイト8に向けて噴射され、ロール1aの周面と調質
圧延機1の入側における溶融亜鉛めっき鋼板10の上面
とに供給される。これと同時に、ノズル3bに供給され
た調質圧延液はノズル3bの噴射口からロール1bのロ
ールバイト8に向けて噴射され、ワークロール1bの周
面と溶融亜鉛めっき鋼板10の下面とに供給される。こ
のとき、ノズル3aおよびノズル3bからの総供給流量
は5リットル/分以上となるように流量調整弁22によ
り調整される。
【0040】(第2の実施形態)第2の実施形態では、
図1の調質圧延機において、高圧水スプレー系統13を
使用する。
【0041】給水タンク32から高圧水生成装置30に
供給された水は、10〜100MPaの高圧水にされた
後にヘッダー31を通る。そして、開状態のバルブ5a
〜5dを介して配管31a〜31dを通り、スプレーノ
ズル4a〜4dに供給される。供給された高圧水はスプ
レーノズル4a〜4dの各噴射口からワークロール1
c,1dおよびバックアップロール2c,2dに向けて
噴射され、各ロール周面に吹き付けられる。水の吹き付
け流量としては、3〜30リットル/分程度であれば十
分である。
【0042】上記の高圧水の吹き付けとともに、液供給
系統12を使用して水をロールバイト8に向けて噴射す
る水潤滑を行なってもよい。この場合に、液供給系統1
2のタンク20には調質圧延液の代わりにあらかじめ水
を収容しておく。
【0043】なお、スプレーノズル4a〜4dから噴射
されるスプレー水の幅方向の広がり角度が小さく、ロー
ル周面の幅方向に亘ってスプレーできない場合には、ス
プレーノズル4a〜4dはそれぞれワークロール1a,
1bの軸方向に周期的に往復移動させながら高圧水を吹
き付けるようにすることが望ましい。
【0044】また、圧延機11周辺の設備スペースの関
係からスプレーノズル4a〜4dを上述の好ましい位置
に設置できず、これより離れた位置に配置せざるを得な
い場合には、高圧水の圧力を調整することが望ましい。
【0045】(第3の手段の実施形態)第3の実施形態
では、図1の調質圧延機において、液供給系統12と高
圧水スプレー系統13とをともに使用して亜鉛めっき鋼
板10を調質圧延する。
【0046】すなわち、第1の実施形態で説明したのと
同様にして調質圧延液をロールバイト8に向けて噴射さ
せるとともに、第2の実施形態で説明したのと同様にし
て高圧水をワークロール周面に吹き付ける。
【0047】
【実施例】以下、本発明の実施例を比較例とともに記載
する。
【0048】(実施例1)実施例1では、図1に示す調
質圧延機を用いて、板厚0.8mm、板幅1250mm
の溶融亜鉛めっき鋼板10の調質圧延を行なった。
【0049】ワークロール1a,1bとしては、直径が
600mmおよび胴長が2000mmの大きさであっ
て、摩耗防止のために厚さ3μmのクロムめっきが表面
に施されているものを用いた。これらのワークロール1
a,1bをあらかじめ放電ダル加工によって中心線平均
粗さRaで3.0μmの表面粗度となるように表面加工
した。
【0050】水溶性成分としては、メタニトロ安息香
酸:10質量%と、ウンデカン二酸:2質量%と、モノ
エタノールアミン:5質量%と、モノイソプロパノール
アミン:10質量%と、苛性カリ:3質量%と、グルコ
ン酸ナトリウム:3質量%と、界面活性剤としてのポリ
オキシエチレンノニルフェニルエーテル:1質量%とが
水:66質量%に含有された有機系調質圧延剤を用い
た。この有機系調質圧延剤を常温の水で所定濃度に希釈
して調質圧延液を調製した。
【0051】次いで調質圧延液をノズル3a,3bから
噴射させながら、圧延速度120m/分で溶融亜鉛めっ
き鋼板10の調質圧延を行なった。このときに、調質圧
延液中の水溶性成分濃度および調質圧延液の供給流量を
下表1に示すように種々変化させた。そして、総圧延長
が5000mとなった時点でのワークロール1a,1b
の周面を目視検査し、亜鉛凝着による目詰まりの状況を
調べた。この際、亜鉛がロール周面に凝着されていれ
ば、この凝着亜鉛は強い金属光沢を放つため、容易に目
視できる。こうして調べた結果を表1に示す。
【0052】
【表1】
【0053】表1において、調質圧延液の供給流量は本
発明の規定範囲内としたが調質圧延液中の水溶性成分濃
度を1.7体積%と本発明の規定を逸脱した例5では、
ワークロール1a,1bの両周面全体に亜鉛の凝着が観
察され、両周面全体にわたって目詰まりを起こすことが
判明した。また、調質圧延液中の水溶性成分濃度は本発
明の規定範囲内としたが調質圧延液の供給流量を4リッ
トル/分と本発明の規定を逸脱した例6および例7で
は、ワークロール1a,1bの両ロール周面に部分的に
亜鉛の凝着が観察され、部分的な目詰まりを起こすこと
が判明した。
【0054】これらの例5〜例7に対して、調質圧延液
中の水溶性成分濃度および調質圧延液の供給流量を本発
明の規定範囲内とした例1〜例4では、ワークロール1
a,1bの両ロール周面に亜鉛の凝着が観察されず、ワ
ークロール1a,1b周面の目詰まりを全く起こさない
ことが判明した。
【0055】(実施例2)図1に示す調質圧延機によ
り、前述の実施例1で説明したのと同様なワークロール
1a,1bおよび溶融亜鉛めっき鋼板10を用い、調質
圧延を行なった。本実施例2ではスプレーノズル4a、
4bの噴射口がそれぞれワークロール1a,1bの各ロ
ール周面から200mm離れた位置となるように調整し
た。この実施例2では、調質圧延にあたり、液供給系統
