JP2002006571A5 - - Google Patents

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Description

【発明の名称】画像形成装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】用紙に画像を印字する印字機能部と、原稿を走査して画像を読取る原稿読取機能部と、上記原稿読取機能部が上記印字機能部の上方に位置するように上記原稿読取機能部を載置する支持体とを備え、上記印字機能部が上記支持体に載置された状態の上記原稿読取機能部に対して相対的に移動可能な画像形成装置において、
上記印字機能部下部のアクセス空間外の部分を上記支持体下方部に係止して、上記印字機能部に対する上記原稿読取機能部のアクセス方向における相対位置を規制する係止手段を備えたことを特徴とする画像形成装置
【請求項2】上記係止手段は、上記印字機能部と原稿読取機能部とのアクセス方向の相対的な係止位置を変更可能であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置
【請求項3】上記印字機能部と上記支持体との間で、かつ上記印字機能部の移動方向に、他の機能部が配置されている場合、上記印字機能部とこの他の機能部との衝突を回避するための規制部材が設けられていることを特徴とする請求項1または2記載の画像形成装置
【請求項4】上記支持体の上部に、上記係止手段による上記支持体と印字機能部との係止を解除させる解除手段を設けたことを特徴とする請求項1ないし3の何れか1項に記載の画像形成装置
【請求項5】上記印字機能部又は上記支持体の何れかに移動用コロが設けられ、上記移動用コロが設けられている上記印字機能部又は上記支持体に、上記係止手段による支持体と印字機能部との係止を解除させる解除手段を設けたことを特徴とする請求項1ないし3の何れか1項に記載の画像形成装置
【請求項6】上記印字機能部が移動用コロを有し、前記支持体側に、上記係止部材の上記支持体と上記印字機能部との係止を解除するための、足で操作可能な解除手段を設けたことを特徴とする請求項1ないし3の何れか1項に記載の画像形成装置
【請求項7】原稿を走査して画像を読み取る原稿読取機能部を上部において支持する支持体の下部に対して、用紙に画像を印字する印字機能部を少なくとも1方向に挿脱自在に備え、前記支持体又は前記印字機能部に設けた複数の係止穴の何れかに選択的に嵌入する係止棒を設け、前記1方向における前記原稿読取機能部に対する前記印字機能部の相対位置を調整してなることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】前記支持体に複数の係止穴が前記1方向に並設され、前記複数の係止穴の何れかに選択的に嵌入自在にして前記印字機能部に対して位置決めされた係止棒を設けたことを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】前記支持体において前記印字機能部を前記1方向に直交する方向に挟む両側のそれぞれに複数の係止穴が前記1方向に並設され、前記支持体の両側のそれぞれにおいて前記複数の係止穴の何れかに選択的に係止自在にして前記印字機能部に対して位置決めされた複数の係止棒を設けたことを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項10】前記支持体に前記印字機能部の一部との当接によって前記印字機能部の前記1方向における前記支持体の下部に対する挿入方向の移動範囲を規制する規制部材を設けたことを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項11】原稿を走査して画像を読み取る原稿読取機能部を上部において支持する支持体の下部に対して、用紙に画像を印字する印字機能部を少なくとも1方向に挿脱自在に備え、前記支持体に前記印字機能部の一部との当接によって前記印字機能部の前記1方向における前記支持体の下部に対する挿入方向の移動範囲を規制する規制部材を設けたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、拡張性に優れた画像形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、パソコンの急速な普及により、複写機能、ファクシミリ機能、プリンタ機能を備える複合機を構成する画像形成装置にあっては、従来の複写機をベースとした形態から、プリンタがベースの形態へと移行している。
【0003】
つまり、従来の画像形成装置の場合、スキャナ部、画像形成部、給紙部を1つの装置として構成した複写機本体に、後処理装置、原稿自動搬送装置、大容量トレイ、多段給紙デスク等の機能向上用のオプション装置が必要に応じて取り付けられていた。
【0004】
ところが、近年、オフィス等では、パーソナルコンピュータ(以下、パソコンという)、サーバー、スキャナ、プリンター等の種々の機器類をネットワーク上に連結して、各装置を使用用途に応じて効率よく使用することが必要になっている。
【0005】
このため、上記したような複写機本体を主体とした画像形成装置ではなく、複写機本体を、スキャナ部とプリンタ部とに、又は、スキャナ部と給紙部を内蔵したプリンタ部とに機能を分離したそれぞれを別々の主モジュール装置(画像を読み取ったり、印字したりするという意味で画像形成装置のベースとなるモジュールなので、主モジュール装置と呼称している)として、これらの主モジュール装置を組み合わせて、画像形成装置を形成するようになってきた。
【0006】
また、後処理装置、原稿自動搬送装置、大容量トレイ、多段給紙デスク等の、機能向上のための付属装置として扱われていた従来からのオプション装置も、ユーザーの種々の要求に細やかに対応するための装置としての位置づけがなされるようになってきており、この意味で、スキャナモジュール装置やプリンタモジュール装置のような主モジュール装置に対して、副モジュール装置として位置づけられるようになってきた。
【0007】
画像形成装置にあっては、このような主及び副モジュール装置が、必要に応じて組み合わされて使用されるようになってきている。なお、以降、スキャナモジュール装置をスキャナ装置と、プリンタモジュール装置をプリンタ装置というように、・・・モジュール装置はモジュールを除いて・・・装置と称する。
【0008】
ところで、このような各モジュール装置で構成された画像形成装置が使用されるオフィス空間では、以下のように様々な要請がなされている。
【0009】
(a) オフィス空間をより効率的に使用するために、床占有面積の小さい画像形成装置が要求されている。
【0010】
