JP2002005972A - 伝送線路の伝送損失を解析する方法及びその方法に用いる測定治具 - Google Patents

伝送線路の伝送損失を解析する方法及びその方法に用いる測定治具

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JP2002005972A
JP2002005972A JP2000188155A JP2000188155A JP2002005972A JP 2002005972 A JP2002005972 A JP 2002005972A JP 2000188155 A JP2000188155 A JP 2000188155A JP 2000188155 A JP2000188155 A JP 2000188155A JP 2002005972 A JP2002005972 A JP 2002005972A
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Kazuo Kaneko
一男 金子
Hiroyuki Kuritani
弘之 栗谷
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 精度に優れた伝送線路の伝送損失を求める。 【解決手段】 伝送線路を挟まずに、第1の治具の第1
の凹部と第2の治具の第2の凹部とを対向させた状態
で、前記第1の治具を介して入力した入力信号の周波数
を変化させながら負荷の電圧を測定して、基準値とす
る。前記第1の治具と第2の治具との間に前記伝送線路
を挟んだ状態で、負荷の電圧を測定する。測定電圧の極
大点を結んだ第1の包絡線を設定する。測定電圧の極小
点を結んだ第2の包絡線を設定する。ある周波数におけ
る第1の包絡線上の第1の値と第2の包絡線上の第2の
値とに基づいて、伝送線路の伝送損失を求める。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、伝送線路の伝送損
失を求める方法に関し、特に、マイクロ波域に適用され
る伝送線路の伝送損失を解析する方法及びその方法に用
いる治具に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、ストリップライン、マイクロス
トリップライン又は同軸線路のような伝送線路の減衰定
数を測定する方法がある。これらの方法は、長さのみが
それぞれ異なる線路を3つ以上準備し、各線路の入力信
号に対する出力信号の差を測定して求めるのが通常であ
った。
【0003】ところで、これらの測定を行う場合、入力
と出力とのそれぞれに、測定器の同軸ケーブルが接続さ
れるため、同軸コネクタが直接試料と接続されなければ
ならず、当然ながら、接続したために損失が発生する。
この損失は、周波数特性を有しているので、長さの異な
る線路で測定した結果、誤差が生じる。
【0004】本発明者は、以上の課題を解決するため、
特開平6−273464号公報に開示するような伝送線
路の減衰定数を測定する方法及びそのための測定治具を
開発した。
【0005】即ち、測定のための信号を入力する入力側
同軸コネクタと、測定のために出力信号を取り出す出力
側同軸コネクタと、この2つの同軸コネクタと電気的に
結合される伝送線路と、前記コネクタと、コネクタとを
固定する導電性筐体と、前記同軸コネクタと前記伝送線
路との位置関係を維持するための金具とからなる。前記
伝送線路において、その一方の端部は前記同軸コネクタ
の芯線との間にギャップを設けることによって容量結合
される。他方の端部は、前記同軸コネクタの芯線との間
にギャップを設けることによって容量結合される。
【0006】その入力同軸コネクタに、一定の大きさの
入力信号を与え、出力側で周波数に対する出力信号の大
きさを測定する。出力信号の極大側の包絡線と、出力信
号の極小側の包絡線とを求め、その差P(dB)を求める
ことによって、伝送損失α(dB/m)を α=(1/2)・ln[(U+1)/(U−1)]・(1/L)・8.686 (dB/m) =(1/2)・ln[(U+1)/(U−1)]・(1/L)(NP/m) ただし、U=10P/20 …(式4) より求める方法を提供した。これによれば、測定は、複
数の伝送線路を用いることなく、且つ簡便に行われる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この方