12を使用して、水をノズル3a、3bからロールバイ
ト8に向けて噴射させる水潤滑を行なった。このときの
水の供給流量は30リットル/分とした。これととも
に、高圧水スプレー系統13を使用して圧力を種々変更
した高圧水をスプレーノズル4a,4bからワークロー
ル1a,1bに吹き付けながら調質圧延を行なった。そ
して、実施例1と同様に、総圧延長が5000mとなっ
た時点でのワークロール1a,1bの周面を目視検査
し、亜鉛粉の凝着状況を調べた。また、このときのワー
クロール1a,1bの両周面につき、表面粗度計を用い
て中心線平均粗さRa値を測定し、圧延前のRa値3.
0μmと比べて表面粗度の低下の有無を調べた。
【0056】その結果、水圧を10〜100MPaとし
た場合には、ワークロール1a,1bの両周面に亜鉛の
凝着が観察されず、ほぼ完全に亜鉛が除去されることが
判明した。また、ワークロール1a,1bはともに表面
粗度が低下しないことが判明した。これに対して、水圧
を8MPaとした場合、ワークロール1a,1bはとも
に表面粗度がほとんど低下しなかったものの、ワークロ
ール1a,1bの両周面に部分的に亜鉛の凝着が観察さ
れた。また、水圧を110MPaとした場合、Ra値の
低下率が約20%となりワークロール1a,1bの表面
粗度は著しく低下することが判明した。
【0057】(実施例3)本実施例3では、図1に示す
調質圧延機において、前述の実施例1で説明したのと同
様なワークロール1a,1bおよび溶融亜鉛めっき鋼板
10を用い、下表2に示す各条件で総圧延長が約180
kmとなるまで連続的に調質圧延した。
【0058】
【表2】
【0059】表2において、例8では、調質圧延液中の
水溶性成分濃度を5体積%とし、調質圧延液の供給流量
を15リットル/分とした以外は実施例1と同様に調質
圧延を行なった。例9では、高圧水の圧力を30MPa
とした以外は実施例2と同様に調質圧延を行なった。例
10では、液供給系統12を使用して水溶性成分が5体
積%濃度に水希釈された調質圧延液を流量15リットル
/分でノズル3a,3bからロールバイト8に向けて供
給するとともに、高圧水スプレー系統13を使用してス
プレーノズル4a,4bから高圧水を圧力30MPaで
ワークロール1a,1bに吹き付けながら溶融亜鉛めっ
き鋼板10の調質圧延を行なった。例11では、高圧水
スプレー系統13を使用しない以外は実施例2と同様に
調質圧延を行なった。
【0060】上記の例8〜例11での調質圧延において
は、圧延開始時から総圧延長が約180kmとなる時点
まで、ワークロールの表面粗度の経時変化を調べた。
【0061】図1は横軸に調質圧延長(km)をとり、
縦軸にワークロール周面の中心線平均粗さRa(μm)
をとって、調質圧延長とRa値との関係について調べた
結果を示す特性線図である。図1において、曲線A1〜
A4はそれぞれ例8〜例11で得られた結果を示す特性
線である。図1から特性線A4は調質圧延長1km程度
でRa値が3μmから約2.5μmとなりみかけ表面粗
度が急激に低下し、凝着亜鉛によるロール周面の目詰ま
りが急激に進むことが判明した。これに対し、特性線A
1〜A3は調質圧延を重ねてもRa値が急激に低下しな
いことからワークロールのみかけ表面粗度の低下を抑制
できる、すなわち凝着亜鉛によるロール周面の目詰まり
を抑制できることが判明した。特に、調質圧延液と高圧
水とをともに使用した例10の場合、特性線A3から明
らかなように圧延開始時から総圧延長180kmとなる
時点までRa値はほとんど一定であり凝着亜鉛による目
詰まりを起こさないことが判明した。これは、Ra値が
1.2μm程度の表面粗度のワークロールを用いた従来
の調質圧延の場合と同程度の総圧延長まで、ワークロー
ルの表面粗度を低下させることなく用いることができ
る、すなわちRa値が1.2μm程度のワークロールと
同程度まで寿命を延長できることを示している。
【0062】
【発明の効果】本発明によれば、表面粗度の大きなロー
ルを使用して亜鉛めっき鋼板を調質圧延するにあたり、
ロール周面への亜鉛の凝着を抑制するとともに、ロール
周面から凝着亜鉛を十分に除去することができ、ロール
寿命を延長させることができる亜鉛めっき鋼板の調質圧
延方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施するための調質圧延機の一例を示
す概略図。
【図2】調質圧延長とワークロール周面の中心線平均粗
さRa値との関係について調べた結果を示す特性線図。
【符号の説明】
1a,1b…ワークロール、 2a,2b・・・バックアップロール、 3a,3b・・・ノズル、 4a,4b,4c,4d・・・スプレーノズル、 5a,5b,5c,5d・・・バルブ、 10・・・溶融亜鉛めっき鋼板、 11・・・圧延機、 12・・・液供給系統、 13・・・高圧水スプレー系統、 20・・・タンク、 21・・・ポンプ、 22・・・流量調整弁、 30・・・高圧水生成装置、 31・・・ヘッダー、 31a,31b,31c,31d・・・配管、 32・・・給水タンク。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 曽谷 保博 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 Fターム(参考) 4E002 AD06 BB09 BD20 CB09 4E016 AA02 BA02 CA09 DA12

