JP2002011389A - 蓄圧式噴霧器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【課題】液ぎれがよく、均一噴霧が可能なコンパクトな
蓄圧式噴霧器を提供する。 【解決手段】容器１内の内容物を吸引する吸引口を有す
るシリンダ４と、該シリンダの吸引口４ａにて一方向の
みの流通を許容するチェック弁４ｂと、該シリンダの開
口端より挿入され吸引口に向けてスライド可能な中空ス
テム５と、この中空ステムの先端部分で嵌合するととも
にシリンダの内壁面との間で液密状態を維持したまま中
空ステムとともに往復移動可能なピストン６と、中空ス
テムの復帰動作を導く復原用弾性部材７を設け、該ピス
トンに吸引口よりシリンダ内に導入された内容物を中空
ステムの貫通孔に流出させる通路と、圧力調整用弾性部
材６ｂにて保持され内容物の噴霧に際してのみ該通路を
開とするとともに中空ステムの最大押圧位置でチェック
弁に当接して吸引口を確実に封印するステムを有するバ
ルブ６ｃを配置し、復原用弾性部材及び圧力調整用弾性
部材を、同心の２重配置とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、蓄圧式噴霧器に関
し、該噴霧器の小型化を実現しようとするものである。

【０００２】

【従来の技術】近年では内容物としての分散媒を加圧媒
体とともに容器本体内に充てんした、いわゆるエアロゾ
ルタイプの噴霧器が多用される傾向にあるが、このよう
な噴霧器は製造コストが嵩むうえ、分散媒を全て使いき
った後においても容器内には加圧媒体が残存しているこ
とが多いため、廃棄処分中に爆発するおそれがあり、か
かる容器の廃棄に際しては、容器本体を穿孔して加圧媒
体を排出する必要がある等の手間がかかことから、最近
ではエアロゾルタイプの噴霧器に代わるものとして噴霧
ヘッドの複数回にわたる押圧、復帰動作の繰り返しによ
って内容物を噴射するようにした蓄圧式の噴霧器が見直
されてきている。

【０００３】蓄圧式の噴霧器は、従来のエアロゾルタイ
プの噴霧器のような加圧媒体を必要とせず、容器の廃棄
処分に際して爆発等の危険がないため容器本体を穿孔す
る等の余計な手間がかからない利点を有するものであっ
て、この点に関する先行文献としては、例えば、実公昭
５４−３９６９３号公報が参照される。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところで、蓄圧式の噴
霧器は、複数の構成部材を組み合わせて構成するもので
あるから、どうしてもサイズが大きくなるのが避けられ
ない。また、この種の噴霧器は押圧に係わるストローク
が比較的大きいことから内容物をシリンダ内に吸い込む
際、ノズルから外気が吸引されるため液切れが悪く、さ
らには、内容物を噴射する際の圧力が一定しないため均
一な噴霧ができないところに問題を残している。

【０００５】本発明の課題は、液切れが良く、内容物を
均一に噴霧するとともに、サイズの小型化を図ることが
できる新規な蓄圧式噴霧器を提案するところにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は、内容物を充て
んする容器の開口部分で、中空ステムの押圧動作とこれ
に続く復帰動作の繰り返しにてバルブを開閉させること
によって、内容物を交互に吸引、加圧してノズルチップ
より噴霧する蓄圧式噴霧器であって、前記蓄圧式噴霧器
は、容器内の内容物を吸引する吸引口を有するシリンダ
と、該シリンダの吸引口にて一方向のみの流通を許容す
るチェック弁と、該シリンダの開口端より挿入され吸引
口に向けてスライド可能な中空ステムと、この中空ステ
ムの先端部分で嵌合するとともにシリンダの内壁面との
間で液密状態を維持したまま中空ステムとともに往復移
動可能なピストンと、中空ステムの復帰動作を導く復原
用弾性部材からなり、該ピストンは吸引口よりシリンダ
内に導入された内容物を中空ステムの貫通孔に流出させ
る通路と、圧力調整用弾性部材にて保持され内容物の噴
霧に際してのみ該通路を開とするとともに中空ステムの
最大押圧位置でチェック弁に当接して吸引口を確実に封
印するステムを有するバルブを備えるものであり、復原
用弾性部材及び圧力調整用弾性部材は、同心の２重配置
になることを特徴とする蓄圧式噴霧器である。