法を用いて測定すると、入力信号の周波数が高くになる
につれて、伝送損失の測定精度が低くなるという問題が
生じた。そして、伝送損失の誤差を含んだ伝送線路は、
製品に組み込まれたとき、定格よりも多い又は少ない電
流を通電させ、各種問題を生じさせる。即ち、伝送線路
は、設計通りの性能を出せないばかりでなく、通信にお
いては、伝送距離が長くなると、感度が低下する。
【0008】そこで、本発明は、以上の課題を解決する
ためになされたものであって、その目的は、精度に優れ
た伝送線路の伝送損失を解析する方法とその方法に用い
る測定治具を提供する。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、第1の発明の特徴は、第1の端部と第2の端部とを
有する伝送線路と、第1の凹部を有し且つ前記第1の端
部と前記第1の凹部を介して接続された第1の治具と、
第2の凹部を有し且つ前記第2の端部と前記第2の凹部
を介して接続された第2の治具と、前記第2の治具に接
続された負荷を備えた測定系において、前記伝送線路を
挟まずに、前記第1の治具の第1の凹部と前記第2の治
具の第2の凹部とを対向させた状態で、第1の治具を介
して入力した入力信号の周波数を変化させながら、前記
負荷の電圧を測定して、基準値とし;前記第1の治具と
第2の治具との間に前記伝送線路を挟んだ状態で、前記
負荷の電圧を測定し;前記測定電圧の極大点を結んだ第
1の包絡線を設定し;前記測定電圧の極小点を結んだ第
2の包絡線を設定し;ある周波数における前記第1の包
絡線上の第1の値と前記第2の包絡線上の第2の値とに
基づいて、前記伝送線路の伝送損失を求める。
【0010】好ましくは、式1から前記伝送線路の伝送
損失を求める。
【0011】
【数4】 好ましくは、式2から伝送線路の伝送損失を求める。
【0012】
【数5】 好ましくは、式3から伝送線路の伝送損失を求める。
【0013】
【数6】 第2の発明の特徴は、伝送損失測定用の治具であって、
信号導体と、接地導体からなり、前記信号導体の端部が
前記接地導体の端部から、ギャップ分凹んでいる。
【0014】第3の発明の特徴は、第1の治具に画成さ
れた第1の凹部と第2の治具に画成された第2の凹部と
を短絡させ、所定範囲の周波数の入力信号を入力し、基
準値を測定し;伝送線路の第1の端部に第1の凹部を介
して第1の治具と、前記伝送線路の第2の端部に第2の
凹部を介して第2の治具と、を取り付け、所定範囲の周
波数の入力信号を入力して、出力信号を測定し;前記出
力信号と基準値とに基づいて、前記伝送線路の透過係数
を算出し;前記透過係数の極大点を結んだ第1の包絡線
を設定し;前記透過係数の極小点を結んだ第2の包絡線
を設定し;ある周波数における前記第1の包絡線上の第
1の値と前記第2の包絡線上の第2の値に基づいて、前
記伝送線路の伝送損失を求める。
【0015】以上の発明によれば、解析の条件から、治
具凹部の周波数特性の影響を取り除いて、伝送線路を解
析の対象としたので、高周波域においても、凹部、即ち
容量成分の影響を受けずに、精度良く、伝送線路の伝送
損失が解析される。
【0016】次に、この発明の原理について説明する。
図1は、伝送損失を測定する伝送線路、治具、測定用信
号源及び負荷についての等価回路に示す。ここで、Zoo
は伝送線路の特性インピーダンス(Ω)、γは伝搬定
数、αは伝送損失(dB/m)、β=2π/λは位相定
数、λは波長である。
【0017】等価回路1は、測定対象の伝送線路2と、
伝送線路2の入力側に接続された容量素子3と、伝送線
路の2の出力側に接続された容量素子4と、容量素子3
に接続された電源の内部インピーダンス5、電源6と、
容量素子4と接続された負荷素子7とから構成されてい
る。なお、点線は、ネットワークアナライザ(N/A)を
示す本発明者は、鋭意検討の結果、以下の知見を得た。
即ち、先に出願した特開平6−273464号公報に開
示した方法において、動作伝送係数は、図3に示すよう
に一点鎖線Bで囲んだ部分を、4端子定数の定義から、
求めている。近似式を求める過程で、式中に容量素子の
等価成分を含んでいるが、周波数による依存度を考慮し
ておらず、高周波域で誤差に影響しているものと考え
た。
【0018】そこで、本発明の動作伝送係数Sbは、図2
に示す一点鎖線Aで囲んだ部分を図5(a)に示す等価
回路と同等と考えた。そして、4端子定数の定義から、
伝送線路の伝送損失を解析した。