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ロール周面の中心線平均粗さRaが2.
    0〜6.0μmのワークロールを備えた調質圧延機を用
    いて亜鉛めっき鋼板を調質圧延する方法であって、水溶
    性成分が2〜15体積%濃度に水に希釈された調質圧延
    液を5リットル/分以上の流量でワークロールおよび亜
    鉛めっき鋼板のうち少なくとも一方に向けて供給し、ワ
    ークロールの周面を覆うように前記調質圧延液の膜を形
    成することを特徴とする亜鉛めっき鋼板の調質圧延方
    法。
  2. 【請求項2】 ロール周面の中心線平均粗さRaが2.
    0〜6.0μmのワークロールを備えた調質圧延機を用
    いて亜鉛めっき鋼板を調質圧延する方法であって、圧力
    10〜100MPaの水をワークロールの周面に吹き付
    けることを特徴とする亜鉛めっき鋼板の調質圧延方法。
  3. 【請求項3】 ロール周面の中心線平均粗さRaが2.
    0〜6.0μmのワークロールを備えた調質圧延機を用
    いて亜鉛めっき鋼板を調質圧延する方法であって、調質
    圧延機の入側にて水溶性成分が2〜15体積%濃度に水
    に希釈された調質圧延液を5リットル/分以上の流量で
    ワークロールおよび亜鉛めっき鋼板のうち少なくとも一
    方に向けて供給し、ワークロールの周面を覆うように前
    記調質圧延液の膜を形成するとともに、調質圧延機の出
    側にて圧力10〜100MPaの水をワークロールの周
    面に吹き付けることを特徴とする亜鉛めっき鋼板の調質
    圧延方法。
JP2000196234A 2000-06-29 2000-06-29 亜鉛めっき鋼板の調質圧延方法 Pending JP2002011501A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000196234A JP2002011501A (ja) 2000-06-29 2000-06-29 亜鉛めっき鋼板の調質圧延方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000196234A JP2002011501A (ja) 2000-06-29 2000-06-29 亜鉛めっき鋼板の調質圧延方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002011501A true JP2002011501A (ja) 2002-01-15

