JP2002008602A - リチウム二次電池 - Google Patents

リチウム二次電池

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JP2002008602A
JP2002008602A JP2000182450A JP2000182450A JP2002008602A JP 2002008602 A JP2002008602 A JP 2002008602A JP 2000182450 A JP2000182450 A JP 2000182450A JP 2000182450 A JP2000182450 A JP 2000182450A JP 2002008602 A JP2002008602 A JP 2002008602A
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secondary battery
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battery
electrode
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JP2000182450A
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Hiroshi Nemoto
宏 根本
Masanobu Kito
賢信 鬼頭
Toshihiro Yoshida
俊広 吉田
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NGK Insulators Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 かしめ加工部において防水性、耐高温・高湿
性を示すシールを形成し、長期保存性及び信頼性に優れ
たリチウム二次電池を提供する。 【解決手段】 正極板と負極板をセパレーターを介して
捲回又は積層してなる電極体1及び電解液を、少なくと
も一端部に電極蓋3を備えた円筒形の電池ケース2に収
納し、電極蓋3と電池ケース2との間にパッキン4を介
して電池ケース2をかしめ加工してなるリチウム二次電
池10であって、電極蓋3と電池ケース2との間隙にシ
ーラント8を充填する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】 本発明はリチウム二次電池
に係り、更に詳しくは、耐水性、耐高温・高湿性を有
し、長期保存性及び信頼性に優れたリチウム二次電池に
関する。
【0002】
【従来の技術】 近年環境保護運動の高まりを背景とし
て、二酸化炭素その他有害物質を含む排気ガスの排出規
制が切に望まれる中、自動車業界ではガソリン車等の化
石燃料を使用する自動車に替えて、電気自動車(EV)
やハイブリッド電気自動車(HEV)の導入を促進する
動きが活発になっている。
【0003】 このEV、HEV実用化の鍵を握るモー
タ駆動用電池としてのリチウム二次電池には、大容量、
高出力という特性が要求される。ここで、電池容量が大
きいということは蓄積されるエネルギーの絶対値が大き
くなることを意味するので、取り扱いや充放電時の安全
性の確保が図られなければならない。また、高出力を得
るには電池の内部抵抗、すなわち、正極出力端子と負極
出力端子との間の抵抗値を小さくする必要がある。
【0004】 したがって、電池を大容量とすること
で、必然的に電池一本当たりの大きさ、即ち電池サイズ
を大きくしなければならないが、これに伴って使用され
る電池ケースには、上述した安全性と出力を確保する機
械的特性および電気的特性が求められる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】 例えば、車載用のリ
チウム二次電池は、その用途上の理由によりエンジンル
ーム内、又はエンジンルーム付近に積載されることとな
る。このような場合においては高温、且つ高湿等の多様
な外部環境に晒されることが想定されるため、より高い
耐久性や信頼性が求められる。