(b) スキャナ装置とプリンタ装置とが、各々単独でも(スキャナ装置については画像の読取り、プリンタ装置についてはFAXやパソコンからの送信データの印字等)、組み合わせでも(スキャナ装置で読取って、プリンタ装置で印字する)動作可能な画像形成装置が要求されており、この場合、多少の床占有面積の増加は伴うものの、機能をより効率的に使用できるように、プリンタ装置とスキャナ装置を並置して、それぞれの装置に別々の人が同時にアクセス可能な画像形成装置が望まれている。
【0011】
(c) 当然のこととして、副モジュール装置等を組み付けて複雑化した場合でも、排紙トレイの用紙の視認や除去が容易で使い勝手も良好で、ジャム処理等のトラブルに対しても対応が容易な画像形成装置が望まれている。
【0012】
このような画像形成装置に対する要請に対して、例えば特開平5−219308号公報には、多段給紙デスクの上に乗せられたプリンタ装置に対してスキャナ装置の支持体を固定し、更に、この支持体にスキャナ装置の十字状の案内溝と付勢手段を設けて、プリンタ装置の頂部に設けられた排紙トレイに対してスキャナ装置を前後左右に移動可能に構成して、排紙トレイ上の用紙を除去する際にスキャナ装置が邪魔にならないようにすると共に、画像形成装置が占有する床面積を狭くしてオフィス空間の有効利用ができるようにしている。
【0013】
また、特開平11−119497号公報では、上方の載置台と支持体本体に対して前後方向に移動可能な下方の載置台とを備えた支持体に対して、上方の載置台にスキャナ装置を乗せ、下方の載置台にプリンタ装置を乗せ、プリンタ装置の上部を支持体に固定部材で固定することで、画像形成装置の床占有面積を低減すると共に、スキャナ装置のスキャン動作時の揺れによる画像読取り精度の低下を防止し、スキャナ装置の揺れによるユーザの不安感を除くようにしている。
【0014】
また、プリンタ装置を支持体に取り付ける固定部材を取外すことで、下方へ移動可能な載置台と共にプリンター装置をスキャナー装置の直下から前方に引き出して、天カバー除去によるレーザスキャナーのメンテを行いやすくしている。
【0015】
ところが、前者の上記特開平5−219308号公報の構成では、スキャナ装置の直下にプリンタ装置を配置して画像形成装置の床占有面積をより低減した構成である(前記(a) の要請項目)ために、プリンタ装置の頂部に設けた排紙トレイの用紙を除去するに際して、スキャナ装置が邪魔にならないように、十字溝と弾性部材とで、スキャナ装置がプリンタ装置に対して前後左右に所定量移動できるようにしている。
【0016】
しかし、このような構成では、排紙トレイ上の用紙を除去するには、片方の手でスキャナ装置を弾性部材の弾性力に抗して押して、他方の手で排紙トレイ上の用紙を除去する動作となり、画像形成装置において最もアクセス頻度の高い用紙除去作業に対して除去の度にスキャナ装置を押さなければならず、使い勝手は良好とは言いがたい。
【0017】
また、一般的にスキャナ装置は、ブック原稿や貼り原稿等の自動搬送に適さない原稿も読取り可能にするために、原稿に対して往復移動して原稿を読み取る走査ユニットをその内部に備えているために、スキャナ装置のスキャン動作を行った場合、走査ユニットの往復移動時の慣性により、弾性部材で付勢されたスキャナ装置が走査ユニットの往復移動の方向に揺れることになり、特開平11−119497号公報に記載されているように、画像読取り精度が低下したり、ユーザに不安感を与えてしまうといった別の問題が生じる。
【0018】
なお、スキャナ装置とプリンタ装置との間隙を大きくすることで、このような十字溝と弾性部材を設けずとも、プリンタ装置の排紙トレイ上の用紙除去を容易にすることも考えられるが、このようにすると、スキャナ装置の原稿載置面が高くなって、身長の低い使用者にとってスキャナ装置の使い勝手が悪くなる。逆に、スキャナ装置の原稿載置面を高くせずに対応しようとすると、多段デスク装置の段数を少なくすることになり、その分、セットできる用紙サイズの種類が低減して、使い勝手が悪いものになる。
【0019】
また、後者の特開平11−119497号公報では、支持体の下方の載置台に、プリンタ装置を乗せる構成であるために、プリンタ装置を持ち上げて載置台に乗せる必要があり、画像形成装置の設置に際して、作業性の悪いものであった。
【0020】
また、この技術は、スキャナ装置の直下にプリンタ装置の排紙トレイが位置するので、用紙の視認や除去が行い難いものであった。ここでも、用紙の視認や除去を行い易くするために、スキャナ装置とプリンタ装置との間隔を広くとる構成も考えられるが、持開平5−219308号公報の場合と同じ問題が伴う。
【0021】
更に、プリンタ装置の使用者がアクセスする側の側面の上部で、プリンタ装置と支持体との固定を行っているので、後処理装置等の副モジュール装置を配置して、画像形成装置の機能の拡張をする際に、拡張のための空間に制限を加えることになり、装置の機能を制限したり、設計の自在性が低下したりする。
【0022】
また、メンテ時にプリンタ装置を引き出す場合以外、プリンタ装置とスキャナ装置との前後方向の相互位置が決まってしまって調整が行えない構成であるので、ユーザーがプリンタ頂部の排紙トレイから用紙を除去する際に感じる除去作業の容易感等、個々のユーザーで異なる作業に対する容易性に応じて細かな設定ができない。
【0023】
また、メンテ時にプリンタ装置が前方に引き出された状態の時には、スキャナ装置自体としては使用可能な状態であるにもかかわらず、使用者がスキャナ装置にアクセスするための空間をプリンタ装置が占めているためにスキャナ装置を使用できないといった問題も生じる。
【0024】
さらに、プリンタ装置がメンテナンスのために前方に引き出されたり、元に戻されたりする際のプリンタ装置の運動が、支持体を介してスキャナ装置に衝撃として伝わるので、スキャナ装置に不要な衝撃を与えることになり、故障の原因になりやすい。
【0025】
これに対し、特開平9−297440号公報には、コロ付きの多段給紙デスクの上にプリンタ装置が載せられ、その上方に、支持台(公報中ではラック2)に乗ったスキャナ装置が配置されると共に、プリンタ装置の右側面に副モジュール装置である自動両面搬送装置を配置した画像形成装置が開示されている。
【0026】
このような構成では、スキャナ装置の下方にプリンタ装置が収まるので、画像形成装置の占める床面積を小さくできる(前記(a) の要請項目)。また、ブリンタ装置側とスキャナ装置側が分離されているので、プリンタ装置とスキャナ装置を必要に応じて並置でき、プリンタ装置及びスキャナ装置それぞれに別の人が同時にアクセス可能となる(前記(b) の要請項目)。
【0027】
また、プリンタ装置をスキャナ装置の下より引き出すことで、ジャム処理も容易である。そして、プリンタ装置頂部の排紙トレイ上の用紙を除去し易いように、又はプリンタ装置損部の排紙トレイ上の用紙が見やすいように、プリンタ装置とスキャナ装置の前後方向の相互位置を適切にセットしておくことで、排紙トレイからの用紙の除去も行い易い(前記(c) の要請項目)。
【0028】
