JP2002004799A - 坑内休息所 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 室内清浄化を保つとともに、送風管を必要と
せず、設置の段取りが不要で、移動に際し簡単に移動で
きるようにする。 【解決手段】 トンネル坑内の適宜位置に移動可能に仮
設された休息所１であって、該休息所１は、気密性が保
持された密閉式仮設建物内に、集塵機４、排気ダクト５
および排気用換気扇６を設けたものである。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、建設中の
トンネル内に仮設される坑内休息所に関する。

【０００２】

【従来の技術】建設中のトンネル坑内において、作業員
が休息を取る場合は、トンネル内を移動して坑外の休息
所に行くか、坑内の安全な場所を選んで休息を取るか、
坑内に仮設された休息所あるいは休息室などで休息を取
るようにしている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】以上の休息方法のう
ち、トンネル坑内は粉塵濃度が高く、空気環境が劣悪で
あるため、坑外休息が最も理想的である。ところが、ト
ンネルの掘削がある程度まで進捗しており、作業車が頻
繁に往復していない場合には、移動は徒歩に頼らざるを
得ず、現場と坑外との往復に時間がかかるため、現実的
には就労時間内で坑外休息を取ることは難しい。また、
一般にトンネル内は前記のごとく粉塵濃度が高いため、
休息中であっても防塵マスクを取り外すことは出来ず、
くつろいだ状態とはなれないため、本来の意味での休息
とはならない。

【０００４】なお、従来の休息所あるいは休息室は、現
実には名ばかりのもので、実際には坑内に簡単な仕切で
隔離された小屋内に腰掛程度のものが用意されている程
度の建物であって、休息所内であっても坑内と同様の雰
囲気にさらされていおり、この場所を休息場に使用する
としても、前記と同様に防塵マスクをしたままそこにと
どまらざるを得なかった。

【０００５】これに対し、先に本出願人は、トンネル坑
内に配管された送風管を利用した定置式の坑内休息所を
開発した。これは気密状態の小屋内に送風管から分岐し
た管を接続し、ここから新鮮な外気を給気する一方で、
排気用のファンにより常時トンネル坑側に排気するもの
であり、この構造形式なら、内部を正常に保つことが出
来るため、防塵マスクを外しての休息が可能である。し
かしながら、この構造の休息所にあっては、送風管に接
続する必要があるため、設置の段取りや、長大トンネル
における作業員の移動量から作業能率の点で劣るといっ
た欠点を有していた。

【０００６】本発明は、以上の課題を解決するものであ
って、その目的は、室内清浄化を保つとともに、送風管
を必要とせず、設置の段取りが不要で、簡単に移動でき
るようにした坑内休息所を提供するものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明は、トンネル坑内の適宜位置に移動可能に仮
設された休息所であって、該休息所は、気密性が保持さ
れた密閉式仮設建物内に、集塵機および排気ダクトを備
えてなることを特徴とする。従って、本発明によれば、
休息所内部は快適な住環境となり、作業能率の向上に寄
与するとともに、送風管との接続が不要なため、作業進
捗に応じて直ちに作業現場近くに移設できる利点があ
る。本発明においては、前記密閉式仮設建物内に、排気
ガス中の有害物質を除去し、かつ休息所内の汚染空気を
除去するため、排気ガス浄化装置および排気用換気扇を
さらに備えることが好ましい。

【０００８】また、本発明に係る休息所の室内が、連絡
用扉を設けた隔壁により室内外出入口用ドアのある前室
と休息室とに区画されていることにより、前室で埃など
を落してから休息室に入室でき、出入り毎に休息室自体
が外気に直接さらされることがないため、室内の清浄度
をさらに高めることができる。

【０００９】

【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい実施の形
態につき、添付図面を参照して詳細に説明する。図１〜
３は本発明に係る休息所を示している。図において、ト
ンネル坑内の適宜位置、例えば掘削現場近くの適宜位置
には休息所１が仮設されており、掘削現場の移動に伴い
順次移設可能となっている。この休息所１は、例えば、
１０人程度を定員として収容できる容積のプレハブ式仮
設建物であって、長方形の建物の側壁面開口部に窓２、
および一端側に室内外出入り用のドア３を設けたもので
あり、通常のプレハブ建物よりもパネル間接合部及び開
口部などを目張りすることで、高気密性が保たれてい
る。