【0006】 ここで、従来のリチウム二次電池に関し
ては図3に示すように、図中上部のかしめ加工部6にお
いて、電極蓋3と電池ケース2の間にパッキン4をシー
ルのために設けている。このとき、パッキン4に使用さ
れる材料としては、エチレンプロピレンゴムを始めとし
てポリエチレン、ポリプロピレン、フッ素樹脂等の樹脂
材料を挙げることができる。なお、ここで言うシールの
役割とは、電池外部への電解液漏洩防止、及び、電池内
部への水分浸入防止等を挙げることができる。
【0007】 しかし、一般的に使用されている前記の
材料からなるパッキン4は、耐電解液性は有するが、外
部からの水分浸入防止が不充分であり、また、高温・高
湿度といった過酷な環境に晒されることにより弾性領域
が狭くなる、或いは、弾性維持率が低下する等の問題点
を有しており、このようなシールをかしめ加工部に有す
るリチウム二次電池を車載用として使用する場合、5
年、10年、或いは10万km、10万マイルといった
長期に渡る使用に耐えることができないばかりでなく、
内部電解液の漏れが生ずる恐れもあり、安全性に関した
問題をも有している。
【0008】 本発明は、このような従来技術の有する
問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とすると
ころは、かしめ加工部において防水性、耐高温・高湿性
を示すシールを形成し、長期保存性及び信頼性に優れた
リチウム二次電池を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】 即ち、本発明によれ
ば、正極板と負極板をセパレーターを介して捲回又は積
層してなる電極体及び電解液を、少なくとも一端部に電
極蓋を備えた円筒形の電池ケースに収納し、該電極蓋と
該電池ケースとの間にパッキンを介して該電池ケースを
かしめ加工してなるリチウム二次電池であって、該電極
蓋と該電池ケースとの間隙にシーラントを充填してなる
ことを特徴とするリチウム二次電池が提供される。
【0010】 さらに、本発明においては、シーラント
がシリコーン樹脂系シーラント、エポキシ樹脂系シーラ
ント、フッ素樹脂系シーラントのいずれかであることが
好ましく、また、シーラントの透湿係数が、75℃、9
0%RH条件下において、500×10-9cc・cm/
(cmHg・cm2・s)以下であることが好ましい。
【0011】 本発明においては、パッキンがエチレン
プロピレンゴム、ポリエチレン、ポリプロピレン、フッ
素樹脂のいずれかよりなることが好ましく、また、電池
ケース素材としてはアルミニウム、アルミニウム合金、
ステンレスのいずれかが好適に選択される。
【0012】 なお、上述したリチウム二次電池の特徴
は、電池容量が2Ah以上のリチウム二次電池に好適に
採用され、また、本発明のリチウム二次電池は、車載用
電池として好適に用いられる。
【0013】 また、本発明においては電気自動車、電
気自動車又はハイブリッド電気自動車に好適に用いら
れ、さらに、エンジン起動用に用いられることが好まし
い。
【0014】
【発明の実施の形態】 以下、本発明を図面に示す実施
形態に基づき詳しく説明するが、本発明はこれらの実施
形態に限定されるものではない。
【0015】 図1は、本発明のリチウム二次電池の一
実施形態を示す断面図であり、電池ケース2に内部電極
体1を収め、電解液(図示せず)を含浸し、エチレンプ
ロピレンゴムを始めとする樹脂材料からなるパッキン4
を介して電極蓋3を設置し、電池ケース2をかしめ加工
してなるリチウム二次電池10を示している。本発明で
は、電極蓋3の表面上において、電極蓋3と電池ケース
2の間隙にシーラント8を充填している。従って、パッ
キン4と外気との接触機会を遮断することができ、高温
・高湿度といった過酷な外部環境下においても、パッキ
ン4の劣化を起こり難くすることができる。
【0016】 なお、図1中、リチウム二次電池10の
下方部は省略されているが、当該リチウム二次電池10
を構成する電池ケース2によってリチウム二次電池10
の底部を形成している構造、又は、上方部と同じく、電