また、プリンタ装置側とスキャナ装置側が分離されているので、スキャナ装置のスキャン動作時の揺れによる振動がプリンタ装置側に伝わって画像読取り精度が低下したり、スキャナ装置の揺れにてユーザに不安感を与えるようなことがない(要請項目(d) )。
【0029】
さらに、プリンタ装置とスキャナ装置を分離できる構成であるので、プリンタ装置の移動の衝撃がスキャナ装置に伝わるようなこともない(要請項目(e) )。
【0030】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、持開平9−297440号公報の構成では、多段給紙デスク上に載せられたプリンタ装置と支持台上に取り付けたスキャナ装置との相互位置を規定する部材が無いので、相互の位置が簡単に変化してしまう。
【0031】
このため、例えば、最初は、プリンタ装置項部の排紙トレイ上の用紙を除去し易いように、又はプリンタ装置頂部の排紙トレイ上の用紙が見いように、プリンタ装置とスキャナ装置の前後方向の相互位置が適切になるようにしていても、次第に、プリンタ装置とスキャナ装置との相互位置が変わてしまい、排紙トレイ上の用紙の視認や除去のし難い位置関係になったり、画像形成装置の床占有面積が不要に大となったり、プリンタ装置があまりにも前方に位置しているために、スキャナ装置が使いにくくなったりする。
【0032】
また、使用者がプリンタ装置とスキャナ装置の前後方向の相互位置を調整するのに、調整するための基準が無いので、どの程度にしたらよいのか即座に分からず、試行錯誤の未に決定するといったことになり、使い勝手の悪いものとなっていた。つまり、画像形成装置には、スキャナ装置側とプリンタ装置側の相互位置を規制可能な構成が必要となる(要請項目(f) )。
【0033】
ところが、ここで、単にスキャナ装置側とプリンタ装置側の相互位置を規制する部材を設ければよいといものではない。つまり、
(g) 相互位置を規制する手段を設けたことで、拡張性が阻害されていはいけない。今ある画像形成装置にさらに付け足して機能の拡張が様々にできる構成でなければならない。
【0034】
(h) プリンタ装置とスキャナ装置との相互位置が調整可能であることが好ましい。
【0035】
一方、上記とは別に、このような画像形成装置では、ネットワーク上でスキャナ装置及びプリンタ装置それぞれを効率的に使用するために、個々の装置にCPUを持った制御部が設けられており、これらの制御部間が相互に通信することで画像形成装置が稼働する構成となっている。
【0036】
したがって、ネットワーク上で効率よく稼働するためには、個々の装置に設けられたこれら制御部は、種々、仕様の異なるものが存在しており、スキャナ装置を例に取れば、ページメモリの追加装備、ハードディスク装備、異なるバージョンのプリンタに対応するための制御プログラム、改訂される画像処理のソフト等に対応するので、これらに容易且つ迅速に対応できる構成であることが必要になってくる。そのため、スキャナ装置の制御部は厚みを増す方向にある。
【0037】
ところが、スキャナ装置は、プリンタ装置の上方に配置される関係上、操作性を良好にするには、スキャナ装置の薄型化が必要であり、そのため、上述の制御部をスキャナ装置の機体または筐体内部に配置しようとすると、薄型化が困難となる。また、特にスキャナ装置は、内蔵する原稿露光用の露光ランプが発熱するので、スキャナ装置内部はかなり高温になる。したがって、制御部を内蔵した状態では制御部と熱源を離すために、必然的に嵩高になってしまい、薄型化が図れない。
【0038】
そこで、本願出願人は、スキャナラックにスキャナ装置の制御部を取り付ける構成を先に提案している。このような、スキャナ装置の制御部がスキャナラックに備えられ、プリンタ装置がスキャナラックに収まった状態でプリンタ装置がスキャナ制御部に衝突する恐れのある場合には、そのプリンタ装置とスキャナ制御部との相互接近位置限度が、プリンタ装置とスキャナ装置の係止位置の範囲を設定する上で重要な条件となる(要請項目(i) )。つまり、人間工学的に操作上何ら不都合なく(使い勝手のよさを確保した上で)、プリンタ装置をスキャナ制御部にどの程度まで接近させることができるか、というレイアウト上の問題が解決されなければならない。
【0039】
本発明は、上記課題に鑑み成されたものであって、その目的は、プリンタ装置とスキャナ装置の相互位置を調整可能にしたり、プリンタ装置とスキャナ装置の相互位置を規制することで、画像形成装置の使い勝手の向上、画像形成装置の設置容易性の向上、床占有面積の低減によるオフィス空間の有効利用等を統合的に行い得る画像形成装置を提供することにある。
【0040】
【課題を解決するための手段】
この発明は、上記の課題を解決するための手段として、以下の構成を備えている。
【0041】
(1)用紙に画像を印字する印字機能部と、原稿を走査して画像を読取る原稿読取機能部と、上記原稿読取機能部が上記印字機能部の上方に位置するように上記原稿読取機能部を載置する支持体とを備え、上記印字機能部が上記支持体に載置された状態の上記原稿読取機能部に対して相対的に移動可能な画像形成装置において、上記印字機能部下部のアクセス空間外の部分を上記支持体下方部に係止して、上記印字機能部に対する上記原稿読取機能部のアクセス方向における相対位置を規制する係止手段を備えたことを特徴とする。
【0042】
この構成においては、まず、原稿読取機能部と印字機能部とは分離されており、原稿読取機能部の下に印字機能部が収まる構成であり、かつ、支持体に載置された状態の原稿読取機能部に対して印字機能部が相対的に移動可能な構成であるので、前記(a) (e) の要請項目を満足し得る。
【0043】
そして、さらに係止手段が備えられ、係止手段にて、印字機能部と支持体とを係止することで、印字機能部と原稿読取機能部とのアクセス方向の相対位置を規制できるので、前記(f) の要請項目を満足して、特開平9−297440号公報における課題を解決することができる。
【0044】
しかも、ここで係止手段は、印字機能部のアクセス空間外の下部と支持体の下方部とを係止するようになっており、かつ、相互位置を規制する手段を設けたことにより、拡張性が阻害されるようなこともなく、前記(g) の要請項目も満足できる。
【0045】
なお、上記印字機能部としては、例えば給紙機構を備えたプリンタ装置単体、或いはプリンタ装置と多段給紙デスク等の給紙装置との組合せがある。また、原稿読取機能部としてはスキャナ装置、支持体としてはスキャナラックがある。
【0046】
(2)上記係止手段は、上記印字機能部と原稿読取機能部とのアクセス方向の相対的な係止位置を変更可能であることを特徴とする。
【0047】
印字機能部と原稿読取機能部との相互位置は、画像形成装置を使用するユーザの背の高さ等によって調整する必要がある。上記の構成によれば、係止手段は相互位置の調整が可能な構成であるので、前記(h) の要請項目を満足して、相互位置の調整ができない構成に比べて、相互位置を規定できることにより奏する効果がより一層効果的に得られる。
【0048】