【0019】これによって、動作伝送係数Sbを求める
と、
【数7】 と求めることができ、ネットワークアナライザによる測
定値をS21(透過係数)とすると、 S21=1/Sb …(式6) の関係がある。
【0020】4端子定数は、 A=cosh (γL) B=Zoo・sinh (γL) C=sin (γL) /Zoo D= A ただし、X=−1/(ωCg) (Cg1=Cg2=Cg)と表される。
【0021】さらに、Zs=Zp=Zo + jXであるから
【数8】 となり、式5より次式が得られる。
【0022】 Sb=cosh (γL) +(RR+jXX)・sinh (γL)…(式7) RR=(1/2)・{(Zoo・Zo)/( Zo2 +X2)+Zo/Zoo} XX=−(1/2)・{(Zoo・X)/(Zo2+X2)−X/Zoo} 故に、ネットワークアナライザの測定値は、次式とな
る。
【0023】 S21=(1/|Sb|)・e−jθ…(式8) 但し、θ=tan−1(Sbi/Sbr) Sbr=coshαL・cosβL+RR・sinhαL・cosβL−XX・coshαL・sinβL =(coshαL+R2・sinhαL)・cosβL−X2・coshαL・sinβL Sbi=(sinhαL+RR・sinhαL)・sinβL+XX・sinhαL・cosβL となる。
【0024】また、βL=(2π/λ)・Lなので、 L=n(λ/2) ならばβL=nπ、 但しn=1,2,3… ∴cosβL=±1 sinβL=0 L=(2n−1)λ/4 ならば βL=(2n−1)π/2 ∴cosβL=0、sinβL=±1 であるから、 1/|S21|2=(Sbr2+Sbi2) これは、cosβL=±1、sinβL=0のとき Sbr1=±(coshαL +RRsinhαL) Sbi1=±XX・sinhαL cosβL=0、 sinβL=±1 Sbr2=±XX・coshαL Sbi2=±(sinhαL +RR・sinhαL) となり、測定値S1、S2は、
【数9】 これは、S21の下側包絡線と考えられる。
【0025】
【数10】 これは、S21の上側包絡線と考えられる。
【0026】近似(1)として、
【数11】 S=S1/S2とおいて、伝送損失(減衰定数)αは
【数12】 となる。
【0027】また、近似(2)として、Zo≪XX、Zoo≒Z
o とし、故に、RR≒1/2とすると、
【数13】 となり、伝送損失(減衰定数)αは、
【数14】 よりS1とS2とを代入して、αを算出することができる。
【0028】さらに、近似(3)として、
【数15】 とおいて、
【数16】 より、S1、S2、Zo、Zooを代入して、αが求まる。
【0029】一方、従来の方法は、図3の点線Bで囲ま
れた部分について、4端子定数を適用していた。
【0030】A=cosh(γL)+(jX/Zoo)・sinh(γL) B=(Zoo−X/Zoo)・sinh(γL)+j2Xcosh(γL) C=(1/Zoo)・sinh(γL) D=A ただし、X=−1/(ωCg) (Cg1=Cg2=Cg) これを、式5へ代入すると、 Sb=(1+j(X/Zo))・cosh(γL)+[(Zo/Zoo+Zoo/Zo−X2/Z
o/Zoo)/2 +jX/Zoo]・sinh(γL) =Sbr+jSbi 故に S21=(1/|Sb|)・e−jθ ただし、θ=tan−1(Sbi/Sbr) ここで、X2/(Zo・Zoo) ≫X/Zo、X/Zoo、とすること
で、近似して、 Sb≒−X2/(2・Zo・Zoo)・sinh(γL) =−X2/(2・Zo・Zoo)・(sinhαL・cosβL+jcoshαL・sinβL) とすることができる。
【0031】また、βL=(2π/λ)・Lなので、 L=n(λ/2) ならばβL=nπ、ただしn=1,2,3… ∴cosβL=±1 sinβL=0 L=(2n−1)λ/4 ならば βL=(2n-1)π/2 ∴cosβL=0、sinβL=±1 であるから、sinβL=0、cosβL=±1のときSb1=±X2/(2
・Zo・Zoo)・sinh(αL)を極大側の包絡線、cosβL=0、sin
βL=±1のときSb2=±X2/(2・Zo・Zoo)・cosh(αL)を極小
側の包絡線と考えることができる。
【0032】これらから、伝送損失αを求める。