極蓋3、パッキン4、及び電池ケース2からなるかしめ
加工部を有する構造のどちらであっても良い。
【0017】 一般に、単一材質のみで、かしめ加工部
において高いシール性と耐高温・高湿性を両立すること
は困難である。しかし上記のように、本発明におけるシ
ーラント8を設けてなるリチウム二次電池においては、
パッキン4の劣化が起こり難いため、長期間に渡ってか
しめ加工部6において信頼性の高いシールが持続され
る。従って、高いシール性と防水性をかしめ加工部にお
いて形成することができる。
【0018】 本発明の実施には、シリコーン樹脂系シ
ーラント、又は、エポキシ樹脂系シーラント、又は、フ
ッ素樹脂系シーラントのいずれかを好適に用いることが
できる。これらのシーラントは安価で入手が容易である
とともに取り扱いが簡便であるため、コストを抑えると
共に、当該リチウム二次電池の電極蓋表面上において信
頼性のある防水効果を奏することができる。
【0019】 なお、本発明に用いるシリコーン樹脂系
シーラントとして、具体的には、主シリコーン樹脂を含
むA液と架橋剤及び硬化触媒を含むB液とから成る二液
性樹脂、又は予めA液とB液を混合した一液性樹脂等を
用いることができる。更に必要に応じて、接着性を向上
させるシランカップリング剤をプライマーとして利用す
ることで、当該リチウム二次電池の電極蓋表面上におい
て信頼性のある防水効果を奏することができる。
【0020】 ここで、主シリコーン樹脂とは、ビニル
基(CH2)等脂肪族不飽和結合を含有するシリコーン
樹脂であり、架橋剤とはハイドロジェンポリシロキサン
(SiH)結合を有するシリコーン樹脂である。また、
付加反応とは、これら主シリコーン樹脂と架橋剤とがP
t等の触媒存在下でヒドロシリル化反応により架橋を起
こしてエラストマーになることで、反応に伴う揮発成分
が無く、体積変化を生じないことが特徴である。
【0021】 また、本発明に用いるエポキシ樹脂系シ
ーラントとして、1分子中にエポキシ基を2個以上持つ
ポリマー(プレポリマー)と、そのプレポリマーと反応
して架橋構造をつくる硬化剤とから成るものを用いるこ
とができる。
【0022】 ここで、プレポリマーとは、さまざまな
タイプのものが知られているが、例えばビスフェノール
Aとエピクロロヒドリンから合成されるもの等である。
また、硬化剤についても種々知られているが、ポリアミ
ンや酸無水物等を挙げることができる。この両者を混合
することにより、プレポリマー中のエポキシ基の開環反
応が起こり、架橋構造を形成する。なお、プレポリマー
の種類と硬化剤の組み合わせで物性は変化し、室温硬化
型、加熱硬化型等の性質を示すが、一般に接着性、含浸
性、寸法安定性、耐水性、耐薬品性等に優れていること
が特徴である。
【0023】 また、本発明に用いるフッ素樹脂系シー
ラントとして、例えば四フッ化エチレン樹脂のコロイド
状微粒子を水性溶媒に分散させたものを用いることがで
きる。一般にフッ素樹脂系シーラントは、耐熱性、耐薬
品性、撥水性等に優れていることが特徴である。
【0024】 また、上記シーラントは電気絶縁性にも
優れており、これらのシーラントを用いることにより、
電極蓋3と電池ケース2のより確実な絶縁を行うことが
可能となる。従って、長期信頼性が向上するばかりでな
く、安全性においても優れたリチウム二次電池を提供す
ることが可能である。
【0025】 本発明では、シーラントの透湿係数が、
75℃、90%RH条件下において、500×10-9
c・cm/(cmHg・cm2・s)以下であることが
好ましく、10〜400×10-9cc・cm/(cmH
g・cm2・s)の範囲内であることがさらに好まし
い。透湿係数が500×10-9cc・cm/(cmHg
・cm2・s)超である場合には高温・高湿といった条
件下においては確実なシール効果を示すことができな
い。従って、当該数値以下の透湿係数を有するシーラン
トを使用することによって、過酷な外部環境下において
も、外気との接触機会をより確実に遮断することがで
き、同時にかしめ部パッキンの劣化をより起こり難くす
ることができる。
【0026】 なお、ここで用いる透湿係数とは以下の