(3)上記印字機能部と上記支持体との問で、かつ上記印字機能部の移動方向に他の機能部が配置されている場合、上記印字機能部とこの他の機能部との衝突を回避するための規制部材が設けられていることを特徴とする。
【0049】
この構成によれば、規制手段にて、他の機能部に対する印字機能部の位置が規制されて衝突が阻止されるので、例えば、スキャナ装置の制御部を、支持体における印字機能部の背面位置に取り付けた構成としても、制御部に印字機能部が衝突するようなことがなく、要請項目(i) を満足できる。
【0050】
(4)上記支持体の上部に、上記係止手段による上記支持体と印字機能部との係止を解除させる解除手段を設けたことを特徴とする。
【0051】
この構成によれば、係止手段の係止状態を解除する解除手段を支持体の上部に設けたので、解除操作がし易く、印字機能部と原稿読取機能部との相互位置の調整がし易く、操作性に優れる。
【0052】
(5)上記印字機能部又は上記支持体の何れかに移動用コロが設けられ、上記移動用コロが設けられている上記印字機能部又は上記支持体に、上記係止手段による支持体と印字機能部との係止を解除させる解除手段を設けたことを特徴とする。
【0053】
係止状態を解除するということは、移動する側を移動させる必要がある場合である。したがって、この構成のように、移動させる側に解除手段を設ければ、解除したと同時に移動動作に移れるので、操作性が良い。
【0054】
(6)上記印字機能部が移動用コロを有し、前記支持体側に、上記係止部材の上記支持体と上記印字機能部との係止を解除するための、足で操作可能な解除手段を設けたことを特徴とする。
【0055】
この構成によれば、印字機能部を手で掴んだ状態で、足により係止手段の解除ができるので、作業性がよい。
【0056】
(7)原稿を走査して画像を読み取る原稿読取機能部を上部において支持する支持体の下部に対して、用紙に画像を印字する印字機能部を少なくとも1方向に挿脱自在に備え、前記支持体又は前記印字機能部に設けた複数の係止穴の何れかに選択的に嵌入する係止棒を設け、前記1方向における前記原稿読取機能部に対する前記印字機能部の相対位置を調整してなることを特徴とする。
(8)前記支持体に複数の係止穴が前記1方向に並設され、前記複数の係止穴の何れかに選択的に係止自在にして前記印字機能部に位置決めされた係止棒を設けたことを特徴とする。
(9)前記支持体において前記印字機能部を前記1方向に直交する方向に挟む両側のそれぞれに複数の係止穴が前記1方向に並設され、前記支持体の両側のそれぞれにおいて前記複数の係止穴の何れかに選択的に係止自在にして前記印字機能部に位置決めされた複数の係止棒を設けたことを特徴とする。
(10)前記支持体に前記印字機能部の一部との当接によって前記印字機能部の前記1方向における前記支持体の下部に対する挿入方向の移動範囲を規制する規制部材を設けたことを特徴とする。
この構成によれば、規制手段にて、印字機能部の前記1方向における支持体の下部に対する挿入方向の移動範囲が規制されるので、例えば、スキャナ装置の制御部を、支持体における印字機能部の背面位置に取り付けた構成としても、制御部に印字機能部が衝突するようなことがなく、要請項目 (i) を満足できる。
(11)原稿を走査して画像を読み取る原稿読取機能部を上部において支持する支持体の下部に対して、用紙に画像を印字する印字機能部を少なくとも1方向に挿脱自在に備え、前記支持体に前記印字機能部の一部との当接によって前記印字機能部の前記1方向における前記支持体の下部に対する挿入方向の移動範囲を規制する規制部材を設けたことを特徴とする。
この構成によれば、規制手段にて、印字機能部の前記1方向における支持体の下部に対する挿入方向の移動範囲が規制されるので、例えば、スキャナ装置の制御部を、支持体における印字機能部の背面位置に取り付けた構成としても、制御部に印字機能部が衝突するようなことがなく、要請項目 (i) を満足できる。
【0057】
【発明の実施の形態】
図1〜図4に、本発明の実施形態に係る画像形成装置の一例を示す。
【0058】
図1は本画像形成装置の(アクセス方向から見た)正面断面図、図2はその正面図、図3はその側面図、図4は、図2のA−A線矢視断面図である。
【0059】
この画像形成装置では、プリンタ装置1を核に、スキャナ装置2、自動原稿搬送装置(ADF)3、多段給紙デスク5が接続されいる。スキャナ装置2は、その上部に配置された自動原稿搬送装置3と共に、スキャナラック8に支持されることで、プリンタ装置1及びシート後処理装置4の上方に配置されている。
【0060】
また、スキャナ装置2の制御部が、スキャナ制御ユニット9として別途独立して設けられており、多段給紙デスク5に載置されたプリンタ装置1が、スキャナラック8内に収まった状態でプリンタ装置1の背面にくる位置のスキャナラック8(取付板85)に、スキャナ制御ユニット9が取り付けられている(図3参照)。
【0061】
ここで、まず、各モジュール装置について簡単に説明する。
【0062】
(プリンタ装置)
プリンタ装置1は、スキャナ装置2にて読み込まれた画像の記録出力はもとより、パーソナルコンピュータなどの画像処理装置がネットワーク等を介して接続されると、この外部接続機器からの画像データを記録出力するものである。
【0063】
プリンタ装置1は、装置本体内の略中央右側には、感光体ドラム100を中心とする電子写真プロセス部が配置されている。簡単に説明すると、感光体ドラム100の周囲には、感光体ドラム表面を均一に帯電させる帯電ローラ101と、均一に帯電された感光体ドラム上に光像を走査して静電潜像を書き込む光走査ユニット102と、光走査ユニットにより書き込まれた静電潜像を現像剤により再現する現像ユニット103と、感光体ドラム上に記憶再現された画像を記録材上に転写する転写ユニット104と、感光体ドラム上に残留した現像剤を除去して感光体ドラム上に新たな画像を記録することを可能にするクリーニングユニット105と、感光体ドラム表面の電荷を除去する除電ランプユニット(図示省略)などが順次配置されている。
【0064】
プリンタ装置1の下側には、プリンタ装置1内に内装された記録材供給部110が配置されている。この記録材供給部110から1枚ずつ分離供給された記録材は、電子写真プロセス部の感光体ドラム100と転写ユニット104の間に順次供給され、感光体ドラム100上に記録再現された画像が転写される。なお、この記録材供給部110への記録材の供給は、プリンタ装置1の正面側に記録材収容トレイ111を引き出して行う。また、装置本体の側面には、プリンタジャム処理扉27とプリンタ廃熱口28(図3参照)が設けられている。
【0065】
プリンタ装置1の下面には、周辺機器として準備されている多段給紙デスク5等から送られてくる記録材を受け入れ、電子写真プロセス部の感光体ドラム100と転写ユニット104の間に向かって順次供給するための拡張記録材受け入れ口が設けられている。電子写真プロセス部の上方には定着ユニット106が配置されており、画像が転写された記録材を順次受け入れて、記録材上に転写された現像剤を加熱定着して装置外へと記録材を排出する。画像が記録された記録材は、プリンタ装置1の上面の排出部(シート後処理装置、この場合は排出トレイ)4に排出される。