【０００７】復原用弾性部材、圧力調整用弾性部材とし
てはそれぞれスプリングがとくに有利に適合する。

【０００８】

【発明の実施の形態】本発明の蓄圧式噴霧器は、内容物
を吸い込むための吸引口を有するシリンダと先端部にピ
ストンを配置した中空ステムとの組合せにおいてバルブ
の開閉に寄与する弾性部材を、ピストンの初期状態への
復原に寄与する弾性部材の内側で同心をもって配置する
２重構造（同心の２重配置）としたので、部材を配置す
るための余計なスペースを削減でき噴霧器自体のコンパ
クト化が可能になる。また、比較的小さなストロークで
もって内容物を噴霧することができるので、ノズルチッ
プからの外気の吸引量が少なくなり液ぎれがよくなる。

【０００９】

【実施例】以下、図面を用いて本発明をより具体的に説
明する。図１は本発明に従う蓄圧式噴霧器の構成例を示
したものである。図における番号１は内容物を充てんす
る容器、２は容器１に設けられた開口部分である。

【００１０】また、３は容器１の開口部分２にねじ止め
される例で示した取り付け部、４はこの取り付け部３に
固定保持され開口部分２に望ませて配置されるシリンダ
である。このシリンダ４は内容物を吸引するための吸引
口４ａに一方向のみの流通を可能とするチェック弁４ｂ
が配置され、該吸引口４ａには容器内の内容物を吸い上
げるためのパイプＰが連結されている。

【００１１】５はシリンダ４の開口端より挿入され吸引
口４ａに向けてスライド可能な中空ステムであり、この
中空ステム５の貫通孔５ａを通って内容物が噴霧され
る。また、６は中空ステム５の先端部分で嵌合するとと
もにシリンダ４の内壁面との間で液密状態を維持したま
ま中空ステム５とともに往復移動可能なピストンであ
る。このピストン６には吸引口４ａより吸引された内容
物を中空ステム５に導入するための通路６ａと、スプリ
ング等を適用した圧力調整用弾性部材６ｂにて保持され
内容物の噴霧に際してのみ通路６ａを開とし、かつ、中
空ステム５の最大押圧位置でチェック弁４ｂに当接して
吸引口４ａを確実に封印するステムを有するバルブ６ｃ
が設けられている。

【００１２】また、７は中空ステム５の押圧後の復帰動
作を導く復原用弾性部材である。この復原用弾性部材７
はスプリングを適用することができ、ピストン６とシリ
ンダ４の相互間で圧力調整用弾性部材６ｂの内側に存在
する同心の２重配置となるように設けられる。

【００１３】８は中空ステム５の先端にかぶさる押圧ヘ
ッドであり、９は押圧ヘッド８に組み込まれるノズルチ
ップである。

【００１４】上掲図１に示した構成になる噴霧器は、内
容物を噴霧する前の初期状態を示したものである。この
状態で中空ステム５、ピストン６はシリンダ４内で復原
用弾性部材７にてチェック弁４ｂから最も離れたところ
に位置している。また、バルブ６ｃは圧力調整用弾性部
材６ｂにてピストン６の弁座６ｄに密着して通路６ａを
閉塞している。

【００１５】図２は押圧ヘッド８を押し込んだ状態を示
したものである。押圧ヘッド８の最大押圧位置ではバル
ブ６ｃのステム先端部がチェック弁４ｂに当接すること
になり、これによって吸引口４ａは確実に封印される。

【００１６】押圧ヘッド８に対する押圧力を取り除く
と、復原用弾性部材７の弾性力にて中空ステム５はピス
トン６とともに上方へ押し上げられ、上掲図１に示した
如き初期状態に戻ることになるが、この時、シリンダ内
は負圧になるためにチェック弁４ｂは開となりパイプＰ
を通して容器内の内容物が吸い上げられる。

【００１７】シリンダ内に内容物が吸い上げられた状態
で押圧ヘッド８を再度押圧すると、図３に示すように、
中空ステム５はピストン６とともに下方へ移動しこれに
伴いシリンダ内の内容物は加圧されるとともに、中空ス
テム５、ピストン６の移動とともにバルブ６ｃがピスト
ン６の弁座６ｄから離れ開となり通路６ａが開通する。

【００１８】通路６ａが開通すると、加圧過程にある内
容物は中空ステム５の貫通孔５ａ内に急速に流れ込むこ
とになり、この貫通孔５ａを経て空気と混在化した内容
物がノズルチップ９より噴霧され、この噴霧は、バルブ
６のステムがチェック弁４ｂに当接するまで続くことに
なる。

【００１９】このような蓄圧式の噴霧器は、容器内から
初めて内容物を噴霧するに際しては、シリンダ内に存在
する空気を排出しそこに内容物を吸い上げるために、押
圧ヘッド８の複数回にわたる押圧を繰り返す、いわゆる
プライミングを行うことが肝要になるが、このプライミ
ングに続き、上掲図１〜図３に示したような一連の工程
を経ることにより内容物はノズルチップ９から連続的に
噴霧される。