【0033】上下包絡線の差をPとすると、 P=20log(|Sb2|/|Sb1|) =20log(cosh(αL)/sinh(αL))=20log(cothαL) 故にcothαL=U、ただし、U=10P/20と置いて αL=coth−1(U)=(1/2)・ln[(U+1)/(U−1)] α=(1/2)・ln[(U+1)/(U−1)]/L (NP/m) α=(1/2)・ln[(U+1)/(U−1)]・(1/L)・8.686 (dB/m) …(式4) となる。
【0034】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づいて本実施の形
態を説明する。
【0035】図6は、本発明に用いる測定用システムを
示す。
【0036】測定用システム10は、被測定の伝送線路
11と、線路11の両端に固定された測定用治具12A
と、測定用治具12Aを介して伝送線路11と接続され
るネットワークアナライザ13(以下、N/Aと表す)
とから構成される。
【0037】ここで、伝送線路11は、図7(a)、
(b)、図8に示すように、一端から他端まで延びる帯
状の中心導体11aと、一方の面に中心導体11aがプ
リントされた第1の誘電体11bと、第1の誘電体11
bと中心導体11aを介して一方の面で合わさられる第
2の誘電体11cと、第2の誘電体11cの他方の面に
接合される第1の接地導体11dと、第1の誘電体11
bの他方の面に接合された第2の接地導体11eとから
構成される。ここで、中心導体11aは、導体金属であ
ればよく、例えば、銅、真鍮、又は真鍮に金メッキを施
したもの、を用いる。接地導体11d、11eは、銅
箔、金、アルミニウム、真鍮を用いる。誘電体11b、
11cは、例えば、エポキシ樹脂、テフロン(登録商
標)を用いる。
【0038】測定用治具12Aは、図9(a)に示すよ
うに、棒状の信号導体12aと、信号導体12aの周り
に、信号導体12aの先端と面一となるまで充填された
誘電体12bと、信号導体12aと同軸に設けられた筒
状の接地導体12cとからなる。信号導体12a、接地
導体12cには、中心導体11a、接地導体11d、1
1eと同様な材料を用いる。誘電体12bには、例え
ば、ポリエチレン、テフロンを使用する。
【0039】ここで、信号導体12aの先端は、接地導
体12cの端面よりも内側へ位置させ、接地導体12c
の端面から信号導体12aの先端へ、所定深さのギャッ
プG1を画成する。即ち、信号導体12aの端面は、接
地導体12cの端面から、ギャップ分凹んでいる。この
ギャップG1は容量として作用する。
【0040】測定用治具12Aは、以下のような形態を
用いてもよい。
【0041】図9(b)は、ストリップ線路型の測定用
治具12Bを示す。
【0042】この測定用治具12Bは、一定の幅を有す
る帯状の信号導体12dと、信号導体12dの一方の面
に接合された平板状の誘電体12eと、信号導体12d
の他方の面に接合された平板状の誘電体12fと、誘電
体12e、12fに接合された平板状の接地導体12
g、12hから構成される。
【0043】接地導体12g、12hの端面と誘電体1
2e、12fとの端面は、互いに面一である。信号導体
12dの先端は、これらの端面から内側へ位置し、誘電
体12f、12gとともに、所定深さのギャップG2を
画成する。
【0044】図9(c)は、マイクロストリップ線路型
の測定用治具12Cを示す。この構造は、測定用治具1
2Bから、誘電体12fと接地導体12hを取り除いた
ものであり、その他の点は、同一である。
【0045】図9(d)は、コプレーナ型の測定用治具
12Dを示す。
【0046】誘電体12hと、誘電体12hの上に接合
され帯状の信号導体12iと、信号導体12iの両側に
位置し、誘電体12h上に接合された接地導体12j、
12kから構成される。信号導体12iと接地導体12
j、12kは同一面上にある。信号導体12iの端面と
その周りの誘電体は、接地導体12j、12kの端面よ
り、内側に位置する。信号導体12iの端面と、接地導
体12j、12kの内側面とは、所定深さのギャップG
3を画成する。
【0047】N/A13は、例えば、ヒューレッドパッ
カード社製(HP―8722C)が用いられ、電源、基
準抵抗を有している。基準抵抗は、内部抵抗と同じに設
定されている。これは、伝送線路に対して所定の入力信
号を発生させると共に、伝送線路11の動作伝送係数Sb
を測定する。
【0048】なお、押さえ金具14の長手方向の両端面
が測定用治具12Aの接地導体12Cと当接し、幅方向
の端面が伝送線路11と当接する。そして、測定用治具