【0066】
光走査ユニット102の上下空間部には、電子写真プロセスをコントロールするプロセスコントロールユニット(PCU)基板、装置外部からの画像データを受け入れるインターフェイス基板を収納したプリンタ制御部106、インターフェイス基板から受け入れられた画像データに対して所定の画像処理を施し、光走査ユニットにより画像として走査記録させるためのイメージコントロールユニット(ICU)基板を収納した画像制御部107、そして、これら各種基板、ならびに各ユニットに対して電力を供給する電源ユニット108などが配置されている。
【0067】
また、図2乃至図4にて、6は壁面、矢印29はプリンタ廃熱口28から放出されるプリンタ廃熱流を示し、一点鎖線で囲まれた領域34は、シート後処理装置等を配設するための副モジュール配置空間、一点鎖線で囲まれた領域39は、プリンタジャム処理扉27及びデスクジャム処理扉30を開いてジャム処理をおこなう時のジャム処理使用空間を示す。また、図4にて、一点鎖線で示す45は用紙搬送センタ、46は最小用紙幅、47は用紙把持用凹部、48は記録完了後の排紙面を示す。
【0068】
(多段給紙デスク)
多段給紙デスク5は、外付けの記録材供給部であって、記録材を収容し、収容されている記録材を1枚ずつ分離して、該ユニット本体51上面に設けられた記録材排出部52に向かって供給するものである。そのユニット本体51の内部には、記録材収容トレイが3段に積層され、稼働時には、所望する記録材を収容した記録材収容トレイ53,54又は55が択一的に選択されて動作する。
【0069】
各記録材収容トレイ53,54,55への記録材の供給は、該ユニット本体51の正面側に記録材収容トレイ53,54,55を引き出して行う。また、ユニット本体51の側面には、デスクジャム処理扉30が設けられている(図3参照)。なお、今回の説明では3つの記録材収容トレイ53,54,55が積層された装置として説明しているが、多段給紙デスク5は、少なくとも1つ、もしくはそれ以上の記録材収容トレイを有する記録材供給部と記録材排出部から構成されるもの等、種々の形式のものがある。
【0070】
プリンタ装置1は、この多段給紙デスク5の上に載置され、多段給紙デスク5と一体化される。シート後処理装置4も、この多段給紙デスク5の上に載置されて一体化される。
【0071】
多段給紙デスク5の底には、移動用のコロ10が設けられると共に、後述するように、本発明の特徴である、スキャナ装置2とプリンタ装置1との相対位置を規制すべく、スキャナラック8に設けられた係止穴87(図5参照)との作用で多段給紙デスク5をスキャナラック8に対して係止する係止手段としての係止部20(図7(A)参照)が設けられている。
【0072】
(自動原稿搬送装置)
自動原稿搬送装置3は、原稿セットトレイ15上に載層された原稿を原稿載置台7上に向かって搬送し、走査後の原稿を原稿搬出トレイ16に排出する原稿搬送手段17を備えている。また、自動供給が不可能なシート物の原稿を原稿載置台7上に載置して走査可能なように、装置奥側を支点として上方に回動して、装置の手前側が開放するように構成されている。
【0073】
(スキャナ装置)
スキャナ装置2は、シート物の原稿を自動原稿搬送装置3により自動的に供給して1枚ずつ順次露光走査して原稿画像を読み取る自動読み取りモードと、ブック物の原稿、もくしは、自動原稿搬送装置3により自動供給が不可能なシート物の原稿をマニュアル操作によって、セットして、原稿画像を読み取る手動読み取りモードとを備えている。
【0074】
そして、透明な原稿載置台7上にセットされた原稿の画像を、相互に所定の速度関係で原稿載置台7に沿って移動する第1走査ユニット11及び第2走査ユニット12で露光走査をおこない、ミラーや結像レンズ13等の光学部品で導いて光電変換素子14上に結像させることで、原稿画像を電気信号に変換した後出力するまた、図2及び図3に示すように、装置本体のアクセス側の上部には、操作パネル35が設けられ、装置本体の側面にはスキャナ廃熱口36が開設されている。なお、37(矢印)はスキャナ廃熱流を示す。
【0075】
(スキャナラック)
図5に、スキャナ装置2を支持するスキャナラック(支持体)8の斜視図を示す。このスキャナラック8は、正面、両側面並びに背面は開放された構造で、角パイプからなる。その背面側は矩形の枠状に形成され、この枠81の上部両側に、スキャナ支持用の支持アーム82,82が取り付けられ、この両支持アーム82,82間にラック天板83が取り付けられている。そのラック天板83は、両側部が折曲されて、その折曲部が、支持アーム82,82に対して螺子止めによって固定されている。
【0076】
その支持アーム82には、スキャナ装置2の底面に下向きに突設形成された足(図示省略)が入る凹部84…が形成されており、各凹部84にスキャナ装置2の足を嵌入させることで、スキャナ装置2が、両支持アーム82,82の上に安定な載置状態で支持されることとなる。
【0077】
また、スキャナラック8の背面を構成する上記枠81には、スキャナ装置2の制御部であるスキャナ制御ユニット9をラック8に取り付けるための取付板85が取り付けられている。この取付板85は両側部が折曲された板金からなり、枠81内に嵌め込まれてその両側部が螺止めにより固定されるが、その取付け位置は枠81内であれば、自由に変更できるものである。
【0078】
上記枠81の下部には、水平に延びる2本の支持足86,86が取り付けられている。そして、詳細には後述するが、この支持足86,86には、本発明の特徴である、プリンタ装置1とスキャナ装置2との相互位置を規制するための係止穴87が複数形成されている。
【0079】
さらに、この支持足86,86には、プリンタ装置1を収納する際に、その背面に設けられたスキャナ制御ユニット9(図3参照)に衝突しないように、多段給紙ユニット5の下部背面に当接して、その移動をスキャナ制御ユニット9の直前位置で規制する(停止させる)規制部材50,50が突設されている。
【0080】
(スキャナ制御ユニット)
図6に、スキャナラック8の背面側に取り付けられる、スキャナ装置2の別ユニット化されたスキャナ制御ユニット9を示す。同図に示すように、スキャナ制御ユニット9は、矩形の箱型をなし、その一端面には、スキャナ装置2との接続コネクタ91、プリンタ装置1との接続コネクタ92、ネットワークとの接続コネクタ93が設けられ、他の端面には、スキャナ制御部独自の電源スイッチ94、メモリ増設用のスロットル95、ハードディスク増設用開口部96が設けられている。
【0081】
以上のように構成される画像形成装置では、別ユニット化されたスキャナ制御ユニット9を、コネクタにより接続させる構成とし、かつ、スキャナラック8の取付板85に支持させたので、スキャナ装置2の薄型・コンパクト化が可能となる。