方法により測定、算出するものをいう。まず、カップ状
SUS容器に、予めカールフィッシャー法によって水分
含量を測定した電解液を入れ、50mmφ×0.1mm
(厚さ)のシーラントを当該カップ状SUS容器の開口
部に接着固定して評価サンプルとする。次に、この評価
サンプルを75℃、90%RHの恒温恒湿槽に入れて1
000時間静置する。その後、容器内の水分量、シーラ
ントの面積・厚さを測定し、静置時間と水蒸気圧から評
価サンプルの透湿係数を算出する。
【0027】 さらに、本発明では、かしめ加工部にお
いて電極蓋と電池ケースの間にあってシールしているパ
ッキンが、エチレンプロピレンゴム、ポリエチレン、ポ
リプロピレン、フッ素樹脂のいずれかを素材とすること
が好ましい。これらの素材は弾力性を有し、かしめ加工
により適度な弾性維持率を保って当該かしめ加工部をシ
ールすることが可能であるため、リチウム二次電池外部
への電解液漏洩防止効果を示すことができる。従って本
発明に係る、電極蓋表面上にシーラントを設けたリチウ
ム二次電池とすることにより、前記の電解液漏洩防止効
果だけでなく、リチウム二次電池内部への水分浸入を防
止し、且つ、パッキンが外気に接触しないことから、パ
ッキンの劣化を起こり難くするという効果を奏すること
ができる。
【0028】 次に、本発明の詳細をリチウム二次電池
の作製を例に挙げて説明する。本発明におけるリチウム
二次電池の内部電極体は、正極板と負極板とが多孔性ポ
リマーフィルムからなるセパレータを介して直接接触し
ないように捲回して構成される。具体的には図2に示す
ように、内部電極体1は、正極板11と負極板12とを
セパレータ13を介して捲回して形成され、正負各電極
板11・12(以下、「電極板11・12」という。)
のそれぞれにタブ5が設けられる。このタブ5の電極板
11・12への取付けは、電極板11・12をセパレー
タ13とともに捲回する時点で、超音波溶接等の手段に
より行うことができる。なお、各タブ5の、電極板11
・12と接続された反対側の端部は、出力端子(図示せ
ず)もしくは出力端子に導通する電流取出端子(図示せ
ず)に取り付けられる。
【0029】 電極11・12板は、正極板11につい
てはアルミニウム、チタン等、負極板12については
銅、ニッケル等の金属箔を集電体とし、それぞれの金属
箔の両面に電極活物質を塗布して電極活物質層を形成す
ることにより作製する。また、タブ5はこのような金属
箔の一辺に配設され、一般的に、内部電極体1を作製し
た際に、電極板11・12のタブ5が取付けられた部分
が外周側へ膨らむことのないように、薄帯状のものが用
いられる。このとき、1つのタブ5が電極板11・12
における一定面積からの集電を行うように、ほぼ等間隔
に配設されることが好ましく、タブ5の材質はタブ5が
取付けられる金属箔と同材質とされる場合が多い。
【0030】 正極板11の作製に使用される正極活物
質としては、コバルト酸リチウム(LiCoO2)やニ
ッケル酸リチウム(LiNiO2)あるいはマンガン酸
リチウム(LiMn24)等のリチウム遷移金属複合酸
化物が用いられるが、本発明においては、特にマンガン
酸リチウムが用いられ、他の正極活物質を用いた場合と
比較して、正極活物質層の抵抗を小さくすることがで
き、好ましい。
【0031】 なお、マンガン酸リチウムは、このよう
な化学量論組成(ストイキオメトリー組成)のものに限
定されるものではなく、Mnの一部を1以上の他の元素
で置換した、一般式LiMXMn2-X4(Mは置換元
素、Xは置換量を表す。)で表されるマンガン酸リチウ
ムも好適に用いられる。このような元素置換を行ったマ
ンガン酸リチウムにおいては、Li/Mn比が0.5超
となる。
【0032】 置換元素Mとしては、以下、元素記号で
列記するが、Li、Fe、Mn、Ni、Mg、Zn、
B、Al、Co、Cr、Si、Ti、Sn、P、V、S
b、Nb、Ta、Mo、Wを挙げることができ、理論
上、Liは+1価、Fe、Mn、Ni、Mg、Znは+
2価、B、Al、Co、Crは+3価、Si、Ti、S
nは+4価、P、V、Sb、Nb、Taは+5価、M