12Aと伝送線路11との位置関係が維持される。
【0049】次に、伝送線路の伝送損失の測定方法を説
明する。
【0050】先ず、測定用治具12Aの各ギャップG1
を互いに向き合わせて一致させ、図4(a)に示すよう
に、一対の測定用治具12Aを短絡させる。この状態
で、N/A13がこの測定系に、測定に使用される周波
数の範囲で、周波数を変化させながら入力信号を与え
る。基準抵抗の電圧を測定し、基準値が得られる。
【0051】次に、一対の測定用治具12Aの間に、伝
送線路11をセットする。N/A13内の電源は、基準
値を測定したときと同じ測定波長域の範囲で周波数を変
化させながら、入力信号を測定系に与えられる。
【0052】基準抵抗の電圧を測定し、さらに、前述の
基準値分の電圧を引き算して、伝送線路11の透過係数
S21(動作伝送係数Sbの逆数)が測定される。
【0053】この透過係数S21は、例えば、図10に示
すような、周期的な波形となる。この波形の第1の共振
点と次の第2の共振点とを結ぶ第1の直線を設定し、こ
の第1の直線上に第1の中点を求める。この第1の中点
の周波数に相当する波形上の点を第1の波形点とする。
次に第2の共振点と次の第3の共振点とから、第2の直
線、第2の中点を求め、同様に、第2の波形点を求め
る。この第1の波形点と第2の波形点とを結ぶ第3の直
線を設定し、この第3の直線上で第2の共振点の周波数
に相当する点を、極小側包絡線の値S2とする。また、こ
のときの極大側包絡線の値S1は、第2の共振点である。
【0054】そして、S=S1/S2とし、式1からその周波
数における伝送線路の伝送損失を求める。
【0055】
【実施例1】本測定方法の測定精度を確認するために、
以下のシミュレーションを行った。
【0056】条件は、Zoo=50(Ω)、L=200(mm)、εr=
2.6、α=0.85×f、Cg=0.014(pF)である。周波数域は10
〜20GHzとした。結果を図10に示す。
【0057】さらに、この結果に対して式1を適用し
て、図11に示すように、伝送損失αを解析した。実線
はα=0.85×fのを示し、●は、式1を用いた解析結果
である。式1の解析結果は、真値と略一致している。
【0058】真値に対する上記解析結果の誤差を下記計
算式によって評価した。
【0059】 誤差(%)=(解析値/真値−100)×100 その結果、図12に示すように、解析値と真値とは、全
周波数域において、約1.5%以内に収まった。
【0060】式2を用いて解析した伝送損失αについ
て、真値に対する誤差を評価した。誤差は、図13に示
すように、0.5%以内になり、式1と比較して、さらに
精度が向上した。
【0061】Zoo=100(Ω)とし、式2を用いて、誤差
を評価した。誤差は、図14に示すように、周波数が大
きくなるにつれて、大きくなっていく。
【0062】Zoo=100(Ω)とし、式3を用いて、誤差
を評価した。図15に示すように、誤差が略0になるこ
とが、確認された。
【0063】Zoo=50(Ω)とし、従来の解析式、式4を
用いて評価した。図16に示すように、誤差は、全周波
数域において、2%以上であり、また、周波数が大きく
なるにつれて、誤差は大きくなった。また、誤差は、式
1、式2を用いたそれよりも大きくなった。
【0064】以上より、式1、式2、式3にから計算さ
れる伝送損失αの誤差は、式4から計算されるそれよ
り、小さいことが明らかになった。
【0065】
【実施例2】伝送線路としてストリップ線路と、測定用
治具12Aが用いられた。最初に、測定治具12Aのギ
ャップ同士を合わせた状態で基準電圧、即ち基準値を求
めた。次に、それぞれの測定治具12Aの間に伝送線路
を保持し、伝送線路の透過係数S21を測定した。伝送線
路の条件は以下の通りである。
【0066】誘電体の厚さ…b=1.6mm 誘電体の誘電率…εr=2.6 誘電体の誘電損失…tanδ=0.004 (10GHzで測定) 中心導体の厚さ…t=18μm 中心導体の導電率…σ=5.3×10S/m 中心導体の線幅…w=1.0mm 伝送線路の特性インピーダンス…Zo≒50(Ω) 伝送線路長…L=201 mm その結果を図17に示す。次に、図17において、前述
した手順で周波数における上下の包絡線上の値を求め
る。そして、式1から、伝送損失αを求めた。図18に
おいて、○は計算した結果を示す。
【0067】
【実施例3】実施例2と同じ伝送線路、ギャップを有す