【0082】
また、スキャナ装置2が、プリンタ装置1から分離され、スキャナ装置2の下にプリンタ装置1が収まる構成であり、かつ、スキャナラック8に載置された状態のスキャナ装置2に対して、プリンタ装置1が相対的に移動可能な構成であるので、まず、オフィス空間をより効率的に使用するために、床占有面積を小さくすることができる。
【0083】
また、プリンタ装置1とスキャナ装置2の並置により、それぞれの装置に別々の人が同時にアクセス可能であり、機能をより効率的に使用できる。そして、シート後処理装置等の副モジュール装置等を組み付けて高機能化した場合(図12参照)でも、排紙トレイの用紙の視認や除去が容易で使い勝手も良好であり、かつ、ジャム処理等のトラブルに対しても容易に対処することができる。
【0084】
さらに、プリンタ装置1とスキャナ装置2が分離されているので、スキャナ装置2のスキャン動作時の揺れによる振動が、プリンタ装置1に伝わって画像読取り精度が低下したり、スキャナ装置2の揺れにてユーザに不安感を与えるようなことがなく、結果として、印字品質の低下を防止することができる。
【0085】
また、プリンタ装置1とスキャナ装置2を分離できるので、プリンタ装置1の位置を調整する際に、プリンタ装置1の移動による振動や衝撃がスキャナ装置2に伝わるようなこともない。
【0086】
次に、図7(A)(B)及び図8(A)(B)により、上記多段給紙デスク5の底部5a(印字機能部であるプリンタ装置1下部のアクセス空間以外の部分)に設けられた係止部(係止手段)20の構造を説明する。なお、図7(A)は係止部20の側面構成図、(B)は平面構成図である。
【0087】
係止部20は、スキャナラック8の支持足86(支持体の下方部)に形成された係止穴87に先端部が入する係止棒21を有する。係止棒21の中間部にはツバ部21aが形成され、その下部が、多段給紙デスク5の底面5aに形成された孔aに抜け止め状態に嵌挿され、かつ、その上部が、多段給紙デスク5の底面5aに立設された支持フレーム23に上下方向にスライド可能に支持されている。そして、支持フレーム23とツバ部21aとの間に、付勢バネ22が掛張され、係止棒21が、スキャナラック8の方に(下方に)付勢されている。
【0088】
係止棒21の後端(上端)には、多段給紙デスク本体側に設けたプーリー24,24に巻き掛けられたワイヤ19の一端が固定され、そのワイヤ19の他端が、多段給紙デスク5の前側フレーム5bに設けられた開口26に移動自在に嵌入された解除ツマミ(解除手段)25に固定されている。解除ツマミ25は、解除時に指で掴まれる把持部25aと、ツバ部25cと、係止部25b及びガイド部25dとで構成されている。
【0089】
解除ツマミ25の長手方向に垂直な方向の係止部25bにおける断面の外形は、開口26の形状より若干小さく形成してある。また、解除ツマミ25のガイド部25dは、開口26の円弧部26aよりもやや小さい径の円柱状に形成されている。解除ツマミ25のツバ部25cは、ワイヤ19を介して付勢バネ22の付勢力が作用した際に、多段給紙デスク5の前側フレーム5bに当接して、それ以上、解除ツマミ25が内方に移動しないようにするためのストッパーの働きをしている。
【0090】
解除ツマミ25を指で把持して、画像形成装置の前方側(図中のB方向)に引いて、解除ツマミ25の係止部25bが開口26から手前側に出た後に、解除ツマミ25を90度程度回転すると(図8(B)の状態)、その位置で解除ツマミ25が係止され、ワイヤ19が引かれるために、係止棒21はスキャナラック8の係止穴87から抜ける。
【0091】
この状態で、多段給紙ユニット5を移動して、プリンタ装置1とスキャナラック8のアクセス方向における相互位置を適切に調整した後に、再度、解除ツマミ25を逆回転して、解除ツマミ25の係止部25bが開口26に入るように操作すると、係止棒21はスキャナラック10の他の係止穴30に入して、プリンタ装置1とスキャナラック8のアクセス方向における相互位置を固定できる。
【0092】
尚、この事例は、多段給紙デスク5の底面5aからスキャナラック8の支持足86の上面側に係止棒21を突出させる構成としたが、多段給紙デスク5の側面からスキャナラック8の支持足86の内側面側に係止棒21が突出するように構成しても良い。この場合は、スキャナラック8の支持足86の高さを図7の多段給紙デスク5の底面5aよりも上方に位置するように対応させればよい。
【0093】
この事例のように、床面を移動させるためのコロを有した側に(移動可能な装置側に)解除手段25を設ければ、解除の際に、解除手段25を操作して、プリンタ装置1とスキャナラック8とを解除した後、そのままの姿勢(位置)で、移動可能な装置(本事例ではプリンタ装置1)を移動させることができ、解除作業と係止作業をきわめて作業性よく行うことができる。
【0094】
また、係止手段と解除手段の別の事例としては、図9(A)(B)に示すように、スキヤナラック8の支持足86側から多段給紙デスク5に対して係止棒21を突出させるように構成しても良い。この場合、スキャナラック8の支持アーム82の前面側に、同様の解除ツマミ25を設けて、その解除ツマミ25に、中空のスキャナラック8の内部に設けたプーリー24に張架されたワイヤ19の一端を固定し、ワイヤ19の他端を復帰バネ31により矢印D方向に付勢されているスライダ部材33に固定する。
【0095】
そのスライダ部材33は、テーパー状に形成された摺接面sを有し、その摺接面sに、付勢バネ32によってスライダ部材33側(下向き)に付勢された係止棒21の半球状に形成された下端部が当接する。その係止棒21の上半部は、スキャナラック8の支持足86の上面側に形成された開口bを貫通して上方に突出し、その下部(スライダ部材33の側)には、付勢バネ32を係止させるためのツバ部cが形成され、係止棒21が下向きに付勢されている。図示の状態では、係止棒21の上部が、多段給紙デスク5の底面5aに形成された係止口5dに入し、その多段給紙デスク5をスキャナラック8に係止する。
【0096】
このような構成により、解除ツマミ25を引き出すと(図中B方向)、復帰バネ31の引っ張り力に抗して、スライダ部材33が、図中のE方向に移動する。これにより、付勢バネ32によって下向きに付勢されている係止棒21の下端が、スライダ部材33の摺接面sを移動して、その係止棒21が下降し、その上部が多段給紙デスク5の底面5aに設けた係止口5dから離脱する。これにより、多段給紙デスク5のスキャナラック8に対する係止状態が解除され、多段給紙デスク5が移動自在となる。
【0097】
また、解除ツマミ25を戻す(図中のC方向)と、復帰バネ31の作用によりスライダ部材33は図中のD方向に移動して、係止棒21が押し上げられて、その上部が、多段給紙デスク5の底面5aに設けた係止口5dに嵌入して、多段給紙デスク5をスキャナラック8に係止する。なお、この場合、係止棒21を係止させるための係止口5dは、多段給紙デスク5のアクセス方向の移動範囲を勘案して、底面5aに適当数形成しておけばよい。