【００２０】先行文献として先に掲げた実公昭５４−３
９６９３号公報に開示されているような小径シリンダと
大径シリンダの組合せになる通常の噴霧器では、噴霧器
のサイズの小型化が困難であり、また、噴霧の際の押圧
ストロークが比較的大きいため内容物の噴霧後において
ノズルチップ９から外気が吸引され液ぎれが悪く、しか
も噴霧の際の加圧力が安定しないために均一な噴霧がで
きない等の不具合が見られたが、本発明に従う噴霧器
は、部材を配置するスペースの共有化と噴霧の際の押圧
に係わるストロークが従来のものに比較して短くてすむ
のでその分、噴霧器自体のコンパクト化が可能になる。

【００２１】また、内容物の噴霧に際しては、シリンダ
内に吸い上げられた内容物が所定の圧力に達した時点で
中空ステム５の貫通孔５ａに流出することになるので均
一な噴霧が可能であり、押圧に係わるストロークが短い
分、ノズルチップ９から吸引される外気の量も極めて少
ない。

【００２２】本発明においては圧力調整用弾性部材６ｂ
と復原用弾性部材７とは、同心の２重配置とすることを
不可欠とし、上掲図１に示した例では、復原用弾性部材
７の内側にその長手方向の半分程度が挿入されるような
相対位置を保つように圧力調整用弾性部材６ｂを配置す
るようにしたが、ピストン６等の断面形状に工夫を加え
圧力調整用弾性部材６ｂの全てが復原用弾性部材７の内
側に位置するように設置することも可能であり、この場
合には、押圧係わるストロークに影響を与えることなし
に噴霧器の長手方向の寸法を短縮することができ、結果
としてより一層の小型化が可能になる。

【００２３】

【発明の効果】本発明によれば、圧力調整用弾性部材を
復原用弾性部材の内側に位置する同心の２重配置とした
ので、部材を配置するスペースの共有化が可能であり、
また、シリンダ内に吸い込んだ内容物を加圧して噴射す
るので噴射の際の押圧ストロークの短縮化が可能なの
で、噴霧器自体をコンパクトなものとすることができ
る。

【００２４】また、本発明によれば、内容物は所定の圧
力になった時点で噴霧されるので均一な噴霧が可能であ
り、噴霧の際の押圧ストロークを短くできる分、ノズル
チップからの外気の吸引が少なく液ぎれがよい。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明に従う蓄圧式噴霧器の構成説明図であ
る。

【図２】 図１に示した蓄圧式噴霧器の作動要領の説明
図である。

【図３】 図１に示した蓄圧式噴霧器の作動要領の説明
図である。

【符号の説明】

１ 容器 ２ 開口部分 ３ 取り付け部 ４ シリンダ ５ 中空ステム ６ ピストン ７ 復原用弾性部材 ８ 押圧ヘッド ９ ノズルチップ

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Ｆターム(参考） 3E084 AA12 AB01 BA02 CA01 CB02 CB03 DA01 DB12 FB01 GA04 GB04 GB11 HD01 KB06 LA14 LB02 LB07 LD22 LD27

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 内容物を充てんする容器の開口部分で、
   中空ステムの押圧動作とこれに続く復帰動作の繰り返し
   にてバルブを開閉させることによって、内容物を交互に
   吸引、加圧してノズルチップより噴霧する蓄圧式噴霧器
   であって、 前記蓄圧式噴霧器は、容器内の内容物を吸引する吸引口
   を有するシリンダと、該シリンダの吸引口にて一方向の
   みの流通を許容するチェック弁と、該シリンダの開口端
   より挿入され吸引口に向けてスライド可能な中空ステム
   と、この中空ステムの先端部分で嵌合し、かつ、シリン
   ダの内壁面との間で液密状態を維持したまま中空ステム
   とともに往復移動可能なピストンと、中空ステムの復帰
   動作を導き初期状態を保持する復原用弾性部材からな
   り、 該ピストンは吸引口よりシリンダ内に導入された内容物
   を中空ステムの貫通孔に流出させる通路と、圧力調整用
   弾性部材にて保持され内容物の噴霧に際してのみ該通路
   を開とするとともに中空ステムの最大押圧位置でチェッ
   ク弁に当接して吸引口を確実に封印するステムを有する
   バルブを備えたものであり、 復原用弾性部材及び圧力調整用弾性部材は、同心の２重
   配置になることを特徴とする蓄圧式噴霧器。
2. 【請求項２】 復原用弾性部材、圧力調整用弾性部材は
   それぞれスプリングからなるものである請求項１記載の
   蓄圧式噴霧器。