る測定用治具12Aを用いた。先ず、伝送線路及び測定
用治具を外した状態で、図4(b)のように短絡させ、
基準値を求めた。以下、実施例2と同様に、測定用治具
12Aの間に伝送線路を保持し、図19に示す透過係数
S21を測定した。次に、図19において、上下の包絡線
上の値を求め、式4から伝送損失αを求めた。図20に
おいて、○は計算した結果を示す。
【0068】これらの結果から、実施例3の誤差は、高
い周波数15GHzにおいて、3%であった。一方、実施例2
の誤差は、1%以内であった。さらに、近似式2を用い
た場合、0.1%以内であった。さらに、伝送線路の特性
インピーダンスが100Ωとし、近似式3を用いた場合、
誤差は0.1%以内であった。
【0069】実施例2の解析方法は、実施例3のそれよ
り、高い周波数域において、精度よく伝送損失を求め
る。
【0070】また、実測値においても、本発明の方法で
は、従来の方法と比べて、測定結果に大きなうねりがな
く、測定結果から数値が容易に読み取られ、計算結果の
信頼性が高いことが確認された。
【0071】以上に説明したとおり、本実施の形態によ
れば、精度に優れた伝送線路の伝送損失を求めることが
できる。
【0072】また求められた伝送損失は、以下のように
利用される。
【0073】1.誘電体の誘電特性の評価 基板材料等の誘電体の特性を把握する。即ち、予め、組
成、反応率、分子の状態、官能基の状態、温度・湿度依
存性、経時変化が分かっている材料を準備し、本発明の
方法で伝送損失を測定する。伝送損失と上記関係を、例
えば、統計処理によって解析しておく。次に、組成、反
応率などの知られていない材料を用いて、その伝送損失
を測定し、その材料の特性が推測される。
【0074】2.用途に応じた材料の選択 低損失材料は、例えば、アンテナや増幅器などの高周波
回路に用い、高周波信号を効率的に伝送できる。高損失
材料は、不要輻射波やノイズを吸収できる材料として用
いることができ、例えば、電波暗室などの電波吸収材料
に提供し、不要輻射波やノイズを吸収できる。
【0075】3.銅箔等の導体特性の把握 予め金属組成の影響、粗化・パターンなどの形状と、伝
送損失との関係を把握しておく。高周波回路を設計する
とき、必要な伝送損失となるように、金属組成の粗化方
法、パターンなどの形状を選択する。また、誘電体の厚
さ、導体幅などのを選択して、低損失な配線が設計され
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の測定系を示す等価回路図である。
【図2】本発明の方法で用いた4端子法の解析範囲を示
す等価回路図である。
【図3】従来の方法で用いた4端子法の解析範囲を示す
等価回路図である。
【図4】(a)は、本発明に係わる基準値を求める方法
を示す等価回路図であり、(b)は、従来技術に係わる
基準値を求める方法を示す等価回路図である。
【図5】(a)は、4端子法及び4端子定数を説明する
概念図であり、(b)は、基準値を求める方法を示す概
念図である。
【図6】本実施の形態に係わる測定系の概念図である。
【図7】(a)は、測定用治具について、上方からの及
び図7(b)のD−D線に沿った一部破断面図であり、
(b)は、測定用治具について、側面からの及び図7
(a)のC−C線に沿った一部破断面図である。
【図8】図7(a)のC−C線に沿った伝送線路の断面
図である。
【図9】(a)は、図7のC−C線に沿った測定用治具
の断面図であり、(b)、(c)は、他の測定用治具の
断面図であり、(d)は他の測定用治具の平面図であ
る。
【図10】マイクロ波域における透過係数をシミュレー
ションしたグラフである。
【図11】伝送損失の理論値と本実施の形態の解析方法
(式1)から求めた伝送損失を比較したグラフである。
【図12】図11について、理論値に対する伝送損失の
誤差を評価したグラフである。
【図13】伝送損失の理論値に対して、解析方法(式
2)から求めた伝送損失の誤差を評価したグラフであ
る。
【図14】Zoo=100(Ω)の条件で、図13と同様な誤
差を評価したグラフである。
【図15】伝送損失の理論値に対して、解析方法(式
3)から求めた伝送損失の誤差を評価したグラフであ
る。
【図16】伝送損失の理論値に対して、従来の解析方法
(式4)から求めた伝送損失の誤差を評価したグラフで
ある。
【図17】実施例2に係わる測定結果を示すグラフであ
る。
【図18】図17から式1の解析方法によって得られた