【0098】
係止手段と解除手段の更に別の事例では、図10(A)(B)に示すように構成することもできる。この場合、スキャナラック8の支持足86に、回転自在な軸40を設けて、その両側に、抜け止めストッパ40a,40aを係止させ、その紬40の軸方向への移動を拘束し、かつ、その軸40の支持足86内の部分に、板部材よりなるアーム部42を固定する。なお、図10(A)は係止手段と解除手段の側面構成図、(B)は平面構成図である。
【0099】
このアーム部42上に硬質ゴム等のストッパー(係止手段)43を固設して、そのストッパー43の上半部を、支持足86の上面に形成した開口89から上向きに突出させると共に、アーム部42の先端下面に、そのアーム部42を上方に付勢する付勢バネ44を設け、開口89から上向きに突出したストッパー43の上端部を、多段給紙ユニット5の底面5aに圧接状態に当接させて、その静止摩擦力により、多段給紙デスク5をスキャナラック8に係止するようにする。そして、支持足86の外側(多段給紙デスク5とプリンタ装置1を搬入する側の反対側)に突出した軸40の端部には、足踏み用の解除手段としてのペダル41を固定状態に設ける。
【0100】
このような構成により、多段給紙ユニット5を移動する際には(上部にプリンタ装置1が載置されているのでプリンタ装置1も同時に移動する)、ペダル41を足で踏むと、軸が図10(A)中で反時計方向に回転し、多段給紙ユニット5の底面5aに圧接していたストッパー43が下降して、その底面5aから離間する。これにより、スキャナラック8と多段給紙ユニット5との係止は解除されて、多段給紙デスク5はコロ10により移動自在になるので、この状態で多段給紙ユニット5を、所定の位置に移動させることができる。
【0101】
従って、多段給紙デスク5を操作している手を使用することなく、足でペダル41を踏んで、多段給紙ユニット5とスキャナラック8との係止を解除できるので、作業性が著しく向上する。なお、この場合、硬質ゴム等からなるストッパー43に代えて、図9のような、多段給紙デスク5の底面5aに形成した係止口5dに係止入する係止棒21を採用してもよい。
【0102】
次に、図11は、このような画像形成装置を設計する上で重要な、各ユニット部の高さ、幅の寸法を示す説明図であり、同図により、プリンタ装置1(及び多段給紙デスク5)とスキャナ装置2との相対的な対応位置関係等について説明する。
【0103】
画像形成装置を構成する各種モージュール装置の設計は、標準身長で行われるが、標準身長からかなり離れた身長の人であっても同程度に楽に使用するには、人間工学的に考察すると、装置の適切な配置高さは、肩の水平ラインと上下視角とにより決定される。
【0104】
通常時の操作性を簡単にするには、頂面に排紙部をもつプリンタ装置1の頂面高さと、自動原稿搬送装置3の頂面高さ、スキャナ装置2の頂面高さとが、ほぼ立ち姿勢にある使用者が手を操作できる範囲にほぼ入っている必要がある。
【0105】
上記画像形成装置では、操作性を考慮して、画像形成装置の占有面積は若干増加するものの、スキャナ装置2の下に配置したプリンタ装置1を、スキャナ装置2よりもアクセス方向(正面側)に少し前に出た位置とする。そして、このような操作性を追求することにより形成された、プリンタ装置1の背面側の空間に、スキャナ制御ユニット9を配置し、空間の有効利用を図っている。
【0106】
プリンタ装置1が、スキャナ装置2よりも正面に迫り出す距離は、操作者の身長や、或いは、設置するオフィス環境によって細かく調整する必要があるので、本画像形成装置では、例えば、図5に示すように、スキャナラック8の支持足86に係止穴87を複数設け、最適な相対位置にて、多段給紙デスク5およびプリンタ装置1を固定できるようにしている。
【0107】
また、上記画像形成装置では、スキャナ装置2の制御部(スキャナ制御ユニット9)を別ユニット化してスキャナラック8におけるプリンタ装置1の背面位置に取り付けたため、多段給紙デスク5とスキャナラック8との係止を解除して、その多段給紙デスク5とプリンタ装置1を奥側に収納しようとする際に、そのプリンタ装置1が、スキャナ制御ユニット9に衝突しないように、前述したように、スキャナラック8の支持足86には、規制部材50を設けている(図5参照)。
【0108】
すなわち、プリンタ装置1と共に多段給紙デスク5を奥側に移動させると、所定の位置で、多段給紙デスク5の背面下部が、その規制部材50に当接し、(多段給紙デスク5と一体の)プリンタ装置1が、スキャナ制御ユニット9の直前位置にて停止し、衝突が回避される。なお、その規制部材50としては、衝突時の衝撃を吸収し得る、例えば弾性部材から形成する構成等が好ましい。
【0109】
また、上記の画像形成装置の構成では、スキャナ装置2及びプリンタ装置1の各廃熱口を、どちらも、正面から見て右側の側面に側面に配置しているので(図2参照)、プリンタ装置1の背面側に位置するスキャナ制御ユニット9に、廃熱流が当たることもなく熱に弱い制御部を保護することができる。プリンタ装置1における主たる熱源としては、LSU、定着装置があるが、これらで発生した熱は、共通のプリンタ廃熱口にプリンタ装置1内に設けたダクトを通して導かれる。
【0110】
また、上記画像形成装置においては、使用者は正面側もしくは左側面倒から操作することとなる。右側側面は主に、プリンタ装置1であれば用紙搬送路、スキャナ装置1であればローラ等の駆動手段の配置位置であり、ジャム時に開放される処理扉を備えた側である。このような、使用者が普段アプローチしない側に廃熱口をまとめておくことで、廃熱流による臭気や熱にて使用者を不快にすることがない。
【0111】
なお、異常時は、基本的に安全性のために電力供給が遮断されるので、廃熱口に設けられた廃熱用ファンは作動せず、廃熱流は発生しない。したがって、ジャム処理側に廃熱口をまとめても、何等問題ない。
【0112】
以下に、参考までに、図11に示す各寸法について簡単に説明する。
【0113】
Hy :印字要部の排出される高さ(Hp+Hd)
Hg1:自動原稿搬送装置使用時の原稿セットおよび排出高さ
Hg2:プラテン使用時の原稿セットおよび排出高さ
Ha :自動原稿搬送装置の高さ
Hs :スキャナの高さ
Hp :プリンタの高さ
Hd :デスクの高さ
Da1:シートガイドやローラの支持やキャビネットの配置される空間(A1 9の奥行き寸法
Da2:自動原稿搬送装置のシート搬送に係わる空間(A2)の奥行き寸法
Da3:ローラ等の駆動手段の配置空間(A3)の奥行き寸法
Ds1:操作パネル配置空間(Sl)の奥行き寸法
Ds2:スキャナのシート搬送に係わる空間(S2)の奥行き寸法
実際には、原稿の走査域、原稿のセット域、・走査手段の配置域等が 該当する。
【0114】
Ds3:走査手段の駆動手段の配置空間(S3)の奥行き寸法