Family

ID=18694771

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000196234A Pending JP2002011501A (ja) 2000-06-29 2000-06-29 亜鉛めっき鋼板の調質圧延方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002011501A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017517401A (ja) * 2014-05-12 2017-06-29 アルコニック インコーポレイテッドArconic Inc. 金属を圧延する装置及び方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017517401A (ja) * 2014-05-12 2017-06-29 アルコニック インコーポレイテッドArconic Inc. 金属を圧延する装置及び方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20070210104A1 (en) Method of and Device for Cooling and or Lubrication
JP2012055955A (ja) 冷間圧延における圧延潤滑方法およびその装置
JP4203236B2 (ja) 熱間圧延における潤滑供給方法
JP2002011501A (ja) 亜鉛めっき鋼板の調質圧延方法
JP2003285114A (ja) 溶融亜鉛めっき鋼帯の調質圧延方法および調質圧延装置
JP2003033802A (ja) 脱脂性および化成処理性にすぐれた冷延鋼板の製造方法
US4475369A (en) Method for producing clean cold strip
JP2661490B2 (ja) 継目無管製造における外面潤滑方法
JP3042397B2 (ja) 調質圧延方法
JP2910604B2 (ja) ステンレス鋼帯の調質圧延方法
KR890001444B1 (ko) 청정 냉연스트립의 제조방법
JPH08215708A (ja) 金属帯の調質圧延方法
JP2001276905A (ja) 溶融亜鉛めっき鋼板の調質圧延方法
JP4706113B2 (ja) 溶融亜鉛めっき鋼帯の調質圧延方法およびその調質圧延設備
JP3103825B2 (ja) 鋼帯の調質圧延方法および装置
JP2689845B2 (ja) 熱延鋼材の脱スケーリング方法
JP7493137B2 (ja) 鋼板の製造方法、鋼板の切断設備、及び鋼板の製造装置
CA1090684A (en) Method and an apparatus for cleaning a cold rolled steel sheet
JPH04300095A (ja) ガスシールドアーク溶接用鋼ワイヤの製造方法
JPH0569028A (ja) 調質圧延装置
JP6575584B2 (ja) 金属板表面付着油分除去方法、金属板表面付着油分除去装置及び金属板の製造方法
JP7355272B1 (ja) 鋼板の製造方法
GB2126507A (en) Method for producing clean cold strip
JP3858807B2 (ja) 冷間タンデム圧延機
JP3056424B2 (ja) 鋼板の調質圧延方法およびその設備

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20040419

A131 Notification of reasons for refusal

Effective date: 20040427

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

A521 Written amendment

Effective date: 20040628

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20040803