伝送損失を示すグラフである。
【図19】実施例3に係わる測定結果を示すグラフであ
る。
【図20】図19から式4の解析方法によって得られた
伝送損失を示すグラフである。
【符号の説明】
1 等価回路 2 伝送線路 3,4 容量素子 5 電源の内部インピーダンス 6 電源 7 基準負荷

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1の端部と第2の端部とを有する伝送
    線路と、第1の凹部を有し且つ前記第1の端部と前記第
    1の凹部を介して接続された第1の治具と、第2の凹部
    を有し且つ前記第2の端部と前記第2の凹部を介して接
    続された第2の治具と、前記第2の治具に接続された負
    荷を備えた測定系において、 前記伝送線路を挟まずに、前記第1の治具の第1の凹部
    と前記第2の治具の第2の凹部とを対向させた状態で、
    前記第1の治具を介して入力した入力信号の周波数を変
    化させながら前記負荷の電圧を測定して、基準値とし、 前記第1の治具と第2の治具との間に前記伝送線路を挟
    んだ状態で、前記負荷の電圧を測定し、 前記測定電圧の極大点を結んだ第1の包絡線を設定し、 前記測定電圧の極小点を結んだ第2の包絡線を設定し、 ある周波数における前記第1の包絡線上の第1の値と前
    記第2の包絡線上の第2の値とに基づいて、前記伝送線
    路の伝送損失を求める、伝送線路の伝送損失を解析する
    方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に係わる伝送線路の伝送損失を
    解析する方法において、 式1から前記伝送線路の伝送損失を求める。 【数1】 但し、αは前記伝送線路の伝送損失(NP/m)、Lは前記
    伝送線路の長さ、S=S 1/S2であり、 S1は求めようとす
    る周波数における前記第1の包絡線上の第1の値、S2
    求めようとする周波数における前記第2の包絡線上の第
    2の値である。
  3. 【請求項3】 請求項1に係わる伝送線路の伝送損失を
    解析する方法において、式2から伝送線路の伝送損失を
    求める。 【数2】 但し、αは前記伝送線路の伝送損失(NP/m)、Lは前記
    伝送線路の長さ、S=S1/S2であり、S1は求めようとす
    る周波数における前記第1の包絡線上の第1の値、S2
    求めようとする周波数における前記第2の包絡線上の第
    2の値である。
  4. 【請求項4】 請求項1に係わる伝送線路の伝送損失を
    測定する方法において、 式3から伝送線路の伝送損失を求める。 【数3】 但し、αは前記伝送線路の伝送損失(NP/m)、Lは前
    記伝送線路の長さ、S=S1/S2であり、S1は求めようと
    する周波数における前記第1の包絡線上の値、S2は求め
    ようとする周波数における前記第2の包絡線上の値、Zo
    は前記負荷のインピーダンス、Zooは伝送線路の特性イ
    ンピーダンスである。
  5. 【請求項5】 信号導体と、接地導体からなり、前記信
    号導体の端部が前記接地導体の端部から、ギャップ分凹
    んでいる伝送損失測定用治具。
  6. 【請求項6】 第1の治具に画成された第1の凹部と第
    2の治具に画成された第2の凹部とを短絡させ、第1の
    治具を介して所定範囲の周波数の入力信号を入力し、第
    2の治具からの出力信号を測定して、基準値とし、 伝送線路の第1の端部に第1の凹部を介して第1の治具
    と、前記伝送線路の第2の端部に第2の凹部を介して第
    2の治具と、を取り付け、所定範囲の周波数の入力信号
    を入力して、出力信号を測定し、 前記出力信号と基準値とに基づいて、前記伝送線路の透
    過係数を算出し、 前記透過係数の極大点を結んだ第1の包絡線を設定し、 前記透過係数の極小点を結んだ第2の包絡線を設定し、 ある周波数における前記第1の包絡線上の第1の値と前
    記第2の包絡線上の第2の値に基づいて、前記伝送線路
    の伝送損失を求める伝送線路の伝送損失を解析する方
    法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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