Dp1:プリンタ装置1のシート搬送手段や画像形成手段の支持や駆動手段の 配置に係わる空間(Pl)の奥行き寸法
Dp2:プリンタ装置1のシート搬送手段や画像形成に係わる空間(P2)の 奥行き寸法
Dp3:プリンタ装置1のシート搬送手段や画像形成手段の支持や駆動手段の 配置に係わる空間(P3)の奥行き寸法
Dd1:デスク10のシート搬送手段や画像形成手段の支持や着脱操作、前 側ギヤビネットの配置に係わる奥行き寸法
Dd2:デスク10のシート搬送に係わる空間(D2)の奥行き寸法
Dd3:デスク10のシート搬送手段や画像形成手段の支持や駆動手段の
配置に係わる空間(D3)の奥行き寸法
Dh :用紙取り出しの作業用空間の奥行き寸法
Dm :操作性を考慮してプリンタ装置1とスキャナ装置2を上下に配置した 場合に無駄になる空間の奥行き寸法
So :作業用の空間
Sd :操作性を考慮してプリンタ装置1とスキャナ装置2を上下に配置した 場合に無駄になる空間
MAX :最大幅の原稿
MIN :最小幅の原稿
MAX :最大幅の用紙
MIN :最小幅の用紙
h :原稿の搬送センタ
i :用紙の搬送センタ
次に、図12に、本発明の異なる実施形態に係る画像形成装置を示す。この場合、図1の構成にさらに、シート後処理装置4が接続されている。シート後処理装置4が搭載される場合、プリンタ装置1の上部に設けられた排紙部より出力される用紙をシート後処理装置4に導くための中継搬送ユニット6も同時に組み込まれる。以下に、シート後処理装置4と、中継搬送ユニット6について説明する。
【0115】
(シート後処理装置)
シート後処理装置4は、プリンタ装置1から排出される画像の記録された記録材を受け取り、記録材に対して後処理を施すものである。後処理としては、ステーブル処理、ソート処理等あるが、ここに例示されている装置は、3つの排紙トレイ141,142,143を備えた構成であって、必要に応じて排出トレイ141─を切り替えてシートを排出できる。各トレイに、大量のシートを受載できる。
【0116】
(中継搬送ユニット)
中継搬送ユニット6は、プリンタ装置1の排紙部48に装着され、プリンタ装置1から排出される画像が記録された記録材を、プリンタ装置1の下流側に位置するシート後処理装置4に向かって導入するための搬送ユニットである。
【0117】
また、この中継搬送ユニット6の記録材搬送経路61の途中には、記録材を該ユニットの上面へと一時的に導き、記録材両面搬送装置(図示省略)に向かって記録材がスイッチバック搬送されるように、案内支持する記録材保持面62を備えている。
【0118】
なお、上記の説明では、多段給紙デスク5の側にコロ10を設けて移動側としたが、スキャナラック8側にコロ10を設けて、スキャナ装置2側を移動側とする構成も可能である。但し、通常、このような画像形成装置は、背面側を壁に向けて設置されることが多いので、正面側(アクセス方向)に引き出されるプリンタ装置1側を移動させる構成とする方の需要が高い。
【0119】
【発明の効果】
本発明によれば、以下の効果が得られる。
【0120】
(1)原稿読取機能部と印字機能部とが分離されており、原稿読取機能部の下
に印字機能部が収まる構成であり、かつ、支持体に載置された状態の原稿読取機能部に対して印字機能部が相対的に移動可能な構成であるので、以下の効果を奏する。
【0121】
(A) オフィス空間をより効率的に使用するために、床占有面積の小さい画像形成装置を形成することができる。
【0122】
(B) プリンタ装置とスキャナ装置を並置して、それぞれの装置に別々の人が同時にアクセス可能であり、機能をより効率的に使用できる。
【0123】
(C) シート後処理装置等の副モジュール装置等を組み付けて複雑化した場合でも、排紙トレイの用紙の視認や除去が容易で使い勝手も良好であり、かつ、ジャム処理等のトラブルに対しても容易に対処することができる。
【0124】
(D) プリンタ装置側とスキャナ装置側が分離されているので、スキャナ装置のスキャン動作時の揺れによる振動が、プリンタ装置側に伝わって画像読取り精度が低下したり、スキャナ装置の揺れにてユーザに不安感を与えるようなことがない。
【0125】
(E) さらに、プリンタ装置とスキャナ装置を分離できる構成であるので、プリンタ装置の移動の衝撃がスキャナ装置に伝わるようなこともない。
【0126】
そして、係止手段にて、印字機能部と支持体とを係止するので、
(F) 操作性のよい適切な位置で、スキャナ装置側とプリンタ装置側の相互位置を係止状態に固定することができる。
【0127】
しかも、係止手段は、印字機能部のアクセス空間外の下部と支持体の下方部とを係止するので、
(G) 機器のレイアウト上何ら邪魔にならず、機能の拡張性が阻害されない。
【0128】
(2)上記係止手段は、上記印字機能部と原稿読取機能部とのアクセス方向の相対的な係止位置を変更可能としたので、
(H) プリンタ装置とスキャナ装置との相互位置の調整が可能となり、ユーザの背の高さに応じた調整が可能となり、良好な操作性を確保することができる。
【0129】
(3)印字機能部と他の機能部との衝突を回避するための規制部材を設けたので、
(I) 印字機能部と他の機能部との相互接近位置限度を、規制部材によって明確に設定できるため、操作性を確保し、かつ、他の機能部との衝突による機器の破損を回避することができるレイアウト上の条件を明確に設定することができる。
【0130】
(4)上記支持体の上部に、上記係止手段による上記支持体と印字機能部との係止を解除させる解除手段を設けたので、解除操作がし易く、印字機能部と原稿読取機能部との相互位置の調整がし易く、操作性が向上する。
【0131】
(5)移動用コロが設けられている側に、解除手段を設けので、解除操作と同時に、そのまま移動動作に移れるので、操作性が著しく向上する。
【0132】
(6)足で操作可能な解除手段を設けたので、印字機能部を手で掴んだ状態で、足により係止手段の解除ができるので、作業性が顕著に向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の全体構成を示す断面図である。
【図2】同画像形成装置の正面図である。
【図3】同側面図である。
【図4】同図2のA−A線矢視断面図である。
【図5】同支持体の斜視図である。
【図6】同スキャナ制御部の斜視図である。
【図7】同係止手段の構成説明図である。
【図8】同解除手段の斜視説明図である。
【図9】同別の係止手段と解除手段の構成説明図である。
【図10】同更に別の解除手段の構成説明図である。
【図11】同プリンタ装置とスキャナ装置の相対位置関係の説明図である。
【図12】本発明の異なる実施形態に係る画像形成装置の全体構成を示す断面図である。
【符号の説明】
1−印字機能部
2−原稿読取機能部
8−支持体
10−移動用コロ
20−係止手段
25−解除手段
41−解除手段
43−係止手段
50−規制手段
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