o、Wは+6価のイオンとなり、LiMn24中に固溶
する元素である。但し、Co、Snについては+2価の
場合、Fe、Sb及びTiについては+3価の場合、M
nについては+3価、+4価の場合、Crについては+
4価、+6価の場合もあり得る。
【0033】 従って、各種の置換元素Mは混合原子価
を有する状態で存在する場合があり、また、酸素の量に
ついては、必ずしもストイキオメトリー組成で表される
ように4であることを必要とせず、結晶構造を維持する
ための範囲内で欠損して、或いは過剰に存在していても
構わない。
【0034】 なお、正極活物質の導電性を向上させる
ために、アセチレンブラックやグラファイト粉末等のカ
ーボン粉末を電極活物質に混合することが好ましい。一
方、負極活物質としては、ソフトカーボンやハードカー
ボンといった、アモルファス系炭素質材料や、人造黒
鉛、天然黒鉛等の炭素質粉末が用いられる。これらの電
極活物質はスラリー化され、集電体へ塗布、固着されて
電極板11・12が作製される。
【0035】 セパレータ13としては、マイクロポア
を有するリチウムイオン透過性のポリエチレンフィルム
を、多孔性のリチウムイオン透過性のポリプロピレンフ
ィルムで挟んだ三層構造としたものが好適に用いられ
る。これは、内部電極体1の温度が上昇した場合に、ポ
リエチレンフィルムが約130℃で軟化してマイクロポ
アが潰れてリチウムイオンの移動、すなわち電池反応を
抑制する安全機構を兼ねたものである。そしてこのポリ
エチレンフィルムを、より軟化温度の高いポリプロピレ
ンフィルムで挟持することによって、セパレータ13と
電極板11・12との接触・溶着を防止することができ
る。
【0036】 電解液としてはエチレンカーボネート
(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチル
カーボネート(DMC)、プロピレンカーボネート(P
C)といった炭酸エステル系のもの、γ−ブチロラクト
ン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル等の有機溶媒
の単独溶媒もしくは混合溶媒に、電解質としてのLiP
6やLiBF4等のリチウム錯体フッ素化合物、あるい
はLiClO 4といったリチウムハロゲン化合物等を1
種類もしくは2種類以上を溶解した非水系の有機電解液
が好適に用いられる。
【0037】 さて、次に図1を用いて本発明に係るリ
チウム二次電池の実施形態の詳細を説明する。リチウム
二次電池10の上部は、内部電極体1に取り付けられ
た、タブ5が電極蓋3を貫通するように設けられた出力
端子9に接続されている。電池ケース2との間には絶縁
性のパッキン4を設け、かしめ加工により電池ケース2
の一端を封止するようにして取り付けられた構造であ
る。また、内部には前記電解液が含浸されている。
【0038】 上述のように作製したリチウム二次電池
10について、電極蓋3の表面上において、パッキン4
を介して封止された電極蓋3と電池ケース2の間隙を埋
めるように、シリコーン樹脂系シーラント、又はエポキ
シ樹脂系シーラント、又は、フッ素樹脂系シーラントを
充填し、本発明に係るリチウム二次電池を作製する。
【0039】 なお、本発明のシーラントを有するリチ
ウム二次電池は上記捲回型に限定されるものではなく、
サンドイッチ型、積層型の内部電極体を有する電池にも
好適に採用される他、電池ケースに関しても円筒型に限
定されずに、角型、コインセル等の形状を有する電池に
も好適に採用することができる。これらの電池に関し
て、本発明に係るシーラントを設けることで、上述の防
水性、耐高温・高湿性、及び電気絶縁性に優れたシール
をかしめ加工部において付与することが可能である。
【0040】 一方、本発明に係るリチウム二次電池に
おいて、使用される電池ケース11の素材は、アルミニ
ウムもしくはアルミニウム合金あるいはステンレスであ
ることが好ましい。このような材料は各種の径のものが
市販されているために入手が容易でしかも安価であり、
さらに、端部の加工を容易に行うことが可能なため、低
コストながら信頼性の高いリチウム二次電池の作製が可