【００１０】そして、この休息所１の天井部には、集塵
機４および排気ダクト５が取付けられている。集塵機４
は、上部に吸込み口４ａを有するモータ駆動型の本体４
ｂを備え、本体４ｂに内蔵された除塵フィルタおよび排
気ガス浄化フィルタによって坑内の空気中に含まれる塵
埃および排気ガス中の有害物質を連続的に除去する。ま
た、本体４ｂの吐出口は縦配管４ｃを介して、休息所１
の側壁における下部側に接続し、室内下部側より清浄な
空気を供給している。一方、排気ダクト５内には排気フ
ァン６が配置され、室内の上部側より坑内に向けて連続
的に排出している。以上により、休息所３の室内には常
に清浄な空気が供給循環されている。なお、集塵機４の
送風能力は排気ファン６の排気能力より若干高めに設定
され、室内の内圧は坑内圧力より若干高めになり、これ
により、人の出入りが頻繁に行われていても、出入り用
ドア３を通じて坑内空気が室内に流入することなく、常
時清浄な状態に保たれる。

【００１１】さらに、室内は、隔壁７により、前記出入
口用ドア３がある前室１ａと、机８、椅子９などの休息
設備が内装され、前記集塵機４および排気ダクト５によ
り空気が循環される休息室１ｂに区画され、前室１ａと
休息室１ｂとは隔壁７に設けた連絡用扉１０により出入
り可能とし、これにより人の出入りによる清浄度の低下
を防止している。加えて前室１ａの外壁面には換気扇１
１が配置され、換気扇１１より坑内側に向けて常時排気
を行っている。すなわち、作業員が坑内より休息所１に
入る時には衣服などに塵埃が付着した状態であるため、
一旦前室１ａに入り、ここで埃を落してから、休息室１
ｂに入室するという取り決めをしておくことにより、常
時休息室１ｂ内は清浄な状態に保たれる。また払い落さ
れた埃は換気扇１１によって坑内側に排出される。な
お、前室１ａの外にエアシャワーなどの設備を設けてお
けば、自動的に衣服などに付着した埃を取除く事もでき
る。

【００１２】従って、以上の構成においては、前室１ａ
を通じて休息室１ｂに入った作業員はヘルメット、防塵
マスク、防塵眼鏡などを外してリラックス状態で休息で
き、リフレッシュ後、再び現場に戻ることができる。

【００１３】なお、以上の設備のほか、休息室１ｂ内に
は空気清浄機、空調機なども設けておくことも可能であ
る。このうちの空気清浄機は、坑内空気の思わぬ流入に
よる粉塵の除去だけでなく、休息室１ｂ内での喫煙など
による空気汚れの防止、及びマイナスイオン発生による
快適性向上を図ることができる。また空調機は現場温度
が異常に高かったり、その逆に寒い場合に室内を快適温
度に保つことができる。

【００１４】

【発明の効果】以上の説明により明らかなように、本発
明による坑内休息所によれば、内部が外界から完全に遮
断されて清浄な雰囲気が保持され、防塵マスクを外して
休息できる上に、坑内配管に接続する必要がないため、
移設も簡単におこなうことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る坑内休息所の平面図である。

【図２】同側面図である。

【図３】図２のＡ−Ａ線における断面説明図である。

【符号の説明】

１ 坑内休息所 １ａ 前室 １ｂ 休息室 ３ 出入り口用ドア ４ 集塵機 ５ 排気ダクト ６，１１ 排気ファン（排気用換気扇） ７ 隔壁 １０ 連絡用扉

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 林 利成 東京都港区港南２丁目15番２号 株式会社 大林組東京本社内 Ｆターム(参考） 3L058 BE08

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 トンネル坑内の適宜位置に移動可能に仮
   設された休息所であって、該休息所は、気密性が保持さ
   れた密閉式仮設建物内に、集塵機および排気ダクトを備
   えてなることを特徴とする坑内休息所。
2. 【請求項２】 前記密閉式仮設建物内に、排気ガス浄化
   装置および排気用換気扇を備えてなることを特徴とする
   請求項１に記載の坑内休息所。
3. 【請求項３】 休息所の室内が、連絡用扉を設けた隔壁
   により室内外出入口用ドアのある前室と休息室とに区画
   されていることを特徴とする請求項１または２に記載の
   坑内休息所。