能となる。なお、アルミニウムとは純アルミニウムを指
すが、純度として90%以上のものであれば、問題なく
用いることが可能である。なお、同時に使用される電極
蓋16の材質には、通常は金属材料が用いられる。
【0041】 上述した本発明に係るリチウム二次電池
の特徴は、特に、電池容量が2Ah以上である大型の電
池に好適に採用されるが、このような容量以下の電池に
適用することを妨げるものではない。また、本発明のリ
チウム二次電池は、大容量、低コスト、高信頼性という
特徴を生かし車載用電池として、さらには、電気自動車
又はハイブリッド電気自動車に用いることが好ましいと
共に、高電圧を必要とされるエンジン起動用としても特
に好適に用いることができる。
【0042】 以上、本発明に係るリチウム二次電池に
ついて実施形態を示しながら説明してきたが、本発明が
上記実施の形態に限定されるものでないことはいうまで
もない。
【0043】
【実施例】 以下、本発明の具体的な実施結果を説明す
る。 (電池の作製)後述する実施例1〜3及び比較例1に係
る電池は、LiMn24スピネルを正極活物質とし、こ
れに導電助剤としてアセチレンブラックを外比で4重量
%ほど添加したものに、更に溶剤、バインダを加えて作
製した正極剤スラリーを、厚さ20μmのアルミニウム
箔の両面にそれぞれ約100μmの厚みとなるように塗
工して作製した正極板11と、これと同様の方法に加
え、カーボン粉末を負極活物質として、厚さ10μmの
銅箔の両面にそれぞれ約80μmの厚みとなるように塗
工して作製した負極板12とを用いて捲回型電極体1を
作製し、電池ケース2に収容後、非水電解液を充填して
作製した(図1〜3)。ここで、非水電解液としては、
通常ECとDECの等容量混合溶媒に電解質としてのL
iPF6を1mol/lの濃度となるように溶解した溶
液を用いるが、本実施例では、正確な水分侵入量を測定
したいため、LiPF6と水分との反応を考慮し、Li
PF6を除いたECとDECの等容量混合溶媒のみ用い
た。これら各種電池の初回充電後の電池容量は、通常の
電解液を用いた場合で全て約10Ahであった。
【0044】(水中浸漬試験)電極蓋表面上にシリコー
ン樹脂系シーラントを有する、図1の構造を備えたリチ
ウム二次電池を実施例1、同じく、エポキシ樹脂系シー
ラントを有する、図1の構造を備えたリチウム二次電池
を実施例2、同じく、フッ素樹脂系シーラントを有す
る、図1の構造を備えたリチウム二次電池を実施例3、
及びシーラントがない、図3の構造を備えたリチウム二
次電池を比較例1とし、各サンプルを、80℃の水中に
200hr浸漬した。その後、各々のサンプル内部にお
ける水分量をカールフィッシャー法により定量し、浸漬
前の水分量と比較して水分増加量を算出した。結果を表
1に示す。
【0045】(水蒸気加圧試験)電極蓋表面上にシリコ
ーン樹脂系シーラントを有する、図1の構造を備えたリ
チウム二次電池を実施例1、同じく、エポキシ樹脂系シ
ーラントを有する、図1の構造を備えたリチウム二次電
池を実施例2、同じく、フッ素樹脂系シーラントを有す
る、図1の構造を備えたリチウム二次電池を実施例3、
及びシーラントがない、図3の構造を備えたリチウム二
次電池を比較例1とし、各サンプルを、プレッシャーク
ッカー(タバイエスペック社製、高度加速寿命試験装置
(HASTチャンバー)、EHS−220(M)型)を
使用し、106℃、相対湿度98%RHの条件下で50
hr放置した。その後、各サンプルを室温下、大気中に
て放冷し、液漏れの有無を目視にて確認した。結果を表
1に示す。
【0046】
【表1】
【0047】(考察)上述した各試験の結果、本発明に
係る、電極蓋にシーラントを有するリチウム二次電池の
優れた耐水性と、耐高温・高湿性を確認することができ
た。
【0048】
【発明の効果】 以上説明したように、本発明のリチウ
ム二次電池によれば、電極蓋上部にシーラントを設けて
いるために、防水性、耐高温・高湿性等の諸性能の向上
を図ることができた。この結果、本発明に係るリチウム
二次電池は、電池特性の長期安定性及び信頼性の付与さ
れた優れた製品であり、過酷な環境条件において高出力
を長期間維持する、例えば車載用電池等として好ましい
特性を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のリチウム二次電池の一実施形態を示
す断面図である。
【図2】 捲回型内部電極体の構造を示す斜視図であ
る。
【図3】 従来のリチウム二次電池の一実施形態を示す
断面図である。
【符号の説明】
1…内部電極体、2…電池ケース、3…電極蓋、4…パ
ッキン、5…タブ、6…かしめ加工部、7…くびれ部、
8…シーラント、9…電極、10…リチウム二次電池、
11…正極板、12…負極板、13…セパレータ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 吉田 俊広 愛知県名古屋市瑞穂区須田町2番56号 日 本碍子株式会社内 Fターム(参考) 5H011 AA02 AA10 CC06 GG01 HH02 HH03 5H029 AJ13 AJ15 AK03 AL06 AL07 AM03 AM04 AM05 AM07 BJ02 BJ14 DJ02 DJ03 EJ01 EJ07 EJ12 HJ19

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 正極板と負極板をセパレーターを介して
    捲回又は積層してなる電極体及び電解液を、少なくとも
    一端部に電極蓋を備えた円筒形の電池ケースに収納し、
    該電極蓋と該電池ケースとの間にパッキンを介して該電
    池ケースをかしめ加工してなるリチウム二次電池であっ
    て、該電極蓋と該電池ケースとの間隙にシーラントを充
    填してなることを特徴とするリチウム二次電池。
  2. 【請求項2】 該シーラントがシリコーン樹脂系シーラ
    ント、エポキシ樹脂系シーラント、フッ素樹脂系シーラ
    ントのいずれかであることを特徴とする請求項1記載の
    リチウム二次電池。
  3. 【請求項3】 該シーラントの透湿係数が、75℃、9
    0%RH条件下において、500×10-9cc・cm/
    (cmHg・cm2・s)以下であることを特徴とする
    請求項1記載のリチウム二次電池。
  4. 【請求項4】 該パッキンがエチレンプロピレンゴム、
    ポリエチレン、ポリプロピレン、フッ素樹脂のいずれか
    よりなることを特徴とする請求項1記載のリチウム二次
    電池。
  5. 【請求項5】 電池ケースがアルミニウム、アルミニウ
    ム合金、ステンレスのいずれかよりなることを特徴とす
    る請求項1〜4のいずれか一項に記載のリチウム二次電
    池。
  6. 【請求項6】 電池容量が2Ah以上であることを特徴
    とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のリチウム二
    次電池。
  7. 【請求項7】 車載用電池であることを特徴とする請求
    項1〜6のいずれか一項に記載のリチウム二次電池。
  8. 【請求項8】 電気自動車又はハイブリッド電気自動車
    に用いられることを特徴とする請求項7に記載のリチウ
    ム二次電池。
  9. 【請求項9】 エンジン起動用に用いられることを特徴
    とする請求項7に記載のリチウム二次電池。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101064910B1 (ko) * 2003-11-28 2011-09-16 맥스웰 테크놀러지스 인코포레이티드 두 개의 실링 접합부를 포함하는 실링 전자 장치 및 방법
CN107528013A (zh) * 2017-08-21 2017-12-29 力神电池(苏州)有限公司 一种具有防锈功能的圆型锂离子电池及其防锈处理设备
CN114024069A (zh) * 2021-11-10 2022-02-08 广东维都利新能源有限公司 一种密封性良好的纽扣电池及封装方法

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